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December 2006

December 31, 2006

食品スーパーマーケット、12/29、大納会の株価!

  12/29、株式市場今年最後の株式取引、大納会となり、日経平均は17,225円(1.2円高)となり、年間では6.9%(1,114円)高であった。そこで、本ブログでは、この日の食品スーパーマーケット上場企業の株価および、今週の株価の状況について見てみたい。大納会、12/29に最高の株価となった食品スーパーマーケットはオオゼキの3,480円(120円、3.57%)であった。また、5日移動平均乖離率No.1の食品スーパーマーケットはPLANTであり、393円(乖離率5.08%)であり、小売業全約400社の中でも11番目という、短期の株価の上昇率であった。

  まず、大納会、12/29の今年最後の食品スーパーマーケット業界の株価を見てみたい。No.1の上昇率はオオゼキの3,480円(120円、3.57%)であったが、No.2はアオキスーパーの845円(20円、2.42%)、No.3はマルヤ517円(9円、1.77%)、No.4はカウボーイ246円(4円、1.65%)、No.6はユーストア926円(14円、1.53%)、No.7はポスフール469円(7円、1.51%)、No.8はマックスバリュ北海道1,748円(18円、1.04%)、No.9は東急ストア645円(5円、0.78%)、そして、No.10はマルエツ524円(4円、0.76%)であった。この中でも注目はオオゼキであり、小売業全体でも8番目の株価上昇率であり、12/29は食品スーパーマーケット業界ではオオゼキに買いが集まったといえよう。
 
  一方、5日移動平均乖離率でみた場合、すなわち、短期で株価が上昇している食品スーパーマーケットNo.1はPLANTであり、393円(乖離率5.08%)であるが、No.2はマルヤ517円(3.81%)、No.3はオオゼキ3480円(3.44%)、No.4はアークランドサカモト1,715円(2.75%)、No.5はユーストア926円(2.43%)、No.6はポスフール469円(2.17%)、No.7はカウボーイ246円(2.07%)、No.8はアオキスーパー845円(2.05%)、No.9はライフコーポレーション1,732円(1.64%)、そして、No.10はOLMPIC 801円(1.39%)であった。この中で大納会の株価上昇率ベスト10共通の食品スーパーマーケットはオオゼキ、マルヤ、ユーストア、ポスフール、カウボーイであり、ここ最近、投資家から注目されている株といえよう。

  そこで、この5社についてここ最近の株価の推移を見てみたい。オオゼキであるが、オオゼキの株価は12月に入り前半は厳しい株価が続き、先週までは下げ基調で株価が推移し、一時、3,290円まで株価が下がったが、今週に入り株価が持ち直し、12/25以降上昇基調となり、大納会の12/29は120円(3.57%)アップの3,480円となった。来年、大発会の株価が注目である。マルヤ、ユーストア、ポスフールについてもオオゼキ同様の動きであり、先週までは株価が下がり基調であったが、今週、12/25以降株価が上昇に転じ、大納会でマルヤは9円(1.77%)アップの517円、ユーストアは14円(1.53%)アップの926円、ポスフールは7円(1.51%)アップの469円となった。これに対し、カウボーイはM&Aによる経営権の移転の発表があった12月の中旬以降株価は300円強から250円弱まで大きく下げ、その後、先週、今週とほぼ横ばいがつづいている状況である。

  これに対し、短期だけではなく、中期の移動平均乖離率も考慮し、ここ最近、株価が上昇基調な食品スーパーマーケットを見てみると、ライフコーポレーション、フジ、ヤオコー、丸久の4社の株価がここ1ケ月上場基調で推移しているといえる。ライフコーポレーションは、11月下旬までは下げ基調で株価が推移し、11/28、年初来最安値となる1,375円まで下がったが、その後、反転、ここ1ケ月以上、上昇基調で推移し、大納会の12/29は1,732円となった。フジも同様、11月中旬は1,800円を割り込む厳しい株価であったが、その後、株価が反転、上昇基調で推移しており、大納会では1,905円であった。ヤオコーについても、11月中旬は2,650円前後の株価であったが、その後、反転し、株価は上昇基調で推移し、大納会では2,950円であり、3,000円真近の株価である。ヤオコーの上場来高値は2005年12月9日の3,190円であるので、そこに迫る勢いであり、来年の株価には注目である。そして、もう1社、丸久であるが、12/27に一時、年初来高値の1,600円をつけ、終値は1,500円、大納会も1,500円で終了したが、今年、最も注目の食品スーパーマーケットの株価であったといえよう。10月末までは1,000円強で横ばいであった株価であるが、その後、株価が急上昇を続け、この2ケ月間、一貫して上昇基調で推移している。来年も注目の株であるといえよう。

  このように大納会の食品スーパーマーケットの株価は全体として小幅な値動きであたといえる。食品スーパーマーケット業界は2月、3月決算企業が大半であるため、来年早々にはほぼ大勢が判明するので、大発会以降の株価には注目であろう。その中でも、ライフコーポレーション、フジ、ヤオコー、丸久の4社についてはここ最近、明らかな上昇基調で株価が推移しており、特に注目の株価といえよう。

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December 30, 2006

食品スーパーマーケット、第3四半期決算、好調企業を見る!

  食品スーパーマーケットの2007年2月期の第3四半期決算の公表がピークを迎えている。今回はその中でも、増収増益となった好調な企業を取り上げて見たい。広島のハローズ、マックスバリュ中部、東武ストア、そして、はじめて第1四半期決算を公表したマックスバリュ東海である。この4社は特に、現在、公表されはじめた食品スーパーマーケットの第3四半期決算の中でも好調な数字を維持しており、新規出店、既存店の改装と積極的な営業政策がなされており、特に、既存店も好調に推移しているのが共通している。本決算も期待が持てそうであり、今後、株価の推移も注目されよう。

  ハローズが12/27、2007年2月期の第3四半期決算を公表した。売上は386.1億円(111.1%)、営業利益12.4億円(117.9%:売上対比3.21%)、経常利益12.3億円(117.8%:売上対比3.1%)、当期純利益6.5億円(118.9%:売上対比1.6%)と大幅な増収増益であった。好調の原因は、ハローズの収益性の高い600坪型ニューフォーマットの出店、NSC(近隣型ショッピングセンター)への積極的な挑戦にあるといえよう。4月には岡山県倉敷市に田ノ上店、11月にも同じく岡山県倉敷市に羽島店、広島県福山市にスクラップ&ビルドで伊勢丘店をいずも600坪タイプで新規出店をしている。また、3月には岡山県岡山市の既存店、津高店をドラックストアを誘致するなどし、NSC化をはかった。この結果、岡山県内でのドミナントが着々と進み、14店舗、全店では広島の19店舗を入れ、33店舗となった。実際、ハローズの粗利率、経費率、営業利益率を見てみると、粗利率は24.9%から25.2%へと0.3ポイントアップし、経費率が21.8%から21.9%へとわずかにダウンしたが、結果、営業利益3.0%から3.2%へと0.2ポイント改善しており、粗利率への貢献が大きかったといえよう。

  マックスバリュ西日本も12/20、2007年2月期の第3四半期決算を公表した。売上1,358.3億円(104.0%)、営業利益45.8億円(123.0%:売上対比3.3%)、経常利益47.9億円(120.7%:売上対比3.5%)、当期純利益20.8億円(379.7%、売上対比1.5%)と増収大幅増益となった。既存店も100%を越え、順調であり、積極的な新規出店が売上、利益に寄与し、特に11/21には四国1号店となるマックスバリュ今治阿方店を出店し、四国も新たなドミナントエリアとなった。現在、マックスバリュ西日本は兵庫県が約50%、広島県、山口県が約20%、岡山県が6%強の売上構成比であるが、四国が加わることにより、ドミナントエリアが広がり、さらに、今後成長が期待できるといえよう。

  12/22、東武ストアも第3四半期決算を公表した。売上593.6億円(102.1%)、営業利益16.1億円(112.1%:売上対比2.7%)、経常利益16.6億円(118.0%:2.7%)、当期純利益11.0億円(120.7%:売上対比1.8%)と増収大幅増益であった。昨年同時期が減収減益の厳しい決算であったので、今期は好調に推移しているといえよう。新店も埼玉県草加市に草加手代町店、東京都墨田区に業平店の2店舗を出店した。また既存店も積極的に改装を行い、9店舗を実施したという。さらに、ポイントカードも全店に導入するなど積極的な営業政策がはかられ、好調な結果となったといえよう。

  そして、マックスバリュ東海も2007年2月期の第3四半期決算を12/22、今期はじめて公表した。昨対はないが、売上749.0億円、営業利益31.1億円(売上対比4.1%)、経常利益30.7億円(売上対比4.1%)、当期純利益18.2億円(売上対比2.4%)であった。今期、既存店が食品スーパーマーケット業界の中でも好調であり、104.5%で推移しいるという。また、新店も積極的に出店しており、10月に静岡県下田市にマックスバリュ下田銀座店、11月に愛知県豊橋市にマックスバリュ豊橋南店、静岡県御殿場市にマックスバリュ富士岡店を出店した他、M&Aで東海マート5店舗を取得し、10/19に5店舗同時オープンしている。マックスバリュ東海は現在、食品スーパーマーケット業界の中でも、成長性、収益性の面で最も注目すべき食品スーパーマーケットといえよう。

  このように、この4社はいずれも好調な食品スーパーマーケットであり、本決算も期待が持てそうである。今後、年始に入ってもさらに2007年2月期決算の食品スーパーマーケットの第3四半期決算が公表され、1月中旬以降は2007年3月期の第3四半期決算が公表さはじめる。現在、食品スーパーマーケット業界は54社が上場しているが、その内34社が2月期決算企業であり、11社が3月期決算企業であるので、2月、3月期合計で80%強となり、大半の食品スーパーマーケットの第3四半期決算の公表がこの数ケ月に集中する。本ブログでも順次、決算情報はフォローして行く予定である。

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December 29, 2006

今年の年末商戦、ちらしに見る鮮魚、惣菜の訴求!

  食品スーパーマーケット最大のイベント年末商戦が始まろうとしている。本ブログでも12/26に家計調査データからみた年末商戦を取り上げたが、今回は実際の主要食品スーパーマーケットの年末商戦、特に鮮魚と惣菜に絞り、今年の年末商戦の現況をちらしで見てみたい。家計調査データを見る限りでは年末は12/29、30、31の3日間が極端に食品の消費額が跳ね上がり、特に、12/31にピークとなるが、サミットのちらしでは、12/28から12/31までの4日間のちらしとなっており、1日前の12/28から年末商戦がはじまっているといえる。ヨークベニマルも同様、12/28から12/31までの4日間であり、沖縄のサンエーも12/28から12/31までの4日間である。一方、オオゼキのちらしは12/27から12/31のちらしとなっており、もう1日前、12/27から年末商戦がはじまっている。また、超リアルな動画でネットスーパーをオープンしたオオクワでは12/31までネットスーパーの売場改装を実施しており、現在、動画でのアクセスができない状況である。12/31には年末特有の売場がネット上に登場するというので、12/31には必見である。

  さて、サミットの年末商戦のちらしであるが、新聞紙大のちらしが頒布され、表は全面お正月特集である。生鮮3品、鮮魚、精肉、青果と総菜の4部門のみでの構成であり、重点商品が明確なちらしである。左上に年末商戦最重点部門鮮魚を配置し、右下にもうひとつの最重点部門総菜を配置している。鮮魚では生本まぐろを全面に訴求し、メキシコ産生本マグロ中トロ100g880円、生本マグロ1パック980円、太平洋産大めばち中トロ100g680円、大めばち赤み2冊990円がメインである。さらに、えび・かに特集として、ロシア産たらばがにスライス1,980円、インド産天然ホワイト特大12尾1,680円、インドネシア産有頭えび特々大1尾298円、特大6尾1,480円と年末特有の鮮魚に絞り込んだ訴求である。一方、表面右下の惣菜に関しては握り寿司をメインに舞10コ入798円、宴16コ入1,280円を全面に出し、串揚・スナック1本100円セール、えびフリッター10尾298円、えびフライ8尾388円、もも唐揚100g168円が訴求されている。さらにお雑煮を特集し、国内産赤どり2割引き、越後生一番切りもち1kg658円、国内産若どりもも肉100g118円の訴求である。このように表面では年末商戦メインの鮮魚と総菜を大きく打ち出しているのが特徴である。

  これに対し、オオゼキのちらしは少し変わっている。表面は12/27から12/31までの4日間であるが、裏面に生鮮特集を組み、しかも、12/27から12/29の3日間に限定している。12/30、31は別途ちらしが入るのかもしれないが、裏面は12/29までの限定である。しかも、メインの鮮魚であるが、まぐろが全く訴求されていない内容であり、かにとえびが最重点商品となっている。極太生たらばがに1.6kg1肩7,800円、ロシア産ボイル本たらばがにカット1パック2,980円、本ボイルたらばがに1肩1,980円の3品がメインである。これに加え、オーストラリア産天然有頭えび6尾980円、インドネシア産ブラックタイガー海老12尾980円、天然車海老8尾1,580円である。さらに、ぶり、たこ、いくら、かずの子が鮮魚コーナーで訴求されているのが特徴である。また、惣菜はテナントのためか、ちらしには全く掲載されていない。12/28の年末商戦のちらしとしてはまぐろがないのが珍しいちらしといえよう。

  ヨークベニマルでは、表左上に鮮魚と惣菜特集が組まれ、鮮魚では活じめ真だい100g480円、インドネシア産有頭えび1尾298円、ベトナム産ブラックタイガーえび1パック980円、エクアドル産紅ぼたんえび1パック580円、マダカスカル産有頭ボイルえび1パック798円、愛媛県産、日出さんこだわり活じめぶり切身3切れ680円、トロ100g298円、そして、静岡県産めばちまぐろ100g298円、刺身盛合せ6点セット1,580円、ロシア産ボイルたらばかに1肩2,980円、ボイル切たらばがに100g398円、ボイルずわいがに肩スライス100g298円など豊富な鮮魚の訴求である。また、そのすぐ横に、寿司の訴求があり、生寿司彩1パック2,380円、彩り手巻き寿司1パック980円の2品が訴求されている。

  沖縄のサンエーの年末商戦のちらしは最も特徴的であり、表左上に大きくオードブルと寿司の盛合せ特集を組んでいる。オードブル大5,500円、オードブル中4,500円、ミニオードブル2,780円の大中小セットに加え、寿司盛合せも8~9人前5,250円、6~7人前3,980円、4~5人前2,980円の大中小セットであり、これがメインのちらしとなっている。また寿司はこれ以外にも大トロ入り29カン入り5,000円、48カン5,000円、36カン3,600円があり、さらに、このコーナーに刺身盛合せ12点盛4,980円、10点盛3,980円、8点盛2,980円と3品関連で訴求している。また鮮魚についてはえびをメインにインド産12尾1,480円、24尾、12尾980円、ベトナム産尾付伸ばしL680円、キューバ産ロブスター980円、きはだまぐろ300g1,000円、ぶりあら100g58円、ぶり刺身用100g278円、真だい1尾1280円、数の子100g398円、200g598円、ペルー産中華いか100g88円である。

  このように年末商戦の主要食品スーパーマーケットのちらし、特にメインの鮮魚と惣菜を見てみると各社の年末商戦の商品戦略の違いが明確である。サミット、オオゼキ、ヨークベニマルは鮮魚をメインにもってきているが、サンエーは惣菜がメインである。12/31に照準を絞るのであればサンエーのように惣菜が最も訴求力があるちらしであり、29日、30日、31日、3日間平均を訴求するのであれば、鮮魚がメインになろう。さらに、鮮魚の中でも、まぐろを全面に出したサミット、えび・かにを全目に出したオオゼキ、ヨークベニマルと各社の違いが明確であり、年末の顧客の動向が注目されよう。

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December 28, 2006

家計調査データ、2006年11月度速報、食品微増、昨対100.4%!

  12/26、総務庁統計局から2006年11月度の家計調査データが公表された。今月は年末年始をはさむせいか、少し早めの公表であった。外食を除く、食品の合計を食品スーパーマーケットの客単価に合わせ、1日当たりで見てみると、1,957.23円と昨対では100.4%で微増であった。本ブログでは家計調査データについては、食品スーパーマーケットの客単価と比較しやすいように1日当たりに換算して、算出している。また、ここ最近では、客単価3D分析の手法もいれ、購入世帯のみの1日当りの消費額、購入世帯割合も算出し、全世帯平均の消費額が購入世帯の消費額が増えたのか、購入世帯が増えたのかの原因がつかめるように工夫している。

  さて、全体は100.4%であったが、大分類を見てみると、伸びた部門は菓子の105.2%(189.8円)、飲料103.7%(117.0円)、果物103.4%(102.4円)、油脂・調味料103.2%(114.3円)の4部門であり、逆に、この11月、厳しかった部門は乳卵類96.8%(106.7%)、野菜・海藻97.6%(264.7円)、酒98.6%(116.1円)、穀類98.6%(214.1円)の4部門であった。家計調査データは食品では11分類であるので、残り3部門、魚介類100.9%(248.8円)、肉類101.2%(209.9円)、調理食品99.0%(273.0円)であった。

  この11月度で昨対伸び率No.1の菓子は購入世帯のみの消費額が105.3%、購入世帯数は99.9%であるので、菓子の購入客数は横ばいであるが、菓子の購入世帯の消費額が増えているのが特徴である。特に、ようかん(108.2%:平均消費額、107.6%:購入世帯のみの消費額、100.6%:購入世帯数)、チョコレート菓子(110.7%、109.0%、101.6%)スナック菓子(104.4%、103.4%、100.9%)の貢献度が高い。また、逆に、菓子は購入世帯数を大きく伸ばしたものもあり、まんじゅう(119.1%、98.5%、121.0%)、ゼリー(117.5%、104.6%、112.3%)、プリン(117.3%、105.8%、110.9%)、カステラ(111.9%、102.8%、108.9%)、アイスクリーム・シャーベット(106.7%、100.3%、106.3%)などもあり、菓子は11月度は好調な部門であったといえよう。

  また、飲料については、紅茶(115.6%、119.5%、96.8%)、茶飲料(112.0%、107.0%、104.7%)が購入世帯当りの消費額を伸ばしており、また、逆に、ミネラルウォーター(116.6%、99.6%、117.0%)、炭酸飲料(103.9%、98.2%、105.8%)など、購入世帯数を増やしているものもある。果物については、みかん(108.1%、117.1%、92.3%)、かき(122.2%、125.5%、97.4%)、メロン(120.7%、131.5%、91.8%)と明確な購入世帯当りの消費額を伸ばしているものが多い。逆に購入世帯数を伸ばした果物は、ほとんどなく、果物は全体として、高値相場であったためか、購入世帯数が下がり、購入世帯のみの消費額があがり、全体の消費額を押上げているという状況である。

  一方、11月度の昨対伸び率が厳しかった乳卵類であるが、牛乳の落ち込みが大きく、(91.8%、92.9%、98.9%)と全体では10%弱、購入世帯のみの消費額も購入世帯数も減っているのが原因で深刻な状況といえる。また、卵も(98.8%、98.3%、100.4%)とこの2項目が落ち込んだことが大きかったといえる。野菜・海藻に関しては、はくさい(81.4%、83.9%、97.1%)、ほうれんそう(82.0%、86.0%、95.3%)、レタス(82.3%、83.9%、98.1%)、きゅうり(86.0%、82.3%、104.5%)と80%台のものが大きく全体を引き下げている。また、乾物・海藻についても、豆類(74.3%、86.5%、85.9%)、はくさい漬(85.3%、98.7%、86.4%)、だいこん漬(89.7%、102.5%、87.6%)と厳しい項目が続く。ただ、その中でも、トマト(112.2%、98.4%、114.0%)、なす(110.7%、99.0%、111.8%)、干ししいたけ(129.8%、126.3%、102.8%)と好調なものある。

  このように2006年11月度は全体としては100.4%と昨対並で推移したが、中身を見ると、4勝4敗3引き分けといった状況であり、全体としバランスがとれた11月であったといえよう。当面、菓子、果物、飲料をどこまで伸ばし、乳卵類、野菜・海藻、酒をどこまで下げ止めるかがポイントであり、メリハリのついた重点部門の重点管理政策がポイントであろう。

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December 27, 2006

食品スーパーマーケット、第3四半期決算、公表はじまる!

