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November 15, 2006

関西スーパー、中間決算、増収微減益、既存店は昨対上回る!

  11/13、関西スーパーマーケットの中間決算短信が公表された。本業の食品スーパーマーケットの経営状況を示す個別決算短信を見ると、売上は498.51億円(101.2%)、営業利益は7.79億円(99.6%:売上対比1.56%)、経常利益8.54億円(98.8%:売上対比1.71%)、当期純利益4.24億円(105.2%:売上対比0.85%)であり、増収ではあるが、当期純利益は増益となったものの、営業利益、経常利益では、わずかに減収となった。関西スーパーマーケットは経営目標を経常利益3%以上を目標としており、今回経常利益が1.71%と若干、昨年を下回り、経営目標達成には一層の経営改善が求められる。ただ、既存店の数字が、0.0%と昨年中間期の-2.9%から回復してきており、今後、既存店の活性化がすすめば固定費が相対的に削減され、経常利益への貢献度も増してくるといえよう。昨対で既存店割れ店舗も46店舗中21店舗となり、昨年中間期は45店舗中33店舗であった点からも12店舗の昨対を上回る店舗が増えており、既存店は回復基調にあるといえよう。

  関西スーパーマーケットは経常利益率3%以上が当面の経営目標であるが、そのための経営重点取組み課題として、3つの基本戦略を掲げている。足元商圏のシェアアップ戦略、経営効率向上戦略、成長戦略の3つである。足元商圏のシェアアップ戦略としては、生鮮、惣菜の強化が柱となっており、地域一番店と売上総利益高のアップが目標である。今回の中間決算での生鮮と惣菜の数字を見てみると、生鮮3品の構成比は38.9%から39.3%と0.4%高まっており、生鮮の構成比が若干アップしている。特に、青果の構成比が14.7%から15.5%へと、相場の影響もあると思われるが、生鮮3品の中ではNo.1であり、鮮魚の11.5%、精肉の12.3%と比べても最重点戦略部門であることがわかる。また、惣菜については、8.3%から8.1%へと若干下がっており、気になるところだ。特に惣菜は粗利率が41.0%と全部門の中で圧倒的に高い部門であり、この構成比があがることが粗利改善へも直結するため、今後の課題であろう。食品スーパーマーケット業界ではヤオコーの惣菜構成比は13%を優に越えていることを見ても、まだまだ惣菜の強化は充分に強化が可能であると思われる。

  経営効率向上戦略については、ローコスト経営を掲げて、競争に打ち勝つという目標をかかげている。実際、この中間決算の経費比率を見てみると25.9%から25.3%へと0.6%下がっており、絶対額でも昨年の124.53億円から123.43億円と1.1億円、経費削減がなされている。特に今回の決算では販売費が2.5%下がっているのが特徴であるが、今後、最も金額の大きい人件費、管理費をいかに下げるかが課題であろう。

  成長戦略については、損益分岐点の低い店づくりと人材育成を基本に、年間2店舗程度の新規出店と既存店の強化を重視するという方針である。出店エリアについては、今後は京都、奈良にも出店エリアとして検討してゆくという。この中間期では、兵庫県神戸市垂水区に舞多門店を新規出店し、既存店の改装としては関西スーパーマーケットベスト5に入る荒牧店(半期年商13.64億円:95.6%)を改装したという。ちなみに、現在No.1は高槻店(半期年商17.82億円:105.3%)、No.2はフェスタ立花店(半期年商15.6億円、97%)、No.3は大社店(半期年商15.15億円:101.3%)である。関西スーパーマーケットの平均的な食品スーパーマーケットは客数3,138人/日、客単価1,645円、PI値994%(1人当たり9.94個)、平均単価164.65円である。

  一方、財務について見てみると、有利子負債が依然として少し高めの水準、137億円(年商の10%強)であり、昨年対比3.62億円増加している。ただ、短期借入金から長期借入金へ比重が移っているため流動比率は61.1%から96.8%へと改善しているが、固定比率は依然として183%と昨年の中間決算の189%より、若干下がった程度である。今後、この有利子負債を削減するためにも経営目標の経常利益3%以上が今後の大きな課題といえよう。

  このように、この8月度の関西スーパーマーケットの中間決算は増収微減益であったが、既存店の数字も下げ止まりが見られ、昨対割れ店舗も大きく減少した。今後、増収増益に転じ、経営目標の経常利益3%を達成するためには、この中間決算の数字を見る限りでは、特に惣菜の強化が鍵を握っていると思われる。現状の構成比8.1%は惣菜の強い食品スーパーマーケットと比べると、商圏特性から考えても、まだまだ伸びる余地があるといえ、これを9%から10%に引きあげるマーチャンダイジングの改善が大きな鍵を握っているといえる。また、既存店の昨対も0%まで来たので、これが数%の改善にまで進むと、経費比率も固定費が相殺され、大きく改善されるので、既存店の活性化がもうひとつの課題であろう。本決算へ向けての、関西スーパーマーケットの今後の取り組みに注目したい。

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