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November 2006

November 30, 2006

食品スーパーマーケット、中間決算後のPBR=PER×ROE!

  今回は食品スーパーマーケット上場約50社の中間決算発表後のPBR、PER、ROEについて取り上げてみたい。この3つの数字は相互に連環しており、PBR=PER×ROEという関係がなりたつ。PBRは株価純資産倍率のことであり、一株当たりの純資産が株価の何倍かを表す指標であり、会社の解散価値を表す指標ともいわれる。これが1.0倍、すなわち、100%をきった場合は会社の価値が低いと投資家から判断されたということであり、厳しい会社の評価といえよう。PERは株価収益率のことであり、株価が一株当りの純利益の何倍かを表す指標であり、これが高いと株価は高水準であると一般には判断される指標である。そして、ROEであるが、これは株主資本利益率のことであり、純利益が株主資本の何%であるかを表した指標であり、一般には高いほど、投資価値が高いと判断される。したがって、これらはPBR(株価÷純資産)=PER(株価÷純利益)×ROE(純利益÷純資産)となり、この3つの指標は相互に連環している指標である。ちなみに、M&Aでは注目の時価総額であるが、PBRは時価総額÷純資産、PERは時価総額÷純利益とも表すことができるので、PBR、PERは時価総額とも密接な指標であるといえる。

  さて、この中間決算後の食品スーパーマーケット上場企業のPBRであるが、全食品スーパーマーケット上場企業の単純平均は1.50倍である。そこで、1.50倍以上の食品スーパーマーケットを見てみると、原信ナルスホールディングス(6.97倍)、丸久(4.66倍)、大黒天物産(4.48倍)、イズミ(2.76倍)、ドミー(2.28倍)、ライフコーポレーション(2.19倍)、マックスバリュ東北(2.14倍)、オオゼキ(2.11倍)、マックスバリュ中部(2.00倍)、ヤオコー(1.99倍)、九九プラス(1.94倍)、マックスバリュ北海道(1.83倍)、バロー(1.78倍)、ハローズ(1.60倍)、イオン九州(1.52倍)である。この15社が現在、PBR1.50倍以上の食品スーパーマーケットであり、株価に対し資産価値が高い企業であるが、この中で、時価総額の高い企業はイズミ(約2,500億円)、バロー(約750億円)、ライフコーポレーション(約750億円)、ヤオコー(約500億円)の4社である。ちなみに、時価総額だけで食品スーパーマーケットの順位をみた場合、この4社は、イズミはNo.1、バローはNo.4、ライフコーポーションはNo.5、ヤオコーはNo.11となり、時価総額も高い企業であることがわかる。

  また、このPBRの高い15社のPERとROEの関係であるが、PERを高め、PBRの高い企業と、ROEを高め、PBRの高い企業とに分かれるが、PERが食品スーパーマーケット上場企業の単純平均26.00倍よりも高い企業はマックスバリュ北海道(147.5倍)、イオン九州(51.20倍)、ライフコーポレーション(49.50倍)、マックスバリュ東北(41.80倍)、丸久(39.10倍)、マックスバリュ中部(31.60倍)、九九プラス(30.70倍)、ドミー(28.60倍)であるが、この中で、ライフコーポレーションと丸久はROEも高く、食品スーパーマーケット上場企業平均の6.00%を上回り、ライフコーポレーション(8.70%)、丸久(11.85%)であり、収益性も極めて高いといえよう。また、逆にROEが平均6.00%を越え、10%以上の食品スーパーマーケットを丸久を除いて見てみると、大黒天物産(18.57%)、ハローズ(14.27%)、オオゼキ(13.99%)、ヤオコー(13.88%)、イズミ(11.61%)である。これらの企業はROE、すなわち、収益性重視でPBRを高めている企業といえよう。

  逆に今回PBRが1.00倍を下回った食品スーパーマーケットは、PLANT(0.32倍)、マルキョウ(0.33倍)、カウボーイ(0.36倍)、マルミヤストア(0.53倍)、OLYMPIC(0.56倍)、マルヤ(0.56倍)、タイヨー(0.60倍)、ジョイス(0.65倍)、ユーストア(0.67倍)、ダイイチ(0.67倍)、イズミヤ(0.72倍)、北雄ラッキー(0.75倍)、ヤマザワ(0.79倍)、天満屋ストア(0.82倍)、マミーマート(0.88倍)、関西スーパーマーケット(0.96倍)、CFSコーポレーション(0.99倍)の17社である。これらの企業はPERよりもROEの低い食品スーパーマーケットが多く、ヤマザワ(ROE6.68%)以外は食品スーパーマーケット業界の単純平均のROE6.00%を超える食品スーパーマーケットは1社もない。

  このように見ると、PBRアップの戦略は、まず、収益性を高め、ROEを引き上げ、その後、時価総額を上げ、PERを引き上げてゆくという流れが食品スーパーマーケットにとっては大事な戦略であることが浮かび上がる。現状の食品スーパーマーケット上場企業の単純平均PBRは1.50倍、PERは26.00倍、ROEは6.00%であるので、まず、ROE6.00%以上を目指し、そしてPER26.00倍以上をめざし、結果としてPBR1.50倍を目指すことが当面の収益、株価対策といえよう。

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November 29, 2006

食品スーパーマーケット中間決算、借入金約9,500億円!

  食品スーパーマーケット上場企業の2007年度の中間決算状況がほぼまとまった。これまで、本ブログでは売上、営業利益、粗利について取り上げたが、今回は借入金、短期、長期についてみてみたい。今回の中間決算の集計は上場食品スーパーマーケット54社の集計結果であるが、この54社のすべての借入金額を合計すると約9,500億円となった。第1四半期の借入金合計は1兆円を越えていたので、この3ケ月で500億円借入金が削減されたといえよう。長短で見てみると、短期借入金が約4,700億円、長期借入金が約4,800億円であり、合計約9500億円である。ほぼ、長短、半々といえよう。これを今回の直近の年商約7兆円で割ると、13.75%となり、現在、上場食品スーパーマーケットは、年商の13.75%を金融機関から借入れ、経営を回しているといえる。食品スーパーマーケットと金融機関とはその意味で切っても切れない、持ちつ持たれつの緊密な関係にあるといえよう。

  この中で、中間決算時の借入金が直近の年商に対して、1.0%以下の食品スーパーマーケットは全部で5社ある。マックスバリュ東海(0%)、ヨークベニマル(0%:現7&Iホールディングス)、アオキスーパー(0.4%)、オオゼキ(0.6%)、大黒天物産(1.0%:5月決算であるので、第1四半期)であり、これらの食品スーパーマーケットの借入金は実質、ほぼ0であり、キャッシュフローのみで経営を回しているといえる。特に、マックスバリュ東海、大黒天物産、ヨークベニマルは食品スーパーマーケット業界の中でも新規出店戦略に重点をおいた成長を志向しており、その新店開発をキャッシュフロー内でまかなうという、健全な成長戦略を実践している食品スーパーマーケットといえよう。

  ついで、直近の年商に対し、5.0%以下の食品スーパーマーケットをみてたい。マックスバリュ西日本(1.7%)、マックスバリュ中部(2.3%)、ヤマザワ(3.1%)、いなげや(4.2%)、マックスバリュ東北(4.4%)、マミーマート(4.7%)、九九プラス(5.0%)と、この7社が5.0%以下の借入依存度の食品スーパーマーケットである。ちなみに、この次がマックスバリュ北海道であり、5.2%である。奇しくも、この8社+上位5社=13社の中に、マックスバリュの上場企業、マックスバリュ東海、西日本、中部、東北、北海道すべてが入っており、マックスバリュの借入金に頼らない財務体質の強さが際立っているといえよう。特にヤオハン時代苦労したマックスバリュ東海は借入金0を貫いており、上場食品スーパーマーケットではただ1社の借入金0の企業である。

  これとは逆に、この中間決算時で、直近の年商に対し、借入金の依存度の高い食品スーパーマーケットをみてみると、カウボーイ(66.7%)、天満屋ストア(52.9%)、マルヨシセンター(35.0%)、OLYMPIC(30.0%)の4社である。この中で、もっとも厳しいカウボーイは中間決算では業績が回復傾向が見え、第1四半期よりも借入金は若干減ったが、依然として厳しい状況である。また、これについで、20%以上の借入依存度の食品スーパーマーケットは、丸和(27.3%)、丸久(26.7%)、イズミヤ(25.9%)、マツヤ(22.4%)、北雄ラッキー(21.7%)、イズミ(21.1%)、ドミー(20.1%)、フジ(20.1%)の8社である。この中ではイズミヤがスーパーセンター等の出店により、借入金が増えつつあり、気になるところだ。これら12社が、この中間決算段階では、食品スーパーマーケット上場企業の中で、直近の年商に対し、借入依存の高い企業といえ、今後、財務体質を改善してゆくために、収益性の高い企業経営がいっそう求められるといえよう。

  ちなみに、この中間決算で全社平均以下で上位企業を除いた食品スーパーマーケットは以下の通りである。サンエー(5.2%)、ヤオコー(5.7%)、マルヤ(6.3%)、アークス(7.0%)、ユーストア(7.3%)、東武ストア(7.3%)、CFSコーポレーション(7.7%)、マルミヤストア(7.7%)、カスミ(8.9%)、原信ナルスホールディングス(9.6%)、オークワ(9.8%)、ダイイチ(10.1%)、ハローズ(10.1%)、ジョイス(11.3%)、マルエツ(12.1%)、ベルク(12.8%)、ヤマナカ(13.7%)、関西スーパーマーケット(13.8%)である。

  このように、この中間決算の借入金は第1四半期よりも約500億円減り、食品スーパーマーケット上場企業の借入依存度は改善されつつあるが、個々に見ると、年商の借入依存度が20%以上のまだまだ厳しい企業もあり、今後、業績を改善し、全体の平均13.75%以下にいかにおさえてゆけるかが当面の課題といえよう。特に、金利がいつ上がるかが、予断を許さない状況がつづいており、借入依存度が高い場合は、即財務への圧迫となり、食品スーパーマーケット最大の成長戦略、新規出店が抑制されかねない。そのためにも、借入金をできるだけ速く、削減してゆくための財務戦略が今後ますます重要な経営課題となろう。

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November 28, 2006

食品スーパーマーケット業界、中間決算、粗利は26.6%!

  現在、食品スーパーマーケット上場企業の2007年度中間決算を集計中であるが、今回は粗利について取り上げてみたい。この中間決算の約50社の上場食品スーパーマーケットの粗利率の単純平均は26.6%であった。ただし、粗利には2種類あり、ひとつは、売上、原価から計算する商品販売に関する粗利、売上総利益と、不動産収入等を加えて計算する粗利、営業総利益があるが、この26.6%は営業総利益のことである。純粋な商品からの粗利、売上総利益の単純平均は24.1%であり、その差が2.5ポイントあり、これが不動産収入等による収入である。ちなみに、単純平均での経費は24.3%であるので、実は、現在の食品スーパーマーケット業界は商品からの粗利だけでは、24.1%-24.3%=-0.2%分だけ赤字であり、不動産等の営業収入がなければ営業が回らない状況といえる。営業利益は2.3%(26.6%-24.3%=2.3%)であるので、確かに2.3%出ているが、これは商品からの粗利だけでは賄えない分を、不動産等の営業収入で賄って、利益をだしているという構図である。全体としては、このような構図ではあるが、もちろん、売上総利益の粗利で経費を賄い、充分に利益を出している高収益の食品スーパーマーケットもある。

  そこで、まず、売上総利益、商品からの粗利だけで、経費を賄い、営業利益を出している高収益の食品スーパーマーケットを見てみたい。この中間決算で見ると、商品からの粗利である売上総利益-経費=3%以上の食品スーパーマーケットは、オオゼキ(5.9%)、カウボーイ(4.9%)、サンエー(4.8%)、大黒天物産(4.5%:5月決算であるため第1四半期)、原信ナルスホールディングス(4.1%)、アークランドサカモト(4.1%)、アークス(3.1%)の7社である。この7社の特徴を見ると、オオゼキ、カウボーイ、大黒天物産、アークスは、経費比率が18.1%、13.1%、17.8%、18.9%と極限まで下げ、高収益をあげている企業である。これに対し、サンエー、原信ナルスホールティングス、アークランドサカモトは売上総利益の粗利が30.3%、27.9%、29.4%と極限まで引き上げ、高収益を生み出している企業という特徴がある。

  次に、売上総利益-経費=1%以上の食品スーパーマーケットを見てみたい。今回の中間決算では、丸久(2.0%)、マルキョウ(2.0%)、東武ストア(1.8%)、マックスバリュ西日本(1.7%)、イズミ(1.2%)、ハローズ(1.2%)の7社である。この中でイズミは、GMS、ショッピングセンター業態がどちらかというと主体であり、不動産収入等が多く、売上総利益に加え、4.4%もあり、売上総利益22.1%、経費20.9%と経費をしっかりコントロールし、商品からの粗利で経費を賄っている。したがって、不動産収入等はそっくり営業利益にプラスされるので、営業利益5.6%という高収益構造を生み出している。ちなみにほぼ同様の業態である平和堂、イズミヤの売上総利益-経費を見てみると、どちらも営業利益は3.0%、1.4%とプラスであるが、売上総利益-経費は、-3.2%、-1.7%とマイナスであり、その差はイズミの経費比率20.9%に対し、平和堂29.0%、イズミヤ26.7%の経費比率の高さにあるといえる。

  逆に、今回、営業利益が黒字で、売上総利益-経費=-2.0%以下のマイナスの食品スーパーマーケットを見てみると、フジ(-4.4%)、OLYMPIC(-4.0%)、いなげや(-3.8%)、ユーストア(-3.7%)、平和堂(-3.2%)、相鉄ローゼン(-2.6%)、バロー(-2.5%)である。これらの食品スーパーマーケットの特徴は、不動産収入等の営業収益が豊富であり、フジ(5.6%)、OLMPIC(4.6%)、いなげや(4.1%)、ユーストア(4.8%)、平和堂(6.2%)、相鉄ローゼン(3.7%)、バロー(5.1%)であり、これらの企業は経費比率が25%を越えるという特徴がある。すなわち、経費比率の高さを不動産収入等で補っているという構図である。

  ちなみに、今回の中間決算で営業利益率ベスト10の高収益の食品スーパーマーケットは、サンエー(7.6%)、オオゼキ(7.1%)、イズミ(5.6%)、カウボーイ(4.9%)、マックスバリュ東海(4.6%)、ベルク(4.5%)大黒天物産(4.5%)、丸久(4.5%)、アークランドサカモト(4.1%)、原信ナルスホールディングス(4.1%)である。これらの食品スーパーマーケットはすべて売上総利益-経費がプラスであり、本業の強さが際立っている食品スーパーマーケットといえよう。このように、今回の中間決算を見る限り、食品スーパーマーケットの高収益体質を作り上げるポイントは、売上総利益-経費をプラスにもってゆくことであることが、鮮明に浮かび上がったとえいよう。

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November 27, 2006

食品スーパーマーケット、2007年度中間決算、営業利益を見る!