  12/25、イズミヤが第3四半期決算を公表した。先週あたりから食品スーパーマーケット業界でも第3四半期決算の公表がはじまり、今週から来年はじめにかけてピークをむかえるものといえよう。現在は2007年2月度の決算企業が主であるが、1月中旬からは2007年3月度の決算企業の第3四半期決算が公表されはじめ、2月前半には2月、3月決算企業の第3四半期決算がでそろう予定である。本ブログでも積極的に第1四半期、中間決算同様、第3四半期についても取り上げてゆきたい。

  さて、イズミヤの第3四半期決算の結果であるが、売上2,809.1億円(104.0%)、営業利益38.8億円(108.7%、売上対比1.38%)、経常利益32.3億円(111.7%、売上対比1.14%)、当期純利益13.5億円(前期マイナス、売上対比0.48%)と増収増益であった。増収の要因は新規出店が兵庫県神戸市に出店したGMSのハーバーランド店と同じく兵庫県神戸市に出店した食品スーパーマーケットの鵯越店の2店舗であり、今期に関してはスーパーセンターの出店はなかった。イズミヤは今後、スーパーセンターとGMS、食品スーパーマーケットを戦略的に出店してゆくという。一方、増益の要因であるが、売上総利益は30.2%から30.1%へと0.1ポイント下がったが、不動産等の営業収入が2.6%から2.8%へと0.2ポイント改善し、全体の粗利が32.8%から32.9%へと0.1ポイント改善したことが大きかった。経費は31.4%から31.5%へと0.1ポイントアップしたので、差引き営業利益はプラスマイナス0となり、増収の分がそっくり、増益になった構図である。また、既存店については、昨年の阪神タイガース優勝セールの影響で客数は厳しいものの、客単価は堅調であるという。このように、イズミヤの第3四半期決算は好調に推移し、本決算も期待がもてそうである。

  イズミヤ以外にも先週、今週と第3四半期決算を公表した食品スーパーマーケットがあるので、主な企業を見てみたい。まず、12/19に第3四半期決算を公表した平和堂であるが、売上3,002.0億円(105.9%)、営業利益77.2億円(97.8%、売上対比2.57%)、経常利益75.9億円(99.2%、売上対比2.52%)、当期純利益34.7億円(前期マイナス、売上対比1.15%)と増収減益であった。ただし、単体では売上2,607.8億円(104.3%)、経常利益67.6億円(106.1%、売上対比2.59%)、当期純利益37.79億円(売上対比1.44%)と増収増益であった。全体が減益となった理由は、平和堂東海の尾西店立替の費用、経営統合したヤナゲンストアの改装費用等がかかったためであるという。実際、連結で減益になった要因を見てみると、売上総利益が29.6%から29.2%と0.4ポイント下がっており、これをカバーする形で不動産等の営業収入が6.8%から7.2%と0.4ポイントアップし、差引き、営業総利益は昨年とかわらず、経費が33.5%から33.6%と0.1ポイント増加し、この経費増加分が営業利益2.9%が2.8%と0.1ポイント下がった要因といえる。ただ、気になるのは売上総利益が0.4ポイント落ちていることであり、競合の激化、粗利の高い衣料品等の苦戦が大きかったものと推測される。

  次に、オオクワであるが、売上1,799.8億円(104.1%)、営業利益46.8億円(114.4%、売上対比2.60%)、経常利益47.5億円(116.6%、売上対比2.63%)、当期純利益25.7億円(118.5%、売上対比1.42%)と増収大幅な増益と好調な第3四半期決算であった。オオクワはここ最近、低価格食品スーパーマーケット業態であるプライスカットを新規出店、既存の食品スーパーマーケットの業態転換を進めており、この第3四半期でも和歌山県田辺市にプライスカット田辺下万呂店をオープンさせ、プライスカットはこれで、23店舗となり、オオクワの主力業態のひとつとして確立されたといえよう。実際、売上総利益は25.7%から25.2%へと0.5ポイント下がり、不動産収入等を加えた営業総利益も29.3%から28.7%へと0.6ポイントさがっているが、販管費が26.8%から26.0%と劇的に下がっており、結果、営業利益が2.5%から2.7%へとアップし、これが増収とあいまって114.4%という大幅な営業利益を確保したといえよう。プライスカットがオオクワの経営へのインパクトが増してきているといえよう。

  このように、今回はイズミヤ、平和堂、オオクワの3社を取り上げたが、3社とも増収基調は共通しており、11月度の売上速報を見ても同様の傾向であり、食品スーパーマーケット業界の好調さを現しているといえよう。現在、食品スーパーマーケット業界の第3四半期決算が続々と公表されはじめているが、本ブログでも今後ともしっかりフォローしてゆきたい。

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December 26, 2006

家計調査データに見る、食品スーパーマーケットの年末商戦!

  今年も早いもので、残すところ、あと数日である。食品スーパーマーケットにおいてはこの数日間が大変重要な日々であり、年間最大のイベントがもうすぐはじまるといってよい。食品スーパーマーケットにとって年間最大の売上は12/29、30、31の3日間の年末であるといえる。それを象徴する言葉として、この年末3日間を年末商戦ともいい、年末3日間は特別な販促が組まれ、店舗そのものの売場もがらっと変わる。では、実際、年末3日間で何が売れるのかを、昨年の12/29、30、31の家計調査データをもとにみてみたい。家計調査データは月報の中で日別データを公表しており、昨年12月度の日別データを各項目ごとに、12月平均と比べることによってその特徴が明確に浮かびあがる。残念ながら、日別データは全国データのみであり、地域別では公表されていないので、全国平均のデータとなるが、年末特有の特徴は充分に反映されているといえ、実務的にも参考となる貴重なデータといえよう。

  まず、大分類でみた場合、12/31にもっとも跳ね上がるNo.1は総菜であり、通常の455.0%となり、断トツトップである。12/30が209.2%、12/29が131.4%であるので、特に12/31が異常に跳ね上がるといえる。消費金額が1,750円であるので、通常の食品全体の客単価そのものに近い数字であり、この日は総菜が食品スーパーマーケットの主役といえよう。その理由は、年末特有の分類不能の年末正月商品が異常に高く1,300.3円(819.3%)と1,750円の約75%となり、これが総菜全体を押上げている。これに加え、12/31は、寿司が455.6%(185.4円)、天プラ・フライ374.0%(108.4円)と続き、この3大項目で全体の90%を越える。独特な総菜売場が12/31には出来上がるといえよう。

  これについで、12/31に跳ね上がるNo.2の分類は鮮魚であり、通常の323.8%の1404.7円である。総菜と違い、12/30も324.9%と高く、12/29も212.8%と高いのが特徴である。総菜は12/31に特に集中するのに対し、鮮魚は12/29から異常値となり、30、31はほぼ同じ消費額で推移するのが特徴といえる。特に異常に跳ね上がる項目を見ると、ベスト5はNo.1が刺身盛合せ854.7%(194.1円)、No.2がたい672.4%(37.96円)、No.3がぶり650.3%(143.6円)、No.4がかに568.7%(186.9円)、No.5が他の貝類535.4%(12.7円)である。ちなみにマグロはNo.6であり、517.3%(140.5円)である。これ以外にも200%、300%の鮮魚がたくさんあり、年末3日間はいかに鮮魚のニーズが高いかがわかる。

  総菜、鮮魚以外に年末跳ね上がる分類は241.1%の精肉、238.9%の酒と続く、精肉では牛肉が異常値であり、479.3%(432.7円)となる。酒ではほぼ全面的に高く、ビール288.1%(190.7円)、清酒277.6%(136.8円)、ウイスキー237.3%(14.1円)となる。これついで、菓子が172.1と高いのが特徴である。特に、ようかん398.2%(11.6円)、まんじゅう345.8%(14.5円)、他の和生菓子309.8%(81.2円)と和菓子が高くなるのが特徴といえる。意外なのが青果であり、野菜は136.8%、果物は155.5%とやや果物が高い傾向を示すが、それほど跳ね上がるとはいえず、通常よりもやや高い程度である。ただし、ここの項目では、野菜で、さやまめ224.3%(7.0円)、生しいたけ220.5%(18.2円)、果物ですいか635.5%(0.4円)、いちご358.8%(42.4円)、グレープフルーツ223.2%(1.08円)などもある。

  一方、年末だからといって、あまり大きく跳ね上がらない分類としては、洋日配101.0%、調味料108.9%、米 69.1%、パン67.8%などがある。洋日配では特に牛乳102.2%、乳製品99.6%、ヨーグルト79.9%、バター58.1%、卵100.5%と100%そこそこの項目が続く。調味料でも食用油109.1%、食塩103.7%、しょうゆ108.7%、みそ79.8%、砂糖94.4%と主要項目がほとんど100%そこそこである。ただ、つゆ・たれはさすがに209.5%と高い。意外なのは酢が146.9%と高く、12/30も160.7%、12/29も139.0%である。もうひとつ、ふりかけも139.0%、12/30も124.7%、12/29も133.4%と年末特有の項目であることがわかる。年末であるからといって、洋日配、調味料類はほぼ通常なみの動きで推移しているようである。

  最後に、衣食住すべての項目の中で、年末ベスト10を見てみたい。さしみ盛合わせ854.7%(194.1円)、たい672.4%(37.9円)、旅行用かばん 654.6%(5.4円)、ぶり650.3%(143.6円)、すいか635.5%(0.41円)、かに568.7%(186.9円)、他の貝535.4%(12.7円)、まぐろ517.3%(140.5円)、たこ487.0%(32.0円)、牛肉479.3%(432.7円)となり、かばん以外すべて食品で占められる。ちなみに、住居関連は27.3%、衣料関連は65.1%と年末は極端に通常よりも数字が下がり、まさに年末商戦とは食品特有の現象であることがわかる。

  このように、家計調査データの日別データで昨年の12/31、12/30、12/29の日別の消費額を見てみると食品スーパーマーケット特有の年末商戦の実態が明確に浮かび上がってくるといえ、年末は通常の4倍、5倍売れるものが、特に総菜、鮮魚で続出するので、この2大部門を中心に売場をつくりかえることと、商品の在庫の十分な確保とオペレーションの体制づくりが勝敗を決めるといえよう。今年の年末商戦の結果は家計調査データでは1月末の公表となるが、再度、本ブログでも取り上げてみたい。

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December 25, 2006

7&Iホールディングス、チームMDからグループMDへ

  12/19、7&Iホールディングスの新たな挑戦がスタートした。これまで、チームMD(マーチャンダイジング)をセブンイレブン、イトーヨーカ堂などグループ各社が独自に進めてきたメーカーとの商品共同開発を、7&Iホールディングスグループ全体で進めてゆこうという試みである。ネーミングもチームマーチャンダイジングからグループマーチャンダイジングという呼称となり、グループMD改革プロジェクトがスタートした。昨年9月に7&Iホールディングス発足以来のグループ全体としてのマーチャンダイジング政策における初の試みである。

  このグループMDプロジェクトの下には、グループMD部会とグループ開発会議の2大組織があり、参加グループはセブンイレブンジャパン、イトーヨーカドー、ヨークベニマル、ヨークマート、シェルガーデンの5社で構成される。グループMD部会ではコンセプト(商品戦略)、品質基準(商品政策)、管理基準の3つのテーマのもとに事業計画を策定することが主な目的である。一方、グループ開発会議では、商品の基本設計、数量計画、物流計画の3つをテーマに、グループMD部会で立案された事業計画を具現化することが目的であり、さらに、下部組織として、部会で承認されたニーズのもとに開発チームが組織され、アウトソーソーシング部会(原材料メーカー、製造メーカー、容器・デザインメーカー)と組み、商品開発を実施してゆくという仕組みである。当面、5社、72名で構成され、11部会26チームが動き始めるという。

  すでに、来春、2007年春の数値計画が決まっており、デイリー商品30アイテム、加工食品70アイテムの合計100アイテムを開発してゆく予定であり、年内にはこれを300アイテム、年商では500億円の計画である。1アイテム平均1.6億円の計算となるので、開発チームは1アイテム1.6億円平均の売上を達成することになるといえよう。また、3年後には7&Iホールディングスグループ全体で1,000から2,000アイテム、合計1.8兆円の売上目標を立てており、これはデイリー、食品の15%から20%の売上構成比となるという。また、デイリーの具体的なカテゴリーは和総菜、ヨーグルト、デザート、チルド牛乳、乳飲料などであり、加工食品は乾物・お茶、調味料、飲料、嗜好品、カップ麺、菓子などが主なカテゴリーである。当然、将来はさらにカテゴリーが広がり、あらゆるカテゴリーで取り組んでゆくことになろう。

  今回のグループマーチャンダイジングの目的のひとつはセブンイレブン・ジャパンが培ってきた商品開発の手法をグループ全体で共有化し、拡大・強化とあることからも、7&Iホールディングスグループ全体にセブンイレブンのノウハウを水平展開することが狙いのひとつである。また、配送体制、原料調達、製造工程等のコストを徹底的に管理とすることももうひとつの狙いであり、商品の粗利は通常、売価の約30%であることから、グループマーチャンダイジングでは売価の70%にあたる原価に踏み込み、ここを圧縮することでトータルコストを引き下げ、売価をさらに下げることが目的といえよう。小売業から製造小売業への脱皮をはかるためのプロジェクトがグループマーチャンダイジングの目的のひとつといえよう。

  総店舗数はどのくらいの規模となるかというと、セブンイレブン11,507店舗、イトーヨーカドー180店舗、ヨークベニマル144店舗、ヨークマート58店舗、シェルガーデン19店舗の合計11,908店舗が対象となる。セブンイレブンの客数1,000人/日、イトーヨーカドーの客数5,000人/日、ヨークベニマルの客数3,000人/日、ヨークマート、シェルガーデンの客数2,000/日で計算すると総客数約1,300万人となり(セブンイレブンの比率90%弱)、年間では47.4億人となるので、約50億人の年間延べ客数となる。したがって、客単価(金額PI値)は1円が50億円の価値となり、恐らく日本の小売業における食品小売業としては最大の規模、客単価1円の重みといえよう。また、3年後1.8兆円の約20%がグループマーチャンダイジングの売上目標ということでもあるので年商約3,600億円となり、客単価では3,600億円÷50億人=72円の目標といえる。その内、30%がデイリー、70%が加工食品であるので、客単価でみるとデイリー約20円、加工食品約50円が今回のグループマーチャンダイジングの対象になるといえよう。

  このように、7&Iホールディングスがいよいよ、商品戦略に本格的に動き始めたといえ、今後、これまで取り組んできたチームマーチャンダイジングがグループマーチャンダイジングへと進化することにより、スケールメリットをいかに収益に結びつけることができるかが課題となろう。ただ、気になるのはセブンイレブンの客数に比べ、他の業態の店舗数、客数の比率が余りにも少なく、今後、グループマーチャンダイジングをより加速するためには、他の業態、特に食品スーパーマーケットの客数を増やすことが必要といえ、そのためにはM&Aが大きな鍵を握るものといえよう。今回のグループマーチャンダイジングは、その意味で食品スーパーマーケット業界のM&Aにも波及するテーマであるともいえよう。当面、この春にどのような商品が7&Iホールディングスの店頭に並ぶかに注目したい。

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December 24, 2006

食品スーパーマーケット業界でもファンドによる買収がはじまる!

