ユニバース、東証上場後初の決算、個別増収減益!
青森のユニバースが東証2部へ上場後、初の決算を6/1公表した。ユニバースは決算期が4月と食品スーパーマーケットの中ではめずらしい決算期であり、決算の公表が6/1となった。ユニバースは連結子会社にドラック、ホテル事業、不動産会社等があるため、ここでは本業の食品スーパーマーケットの業績を表す個別決算を中心に見てゆく。個別決算の営業収益は866.07億円(105.3%)、営業利益24.89億円(98.8%:売上対比2.9%)、経常利益25.04億円(98.1%:売上対比2.9%)、当期純利益29.84億円(165.7%:売上対比3.5%)と営業、経常段階では増収減益となったが、当期純利益は固定資産売却益、抱合せ株式消滅差益等13.66億円が計上され、固定資産減損損失2.2億円を相殺し、大幅な増益となった。なお、連結決算は、売上890.27億円(104.8%)、営業利益26.50億円(109.0%:売上対比3.0%)、経常利益26.39億円(108.2%:売上対比3.0%)、当期純利益25.00億円(163.9%:売上対比2.8%)と増収増益となった。
一方、個別のROAは、8.79%(昨年5.35%)と大きく改善した。これは、当期純利益が大幅増となり、ROEが18.6%(昨年13.7%)と大きく改善し、また、自己資本比率も、今期、利益剰余金が大きく増え、純資産が増加し、47.3%(昨年39.1%)と上昇したことによる。今期、ユニバースは営業面においては、個別の営業利益、経常利益が若干減少したが、連結では、増収増益となり、経営資産効率も充実し、全体的には、今期決算は堅実な好決算であったといえよう。
ちなみに、ユニバースの株価であるが、4/24に東証2部に上場したが、初値は1,499円であり、売買高は91.71万株であった。その後、株価は急落し、4/27には上場来最安値となる1,300円となったが、その後、株価は上昇に転じ、5/9には1,534円となった。しかし、その後また反転、株価は下がり続け、一時は1,350円前後となり、6/4現在1,402円である。現在、ユニバースのPERは5.0倍、PBRは0.96倍と1.00を切っており、現在の株価は極めて割安な状況といえよう。今回、上場来、初めての決算が公表され、好調であったことから、今後、株価がどのように推移するかに注目である。
さて、ユニバースの営業収益が105.3%となった要因であるが、今期は2006年10月に青森県五所川原市に五所川原東店(NSC)、11月に青森県黒石市に黒石駅前店(SSM)、12月に岩手県盛岡市に盛岡南店(NSC)を新規出店し、1店舗を閉店し、店舗数は39店舗となった。また、既存店も好調であり、特に客数が6年連続昨対を上回ったという。この5月度の売上速報でも全体が109.5%に対し、既存店は102.9%であり、スクラップ&ビルド+既存店の好調さが営業収益が堅調であった要因といえよう。
営業利益については、商品売買から得られる粗利である売上総利益は24.2%(昨年24.1%:決算短信では24.9%となっているが、プリントミスか?)と0.1ポイント上昇した。これに不動産収入等の営業収入が1.0%(昨年は1.1%)加わり、営業総利益は25.2%(昨年25.2%)となった。販売費及び一般管理費は22.3%(昨年22.1%)と0.2ポイント昨年よりも上昇したため、差引き、営業利益が2.9%(昨年3.1%)と0.2ポイントダウンし、営業収益105.3%でカバーできず、若干の減益となった。今後、ユニバースは、粗利率については、現在値下げ、廃棄ロスが売上対比3.4%であるので、商品管理の強化により、0.2ポイントは改善できる見込みであり、経費についても自動補充、セルフレジの導入、パート比率の向上に取り組むなどにより、労働分配率を改善し、経費の削減に努めるという。ユニバースは現在、目標とする経営指標を経常利益率3.5%においているので、営業利益率も3.5%以上が目標となろう。そのためにはあと0.5ポイントの改善が必要であり、粗利と経費双方の改善が課題となろう。
一方、今期好調であったROA8.79%の状況も見てみたい。今期、ユニバースはROEも自己資本比率も上昇しているが、どちらも当期純利益の上昇によるところが大きい。今期、純資産が159.7億円(昨年131.36億円)と約30億円弱増加しているが、これは資本はかわらず、利益剰余金が増えたことによる。主な負債については、長短借入金が71.78億円(昨年103.69億円)と約30億円削減しており、総資産の21.45%、営業収益比8.28%である。また、資産面を見ると、出店にかかわる資産である土地111.08億円(昨年126.55億円)、建物64.23億円(昨年65.21億円)、器具及び備品13.58億円(昨年10.79億円)、差入保証金31.69億円(昨年29.48億円)と合計220.58億円(昨年232.03億円)であり、総資産の65.92%である。今期は土地が削減されたが、これは店舗用の土地をデベロッパーに売却したことによるという。結果、総資産も334.57億円(昨年335.80億円)とほぼ昨年並みとなり、純資産の増加分がそっくり自己資本比率を引き上げた構図となった。
このように今期、2007年4月期のユニバースの決算は新店3店舗を出店したにもかかわらず、借入金の増加もなく、むしろ、好調な決算で借入金を削減し、しかも出店にかかわる資産も大きな増加がなかった。売上は1店舗スクラップしたが、既存店も好調であったため堅調な数字となった。これらの営業、財務の数字を見る限り、堅実な経営が実践されているといえる。課題としてはユニバースが目標としている当面の経常利益率3.5%をいかに達成するかにあるといえ、そのためには現在まだ多い約300坪タイプの小型店から、競争力があり、収益性の高い600坪から700坪のSSM、NSCへの業態転換が鍵を握っているといえよう。今後のユニバースの店舗戦略のゆくえに注目したい。
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