  食品スーパーマーケットの中間決算数字を現在集計中であるが、売上については既に本ブログで取り上げたので、今回は営業利益について見てみたい。営業利益は粗利と経費の差で決まり、各社戦略がまちまちである。今回の上場食品スーパーマーケット約50社の営業利益率の単純平均では2.3%であり、伸び率は異常値を除くと7.4%の昨対であった。したがって、中間決算では営業利益率2.3%以上、昨対7.4%以上の企業が高収益企業といえよう。この基準をひとつの目安に、今回は上場食品スーパーマーケット約50社の中間決算の営業利益に焦点を当ててみたい。高収益企業の特徴としては必ずしも粗利率が高いわけではない。粗利率が低くとも、さらに経費比率を下げ、営業利益をしっかり出している企業、逆に経費比率は高いが、それ以上に粗利率を上げ、営業利益を出している企業もあり、食品スーパーマーケットの高収益戦略も両極端といえよう。

  さて、今回の中間決算で、営業利益率が単純平均の2.3%を超え、かつ、昨対が7.4%以上の高収益食品スーパーマーケットであるが、以下の通りである。マックスバリュ東海(4.6%、30.4%)、オオゼキ(7.1%、19.2%)、マックスバリュ中部(3.0%、18.9%)、ベルク(4.5%、14.3%)、マツヤ(2.3%、60.5%)、マックスバリュ西日本(3.7%、12.8%)、オークワ(2.8%、15.5%)、イズミ(5.6%、21.7%)、東武ストア(3.1%、9.7%)、カウボーイ(4.9%、67.2%)と全部で10社であり、全体の約20%である。また、営業利益高は全体の単純平均である7.4%にはいってないが、営業利益率が単純平均の2.3%以上の高収益企業を見ると、サンエー(7.6%)、大黒天物産(4.5%:5月決算であり、第1四半期昨対なし)、丸久(4.5%)、原信ナルスホールディングス(4.1%)、アークランドサカモト(4.1%)、ヤオコー(3.7%)、ヤマザワ(3.7%)、アークス(3.1%)、平和堂(3.0%)、ヨークベニマル(2.9%)、カスミ(2.8%)、天満屋ストア(2.8%)、バロー(2.6%)、マルキョー(2.6%)、アオキスーパー(2.6%)の15社である。以上の食品スーパーマーケット、合計25社がこの中間決算で単純平均以上の営業利益率2.3%以上の高収益企業である。
 
  これらの企業の高収益戦略を見ると、大きく2つに分かれる。粗利率アップを重視する戦略と、経費率ダウンを重視する戦略である。前者の粗利率アップを重視した典型的な戦略企業は、サンエーであり、粗利率33.1%、経費比率25.5%である。サンエー以外にもマックスバリュ東海(29.5%、24.9%)、ベルク(29.3%、24.8%)、ヤオコー(32.6%、28.9%)、ヤマザワ(29.5%、25.8%)等が粗利率重視型食品スーパーマーケットであるといえよう。これに対し、経費ダウン重視の食品スーパーマーケットは、カーボーイであり、粗利率18.0%、経費比率13.1%と低粗利、ローコスト、高収益の食品スーパーマーケットを目指しているといえよう。カーボーイ以外にもアークス(22.0%、18.9%)、マルキョウ(21.4%、18.8%)、アオキスーパー(19.0%、16.4%)等である。また、例外的に、粗利率アップ、経費率ダウンを同時追及している食品スーパーマーケットが2社あり、オオゼキ(25.2%、18.1%)、丸久(24.3%、19.8%)である。このように営業利益の高い高収益企業も大きく戦略が粗利率重視か経費率ダウンかに2極化するが、ごく例外的に双方を追及し、高収益をあげているオオゼキ、丸久の事例もある。

  これに対し、今回の中間決算で残念ながら、営業利益が厳しかった企業を見てみてみたい。まず、営業利益段階で赤字となった企業は3社であり、PLANT-0.3%、イオン九州-0.3%、マルヤ-3.4%である。また、営業利益率が1.0%以下の食品スーパーマーケットは、マルヨシセンター(1.0%)、九九プラス(0.9%)、エコス(0.9%)、北雄ラッキー(0.8%)、OLMPIC(0.6%)、いなげや(0.3%)、CFSコーポレーション(0.1%)、丸和(0.0%)の8社である。

  ちなみに、上記以外の食品スーパーマーケット、ライフコーポレーション、ハローズ、東急ストア、マミーマート、ダイイチ、ドミー、関西スーパーマーケット、マックスバリュ東北、イズミヤ、ジョイス、マックスバリュ北海道、マルエツ、マルミヤストア、フジ、ユーストア、相鉄ローゼンは今回の中間決算で営業利益率が2.3%以下、1.0%以上の食品スーパーマーケットである。

  このように、今回の中間決算での営業利益率は単純平均で2.3%、昨対は7.4%であり、売上も単純平均で4.2%であり、食品スーパーマーケット業界としては、売上高の伸び以上に営業利益高を伸ばし、収益性を重視した経営が全体としてはなされてきたといえよう。ただ、営業利益率は単純平均2.3%であり、営業利益率が5.0%を越える超高収益企業は、食品スーパーマーケット上場企業の中では、サンエー(7.6%)、オオゼキ(7.1%)、イズミ(5.6%)の3社のみであり、今後、業界全体としてもさらに収益性を高める経営が課題といえよう。

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November 26, 2006

食品スーパーマーケット、株価速報、25日移動平均を見る!

  日経平均が10月中旬の16,800円をつけて以来、下がり続け、11月に入っても株価の反転は中々みられず、現在15,800円付近でもみ合っている。11/24の日経平均も15,734.60円と前日比-179.63円(-1.13%)と厳しい状況であった。このような状況の中で、25日移動平均、ほぼ月間で見て、株価が上場している食品スーパーマーケットを見てみたい。この時期25日移動平均No.1の上昇率の食品スーパーマーケットは丸久である。11.89%でアップと株価は好調であり、11/24の株価も前日比40円高(3.43%)の1,200円であった。しかも、この25日の移動平均で見る限り、全小売業の中でも4番目に入っている。ちなみに、No.1はメガネトップ(119.13%)、No.2はアオキホールディングス(112.96%)、No.3はポイント(112.62%)である。丸久はこの中間決算でも増収増益の好決算であり、営業利益も5.7%と食品スーパーマーケット業界の中でも高収益企業である。売上伸び率も106.3%と成長性も高く、株価が上場しているのもうなづける実績である。特に、丸久の株価は11月に入って急上昇しており、10月末は1,000円前後であった株価が、現在1,200円であり、注目の株といえよう。

  No.2はヤマナカであるが、ヤマナカの場合は、11/24、異常な注文が入り、これまで低迷していた株価が、この日150円(114.2%)と急上昇したために25日平均では8.49%アップとなったが、実際はかなり厳しい株価がこれまで続いている。しかも、この中間決算では当期純利益が32.56億円の赤字へ転落しており、通期も厳しい決算予想である。No.3は関西スーパーマーケットであり、6/14の立合外分売60万株により、株価は年初来安値の660円を切ったが、その後株価はほぼ一本調子で上昇し、11/24は789円、15円高(1.93%)であり、25日移動平均も2.46%であり、小売業全体でも29位である。No.4はドミーの1.76%、No.5はオークワの1.45%である。ドミーはここ最近は株価は上昇気味ではあるが、ほぼ横ばいの状況が続いている。一方、オオクワの株価は11月前半は厳しい株価が続いていたが、中旬から後半に入り株価は反転し、上昇気味で推移している。以下、No.6はマツヤ(1.37%)、No.7はユーストア(1.03%)であり、ここまでが25日移動平均1%以上、上昇した食品スーパーマーケットである。

  これに対し、25日移動平均で大きく株価が下がっている食品スーパーマーケットを見てみると、最も下げ率が低い食品スーパーマーケットは、九九プラスであり、-16.33%であり、11/24も-1,000円(-0.90%)の111,000円となり、この数ケ月間、右下がりの厳しい株価が続いている。小売業全上場企業約400社の中でも11/24現在、21番目下げ率である。ついで、食品スーパーマーケット業界では2番目、小売業界では11/24現在31番目のPLANTであり、-14.09%である。PLANTの株価は11/24も-7円(-2.16%)の317円となり、厳しい株価が続いている。ついで、バローの-13.57%である。バローの株価も9月以降厳しい株価が続いており、11/24も-24円(-1.65%)ダウンの1,426円と厳しい株価である。11/22が上場来最安値の1,404円となり、それにつぐ株価である。上記以外にも、25日移動平均で厳しい株価の食品スーパーマーケットはマルエツの-12.73%、ライフコーポレーションの-12.09%であり、ここまでが、25日移動平均10%以上株価が下がっている食品スーパーマーケットである。

  ちなみに、25日移動平均よりも長期的な26週の株価の動きを見た場合、株価が上昇している食品スーパーマーケットは先の丸久、関西スーパーマーケット、ヤマナカに加え、マックスバリュ東海(7.88%)、ベルク(5.01%)、マックスバリュ中部(1.33%)、マックバリュ北海道(1.11%)、ヤオコー(0.92%)、イオン九州(0.45%)等が入ってくる。

  このように、食品スーパーマーケット業界の株価も短中期、そして長期的に見ても右上がりに推移している株価と逆に右下がりに下がっている株価と両極に別れつつあり、今回の中間決算にもほぼその傾向が現れているといえる。今後、中間決算の発表も一段落し、ほぼ結果が判明し、第3四半期、通期決算の予想も出そろったので、本ブログでもその状況をつぶさにみてゆく予定であるが、年末年始にかけての食品スーパーマーケット業界の株価の動向には注目である。

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November 25, 2006

食品スーパーマーケット、2007年度、中間決算、売上速報!

  2007年度、上場食品スーパーマーケットの中間決算状況がまとまりつつある。現在、株式上場している食品スーパーマーケットは50社強であり、年商合計は約7兆円である。この内、2月度決算企業が34社、3月度決算企業が11社、残りが1月、5月、9月の決算企業である。今回の中間決算対象企業は2月度、3月度の企業が中心となるので、45社、約90%となるが、残りの決算企業もできるだけ最新の数字で集計している。また、今回の決算はできるだけ、本業の数字を見るために、原則、個別決算での集計である。

  さて、まず、直近の年商で見た、上場食品スーパーマーケットの現況であるが、年商3,000億円を越える食品スーパーマーケットは、6社ある。ライフコーポレーション(3,983億円)、イズミ(3,627億円)、平和堂(3,436億円)、イズミヤ(3,301億円)、フジ(3,103億円)、マルエツ(3,076億円)である。これについで、年商1,000億円を越える企業が、17社ある。ヨークベニマル(2,974億円)、東急ストア(2,547億円)、オークワ(2,320億円)、アークス(2,228億円)、イオン九州(2,000億円)、いなげや(1,766億円)、マックスバリュ西日本(1,755億円)、ヤオコー(1,748億円)、カスミ(1,744億円)、バロー(1,719億円)、ユーストア(1,484億円)、CFSコーポレーション(1,444億円)、タイヨー(1,328億円)、サンエー(1,190億円)、九九プラス(1,092億円)、ヤマナカ(1,062億円)、OLYMPIC(1,009億円)となる。以上が、現在、年商1,000億円を越える23社であり、全上場企業の年商7兆円の約70%を占めている。

  そこで、今回の中間決算の売上速報であるが、全体の単純平均での伸び率は104.7%、約105%の伸びであった。この中でも、120%以上中間決算で売上を伸ばした食品スーパーマーケットは、原信ナルスホールディングス(137.0%)、大黒天物産(130.3%:5月度決算であるので10月度累計)、九九プラス(121.7%)、PLANT(121.5%:9月度決算であるので、決算数字)の4社であった。原信ナルスホールディングスは、経営統合後初の中間決算であり、ナルスの売上が加わった分、売上伸び率が大きく改善している。大黒天物産、九九プラス、PLANTは積極的な新店効果が大きく、売上を大きく伸ばしているといえる。これについで、110%以上の売上が伸びた企業は、マックスバリュ東海(119.1%)、アークランドサカモト(115.8%)、バロー(115.2%)、オオゼキ(114.6%)、ハローズ(112.3%)、ヤオコー(110.1%)と6社であった。この10社が110%以上中間決算で売上を伸ばした企業であり、現在の食品スーパーマーケット業界の売上を牽引している企業である。

  次に、この中間決算で105%以上の売上を伸ばした企業を見てみると、マックスバリュ中部(109.1%)、アオキスーパー(107.7%)、カスミ(106.7%)、ベルク(106.7%)、丸久(106.3%)、ライフコーポレーション(105.7%)、イオン九州(105.4%)、OLYMPIC(105.4%)と8社である。さらに、103%以上の売上を伸ばした企業を見てみると、ヨークベニマル(104.8%)、マツヤ(104.6%)、オークワ(104.0%)、平和堂(103.9%)、マルヨシセンター(103.9%)、マックスバリュ西日本(103.6%)、イズミヤ(103.5%)であり、全部で7社である。ここまでが、今期、2007年度の中間決算で103%以上の売上を伸ばした企業であり、全部で25社、約50%である。

  これに対し、この中間決算で、売上が昨対を下回り、厳しかった企業を見てみると、マックスバリュ北海道(99.5%)、北雄ラッキー(99.5%)、タイヨー(99.4%:年間)、いなげや(99.4%)、マルミヤストア(99.3%)、東急ストア (98.6%)、ヤマナカ(97.8%:年間)、CFSコーポレーション(97.1%)、相鉄ローゼン(95.3%)、丸和(92.3%)、カウボーイ(88.2%)、マルヤ(83.4%)である。残念ながら、中間決算の売上で昨対を割った上場食品スーパーマーケットは、以上の12社であり、全体の約20%である。

  このように、今回の中間決算では約80%が昨対を越え、20%が残念ながら昨対割れとなり、全体の単純平均では104.7%という結果であった。今期の上場食品スーパーマーケット全体の中間決算の売上はこのような結果であり、全体としては好調な数字で売上は推移しているといえよう。現在、粗利、経費、営業利益、借入金等についても集計中であるので、まとまり次第、本ブログで取り上げてゆく予定である。

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November 24, 2006

食品スーパーマーケット、新店情報、11月出店ラッシュ!

  食品スーパーマーケットがこの11月に入り出店ラッシュという状況を呈している。全国いたるところで、新店がオープンしている。直近の日付順に見てみると、11/23、マルヨシセンター(マルヨシセンター新浜東店)、11/22、東急ストア(ららぽーと柏の葉店)、イオン九州(イオン八幡東ショッピングセンター)、イズミヤ(イズミヤ ハーバーランド店)、相鉄ローゼン(そーてつローゼン希望が丘店)、11/21、マックスバリュ西日本(マックスバリュ今治阿方店(四国1号店))、11/18、マックスバリュ中部(マックスバリュ砂田橋店)、丸久(アルア安岡店)、11/17、ハローズ(ハローズ伊勢丘店)、ベイシア(ベイシア掛川店)11/16、マツヤ(業務&生鮮スーパー、ユー・パレット小諸店)、11/15、バロー(バローオカノ袋井インター店)、トライアルカンパニー(スーパーセンタートライアル摂津南店)、11/13、マックスバリュ東海(マックバリュ富士丘岡)、11/11、カスミ(フードスクウエアカスミさくらシティ日立店)、11/7、マックスバリュ西日本(マックスバリュ徳山東店)、11/3、アークス(スーパーアークス菊水店)、11/2、ハローズ(ハローズ羽島店)、11/1、マックスバリュ東海(マックスバリュ豊橋店)、カスミ(カスミきぬの里店)、10/31、大黒天物産(デイオ鴨島店)、10/30、ベイシア(ベイシアフードセンター甲賀店)、と約20店舗強の新規出店である。

  11/23の日経新聞に、10月のスーパー、売上高10ケ月連続前年割れという日本チェーンストア協会発表の記事が載っていた。が、上場食品スーパーマーケットの10月度の売上速報だけに限定すると、単純平均で108.5%であり、しかも昨対をきった食品スーパーマーケットはごくわずかであり、既存店もほぼ100%の99.8%で推移しているのが実態である。日本チェーンストア協会の集計はイオン、7&Iホールディングス、西友などのGMSが比重を占めているために衣料品等の不振に引っ張られ、このような数字となるが、食品スーパーマーケットは全く逆の傾向で推移しているといえ、この11月度の新規出店ラッシュを見ても、当面、昨対割れは起りそうにない情勢である。

  この新店の中で、注目すべきいくつかの店舗がある。まず、ベイシアであるが、スーパーセンター業態の出店が7/15に千葉県に出店したベイシアスーパーセンター長生店以来ストップし、ここ最近はモールか単独での出店があいついでいることである。10/30の滋賀県2店舗目となるベイシアフードセンター甲賀店はカインズモールとの併設であり、ベイシア単独である。また、11/17の静岡県5店舗目のベイシア掛川店も単独であり、スーパーセンター業態から、カインズとの併設、あるいは単独店へと業態の変更が見られ始めた。スーパーセンターでは先頭を走っていたPLANTもほぼ今後の出店は厳しい状況となり、11/22のイズミヤの新店、イズミヤ ハーバーランド店もGMSタイプであり、ここへ来て、日本版スーパーセンターの出店が急激に失速しつつあるといえよう。ただし、トライアルカンパニーだけは例外で、ここへきて毎月スーパーセンターを出店しており、この11/15にもスーパーセンタートライアル摂津南店をオープンさせている。今後、スーパーセンター業態の注目企業といえよう。

  もうひとつの注目店舗は、11/21にオープンした、四国1号店となるマックスバリュ西日本のマックスバリュ今治阿方店である。ここへ来て、四国が新たな食品スーパーマーケットの市場として注目を集めており、すでに、本格上陸した大黒天物産は、10/31にもデイオ鴨島店を徳島県吉野川市に出店しており、マックバリュ西日本の四国への出店、さらに広島のハローズも四国への出店表明をしており、四国は現状の均衡状況が破れ、本格的な食品スーパーマーケットの競合の時代に入ったといえよう。

  また、バローが静岡のオカノを子会社化し、全店改装後、初の新規出店となるバローオカノ袋井インター店を11/15に出店した。バローは北陸戦略に現在注力しているが、静岡への出店もM&Aを通じて本格化しており、岐阜を基点に北陸、東海への出店を拡大しつつある。来年からは株式交換によるM&Aが本格化するものといえ、今後、このようなM&Aを通じた食品スーパーマーケットの新たな市場獲得の動きが加速するものといえよう。

  このように、11月度の食品スーパーマーケットの新店はこれまでにない勢いがあり、各社中間決算を終え、本決算に向けて走り出したといえ、年末の最大需要の前に、できるだけ新店をオープンさせようという意図があるものといえよう。11月下旬から12月中旬ごろまで、新規出店が続くと思われ、食品スーパーマーケットの今後の新店には注目である。

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November 23, 2006

マックスバリュ中部、2007年3月期、中間決算、増収増益!

