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May 26, 2007

マックスバリュ中部、3月期決算、連結減益、個別は増収増益!

   マックスバリュ中部がマックスバリュグループ上場企業では最後となった2007年3月期決算を5/23、公表した。マックスバリュ中部は親会社のイオンが58.69%の株式の議決権比率をもっており、次期からの会計はイオンに合わせ、1/31しめとなり、今期が3月度としては最後の決算である。今期は子会社に、マックスバリュ名古屋を含め3社が連結しており、連結と個別では決算内容に明暗が分かれた。ここでは次期から吸収合併される予定のマックスバリュ名古屋を含めた業績を示す連結決算を中心に見て行く。

   まず、個別決算の結果であるが、営業収益は874.29億円(108.9%)、営業利益24.48億円(113.0%:売上対比2.9%)、経常利益25.00億円(112.9%:売上対比2.9%)、当期純利益10.16億円(133.0%:売上対比1.2%)と大幅な増収増益で、過去最高の数字であった。一方、連結は営業収益は1,002.05億円(124.8%)、営業利益20.27億円(91.1%:売上対比2.1%)、経常利益20.21億円(89.1%:売上対比2.1%)、当期純利益6.00億円(75.6%:売上対比0.6%)と初の年商1,000億円を超える大幅な増収ではあったが、減益となる厳しい決算であった。

   連結決算が増収減益となった背景は、増収については既存店が好調であり、昨対102.9%で推移したことに加え、岐阜県初めてとなる新店を含め、新規5店舗を出店したことによる。さらには、マックスバリュ名古屋が2006年5月に子会社化され、20店舗が加わったことにより、総店舗数が83店舗となったことが大きい。これに対し、減益となった背景は、粗利率が下がったことが大きく、売上総利益が昨年の26.2%から25.6%へと0.6ポイント、不動産収入等を加えた営業総利益も昨年の28.9%から27.9%と1.0ポイントダウンした。販売費及び一般管理費は昨年の26.0%に対し、25.8%と0.2ポイント削減しているが、差引き営業利益率は昨年の2.9%から2.1%の昨対72.4%となり、売上の伸び124.8%でカバーできず、減収となった。特に、営業利益高に関しては個別の24.48億円が連結では20.27億円と下がっており、マックスバリュ名古屋を含めた子会社の営業利益高がかなり厳しい数字であったといえよう。

   マックバリュ中部は2010年までの中長期計画V-PLANを2002年度からスタートさせており、その目標数値を売上高経常利益率5%、ROA(総資産当期純利益利率)5%、ROE(株主資本当期純利益率)10%以上、自己資本比率は逆算すると50%となるが、を掲げ、現在5年目となり、その真っ最中である。現状の数値をみると、経常利益率は2.1%、ROEは4.7%、ROAは1.52%、自己資本比率は32.4%であり、計画数値の半分以下であり、特にROAが大きく目標数値を下回っている状況である。

   ROA=ROE×自己資本比率であるので、その原因は、当期純利益率の課題もあるが、現状、特に今期は自己資本比率が昨年の43.9%から32.4%へ下がり、この数年では最も低い数字となったことによる。マックスバリュ中部が経営目標であるROA5%を達成するためには、自己資本比率の改善が急務といえよう。

   そこで、今期の自己資本比率32.4%となった中身を総資産、純資産、そして、負債面、出店にかかわる資産面、営業にかかわる資産面、その他の負債、資産面から見てみたい。まず、純資産であるが、130.00億円(昨年127.27億円:102.1%)、総資産は401.08億円(昨年289.60億円:138.4%)と総資産が大幅に増加したことが大きいことがわかる。負債面の長短借入金については、78.14億円(昨年23.78億円:328.5%)であり、50億円強と大幅に借入金が増加している。これは総資産の19.48%であり、売上の7.79%である。

   一方、出店にかかわる資産である建物及び構築物は131.74億円(昨年100.82億円:130.6%)、土地101.68億円(昨年81.93億円:124.1%)、差入保証金38.58億円(昨年26.16億円:147.4%)と合計272.00億円(昨年208.91億円:130.1%)と約70億円弱の増加であり、総資産の67.8%である。営業にかかわる資産については、たな卸資産23.28億円(昨年19.33億円:120.4%)に加え、今期はのれん22.59億円(昨年0億円)が加わり、合計45.87億円(昨年19.33億円:237.2%)となり、約20億円強と大きく増加し、総資産の11.4%となった。また、これら資産以外にも今期は負債面では、買掛金が約20億円、預かり保証金が約15億円等増加している。

   このように、今期の自己資本比率が32.4%となり、結果ROAが1.52%となった背景には、マックスバリュ名古屋のM&Aに伴ない、純資産の増加なしに、負債の大幅な増加、資産の大幅な増加が同時に起こったことによるものといえよう。マックスバリュ中部が、今後、中長期計画の目標値を目指すためには、現状の当期純利益6.00億円の状況では厳しいものがあり、収益性を高め、営業利益を増やすマーチャンダイジングの改善に加え、資産の圧縮、流動化等も大きな課題といえよう。

   その意味で今回のM&Aは大幅な増収にはつながったが、ROA、ROE、自己資本比率を一時的に悪化させてしまったといえ、現在のマックスバリュ中部に負債面、資産面において重くのしかかっているといえよう。今後、マックスバリュ中部が、どのように収益改善をはかり、負債の削減、資産の圧縮に取り組んでゆくかが注目である。

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