冷惣菜が食品スーパーマーケットの活性化の決め手に!
9/10の日経MJで冷惣菜の記事が掲載された。「食肉大手、冷蔵惣菜を強化」、「鮮魚・野菜売場など開拓」、「ハム停滞打開へ新商品」という見出しの記事であり、食肉大手の日本ハム、伊藤ハム、丸大ハムがハム・ソーセージ部門の伸びの鈍さをカバーし、惣菜事業の強化にむけて本格的に冷惣菜の商品開発に取組み始めたという内容である。実際、食肉大手の冷惣菜に限らず、現在、食品スーパーマーケットでは冷惣菜が伸びているのが現状である。惣菜部門でのインストア加工での商品、惣菜、日配メーカーのNB、共同開発商品等新商品が目白押しという状況であり、和の冷惣菜、洋の冷惣菜、中華の冷惣菜、その他の冷惣菜等分類も確立されつつあり、数字も順調に伸びているといえる。今回の日経MJの記事は食肉大手の冷惣菜の取組みであり、生鮮食品とのクロスマーチャンダイジングがテーマであるが、ここまで来ると、将来的には、これらの商品も含め、日配の一部も取り入れれば、冷惣菜部門として、バイヤー、SVを配置し、食品スーパーマーケットとしても一部門を確立できるところまで成長する可能性がでてきたといえよう。
さて、日経MJの記事の内容であるが、ポイントは食肉ハムメーカーがハム・ソーセージ事業が停滞ぎみであるため、冷蔵惣菜事業の強化に乗り出し、この秋に冷蔵惣菜の新商品を一斉に投入したという内容である。しかも、従来の精肉売場のハム・ソーセージ売場への展開ではなく、鮮魚、青果売場へのクロスマーチャンダイジング的な提案である点がポイントといえる。日本ハムは9/1、海鮮八宝菜、フカヒレおこげなどの海鮮名菜シリーズを従来よりもワンランク上の500円前後の価格帯で新発売し、鮮魚売場などへ提案を始めたという。このシリーズで年間25億円の売上目標であるという。伊藤ハムは、野菜売場への提案であり、9/11に酢豚、八宝菜、焼きビーフンなど野菜をおいしくシリーズ9品を、400円前後の価格帯で発売した。丸大食品はかも南蛮用アイガモロース、ラーメン用チャーシュー、カレーうどん用の具入りスープなど麺類の売上を意識した6品を新発売した。めん料理を豪華にする惣菜需要が今後拡大すると見込んでの商品開発であるという。実際、日経MJの記事によれば各社調理・加工食品の販売はこの10年間で順調に拡大し、売上構成比が2割から4割弱と経営の柱になったという。このように、今後、食肉大手は冷惣菜の商品開発にますます拍車がかかりそうだという記事である。
ただ、気になるのは、今回の食肉大手の新商品は食品スーパーマーケットの生鮮売場、特に鮮魚と青果売場への新規提案という意図が強い点である。食品スーパーマーケットの売場面積は限られており、いかに売場スペースを有効に活用するかが経営の盛衰を握る。そして、そのためには、スペース生産性が、生鮮食品では1尺当り8,000円から10,000円必要であり、1日2,000人平均の客数の食品スーパーマーケットでは客単価4~5円は必要となる。日経MJの記事には東京都内の食品スーパーマーケットの鮮魚売場へ提案した日本ハムの「海鮮名菜」の写真がのっているが、4尺はスペースをとっているので、客単価で15円~20円、売上で1日30,000円~40,000円は必要であり、この数字がキープできないと4尺の売場確保は厳しくなる。生鮮売場への提案は訴求力がある場所だけに効果は高いが、スペース生産性基準を満たす商品力がないと継続は難しいのが現状である。今回の商品がどこまで商品力があるか否かにより、最終的に4尺か、2尺か、あるは6尺まで拡大するかが決まってくるといえよう。
今回の日経MJは食肉大手に絞った冷惣菜の記事であったが、冷惣菜自体は食品スーパーマーケットでは伸びており、食品スーパーマーケットとしてもそろそろ冷惣菜だけでなく、鮮魚、精肉、青果の半加工商品、日配の一部をまとめ部門確立に入ってもよい時期にきているともいえる。冷惣菜と惣菜および生鮮食品との最大の違いはインストア加工か、発注商品かという点が決定的に違い、冷惣菜は品揃え、棚割り、発注、品出し作業をきっちりこなせば安定した売上だけでなく、利益も十分にとれる商品である。鮮魚担当者、精肉担当者、青果担当者が中途半端に商品管理をするのではなく、専任の責任者を置き、商品管理をすべき商品である。これまではそれぞれの部門の一部であったが、まとめれば一部門を構成するまでに成長した商品群であるといえ、食品スーパーマーケット側でもしっかりと商品部門を確立する時期にきたように思う。その方が、生鮮担当者にとっても、あいた時間をより付加価値の高い生鮮食品の作業にあてられ、身につけた貴重な技術を充分に活かせ、結果的に売上、利益の改善につながるものと思う。
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