 11/22、マックスバリュ中部が2007年3月期の中間決算を公表した。本業の経営状況である個別決算数字は7期連続の増収であり、5期連続の増益となり、いずれも過去最高の数字となった。売上は429.37億円(109.1%)、営業利益12.39億円(118.9%:売上対比2.88%、経常利益12.66億円(117.9%:売上対比2.94%)、当期純利益4.61億円(152.9%:売上対比1.07%)となり、好決算であった。今後、連結では5/1に完全子会社化したナフコ長谷川(現マックスバリュ名古屋)が加わってくるため、連結の通期では初の1,000億円の年商となる予想であり、マックスバリュ中部は今後、急成長が期待されよう。

  今回の好決算の要因であるが、商品販売から得られる売上総利益は25.8%と昨年が25.9%であるので、0.1%下がり、さらに、その他の営業収入も2.8%から2.5%へと0.3%下がっており、営業総利益では28.7%から28.3%と0.4%下がったが、販売費および一般管理費が26.0%から25.3%と0.7%と大きく改善しており、結果、営業利益が2.7%から3.0%と0.3%改善し、これに売上の109.1%が加わり、営業利益を大きく押上げたといえる。粗利よりも、経費削減効果による大幅な増益であったといえよう。実際、経費項目をみてみると、人件費は12.0%から11.9%と0.1%ダウン、販売費は2.6%から2.7%と0.1%アップと、ここまでは大きな改善はないが、設備費が9.7%から9.2%へと0.5%ダウンしており、さらに、一般費も1.7%から1.5%と0.2%ダウンし、販売費のアップ分を設備、一般費、人件費のダウンでカバーし、販売費および一般管理費を大きく改善したといえる。

  一方、マックバリュ中部の販売状況であるが、生鮮、デリカよりもデイリー、グロサリーが強いという特徴がある。生鮮3品の構成比は農産が10.5%でNo.1の売上構成比であり、生鮮の強い食品スーパーマーケットではNo.1部門は15%前後の構成比の部門をもっており、10.5%は強いという数字ではない。水産が8.0%、畜産が7.0%であり、逆にデリカは9.1%と水産、畜産を越え、農産に迫る数字であり、生鮮、デリカの中ではデリカ強化型の特徴がでている。また、非生鮮、デリカについては、デイリーが24.3%と一般食品、リカーの23.0%を越え、全部門の中でNo.1の売上構成比であり、マックスバリュ中部の売上の強さはデイリーが中核となっていることがわかる。その他では菓子が5.3%。ノンフーズが6.8%であり、残り6%がその他である。

  さらに、この中間決算の客数、客単価の状況をみてみると、全体の売上は109.4%であるが、既存店も103.3%と昨対を越えており、今回の売上、経費削減にはこの既存店の昨対越えも大きかったといえよう。客数は全体が108.6%、既存店が102.3%、客単価も全体が100.8%、既存店も101.0%であり、客数、客単価ともに全体、既存店ともに昨対をクリアーしており、好調な売上の状況であったことがわかる。また、全体の客単価の絶対額も1,792円から1,806円とアップしており、特に、PI値が930%から950%へと伸びてきたことが改善につながったといえる。ただ、3年前は1,964円と100円以上高かったので、昨対はクリアーしたが、3年前と比べると落ち込みが大きいといえる。ちなみに、PI値か平均単価かをみると、PI値はさほど大きな変化はないが、平均単価が204円から191円と大きく落ち込んでいることが客単価ダウンの原因である。これは平均単価に特に貢献度の高い生鮮3品の構成比が27.9%から25.5%へと落ちていることに加え、平均単価の低いデイリーが23.1%から24.3%へとアップしていることが影響しているといえ、今後、マックスバリュ東海は生鮮3品の構成比をいかにあげてゆくかが大きな課題といえよう。

  なお、通期の見通しであるが、マックスバリュ中部は10月に滋賀県、11月に愛知県、三重県に出店、そして、12月には愛知県、そして初の岐阜県への出店が予定されており、積極的な新規出店により、引き続き高い成長となり、その結果、売上は107.1%、営業利益は104.3%と過去最高額を更新する見込みであるという。

  このように、マックスバリュ中部の今期中間決算および通期見通しは過去最高の数字となる見込みであり、特に、ナフコ長谷川のM&Aの数字が今期から計上されるため、連結では初の1,000億円の売上見込みとなり、好業績が期待される。既存店の数字も順調であることから、今後の課題は生鮮3品の強化に絞られたといえ、これが改善されれば、平均単価もあがり、競争力も増し、さらに、好業績が期待できよう。マックスバリュ中部の今後に注目したい。

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November 22, 2006

PI値の将来について

  最近、PI値の奥の深さを改めて感じています。基本原理は極めて単純なのですが、突き詰めてゆけばゆくほど先があり、どの時点で実践投入するか、なかなか難しいものがあります。基本はMD方程式にもとづき、マーチャンダイジングを支援することにありますが、ここへ来て、様々な依頼をいただいたり、自らへ課題を設定して、勝手に挑戦をしたりしている中で、PI値がいくつかの方向に結実しつつあるのを感じています。ひとつは、利益改善の方向です。もうひとつは、客数アップの方向です。そして、もうひとつはwebへの応用です。この3つの方向が当面のPI値のすすむべき方向かなと、最近、感じるようになりました。

  まず、最初のひとつ、利益改善の方向ですが、これは結構やってみるとおもしろいです。即効性があり、数字がわかった瞬間、勝手に体が動いてしまうという感じです。PI値の活用は、客単価=PI値×平均単価からはじまりますが、この客単価に粗利率を掛けると粗利PI値となり、この指標を使うことによって、客単価アップから、粗利改善にテーマが変わります。客単価×粗利率=PI値×平均単価×粗利率、粗利PI値=PI値×粗利高となるわけです。さらに在庫が把握できると、在庫PI値が算出可能となり、この在庫PI値に交叉比率を掛けると粗利PI値になってしまい、粗利PI値を活用しての利益改善が、在庫PI値を活用することによって、在庫改善にも連動してしまうのです。在庫PI値=在庫高÷客数、交叉比率=商品回転率×粗利率=(売上高÷在庫高)×(粗利高÷売上高)=粗利高÷在庫高となり、これに在庫PI値=在庫高÷客数を掛けると交叉比率×在庫PI値=(粗利高÷在庫高)×(在庫高÷客数)=粗利高÷客数となり、=粗利PI値なのです。在庫PI値をもとに現場の在庫を確認してゆくと、即、交叉比率アップへとつながり、ひいては、粗利PI値、利益改善の流れをスムーズにつくることが可能となります。特に、在庫PI値で全店の平均を算出し、過剰在庫、過小在庫を把握すると、その数字がわかったとたん、現場へ飛んでゆきたくなる衝動がわくようです。先日もある責任者の方が、その場で電話を掛け、なぜ在庫が多いのかを現場に確認していました。現場の方もびっくりしたようで、いきなり、在庫多くない?ときかれ、とまどっていたようです。このように、在庫PI値は即効性があるPI値のひとつです。

  もうひとつはレシートデータ活用の方向です。これはPI値からPPIへという流れです。これまで、PI値は客数を細分化して活用することはまだまだ一般化していなかったのですが、ここへきて、レシートデータを活用しはじる企業が増えはじめたことです。また、レシート分析がもう一歩進み、レシートIDデータの活用も一部の企業で始まりました。この段階になるとリピートという概念が新たに加わり、これまでのPI値の指標がPPIとなり、ざっと数えただけでも数10種類に細分化され、しかもいくらでも新たな指標を作り出すことができるのです。これもほぼ理論的には完成の域に来たかと思いますので、どこかで、機会があれば本格的に実践投入してみたいと思います。特に、これまでの客単価アップから客数アップ、販売促進への活用が決め手になりそうです。

  そして、ごく最近取組みはじめたもうひとつのPI値はWebのPI値です。これまで詳細なアクセス解析ログが手に入らなかったので、中々WebPI値の開発が進まなかったのですが、ここへきてほぼ欲しいレベルの詳細なアクセス解析ログが手に入り、飛躍的に研究開発が進みはじめました。これもPI値、PPIの応用+αでほぼ解けそうなところまできました。特にWebの世界では、原則、平均単価という指標がありませんので、客単価という概念が存在しません。そのための、あらたな概念をつくり、指標化する必要があります。その基本概念が時間です。Webは時間というアナログをデジタル化し、金額のかわりに、時間を活用することがポイントなのですが、このデータが入手できなくて実は数年悩んでいました。やっとごく最近入手できましたので、PI値の時間への活用が可能となり、現在、鋭意研究開発中です。そう遠くない将来に研究成果を何らかの形で公表できるのではないかと思います。

  ということで、PI値も基本の客単価アップの支援から、粗利、在庫改善の方向、レシートデータ、レシートIDデータ活用によるPPIにもとづく客数アップの方向、そして、近未来のweb-PI値、時間のマーチャンダイジングへの応用が見えてきたといえます。本ブログでも、今後、食品スーパーマーケット最新情報に加え、PI値の研究成果も順次取り上げてゆきたいと思います。

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November 21, 2006

食品スーパーマーケット、2006年10月度、売上速報、108.5%!

  食品スーパーマーケット上場約50社の内、月別売上を公表している約20社強、約2000店舗の10月度の売上集計をまとめてみた。全体の単純平均で見ると、売上108.5%と好調な推移である。先月9月度が108.6%であるので、ほぼ横バイで推移している。既存店は99.8%とわずかに昨年を下回ったが、ほぼ100%であるといえよう。客数、客単価でみた場合、全体では客数が109.9%、客単価も100.9%であり、新店の出店による客数アップ効果が大きく、食品スーパーマーケット業界の出店が意欲的であることを示しているといえよう。また、既存店に関しては客数98.8%に対し、客単価100.8%であり、特に、客単価に関しては、9月、8月と3ケ月連続、昨対を越え、既存店の客単価の回復傾向が見え始めたといえよう。さすがに、既存店の客数はこれだけ新店がでると厳しいといえ、当面は既存店の客単価を102%から103%ぐらいへ伸ばすことが目標といえよう。

  このような中でこの10月度昨対の伸び率No.1の食品スーパーマーケットは大黒天物産であった。全体では132.1%であり、ここへ来て、新店を積極的に出店し、好調な売上をキープしている。大黒天物産は5月度が決算月であるため、この11月が中間決算であるが、増収増益の予想である。ただ、既存店が93.5%と今回集計した食品スーパーマーケットの中では最も低い数字であり、既存店の活性化が大きな課題となってきた。株価も、11月に入り、急落しており、11/16には上場来最安値の2,000円となった。今後の株価、および既存店の動向が気になるところである。No.2はPLANTであり、全体の売上は120.4%であった。ただ、大黒天物産同様、既存店の売上が97.5%と伸び悩んでおり、既存店の活性化がやはり大きな課題といえよう。PLANTの株価も厳しい状況が続き、11/20、332円となり、上場来最安値をつけた。PLANTの決算は9月であるが、この決算月以降厳しい株価が続いている。決算予想も大幅な減益となる予想であり、当面、株価は厳しい状況が続くことになろう。

  No.3はアークランドサカモトであり、売上は119.9%、既存店も105.0%と好調な推移である。アークランドサカモトはホームセンターが主力業態ではあるが、最近は食品も強化したスーパーホーセンターを展開しており、ここでは食品スーパーマーケットと一緒に集計した。中間決算は増収減益であったが、ホームセンタームサシの関西への出店、そして、今後は東北への出店も控えており、いよいよ全国展開が視野に入り、売上は既存店も含め好調な数字で推移している。No.5はバローであり、売上は117.3%、既存店も102.4%とバランスのとれた成長が続いている。特に、既存店の客数、客単価ともに100%を越え、既存店も全店を押上げ、好調である。ただ、この中間決算を見ても、利益の方が伸び悩んでおり、これが株価にも影響を与え、株価はここ最近厳しいものがあり、下降気味で推移している。以上が10月度の昨対の売上が115%以上の食品スーパーマーケットである。

  これについで、昨対110%以上の食品スーパーマーケットが4社ある。マックスバリュ東海、オオゼキ、九九プラス、ヤオコーである。マックスバリュ東海の売上は113.7%、既存店も106.5%であり、10月度の食品スーパーマーケットの中では既存店の伸び率がNo.1であった。全店、既存店ともに客数、客単価ともに100%をクリアーしており、安定した数字で推移している。中間決算も増収増益であり、株価も中間決算公表以降、上昇しており、食品スーパーマーケット業界の中でも最も経営バランスのとれた企業といえよう。オオゼキもここへ来て新店が順調であり、売上112.4%と好調な数字である。ただ、既存店が98.9%となかなか昨対をクリアーできずにやや苦戦している。特に、PI値が全店93.6%、既存店95.5%と落ち込みが大きく、当面はPI値の改善が急務であろう。九九プラスも112.1%と全体の売上は依然として高い伸びを示しているが、既存店の伸びが95.8%と厳しい状況が続いており、ここへきて出店を抑制し、既存店に注力しているが、いまひとつ、効果が見えない状況である。中間決算も利益が厳しい状況であり、株価も11/20、112,000円の上場来最安値をつけ、厳しい状況が続いている。そして、ヤオコーであるが、売上は110.5%、既存店は99.5%とわずかに昨対を下回ったが、客単価は全店、既存店ともに昨対をクリアーしており、既存店の客数98.0%をどこまで昨対に近づけられるかが当面の課題といえよう。

  一方、昨対をきった食品スーパーマーケットはこの10月度は3社のみであり、オリンピック、マルエツ、トーホーである。オリンピックは全体の売上が96.3%、既存店も96.2%と厳しい状況が続いている。マルエツも全体97.2%、既存店も97.8%と厳しい状況である。また、トーホーも98.6%であり、この3社は特に、新店の出店が他の食品スーパーマーケットと比べ少なく、全体の売上が特に厳しい状況が続いている。

  このように、この10月度の食品スーパーマーケットの全体は108.5%と新店の効果により高い成長が続いており、一部企業では既存店の数字も大きく改善し、新店、既存店のバランスのとれた好調な企業が出始めている。食品スーパーマーケットは新店の開発なしに成長はないが、一方で既存店の活性化なしには収益はとれず、今回、全体の売上が好調な企業も2極化しており、既存店の活性化が現状の食品スーパーマーケット業界の当面の大きな課題といえよう。

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November 20, 2006

ウォールマート、第3四半期累計決算、増収増益、売上112.0%!

  ウォールマートの第3四半期決算が11/14に公表された。第3四半期の期間は、10/31までの9ケ月であり、残すところ、あと3ケ月、1月末がウォールマートの本決算となる。この第3四半期累計の売上は2469.02億ドル(28.88兆円:112%)、営業利益は140.65億ドル(1.64兆円、109.71%:売上対比5.7%)と増収増益であった。ちなみに、粗利は、24.4%であり、販売管理費および一般管理費は18.8%であるので、日本の食品スーパーマーケットと比べると粗利構造は良く似た数字であるが、経費比率が低く、高収益を生み出しているという構造である。ただ、10年前のウォールマートと比べると、粗利も経費も高くなってきており、ディスカウントストアを主力業態とした時代とスーパーセンターが主力業態になった現在との経営構造の違いを反映しているといえよう。変わらないのは営業利益5%以上の構造であり、主力業態の転換はあっても収益はしっかり出し続けるというマネジメントの強さを感じる数字である。

  この第3四半期累計の売上の部門別の内容であるが、ウォールマートは3つの部門で売上を管理しており、ひとつはスーパーセンター、ディスカウントストア、ネバーフッドマーケットの合計であるウォールマート部門、会員性ディスカウントストアのサムズクラブ部門、そして、西友を含む国際部門である。それぞれを見てみると、ウォールマート部門は108.3%であり、売上構成比は65.6%の中核部門である。サムズクラブは104.5%とやや伸び率が低かった。売上構成比は12.3%である。そして、ここ数年重要度を増しつつある国際部門であるが、130.4%と大きく躍進し、売上構成比も22.1%と20%越えてきており、いまや、ウォールマートの成長戦略の中核を担う重要な部門となったといえる。売上金額では543.82億ドルであるので、日本円で約6兆円強であるので、西友の売上は国際部門全体の単純計算では約15%を占めるので、西友の貢献もウォールマートにとって重要な存在となったといえよう。

  また、既存店の第3四半期累計の売上であるが、102.3%であり、既存店の売上も昨対を上回り成長を続けているといえる。ウォールマート部門は102.2%、サムズクラブ部門も102.8%であった。ただ、第3四半期単独でみると、全体では101.5%、ウォールマート部門は101.5%、サムズクラブ部門は101.8%とやや厳しい数字であり、第3四半期に入り、既存店の成長が少し、低調な点が気になるところである。

  さて、これを受けて、ウォールマートの株価の動きであるが、11/13が46.32ドルからこの第3四半期決算が公表された11/14は47.66ドルと株価は上昇、その後47.5ドル付近でもみ合っているので、投資家の評価はまずまずの評価とみているようである。ただ、ウォールマートは10/23に来期のスーパーセンター300店舗の新規出店を含む大成長戦略を公表した時に異常な株価の高騰を招き、51.28ドルとここ数ケ月では最高株価を更新し、売買高も大商いであったが、その後、株価はこの11/13まで下降線をたどっていたので、久々に株価が上昇したという状況ではある。残すところあと3ケ月であるが、業績も含め、株価の動きも気になるところである。

  ちなみに、ウォールマートの長短借入金はどのくらいあるかであるが、短期借入れ金が54.90億ドル、長期借入れ金が241.54億ドル、合計296.40億ドル(3.46兆円)である。これは日本のビックストアの年商に匹敵する巨大な金額であるが、年商売上対比では10%弱となり、日本の上場食品スーパーマーケット約50社の平均が約15%であるので、借入依存度はむしろ低いといえよう。ウォールマートはすべての数字が桁違いなので、絶対額で見るとびっくりするが、比率に直すとその実態がよくわかる。

  このように、ウォールマートの2006年10月末時点の第3四半期決算の内容は増収増益の好調な決算であったといえ、既存店の売上もやや下がり気味ではあるが、昨対を越え、成長を続けており、順調な経営状況であるといえよう。残すところ、あと3ケ月であるが、スーパーセンターを中心に新店の出店は順調であり、ドイツ、韓国からの撤退はあったにせよ、海外事業も好調であり、今期決算も、この第3四半期決算を見る限り、好調な決算が期待されよう。

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November 19, 2006

日経MJ、新製品週間ランキング、菓子が強い!

