エコスの2007年2月期決算を見る、増収減益、ROA0.79%!
エコスが4/11に公表した2007年2月期の決算を見てみたい。エコスは、子会社7社、関連会社1社で構成される企業グループであり、連結対象は4社の食品スーパーマーケットとなる。4社の食品スーパーマーケットとは、たいらや、シーズンセレクト、マスダ、やまうちの4社である。したがって、個別決算ではこれら4社の食品スーパーマーケットの数字が反映されないことから、ここでは、連結決算の状況を見てゆく。
エコスは昨年、減損会計を適用したため当期純利益が21.44億円の赤字となり、厳しい決算となり、今期の決算結果がどこまで改善されているかが注目されていた。今期の営業収益は1,176.67億円(102.4%)、営業利益3.19億円(77.1%:売上対比0.3%)、経常利益2.50億円(80.8%:売上対比0.2%)、当期純利益2.95億円(昨年は赤字:売上対比0.3%)と増収、当期純利益は黒字に転じたが、営業利益、経常利益は減益となり、売上対比も厳しい数字となった。ちなみに、個別決算は営業収益は722.33億円(101.6%)、営業利益2.95億円(132.2%:売上対比0.4%)、経常利益3.10億円(137.0%:売上対比0.4%)、当期純利益0.76億円(昨年は赤字:売上対比0.1%)であり、増収増益ではあったが、売上対比の営業利益、経常利益はわずかであり、依然厳しい経営状況であるといえよう。
エコスが今期増収となった要因は2006年6月2日にエコス江戸崎SC店(茨城県稲敷市)、2006年12月7日にエコス川口店(東京都八王子市)、2007年2月8日にエコス茂原店(千葉県茂原市)をはじめ、エコスグループで9店舗の新店を出店したことに加え、25店舗の改装を実施したことによる。その結果、総店舗数は116店舗となった。内訳は東京都12店舗、埼玉県12店舗、千葉県3店舗、茨城県40店舗、栃木県24店舗、群馬県1店舗、福島県3店舗、静岡県16店舗であり、北関東を中心に広域に店舗展開をしている。直近の売上の推移を見ると、3月度は107.6%、4月度は106.2%、既存店も101.2%、100.7%と順調に推移しており、売上は回復基調にあるといえよう。また、エコスは今期、生鮮、惣菜の強化を重点的に行い、特に青果の構成比12.6%(昨年12.3%)、惣菜9.1%(昨年8.9%)、精肉10.5%(昨年10.3%)、鮮魚11.7%(昨年11.6%)とすべての部門が上昇し、生鮮関連の構成比が43.9%(昨年43.1%)と0.8ポイント上昇し、生鮮関連の競争力が増したことも大きかったといえよう。
一方利益面であるが、今期の売上総利益は25.1%(昨年25.1%)であり、これに不動産等の営業収入が2.1%(昨年2.0%)加わり、営業総利益は27.2%(昨年27.1%)と0.1ポイント改善した。これに対して、販売費及び一般管理費は26.9%(昨年26.7%)と0.3ポイント上昇したため、差引き、営業利益が0.3%(昨年0.4%)と0.1ポイント下がったため、営業収益の伸び102.4%でカバーできず減益となった。経費上昇の要因は人件費はほぼ横バイであるが、出店にかかわる減価償却費や、販売費の増加が主な要因であり、ここ最近のエコスの新店の大型化にともなう費用の上昇が経費を圧迫しているといえよう。
そこで、エコスのROA、ROE、自己資本比率を見てみると、ROAは0.79%(昨年はマイナス)であり、ROEは5.2%(昨年はマイナス)、自己資本比率は15.3%である。特に、自己資本比率が低く、この数年を見ても2007年2月期15.3%、2006年2月期15.8%、2005年2月期22.3%、2004年2月期25.3%と下がりつづけている。この要因を負債面と出店にかかわる資産面、営業にかかわる資産面で見てみると、負債面の主な項目である長短借入金は156.88億円(昨年155.21億円)と、総資産の42.4%、営業収益の13.3%である。一方、出店にかかわる資産は、建物及び構築物114.46億円(昨年103.93億円)、土地46.83億円(昨年46.80億円)、敷金・保証金63.82億円(昨年65.39億円)と合計225.11億円(昨年216.12億円)と昨対では微増であるが、総資産の60.9%を占め、純資産56.58億円と比べても大きな資産額であり、長短借入金156.88億円で賄っている構造であり、これが資産の効率を下げ、自己資本比率を低くしているといえよう。
このように、エコスは昨年に比べ、減損会計が一段落し、当期純利益は黒字転換したが、その金額はまだまだ売上対比0.3%と低いことに加え、出店にかかわる資産が借入に依存している構造のため、自己資本比率があがらず、経営効率が厳しい状況となっている。ただ、ここへきて売上は堅調な伸びを示しているので、粗利率の改善と特に経費の削減に一層取り組むことにより、営業利益が改善してくれば、自然、ROEは改善し、借入金の削減につながり、さらに資産を圧縮できれば、自己資本比率が上昇し、ROAも改善に向かう。そして、そのためには、ここ最近、大型化してきた新規出店にかかわる出店コストを資産の流動化等により、削減し、惣菜、生鮮の強化により収益性の高い食品スーパーマーケットを構築できるか否かが当面の鍵を握っているといえよう。その意味で、エコスの今後の新店には注目である。
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