ブルドックソースの2007年3月期の決算を見る!
前回のブログで、ブルドックソースのスティールパートナーズのTOBに対する捨て身の対抗策について取上げたが、その後も、従業員一同がTOBに断固反対し、今回の経営陣の対策に全面支持を表明するなど、着々とブルドックソースのスティールパートナーズへの対抗策が進みつつある。そこで、今回は、ブルドックソースの2007年3月期の決算短信をもとに、ブルドックソースの現状の経営状況を見てみたい。ブルドックソースの2007年3月期の決算短信は5/18に公表されたが、それによると、連結の売上高は167.59億円(114.0%)と大幅に上昇したが、個別の売上高は118.53億円(96.1%)と減収となった。これは主な連結子会社のイカリソースの売上高が加わっての連結の増収であり、ブルドックソース本体は厳しい売上であった。今期は主力商品であるウスターソース、中濃ソース、とんかつソースの食品添加物不使用などの全面リニューアルを実施したが、計画未達であったことが大きかったという。
営業利益は7.18億円(84.6%:売上対比4.3%)と減益となった。これは売上総利益が昨年の53.9%から52.6と1.3ポイントと大きく下がったことが大きく、販売費及び一般管理費も昨年の48.1%から48.3%へと0.2ポイント上昇し、結果、営業利益率が昨年の5.8%から4.3%へと1.5ポイントの大幅ダウンとなり、売上114.0%でカバーできなかったことによる。個別の営業利益が8.61億円と連結よりも1.43億円高いことから、子会社のイカリソースの営業利益も厳しかったものと推察される。ただ、それを差し引いても、個別の営業利益も昨対85.2%であるので、全面リニューアルにより、活性化をはかった主力商品のウスターソース等の粗利率が苦戦したといえよう。経常利益は9.72億円(80%:売上対比5.8%)、当期純利益は5.41億円(124.6%:売上対比3.2%)であった。当期純利益は事業用再変費用2.41億円が昨年は計上されていたが、今期は0であり、大幅な増益となった。
一方、ブルドックソースのROAであるが、今期は2.27%と昨年の1.77%から大きく上昇しているとはいえ、まだまだROEが3.0%(昨年2.4%)と低いために、自己資本比率が75.7%(昨年73.8)と高いにもかかわらず、ROAは低い状況といえよう。ブルドックソースの経営目標は売上高経常利益率と、この自己資本純利益率の向上を掲げているが、今期の自己資本純利益率(ROE)3.0%はけっして高いとはいえず、スティールパートナーズからの株主価値の向上が求められる要因がここにあるといえよう。ブルドックソースの自己資本比率は75.7%と高いことから、ROE、そして、ROAの向上は当期純利益の改善にかかっているといえ、そのためにも今期の主力商品の全面リニューアルを軌道に乗せ、傘下に納めたイカリソースの経営を立て直すことが急務であるといえよう。
今期のブルドックソースの自己資本比率75.7%の中身を見てみると、純資産については昨年の184.61億円から178.52億円と約6億円減少しているが、これは株主資本が減少したのではなく、その他有価証券評価差額が昨年の15.5億円から8.87億円と減少したことによる。また、主な負債については、長短借入金が昨年の10億円から8億円と約2億円減少したが、総資産の3.3%であり、売上の4.7%であり、経営への圧迫はほとんどない金額といえよう。これが、ブルドックソースの自己資本比率を高めている要因であるといえる。
また、総資産を見てみると、昨年は250.24億円であったが、今期は235.68億円と約約15億円減少しており、これがROAを高める要因となったといえよう。その中身を見て見ると、固定資産の中ではもっとも構成比の高い投資有価証券が昨年91.63億円から84.78億円と約7億円減少、建物及び構築物が29.53億円から27.82億円と約2億円減少した。土地は昨年27.10億円から27.10億円と同じであったので、固定資産では合計約9億円が削減された。これに加え、流動資産では手形及び売掛金が昨年の47.06億円から44.98億円と約2億円、そして、現金及び預金が昨年の21.62億円から18.79億円と約2億円減り、合計約4億円が削減された。現金及び預金が減ったのは短期借入金の2億円を返済したことが大きかったといえよう。
このように、今期のブルドックソースの決算を見ると、子会社化したイカリソースの経営がまだ軌道に乗っていない上に、全面リニューアルで臨んだ主力商品のウスターソース等が売上、利益に直結せず、むしろ、苦戦気味であることが、増収減益となった要因といえよう。セグメント情報がわからないために、業務用の数字がどのような状況かがわからないが、いずれにせよ、主力商品を軌道に乗せ、子会社のイカリソースの活性化が急務であり、営業増益、そして、当期純利益をさらに向上させ、株主資本利益率、ROEを高め、ROAを向上させてゆくことが当面の課題であるといえよう。今回、スティールパートナーズによるTOB対策として中長期経営計画が公表されたが、現状の経営数字は厳しいものがあり、この足元の数字を確実に改善してゆくことが、喫緊の経営課題であり、TOB対策であるといえよう。
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