  11/17、日経MJで恒例の新製品週間ランキングが掲載された。今週の最大の特徴は菓子部門の数字が急激に伸びていることである。菓子No.1に4週間ぶりに江崎グリコのポッキー(極細)26本×2袋が返り咲き、しかも、客単価586円(1人当たり0.56円)と客単価500円(1人当たり0.5円)を越え、全商品の中でもベスト5に入ってきたことである。カバー率が97.9%、全新製品の中でNo.1であり、ほとんどのチェーンストアで導入されての数字であり、菓子としては異例の高さである。これ以外にも菓子部門ではロッテ商事のチョコパイパーティーパック10個、客単価454円(1人当たり0.45円)、森永製菓のエンゼルパイミニ16個、客単価413円(1人当たり0.41円)と客単価300円(1人当たり0.3円)以上の商品が3点入るという状況であり、この時期の菓子の強さを改めて示した数字といえよう。

  日経新製品売れ筋ランキングの客単価評価のポイントは300円(1人当たり0.3円)がひとつの目安である。客単価300円(1人当たり0.3円)は2000人/日の平均的な食品スーパーマーケットで1日600円、月間18,000円、年間219,000円売れる商品であり、売れ筋とはいえないが充分、定番化される水準の数字である。ちなみに、売れ筋となると、客単価1,000円(1人当たり1円)は欲しいところであり、この数字をとれれば、1日2,000円、月間60,000円、年間720,000円となり、日本中の全食品スーパーマーケットですぐに採用になるといえよう。さらに、超売れ筋は客単価2,000円(1人当たり2円)であり、ここまで来ると、食品スーパーマーケットの全商品の中でも100品あるかないかである。これまで日経MJの新製品を数多く見てきたが、1,000円を越える新製品はあったが、さすがに2,000円を越えた商品はまだ見たことがない。

  さて、その1,000円(1人当たり1円)を越えた今回の新製品が1品あり、資生堂のリバイタルクリーム、エンサイエンスAA40gであり、客単価1,034円(1人当たり1.03円)である。ただし、価格が15,234円と超高額であり、PI値に換算すると1.03円÷15,234円=0.007%であるので、2,000人/日の食品スーパーマーケットで1日0.14個、10日で1.4個、100日で14個、1年で49個であり、通常の食品スーパーマーケットではかなり厳しい数字といえよう。このPI値だと客数は5,000人/日は欲しいところだ。家庭用雑貨にはこの新製品以外にも、今週は客単価300円(1人当たり0.3円)以上の商品が4品ある。714円(1人当たり0.71円)の花王、アタック1.1kg、596円(1人当たり0.59円)のP&Gボールド1.1kg、393円(1人当たり0.39円)のカネボウ化粧品、DEWクリームディウセットⅢ30g+40ml+25ml、372円(1人当たり0.37円)のコーセー、薬品雪肌精プロモーションキット11エッセンスマスク付360ml+2枚入りである。

  今週の新製品でこの他に客単価300円(1人当たり0.3円)を越えた新製品は冷凍食品の味の素、お弁当にエビ寄せフライ、6個入り144gの328円(1人当たり0.32円)のみであり、あとの新製品はすべて、300円(1人当たり0.3円)以下である。また、これまでベスト商品に入っていた男前豆腐の京都ジョニーは新製品の期間を越えたので、ランキングには載ってこないが、客単価約500円(1人当たり0.5円)の商品であった。

  これ以外に、客単価300円(1人当たり0.3円)は下回るが、飲料でサントリーのペプシゴールド500mlペットボトルが飲料初登場でNo.1となり、客単価271円(0.27円)とこれまで1位を続けていたヤクルト本社のヤクルト65ml×10本をわずかではあるが抜いたことである。No.3にも日本コカコーラのファンタホワイトバナード500mlペットボトルが客単価250円(1人当たり0.25円)で同じく初登場で入っており、飲料は新製品期間中は顧客から高い支持をうける特長があるといえよう。

  このように、今週の日経MJの新製品週間ランキングは菓子の支持がグッとあがり、客単価300円(1人当たり0.3円)を越える商品が3つも登場し、この時期の菓子の強さ示したといえよう。菓子No.1のポッキー極細については、No.5、No.6にポッキーの10袋80本、19本×2袋も入っており、ポッキーシリーズに対しての根強い支持も表れており、今週は菓子に注目といえよう。また、飲料は嗜好品であるがゆえに、新登場のものが強いという特徴も明確であり、初登場1位のぺプシ、3位ファンタがの今後の動向が注目される。来週以降、菓子、飲料の新製品に注目してゆきたい。

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November 18, 2006

経費PI値という概念、オオゼキの強さを見る!

  PI値という概念は様々な応用があり、これまで、ユニークなPI値を作ってきた。いずれも基本は顧客一人当たりの指標である。現在、食品スーパーマーケットで活用している主なPI値は、数量PI値、金額PI値が一般的であり、最近、粗利PI値が活用されはじめた。また、顧客をさらに細分化し、PPIという概念にもとづき、PPIの開発もここ最近では注目されつつある。食品スーパーマーケット業界も約60社が上場し、現在ではIRが進み、様々な経営指標が公開され、PI値を公表する企業も増えているのが実情である。そこで、ここでは原信ナルスホールディングス、関西スーパーマーケット、オオゼキの最新の中間決算数字をもとに、経費PI値での比較を試み、食品スーパーマーケットにおいては顧客一人当たりどのくらいの経費が何に使われているかの実情を見てみたい。

  先ず、経費PI値の考え方であるが、PI値はすべて、顧客一人当りの数値である。したがって、算出方法は、経費PI値=経費÷客数であり、経費金額と客数がわかればすぐに算出が可能となる。一般的に食品スーパーマーケット業界では経費の比較は売上構成比によって比較し、高いか低いかを比較するのが実態であるが、顧客満足度という観点から見ると経費PI値で見た方がその実態が実際の数字で明確になる。また、企業間比較もその方が分りいのではないかと思う。

  さて、今回は費用項目の公表の仕方が若干各社で違いがあるが、概ね、傾向はつかめるかと思う。まず、販売費および一般管理の総合計の経費PI値であるが、原信ナルスホールディングスが442.1円、関西スーパーマーケットが429.0円、オオゼキが293.9円であり、オオゼキの経費PI値が300円を切るという低さが際立っている。顧客が1人来店すると約300円の経費がかかるという数字である。原信ナルスホールディングスも関西スーパーマーケットも約400円強であるので、一般的な食品スーパーマーケットの経費PI値は約400円と見てよさそうである。ちなみに、粗利PI値であるが、原信ナルスホールディングスは518.2円、関西スーパーマーケットは417.3円、オオゼキは389.9円であり、原信ナルスホールディングスの500円強が最も高い数字である。この粗利PI値は商品の原価のみの数字で計算したため、不動産収入等は抜いた純粋な商品売上から得られる粗利PI値である。関西スーパーマーケットは粗利PI値が417.3円、経費PI値が429.0円であるので、不動産収入等を足して経費を補い、今期黒字を達成している。

  次に、各経費項目を比較して見ると、3社共通の人件費PI値であるが原信ナルスホールディングスは238.2円、関西スーパーマーケットは208.5円、オオゼキは165.8円であり、顧客一人当りの人件費も同様オオゼキが最も低いことがわかる。さらに、これを従業員1人当たり何人の顧客をカバーしているかを見てみると正社員1人当たり年間換算すると原信ナルスホールディングスが51,223人、関西スーパーマーケットが51,244人、オオゼキが38,637人とオオゼキの正社員比率が33%であるので、正社員の顧客フォロー人数が圧倒的に高いことがわかる。ちなみに、パートでみると、原信ナルスホールディングスが27,844人、関西スーパーマーケットが26,854人、オオゼキが78,464人であるので、当然であるが、逆の結果となる。

  このように、原信ナルスホールディングスと関西スーパーマーケットは極めてよく似た経費PI値であるが、オオゼキは正社員を中心に顧客への手厚いフォローを実現させつつ、人件費PI値も低く抑え、全体の経費PI値も300円を切る数字であることがわかる。ごく単純化すれば、オオゼキの経営は正社員を中心に顧客への手厚いサービスを行い、顧客の来店頻度を高め、客数アップを実現し、結果、全体の経費PI値を引き下げ、高い収益性を実現したといえよう。ちなみに、3社の長短借入金額のPI値を算出してみると、原信ナルスホールディングスが106.9円、関西スーパーマーケットが238.1円、オオゼキが8.8円であり、顧客一人当たり関西スーパーマーケットは200円を越える借入金があり、3社の中でも顧客一人当たりに対し、やや重い借入金額であることがわかる。

  経費PI値は顧客一人当たりの経費金額であり、この指標で経営を見直して見ると、顧客から得られた客単価をどのように配分して、最終収益につなげているかが絶対額で分り、各社との比較、過去との比較も明確であり、便利な指標のひとつである。顧客満足度を上げることは食品スーパーマーケットにとっては永遠のテーマであるが、そのためにも客単価と同様、顧客一人当たりの経費、すなわち経費PI値の活用は、顧客に基点を置いた経営を実践する上において重要な指標のひとつといえよう。

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November 17, 2006

九九プラス、中間決算、大幅増収、大幅減益、厳しい株価!

  九九プラスの2007年3月期の中間決算短信が11/15、公表された。売上は640.16億円(121.7%)と新店オープンによる増収であったが、営業利益は5.59億円(56.9%:売上対比0.87%)と大幅な減益となった。売上対比も0.87%と食品スーパーマーケット業界平均約2から3%と比べても低い水準であり、厳しい中間決算数値であった。経常利益も5.55億円(54.1%:売上対比0.86%)、当期純利益も1.16億円(31.0%:売上対比0.18%)と大幅な減収であった。昨年、同時期の中間決算は売上163.3%、営業利益195.5%、経常利益211.9%、当期純利益129.5%と大幅な増収増益であったので、今期は売上こそ約120%で走っているが、収益が追いつかない状況であり、厳しい中間決算であったといえよう。

  これを受けて、11/15、11/16の株価であるが、11/15は129,000円と前日比2,000円高(101.5%)とあがっているが、11/16は128,000円と1,000円(-0.77%)下がっており、今後の株価が注目される。九九ショップの株価はここ数ケ月右下がりの厳しい株価が続いている。9月前半は175,000円前後で推移していた株価が、9月中旬頃から大きく下がり始め、10月に入ると150,000円を切り、10/12、131,000円とここ数ケ月では最も安い株価となった。その後、反転し、10月下旬には約145,000円まで回復したが、11月に入るとまた下がり始め、130,000円を切り始めた。そして、今回の11/15の中間決算の発表である。10月度の月次売上速報では昨年対比112.1%と今期最も低い伸び率であり、しかも既存店の伸び率も95.8%と伸び悩んでおり、今後の株価がどの辺で落ち着くかが読みにくい状況といえよう。

  この中間決算の売上121.5%の状況であるが、通常の食品スーパーマーケットと比べるとこの数字は非常に高い伸び率であるが、九九プラスの昨年は163.3%と、ここ数年、積極的な新店戦略により、急成長を遂げてきた企業であり、ここへきて、新店開発を抑制し、既存店の活性化へ重点を移した結果の数字といえよう。ただし、その既存店が8月度は99.0%まで回復したが、その後、9月度96.0%、10月度95.8%と伸び悩んでおり、予想以上に厳しい状況が続いている。全体の伸びも、この6ケ月平均では121.5%であるが、10月度は112.1%と大きく落ち込んでおり、今後の成長戦略をどのようにすすめてゆくかの再検討が必要な段階といえよう。ここ最近の新店についても、9月度は8店舗であったが、10月度は2店舗と激減しており、ここ数年では最も少ない新店の出店であった。11月も11/16段階では1店舗である。これまで九九ショップは積極的な新店の出店による急成長を遂げ、約850店舗まで店舗数を伸ばしてきただけに、今後の成長戦略をどのようにすすめてゆくも課題となろう。

  一方、利益についてであるが、売上総利益が昨年の27.2%から26.8%へと0.4%下がっており、しかも、販売費および一般管理費が25.3%から25.9%と0.6%アップしている。したがって、差引き営業利益が1.9%から0.9%と昨対47.3%となり、121.5%の売上の伸び率でもカバーできず、大幅な減益となった。粗利の減少だけでなく、経費の増加も大きく、ダブルパンチでの収益の圧迫である。

  九九ショップは、この5/19に発表した決算説明会では既存店の売上に全力投球し、V字回復を目指す方針であった。特に、第2四半期から昨年対比をクリアーし、第3四半期、第4四半期ではさらに既存店の数字を大きく改善する方針で臨んでいたが、この6ケ月間、一度も既存店については昨年対比を越えることができず、中間段階では95.5%と大きく下回ってしまった。さらに、9月、10月も既存店は約95%で推移しており、予想に反して、厳しい状況が続いているといえる。既存店の数字が回復しないと、固定費が結果として経営に重くのしかかり、経費の改善はより難しくなり、既存店の回復は小売業の経営にとっては最優先課題のひとつである。

  このように、九九ショップの中間決算は予想以上の厳しい決算であったといえ、当面の最優先の経営課題は、既存店の活性化に絞られたといえよう。約850店舗となった既存店の昨対を100%にもってゆくことが、最優先課題である。約850店舗は1店舗当たりの客数を1,000人とすれば、1日約85万人であり、年間では、約3億人となる。したがって、客単価1円は年間では約3億円の価値があり、客単価1円以上改善可能な商品群をピックアップし、活性化に取り組んでゆくことが、活性化の早道であろう。現在、九九ショップの年商は約1,300億円であるので、5%は約65億円であり、この65億円の売上金額のアップが既存店の昨対95%から100%となるための目標数字である。これを客単価で見れば、65億円÷3億円=約22円であるので、全店の商品分類の中から客単価1円以上アップ可能な約20の商品分類をピックアップし、この商品群に全力投球すれば既存店の昨対を越えることが理論上は可能である。九九ショップの今後の既存店の動向に注目したい。

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November 16, 2006

バロー、中間決算、大幅増収わずかに減益、粗利ダウン!

  11/14、バローの2007年3月期の中間決算の数字が公表された。バローは連結子会社、関連会社が約20社あり、その割合が全売上の約30%強あるため、本業の食品スーパーマーケットの経営状況は個別に反映される。ただし、個別の中にもホームセンター等食品スーパーマーケット以外の事業が約30%あるので、バローの食品スーパーマーケットの純粋な経営状況をみることは難しいが、個別に食品スーパーマーケットの約70%が反映されるため、食品スーパーマーケットの経営状況に関しては個別に反映されるといえよう。さて、2007年3月度の中間決算の状況であるが、売上は953.87億円(115.2%)と大幅な増収であった。営業利益は23.97億円(99.7%:売上対比2.51%)とわずかであるが減収となった。経常利益は28.77億円(101.6%:売上対比3.01%)、当期純利益は13.94億円(昨年は赤字)と、売上の好調さが利益に結びつかなかったという厳しい決算であったといえよう。昨年の同時期の売上は106.0%に対し129.4%(売上対比2.90%)の営業利益であったので、今期の中間決算の営業利益は大幅にダウンといえる。

  営業利益が大幅に下がった理由について、バローは11/2に業績予想の修正を公表しているが、その中で、粗利益額の確保が大幅に計画を下回ったことによると説明し、その原因を50周年記念セール、新店4店舗の開店、8店舗の改装等があり、特売セールの増加があったことが荒利益率の低下を招いたということである。実際、この中間決算の数字を見てみると、売上総利益が昨年同時期の24.2%から23.6%へと0.8%下がっている。ただ、その他の営業収入が4.9%から5.1%へと0.2%上がり、営業総利益は29.1%から28.7%と0.4%のダウンであった。これに対し、販売費および一般管理費は昨年も今年も26.1%であったため、差引き、営業利益が3.0%から2.6%へと0.4%下がり、この差額分を売上の115.2%の増加分でわずかにカバーできなかった結果、減収となった。したがって、経費の問題ではなく、売上総利益のダウンが減収の原因といえる。売上総利益については、10/13に公正取引委員会からバローに対して独占禁止法第20条に基づく排除措置命令がでている。その中で新店オープン、改装店舗の協賛金、初回納品0、8月、12月の1%戻しなどの問題が指摘されており、これらは粗利に直接影響を与える問題であり、今回の減収のひとつの要因となったともいえよう。今回の中間決算の数字を見る限りでは、経費削減が進んではいないようであるので、今後、一層の経費削減が課題となろう。

  バローの最新、10月度の売上速報であるが、食品スーパーマーケットの売上は依然として好調であり、食品スーパーマーケット業界でもトップクラスの伸び率117.3%である。既存店も102.4%と好調である。既存店に関しては客数101.7%、客単価100.7%と客数も客単価も昨年を上回っており、順調な売上の推移である。食品スーパーマーケット全体の第1四半期も111.3%、この中間期も115.1%の伸び率であるので、今後とも売上は順調に進んでゆくものといえよう。

  今回の中間決算数字を受け、株価の状況であるが、11/14、1,592円(104.9%、前日比75円)と跳ね上がり、売買高も26.26万株と通常よりもやや多い商いであった。また、11/15は1,632円(102.5%、前日比40円)と連日上昇しており、投資家は買いと判断したようである。バローの株価はここ最近厳しい株価が続いていた。9月上旬は2,200円前後で推移していたが、その後、株価は下がり続け、10月上旬には1,800円前後となった。そして、11月に入り、株価はさらに下がり、11/13には上場来最安値となる1,502円という厳しい株価となった。それを受けての11/14、11/15の反発であり、今後の株価の推移が注目される。

  このように、バローの2007年3月期の中間決算は大幅な増収ではあったが、粗利が予想以上に下がり、わずかではあるが営業利益で減益となった。現在、売上は好調を維持しているので、粗利の改善に加え、経費が昨年と比べ横バイであるので、経費の削減が当面の課題といえよう。食品スーパーマーケットはバローグループ全体売上の約50%の構成比を占めていることからも食品スーパーマーケットの業績回復がバローグループ全体にとって重要な経営課題といえよう。

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November 15, 2006

関西スーパー、中間決算、増収微減益、既存店は昨対上回る!

