松坂と食品スーパーマーケットのプライスラインについて
今回は松坂とプライスラインについて取り上げてみたい。この間、レッドソックスの松坂大輔の大リーグデビュー戦をたまたま出張先のホテルで、朝3時に目が覚めてしまい、見始めたら寝むれなくなり、結局、夜明けまで、全部見てしまった。あの寒さの中で、けっして、松坂は、本調子ではなかったと思うが、10Kを含む勝利投手となり、見事なデビュー戦だった。試合終了後のインタビューで松坂がいっていたように、「ゲームを良くコントロールできていた」という言葉が印象に残った。確かに、松坂はゲーム全体のコントロールももちろんだが、バッター1人1人を松坂の豊富な持ち球でしっかりコントロールしていたように感じた。
最近、大リーグ中継が面白く、よく見るようになった。特に、ピッチャーがバッターに対し、どのような駆け引きをし、打ち取ってゆくか、逆に、バッターがピッチャーの駆け引きに動じず、見事、真芯にボールをとらえ、ヒット、あるいはホームランを打つかが実に面白い。双方、鍛え上げられたプロとしてのプライドをかけての知力、体力の持てる力を存分に発揮しての真っ向からのガチンコ勝負であり、見ているだけでも面白い。
特に、今回の松坂のデビュー戦は、面白かった。松坂の武器である直球と高速スライダー、そしてチェンジアップの組み合わせは改めてすばらしいと実感した。以前、NHKで松坂特集をやった時、松坂のボールを流体力学から研究しているという大学教授が解説していた。それによると、高速スライダーは直球の縦回転に対し、きれいな横回転の軌道となるため(ジャイロ?)、スピードが落ちずに、曲がり方が激しく、バッターのタイミングが取りくいとのことだった。また、松坂の直球は回転数が通常のピッチャーよりも5回転から10回転多く、40回転後半となり、それだけボールが速く、しかも、10cmぐらい浮き上がるとのことで、これもバッターにはタイミングが取りにくいといういうことだった。さらに、これにチェンジアップが加わるので、松坂の直球は大きく3つ、通常、横、速さ、さらに、上下、左右と投げ分けるので、直球だけで3×3×3=27通りのパターンがあることになる。これにさらに、カーブとフォークが加わり、本調子の時は球威もあり、バッターは実に打ちにくいと思う。松坂がいう試合をコントロールするには、この基本の直球の場面場面に応じての投げ分けがポイントであると、今回の松坂のデビュー戦を見てつくづく感じた。
実は、食品スーパーマーケットのプライスラインもこのように考えるべきではないかと思う。松坂の基本となる直球に対応する中心プライス、さらに、下限、上限プライス、そして、ここからがポイントであるが、高速スライダーとチェンジアップを顧客の流れに応じて展開できれば、顧客はバットを振ってくれるのではないかと思う。実際に買ってもらえるかどうかは別として、少なくとも商品に注意を払い、手に取ってくれるのではないかと思う。そして、これが、商品を通じて顧客をコントロールすることであり、顧客をコントロールすることによって商品の客単価、売上を上げることであると思う。
高速スライダーとチェンジアップをどうプライスラインに当てはめるかであるが、ひとつの考え方としては、チェンジアップはプライスラインは変えずに中心プライスの商品のフェイス、あるいは、POP等を活用し、顧客への商品訴求を強調することであり、高速スライダーは価格変化をもたらすことであると考えることができよう。高速スライダーの使い方としては、上限プライスの価格を下げ、中心プライスに近づけ、上限プライスにお買い得感を出し、商品訴求を行うことであるいえよう。また、逆に下限プライスの価格を下げ、中心プライスとの差を広げ、下限プライスの安さを強調し、下限プライスの商品を訴求することも同様である。このように、売場において、顧客の流れに応じて、チェンジアップと高速スライダーを組み合わせる力を現場がつければ、現場が顧客をコントロールすることが可能となろう。
通常の食品スーパーマーケットは賞味期限、鮮度劣化、在庫過剰等により仕方なく見切りという形でチェンジアップや高速スライダーを投げているが、もう一歩、進め、しっかりとした訓練をつみ、積極的にチェンジアップと高速スライダーを活用すれば、顧客との毎日の真剣勝負が生まれ、現場が顧客をコントロールし、売場をしっかりつくってゆけるのではないかと思う。再度、単純な直球のようなプライスラインだけでなく、チェンジアップ、高速スライダーの訓練を行い、顧客のコントロールに挑戦し、現場が自らの力で客単価アップ、ひいては売上アップを図っていけるような仕組みづくを検討してみてはどうか。
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