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September 18, 2006

プラス発想とマイナス発想について

  食品スーパーマーケットは約10,000個の商品を取り扱う小売業といってよく、この商品全体の売上を伸ばし、利益をあげるために、様々な商品戦略と店舗戦略がつくられ、日々実行に移されてゆく。そして、その戦略づくりに最も大事なポイントは、商品戦略では重点商品を選び抜くことであり、店舗戦略ではその重点商品の重点店舗を選定することであるといってよい。実はこれが中々難しい課題であり、意識的に取り組まないと、目的は同じでも、戦略と戦術がバラバラになり、中々よい結果を出せないということが往々にして起る。意識的に取り組むとは、基本的な観点として、ものごとをプラス発想で見るか、マイナス発想で見るかということであり、どうも、多くの方の発想はマイナス発想であることが多いのが実態のようである。

  たとえば、重点商品を選ぶ場合、金額、数量、客数、あるいは、顧客1人当りに換算した金額PI値(客単価)、PI値、客数PI値など様々な指標を駆使し、選定してゆくが、その時、プラス発想で商品選定をするか、マイナス発想で商品選定をするか、最初の着眼点がプラス発想よりも、マイナス発想である場合が多いということだ。売れている商品をもっと売ろうというよりも、売れていない商品をいかに売ろうかという意識が自然に働くようである。これが重点店舗を選定するとなると、もっと端的に表れ、選定された重点商品の売上を伸ばしている店舗よりも、売上を落としている店舗を見つけ出し、その店舗の数字をいかに上げるかに全精力を傾けてしまう傾向がある。目的は商品の売上を上げることにあるはずだが、どうもその方法が極端な場合、売れていない商品、売れていない店舗へのアプーローチという結果になってしまい、思うような結果がでないケースをよく見る。

  ここで、商品と店舗、プラス発想とマイナス発想の関係を整理してみると、大きく4つにアプローチが分かれる。(A)プラス発想で商品を選定し、プラス発想で店舗を選定する場合、(B)プラス発想で商品を選定し、マイナス発想で店舗を選定する場合、(C)マイナス発想で商品を選定し、プラス発想で店舗を選定する場合、(D)マイナス発想で商品を選定し、マイナス発想で店舗を選定する場合である。この中で最も多いのが、どうもBとDが多いようである。商品選定に関しては、プラス発想、マイナス発想、分かれる場合があるが、こと店舗になるとマイナス発想でみてしまう場合が往々にしてある。店舗にしてみれば、売れている商品を売ってない、売れていない商品も売ってないということになり、両方重なった店舗は全否定となってしまい、ほめられることが全くなくなってしまう。これでは業績があがるはずがなく、全体がぎすぎすしてしまう。

  逆にいうと、プラス発想で取り組むというこがいかに難しいかということであり、意識して、取り組まないとできないということでもあろう。商品の選定も店舗の選定も第一優先は意識的にAを選択することであり、このAの限界を追求することが最も大事なことであるといえる。そして、このAの場合の成功事例をベストプラクティスとして全店に水平展開した時、全店の業績がアップしてくるのである。第二優先は、これも意識的にCを選択することであろう。Aが一段落したら、Bにゆくのではなく、Cを選択し、伸びていない商品をよく伸ばしている店舗の、やはり限界値に追求することであろう。そして、これをAに展開すれば、Aはさらに業績を伸ばすことになる。また、このCが一段落したら、CにAを展開すれば、Cもさらに業績を伸ばせるものと思う。そして、このA、Cが一段落したら、Bへ、そして、最後にDへとアプローチしてゆくことが無理なく、全体を伸ばしてゆくアプローチ方法であるといえよう。特にDの発想はカットしてもよいくらいであり、A、Cでできるだけ決着をつけたいところだ。

  このように、商品と店舗へのアプローチはプラス発想とマイナス発想があるが、どうもほっておくとマイナス発想となったアプローチをとってしまい、目的は全店の業績アップにあるはずなのだが、一所懸命やればやるほど、逆の結果となってしまいがちとなる。プラス発想は意識的に実践しないとできないものであり、本来の目的を達成するためにも、プラス発想の限界に挑戦して欲しいと思う。
 
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