  11/13、関西スーパーマーケットの中間決算短信が公表された。本業の食品スーパーマーケットの経営状況を示す個別決算短信を見ると、売上は498.51億円(101.2%)、営業利益は7.79億円(99.6%:売上対比1.56%)、経常利益8.54億円(98.8%:売上対比1.71%)、当期純利益4.24億円(105.2%:売上対比0.85%)であり、増収ではあるが、当期純利益は増益となったものの、営業利益、経常利益では、わずかに減収となった。関西スーパーマーケットは経営目標を経常利益3%以上を目標としており、今回経常利益が1.71%と若干、昨年を下回り、経営目標達成には一層の経営改善が求められる。ただ、既存店の数字が、0.0%と昨年中間期の-2.9%から回復してきており、今後、既存店の活性化がすすめば固定費が相対的に削減され、経常利益への貢献度も増してくるといえよう。昨対で既存店割れ店舗も46店舗中21店舗となり、昨年中間期は45店舗中33店舗であった点からも12店舗の昨対を上回る店舗が増えており、既存店は回復基調にあるといえよう。

  関西スーパーマーケットは経常利益率3%以上が当面の経営目標であるが、そのための経営重点取組み課題として、3つの基本戦略を掲げている。足元商圏のシェアアップ戦略、経営効率向上戦略、成長戦略の3つである。足元商圏のシェアアップ戦略としては、生鮮、惣菜の強化が柱となっており、地域一番店と売上総利益高のアップが目標である。今回の中間決算での生鮮と惣菜の数字を見てみると、生鮮3品の構成比は38.9%から39.3%と0.4%高まっており、生鮮の構成比が若干アップしている。特に、青果の構成比が14.7%から15.5%へと、相場の影響もあると思われるが、生鮮3品の中ではNo.1であり、鮮魚の11.5%、精肉の12.3%と比べても最重点戦略部門であることがわかる。また、惣菜については、8.3%から8.1%へと若干下がっており、気になるところだ。特に惣菜は粗利率が41.0%と全部門の中で圧倒的に高い部門であり、この構成比があがることが粗利改善へも直結するため、今後の課題であろう。食品スーパーマーケット業界ではヤオコーの惣菜構成比は13%を優に越えていることを見ても、まだまだ惣菜の強化は充分に強化が可能であると思われる。

  経営効率向上戦略については、ローコスト経営を掲げて、競争に打ち勝つという目標をかかげている。実際、この中間決算の経費比率を見てみると25.9%から25.3%へと0.6%下がっており、絶対額でも昨年の124.53億円から123.43億円と1.1億円、経費削減がなされている。特に今回の決算では販売費が2.5%下がっているのが特徴であるが、今後、最も金額の大きい人件費、管理費をいかに下げるかが課題であろう。

  成長戦略については、損益分岐点の低い店づくりと人材育成を基本に、年間2店舗程度の新規出店と既存店の強化を重視するという方針である。出店エリアについては、今後は京都、奈良にも出店エリアとして検討してゆくという。この中間期では、兵庫県神戸市垂水区に舞多門店を新規出店し、既存店の改装としては関西スーパーマーケットベスト5に入る荒牧店(半期年商13.64億円:95.6%)を改装したという。ちなみに、現在No.1は高槻店(半期年商17.82億円:105.3%)、No.2はフェスタ立花店(半期年商15.6億円、97%)、No.3は大社店(半期年商15.15億円:101.3%)である。関西スーパーマーケットの平均的な食品スーパーマーケットは客数3,138人/日、客単価1,645円、PI値994%(1人当たり9.94個)、平均単価164.65円である。

  一方、財務について見てみると、有利子負債が依然として少し高めの水準、137億円(年商の10%強)であり、昨年対比3.62億円増加している。ただ、短期借入金から長期借入金へ比重が移っているため流動比率は61.1%から96.8%へと改善しているが、固定比率は依然として183%と昨年の中間決算の189%より、若干下がった程度である。今後、この有利子負債を削減するためにも経営目標の経常利益3%以上が今後の大きな課題といえよう。

  このように、この8月度の関西スーパーマーケットの中間決算は増収微減益であったが、既存店の数字も下げ止まりが見られ、昨対割れ店舗も大きく減少した。今後、増収増益に転じ、経営目標の経常利益3%を達成するためには、この中間決算の数字を見る限りでは、特に惣菜の強化が鍵を握っていると思われる。現状の構成比8.1%は惣菜の強い食品スーパーマーケットと比べると、商圏特性から考えても、まだまだ伸びる余地があるといえ、これを9%から10%に引きあげるマーチャンダイジングの改善が大きな鍵を握っているといえる。また、既存店の昨対も0%まで来たので、これが数%の改善にまで進むと、経費比率も固定費が相殺され、大きく改善されるので、既存店の活性化がもうひとつの課題であろう。本決算へ向けての、関西スーパーマーケットの今後の取り組みに注目したい。

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November 14, 2006

業務スーパー、上場後初の決算、増収増益、計画は未達?

  業務スーパーを全国に展開する神戸物産が上場後、初の決算を迎えようとしている。神戸物産の決算月は10月であるため、すでに、会計年度は終了し、新年度に入っているが、現在、決算の集計中であり、公表は12月か来年1月となろう。決算予想であるが、増収増益の予想ではあるが、計画値を下回り、当初の大幅な増収増益は難しい状況といえよう。9/13に公表された第3四半期決算と同時に公開された業績予想の修正に関するお知らせを見る限り、今期予定していた10月末までに100店舗の出店計画が未達に終わり、当初の予定の980億円を7.1%下回り、910億円、昨年対比118.9%となる予想である。また、仕入れの多くを中国工場から輸入し、ドルベースで決済しているため、円安の影響も受け、当初計画の経常利益、25.22億円の予想が、17.9%下回り、20.7億円、昨年対比107.0%となる予想である。

  神戸物産の上場以来の株価の推移を見てみると、上場来最高値は6/12の5,250円であったが、その後、8月に入ると4,000円を割り、9月に入ると3,500円台となり、第3四半期決算の公表があった9/13以降は3,000円を切る株価となり、10月に入り2,500円前後と厳しい株価が続いている。現在、2,400円強で推移しており、株価から見る限り、投資家は厳しい見方をしているといえよう。

  現在公表されている神戸物産の第3四半期決算数字をみてみると、売上は662.24億円、営業利益は12.50億円(売上対比1.9%)、経常利益12.89億円(売上対比1.9%)、当期純利益8.04億円(売上対比1.2%)である。また、損益計算書を見ると、粗利は4.0%、販売費および一般管理費は2.1%、差引き、営業利益が1.9%であり、業務スーパーはフランチャイズ経営が主体であるため低粗利、ローコストの経営であることがわかる。ただ、この数字を昨年の決算数字、2005年10月度と比較すると、粗利は4.9%であったので、0.9%ダウンし、厳しい数値であり、販売費および一般管理費は2.4%であったため、0.3%ダウンと、さらにローコスト化が進んだが、結果、営業利益は2.5%から1.9%へとダウンしているので、粗利の問題が現在、神戸物産では大きな課題となっているといえよう。中国からの輸入比率が高い分、円安の影響を受けているものといえる。今後、このまま円安傾向が長期化するのであれば、さらに店舗数を増やし、粗利高で収益を上げてゆくか、さらにローコスト化をはかるか、中国以外の低粗利商品が開発可能な輸入を検討することが必要となろう。また、財務的には上場したこともあり、昨年の決算期と比べ、この第3四半期時点で現金および預金が昨年決算期の49.7億円から128.3億円と大幅に増えており、また長短借入金も0であり、健全な数字といえる。

  さて、神戸物産の主力業態である業務スーパーの特徴であるが、FCモデル店の基本数字は、売上が月商2,500万円(1日約83万円、年商約3億円)、商品原価が2,050万円、ロイヤリティが商品原価の1%で20.5万円、差引き、粗利が429.5万円(17.1%)となる。これに販売費および一般管理費が255.0万円(10.2%)かかり、営業利益は、商品ロス0.1%のマイナスが入り、差引き合計172.0万円(6.8%)という数字となる。一般的な食品スーパーマーケットと比べると、売上は約1/4と低いにもかかわらず、粗利も売上対比で約5%低く、経費はさらに売上対比で約10%低いという経営構造となっており、超ローコスト構造の業態であることが最大の特徴といえよう。また、業務スーパーはPBによる粗利政策がもうひとつのポイントであり、約30%のPBの売上構成比で約70%の粗利を稼ぎ出しており、これが利益高を大きく引き上げ、NBを安く売れる秘訣であり、業務スーパーの競争力の源泉といえよう。

  このように神戸物産は業務スーパーという独特な業態を開発し、FC化による急成長を遂げ、上場を果たし、現在400店舗を越えたが、ここへ来て、出店が計画値を下回り、さらに、利益の源泉である中国からの輸入が円安により、原価アップとなり、増収増益は確保できそうであるが、計画値は下回る予想となった。今後、中長期ビジョンでは毎年100店舗づつFC店を出店し、来期500店舗、来来期600店舗と、高成長路線の目標を立てているが、今回の上場初年度からの出店計画未達は、今後の経営計画の再検討を余儀なくされるものといえよう。その意味で再度、新店はもちろん、現在の約400店舗の既存店の活性化も今後大きな課題といえ、本決算発表時には、今後の株価を上げるためにも、主力業態である業務スーパーの今後に向けた現実的な中長期計画の提示が必要といえよう。

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November 13, 2006

家計消費状況調査に見る高額商品とIT消費の実態!

  11/10、総務省から家計消費状況調査結果が公表された。この調査は家計調査の姉妹版ともいうべきもので、家計調査では充分に把握できない、高額商品とIT消費の実態に絞って調査したものであり、4年前の平成14年5月からはじまった新しい家計調査である。特に、高額商品の定義を「家計調査の結果から1購入頻度当たり支出金額が3万円以上を基準とし、その中から、購入頻度が年間1世帯当たり1回未満の品目と年間消費支出に占める割合が0.01%以上の品目について選定」としており、まさに、客単価3D分析の定義そのもので高額商品がピックアップされている。すなわち、客単価が0.01%以上(年間消費支出に占める割合)、客単価PPIが3万円以上(1購入頻度当たり支出金額が3万円以上)、客数PI値が年間1回未満(購入頻度が年間1世帯当たり1回未満)としており、客単価=客単価PPI×客数PI値の数式にもとづいて、客単価PPIが高く、客数PI値の低い商品で、しかも、客単価が高い商品を高額商品と定義し、ピックアップしている。残念ながら、公表データは消費金額のみであり、客単価PPI、客数PI値が公表されていないので、その要因を分析することはできないが、高額商品の動向を把握するには大変参考になる調査データである。

  さて、11/10公表の最新のデータは9月度の集計値ということになるが、9月度の高額商品の中で、昨年9月度と比べ最も伸び率の高かったものは、デジタル放送チューナー内蔵テレビ9960.0%(1,494円)、ビデオデッキ(DVDレコーダー・プレーヤーなどを含む)926.3%(352円)、応接セット217.9%(377円)、葬儀・法事費用160.5%(4,614円)、インターネット接続機能付カー・ナビゲーション159.4%(153円)、挙式・披露宴費用157.7%(3,101円)、楽器(部品を含む)155.7%(123円)であった。これらが150%以上伸びた商品である。特に、昨年はまだ出初めであったデジタル放送チューナー内蔵テレビの伸びがすさまじく、昨対で見ると100倍となり、関連商品として、ビデオデッキ(DVDレコーダー・プレーヤーなどを含むも10倍の伸び率であり、これらが1、2位を独占した。No.1のデジタル放送チューナー内蔵テレビについてを、さらに地域別に落として見ると、No.1は四国の4,215円で断トツであり、No.2の中国地方の2,732円を大きく引き離している。No.3が関東の1,590円であり、四国、中国地方はこの9月度は異常な消費額である。ちなみに、ワーストは近畿の912円であり、近畿はもっと安くなるを待っているかのような動向である。高額商品の場合は、このように地域差も鮮明にでるという特徴がある。

  ついで、消費額の大きいものの上位を見てみると、私立授業料等(幼稚園~大学、専修学校) 15,970円(106.0%)、自動車(新車)14,520円(110.6%)、移動電話(携帯電話・PHS)使用料8,773円(100.5%)、家賃8,392円(96.2%)、家屋に関する設備費・工事費・修理費(外装) 7,522円(139.4%)がベスト5である。教育、自動車、携帯電話、家賃、リフォームが高額商品の5大商品であることが浮かびあがる。

  逆に伸び率が最も低いものを見てみると、デジタル放送チューナー内蔵テレビ以外のテレビ15.3%(209円)、デジタル放送用チューナー・アンテナ21.8%(69円)、デジタルビデオカメラ56.1%(198円)、たんす56.1%(133円)、信仰関係費67.4%(2,463円)である。当たり前だが、デジタルテレビは内蔵でないとだめなようである。また、消費額の小さいものをみて見ると、インターネット接続機能付テレビゲーム機15円(115.4%)、インターネット接続機能付固定電話機16円(133.3%)、デジタルビデオカメラ以外のビデオカメラ26円(78.8%)、デジタルカメラ以外のカメラ51円(145.7%)、デジタル放送用チューナー・アンテナ69円(21.8%)、ファクシミリ付固定電話機87円(73.1%)、ステレオセット87円(93.5%)であり、これらが1世帯当たり消費金額100円をきった商品である。アナログビデオカメラ、FAX、ステレオなどが伸び率も低い商品であり、デジタル化が急激に進んでいる様子が浮かびあがる。

  ちなみに、IT関連では移動電話(携帯電話・PHS)使用料100.5%(8,773円)、固定電話使用料91.8%(3,350円)、インターネット接続料(プロバイダー料と通信料)118.7%(1,416円)、インターネット接続料(プロバイダー料)111.6%(125円)である。携帯電話の使用量が横バイとなり、固定電話の伸びは落ち、インターネット関連はまだ伸び続けているという状況が続いている。

 このように、家計消費状況調査は高額商品とIT関連の動向を見るには参考となる統計資料である。ただ、購入頻度が極めて低いことから、いつ、購入が集中するかが最大のポイントであり、一旦、購入が発生すれば、その後はしばらく、消費が起らないため、それを見極めるのが難しいところである。今後、昨対比較だけでなく、数ケ月間の推移もみながら消費動向を追って行く必要があるといえ、本ブログでも、今後、様々な分析方法を試み、実務にいかに結び付けてゆくかを検討してゆきたい。

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November 12, 2006

原信ナルスHD、初の中間決算、統合効果じわり、増収増益!

  原信ナルスホールディングスが経営統合後、初の中間決算短信を公表した。増収増益の好決算であり、経営統合の効果が表れはじめたといえよう。増収増益の中身は、客数アップによる増収、粗利率アップによる増益であり、今後、客単価アップ、経費削減をどのようにはかっていくかが課題であろう。さて、2007年3月度の9月期中間決算短信の数字であるが、売上は527.64億円(137.0%)、営業利益は21.64億円(172.2%:売上対比4.02%)、経常利益は22.65億円(195.8%:売上対比4.29%)、当期純利益は7.23億円(158.8%:売上対比1.37%)であり、ナルス18店舗が新たに加わったことにより、大幅な増収増益であった。特に、営業利益、経常利益の伸びが大きく、増収よりも増益の効果が大きかったといえよう。

  まず、増収の要因であるが、原信の売上が108.4%、ナルスの売上が105.3%と両食品スーパーマーケットともに順調に売上を伸ばしている。ただ、既存店で見た場合、原信は106.0%と食品スーパーマーケット業界でも屈指の既存店伸び率であるが、ナルスの既存店は99.7%と昨年対比を割っており、厳しい数字であった。今後、原信ナルスホールディングスが順調な増収を続けてゆくためには、ナルスの既存店の活性化が急務であり、場合によっては思い切ったスクラップ&ビルドも積極的に実施してゆくことも必要であろう。ただ、既存店が好調な原信の場合でも、客単価は1,735円とナルスの1,798円に比べて約50円少なく、PI値では原信の1,013%(人当たり10.13個)に対し、ナルスの1,064%(1人当たり10.64個)と約50%少なく、原信も客単価には課題があるといえよう。PI値50%は食品スーパーマーケットの1部門に近いPI値の差であり、店舗面積では平均約600坪の原信に対し、約400坪のナルスという実態を考えると、原信の客単価は、立地、競合状況の問題も当然あるが、客単価アップの取組みに課題があるといえよう。

  一方、大幅増益の要因であるが、粗利率が27.9%と昨年の27.2%と比べ0.7%アップしている。この数年間の数字を見ると2002年9月度28.3%、2003年9月度27.9%、2004年9月度26.9%、2005年9月度27.2%、そして、2006年9月度27.9%である。一方、販売費および一般管理費は2002年9月度25.5%、2003年9月度26.0%、2004年9月度25.2%、2005年9月度23.8%、そして、2006年9月度23.9%と昨年並みの数字である。したがって粗利率の0.7%アップがそのまま、営業利益率の改善につながったといえる。ただ、販売費および一般管理費は下がってはいないが、その中身は大きく変わっている。実際の経費の内訳を見てみると、販促費は1.2%から1.3%へ増加、人件費も12.7%から12.8%へ増加しているが、逆に販売費が2.2%から1.9%へダウン、店舗費が6.9%から6.6%へとダウンしている。これは、経営統合により、共通経費である販売費、店舗費を削減し、売上、粗利に直結する販促と商品管理、サービスに経費を振り分けたといえよう。部門で見ると、一般食品よりも生鮮食品の構成比があがってきており、生鮮食品を重点的に取り組んだ成果といえよう。だだ、粗利率は一般食品の方の伸び率が大きく、経営統合効果により、一般食品の粗利率は21.1%から22.5%と1.4%アップと過去最高の数字となり、大きく改善している。

  これらの数字の推移をごく単純化すれば、経営統合により、一般食品の粗利率の改善と一般管理費を削減し、その経費を生鮮の販促と商品管理、サービスに重点配分し、店舗全体の集客をはかり、売上アップと粗利率の同時改善を目指した経営戦略を実践したといういうことであろう。今回の中間決算の数字を見ると、このような原信ナルスホールディングスの経営統合後の経営戦略がみえる。

  このように、原信ナルスホールディングスの経営統合後、初の中間決算数字は大幅な増収増益となり、順調なスタートをきったといえよう。今後の課題としては、食品スーパーマーケットの経営統合で最も難しいマーチャンダイジングの改善にどう取組んでゆくかであろう。原信においては客数の伸びは順調であるので、客単価をいかに引きあげるかが課題であり、ナルスにおいては既存店の数字をいかにひきあげるかが急務であろう。今後の原信、ナルスのマーチャンダイジングの改善に注目したい。

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November 11, 2006

ヤオコー、中間決算(2007/03)、新店、惣菜が貢献、増収増益!