  12/22の日経、日経MJに長崎屋の記事が載った。日経の見出しは「長崎屋をファンドが買収」、「シンガポール社、キョウデンから」、「200億円、支援会社と収益改善」というものであり、日経MJでは「長崎屋、ファンドが買収」、「再建、新段階に」、「CCMPアジア、キョウデンから」というものである。内容は、長崎屋の株を所有していたキョウデンが、投資ファンドのCCMPアジアに約200億円で株式を売却し、長崎屋の経営権が投資ファンドに移るという記事である。この記事に象徴されるように、最近、投資ファンドが、流通業界に参入しはじめたといえる。つい最近でも、ダイエーの経営再建に投資ファンドのアドバンテッジパートーナーズが加わったことでも、投資ファンドが話題になったが、流通業界の経営再建に投資ファンドが重要な役割を持ち始めたといえよう。食品スーパーマーケット業界でも、ゴールドマンサックスがカウボーイの経営再建に入ったが、少し前には、国内投資ファンドのフェニックスキャピタルが名鉄パレ、近商ストアへの経営再建に踏み込んでもいる。また、アドバンテッジパートナーズが成城石井を子会社にもつレックスホールディングスのMBOの支援に入ったなど、投資ファンドの活動が活発である。

  少し前までは、流通業の経営再建は、ヤオハン、マイカルをイオンが支援し、経営再建を行うという同業による経営再建や、銀行主導による経営再建が中心であったが、ここへきて、新たに投資ファンドが流通業の再建に大きくかかわりはじめたといえる。その理由は、投資回収の速さと大きさにおいて投資ファンドによる経営再建の方が優位性をもちはじめたことによると思われる。同じ流通業界が経営再建に入った場合には、投資回収の方法は経営再建後の収益により、投資を回収してゆくことになる。銀行主導の場合も基本は一緒で経営再建後の収益で融資金額を回収することになり、どちらも、経営再建後の収益をいかに大きくするかが投資回収の鍵を握っているといえる。これに対し、投資ファンドは、経営再建後の収益による投資回収ではなく、経営再建後の株式売却によるキャピタルゲインによる投資回収が基本である。したがって、投資前の株価と経営再建後の株価の差がどれだけ大きいかが投資回収を決定づけることになり、いかに、再建企業の株価をひきあげ、高く売却するかが課題となる。そして、この投資回収方法の方がこれまでの経営再建の方法よりも、優位性を持ち始めたがゆえに、ここへきて、投資ファンドによる経営再建が流通業界へも浸透しはじめたといえよう。

  実際に投資ファンドの投資回収の流れを見てみると、まずはじめに、最も代表的な方法として債務を株式化し、劇的な財務改善をはかり、事実上、借金の帳消しを行ってしまう。DES(Debt Equity Swap)といわれる手法がそれであり、これでバランスシートの健全化がはかれる。そして、次に、P/Lに踏み込み、特に最も大きな経費である人件費を組織の再構築をしたり、人事配置を変えたり、年俸制の導入等により徹底的に削減してゆく。これにより、営業利益が増加する。そして、商品原価を見直し、販売戦略を見直し、粗利の改善に入り、P/Lを健全化してゆくという、3段階で経営債権が進んでゆくのが一般的な投資ファンドの方法である。

  このバランスシートとP/Lが健全化されることにより、結果的として、株価が上昇し、高くなったところで、株式を売却し、投資回収を完了するという流れである。したがって、投資ファンドの目的はいかに再建会社の株価を引き上げるかにポイントが絞られており、そのためにバランシートを先ず健全化し、次にP/Lを健全化し、ROEを引き上げ、PPER、そしてPBRを引き上げるという流れであるといえよう。今回報道された長崎屋も投資ファンドCCMPアジアの約200億円の投資が、長崎屋の経営再建後に再上場した際、いくらで株式が売却できるかがポイントであり、それにより、CCMPアジアの投資目標が達成されるといえる。

  このように、経営再建により株価を引き上げるノウハウをもった投資ファンドが増えてきており、最近では小売業界の中で債務の多い企業の経営再建に注目しはじめ、来年の外資への株式交換によるM&Aの本格解禁の流れと合わせ、今後、食品スーパーマーケット業界への投資ファンドの参入が増えてくるものといえよう。すでに、実績のあるアドバンテッジパートナーズ、フェニックスキャピタル、ゴールドマンサックス、そして、今回、長崎屋の再建にかかわるCCMPアジアの動きには、今後注目である。

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December 23, 2006

日経MJ、新製品週間ランキング12/22、単価アップ商品が人気!

  12/22、日経MJが恒例の新製品週間ランキングを発表した。今回、各部門トップクラスの商品に共通した要素として、PI値よりも、平均単価の高い商品が客単価ランキングでは比較的上位に来ているのが特徴である。食品スーパーマーケットの全商品の平均単価は約200円であるが、今回、平均単価が200円前後でトップの新製品は菓子188円のみであり、冷凍食品は733円、飲料は299円、その他食品は384円、家庭用品は何と8,610円であり、平均単価の高い商品がのきなみ上位にきているのが今週のランキングの特徴である。客単価はPI値(1人当たり買上点数)と平均単価の掛け算で決まるが、今週は平均単価に振り子が振れた結果となったといえよう。

  では、実際に、各部門のトップの新製品を見てみたい。前回の冷凍食品のランキングでは、のきなみアイスクリームが上位を独占したが、今回はさらにその傾向が加速されたといえる。冷凍食品ベスト5がすべてハーゲンダッツで占められ、前回、3位であったロッテ冷菓の雪見だいふく(生チョコレート)50ml×2個は6位と後退した。客単価は39円マイナスの77円であり、カバー率も33.3%と依然として限定販売が続いているといえる。カバー率が33.3%であるので、導入店舗のみで見た客単価は77円÷33.3%=233.3円(1人当たり0.23円)であるので、アイスクリームとしてはかなり高い数値である。ちなみに、日経MJの客単価は未導入店舗も含めての客単価であるので、仮に、現状の導入店舗のみの客単価が未導入店舗でも落ちないと仮定すると、今後、ロッテ冷菓の生産体制が整い、限定販売が解け、カバー率が100%に近づいてくると、限りなく、全体の客単価は233.3円に近づくことになり、冷凍食品のトップとなる可能性が高い。客単価3D分析で見ると、客単価77円=導入店舗のみの客単価233.3円×カバー率33.3%であるので、客単価アップはカバー率が大きな鍵を握っているといえる。

  さて、冷凍食品のNo.1であるが、ハーゲンダッツジャパンのミニカップ・マルチパック6個入り、75ml×3フレーバー×2個の733円であり、客単価は180円、カバー率は72.3%である。したがって、導入店舗のみでは、180円÷72.3%=248.9円である。No.2は同じくハーゲンダッツジャパンのミニカップアフォカード、193円、客単価142円、カバー率82.6%、導入店舗のみの客単価171.9円である。おもしろいことに振り子の原理が冷凍食品に働いており、平均単価のNo.1、PI値のNo.2と、きれいに振り子がゆれる結果であった。また、No.3からNo.5までハーゲンダッツのミニカップが占め、ハーゲンダッツが上位を独占した冷凍食品のランキングであった。
 
  飲料ではヤクルト本社のヤクルト65ml×10本、342円が客単価299円でトップである。カバー率は45.6%であるので、導入店舗のみでは655.7円(1人当たり0.65円)となり、食品スーパーマーケットの全商品の中でも、重点商品に指定していもよいくらい、客単価が高くなってきたといえよう。平均単価が342円という、飲料では高額商品である。

  菓子ではNo.1はロッテ商事のプチチョコパイ8個、188円、客単価は257円、カバー率76.4%であるので、導入店舗のみの客単価は336.3円であるが、No.3にこの時期特有のクリスマスブーツ、イズミクリエーションのフェルトブーツ(レッド)1個、950円が入ってきた。客単価は194円、カバー率は22.1%と低いので、導入店舗のみの客単価は877.8円と断トツのトップであり、来週は1円を越える可能性が見えてきたといえよう。

  家庭用品ではNo.1はカネボウ化粧品のブランシールホワイトニングコンクルージョンセットⅡ、40ml+25ml+2枚+10g、何と8,610円である。客単価は1,242円と1円を優に越え、カバー率が45.6%であるので、導入店舗のみでは2,723.6円と客単価約3円と異常な客単価である。家庭用品のNo.2は花王のアタック1.1kg、283円、客単価874円、カバー率99.0%とほとんどの店舗に導入されているので、導入店のみの客単価も882.8円とほぼ全体の客単価と同じである。冷凍食品、菓子と同じPI値と平均単価貢献製品がNo.1、No.2を占めた。
  
  そして、その他食品であるが、No.1は伊藤ハムのアルトバイエルン2B10%増量288g、384円であり、客単価は542円、カバー率は17.9%であるので、3,027.9円(一人当たり3.02円)と今週の全新製品の中で断トツでトップの導入店舗当たりの客単価である。12/4登録の新製品であるので、17.9%の限られた店舗での特売の数字が大きく貢献したものといえよう。

  このように、今週の新製品週間ランキングでは奇しくも平均単価の高い商品が客単価の上位を占めるという特徴があり、客単価アップにはPI値だけでなく、平均単価アップも重要な戦略であることが実証されたといえるランキングの順位となった。また、平均単価の高い商品の前後にPI値の高い商品が必ずランキングに入っており、客単価アップはPI値、平均単価、双方のバランス、まさに振り子の原理が重要であることも今週のランキングでは見ることができる。

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December 22, 2006

オーケーストア、2007年3月度、中間決算、増収増益で推移!

  オーケーストアの中間決算が12/11公表された。オーケーストアは3月決算であるため、中間決算の期間は3/21から9/20まで6ケ月である。売上は710.16億円(116.18%)、営業利益30.44億円(108.17%:売上対比4.28%)、経常利益30.56億円(110.04%:売上対比4.30%)、当期純利益19.06億円(119.94%、売上対比2.68%)と増収増益であった。既存店の売上も107.9%と好調であり、食品スーパーマーケット業界の中でも屈指の成長率といえよう。オーケーストアは一昨年、年商が1,000億円を越え、昨年は1258.61億円(118.99%)であったので、このペースでゆくと、今期年商は1,500億円弱となる予想といえよう。ここ数年、毎年約200億円づつ年商を増やしており、驚異的な高成長である。

  オーケーストアは経営方針に「高品質、Everyday Low Price」を掲げており、粗利率は19.3%と食品スーパーマーケット業界の中でも極めて低い粗利率である。食品スーパーマーケット上場企業54社の中間決算の単純平均の粗利率が26.6%であるので、オーケーストアの粗利率19.3%はいかに低い粗利率であるかがわかる。ちなみに、食品スーパーマーケット上場企業の中でオーケーストアよりも低い粗利率の企業はPLANT(17.8%)、カウボーイ(18.0%)、マルミヤストア(18.4%)、アオキスーパー(19.0%)の3社である。しかも、オーケーストアの一般管理費率は15.0%とこれも驚異的な低さであり、食品スーパーマーケット上場企業の中では15.0%以下の一般管理費率の企業はカウボーイ(13.1%)のみであり、粗利率が低いだけでなく、一般管理費比率も低く、結果、営業利益も4.28%と高収益である。この高収益の理由を、オーケーストアは、既存店107.9%が大きく、既存店が伸びると固定費が相対的に低くなり、変動費もさほどかからないため、好循環が生まれたと説明している。

  ではこの経費比率15.0%の内訳であるが、人件費比率9.27%、地代家賃1.28%、水道光熱費0.93%、減価償却費0.53%、販促費0.26%、その他であり、販促費がEveryday Low Priceを実践しているため、ちらし等の販促費が削減できるために極端に低いのが特徴である。ちなみに、オーケーストアの借入金は短期借入金が社債も含め113.5億円、長期借入金が社債を入れて、47.1億円、合計160.63億円であり、今期の年間売上が1258.6億円であるので、売上比率は12.76%である。この比率は食品スーパーマーケット上場企業平均が13.75%であるので、平均以下であり、健全な借入比率といえよう。

  また、オーケーストアの既存店がなぜこれほど好調なのかを商品戦略から見てみると、オーケーストアは食品と日配が全商品群の中で圧倒的に強く、構成比は食品が23.94%、日配が23.5%であり、合計約50%弱となる。しかも、食品の粗利率は14.4%、日配は20.5%とこの2部門がまさにEveryday Low Priceを実践しており、これがオーケーストアの強さの源泉といえよう。一方、生鮮食品では青果がNo.1部門であり、構成比は11.1%で粗利率は19.1%であり、ほぼ日配と同じ粗利率である。精肉、鮮魚はどちらもほぼ同じ売上であり、構成比は約7.5%、粗利率は精肉が22.8%、鮮魚が25.3%であり、鮮魚の粗利がやや高いのが特徴である。このように、オーケーストアの商品戦略の最大の特徴は食品スーパーマーケットの商品群の中でPI値の高い3大部門、日配、一般食品、青果を低粗利率のEveryday Low Priceを実践し、商品構成比を極限にまで高めていることにあるといえよう。これが近隣の顧客の来店頻度を高め、結果、競合に打ち勝ち、既存店の売上を押上げているといえよう。極めて理にかなった明快な商品戦略である。ただ、気になるのは、総菜であり、ベイカリー、寿司を足した商品構成比は4.5%であり、今後の課題であるといえよう。

  このようにオーケーストアの2007年度3月期の中間決算は極めて順調に推移しており、既存店も好調である。経営戦略もEveryday Low Priceに加え、Everyday Low Costがまさに実践されており、食品スーパーマーケット業界の中でも低粗利率であるにもかかわらず、高収益をもたらしているといえる。特に、オーケーストアも自ら解説しているように、既存店の好調さが高収益にも結びついたといえよう。そして、オーケーストアの既存店の好調さの大きな要因は、食品スーパーマーケットにとってPI値の高い3大商品群である一般食品、日配、青果のEveryday Low Priceを実践し、商品構成比を極限にまで高めた結果であるといえよう。

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December 21, 2006

食品スーパーマーケット、12月も新店ラッシュ、西日本編!

  食品スーパーマーケット、12月も新店ラッシュ、東日本編についで、西日本編である。西日本でも食品スーパーマーケットの新店があいついでおり、まさに、ラッシュといってよい状況といえる。業態も多種多様であり、オオクワのスーパーセンター、イズミのショッピングセンター、バロー、ハローズのNSC、そして、イズミヤ、マックスバリュのSM等、様々な業態での新規出店である。食品スーパーマーケットにとっては、既存店が競争激化により、伸び悩む中、新店=成長といえ、新店戦略の如何が食品スーパーマーケットの成長戦略の決め手となってきたといえよう。

  このような状況の中、11/29、イズミヤがデイリーカナートイズミヤ鵯越町店を神戸市兵庫区にオープンした。売場面積約450坪で、年商18億円の目標という。店頭壁面を精肉で入るという食品スーパーマーケットではめずらしいレイアウトを採用しており、生鮮3品を店頭一箇所に集中した生鮮強化に加え、反対側には和日配、洋日配、総菜を配置した加工度の高い商品群を集中させた即食強化型との同時追及を狙った試みといえる。また、12/12には大阪府門真市に、デイリーカナートイズミヤ門真南店をオープンした。約450坪の売場面積であり、年商16.6億円が目標という。鵯越町店に似た、店頭壁面に青果の果物と精肉を、そして、鮮魚に続く生鮮集中型のレイアウトを採用している。ここのところイズミヤはスーパーセンターの出店が注目されていたが、デーリーカナートという約450坪タイプの食品スーパーマーケット業態での新規出店にもここへきて力を入れ始めたといえよう。

  11/30には、バローが岐阜県羽島市に104店舗目、岐阜県では52店舗目となる食品スーパーマーケット、バロー羽島インター店をオープンした。ホームセンター、衣料品他12店舗で構成するNSC(近隣型ショッピングセンター)である。店舗面積は約700坪、年商は15億円の目標という。翌12/1には、ハローズ邑久店が岡山県瀬戸市にオープンした。24時間営業のNSCタイプの店舗である。ハローズは現在、300坪のフリータイプ、450坪、600坪のNSCタイプと業態分けしており、今後、このNSCタイプが主力業態として展開されるという。

  12/2には、マックスバリュ中部が岐阜1号店を岐阜県羽島郡にマックスバリュ笠松店をオープンした。岐阜はバローの地元であり、今後、バローと激しい競争が予想される。約700坪の売場面積、年商14億円が目標という。また、12/8には愛知県名古屋市にマックスバリュ福船店を愛知県9店舗目、全体では64店舗目となる店舗をオープンした。売場面積約700坪弱で15億円の年商を目指すという。このマックスバリュ福船店は特に総菜、鮮魚が強化されており、バイキングの揚物、調理承り所を設けた鮮魚売場が特徴である。そして、同じイオングループのマックスバリュ西日本が、12/7、兵庫県明石市にマックスバリュ西明石南店をオープンした。店舗面積は約700坪で年商は20億円を目指すという。マックスバリュ西日本は店舗タイプをSSM、SM、CSM、DSと4つに分けているが、今回はSSMでのオープンであり、兵庫県74店舗目、全体では133店舗目となる。また、出店エリアも着々と拡大しており、先月には四国1号店のマックスバリュ今治阿方店を出店しており、今後、さらに高成長が期待される。さらに、同じイオングループのマックバリュ東海も12/8、午前0時、54店舗目となるマックスバリュ函南店を静岡県駿東郡にオープンした。今期7店舗目の新店であり、ヤオハン熱函店のスクラップ&ビルドの店舗である。また、ヤオハンからマックスバリュへの転換はこれで10店舗目であるという。店舗面積は約700坪であり、ヤオハン熱函店の約2倍となり、年商は21.7億円の目標であるという。

  そして、12/7、イズミがゆめタウン佐賀を佐賀県佐賀市に新規オープンした。3層建て、売場面積約15,000坪、年商260億円、総投資額100億円のショッピングセンターである。九州地区19店舗目、イズミ全体では74店舗目となる店舗である。12/14には、オオクワがスーパーセンターオークワ和泉納花店を大阪府泉市にオープンした。スーパーセンターとしては5号店となる店舗であり、約1,500坪の店舗面積で、年商目標は28億円である。いま話題のセルフレジも6台導入したという。大阪では20店舗目、オオクワ全店では134店舗となる新店である。

  このように西日本も食品スーパーマーケットの新店ラッシュであり、12月は年末商戦という食品スーパーマーケット年間最大のイベントもひかえていることもあり、各社この時期に照準を合わせたような新店ラッシュが続いている。今回、東日本、そして、西日本と分けて食品スーパーマーケットの新店を取り上げてきたが、ここ最近では稀に見る新規出店ラッシュといえ、今後食品スーパーマーケットは当面、新店効果による高い成長が期待できよう。

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December 20, 2006

ユーストア、第3四半期決算を公表、増収減益、厳しい決算!

