食品商業、2007年4月号でコープさっぽろを特集!
いま、全国的にみても超激戦区のひとつである北海道の中で、注目度No.1のコープさっぽろの特集記事が食品商業の最新号、2007年4月号の巻頭で掲載された。「打倒、イオン、アークス、攻めに転じたコープさっぽろ」という見出しではじまる内容であり、大きく2部構成となっている。前半の内容は「6つのキーワードで理解する、コープさっぽろの戦略」であり、後半の内容は「松村理事長が語る、コープさっぽろの過去から現在、そして未来」というものである。松村理事長は1999年4月に、コープさっぽろ再建に着手し、それから8年間に渡り、経営再建に取組み、今年の6月には日本生協連盟から資金援助として借り入れた240億円の返済が終わるとのことで、経営再建が一段落するという。その一連の取組み状況と北海道の現状、今後の戦略について語った貴重なインタビュー記事であり、一読の価値があるといえよう。
特に、松村理事長は、この6月の生協の総代会で退任することが決まり、このインタビュー記事は理事長として語る貴重な内容であるといえよう。3/16の北海道新聞に「コープさっぽろ、理事長に大見氏、日生協債務87億円一括返済へ」という記事が掲載されたが、その内容は、「生活協同組合コープさっぽろ(札幌)は十五日、六月の総代会で松村喬理事長(64)が退任し、後任に大見英明専務理事(48)が昇格する人事を明らかにした。二十一日にコープ十勝(帯広)と合併し、道内生協を一本化するのを機に、バトンタッチに踏み切る。また、二○一四年までに返済する方針だった日本生活協同組合連合会(日生協)への借入金八十七億円を、四月末に全額返済する。」ということである。大見氏は9年ぶりのコープさっぽろ生え抜きであり、コープさっぽろとしても再建が一段落したとの判断であると思われる。
さて、食品商業のコープさっぽろの特集記事であるが、まず、前提として、北海道の超激戦状況を理解する必要がある。北海道の流通状況は本ブログでも以前取り上げたがアークス、イオン、コープさっぽろの三つ巴の寡占状況であり、それぞれが約2000億円強の年商であり、まさに三つ巴の状況といえる。そして、もうひとつの前提は、コープさっぽろの経営再建の経緯である。コープさっぽろは1996年に経営危機が表面化し、経常赤字が続き、98年から2年間に渡り、日本生協連から162億円の資金援助を受け、同時に、内舘晟氏と今回食品商業のインタビューに応じた松村喬氏の2人の理事長をむかえ、経営再建に着手した。再建の骨子は店舗数と正規職員を半分にするというリストラであり、その結果まさにV字回復といわれる劇的な経営改善が図られ、経営再建が今年度をもって一段落することになったことである。
ただ、食品商業に公開されている現在の数字を見てみると、2005年度の全体の事業高1,800億円の内、店舗事業が1,273億円(約70%)、宅配事業が約600億円(約30%)であり、事業高経常剰余率は全体では1.9%であるが、店舗が0.6%、宅配が4.5%であるという。したがって、売上面では店舗が支えているが、利益面では宅配がささえている構造となっており、赤字体質から脱却し、借入金を全額返済することにはなったが、まだまだ、店舗の収益率は低く、今後、第2弾、第3弾の特に店舗事業に関しては経営改革が必要といえる状況であるといえよう。実際、次期理事長となる大見氏は、先の北海道新聞の記事の中で、「真の経営再建にあと十年はかかる。さらなる低コスト体質を実現させたい」と抱負を述べており、一般的な食品スーパーマーケットの経常利益率2~3%へもってゆき、さらに、優良食品スーパーマーケットの4~5%を目指すには、「あと10年はかかる」という認識は、この北海道の超激戦状況を考えれば、実感であろう。
食品商業の記事であるが、前半の6つのキーワードは、「既存店売上の回復」、「店舗規模の標準化」、「重点販売」、「フレンドリーサービス」、「教育と意欲アップ」、「単品の磨き上げ」であり、特に、2つ目の「店舗規模の標準化」については、今後、ドラックストアを組み合わせた850坪タイプと食品中心の680坪タイプの2パターンでの出店が主になるとのことで、アークス、イオンに十分対抗できる規模と品揃えになるということで、注目の内容といえよう。
一方、松村理事長へのインタビュー記事は「3極態勢の戦い方」、「重点政策」、「2010年の戦い」の3つからなっており、特に、3つ目の「2010年の戦い」では年商3,000億円の戦いに北海道はなってゆくという認識を示しており、それに向けてPB戦略、販管費率、物流費削減が必要であると強調しており、読み応えのある内容である。
このように、食品商業、最新号、2007年4月号のコープさっぽろの特集記事は大変興味深い内容である。特に、北海道の食品スーパーマーケット3社による三つ巴の状況および今後のゆくえは、まさに日本各地の今後の食品スーパーマーケット業界の未来図ともいってよいといえ、コープさっぽろはもちろん、アークス、イオン、そして、その他の食品スーパーマーケットの今後の動向には注目である。
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