  11/6、ヤオコーが中間決算短信を公表した。昨年の中間決算時と比べ、連結、個別共に大幅な増収増益を確保し、好調な中間決算であった。連結では、売上は939.83億円(110.1%)、営業利益33.18億円(106.8%:売上対比3.53%)、経常利益32.86億円(109.2%:売上対比3.49%)、当期純利益18.40億円(103.7%:売上対比1.95%)であり、14期連続の増収増益であった。一方、個別では、売上は849.18億円(111.4%)、営業利益32.27億円(107.6%:売上対比3.80%)、経常利益31.96億円(109.7%:売上対比3.72%)、当期純利益17.85億円(112.9%:売上対比2.10%)であり、17期連続の増収増益となった。本来食品スーパーマーケットの決算は本業の決算である個別の方を見た方が良いが、ヤオコーの場合は、惣菜を子会社の三味が運営しており、個別決算には惣菜の子会社三味の数字が入らないため、今回は連結、個別、双方を取り上げた。ちなみに、ヤオコーの連結には、惣菜の三味をはじめ、調剤薬局の日本アポック、書籍、雑誌のワイシシー、贈答品のスーパーサンワ、名友、宅配のフレッシュヤオコーが入る。また、ヤオコーの惣菜部門を担っている子会社の三味のみの売上は112.89億円(114.2%)、営業利益は2.29億円(160.1%:売上対比2.02%)であった。

  この中間決算の売上が2桁の伸びを示した要因は新店3店舗の出店に加え、7店舗の既存店の改装を実施したことが大きかったといえる。新店については、4月に埼玉県北足立郡に伊奈店、8月に千葉県成田市に成田はなのこ台店、9月に茨城県古河市に古河牛谷店を出店した。いずれもNSC(ネバーフッドショッピングセンター:近隣型SC)タイプの新店である。また、既存店の改装についても、7店舗の内、5店舗がNSCであり、ヤオコーにとってNSCは今後の成長戦略を担う戦略業態として確立されたといえよう。特に、今回、6月に改装した埼玉県比企郡嵐山町の嵐山バイパス店はヤオコーの基幹店舗でもあり、ワカバウォークの成功事例を取り入れ、鮮魚、惣菜の最新のマーチャンダイジングノウハウを結集したNSCであり、改装後も好調な数字で推移しているという。その結果、8月、9月は既存店の売上も100%を越え、これら7店舗の改装が既存店の底上げにつながったといえよう。

  また、営業利益もこの中間決算では増益となったが、これは、売上の増加分における営業利益高が伸び、増益となったのであり、営業利益率が伸びたわけではない。営業利益率は0.1%であるが、わずかに下がっている。詳しく見てみると、不動産収入、物流センター費を含めた粗利率は28.1%と昨年の28.0%より0.1%アップしているが、販売管理費が24.1%と昨年の23.9%と比べ0.2%上がっており、営業利益率は差引き0.1%のダウンとなった。率では0.1%ダウンしているが、高では107.6%のアップである。

  このように今回のヤオコーの中間決算数字は好調であったが、その好調さを支えた中核部門は惣菜にあるといえよう。ヤオコーの店舗全体の粗利率は惣菜の子会社三味を含めると27.84%となるが、三味を抜くと24.66%であり、惣菜の粗利貢献度がいかに大きいかがわかる。実際、惣菜の粗利率は極めて高く、惣菜の中の惣菜が41.67%、寿司が53.65%、ベイカリーが56.43%である。青果の22.18%、鮮魚の32.56%、精肉の32.30%、日配の26.80%、食品の20.90%と比べても断トツに粗利率が高いことがわかる。しかも、この中間決算の数字では生鮮3品の中で、最も売上構成比の高い青果の構成比13.2%を惣菜が13.8%と上回っており、売上面でも全体へ大きな貢献をしているといえよう。

  このように、ヤオコーの中間決算は新店政策と積極的な既存店の改装が効果を発揮し、売上を大きく押し上げた。また、利益面においても、率は若干下がったが、売上が大きく伸びたため、利益高の伸び率は好調な数字となり、増益となった。特に、粗利率については惣菜の貢献度が極めて高く、しかも売上構成比では生鮮3品の各部門を越えており、惣菜は店舗全体の中核部門となっているといえよう。下期も4店舗の新規出店を予定しており、今期のヤオコーは好決算が期待できそうである。

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November 10, 2006

家計調査月報に見るリピート型商品の実態!

  家計調査月報で客単価3D分析ができるようになったので、これまでと違った消費の実態が明らかになりつつある。そこで、最新の2006年9月度の家計調査月報をもとに、リピート型商品に絞り、その実態をじっくり見てみたい。これまでの家計調査月報の単純分析では消費額の大小、昨対との比較等でその商品の特徴をつかむことはできたが、その消費がどのような購買をされているかはつかむことはできなかった。しかし、10,000分比の購入世帯数を駆使し、客単価3D分析の分析手法を取り入れることで、その商品が多くの世帯に購入されているのか、それとも限られた一部の世帯に激しくリピートされているのかが、ほぼつかめるようになり、消費の実態がこれまで以上に明らかになってきた。ほぼというのは、数量情報が明確でないので、ほとうにリピートなのかどうかが、明確には確かめられないので、その可能性が高いという意味である。数量情報が家計調査月報でもつかめるようになれば、この問題ももう一歩進められることになるが、現状でも、これまでと比べれば大きな前進といえよう。

  さて、2006年9月度のリピート型商品の中で特徴的なものをいくつか上げてみたい。ざっとみて、最も気になるのはウィスキーである。1世帯当たり、1日あたりの消費額は3.27円とさほど高い額ではないいが、ウィスキー購入者のみの消費額を算出すると何と129.63円とずばぬけて高い消費額となる。この金額は購入者のみのランキングで見ると、No.3となる。ただ、ウィスキーの購入顧客は全世帯のわずか2.5%であり、ごく限られたウィスキー愛好者が密かにしっかり購入している消費動向であると創造できる。しかも、この9月度は購入者層は昨対99.2%と下がっているが、購入金額は昨対116.2%と大きく伸びており、さらに、リピート性が高まったといえよう。

  このような典型的な商品をいくつか拾ってみると、粉ミルクも同様な傾向の商品である。全体の消費額は2.73円であるが、粉ミルクだけを購入している世帯は82.08円と極めて高い傾向を示しており、逆に、購入世帯は全体のわずか3.3%である。ウィスキーほどではないが、ワイン(ぶどう酒)も同様な傾向である。全体の消費額は3.63円とワインよりは高いが、ワイン(ぶどう酒)のみを購入している世帯は53.43円と低くはないが、ウィスキーと比べると半分以下である。ただし、購入世帯数は全体の6.8%とやや高めの傾向である。

  このようなリピート性の高い商品群をその商品だけを購入している世帯の消費金額が1世帯当たり、1日当り20円以上、購入世帯数の割合が10%以下のものを、上記3品以外で、ざっと上からひろってみると次のような商品がピックアップされる。かに2.13円(45.88円、4.7%)、すいか1.23円(21.75円、5.7%)、ようかん1.57円(26.92円、5.8%)、干ししいたけ1.33円(20.83円、6.4%)、そうざい材料セット9.93円(131.39円、7.6%)、メロン2.63円(33.21円、7.9%)、もち2.17円(23.35円、9.3%)となる。これ以外はすべて全体の購入世帯が10%以上の商品である。

  では、逆に、購入世帯が限りなく100%に近い商品も見てみたい。家計調査月報2006年9月度ではえあるNo.1の商品は豆腐であった。豆腐は全体の94.4%が1ケ月に1回は購入している商品であり、全世帯の1世帯1日当りの購入金額は18.37円、豆腐購入世帯だけでみた購入金額は19.45円とほぼ一致した数字となる。この数字から見る限り、食品スーパーマーケットにとって、豆腐はすべての商品の中でも最重点商品であるといえよう。豆腐の欠品は食品スーパーマーケットでは命取りである。豆腐につづくベスト5を見て見ると、玉子がわずか0.1%差で2位である。玉子は23.40円(24.83円、94.3%)である。ついで豚肉の63.83円(68.62円、93.0%)、他のパン(菓子パン)の48.10円(53.26円、90.3%)、牛乳の52.53円(58.89円、89.2%)と続く。以上がベスト5であり、豆腐、玉子、豚肉、菓子パン、牛乳と食品スーパーマーケットの売場が目に浮かぶような典型的な商品といえ、さきほどのウィスキー、粉ミルク、ワインなどとは対照的な商品であるといえよう。

  これ以外に気になる商品としては米である。米は全商品の中でNo.1の消費金額104.07円を誇る商品であり、断トツである。米の消費実態を見ると、全体の56.6%が購入するという数字であり、約半分の世帯は1ケ月に1回は購入したという商品であり、その時の購入消費額は183.96円である。意外に米は多くの世帯が購入していることがわかる。

  このように、家計調査月報をリピートという視点を入れて分析して見ると思わぬ発見がある。リピートいう概念は、食品スーパーマーケットの今後の商品政策の仮説づくりに役立つデータといえ、これまでの商品の売上を上げるためかでなく、顧客の来店頻度を上げるために活用するという新たな視点を提供してくれているように思う。再度、商品ごとの購買実態をこのデータにもとづき、見直してみる価値は充分にあるといえよう。

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November 09, 2006

客数と顧客IDとの違い、ポイントはリピート!

  食品スーパーマーケット業界では客数という場合、ジ通過客数、すなわち、シート枚数を客数ととらえてきた。平均的な食品スーパーマーケットでは、1日の客数はだいたい2,000人/日であり、これイコール1日のレシート発行枚数である。これ以外に店内の客数を把握する仕組みがなかったため、客数というと、食品スーパーマーケットではこの客数を客数としてとらえ、売上との関係もすべて、この客数を前提としてこれまで考えてきた。売上=客数×客単価であり、この客数がレジ通過客数のことである。しかし、ここ最近、ポイトカードが普及し、IT技術も進化したことにより、ポイントカード使用顧客に限られるが、レジ通過客数=レシート毎数に加え、顧客IDのレジ通過客数=顧客IDのレシート枚数が活用できるようになってきた。それより、これまでの単純な客数から、顧客IDの活用が可能となり、顧客ID活用による新たなマーチャンダイジングへの活用に加え、顧客IDへの直接のアプローチ、ダイレクトマーケティングが可能となりつつある。これまでのレシートを活用したダイレクトマーケティングもいくつか試みられていたが、顧客IDまで把握できると、直接顧客へ情報発信が可能となり、これまでよりも、まさにダイレクトに顧客に購買を働きかけることが可能となる。

  では、顧客IDによる客数が把握できるようになると何が違ってくるかであるが、最大の違いはこれまでのレシート客数を2つに分解し、これまでけっして把握することができなかった来店頻度(リピート)を算出することが可能となることである。そして、その応用として、商品ごとの購買頻度(リピート)を把握することもできるようになり、顧客の来店状況および購入状況の詳細が明確に把握できるようになる。ただし、小売業の場合はどんなにがんばっても100%のIDはほとんど不可能であり、80%前後が上限である。ポイントカードの使用率を見ると、高いところでは90%を越える店舗もあるが、だいたい平均が80%前後であるからである。したがって、100%の店舗利用顧客ではない点は注意する必要がある。客単価3D分析については、レシート分析が前提となるので、顧客100%の分析が可能なる。

  まず、ここで来店頻度(リピート)について考えてみると、客数を顧客IDで把握できない場合は、来店客数はわかっても、来店されている方が、どのくらいの頻度で来店しているか、すなわち、来店頻度(リピート)はけっしてわからない。来店頻度を出すためには、顧客IDの把握が必須である。顧客IDの把握がわかれば、客数を次のように分解できる。総客数=顧客ID客数×来店頻度(総客数÷顧客ID)、これによって、総客数が増えた場合は顧客IDが増えたのか、それとも来店頻度が上がったのかが明確になり、客数はアップの戦略を絞り込むことができるようになる。実は、インターネットの世界ではすでに100%の顧客でこれが実現されており、たとえば私の食品スーパーマーケット最新情報のブログのアクセス数を見ると、訪問者数とアクセス数でこの2つを区別し、googleでは訪問数とページビュー数で区別し、さらに平均ページビュー数で来店頻度まで算出している。顧客IDが把握できるのであれば、すぐに、客数を顧客ID客数と来店頻度に分け、客数アップの対策を絞り込むべきであろう。
 
  一方、その応用としての商品ごとの購買頻度(リピート)の把握であるが、これは、応用問題であるので、いくらでも数式をつくることができる。代表的なものをひとつあげると、商品ごとの購入客数を、先の客数の分解と同じように、その商品の購入客数=顧客ID客数×購入頻度(購入客数÷顧客ID客数)に分けて見ることである。これによって、その商品の販売状況が、どのくらいの顧客へ広がっているか(広さ)とその商品がどのくらいリピートされているか(深さ)に分けることが可能となる。それにより、その商品のマーチャンダイジング政策のどこを重点的に取り組んでゆけばよいかが明らかになり、次の一手が明確になる。この分析手法が基本であり、これに、数量情報を乗せる、金額情報を乗せれば客単価3D分析のノウハウがそっくり活用できる。また、顧客を購買状況に分けることにより、初回購買顧客だけの分析、リピート購買顧客だけの分析、ある商品から別の商品に乗り換えた顧客の分析など、ちょっと考えただけでも数10種類の分析を行うことができる。

  このように、客数は実に奥深いものであり、まさに、神様といっても過言ではない。これまで小売業界では客数というとレジ通過客数のみを活用してきたが、時代はめぐり、顧客ID活用の時代に近づきつつある。そして、そのキーワードはリピートである。もし、顧客IDが活用できるようになったならば、是非、リピートという概念で客数をとらえなおし、新たなマーケティング、マーチャンダイジングの世界に挑戦して欲しい。

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November 08, 2006

ハローズに見るPB商品、ハローズセレクション開発の実情!

