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September 03, 2006

小売業と不動産業、証券業融合の時代へ

  9/2の日経新聞に三菱UFJ信託銀行の記事が掲載された。見出しは「小売り100店束ね証券化」、「物件購入、流通向け賃貸」というもので、中小小売業に焦点をあてた不動産の証券化である。すでに、この分野ではREIT(不動産投資信託)が市場を拡大しているが、REITの場合は大型物件が多く、今回の場合は小型物件をたくさん集めて証券化するところに特徴がある。また、同じ、9/2の日経に、国土交通省の記事として、「不動産の投資顧問業、国交省、解禁へ」、「実物、取引を一任、年金基金、投資しやすく」という内容が掲載された。これは、これまで認められていなかった不動産専門の投資顧問業を解禁するということであり、来年の通常国会で関連法案を国交省が提出するという。有価証券の投資顧問業についてはすでに法制化されているが、実物不動産の取引は対象外であったという。このように、不動産をキーにこれまではREITが独走し、大型案件中心の証券化の動きであったが、今後は、中小小売業の不動産物件にも焦点が当てられ、不動産投資顧問業という新しいビジネスも発生し、小売業の出店戦略に大きな影響を与えるものと思う。

  三菱UFJ信託銀行の小売100店束ね証券化についての記事の内容であるが、すでに、紳士服のはるやま商事、メガネスーパーなどと提携したという。特に、今回の証券化の対象は郊外のロードサイド店舗や駅前型店舗の1件1億円程度の小規模の物件を100店集め、100億円の規模で証券化するという。すでに出店している物件だけでなく、今後、出店の可能性のある物件も入手し、その後、小売業者に出店を促すこともあるという。したがって、小売業者はその物件と賃貸契約をする形で出店が可能になり、ロードサイド、駅前の好立地に出店が容易になるという。実際、地権者が地価上昇で物件を強く売却希望する場合、これまでは、小売業は減損会計の問題もあり、その物件を購入してまで、出店することが難しかったが、このファンドを使うことにより、ファンドが物件を買い取り、小売業者に賃貸し、出店することが可能となる。ファンドであるから、資金は投資家から集め、さらに、REITとして上場することも可能になり、優良小売業のREITであれば値もあがることになり、さらに証券を発行し、資金を集めることも可能となろう。

  ここでREIT(不動産投資信託)の仕組みをみてみると、REITとはReal Estate Investment Trustの略であり、アメリカで1960年に生まれたものであり、1990年頃から急速に拡大したという。日本でも、「投資信託及び投資法人に関する法律」が2000年11月に改正されたことによって、投資商品として証券化された。現在、REIT市場は急激に拡大しており、2000年度は2兆円弱であったが、2005年度は約7兆円にまで拡大しているという。REITにすると、株式のように上場が可能となり、すでに東証には37銘柄が上場されている。特化型としては、オフィスビル、住宅、商業施設、物流施設、ホテルなどに投資するもの、また、それぞれを組み合わせた複合型、さらには、様々な用途に分散投資する総合型に分類されるという。

  このように、REITはすでに商品化が進んでおり、市場規模も拡大しているのが実情といえる。これに、今回は中小小売業特化型が新たに開発されるということであり、来年以降、不動産投資顧問業も認可されれば、小売業、不動産業、そして、証券会社が融合するあらたなビジネスが生まれることになり、ある意味、株式会社制度に匹敵する資金調達ではないが、物件調達が可能となり、今回の動きは小売業にとっては朗報といえよう。

  ただし、小売業は物件があっても、運営ノウハウ、商品調達、人材育成、物流体制等の仕組みがしっかりできあがっていないと店舗の拡大は望めない。特に人材教育は小売業にとってもっとも重要なテーマであり、これまでも急激な出店によって人材教育が充分にいかず、業績を落とす場合も多々あった。このように、資金調達、物件調達が中小の小売業でも容易になると、ますます、今後の小売業は本業に特化した、しっかりした人材教育体制の確立が大きな課題となろう。

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