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August 09, 2006

新規顧客と既存顧客について

  日経新聞の一面で「消費をつかむ」という特集を連載している。現在、第3部売り手の新発想に入り、8/6は3回目となり、「売ってからが商売」、「新規客より馴染みの苦言」という記事が掲載された。この中で4つの事例を取り上げているが、その中で特に気になった記事はNECのコールセンターの事例と紳士服専門店のAOKIの事例だ。どちらの事例も明確に新規顧客よりも既存顧客に焦点を当てた成功事例を取り上げており、食品スーパーマーケット業界にも示唆に富む内容である。今回の記事の最後では、「この先、安売りで新規開拓ばかりにコストをかけると、採算が悪化する悪循環に陥りかねない。1人1人と長く付き合い、リピート需要を引き出すことが、少子高齢化時代に即した商売だ」と結んでいるが、まさにその通りであろう。

  さて、その気になる記事の内容であるが、NECの事例はコールセンターの内容である。現在、NECパーソナルプロダクツのコールセンターには1日2,700件のパソコンの相談を受けるというが、現状、1分間以上待たせることはないという。統括責任者の端末には、電話がつながる割合が20分おきに表示され、80%を下回るとSOSの指示が飛ぶという。また、NECでは業界初ともいう遠隔操作によるサポートシステムを導入し、客が組み込んだ他社ソフトのトラブルにも対応するという。

  問題は、なぜ、NECがここまでコールセンターに力を入れたかであるが、それは、6年前にNECの再購入希望率を調査したところ3.4%という衝撃的な結果がでたことがきっかけだったという。逆にいえば、94.6%はNECをリピートしないということである。そして、これを機にサポートに力をいれたことにより、現在では再購入希望率が59%に大幅に改善し、業績も上向きはじめたという。

  よく小売業でも特にPI値の低い業種であるホームセンター、家電などの専門店では客単価よりも客数に比重がかかり、価格訴求により、いかに新規顧客、特に他社の顧客を奪うかがテーマとなることが多い。食品スーパーマーケット業界でもちらしを武器に、いかに新規顧客を集客するかがよくテーマとなる。もちろん、これは新規顧客獲得という観点では重要なテーマであるが、小売業の本質は一旦購入をいただいた顧客から次の購入、すなわち、リピートにつながったかどうかが実は最大のテーマである。ここの部分への取組が食品スーパーマーケットはもちろん、たとえ、PI値の低い業種でも重要であるということがこのNECの事例は示しているといえよう。

  もうひとつの事例は紳士服のAOKIの事例である。これはこの20年間、AOKIの売上トップを続けている町田さんの事例である。町田さんは、AOKIのスーツを年2億円以上を売るという。その秘訣を町田さんは記事の中で「宝は自分を指名して2回以上来店してくれた1,500人の顧客台帳だ」といっている。この顧客台帳をもとに、電話を通じ、それとなく購買を促し、売上に結び付けているという。この15年で120回も足を運んだという顧客や親子3代にわたって付き合いがある顧客もいるという。

  これはまさにCRM(Customer Relationship Management)の実践であり、ポイントカード等の導入の有無にかかわらず、CRMは実践でき、実績をあげられることを示している事例といえよう。先の事例のNECの再購入希望率約60%で計算すると、年間2億円のうち、60%の1.2億円を1500人で割ると8万円であり、3~4万円のスーツ2着となる。すなわち、新規顧客からの売上40%に加え、リピート顧客から年間スーツ2着を町田さんのみから購入すれば2億円の年商となる。15年で120回が超お得意さまであることを考えると、年間8回の来店であり、1回の来店顧客ではなく、2回以上の来店顧客1500人であるので年2回購入いただくことはけっして不可能な数字ではないといえよう。また、町田さんのようにベテラン店員になると、1500人の顧客管理は一人で可能であることを実証しし、しかもその顧客が充分な売上に結びつくことを実証している。

  このように、今回の日経の記事は商売の本質を示した好事例といえ、商品数がどんなに増えようとも、顧客数がどんなに増えようとも顧客1人ひとりへの対応が重要であり、また、それが、可能であることを示しているといえよう。新規顧客の獲得は商売のきっかけであり、いったん、顧客になったあとは、いかにリピート購買につなげられるかが商売の本質であることをあらためて感じる。

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August 9, 2006 in 経済・政治・国際 |

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