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December 10, 2006

カウボーイ、苦渋の決断、経営再建に着手!

  北海道のディスカウントストア、カウボーイが12/8、経営再建に向けて大きく動きだした。12/9の日経によれば、ゴールドマンサックスグループとスパークス証券から51%の出資を受け入れ、創業者の中野社長が退任、後任に伊藤常務が社長に昇格するという。週明けの12/11から来年1/9までゴールドマンサックスグループがTOB(公開買い付け)を実施し、中野社長らがこれに応じ、発行済み株式の約48%を取得するという。一方、スパークス証券は、カウボーイから第三者割当て増資を受け、7億5千万円の株を取得するという。これにより、ゴールドマンサックスグループは約37%、スーパークス証券は約14%のカウボーイの株を所有し、合計51%となり、事実上、経営権が両社に移ることとなる。ただ、両企業とも証券会社であるため、今後、経営再建に当たっては、流通大手の支援も予想され、カウボーイは来年早々から、新経営陣のもと本格的な経営再建に入るものと思われる。

  今回、このような具体的な内容が公開されたのは12/8であったが、11/28には、カウボーイは今回の基本合意を公表している。この基本合意が公表されるや否や、株価は急騰し、これまで、右下がりで下がり続け、一時約300円にまでなった株価が反転、11/28は330円となった。その後、一時315円まで下がったが、先週は株価が徐々に上がり始め、12/8のこの発表を受け、来週の株価がどのような推移を示すかが注目されよう。

  一方、カウボーイでは11/28には、中野社長自ら、ホームページに上に、株主およびお取引様各位と題するコメントを掲載しており、その中で、今回のいきさつを次のように説明している。特に、今回の経営状況の悪化の原因について、「平成9年、当社メインバンクでありました北海道拓殖銀行が、その翌年には、準メインバンクの日本長期信用銀行が相次いで破綻し、まともにその憂き目に会ったのであります。このことは、多店舗化や新規事業を含めたその後の事業計画に、大幅な修正を余儀なくされました。昼夜を問わず金融機関を訪問し、それまでの事業展開の推移や今後の計画の進め方を説いて回りましたが、たくぎんの業務を継承した機関までもが、その中身をご理解いただくことができませんでした。」とし、北海道拓殖銀行、日本長期信用銀行の破綻が大きかったという。そして、その結果、「この状況で、本州資本の競合他社が大型の出店を繰り返し続く中、当社が繰り広げる考えにあった計画は、都度の見直しを余儀なくされたところであります。唯、当社役職員はこの難局を乗り越えるため、いろんな策を講ずることは緩めることはいたしませんでした。」ということであり、計画が思うように実行に移せず、競合他社との厳しい競争にあい、経営が悪化したという。

  実際、2006年9月期のカウボーイの経営数字をみてみると、特に、借入金が200億円を越え、単体の年間売上が約300億円、連結でも約500億円であるので、異常な借入比率であり、通常の食品スーパーマーケットが年間売上の約15%弱である点と比較すると、極めて高水準であり、経営を大きく圧迫していることがわかる。また、当期純利益も単体では4.1億円を計上しているが、連結では0.08億円と厳しい数字である。また、連結のPBRは0.37倍と1.00倍を大きく下回っており、当期利益が0.08億円であるため、ROEも0.06%と厳しい状況である。したがって、PERは異常値の625.49倍となり、いずれの数字も極端な数字である。ちなみに、現在の時価総額は57億円であり、食品スーパーマーケット上場企業54社の中では46番目である。

  カウボーイは、今回、第3者割当ての増資を実施するが、その額は7.5億円であることから、借入金約200億円を削減するほどの金額ではないため、今後、この約200億円の借入金をどのように圧縮するかが、大きな経営課題となろう。そして、そのためには、高収益体質に経営を改善するための経営計画をつくり、金融機関に示し、合意を得た上で、経営再建をすすめる必要もあろう。ゴールドマンサックスグループ、スパークス証券が経営権を取得する来年早々以降、両社がカウボーイに対して、どのような経営再建を行ってゆくかが注目される。

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