  食品スーパーマーケット業界も2007年2月期の第3四半期決算公表の時期となり、今週から、年末、そして、年明け早々にかけて各社の第3四半期決算が公表されてくるものと思う。このような中で、ユーストアが2007年2月期の第3四半期決算を12/19、いち早く公表した。11/20〆であるので、ちょうど1ケ月後と、食品スーパーマーケット業界でも早い情報公開である。それによると、売上1,099.61億円(101.0%)、営業利益12.50億円(98.3%:売上対比1.13%)、経常利益11.75億円(97.9%:売上対比1.06%)、当期純利益-8.90億円と増収減益、特に当期純利益は、減損会計の適用によりマイナスという、厳しい決算内容であった。なお、通期に関しては、売上1,486.00億円(104.5%)、経常利益19.00億円(98.19%:売上対比1.27%)、当期純利益は-3.2億円と、第3四半期同様、増収減益の見通しである。

  ユーストアは食品と衣料品の融合したSSMが主力業態であり、食品の売上構成比82.2%、衣料品が17.8%である。今期、第3四半期までの売上の状況であるが、食品は3月から5月までの第1四半期は100%をきり厳しい状況で推移したが、6月から9月までの第2四半期は100%を越え、中間期では100.7%であった。そして、第3四半期もほぼ100%で推移し、第3四半期累計で100.5%となった。一方、衣料品は第1、第2、第3四半期とも月によっては昨対をきった月もあったが、ほぼ100%強で推移しており、第3四半期累計では101.5%と食品よりも若干昨対の伸び率が上回った。その結果、食品、衣料品、合計では昨対をわずかに上回り、増収となった。ただし、既存店はやや厳しい推移であり、食品は98.7%、衣料品は99.3%となり、食品、衣料品の合計は98.8%と若干昨年を下回った。既存店の客数98.7%、客単価100.2%と、客単価が昨対を上回り、前期の客数95.7%、客単価98.1%と比べてみると、全体的に売上は回復傾向にあるといえよう。

  ただし、ユーストアが今後、さらなる増収そして増益に転じるためには、大きく2つの点がポイントであろう。ひとつは、新規出店戦略であり、もうひとつは商品戦略である。ユーストアは現在73店舗を展開しているが、その内43店舗、約60%が愛知県での展開である。これまでユーストアは近県の岐阜(6店舗)、三重(8店舗)をドミナントエリアとし出店を増やしてきたが、ここ数年、さらに成長をはかるために、ドミナントエリアの拡大をはかった。東は静岡(10店舗)、西は滋賀(5店舗)、京都(1店舗)と東西2正面作戦を展開し、新たな出店を積極的に行ってきた。しかし、ここへきて、新規出店地区での競合が激化している。特に、滋賀県では地元平和堂、地場食品スーパーマーケットとの競合に加え、ベイシアのスーパーセンターと直競合するなど、厳しい状況が続いている。そのため、今期は現在、新規出店は3月の静岡県焼津市の大覚寺店の1店舗のみであり、全体の売上が昨対は何とか越えたが、わずかな伸びにとどまってしまった。11月度の食品スーパーマーケットの月次売上を公表している上場企業の状況を見ても、既存店は昨対をやや下回っているが、全体では107.1%の成長をつづけており、これは新店による売上の効果といえる。その意味で、今後、ユーストアが成長軌道にのるためには、まず、ドミナントエリアの見直しが急務といえよう。

  そして、もう一点は商品構成である。ユーストアは鮮魚、精肉、総菜などにテナントを入れており、総粗利の内、自店での粗利は約80%強であり、残り20%弱はテナント収入である。しかも、食品スーパーマーケットで今後、最も売上、利益が期待される総菜、鮮魚がともにテナントであり、自主マーチャンダイジングが充分に展開できない状況である。自店の商品構成を見ると、ドライ食品が37.9%、塩干が14.0%、青果が12.8%となっており、この3つが自主マーチャンダイジング可能な商品であり、いずれも集客的な商品群であり、客単価、収益はテナントが担うという構造である。以前は、この構造がプラスに働いた時期もあったが、最近は、逆に、総菜、鮮魚、精肉が自主マーチャンダイジングの最強部門となりつつあるのが食品スーパーマーケット業界の主流であり、ユーストアも再度、商品構成を検討する段階に来ているのではないかと思える。

  このように、第3四半期のユーストアは売上は微増で推移したが、利益が減益となり、厳しい決算であった。今後、ユーストアが増収増益をめざすためには、まず、出店戦略の見直しが急務といえ、さらに増益を目指すためには商品構成の再検討も必要といえよう。ここは、アークスがビックハウスの次世代業態スーパーアークスを開発したように、ユーストアにも次世代フォーマットの開発を期待したいところである。

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December 19, 2006

食品スーパーマーケット、12月も新店ラッシュ、東日本編!

  食品スーパーマーケットが11月に続き、12月も出店ラッシュである。1回のブログでは紹介しきれないなので、2回に分けての連載である。第1回目は関東以北の食品スーパーマーケットの新店を取り上げる。北海道、東北、首都圏の新店についてである。注目の新店はベイシアであり、ここへきてスーパーセンター2店舗を含め、4店舗の新規出店であり、今年18店舗の新規出店と、急成長をつづけている。首都圏でもサミット、ヤオコー、イナゲヤ、エコス、カスミと新店が相次いでおり、食品スーパーマーケットの11月度の上場約20社の平均売上107.1%の高成長を裏付けているといえよう。

  まず、北海道、東北であるが、12/1、スーパーアークス2号店となる北24条店が北海道札幌市北区に新規オープンした。11/3にオープンしたスーパーアークス菊水店に次ぐ、次世代型ビックハウス業態であり、これで、ビックハウス路線の変更が決定的となり、今後のアークスの新しい戦略が明確になったといえよう。約1,000坪の食品売り場に加え、ドラックストア、100円ショップなど約20のテナントを同フロアー内に有するNSC(近隣型ショッピングセンター)タイプであり、年商は36億円の目標である。12/8には、青森の紅屋商事がカブセンター大野店を青森市大野前田にオープンした。紅屋商事1年ぶりの新店であり、売場面積約800坪、年商25億円が目標という。店内にはドラックストアも併設するNSCタイプの店舗である。さらに、12/8、青森のユニバースが岩手県に40店舗目となる盛岡南店を盛岡南ショッピングセンター内にオープンした。1,000坪を越える売場であり、盛岡最大の食品スーパーマーケットであり、15,000SKUを品揃し、年商24億円を目指すという。ユニバースは上場も控えており、今期年商824億円となり、客数も年間延べ3,670万人、1日約10万人となった。したがって、客単価1円のアップが1日10万円、年間3,670万円に匹敵し、客単価の価値がより重みを増したといえよう。また、同じく、12/8、マックスバリュ東北が青森県24店舗目、全体では95店舗目となるマックスバリュ樋の口店を青森県弘前市にオープンした。イオングループのロック開発のSCへの核店舗としての出店である。約700坪の売場面積であり、年商19億円が目標という。

  一方、首都圏では、12/6、サミットが東京都小平市にサミットストア小平上水本町店をオープンした。サミット85店舗目の店舗である。売場面積は約700坪、年商は21.9億円の目標という。最近サミットは鮮魚に力を入れており、27店舗目となるおさかなキッチンコーナーを導入し、さらに、温めるだけですぐに食べられる煮魚・焼魚をまとめた魚の簡便コーナーを新設したという。ヤオコーも12月に入り立て続けに2店舗出店した。12/1、埼玉県川口市にヤオコー川口本町店を出店したのに続き、12/6、埼玉県熊谷市にヤオコー籠原店を新規オープンした。ヤオコー川口本町店はダイエー跡地への駅前ショッピングセンターの核テナントとしての出店であり、売場面積約700坪弱、年商20億円が目標という。一方、ヤオコー籠原店は約600坪弱の郊外型の食品スーパーマーケットであり、年商16億円が目標という。ヤオコーはこの2店舗の出店で埼玉県内では61店舗、全店は91店舗の出店となる。12/6には、いなげやが埼玉県所沢市に所沢西武園店をオープンした。いなげや130店舗目の店舗であり、6月の日野栄町店以来の新規出店である。12/7には、エコスが東京都八王子市にエコス川口店をオープンした。旧川口店(115坪)のすくランプ&ビルドの店舗であり、店舗面積が約3倍の294坪、年商12億円を目標であるという。エコスグループでは、116店舗目の新規オープンである。また、12/7には、カスミが127店舗、茨城県内では82店舗目となるフードマーケットカスミ鮎川店を茨城県日立市にオープンした。店舗面積約700坪、年商15.5億円が目標である。

  そして、ベイシアがここへ来て絶好調である。11/30、愛知県西蒲生郡にベイシアスーパーセンター三好店をオープンした。また、12月に入り、12/4、埼玉県比企郡にベイシアフードセンター川島インター店、12/12、埼玉県深谷市にベイシアフードセンター深谷川本店、そして、12/20にはスーパーセンター28店舗目なるベイシアスーパーセンターさくら氏家店を栃木県さくら市にオープンした。ここ最近、スーパーセンターでの出店が少なかったが、ここへ来て2店舗連続での出店であり、今期18店舗目の出店となる。

  このように、12月に入り、食品スーパーマーケットの新規出店ラッシュとなり、当面、新店戦略が主体となる成長が続いてゆくものといえよう。今回は、北海道、東北を取り上げたが、次回は、それ以外の地域での新規出店状況をとりあげてゆく予定である。

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December 18, 2006

食品スーパーマーケット、売上速報、2006年11月度、107.1%!

  食品スーパーマーケット上場企業で、月次売上速報を公表している企業約20社の2006年11月度の集計結果がまとまった。店舗数は九九プラスの847店舗を含め、約2,500店舗弱の店舗数であるので、食品スーパーマーケット業界の現状の動向を反映しているといえよう。全体の売上は107.1%、既存店は99.8%であり、新店が寄与し、全体としては順調な伸びといえよう。また、既存店についてもわずかに昨対を下回ったが、ほぼ、昨年並の数字である。10月度は全体108.5%、既存店99.8%、9月度は108.6%、既存店100.4%であったので、ほぼこの3ケ月は横バイの推移といえよう。ちなみに、ウォールマートは本ブログでも取り上げたように、昨対111.9%と全体は順調であったが、既存店が昨年のハリケーンの影響もあり、99.9%と厳しい状況であった。

  11月度No.1の売上伸び率の食品スーパーマーケットは大黒天物産であった。大黒天物産の決算は5月であるが、新会計年度に入り立て続けに新規出店を行い、全体の売上は128.7%と好調であった。特に四国へもはじめて出店を行い、今後、地元岡山、近隣の広島、そして、大阪方面だけでなく、四国へも本格的な出店がはじまり、当面、高成長がつづくものといえよう。ただし、既存店が95.9%と不振が長く続いており、今後、既存店の活性化が経営の優先課題となってきたといえよう。特に、平均単価は昨年並みで推移しているが、PI値の落ち込みが大きく客単価が98.1%と伸び悩んでいることに加え、既存店の客数も97.8%であり、客数、客単価ともにダウンという、厳しい状況である。No.2はPLANTの120.4%であるが、PLANTも大黒天物産同様、これまでの新店が寄与し、全体では売上は好調であるが、やはり、既存店が96.8%と厳しい状況である。既存店の客単価は100.2%と昨対を上回ったが、客数が96.6%と落ち込み、既存店の競合状況の厳しさが反映されているといえよう。

  このような中で、全店、既存店ともに昨対100%を越えて好調な食品スーパーマーケットはNo.3のバロー(116.1%、103.9%)、No.6のマックスバリュ東海(109.5%、103.0%)、No.10のマックスバリュ中部(106.7%、102.2%)、No.11のマックバリュ西日本(105.4%、102.2%)、そして、No.12のアークランドサカモト(105.5%、105.7%)の5社である。バローは、既存店の客数102.1%、客単価101.7%と順調な新店戦略に加え、既存店も客数、客単価ともにバランスよく伸びており、食品スーパーマーケット業界の中でも安定した成長を続けている。

  また、マックスバリュは東海、中部、西日本と3社とも好調であり、東海の既存店の客数、客単価は102.4%、100.6%、中部は、102.4%、100.3%、西日本は101.8%、100.4%といずれも既存店の客数、客単価ともに好調に推移しており、新店の売上がすべて全体の売上にオンされるという理想的な成長パターンといえる。今後、マックスバリュは積極的なM&Aを展開してくるものと思うが、M&Aはいち早く吸収した企業の活性化がポイントであり、既存店の好調さはさらなる成長を助長することになろう。もう1社、既存店の好調なアークランドサカモトであるが、既存店の客数102.4%、客単価103.3%とバランスの良い数字であり、今後、積極的に出店した新店が来期は既存店に組み込まれてくるので、今後の動きが注目される。

  また、既存店は昨対を下回ったが、全体としては新店が寄与し、105%以上の成長を続けている食品スーパーマーケットは、オオゼキ(111.6%、98.1%)、カスミ110.7%(既存店非公表)、九九プラス(108.4%、94.8%)、ヤオコー(108.4%、99.9%)、ハローズ(107.3%、99.8%)の5社である。ヤオコー、ハローズは既存店99.9%、99.8%とわずかに昨対を割ったが、ほぼ昨対並の数字であり、好調といえよう。オオゼキ、九九プラスは、やや既存店の下げが大きく気になるところだ。オオゼキは、既存店の客単価は101.8%であるが、客数が96.4%と、競合の厳しさが反映されているといえよう。ただ、客単価に関しても、平均単価が103.3%、PI値が98.5%と平均単価アップで客単価を底上げしており、PI値の下げが気になるところである。

  このように、2006年11月度の食品スーパーマーケットも全体としては各社、積極的な新店が寄与し、売上は107.1%と高成長を続けているが、既存店がやや厳しい食品スーパーマーケットが多く、今後、既存店の活性化が各社、最優先の経営課題となってきたといえよう。当面、各社の既存店の動きに注目してゆきたい。

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December 17, 2006

アイスクリームが熱い、新商品続々登場!

  いま、アイスクリームが顧客から熱い支持を受けている。先週、青森にいたが、雪見だいふくの新製品、雪見だいふく(生チョコレート)が全く入って来ない状況だという。生産が注文においつかず、問屋は在庫切れで、通常の雪見だいふくですら供給不足となっているという。また、12/15の日経MJの新製品週間ランキングを見ると、冷凍食品のベスト10の中に7つもハーゲンダッツが入っており、ハーゲダッツの新製品が顧客から熱い支持を受けている状況が浮かびあがった。今年は、アイスクリームの熱い冬となりそうである。ハーゲンダッツがこの時期に、新製品を立て続けに出す理由は、クリスマスとギフトへ照準を合わせてのものであるというが、ランキングトップにのきなみミニカップ来ている状況をみると、ミニ120mlが支持されているともいえ、アイスクリームはレギュラーサイズから、ミニサイズの需要が急激に拡大しているともいえよう。

  雪見だいふく(生チョコレート)については、11/27、ロッテが次のようなコメントを発表している。「さて、平成18年11月6日より発売しております弊社商品「雪見だいふく(生チョコレート)は発売以来、皆様に大変ご好評をいただいておりますが、当初の販売計画を大きく上回っており、供給が間に合わない状況となりました。」と、11/6新発売で、わずか20日間での異例のコメントであり、さらに続けて、「「雪見だいふく(生チョコレート)」、販売休止地区、北海道・東北・中部・関西・中国・四国・九州(販売継続地区 関東・甲信越)」という状況であるといい、現在は関東、甲信越地区でしか販売していないという。爆発的なヒットといってよい状況であろう。

  12/15の日経MJの新製品週間ランキングでは、冷凍食品No.3となっており、客単価116円(1人当たり0.16円)、カバー率が43.6%であるので、購入者のみの客単価は116円÷43.6%=266円(1人当たり0.26円)という数字である。ちなみに、導入店舗のPI値は116円÷102円÷43.6%=0.33%であり、2,000人/日の食品スーパーマーケットで2000×0.33%=6.6個であり、アイスクリームとしては高い支持率であるといえよう。今回の異例のコメントが出され、約20日たっているが、まだ、販売休止が解除されたという情報がないので、しばらくは、雪見だいふく(生チョコレート)は関東、甲信越地区での限定販売が続くものといえよう。

  一方、ハーゲンダッツの勢いが止まらない。今回の12/15の日経MJの新製品週間ランキングでは、No.1ミニカップ、マルチ6個入り客単価177円、No.2ミニカップアフォガード(バニラエスプレッソ)120ml客単価128円と1、2フィニッシュである。そして、No.3が雪見だいふく(生チョコレート)が入り、No.4にミニカップ洋梨コンポート120ml客単価93円、No.5にミニカップレーズン120ml客単価88円、No.6にミニカップバナナキャラメルタルト120ml客単価74円と上位独占状態である。さらに、No.8にミニカップヘーゼルナッツ120ml客単価61円、No.10にミニカップブラックセサミ(黒ゴマ)120ml客単価39円と全部で7品目が冷凍食品ベスト10に入っている。江崎グリコ、森永乳業、明治乳業、協同乳業等のアイスクリームメーカーの新製品を抑えての上位独占であり、いかにハーゲンダッツの新製品への顧客からの支持が高いかがわかる。しかも、ハーゲンダッツのカバー率は80%前後をキープしており、他のメーカーのアイスクリームが50%前後であることを見ると、完全に定番化されつつあり、食品スーパーマーケットのハーゲンダッツへの期待も大きいといえよう。

  家計調査データでは、約1ケ月前の10月末のデータが最新であるが、これでアイスクリームを見てみると、アイスクリームは16.43円(1日当りの家計消費金額)であり、菓子全体が188.97円であるので、約10%を占めている。しかも、昨対108.8%と数字も伸びており、購入世帯数だけで見ると30.47円と高い数字である。さらに、その中身を見ると、購入世帯のみの消費額が106.9%、購入世帯数が101.8%と購入世帯数よりも、アイスクリームを好きな方が、より購入を強めており、新製品のあいつぐ登場はさらにアイスクリームを活性化させる可能性が高いといえよう。11月のデータは今月末、12月のデータは来年1月末に公表予定であるが、この10月度の数字を見ても、今期のアイスクリームは期待が持てそうであり、しかも、有望な新製品が登場し、顧客からの高い支持を受けているので、今年の冬は熱いアイスクリームの季節となりそうである。

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December 16, 2006

食品スーパーマーケット、今週の株価、移動平均を見る!