  2007年2月期決算企業の中間決算短信の公表が終わり、この11月からは2007年3月期決算企業の中間決算短信が順次公表されてくる。これまで公表された2007年2月期決算企業の中でも増収増益と好調な企業の中のハローズについて、その好調の要因のひとつであるPB戦略についてみてみたい。ハローズはPBとしてハローズセレクションを展開しているが、この中間期ではとうとう売上の5%を越え、売上、利益に大きく貢献するまでにPBが成長してきた。食品スーパーマーケット業界のPBではCGC、AJS、ニチリュー等のボランタリーチェーンでの事例、イオンが開発したトップバリュを導入したマックスバリュの事例はあるが、食品スーパーマーケット単独では、ここまでPBを定着させた事例は稀であろう。しかも、その数は、現在、344商品となり、一昨年の187商品、昨年の241商品と比べ、開発のピッチが加速しているのが実情である。さらに、商品数が増えているだけではなく売上、利益貢献度も増しており、確実にハローズセレクションがハローズの商品戦略に組み込まれつつあるといえよう。

  ハローズの2007年2月期の中間決算をもとにハローズセレクションの数字を見てみると、売上では14.89億円、売上構成比は5.7%となり、このままの推移でゆけば、今期2007年2月の数字は売上31.68億円、売上構成比は6.0%と予想される。2005年2月期が16.98億円、2006年2月期が24.69億円であったので、PBであるハローズセレクションの売上伸び率は2005年2月比で186.5%、2006年2月比で128.3%であり、PBが急成長していることがわかる。ハローズの中間決算の全店の売上伸び率が昨年対比112.3%であるので、PBの成長率がいかに高いかがわかる。

  また、ハローズセレクションの粗利率も昨年が14.9%に対し、今期は18.5%となる予想であり、粗利率も大幅に改善し、売上面だけでなく、粗利面でも貢献度が重みを増しつつあるといえる。ハローズの部門別の相乗積を見ると、惣菜とデイリーが4.6%、4.5%で粗利貢献度の2大部門であり、PB開発ではデイリーの開発数が最も多く、113を数え、PB全体の32.8%であり、売上では47.8%と半分近くを占めている。いかに、デイリーのPB戦略が重要であるかを示しているといえよう。ハローズはデイリーの売上構成比が全部門の中でもNo.1の21.8%を占めることからも、デイリーの強さの秘訣の一旦はこのPB戦略にあるといえよう。

  ハローズセレクションの実際の部門別PBの数と売上金額を中間決算数値で見てみると、まず、全体では344、14.89億円であり、最も力を入れている部門が先にも述べたデイリーの113(7.12億円)、ついで、一般食品の76(2.32億円)、菓子の54(0.64億円)、鮮魚の53(2.89億円)、雑貨の22(0.37億円)、酒の13(0.23億円)、青果の7(0.21億円)、玉子の4(0.99億円)、そして、惣菜の2(0.12億円)となる。意外に鮮魚が多いのが特徴といえる。
 
  ここで、ハローズのPB、ハローズセレクションの実際の商品をいくつか見てみたい。ちなみに、ハローズセレクションの開発基本コンセプトは「適切な品質」、「低価格」、「安全・安心・健康」であり、NB商品と同品質で、価格は3割安く、値入率は30%以上を目指しているという。まず、デイリーの代表的なPBであるが、ハローズセレクション生芋こんにゃく板をはじめ、糸こんにゃく、さしみこんにゃくなどこんにゃくだけで約10種類もある。揚物も多く、ちくわ、鯛ちくわ、ごぼう天などやはり10種類は越えよう。これ以外にも焼きそば、うどん、納豆、漬物と和日配が特に多いのが特徴である。洋日配については、牛乳、パン、コーヒーフレッシュなどと数は少ない。次に、開発数の多い鮮魚であるが、あさり、もづく、たらこからはじまり、カツオのたたき、やりいかなど生関係もある。また、開きあじ、さば味醂漬など特に塩干は数多くのPBが開発されている。そして、一般食品は飲料、調味料が主なPBであり、菓子は珍味、せんべい、ポッキーもあり、急激に品数を増やしつつある。

  このように、ハローズはハローズレセクションというPBを軌道に乗せたといえ、売上、利益双方に貢献するまでになりつつあり、PBの重要性が年々重みを増しつつある状況であるといえる。食品スーパーマーケット業界の中でもここまで単独でPBを定着させた企業は珍しく、今後のハローズのPB、ハローズセレクションの開発動向には注目である。

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November 07, 2006

家計調査月報の新しい分析手法の提案!

  本ブログでは数度に渡って家計調査月報の速報を取り上げてきたが、ここ数カ月前から、これまでの昨対比較に加え、客単価3D分析の考え方を取り入れて速報値を解説している。当初は客単価2D分析で説明を試みようとしたが、平均単価が1個当りであったり、一切れであったり、g当たりであったりと通常の商品単価とは違うため、せっかく、平均単価が算出されていながら、これらを活用することが充分にできなかった。そこで、それ以外の指標は活用できないかと考えたすえ、10,000分比当たりの世帯数という指標があることがわかり、これを活用すると、いっきに客単価3D分析の考え方が使えることがわかった。これまで、数回、活用してみたが、ほぼ、問題ないところまで来たので、ここで、家計調査月報の客単価3D分析にもととづく、新しい分析方法を提案してみたい。

  では、10,000分比当たりの世帯数の指標を使うと何が変わるのかであるが、ひとことでいうと1世帯当りの消費金額が伸びた場合、その原因が購入世帯数が増えたのが、それとも購入世帯数の需要が拡大したのかが明確になることである。これまでは、1世帯当りの消費金額が増えても、その原因をつきつめることは、1世帯当りの消費金額を前月、昨年と比較するか、あるいは他の商品と比較しながら、原因を推定してゆくしかなかった。もちろん、平均単価の動き、購入頻度の動きをみながら、同様に比較すれば、価格があがったのか、購入頻度があがったのかで、その原因を推定してゆくことは可能である。ただ、この場合はあくまでも、先にあげたように平均単価が商品単価ではなく、しかも購入頻度が、購入個数ではないため、消費金額を直接説明する、明確な方程式が成立しない。したがって、価格と頻度でそれなりの説明付けにはなるが、明確性がいまひとつ欠けていたといえよう。

  これに対して、この10,000分比当たりの世帯数を活用することで、客単価3D分析の根幹である客数PI値を算出できることが可能となり、これにより、消費金額を割れば、客単価PPI、すなわち、その商品の購入者のみの客単価を算出できるようになり、客単価3D分析のきれいな方程式で、消費金額を分解することができるようになる。すなわち、1世帯当りの消費金額=その商品の購入世帯の割合×その商品の購入世帯のみの商品金額という方程式、客単価=客数PI値×客単価PPIが成立するのである。これにより、これまでの消費金額が伸びた場合は、その商品の購入世帯が増えて伸びたのか、その商品の購入世帯のみの消費額が上がったのか、それとも双方が上がったのかが明確に数値で解析できるようになる。客単価3D分析をすべて適用するには、これ以外に価格情報か数量情報が必要ではあるが、これだけでも、これまでの分析に比べたら充分な説明力があるといえよう。特に、消費金額が伸びた商品、減った商品に加え、商品ごとの比較をし、消費額が大きな商品、旬ののびはじめの商品、テレビ広告等を頻繁にうっている商品をこの分析手法で見ると、これまでとは違った角度からの消費金額の実態をみることができる。

  ここでひとつ、直近の家計調査月報である2006年9月度のデータにもとづいて上記の客単価3D分析の方程式に当てはめて見てみたい。典型的な商品として、キャベツを取り上げてみたい。キャベツは1世帯当りの1日の消費金額7.30円の商品であり、この9月度は昨対127.3%という高い伸びを示した商品である。これを客単価3D分析すると、客数PI値は、キャベツの10,000分比当たりの世帯数が7,576世帯であるので、75.76%である。したがって、客単価PPI、キャベツのみの購入者の消費金額は7.30円÷75.8%=9.63円となる。したがって、この7.30円が昨対127.3%であるので、この2つの指標、客数PI値(キャベツの購入世帯数の割合)が増えたのか、客単価PPI(キャベツの購入顧客のみの消費金額のみ)が増えたのかが数字で判断ができることになる。実際の数字を見ていると、キャベツの客数PI値(キャベツの購入世帯数の割合)は97.9%と減っているが、キャベツの客単価PPI(キャベツの購入顧客のみの消費金額)が130.0%で増えており、キャベツの消費額は相場高による消費額の増(あるいは相場安で点数増)であり、キャベツ購入世帯は増えていないどころか、減っていることがわかる。これは相場が落ちつけば、キャベツの消費金額は伸び悩むことが予想され、けっして喜ばしい数字ではないことが、この分析から明らかになる。

  このように、家計調査月報も10,000分比当たりの世帯数を活用することによって、新たな消費金額の解釈が可能になり、今後、食品スーパーマーケットのマーチャンダイジング政策にこれまで以上に大いに役立つことが期待できよう。本ブログでは、当面、この客単価3D分析を取り入れた新しい分析手法を深めてゆきながら、それ以外の購入頻度、平均単価についても参考数値として活用できる分析手法に高めてゆきたいと思う。

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November 06, 2006

日経MJ、新製品週間ランキング、チョコレート絶好調!

  2006年11月3日の日経MJに恒例の新製品週間ランキングが公表された。季節柄、菓子部門でチョコレートが独占、上位6品がチョコレート関連で占め、No.1はロッテ商事のチョコパイパーティパック10個、客単価469円(1人当たり0.46円)であり、これは全体でも2位という快挙であった。しかも、先週比80円(1人当たり0.08円)の増加であり、8/26発売の新製品でもう少しで3ケ月目となり、新製品ランキングからははずれるが、顧客から高い評価を受けているといえよう。カバー率も69.7%で平均単価253円と高額商品であるが、各社に浸透しはじめている。先週その他商品部門で2位であった男前豆腐店の京都ジョニーが再び1位にかりざくなど、今週の新製品週間ランキングは大きな動きが随所でみられ、注目である。

  さて、チョコレートの好調ぶりであるが、菓子部門No.1はロッテ商事のチョコパイパーティパック10個、客単価469円(1人当たり0.46円)でるが、No.2、No.3もロッテ商事であり、No.2が冬のパイの実(メープルラテ)81g、客単価355円(1人当たり0.35円)、No.3がコアラのマーチ(キャラメルミルク)55g、客単価341円(一人当たり0.34円)である。ついで、No.4が江崎グリコポッキー極細26本×2袋が客単価273円(一人当たり0.27円)、No.5が江崎グリコの冬のくちどけポッキー24本、客単価217円(1人当たり0.21円)、No.6が江崎グリコのカレノア8枚、客単価210円(一人当たり0.21円)と江崎グリコが続く。このように菓子部門はチョコレート関連が独占し上位を占め、主力のスナックが季節柄伸び悩んでいる状況である。

  ちなみに、家計調査月報最新の2006年9月度のチョコレートの状況を見ると、チョコレートとチョコレート菓子の分類があり、消費金額はチョコレートが1世帯1日当たり、8.17円(101.7%)、チョコレート菓子が2.47円(102.8%)であり、4倍ぐらいの差でチョコレートの方が強いが、今回の新製品はすべてチョコレート菓子である。チョコレートとチョコレート菓子の特徴であるが、チョコレートは購入世帯比率が47.6%であるが、チョコレート菓子は19.8%と、チョコレート菓子の方が嗜好性が強く、限られた顧客層を見つけ出し、その中でシェアを高めてゆかなかればならないという特徴がある。チョコレート菓子購入者のみでみた消費金額は12.45%で昨対109.2%であることからも、購入者をたくさん増やすよりは、すでに購入している客層の中でのシェアをたかめることが大きなポイントの商品であるといよう。

  今週の特筆すべき動きとして、男前豆腐店の京都ジョニー、190g×2が先週の2位から再び1位に帰りざいた。客単価418円(1人当たり0.41円)である。ただし、先週比は41円(1人当たり0.041円)ダウンであり、数字的には落ち着いたというところであろう。2位は先週1位の日清食品のチキンラーメン&どんぶりセット85gであり、客単価310円(1人当たり0.31円)である。先週比客単価206円(1人当り0.20円)と大幅なダウンであり、各社の店頭、エンド等での強力な販促が落ち着いたというところであろう。今後、どの辺で数字が落ちつくかが気になるところだ。

  家庭雑貨では再び一人当たりの客単価が1円を越える商品が登場した。資生堂のリバイタルクリーム、エンサイエンスAA(医薬部外品)40g、15,799円という超高単価な商品である。客単価は1,221円(1人当り1.22円)と生鮮食品なみの客単価であり、今週の全新製品の中で圧倒的なNo.1である。PI値を逆算すると、1.22円÷15,799円=0.0077%と限りなく0に近く、1日2,000人の客数の食品スーパーマーケットで0.154個であるので、1週間に約1個売れる商品であるが、それでも1万円以上の価格の商品であると1円を越えてくるので驚きである。ただ、1週間に1個のものを店頭におけるか、仮に、万引きされた場合は大変な損害となるので、セルフ販売ではなく、対面販売が基本となろう。

  その他の商品の動きとしては、冷凍食品では味の素、お弁当にえび寄せフライ、6個入り144gが客単価325円(1人当たり0.32円)と先週同様1位をキープしている。また飲料では、ヤクルト本社のヤクルト65ml×10本が好調であり、客単価243円(1人当たり0.24円)、同じ数字でヤクルト本社、プレティオ、100m×3本が並んでいる。また、家庭用品ではNo.2に花王のアタック1.1kが客単価443円(1人当たり0.44円)、No.3にP&Gのボールド1.1kgが客単価398円(1人当たり0.39円)である。

  以上が、各部門の上位商品と客単価300円(一人当たり0.3円)以上の全新製品である。今週の日経MJ新製品週間ランキングはダイナミックな動きをしており、新製品を売場にうまく取り組んでゆくことにより、客単価アップはもちろん、客数アップの集客にもつながる可能性が高く、これらの商品は特に今週の注目商品といえよう。

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November 05, 2006

食品スーパーマーケット、株価速報、2006/11/02!

  2007年2月期決算の食品スーパーマーケット業界の中間決算発表が一巡し、いよいよ今週からは2007年3月期決算企業の中間決算の公表がはじまる。3月期決算企業の上場食品スーパーマーケットは2月期決算企業と比べ、数はそれほど多くはない。現在、3月期決算上場食品スーパーマーケットは、マックスバリュ北海道、いなげや、原信ナルスホールディングス、バロー、九九プラス、ジョイス、マックスバリュ中部、ヤマナカ、ヤオコー、関西スーパーマーケット、ヤマザワの11社であり、特に注目は合併後初の中間決算となる原信ナルスホールディングス、成長著しいバロー、好業績のヤオコー、依然として高い成長率を維持している九九プラス等であろう。そこで、本ブログでは、これから中間決算の発表を行う3月期決算企業を中心に主な食品スーパーマーケットのここ最近の株価の動きを11/2の直近の株価をもとに見てみたい。

  今週にも中間決算の公表を控えた3月期決算の11/2の主な食品スーパーマーケットの株価であるが、この日、上昇した食品スーパーマーケットは3社である。株価上昇率が最も高かったのはジョイス+1.60%(+8円、508円)であり、ついで、関西スーパーマーケットの+0.25%(+2円、772円)、マックスバリュ中部+0.10%(+1、993円)であった。この日は日経平均は-25.24円下げ、16,350.02円で引けており、全体としても株価は低調な状況であったといえよう。この3社の中では、関西スーパーマーケットがここ、最近、株価が右上がりで推移しており、注目である。9月前半は730円前後推移していた株価が10月に入り、徐々に上昇をはじめ、この11/2の772円までほぼ右上がりで上昇している。マックスバリュ中部については、8月以降、990円から±5円近辺での値動きであり、11/2までほぼ横ばいの株価の推移である。ジョイスに関しても、この数ケ月500円を中心に±10円の値動きであり、ほぼ横ばいといえよう。

  次に、11/2、株価が±0円の食品スーパーマーケットの株価でるが、ヤマザワ1,941円(±0円)、九九プラス138,000円(±0円)の2社である。ヤマザワの株価は7月後半以降、1,960円前後で横バイであったが、10月後半以降少し値を下げ、11/2、1,941円となった。また、九九プラスは第1四半期の増収減益の決算以降、株価は下がり続け、180,000円付近であった株価が、10月前半には130,000万円台まで急落し、その後、やや上昇したが、11/2、138,000円で引けた。ヤマザワも第1四半期決算は増収減益の決算結果であったことから、この2社については、中間決算の状況が特に注目される。

  一方、11/2の株価がマイナスになった3月期決算企業であるが、ヤオコー-1.27%(-35円、2,705円)、バロー-0.53%(-9円、1,687円)、原信ナルスホールディングス-0.20%(-3円、1,447円)、いなげや-0.11%(-1円、874円)の4社であり、マックスバリュ北海道、ヤマナカについてはこの日は取引が成立しなかった。この中でも注目はバローであろう。売上は新店が順調にオープンし、好調であるが、利益の方が、ここへきて、競合状況の厳しさ、新店、積極的な改装オープン、50周年記念等による大型セールなどにより、予想以上に減少し、11/2には大幅な業績予想の修正を公表した。また、10/13には公正取引委員会からの排除措置命令も受けており、株価にも影響がでているといえよう。実際、ここ数ケ月のバローの株価を見ると、8月後半以降、下げ続けており、2,250円であった株価が9月後半には2,000円を割り、10月中旬には1,850円後半まで下がった。そして、その後も株価は下がり気味で推移し、11/2、年初来最安値の1,677円をつけ、この日、1,687円で引けた。また、ヤオコーに関しては、この数ケ月株価が上下に大きく動いており、10月後半はやや下降気味である。原信ナルスホールディングスは1,500円前後でここ数ケ月推移していたが、10月後半以降、やはり下降気味で推移している。いなげやは、10月中旬までは株価は順調に上昇していたが、10月後半以降、下がり気味である。この3社はいずれも10月後半以降、下がり気味で推移しており、気になる株価の動きである。

  このように、3月期の決算企業の11/2を基点にしたここ最近の株価を見てみたが、ここ数日は大きな変動はなく、市場は中間決算の公表を静かに待っている状況といえよう。早ければ今週にも公表される中間決算状況では各社の株価にも影響がでる可能性があり、この中間決算、および、通期業績予想には注目である。

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November 04, 2006

ウォールマート2006/10、売上速報、既存店100.5%!