  今週の食品スーパーマーケットの株価を12/15現在の移動平均乖離率でみてみた。食品スーパーマーケット業界では現在約50社強が上場しているが、株価の単純平均は約1,200円ぐらいであり、1社当りの株式発行数は約3,000万株弱であり、時価総額は約350億円である。全社合計では、発行株式数は約15億株強であるので、総時価総額は2兆円弱となる。12/15の日経の1面にJTがイギリスのガラハー買収の記事が載っていたが、その買収総額が2兆2,000億円であったので、ちょうど、日本の食品スーパーマーケット全上場企業50社強の時価総額に匹敵する金額である。来年春以降、本格的なM&Aの時代に入ると思われ、食品スーパーマーケット業界は1社平均約350億円の時価総額であることを考えると、いかに株価を上げ、時価総額を引きあげるかが、まったなしの経営戦略のひとつとなってきたといえよう。

  さて、12/15の5日移動平均乖離率で食品スーパーマーケット業界トップの企業はヤマナカ(5.26%)であり、No.2はバロー(4.59%)であった。この2社は現在上場している小売業約400社で見てもNo.4、No.7であり、今週は食品スーパーマーケット業界にも投資家の注目が集まったようである。ちなみに、この2社以外の小売業界上位の食品スーパーマーケットは、5日移動平均乖離率で見ると、17位にマルヨシセンター(3.19%)、27位に原信ナルスホールディングス(2.33%)、48位に丸久(1.61%)、52位にダイイチ(1.54%)、54位にマックスバリュ北海道(1.50%)、59位にジョイス(1.44%)、62位にライフコーポレーション(1.34%)、87位にエコス(0.99%)、99位にマックスバリュ東北(0.81%)と、ベスト100位以内に11社の食品スーパーマーケットが入っている。

  食品スーパーマーケット業界No.1のヤマナカ(5.26%)は5日移動平均乖離率で見ると高い数字であるが、日々の値動きが激しく、1,000円強から1,200円の間をここ数ケ月繰り返しており、安定しない株価である。また、No.2のバロー(4.59%)については、25日移動平均乖離率でみても9.91%と高い伸びを示しており、この数週間、株価が上向きとなりつつある。特に12/14、130万株という通常20万株前後の売買高であるので、異常な買いが入り、株価がいっきに前日比10%近く跳ね上がったのが大きかったといえる。12/15はその反動でやや下がったものの、今週は堅調に株価が推移している。No.3のマルヨシセンター(3.19%)は現在420円の株価であり、通常はあまり売買高がないが時々大商いとなり、株価が跳ね上がる。今回も12/14大きく跳ね上がったのが大きかったといえよう。
 
  この3社以外で、5日移動平均乖離率が高く、25日、13週、26週といずれも高い株価の企業を見てみると、食品スーパーマーケットNo.4の原信ナルスホールディングス(2.33%)があり、25日(5.79%)、13週(3.79%)、26週(4.78%)である。実際、日々の株価を見てみると、11月下旬には一時1,400円まで下がった株価が、12月に入り株価は上昇を続け、12/15現在1,533円とほぼ右上がりに株価が上昇している。また、原信ナルスホールディングス同様、右上がりの株価は丸久(1.61%)、であり、25日(9.27%)、13週(17.75%)、26週(19.67%)と大きく上昇しており、実際、日々の株価の動きを見ると、11月以降、約1ケ月以上、右上がりに上昇している。11月はじめは約1,000円強の株価が、12/15現在、1,300円であり、注目の株といえよう。また、マックスバリュ東北も丸久同様急上昇の株である。5日移動平均乖離率(0.81%)、25日(5.00%)、13週(7.32%)、26週(9.76%)であり、実際の日々の動きもきれいに右上がりで推移している。11月中旬には1,000円強であった株価が、12/15現在1,113円と、ここ最近顕著な株価の伸びである。
 
  上記以外にも5日移動平均乖離率はそれほど高くないが、25日、13週、26週と堅調な伸びを示している食品スーパーマーケットはユーストアの5日(0.10%)、25日(3.40%)、13週(3.99%)、26週(3.51%)であり、11月中旬以降850円前後の株価が12/15現在912円と右上がりに推移している。また、関西スーパーマーケットも5日移動平均乖離率では-0.12%であるが、25日(0.76%)、13週(3.26%)、26週(8.80%)と上昇しており、実際、日別の動きを見ると株価が700前後であった9月以降、3ケ月間、ゆるやかに右上がりに上昇をつづけ、12/15現在791円である。

  このように、移動平均乖離率が5日、25日、13週、26週と長くなるに従い、上昇率が大きくなる株価は右上りに急上昇している株価である。食品スーパーマーケット業界でも先にあげたように、現在数社、短中期的に右上がりに株価が上昇し、投資家から強く支持されている株があり、今後の動きが注目される。
 
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December 15, 2006

イオンがここへ来て、にわかに注目を集める!

  12/14の日経新聞に「イオンモール15%増益」、「今期経常、新規SCなど寄与」という記事が載り、2007年2月期のイオンモールの決算が15%の増益になることが明らかになった。ここへきて、イオンがマスコミで特集されることが多くなり、にわかに注目を集めている。販売革新12月号ではダイヤモンドシティミューが特集され、12/16発売の東洋経済ではイオン恐るべしという50ページ以上のイオンの大特集が組まれた。特に、流通戦国時代の終焉というサブタイトルのもと、岡田元也社長への120分のインタビュー記事も掲載されており、流通業界の覇者として取り上げられているのが特徴である。また、イオンの注目はこのようなマスコミばかりではなく、投資家からも注目が集まっているのが現状である。東洋経済の記事の中にもあるが、この11月にイオンは2,000億円の公募増資を実施しているが、海外からは20倍、国内を合わせると10倍の応募があったという。単純に計算しても2兆円の資金提供が殺到したこととなり、投資家からも熱い視線が注がれているといえよう。

  東洋経済の12/16の記事によれば、イオンが投資家からにわかに注目を集めはじめた理由はシェアにあるという。現在、日本の小売市場は約120兆円といわれているが、イオンの現状の売上は4.4兆円、これに、今回、資本業務提携するダイエーの1.7兆円の売上を足すと6兆円を越え、シャアで見ると6%となる。この6%のシェアが急成長の臨界点に迫っているのではないかという仮説である。事実、アメリカのウォールマートは国内小売シェア6%を越えた1996年当たりから急成長路線に入り、2005年度現在のシェアは11.4%であるという。イオンもこの臨界点である6%のシェアに達しつつあり、今後、10年で10%以上、10兆円の売上になるのではないかという仮説である。そこまで、急成長するかはともかく、仮に年商が6兆円となれば、世界の小売業の中で、ベスト10に入ることになり、これはイオンが一貫して目標に掲げてきたグローバル10の実現となる。これが、いま、イオンににわかに注目が集まる理由であるという。

  また、東洋経済の記事の岡田社長のインタビューの中で急成長の要因のひとつは2000年の大店立地法の施行により、自由競争に入るやいなや、迷わずにモール型ショッピングセンターへいったと岡田社長は述べている。この決断が現在のイオンのシェア獲得の原動力となったといえよう。イオンは現在、モール型ショッピングセンターのデベロッパーとしての管理会社をイオンモールとつい最近子会社化したダイヤモンドシティの2つを持っているが、どちらも好調な業績で推移している。

  イオンモールについては、12/14の日経にも掲載されたが、12/13現在の2007年2月期の連結決算予想は売上608億円(114.9%)、営業利益206億円(111.3%)、経常利益195億円(111.9%)、当期純利益115億円(110.9%)となる予想である。イオンモールは現在24店舗のショッピングセンターを運営しており、つい最近も10/20にイオン高崎ショッピングセンター、11/18にはイオン神戸北ショッピングセンターをオープンしている。中期計画としては、2013年に50のショッピングセンター、いまの2倍を目指すという。

  一方、ダイヤモンドシティは12月号の販売革新で取り上げられたダイモンドシティミューについで、11/25にはダイヤモンドシティリーファをオープンしており、現在約20店舗のショッピングセンターを運営している。2007年2月期の決算予想も12/13現在、売上470億円(115.0%)、営業利益127億円(128.2%)、経常利益127億円(127.1%)、当期純利益75億円(113.4%)となる予想である。

  このようにイオンの成長の原動力となっているショッピングセンターの管理会社2社の2007年度2月期の決算は増収増益の好業績となる予想であり、グローバル10入りが現実味を帯びてきたといえよう。イオン以外の他の小売業が明確な成長戦略が見えない現状と比べると、ショッピングセンターを成長戦略の柱にすえたイオンは、ちょうどウォールマートのスーパーセンターを柱にすえた成長戦略とよく似た構造であり、ウォールマートの10年前の成長軌道に入った状況と確かに良く似ているといえよう。いま、イオンが投資家、マスコミから注目を集める理由がこの明確な成長戦略にあるといえよう。

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December 14, 2006

客単価と振り子の原理、売場で振り子を振ってみよう!

  客単価はPI値と平均単価の掛け算であり、客単価を上げるためには、PI値をアップさせるか、平均単価をアップさせるか、それとも双方をアップさせるかの3択問題となる。また逆に、平均単価がダウンした場合も、PI値がダウンしたか、平均単価がダウンしたか、それとも双方がダウンしたかの3つに原因が特定できる。すなわち、客単価とはアップした場合は3パターン、ダウンした場合も3パターンあり、合計6つに評価が分かれる。これが客単価の6段階評価法であるが、一般的には4つはすぐにわかるのだが、残りの2つが中々理解しにくい場合が多く、特に、これらを図解した場合、客単価=PI値×平均単価となるため、客単価はy=1/xのグラフの双曲線になり、この双曲線が客単価だと説明しても、中々ピンくる人は少ない。また、これは経済学の需要供給の法則と同じ、需要曲線のことだといっても、そもそも需要曲線事態が一般にはわかりにくいので、経済学のテキストを見てもよくわからないという場合もあり、結局、客単価がなかなかイメージできないということになり、これが客単価の科学的解明を遅らせてしまったともいえる。

  ところが、最近、ひょんなきっかけから、これらの説明よりもはるかにわかりやすい客単価の説明ができるようになった。まだ100%固まったわけではないが、これまでの客単価の説明に比べると、少なくとイメージしやすい客単価として説明することができるので、本邦初公開となるが、このブログで、客単価の新しいイメージを解説してみたい。先ほどパワーポイントで客単価の新しいイメージ図を作ってみたが、まあまあのできであり、もう少し工夫をするともっとわかりやすくなるかなというところまできた。

  さて、その新しい客単価のイメージ図であるが、それは客単価を振り子にたとえてみたイメージ図である。まず、一本の糸に錘(おもり)をつけ、まっすぐたらし、振り子をつくる。そして、この振り子を静かに、左右に揺らすと錘(おもり)の軌跡がちょうど扇形の狐を描き、左右に揺れ続け、振動を繰り返す。この錘(おもり)そのものが客単価であり、この錘(おもり)の振動の軌跡が客単価曲線である。客単価とは振り子が静止している時は錘(おもり)そのものであり、振動しはじめると客単価は錘(おもり)の軌跡となる。そして、振り子に向って、左側が平均単価の領域であり、右側がPI値の領域とみれば、振り子=客単価は、平均単価とPI値の領域へ入ったり、出たりしながら振動する。これが客単価の大まかなイメージ図である。

  そして、客単価がアップするとは、この振り子の糸を上にひっぱり上げることであり、逆に客単価がダウンするとは、この振り子の糸が下に垂れることである。すなわち、客単価アップとはこの振り子を揺らしながら、振り子を引き上げてゆく行為であり、逆に客単価が下がるとは振り子が揺れながら、下にさがってゆく行為のことである。このように客単価を振り子でイメージすると、客単価が2次元であることも理解しやすい。すなわち、客単価=PI値×平均単価であるので、客単価の錘(おもり)を中心に平均単価とPI値へ垂直に線を引いた正方形の面積が客単価であり、平均単価の方にゆれた時には、その錘(おもり)を中心に平均単価とPI値に直角に線をおろしたその長方形が客単価であり、同様に、PI値の方にゆれた時には、その錘(おもり)からPI値側と平均単価側に直角に線をおろしたその長方形が客単価である。錘(おもり)を支える糸の長さが同じであれば、真ん中の正方形も平均単価よりの長方形も、PI値よりの長方形も全部面積が同じになり、客単価は同じ大きさ、すなわち、この扇形の軌跡をゆれている間はどこに錘(おもり)が移動しても、その面積は一緒になる。ただ、厳密には双曲線と円弧との違いがあり、一緒にはならないが、イメージとしては、理解しやすいと思う。

  また、ここから、客単価をアップさせるとはその面積を大きくすることでもあるので、糸の長さを短くすることであり、それは錘(おもり)の軌跡が少し上にあがることでもあることがわかる。当然、逆に糸の長さが短くなった時が客単価の面積が小さくなり、客単価がダウンすることである。さらに、平均単価側にゆれた時、少しでも糸が短くなれば、PI値のみがアップして客単価がアップし、PI値側にゆれた時に少しでも糸が短くなれば、平均単価のみがアップして客単価がアップする。逆に糸が長くなった場合はダウンである。これに、糸が短くなってPI値も平均単価もあがった場合、糸が長くなって、PI値も平均単価も下がった場合を加えれば、客単価がアップする、すなわち糸が短くなる場合は3パターン、長くなる場合も3パターン、合計6パターンとなり、客単価の6段階評価も、振り子でたとえるとイメージしやすくなる。

  このように、この振り子の原理で客単価を説明すると客単価が振り子の軌跡のイメージとして理解しやすくなる。実務的にも売場に立ったらまず振り子をイメージし、トマト、マグロ、リンゴ、豆腐、豚肉、牛乳の前で振り子を振ってみて、バランスが悪ければ、その商品の客単価は低いと判断すれば良く、バランスのよい商品構成、売場であれば、客単価は高いと判断すれば良い。是非、売場に立ち、振り子を頭の中でふりながら客単価のチェックをしてみて欲しい。客単価の高い売場、低い売場が瞬時に判断できるものと思う。

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December 13, 2006

客単価3D分析の視点について

  客単価3D分析を実施するには、大前提としてレシート分析が必要である。レシート分析により、はじめて、単品ごとの客数が把握でき、これまでのPOS分析ですでに把握可能な単品ごとの売上金額、売上数量に加え、購入客数の把握が可能となり、金額、数量分析の2次元分析に加え、新たに客数という1次元が加わり、客単価が単品ごとに3次元で分析できるようになる。しかし、現在のPOSシステムでは中々ここまで分析できるようにはなってなく、しかも、客単価3D分析用の分析フォーマットが一般化していないため、仮に、レシート分析が可能であっても、客単価を3次元で分析し、マーチャンダイジングに活かすという食品スーパーマーケットはまだまだ少ないのが実態である。そこで、ここでは客単価3D分析の視点から見ると、これまでの分析と比べ、どのような違いがあるのかを、現在、活用可能な公開データで体感してみたい。

  まず、だれでも、自店のPOSデータで分析可能であれば、それに越したことはないが、残念ながら、現段階のPOSシステムで客単価3D分析ができる体制にはなっておらず、様々な工夫が必要となる。そこで、ここでは誰でも客単価3D分析が可能な公開データを活用することにする。これまで、本ブログでも取り上げてきた、家計調査データと日経MJの新製品週間ランキングである。この2つのデータは家計調査データは毎月、総務庁統計局から公開されている。また、日経MJの新製品週間ランキングは毎週金曜日にデータが公開されるので、誰でも活用することが可能である。

  では家計調査データに客単価3D分析の視点を加える方法であるが、家計調査データには10,000分比という購入世帯数の割合がすべての項目ごとに算出されている。これを活用すると、それぞれの購入世帯の割合がわかり、ここから、客単価3D分析を行うことができる。たとえば、直近の10月度の米の1世帯当りの家計消費額は4,125円であるが、これは米を購入している世帯も、していない世帯も含めての平均消費額である。したがって、ここに米の10,000分比5,511世帯を適用すると、この数字は5,511/10,000=55.1%の消費額であることがわかる。したがって、購入世帯のみでみた米の消費額は4,125円÷55.1%=7,486円である。このように、米の消費額=客単価に相当は、実は2種類あり、ひとつは米の購入世帯、未購入世帯を含めた平均1世帯当りの消費額であり、もうひとつは、米の購入世帯のみの消費額である。もちろん、対象全世帯が米を購入すればこれらは一致する。直近の米は、米の購入世帯が約50%であるため、4,125円と7,486円とになった。

  そして、ここから、4,125円=7,486円×55.1%という公式、すなわち、客単価=客単価PPI×客数PI値が成立し、米の客単価が4,125円をアップさせるめには、米の購入世帯の消費額、客単価PPIを上げるか、米の購入世帯を増やすかという課題が見えてくるのである。

  一方、日経MJについては、前回のブログもぜひ、参照して欲しいが、カバー率を活用することによって、現状の客単価を家計調査データと同様に、新製品の導入店舗と未導入店舗の平均客単価と導入店舗のみの客単価に分けて算出することが可能となる。ひとつ、12/8の直近のデータで示すと、飲料トップの新製品はヤクルト本社のヤクルト65ml×10本であり、客単価289円である。この289円の客単価はヤクルトの導入店舗も見導入店舗も含めての客単価である。他方、この新製品のカバー率を見ると46.7%であり、導入店舗のみでの客単価は289円÷46.7%=618.8円であり、このヤクルトの新製品の導入店舗のみでみた客単価は618.8円であることが計算できる。これは、客単価=客単価PPI×客数PI値の応用であり、ここからヤクルトの客単価289円を上げることは、導入店舗のみの客単価、客単価PPIを引きあげるか、カバー率を引き上げればよいことがわかる。また、この応用としては、チェーンストアであれば、全店の客数と導入店舗のみの客数を分けてみることにより、客単価を全体と導入店舗のみで分けて見ることも可能となる。

  このように、これら2つの公開データは現段階では客単価3D分析の数字は示されていないが、電卓で確認することが可能であり、このデータをさらに時間軸で比較すると、客単価があがった理由が、購入世帯のみの客単価があがったのか、購入世帯が増えたのかがわかり、これまでの全体客単価よりも深く、顧客の購買行動を把握することが可能となり、マーチャンダイジングへの様々な仮説を立てることが可能となる。日経MJは毎週、家計調査データは毎月データが更新されるので、是非、電卓で計算し、客単価3D分析を体感して欲しいと思う。

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December 12, 2006

アークス、ビックアハウス次世代業態、スーパーアークス2号店を出店!

  アークスが11月に札幌の菊水にビックハウスの次世代業態と位置付けたスーパーアークス1号店をオープンして以来、2号店となる北24条店を12/1、札幌市北区に新規オープンした。アークスは1994年にビックハウスの第1号店を出店して以来、33店舗の出店を行い、約1,000億円となり、アークスの全売上の約50%を占める主力業態として確立していたが、ここへきて次世代型のビックハウス、スーパーアークスを開発、今後、スーパーアークスがアークス独自の主力業態として北海道全域に展開してゆくことになるという。

  12/10の日経MJにもアークスの横山社長がトップの戦略として、スーパー大編成時代、M&Aで道外に進出へというインタビュー記事の中でその戦略の一端を語っているが、最大の違いは品揃えが従来のビックハウスの約3倍12,000品目となったことであろう。絞込みから品揃え、客数から客単価、新規顧客から来店頻度のアップへとの戦略転換といえよう。折りしも、ディスカウントで一時代を築いた北海道のカウボーイも戦略転換を迫られ、経営再建に入った矢先であり、北海道ではディスカウント戦略転換の時代に本格的に突入したといえよう。

  スーパーアークス2号店は12/1、札幌市北区にオープンした。直営の売場面積は約1,000坪であり、1階の同じフロアー内にドラックストア、100円ショップ、眼鏡専門店などが入るNSC(近隣型SC)タイプでの出店である。年商は36億円を目標という。一方、既に、11/3に札幌市白石区菊水にオープンしたスーパーアークスの1号店も同様にNSCタイプの出店であり、1階にドラックストア、レンタルCD、DVD、眼鏡専門店、靴専門店などのテナントが入店している。年商は1号店同様、36億円であり、スーパーアークスは年商36億円の立地が前提となっているようである。1号店のオープンに際し、アークスはスーパーアークスの特徴を次のように解説している。「一物三価によるロープライス路線を引き続き追求しながらも、今後益々進行するであろう少子高齢化社会に対応した品揃えや、食に対するお客さまからのご要望にお答えするため、健康、安全、安心を意識した商品(たとえば産地直送商品、有機栽培商品、地場産品を使用した商品など)の品揃えの充実をはかって参ります」としており、ビックハウスの根幹の価格戦略、一物三価は残しながらも、品揃えの充実をはかるという戦略転換を宣言しているといえよう。これ以外にもらくらく配達便での宅配、クッキングアドバイスコーナーなどのサービスの充実もはかったという。

  当然、2号店の北24条店にもこられは引き継がれ、特に1号店で好評であったという水産コーナーの対面販売(ちょうど12/10の日経MJに写真が載っている)や産地・生産者がわかる健康、安心、安全を意識した商品を充実させたという。また、クッキングアドバイスコーナーやらくらく配達便も取り入れているという。これで、ほぼスーパーアークスの業態は固まったといえ、今後、3号店、4号店と着々と新規出店が進んでゆくものいえよう。

  また、12/10の日経MJでのインタビュー記事の中で、アークスの横山社長はスーパーアークスについて、品揃えを12,000品目に従来の約3倍に増やした理由について、高齢化、核家族化の中で都市部を中心に小分けした生鮮や総菜、日配品を求める消費者も増えているので、このような需要にもきめ細かく対応できる業態を目指したという。ただ、プライスラインについては、100g当たり120円が主力ラインであるが、190円までのラインは対応するが、300円、500円のラインは置かないという戦略であり、品揃えは大幅に増やすが、プライスラインは絞り込むという価格政策をスーパーアークスでは採用するという。そして、気になる粗利であるが、ビックハウスは約17%であるが、スーパーアークスは19%程度まであがると予想している。さらに、今後の出店計画については、1年以内に5店舗の出店計画は決まっており、アークスの目指す2010年3,000億円の中期経営計画の中核業態となるものと思う。

  現在、北海道はアークス、イオン、生協の3つ巴の均衡状態が続き、激しいシェア争いが繰り広げられているが、イオンはスーパーセンター、SCを主力業態として新規出店を行っているが、今後はこれに対抗するアークスのあらたな主力業態スーパーアークスが確立されたことにより、さらに出店競争が加速され、シェア争いが激しくなるものといえよう。今後、アークスの新業態スーパーアークスの動向に注目したい。

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December 11, 2006

日経MJ新製品週間ランキングを客単価3D分析で見る!

  これまで、毎週金曜日の日経MJの新製品週間ランキングについて、本ブログでは、何度も取り上げてきたが、今回は直近の12/8のデータをもとに、客単価3D分析の視点を取り入れ、新たな解釈で、新製品をとらえ直してみたい。現状の日経MJの新製品週間ランキングで公表されている指標は首都圏34チェーン、195店舗のPOSデータである。このPOSデータをもとに毎週、客単価(1,000人当り)、平均単価、カバー率を公表し、客単価でランキングランキングをし、公表しているのが現状である。では、これに客単価3D分の視点を導入すると、このランキングはどのように変動するのかを見てみたい。

  客単価3D分析を正式に導入するには、レシート分析が前提となり、このPOSデータでは不十分であるが、客単価3D分析の視点を導入することは、現状のカバー率を活用すれば可能である。日経MJで活用しているカバー率はその商品が1つでも売れた店舗の比率であり、これが100%であれば195店舗全店で販売されている新製品であり、50%であれば、半分の約100店舗弱で販売されている新製品である。したがって、導入店舗のみの客単価を逆算することによって、客単価PPI=新製品の購入者のみの客単価に近い数値を算出することができる。この日経MJが公表している客単価を含め、一般的な客単価は売上を入店客数で割って算出するため、新製品を購入している顧客も購入していない未購入顧客も含めて一人当りの平均売上、すなわち、客単価を算出している。客単価3D分析とはこの客数に着目し、新製品の未購入客を除外し、純粋に購入客のみで客単価を算出する考え方であり、これによって、新製品の購入顧客のみの客単価=客単価PPIが算出でき、より、新製品の購買状況の実態をつかむことが可能となる。もちろん、客単価PPIに客数PI値を掛ければ、客単価になるので、客単価との関係も明確であり、逆に、客単価がなぜ高いか、あるいは低いかの理由を顧客の購買動向を購入金額か購入客数かに分けて分析できることになり、次の客単価アップへの実践的な仮説がより立てやすくなる。

  今回の日経MJではここまでの精度の高い客単価3D分析は残念ながら、現データではできないが、その一歩手前の新製品の導入店舗のみでの客単価を算出することは、可能であり、その客単価=導入店舗のみの客単価を見ることにより、より、新製品の購買行動の実態に迫ることができ、なおかつ、新製品が今後どのくらい売れる可能性があるかの推測が立てやすくなるものと思う。

  とりあえず、12/8の直近の日経MJの新製品週間ランキング表で、いくつか実際に客単価3D分析の視点を導入し、その実態を見てみたい。たとえば、その他の食品の中のNo.1は丸大食品のブロックベーコン180gであり、その客単価は288円、カバー率は65.6%である。したがって、客単価3D分析の視点を入れ、導入店舗のみの客単価を逆算すると288円÷65.36%=439.0円となる。同じ計算を、ベスト5で実施してみると、No.2の日清食品カップヌードルみそ81gが460.5円、No.3の丸大食品のあらびきロングウィンナー230gが393.1円、No.4のグリコ乳業のとろーりクリームonプリン3個パック85g×3が500円、そして、No.5の日本ハムの若鶏てりやき4個240gが423.7円となる。したがって、No.4のグリコのとろーりプリンが購入者のみの客単価で見た時には500円とNo.1であり、現在カバー率がNo.1の65.6%に対し、28.2%であり、各店での導入が進んでくると、逆転する可能性もある新製品であるといえよう。もちろん、導入店舗が増えるにしたがい、落ちることも考えられるので、この時点での判断は難しいものがあるが、可能性はないとはいえない。

  また、No.5未満の商品でも、同様に客単価3D分析の視点を入れて逆算してみると、導入店舗のみの客単価で見たときに、500円を越える新製品はNo.7の森永乳業のクラフトカマンベール入り切れているチーズが600円、No.11の明治乳業のほほえみ特別2缶パックディズニータオル付が842円、男前豆腐店の京都湯豆腐(マサヒロ)350gが731円、No.17の伊藤ハムの味健気、あらびきポークウィンナーが669円とカバー率が低いがゆえに全体の客単価では下位の商品を見出すことができる。これらは、導入店舗のみの客単価はNo.1以上の客単価であるため、今後、導入店舗が増えてくれば、No.1になる可能性があるといえ、注目の新製品といえよう。
 
  このように、日経MJの新製品週間ランキングに客単価3D分析の視点を入れることにより、全体ランキングでは見えなかった将来ランキングが高くなる可能性の高い、有望な新製品の候補を電卓ひとつでいち早く見抜くことが可能となる。その意味で、ここに公開されている情報は加工の仕方次第では、さらに貴重な情報となり、新製品の自店への導入の可否、売上予測などに活用可能であると思う。

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December 10, 2006

カウボーイ、苦渋の決断、経営再建に着手!

  北海道のディスカウントストア、カウボーイが12/8、経営再建に向けて大きく動きだした。12/9の日経によれば、ゴールドマンサックスグループとスパークス証券から51%の出資を受け入れ、創業者の中野社長が退任、後任に伊藤常務が社長に昇格するという。週明けの12/11から来年1/9までゴールドマンサックスグループがTOB(公開買い付け)を実施し、中野社長らがこれに応じ、発行済み株式の約48%を取得するという。一方、スパークス証券は、カウボーイから第三者割当て増資を受け、7億5千万円の株を取得するという。これにより、ゴールドマンサックスグループは約37%、スーパークス証券は約14%のカウボーイの株を所有し、合計51%となり、事実上、経営権が両社に移ることとなる。ただ、両企業とも証券会社であるため、今後、経営再建に当たっては、流通大手の支援も予想され、カウボーイは来年早々から、新経営陣のもと本格的な経営再建に入るものと思われる。

  今回、このような具体的な内容が公開されたのは12/8であったが、11/28には、カウボーイは今回の基本合意を公表している。この基本合意が公表されるや否や、株価は急騰し、これまで、右下がりで下がり続け、一時約300円にまでなった株価が反転、11/28は330円となった。その後、一時315円まで下がったが、先週は株価が徐々に上がり始め、12/8のこの発表を受け、来週の株価がどのような推移を示すかが注目されよう。

  一方、カウボーイでは11/28には、中野社長自ら、ホームページに上に、株主およびお取引様各位と題するコメントを掲載しており、その中で、今回のいきさつを次のように説明している。特に、今回の経営状況の悪化の原因について、「平成9年、当社メインバンクでありました北海道拓殖銀行が、その翌年には、準メインバンクの日本長期信用銀行が相次いで破綻し、まともにその憂き目に会ったのであります。このことは、多店舗化や新規事業を含めたその後の事業計画に、大幅な修正を余儀なくされました。昼夜を問わず金融機関を訪問し、それまでの事業展開の推移や今後の計画の進め方を説いて回りましたが、たくぎんの業務を継承した機関までもが、その中身をご理解いただくことができませんでした。」とし、北海道拓殖銀行、日本長期信用銀行の破綻が大きかったという。そして、その結果、「この状況で、本州資本の競合他社が大型の出店を繰り返し続く中、当社が繰り広げる考えにあった計画は、都度の見直しを余儀なくされたところであります。唯、当社役職員はこの難局を乗り越えるため、いろんな策を講ずることは緩めることはいたしませんでした。」ということであり、計画が思うように実行に移せず、競合他社との厳しい競争にあい、経営が悪化したという。

  実際、2006年9月期のカウボーイの経営数字をみてみると、特に、借入金が200億円を越え、単体の年間売上が約300億円、連結でも約500億円であるので、異常な借入比率であり、通常の食品スーパーマーケットが年間売上の約15%弱である点と比較すると、極めて高水準であり、経営を大きく圧迫していることがわかる。また、当期純利益も単体では4.1億円を計上しているが、連結では0.08億円と厳しい数字である。また、連結のPBRは0.37倍と1.00倍を大きく下回っており、当期利益が0.08億円であるため、ROEも0.06%と厳しい状況である。したがって、PERは異常値の625.49倍となり、いずれの数字も極端な数字である。ちなみに、現在の時価総額は57億円であり、食品スーパーマーケット上場企業54社の中では46番目である。

  カウボーイは、今回、第3者割当ての増資を実施するが、その額は7.5億円であることから、借入金約200億円を削減するほどの金額ではないため、今後、この約200億円の借入金をどのように圧縮するかが、大きな経営課題となろう。そして、そのためには、高収益体質に経営を改善するための経営計画をつくり、金融機関に示し、合意を得た上で、経営再建をすすめる必要もあろう。ゴールドマンサックスグループ、スパークス証券が経営権を取得する来年早々以降、両社がカウボーイに対して、どのような経営再建を行ってゆくかが注目される。

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December 09, 2006

過剰在庫、過小在庫を徹底排除せよ!

  12/8の日経に、「トイザらス赤字25億円、今期単独最終」、「過剰在庫の評価損計上」という記事が載った。最近、PI値も客単価アップへの活用だけでなく、在庫PI値を算出し、在庫削減にも取り組みはじめているので、この記事が気になってじっくり読んでみた。内容を見てみると、トイザらスの2007年1月度の単独最終損益が25億円の赤字になるという見通しであり、その理由は過剰在庫の棚卸し資産評価損を20億円特別損失に計上することにあるという。過剰在庫の中でも、今回の評価損に計上する在庫は、不稼働在庫のことで、今後、一定期間に販売が見込めないと判断した玩具に適用し、来期以降値下げ販売するという。金融機関でいえば、不良債権のことであり、一定期間内に回収見込みがたたない債権と同じことであり、今回のトイザらスの在庫はまさに、金融機関における不良債権といえよう。ちなみに、トイザらスは前期も長期借入金の前倒し返済に伴なう清算金を約15億円を計上し、最終損益が赤字になっており、2期連続の赤字という、厳しい決算予想といえよう。

  さて、今回のトイザらスの事例のように、過剰在庫は、最終的には評価損を計上せざるをえなくなり、特別損失が発生し、営業利益、経常利益が好調であっても、最終利益が圧迫され、あまりに過剰な場合は、今回のトイザらスのように、赤字になってしまう場合もある。過剰在庫はできるだけ速く見つけ出し、速く手をうつことが経営にとっては最優先課題のひとつといえよう。また、過剰在庫は、一定期間、資金が、商品販売によって回収されないまま、寝てしまうため、資金繰りの点から見ても、経営を圧迫することになる。今回の、トイザらスの事例では赤字は25億円であるが、過剰在庫の資産評価損はその内の20億円であるといい、この20億円が、本来、販売されれば、資金として使えるキャッシュであるが、これが寝てしまうわけであり、20億円はけっして小さい額ではない。このように、過剰在庫は、利益面から見ても、資金繰り面からみても問題であり、古くて新しい重要な経営課題のひとつといえよう。

  今回のトイザらスの事例は過剰在庫の問題であり、評価損という形で表面化し、それが特別損失に計上され、最終赤字という厳しい結果となり、過剰在庫が経営問題として認識された。しかし、在庫問題はもうひとつあり、過小在庫という問題も実は存在する。これは評価する仕組みがほとんどなく、表面化することがないため、経営への影響も不明確であり、実際問題として手が打たれることがほとんどないのが実態といえよう。仮に、過小在庫を測定できたとすると、これも過剰在庫と同様、経営に深刻な影響を与えていることが容易に想像できる。たとえば、過小在庫は、端的にいえば欠品を引き起こし、それが客単価ダウンにつながり、さらには、その商品の購入者が減り、客数ダウンをもたらすことになるといえよう。過剰在庫は評価損いくらと算定できるが、過小在庫は、客単価ダウンいくら、客数減何人、最終的に売上減いくらと評価できるのであれば、すべきであろう。今回、トイザらスの過剰在庫の評価損の金額が20億円であり、これは年商約2,000億円の1%にあたるので、過小在庫は過剰在庫の裏腹の関係であるので、年商の1%はあると推測できる。このように、本来、在庫管理は、過剰在庫だけでなく、過小在庫も同時に手をつけることがのぞましいといえよう。

  では、過剰在庫、過小在庫をどのような基準で判断したらよいだろうか。それが、まだ取り組み始めたばかりであるが、在庫PI値という指標でみるとわかりやすい。この在庫PI値で単品ごとに基準値をつくることにより、過剰在庫と過小在庫を同時に徹底的に排除してゆくことが可能となる。在庫PI値とは店内在庫÷客数のことであり、単品、小分類ごとに算出する。そして、この在庫PI値の全店平均をもとめ、在庫PI値が全店平均よりも異常に高い店舗は過剰在庫と見なし、即在庫削減を実施し、逆に、全店平均よりも異常に低い店舗は過小在庫と見なし、在庫を増やすように促してゆく。これを一定期間ごとに行うことによって、全店平均に在庫PI値を近づけてゆく。そして、ある程度の方向性が見えた段階で、今度は全店平均の在庫PI値の削減目標をつくり、在庫PI値の平均そのものも徐々にさげてゆけば、全店の在庫PI値も下がり、より、過剰在庫、過小在庫が減ってゆくことになる。また、この在庫PI値の良いところは、基準値が全店平均値をもとに決めれば、各店は各自、電卓ひとつで自分の店舗が過剰在庫か過小在庫かが在庫を数えて、客数で割ればわかることになり、過剰在庫の場合は削減のためのアクションプランをつくればよい。逆に過小在庫の場合は、発注を増やせばよいのであり、各自が単品ごとに適正在庫へのアクションが可能となる。

  実務上は細かい点が多々あるが、概ね、このように在庫PI値で単品ごとに過剰在庫か過小在庫かを各自が各店で見てゆけば、自然、過剰在庫も過小在庫も排除されてくるものといえよう。仮に現在、在庫を把握する仕組みがない場合は重点商品だけでも、各店から報告してもらい、その一覧表をつくり、在庫PI値で基準を示すだけでも、各店は過剰在庫、過小在庫対策が打ち易くなり、会社全体の過剰在庫、過小在庫を減らしてゆけるはずである。ちなみに、粗利PI値=在庫PI値×交叉比率であるので、粗利率が一定であれば、在庫PI値が減れば、理論的には交叉比率は上昇するので、在庫効率は格段とよくなるはずである。PI値もここへきて、やっと在庫管理への活用が見えてきたといえる。

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December 08, 2006

青果相場、東京都中央卸売市場、先週の状況、野菜暴落!