  11/2、2006年10月度のウォールマートの売上速報が公開された。最も気になる数字は既存店の売上が100.5%、特に、スーパーセンターとディスカウントストア、ネバーフッドマーケットの合計では100.3%と昨対ぎりぎりの数字であり、ここ最近では最も低い既存店の伸び率であったことである。ウォールマートはこれについて、昨年度はハリケーンの影響と改装の遅れがあり、既存店の売上伸び率が低くなったと説明しているが、次月、11月度以降の動きがどうなるかが注目であろう。ただ、新店に関しては順調に推移し、ウォールマート全体では111.7%と依然として高い成長が続いている。特に、西友を含む国際部門の伸びが著しく、国際部門だけで見ると、132.1%と高い数字で推移している。

  気になるウォールマートの株価であるが、10/23にウォールマートは来期の成長戦略を公表している。何と新店約650店舗、改装約200店舗の大計画であり、スーパーセンターだけでも300店舗弱の出店計画である。株価はこれに敏感に反応し、10/23は前日比103.8%の51.28ドルと今期最高値を更新した。しかも、売買高は5,000万株と通常の約5倍の大商いとなった。ただ、これがピークで、その後は株価が徐々に下がり、10月度の売上速報の発表がなされた11/2の株価は48.29ドル、前日比98.85%であった。売買高は約2,500万株とやや強い商いであったが、今回の数字を市場は冷静に受けとめているといえよう。来週以降の株価がどう動くかが気になるところだ。ちょっと気になるのは、10/23のインパクトがあまりに大きかったがゆえに、11/2の10月度の既存店の厳しい数字公表による株価ダウンを少しでもやわらげるためのものであったようにも受け取れ、ウォールマート自身もこの数字は厳しい結果と受けとめているように見える。

  さて、2006年10月度の全体の数字であるが、ウォールマートの売上部門は大きく3つに分かれている。スーパーセンター、ディスカウントセンター、ネバーフッドマーケットのウォールマート部門(64.6%)、サムズクラブ部門(12.0%)、国際部門(23.4%)であり、ウォールマート部門が全体の約65%を占める。ここ最近は国際部門の構成比が上がってきており、ウォールマートへの貢献度が高くなりつつある。まず、ウォールマート部門であるが、昨対107.7%と新店が寄与し、好調であった。39週累計では108.3%であるので、好調ではあるが既存店の影響で若干伸び率が低くなったといえよう。サムズクラブ部門は101.2%と伸び率が低く、39週累計では104.6%であるので、やはり10月度は厳しい数字であったといえよう。一方、国際部門は132.1%と好調を維持しており、39週累計が130.4%であるので、この10月度はさらに高い伸び率であり、いまや、国際部門のウォールマート全体への貢献度がますます増してきているといえよう。

  これに対して、既存店に関しては、トータルで100.5%、昨年が104.4%の伸びであり、39週トータルでも102.3%であるので、10月の既存店はハリケーン等の影響もあったかと思うが、厳しい数字であったといえよう。既存店の中身であるが、ウォールマートの既存店は2つに部門が分れ、ウォールマート部門とサムズクラブ部門である。ウォールマート部門は100.3%であり、39週累計が102.2%であり、さらに昨年の39週累計が103.5%であるので、やはり、この10月度は累計と比べても、昨対で見ても落ち込みが大きいのが実態である。逆にサムズクラブは102.0%と検討しているが、39週累計で見ると102.9%、昨年の39週累計が103.6%であるので、やはりウォールマート部門同様、厳しい既存店の数字であるといよう。

  ウォールマートはこの既存店の厳しい結果に対し、その原因を、特に、昨年のハリケーンの影響が大きいとしており、約1.7%程度の影響と見積もっている。特に、ハリケーン後に買い込み需要が長く続いたと見ており、今期の既存店に今後とも影響がでる可能性が高いと判断している。したがって、今期、ウォールマートが高い成長を維持してゆくためには、新店による成長と、既存店の改装が大きなポイントとなる。現在、スーパーセンターを主体にした新規出店が好調であり、さらに、国際部門も好調であるので、全体としては、今期、110%以上の成長は固いと思われる。また、来期に関しても、10/23に公表された2008年度の成長戦略が確実に実行に移されるか否かがウォールマートにとっては大きな成長の鍵を握っているといえよう。その意味で、今後、そして来期のウォールマートの課題は既存店の活性化に絞られてきたといえよう。

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November 03, 2006

セブンイレブン、98円、500mlペットボトル、茶飲料開発!

  11/2の日経新聞の1面に「セブンイレブン独自商品を21日発売」、「500ミリリットル98円低価格飲料」、「スーパーなどに対抗」という記事が掲載された。関連として、12面にも「セブンイレブンが低価格飲料」、「競合スーパー、飲料メーカー、価格戦略に影響も」、「コンビニの追随必至」という記事が掲載され、詳細に内容が報じられている。セブンイレブンはつい最近、調味料の一部を値下げしたばかりであり、昨年9月のペットボトル飲料の一部の15%値下げに続く、ここ最近では、第3弾の価格戦略の発動であり、コンビニエンスストア業界もいよいよ価格競争の時代に突入といえよう。今回の飲料は特に、緑茶、烏龍茶、麦茶の3品目に絞られており、セブンイレブンの独自開発であり、北海道を除く全国のセブンイレブンで展開するという。セブンイレブンの売上全体の1~2%の構成比を占め、その商品群を500ml、98円と大手コンビニエンス業界でははじめての100円を切る価格であるので、大きなインパクトである。しかも、コンビニエンス業界は全国の清涼飲料の出荷量の2割を越えるシェアを占めており、今回の動きは、清涼飲料メーカー、他の小売業態である食品スーパーマーケット、ドラックストア、ホームセンター等へも価格競争が広がる可能性が高いといえよう。

  今回、セブンイレブンが緑茶、烏龍茶、麦茶に絞り、500ml、98円という価格を打ち出した背景を家計調査月報の最新データ2006年9月度で確認してみたい。この3つの商品群は家計にとってどのような商品かであるが、家計調査月報では、飲料は大分類に属しており、小分類が3つあり、茶類、コーヒー・ココア、他の飲料と分かれる。飲料全体の消費金額は1世帯1日当たり129.57円であり、食品全体の6.6%にあたる。これら3つに分類がわかれ、それぞれ、小分類があり、全部で約10種類に分かれている。その中でNo.1の飲料は他の飲料の中の果物・野菜ジュースの27.27円であるが、No.2が茶類の中の茶飲料であり16.87円である。ただし、この中には緑茶は含まれておらず、緑茶は10.67円と、コーヒー・ココアの中のコーヒーの10.67円と並びNo.3である。しがたって、今回のセブンイレブンの開発商品の合計は緑茶、茶飲料、その他の茶類を含めると30円以上になり、飲料全体の約25%、食品全体の約1.5%、飲料全体はもちろん、食品全体にも影響をあたえかねない中核の商品に絞った価格戦略であることがわかる。

  ちなみに、緑茶は他の飲料と違い際立った特徴がある。2006年9月度の家計調査月報を客単価3D分析にもとづいて分析してみると、緑茶の消費額10.67円であるが、購入状況は全体の約20%が激しくリピートを繰り返しており、緑茶購入世帯だけで見た消費額は53.36円とすべての飲料の中で最高の数字である。カージナルスの田口選手ではないが、得点圏打率が極めて高い商品である。飲料すべての中で消費額の最も高い果物・野菜ジュースの27.27円はこの商品の購入世帯だけでみた場合は39.49円であり、緑茶よりもかなり低いことがわかる。そのかわり、この商品は全体の約70%が購入するという商品であり、その結果、消費額が大きくなる商品であるといえる。このように商品には限られた顧客が激しくリピートして消費額を高める商品とリピートはさほど激しくないが、より多くの顧客に支持され、消費額が大きくなる商品とあり、緑茶は飲料の中ではもちろん、全食品の中でもリピート性の極めて高い商品であることがわかる。

  セブンイレブンが今回、この緑茶に照準を絞ったのは、消費動向からみれば、きわめて理にかなったことであるといえよう。小、中商圏から広く集客をし、売上を上げる食品スーパーマーケット、ホームセンターと違い、近隣の限られた顧客からの来店頻度を促し、売上を上げるコンビニエンスにとっては緑茶はその意味で最適な商品であり、その価格を大きく値下げすることは非常にインパクトが強い政策であるといえよう。簡単にいえば、商品の売上を上げることよりも、顧客の来店を促す政策を意識しているといえ、客単価アップよりも、客数アップに重点をおいた政策であるといえよう。今後、セブンイレブンは、今回の試みを充分に検証し、このような商品群をさらに見出し、価格戦略を次々に打ち出してくる可能性が予想される。セブンイレブンの動向には食品スーパーマーケット業界としても、今回は注目である。

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November 02, 2006

家計調査月報、2006年9月度速報、10/31に公開!

  家計調査月報の2006年9月度が10/31、総務省統計局から公表された。家計調査月報は毎月前月の集計結果を翌月末に公開されるが、今月はまさに末、10/31の公開であった。この調査結果は1世帯当りの消費金額、購入頻度、購入数量、平均単価、そして、10,000世帯分比での購入世帯数を集計している。食品スーパーマーケット業界でも商圏調査、売上予測、マーチャンダイジング等に活用されているが、より、実態に即して活用するためには、いくつかの工夫が必要である。本ブログでは、消費金額については、食品スーパーマーケットの客単価と比較しやすいように、1日当りの購入金額に修正して活用している。また、ここ最近では、10,000世帯分比の購入世帯数を用い、購入世帯のみでの消費金額を算出し、客単価3D分析の手法も取り入れている。これらの工夫をもとに2006年9月度の集計結果を見てみると、外食を除く、食品合計では、1日1世帯当り、1,952.17円となり、昨年対比では98.7%であり、若干であるが、消費額が減少した。

  大分類で見て特に減少したのは、酒であり、昨年対比88.3%の103.17円であった。昨年は116.90円であったので13.73円の減少であった。特に、約40%構成比をもつビールが82.6%と減少し、38.30円となったことが大きかったといえよう。酒については、ビール以外に、清酒、焼ちゅう、ウイスキー、ぶどう酒、発泡酒、他の酒とあるが、伸びたのはウィスキー115.3%(3.27円)、清酒105.5%(14.63円)であり、あとは軒並みダウンと9月度の酒は昨年と比べ厳しい消費実態であったといえよう。ちなみに、酒は全購入世帯の約60%が購入する商品群であり、食品スーパーマーケットの商品の中では最も購入率の低い商品である。他の大分類は95%以上の購入率であるので、酒は食品の中でも限られた顧客により支持されている商品であり、文字通り、嗜好品といえる。ビールでも全世帯の34.0%であり、消費金額を上げるには、34%の顧客を見つけ出し、その顧客に購買を促すか、34%以外の新たな購入顧客を増やしてゆくことがポイントである。昨年と比べると、ビールの新規顧客は93.3%と減っているので、あれだけテレビCMをうっても新規顧客が増えていない実態が9月度の数字を見る限り浮かびあがっているといえよう。

  大分類で9月度、逆に伸びたのは野菜・海藻の102.9%(290.80円)と油脂・調味料の102.4%(99.67円)の2つであった。野菜・海藻については、相場との関係もあるかとは思うが、葉茎菜が108.6%(54.30円)とよく伸びている。特にキャベツが127.3%(7.30円)と最も高い伸び率であり、ついで、はくさいの115.4%(3.50円)と続く。これ以外にもレタス109.8%(7.10円)、ねぎ109.3%(8.27円)など高い伸びを示しており、すべての葉茎菜が昨対を上回っている。野菜・海藻は酒と違い、99.9%の世帯が購入している商品であり、全大分類の中でNo.1の購入率であり、いかに、食品の中核をしめているかがわかる。その中で、この葉茎菜については97.6%とやはり高い購入率である。今回、最も消費額の伸びたキャベツは75.8%と最も高く、はくさいの43.8%と比べると、同じ葉茎菜であっても大きな違いである。キャベツは昨年と比べると97.9%と新規顧客が増えているわけではないので、購入顧客の消費額、客単価PPIが増えているのが特徴である。

  上記以外に、個々の商品で9月度の特徴的な商品をいくつか見てみると、今回全商品の中で伸び率No.1はさば140.4%(4.17円)であった。しかも、購入世帯数も昨年と比べ128.7%と大きく伸び、27.0%となった。それでも、さばは27.0%の世帯しか購入していないが、購入世帯のみで見ると、消費額は15.41円であり、これも昨対109.1%と大きく伸びている。すなわち、さばがNo.1の伸び率となったのは、購入世帯もさばをいままで以上に購入し、さらに、新たに購入世帯を大幅に増やしたことが大きかったといえる。さばは、9月度は注目商品であったといえよう。

  また、ちょっと、興味深い動きを示している商品では、貝のかきである。まだ、0.30円と消費金額自体はけっして高くないが、伸び率が128.6%であり、消費世帯数もまだ1.6%とわずかではあるが、114.9%と急激に伸び始めている。購入世帯だけでみた消費額は18.52円とさばを越えており、かきを購入される方はしっかりかきを買い込まれているという数字である。この9月度はかきはまだ出初めであったが、この出だしの状況を見る限り、今年のかきの旬は期待できそうな兆候が現れているといえよう。

  このように、2006年9月度の家計調査月報の食品スーパーマーケットで取り扱っている商品でみた場合は全体としては若干の減少であったが、個々の商品ではダイナミックに動いている商品が数多くあり、これまでの単純な消費額の分析に加え、客単価3D分析の要素を加えると、その商品の伸びた、落ちた理由が購入世帯数の消費動向の問題であるか、それとも新たな顧客が増えているのか、減っているのかまでわかり、より、家計の消費実態に迫ることができる。また、今回のかきのように旬の商品がどのような展開を示すかの兆候をつかむ上にも重要な指標のひとつといえよう。家計調査月報もほぼ客単価3D分析の適用ができることがわかったので、今後、様々な場面で取り上げてゆきたい。

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November 01, 2006

PLANT、厳しい決算短信を公表、増収減益、営業利益は赤字に!

  10/27、PLANTが2006年9月期決算の決算短信を公表した。売上は新店が寄与し、大きく改善したが、半面、利益に関しては、非常に厳しい決算内容であり、営業段階では赤字に転落、経常利益、純利益も大幅減益となった。実際の数字をみてみると、売上は121.5%(775.44億円)、営業利益は2.1億円のマイナス、経常利益は-81.0%(0.8億円:売上対比0.10%)、当期純利益-99.8%(0.03億円:売上対比0.003%)という厳しい決算内容であった。これを受けて、10/30の株価は-11円、2.79%ダウンの382円で引けたが、この日、381円をつけ、上場来最安値を更新した。また、翌、10/31も-4円、1.04%ダウンの378円と上場来最安値を更新している。ただ、売買高は2~3万株であり、通常のPLANTの売買高並であり、投資家は株価の行方を慎重に見極めているといえよう。

  PLANTの株価はこの数ケ月異常な動きを示している。9/6、この日、いきなり、190.9万株、通常の取引の50倍以上の売買高となり、前日比87円高(118.08%)の568円と急騰した。しかも、この日は、一時692円の株価をつけ、ここ最近では最高の株価であった。それまで、PLANTの株価は450円前後で推移していたので、異常な売買が9/6発生したことになる。しかも、その後、株価は急落、9/20のPLANTの決算日まで急落し、株価は400円強まで下がった。その後、一進一退を繰り返し、10/20頃から400円を割り込み、10/31は378円という上場来最安値となった。

  さて、営業赤字となった損益計算書の中身であるが、売上総利益は17.8%と昨年の17.5%と比べると0.3ポイント上昇している。この17.8%の売上総利益率は過去6年間では最高の数字である。一方、販売費及び一般管理費であるが、18.1%と昨年の17.1%と比べ105.8%と1ポイント上昇している。この18.1%は過去6年間の推移を見ると13.8%、13.7%、14.5%、15.7%、17.1%、そして18.1%と、過去最高の数字であり、6年前と比べると131.1%の上昇であり、この数年の大量出店による諸経費が重くのしかかっているといえよう。その結果、営業利益は0.3%のマイナスとなった。これについて、決算短信では、値入率の見直しを行い、粗利率の改善をはかったが、既存店のリニューアルにともなう在庫処分のロスが発生し、0.3%の改善に留まってしまったという。一方、販売費及び一般管理費については、新店を中心に余剰人員の削減を図り、人件費を圧縮しようとしたが、競争激化の中でサービスレベルを落とすことができず、計画どおりに進まなかったという。

  一方、借入れに関しても、短期借入れ金は1億円減少したが、1年内返済予定の長期借入金は13億円強増えており、短期借入れ金合計では12億円強の増加となり、47億円強となった。また長期借入れ金に関しては、27億円強増え、100億円強となり、長短借入れ金は合計150億円弱となり、昨年と比べ約40億円の増加である。これは売上の20%弱となり、総資産に対しては、約50%弱となり、借入れ依存度が高く、大変厳しい状況である。しかも、PLANTの新規出店は主に金融機関からの借入れ金で賄っていることから、今後の資金調達に関しても厳しいものがあり、出店政策、既存店のリニューアル計画に影響がでかねない状況といえよう。

  これまでPLANTは圧倒的な品揃えと、超低価格を武器に急成長を遂げ、財務的にも低粗利であるにもかかわらず、ローコスト経営により、収益も確保してきた。しかし、ここへ来て、積極的な出店により、高い成長性は引き続き維持しているが、競合激化により既存店の数字が伸びず、結果的に固定費が大きな負担となり、これに出店にかかわる費用も加わわり、販売費および一般管理費が大きく増加し、収益が厳しい状況となった。しかも新規出店の資金調達が主に金融機関であったため、借入れ金がここへきて急激に増え、今後の資金調達も厳しい状況となりつつある。9/21からすでに新年度に入ったが、PLANTにとっては引き続き、厳しい経営状況がつづくといえ、経営戦略、ビジネスモデルそのものを根本的に見直さざるをえない厳しい状況であるといえよう。

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