  テレビのニュースでキャベツが豊作でトラクターでつぶしている場面が流れていたが、実際、東京都中央卸売市場ではここ最近、どのような相場であったかを先週の動きで確かめてみた。キャベツは先週の相場が前年対比48%であり、半値となっており、入荷量が前年122%、前週比130%と相場が大幅に下落しているにもかかわらず、増え続けているという異常な状況がつづいている。ちなみに、価格は10kg当たり735円であるので、1kg73.5円という安さであり、1玉の原価100円弱というところであろうか。特に、このところ好天が続いており、野菜の生育が良く、豊作が続いているためという。ただ、野菜が全面安という状況でもなく、生しいたけは139%、さといもは144%と高値の野菜もある。一方、果物は堅調な相場で推移しており、一部の果物は前年対比で見ると200%以上と、高騰しており、野菜とは対照的な動きとなっている。

  先週、野菜の中で、相場が大きく崩れたものはキャベツの48%に加え、ブロッコリー46%、ピーマン53%の3つがほぼ前年対比、半値で推移し、厳しい相場であった。また、これに続き、厳しい相場が続いた野菜は春菊75%、かぶ75%、にんじん76%、ほれんそう76%、なす83%、たまねぎ85%、だいこん89%、こまつな88%と、これらの野菜が先週は特に厳しい相場であった。キャベツ同様、だいこんも産地で廃棄処分となっているというが、それでも前週比106%と入荷が増えており、産地の切実な状況を反映しているといえよう。

  これに対し、きゅうりが先週比145%、とまとも先週比112%と相場がもどりつつある。さらに高値の野菜も先にあげたように、生しいたけ139%、さといも144%に加え、れんこん122%、さつまいも108%、じゃがいも105%と、これらはむしろ相場が上昇気味であり、野菜は両極端な相場状況であったといえよう。

  実際の食品スーパーマーケットの店頭の野菜も相場安のキャベツ、大根等につられ、全体的に価格が下がっており、大幅な平均単価ダウンとなり、PI値をいくらあげても追いつかない状況が続き、客単価で昨年を越えるのは厳しい状況であったといえる。当面、このような相場が続きそうであり、年末にかけて、野菜の相場は両極端な動きとなりそうである。食品スーパーマーケットとしては、相場が安定しはじめたトマト、きゅうり、相場高の土物、キンタケ等でしっかり客単価アップをはかり、暴落といってよい相場安のキャベツ、大根、ほうれん草等の客単価の落ち込みをどこまで押さえ、カバーできるかが、当面の課題といえよう。このような相場の時は、一律100円均一などの手法はあまり効果を期待できず、メリハリの効いたカテゴリーごとの打ち出しがポイントである。

  これに対し、果物に関しては野菜と対照的に先週は堅調な相場というよりも、むしろ高値の相場といってよい動きであった。特にかきは前年対比238%という高値で推移しており、ラ・フランスも143%という高値であった。りんごも、テレビでも話題になったこともあり、王林が前週比はやや下がったとはいえ、117%で推移している。これらが高値の果物であるが、これ以外に相場が堅調なものは、いちごが、とちおとめ105%、あまおう103%、さがほのか105%で推移しており、果物は全体的に高目の相場といってよい。唯一、相場が安いのがアールスメロンであり、静岡、熊本県産が順調に入荷し、前週比126%、前年比118%と大幅に入荷が増えた結果、相場が昨対77%となった。

  このように、先週の野菜の相場は大きく暴落したものと高値相場になったものと2極化しており、食品スーパーマーケットとしては、安定した数字の確保が難しい状況であったといえよう。逆に、果物は全般的に相場高の状況であり、食品スーパーマーケット得意の価格政策が功を奏する状況が続き、比較的数字の確保が容易な状況であったといえる。多くの食品スーパーマーケットで野菜と果物では明暗が分かれたのではないかと思う。当面、このような相場状況がつづくものといえ、今後の食品スーパーマーケットの青果部門は果物は好調な推移を続け、野菜は厳しい状況が続くものといえよう。

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December 07, 2006

ちらしとアドワーズについて

  最近、アドワーズに携わる機会があり、アドワーズを体験することになった。アドワーズはチラシと対極の広告方法である。一般にはPPC(Pay Per Click)といわれるものであり、顧客がGoogleを検索した時に、検索結果の右端に出る広告のことであり、これを顧客がクリックした時にはじめて広告料金が発生する仕組みである。ポイントは、いかに有効な検索キーワードをいかに安く設定するかにあり、ここがこの広告の勝負の分かれ目である。有効なキーワードとは広告対象商品の購入希望者を見つけられるか、否かであるといってよい。キーワードが一般的な言葉であると、その言葉を検索する人は多いが、広告対象商品を欲しい人を見つけ出すことが難しく、販売に結びつきにくいといえる。また、アドワーズの場合は、キーワードがオークションされているため、人気のキーワードは広告出向者が多く、Click料金が高くなり、広告料がClick数は増えるが、割高になってしまい、しかも購買に結びつかないことが多い。実際、一般用語でやってみたが、出向回数はめちゃくちゃ増えるが、広告掲載順位が30番目となってしまい、Click数が0となってしまった。現在23円の単価なので、恐らく50円、場合によっては100円にしないと上位にはいかないのではないかと思う。

  また、アドワーズはPI値での評価が基本になっており、クリック率というPI値がキーワードごとに算出される。クリック数÷検索表示回数であり、PI値そのものである。これに単価をかければ客単価であるが、アドワーズには客単価という発想はないようだ。ちなみに、アドワーズをやってみてわかったが、PI値1%以上のキーワードがその広告にとって重要なキーワードの基準といえる。食品スーパーマーケットのPI値1%以上の商品が重点商品の基準と同じように、重点キーワードの基準はPI値1%以上である。したがって、PI値1%以上のキーワードをいくつ探せるかが、アドワーズ有効活用のための、はじめのポイントといえよう。PI値1%であるので、検索回数1,000件につき10人のClickがひとつの目安といえる。

  以上がアドワーズをやってみて実感した大まかな仕組みであるが、では、このアドワーズを成功させるには何がポイントになるか考えてみたい。そのためには、広告対象商品の見込み客を検索結果から的確に探し出すことである。そして、そのためには、人気のキーワードを設定することではなく、人気はなくともPI値1%以上の広告対象商品を確実に購入いただける可能性の高い見込み客を探し出すことにあるといえる。たとえば、100人の見込み客が欲しい場合、検索件数10,000件で100人のキーワードを探すのではなく、検索件数100人で1人のキーワードを100個つくることがアドワーズではポイントとなり、これが極意ともいえる鉄則であることが、実際やってみてわかった。アドワーズで成功している人の本などを読むと、最低500のキーワードを設定するという。はじめは、そんなバカなと思ったが、PI値で計算すると上記のように、きわめて理にかなったことであることがわかる。また、そのためのテクニックとして、キーワードを2つ組み合わせる、3つ組み合わせることもポイントであるという。実際、アドワーズではキャンペーンを25個までつくれ、それぞれ100個の広告グループが作れ、合計2,500の広告を同時にうつことができ、仮に、1広告10個のキーワードを設定すれば、25,000個のキーワードとなる。
 
  ここで、ちらしについて考えてみたい。ちらしは顧客の集約が目的である。そのために超目玉、目玉を2割引き、3割引き、5割引きで打ち出し、集客を図ろうとする。もちろん、それはそれとして効果は充分にあるし、あったと思うが、もうひとつアドワーズのような観点も集客という目的のためには必要ではないだろうか。いくら5割引きでも欲しくないものは欲しくないのであり、欲しい方にとっては大変な魅力であろうが、欲しくない方にとっては迷惑な話である。1品で100人を集客する商品訴求も大事であるが、100品で100人を確実に集客する商品訴求もポイントのように思う。前者がPI値(皆が欲しい)によるちらしであるとすると、後者はPPI(私だけが欲しい)によるちらしであり、このよようなちらしが、実はバラスよく集客を図れるのではないかということが、アドワーズを実践してみて思い浮かんだ仮説である。商品の客単価3D分析を実施すればPI値、PPIの商品を全商品の中から容易にピックアップできるので、レシート分析ができる方は是非トライしてみて欲しい。

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December 06, 2006

ウォールマート、2006年11月度、売上速報、既存店-0.1%!

  ウォールマートの2006年度、11月度の売上速報が公表された。今回、はじめて、既存店が-0.1%になり、とうとう、昨対を割ってしまった。昨年同時期は104.2%の伸びであり、これまでの43週の累計は101.9%であるので、11月度の数字は厳しいものであったといえよう。ウォールマートはこれについて、昨年のハリケーンの影響が大きかったことが最大の原因であると説明し、さらに、アパレル、住関連が厳しかったとしている。また、この既存店-0.1%の中身は、サムズクラブは102.0%で伸びており、スーパーセンター、ディスカウントストア、ネバーフッドマーケットの合計が-0.5%であったことにある。ウォールマートは今後もしばらく、昨対のハリケーンの影響が続き、12月度も100%から101%ぐらいの既存店の低成長がつづくと予想しており、当面、ウォールマートの既存店は厳しい数字が続くものといえよう。

  これを受けて、ウォールマートの株価は、この数字の公表が行われた11/30の週のはじめの月曜日、11/27頃から、株価がさがりはじめ、それまで、48ドル付近であった株価が、11/27、46.61ドル、11/28、46.71ドル、11/29、46.89ドル、そして、11/30、46.1ドル、12/1、45.87ドルとじりじり下げている状況といえる。売買高も通常の約2倍の2,500万株と増えており、今後、どの辺で株価が落ち着くかが焦点である。ただ、比較的、市場はこれまで冷静に反応しており、12/4以降の週明け、日本時間で12/5以降の株価が注目されるところである。今年のウォールマートの最高株価は約52ドル、最低株価は42ドルであるので、この42ドルを切るかどうかがひとつのポイントであろう。

  では、ここで、もう少し、2006年11月度の数字を細かくみてみたい。既存店に関しては既に解説した通りであるが、全体では国際部門の伸びとスーパーセンターの新店が順調にオープンしていることがあり、111.9%と依然として好調であり、43週累計でも112.1%である。今期も残すところ約10週間であり、このまま2桁の成長は維持できるものといえよう。この好調の原因のひとつは、全体の22.7%の売上構成比を占める国際部門が132.7%の伸びを示しているところが大きい。昨年は19.17%の売上構成比であったので、国際部門の貢献はウォールマートにとって成長戦略の柱となりつつあり、今後も、110%以上の成長を維持するには重要な部門であるといえよう。この国際部門には、経営統合した西友を含め、ウォールマート中央アメリカ、合併したウォールマート南アメリカ等がある。

  また、スーパーセンター、ディスカウントストア、ネバーフッドマーケットのウォールマート部門もスーパーセンターの新規出店が好調であり、昨対107.9%という伸びであった。43週累計でも108.3%であり、11月度も高い成長が続いているといえよう。そして、サムズクラブについては、102.1%と既存店がほとんどで、新店が少ないため、既存店とほぼ同じ伸び率である。ただし、43週累計は既存店の102.7%に対し、累計では104.4%であるので、11月以前の新店分だけ累計では高い伸びであったといえよう。

  ただ、今回、ウォールマートにも明るい材料もあり、4ドルのジェネリック薬品が全店導入になり、順調な数字を上げ始めたという。また、エレクトロニクス部門のDVDは良く売れており、それに加え、売れ筋のプレイステーション3や任天堂のwillの在庫確保は難しいものがあるが、クリスマスシーズンまでには在庫を確保したいと期待を寄せている。さらに、不振のアパレルと住関連品については、来春までに改善をはかる方針であり、これらの数字を加え、既存店の底上げをはかってゆくという。

  ウォールマートの新店については、11月度もスーパーセンターを中心に21店舗オープンしており、引き続き、新店戦略は順調といえよう。特に、11/8、オハイオ州に91店舗目のスーパーセンター、フロリダ州に141店舗目のスーパーセンター、ルイジアナ州に65店舗目のスーパーセンター、ニューヨーク州に40店舗のスーパーセンター、ジョージア州に106店舗目のスーパーセンター、ウィスコンシン州に45店舗目のスーパーセンター、ネヴァダ州に18店舗のスーパーセンター、というようにこの日は全米でスーパーセンターの同時オープンが相次いだ日であり、スーパーセンターの新規出店は今後とも急成長の勢いが続いてゆくといえよう。

  このように、ウォールマートの既存店は今期はじめて昨対を割ったが、全体としては、国際部門の好調さに加え、スーパーセンターの新規出店がものすごい勢いですすんでおり、これらが寄与し、110%の高成長はつづいてゆくものといえよう。ウォールマートはハリケーンの影響が年末から来年早々まで続くとみており、今期は引き続き厳しい既存店の数字と予想されるが、ハリケーンの影響がなくなる来期のはじめから来春にかけての既存店の数字がどのように推移してゆくかが当面の注目点であろう。

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December 05, 2006

サミット、PB、開発商品を売場に展開はじまる!

  サミットが独自のPBの開発に入った。サミットは既に、AJSグループの共同開発商品、生活良好(くらしりょうこう)を導入しているが、それとは別にサミット独自のPBを開発するという。対象部門は生鮮(鮮魚、精肉)、加工食品、デイリーで、数10商品となる予定だという。商品コンセプトは価格訴求とこだわりの2つであり、それぞれ、「happy price」、「summit selection」として展開してゆく方針であるという。特に「happy price」は実勢価格の30%から50%下回る価格帯でゆくという。今回、PB開発にあえて踏み切った目的は商品原価をバイヤーが把握し、今後の商談にいかしてゆくというバイヤー教育が主な目的のひとつであるという。また、「happy price」では価格競争力を、「summit selection」ではオリジナリティーを発揮してゆくことを目的としているという。

  実際、この開発商品がつい最近のサミットの売場に並びはじめた。本ブログでもとりあげたサミット滝野川紅葉橋店の11/29から12/3までちらしでは、「happy price」が5商品掲載された。68円の300gの絹、木綿とうふ、契約栽培大豆を使用、にがり100%の濃厚で美味しい豆腐です、というキャッチフレーズがついている。このちらしは12/1の金曜日が入っているため、サミットの月金サービスの豆腐も掲載されているが、おかめ豆腐400g、90円という価格である。100g違うので、厳密に計算すると、400gの方が若干安くなるが、通常はこれ以上の価格であるので、これまでのサミットの豆腐の中では最下限の豆腐といえよう。実際、この日、滝野川紅葉橋店でこの豆腐を買って食べてみたが、キャッチコピー通り、濃厚で美味しかった。製造元は篠崎屋だったと思う。

  これ以外ではおでんセット298円、保存料・着色料を使用せず安全・安心。かつおダシを使用し風味豊かです、というキャッチコピーである。同じく、日配の味ちくわ、5本88円、卵・保存料を使用せず安全・安心。魚の風味を生かし、食感良く仕上げました、というキャッチコピーである。さらに、日配でもう一品、茶わんむし、えび、松茸、かに180g、88円、国産かつおだしを使用。風味豊かな美味しい茶わんむしです、というキャッチコピーである。そして、5つめがほそびきポークウィンナー2コ巻、1パック278円、豚肉100%。やわらかな食感のほそびきウィンナーです、というキャッチコピーである。今回のちらしにはこの4品が写真つきで、さらに、ハッピープライスの説明として、「他のブランドに負けない品質で、お買得価格を実現しました。お客様にハッピーな気持ちをお届けするサミット開発商品です」という説明がつき、ハートマークを目印につけ、実際に売場展開がはじまった。

  また、このサミット滝野川紅葉橋店では、約1ケ月前の10/18から10/22のちらしでは秋の生活良好(くらしりょうこう)フェアを開催しており、その中で、生活良好のハンバーグ100g、ミートボール120g、98円、味つけのり8枚入り、278円、谷川山系のおいしい天然水2L、105円、キッチンブリーチ600ml、98円、ハイクオリティナッツ210g、448円、かつおパックソフトタイプ3g×10、178円等、約20商品を紹介し、写真では70から80商品を紹介している。

  今後、サミットの売場では、この生活良好のPBを主体に、「happy price」が価格訴求として、また、近いうちには、「summit selection」が品質訴求として、3つのPBがNBと比較購買されながら売場に展開されてくるといえよう。今後のサミットのPBがどのように展開されてくるかが注目である。

  予断だが、今回のサミット滝野川紅葉橋店のちらしの中に、青果で気になる訴求があった。それはリンゴ、いちご、柿、トマトについて、必ず1個とパックを同時訴求している点である。りんご中玉98円、小玉6コ入り1袋398円、富有柿2L1コ100円、L4コ入1パック358円、いちご1パック498円、2パック入1箱980円、トマトL1コ100円、S4コ入1パック298円という訴求の仕方である。これは客単価アップには必須の方法であり、ちらしにあえて掲載することで、PI値のバラ、平均単価のパックの両方を店舗がしっかり併売し、客単価アップにつながるからでる。これが明確でないと、現場はちらし商品のみを重点販売してしまい、PI値か平均単価か、どちらかに偏った数字となり、結果、客単価が落ちてしまう。今回のちらしはその意味で、客単価アップを現場に徹底する上で良い方法であると思う。

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December 04, 2006

Mixiに食品スーパーマーケット2007年度中間決算データを公開!

  Mixi(ミクシー)に食品スーパーマーケット最新情報のコミュニティを創設して、ちょうど2ケ月が過ぎた。現在、62人の方がコミュニティに参加し、約10ぐらいのトピック、イベントなどがあり、それなりに、議論が繰り広げられている。私のマイミクも13人となり、徐々にではあるが、友人も増えつつある。所属コミュニティは食品スーパーマーケット関連には積極的に参加しているので、何と150以上となり、日本の主だった食品スーパーマーケットのコミュニティにはいろいろお世話になっている。また、最近では質問、相談コーナーも立ち上げ、ぼちぼち、利用される方もいる。さて、このような現状であるが、今回、食品スーパーマーケット最新情報のコミュニティ創設もちょうど2ケ月が経過したので、少し積極的に情報公開もしてゆこうと思いたち、今回、この数日間、連続で取り上げてきた食品スーパーマーケット最新情報の中間決算の上場54社の集計結果をMixiに公開することにした。Excelで公開し、ダウンロードできるようにしたので、自由にソートをかけ、編集することが可能である。当然、質疑応答もこのトピックで可能なので、Mixiに参加されている方は是非、Mixi版食品スーパーマーケット最新情報も参考にしてもらえればと思う。

  さて、最近のmixiの食品スーパーマーケット業界の状況であるが、以前、本ブログの9/25で紹介したが、その後について、どのような状況であるかを見てみたい。あれから約2ケ月たっているが、主なコミュテイの人数が確実に増えているのが実態である。前回、1,000人以上のコミュニティが3つあったが、No.1のSHOP 99が1,809人が1,997人、No.2の成城石井1,702人が1,921人、オーケー1,479人が1,741人と大幅に増加し、No.2の成城石井とNo.1のショップ99との差がほとんどなくなり、成城石井が急速に参加人数を増やしている。また前回833人の業務スーパーがとうとう1,000人を越え、1,029人となり、1,000人以上の食品スーパーマーケットのコミュニティがひとつ増え、4つになった。

  また、前回100人以上の食品スーパーマーケットのコミュニティであるが、スーパー玉出892人(792)、マルナカ843人(762)、コープこうべ431人(373)、ベイシア375人(337)、サミット265人(253)、オオゼキ236人(211)、紀ノ国屋240人(209)、マックスバリュ224人(201)、コープとうきょう198人(187)、フジ216人(175)、DIAMOND CITY250人(167)、コノミヤ176人(160)、オギノ177人(156)、ライフ170人(157)、マルト210人(166)、AZスーパーセンター187人(148)、PLANT159人(131)、スーパーマツモト140人(130)、天満屋132人(123)、ロジャース316人(108)と、いずれも参加人数を増やし続けている。特に、この中では、ロジャースが約3倍の316人となり急激な人数の増加である。

  さらに、前回100人以上のMixi内で見つけた食品スーパーマーケットのコミュニティは以上であったが、この2ケ月でさらに新たに見つけた食品スーパーマーケットのコミュニティは、ダイエー387人、ヨークベニマル522人、ナショナルアザブスーパーマーケット304人、ベルク189人、タイヨー457人等があり、まだまだ、見つければ、Mixi内で食品スーパーマーケットのコミュニティがあるものといえよう。

  Mixi内には食品スーパーマーケット業界にとっておもしろい様々なコミュニティがあり、たとえば、前回のブログの時には見つからなかったものとして、半額が好き307人、節約主婦372人、スーパーで働く人々90人、食の商品開発室812人、食品業界1,684人、デリ・惣菜・昼食216人、タタカエ!!!男前豆腐店2,493人、食品レジ係744人、100円アイスを食べ狂う300人など、びっくりするようなコミュニティもある。

  このように、Mixiに食品スーパーマーケット最新情報のコミュティを創設し、2ケ月がたち、あらためて、自らのコミュニティを見直し、今回、思い切って、ここ数日、ブログで連載していた中間決算の数字をMixi内に公開してみた。今後、ブログの食品スーパーマーケット最新情報では補えないデータの公開を含め、補足をこのMixiを活用して行ってゆきたいと思う。また、食品スーパーマーケット最新情報の読者の方との議論等もここでできればと思う。今後とも食品スーパーマーケット最新情報をよろしくお願いします。

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December 03, 2006

家計調査データ、2006年10月度速報、昨対99.8%!

  2006年10月度の家計調査データが、総務省、統計局から公表された。家計調査データは毎月、月末に前月のデータが公表されるので、すでに12月に入っているが、最新のデータは10月度である。家計調査データは全国1世帯当りの1ケ月当りの消費金額を、購入した人も購入していない人も合わせて、平均世帯当りの消費額で公表している。したがって、PI値と同じ発想であり、来店客数を分母に指標を算出しているのと同じことで、購入者のみのPPIは算出されていない。そこで、本ブログでは、PPIに相当する購入世帯のみの消費額も参考に算出すると同時に、購入世帯がどのくらいの割合なのか、すなわち客数PI値も算出し、客単価3D分析のノウハウを導入して、家計調査データを分析している。さらに、食品スーパーマーケットの客単価と比較しやすいように、1日当たりに換算した数字を基本にしている。これにより、家計調査データが食品スーパーマーケットの客単価と連動できると同時に、最新のPI値分析のノウハウである客単価3D分析も活用でき、これまで以上に実務的な家計調査データの分析が可能となる。いずれ、このデータも何らかの形で公表してゆきたいと思う。

  さて、この10月度の数字であるが、昨対99.8%、外食を抜いた1日当りの客単価は2,038.03円であった。それぞれの大分類で伸びた部門を見ていると、No.1が飲料であり、103.0%アップの126.03円であり、No.2がほぼ同じ伸び率の菓子類の102.9%アップの188.97円であり、No.3が野菜・海藻の101.0%アップの295.60円であり、そして、No.4が肉類の100.6%アップの207.50円であった。10月度はこの4部門のみが昨対を越え、残りの部門は昨対割れであった。また、飲料は、購入世帯のみの金額は103.3%、購入客数は99.7%、菓子類は102.9%、100.0%、野菜・海藻は101.1%、100.0%、肉類は100.5%、100.0%であるので、全体として、客数よりも購入世帯のみの客単価が若干アップしているという傾向である。

  では、飲料では何が全体の数字を押上げたかであるが、ミネラルウォータの全体の客単価6.87円、120.5%(購入世帯のみの客単価102.5%、購入世帯客数:117.6%)、緑茶13.17円、119.3%(111.7%、106.8%)とこの2品目、特に緑茶の貢献度が大きかったといえよう。客単価10円を越える商品は重点商品といってよく、飲料にはこの緑茶以外に、茶飲料15.27円、果実野菜ジュース24.93円、コーヒー12.33円と3つもあり、大分類の中でも注目の分類である。緑茶は購入世帯のみの金額も、購入世帯数も増えており、飲料全体の客単価アップに大きく貢献しているといえる。菓子類ではゼリー3.03円、119.7%(105.1%、113.9%)、プリン5.70円、117.1%(105.0%、111.6%)、ビスケット7.60円、111.8%(107.1%、104.3%)であり、ゼリー、プリンの伸びが大きく、特に購入客数が増えているのが特徴である。野菜海藻についてはキャベツ7.13円、125.1%(128.7%、97.2%)、ブロッコリー5.43円、114.0%(109.7%、103.9%)、にんじん7.40円、113.8%(113.8%、100.1%)、かぼちゃ3.53円、112.8%(109.7%、102.7%)であり、購入客数はあまり増えていないが、購入世帯のみの客単価があがっており、相場等の影響によるものが大きかったといえよう。肉類は110%以上のものはなく、全体的に昨対を維持した数字であった。

  逆に客単価が落ち込んだ部門は酒類114.67円、94.5%(92.6%、102.0%)、魚介類238.23円、97.3%(97.4%、99.9%)の2部門であり、購入客数よりも、購入世帯のみの客単価が落ちているのが特徴である。酒類では、ぶどう酒5.70円、80.7%(85.0%、94.9%)、発泡酒16.17円、84.6%(93.9%、90.1%)と特に発泡酒の数字が購入顧客数、購入世帯のみの客単価ともに落ち込んでいるのが大きい。また、魚介類に関しては、かに3.73円、83.6%(100.8%、83.0%)、かつお4.43円、84.7%(97.9%、86.6%)、ぶり8.87円、89.9%(98.7%、91.1%)とこれらの商品の数字ダウンが大きく、特に購入客数が落ちているのが特徴である。また、注目のマグロであるが、17.43円、96.5%(101.1%、95.4%)とやはり、少し落ち気味であり、特に、購入客数の落ち込みが大きい。

  また、この10月度の家計調査データで、全体の客単価を大きく伸ばした商品は、すいか(166.7%)、粉ミルク(131.6%)、オレンジ(128.6%)、いわし(125.5%)、キャベツ(125.1%)であった。購入世帯のみの客単価を大きく伸ばした商品は、いちご(150.0%)、すいか(140.4%)、キャベツ(128.7%)、粉ミルク(124.8%)、オレンジ(122.1%)であった。そして、購入客数を大きく伸ばした商品については、すいか(118.8%)、ミネラルウォーター(117.6%)、ゼリー(113.9%)、まんじゅう(113.8%)、さば(112.3%)であった。

  このように、2006年10月度の家計調査データは昨対では横バイであったが、個々に見ると、120%近く客単価を伸ばした商品もあり、その特徴を購入者のみの客単価か、購入客数なのかに分けて分析してみると伸びた理由がよくわかり、今後、仮説をつくる上で、商品政策に重点を置くか、販促政策に重点をおくかが判断でき、今後の客単価アップにつなげてゆけるものと思う。当面、飲料、菓子には注目である。

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December 02, 2006

食品スーパーマーケット、今期中間決算の評価、AAAは7社!

 今週は、食品スーパーマーケットの2007年度の中間決算の最新情報を連日ブログで取り上げてきた。売上速報にはじまり、営業利益、粗利益、借入金、PBR=PER×ROE、そして、時価総額までの一連の中間決算の結果を見てきたが、最後にまとめとして、今回の中間決算をマーチャンダイジング的な観点から総括してみたい。そこで、食品スーパーマーケットにとってマーチャンダイジングが良いとはどのような点であるかであるが、次の3点をポイントとしてあげてみたい。第1点は顧客との接点、商品との接点の評価である。第2点はマーチャンダイジングを支える財務体質の評価である。そして、第3点は参考として、株主からの評価である。株主からの評価に関しては、マーチャンダイジングの観点よりも、投資価値の観点が当然強くなるが、そのためには、マーチャンダイジングがうまくいっていないと利益を生み出せないことから、マーチャンダイジングの観点も考慮された評価と考え、参考として、第3点目に入れてみた。この3つの角度から、今回の上場食品スーパーマーケット54社の一部本決算、四半期決算も含まれるが、中間決算のまとめとして、マーチャンダイジングの評価を試みてみたい。

  まず、第1点目の顧客との接点、商品との接点であるが、具体的には顧客との接点は売上伸び率で評価できよう。顧客の支持を得られれば、より多くの商品、より付加価値の高い商品を購入いただき、客単価がアップする。また、そのような店舗は競合上も強みを発揮し、客数も増えるという善循環が発生し、売上が伸びるといえよう。また、商品との接点は粗利率と営業利益で評価ができよう。単に粗利率が高いだけではなく、経費とのバランスを考えた粗利設定が適切な利益を生むことから、マーチャンダイジングの成否のポイントは粗利率と経費率を加味した適正な営業利益と見た方が良いと思う。また、その際、商品からの粗利、売上総利益と不動産収入を加味した営業総利益があるが、マーチャンダイジングは商品からの粗利である売上総利益が原点であるので、売上総利益から経費を引いた営業利益をここでは評価の対象としたい。したがって、不動産収入等で営業利益が高い場合はマーチャンダイジングの観点からは評価は低くなる。第2点目の財務体質は、ここでは借入金に絞って評価を試みてみる。そして、第3点目の株主からの評価はPBR=PER×ROEの観点から、PBRを第1の評価指標として、PER、ROEを参考にしながらマーチャンダイジングの評価の参考としてみてみたい。

  このような3つの観点から、今回の中間決算の結果を上場食品スーパーマーケット54社で見てみると、第1の商品からの評価、すなわち、売上伸び率、売上総利益-経費のバランスのよい食品スーパーマーケットは、次の12社である。いずれも、全社平均の売上伸び率104.8%を越え、売上総利益率-経費比率が全社平均の-0.19%以上の食品スーパーマーケットである。オオゼキ(114.6%、5.90%)、大黒天物産(132.1%、4.50%)、原信ナルスホールディングス(137.0%、4.10%)、アークランドサカモト(115.8%、4.10%)、丸久(106.3%、2.00%)、ハローズ(112.3%、1.20%)、九九プラス(121.7%、0.90%)、ベルク(106.7%、0.90%)、マックスバリュ東海(119.1%、0.70%)、マックスバリュ中部(109.1%、0.50%)、ヨークベニマル(104.8%、0.00%)、アオキスーパー(107.7%、-0.10%)である。これらの食品スーパーマーケットが顧客との接点、商品との接点でA評価とえいよう。

  次に、上記12社の中で、第2点目のマーチャンダイジングをささる財務体質の評価としての借入金の問題である。借入金の売上比率が全社平均の13.75%以下の食品スーパーマーケットは以下の10社である。マックスバリュ東海(0%)、ヨークベニマル(0%)、アオキスーパー(0.4%)、オオゼキ(0.6%)、大黒天物産(1.0%)、マックスバリュ中部(2.3%)、九九プラス(5.0%)、原信ナルスホールディングス(9.6%)、ハローズ(10.1%)、ベルク(12.8%)であり、これらの食品スーパーマーケットがA評価といえよう。最後に第3点目の株主からの評価であるが、PBRが全社平均の1.46倍以上の食品スーパーマーケットであるが、以下の7社である。原信ナルスホールディングス(6.97倍)、大黒天物産(4.48倍)、オオゼキ(2.11倍)、ヨークベニマル(2.00倍:推定)、マックスバリュ中部(2.00倍)、九九プラス(1.94倍)、ハローズ(1.60倍)がA評価といえよう。

  したがって、今回の中間決算でAAAのトリプル評価の食品スーパーマーケットは原信ナルスホールディングス、大黒天物産、オオゼキ、ヨークベニマル、マックスバリュ中部、九九プラス、ハローズの7社であった。これら7社が、上場食品スーパーマーケット54社の中ではマーチャンダイジングの評価を3つの観点で見たときに中間決算段階ではAAAの高い評価であるといえよう。

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December 01, 2006

食品スーパーマーケットの中間決算後の時価総額を見る!

  時価総額が再び、注目されつつある。来春の株式交換による外資による買収の解禁が迫りつつあり、これが実現すると、現金なしに株式交換による外資の日本企業へのM&Aが容易となり、株価が高く時価総額の大きい外資企業が、株価が低く時価総額の低い日本企業を買収しやすくなり、業界再編へとつながる可能性が高まってきたといえよう。食品スーパーマーケットも例外ではなく、外資の小売業だけでなく、異業種からのM&Aも十分に考えられ、いかに、自社の時価総額を高めてゆくかが、今後の重要な経営戦略となってきたといえよう。7&IホールディングスのヨークベニマルのM&Aもこの流れの中での布石といえよう。ちなみに、ヨークベニマルの時価総額は、現在上場廃止となっているので、株価がついていないが、現在の7&Iホールディングスの株価が4,000円弱であるので、仮に4,000円で計算すると約2,000億円となり、食品スーパーマーケット業界では、トップのイズミの約2,500億円についで2位となる。これらの時価総額が高いか低いかであるが、現在、日本の上場企業約5,000社のトップのトヨタが25兆円であり、2,500億円は1/100であり、順位は約700番目であり、けっして高いとはいえない。食品スーパーマーケット業界は今後、いかに時価総額を高めるかも大きな経営課題のひとつといえよう。

  さて、まず、食品スーパーマーケット業界の時価総額をみる前に、日本の上場企業約5,000社の中から、時価総額の高い企業の現状を見てみたい。トップはトヨタであり、約25兆円である。現在の株価が約7,000円、PBR3.71倍、PER24.6倍、ROE12.0%である。この数字は時価総額を抜けば、イズミも株価は4,000円であるが、PBR2.89倍、PER25.4倍、ROE11.61%とほぼ近い数字であり、仮に、イズミの株価が2倍になり、株式を50分割すれば、トヨタと同じ25兆円の時価総額となる。以前のライブドアが株価を吊り上げ、100分割、10,000万分割した理由がここにあるといえよう。イズミ以外にもトヨタに近い指数を示す食品スーパーマーケットは、丸久(PBR4.78倍、PER40.00倍、REO11.85%)、大黒天物産(PBR4.19倍、PER20.20倍、REO18.57%)と数社ある。ただ、いずれも、時価総額が低く、丸久、大黒天物産ともに約300億円であり、食品スーパーマーケット業界の中では54社中19、20番であり、小売業界では約450社中150番、日本の全上場企業約5,000社の中では約2,000番目というところである。

  では、食品スーパーマーケット業界54社の中間決算後のベスト10の時価総額を見てみると、イズミが約2,500億円でNo.1、上場は廃止になったがヨークベニマルが、No.2で約2,000億円であるが、No.3は平和堂の約1,000億円強である。ここまでが1,000億円以上の時価総額の食品スーパーマーケットであり、4位以下は1,000億円をきってしまう。日本の上場企業の中では約1,000億円の時価総額は1,200番目ぐらいとなる。小売業界では時価総額1,000億円は約450社の中で70番前後であり、ビックカメラ1,089億円、AOKIHD1,073億円、アスクル966億円のあたりである。その4位以下の食品スーパーマーケットであるが、バロー、ライフコーポレーション、イズミヤが約750億円、オークワ約700億円、フジ、マルエツ、サンエーが約600億円というところである。

  これに対して、時価総額が100億円を切る食品スーパーマーケットは、マルヤ、エコス、ドミが約75億円、カウボーイ、ジョイス、マツヤが約50億円、マルヨシセンターが約35億円、北雄ラッキー、丸和、ダイイチが約30億円、マルミヤストアが約25億円、PLANTが20億円強である。これらの食品スーパーマーケットの特徴は株価も発行株式数も少ないのが特徴である。ちなみに、小売業界では、PLANの時価総額約20億円は、約450社の中で400番目ぐらいとなる。50億円で約350番目ぐらいの位置である。

   このように、来春から外資の本格的なM&Aが始まる可能性が迫ってきたが、ちょうど、食品スーパーマーケット業界は2月、3月に決算が集中しているので、すでに中間決算は終わり、第3四半期、本決算が近くなり、時価総額をあげるためには、株価を引き上げ、株主を増やす政策が急務といえ、そのためにも、増収増益、借入金の削減が当たり前のことではあるが、基本原則であるといえよう。

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