時価総額を考えて見る!
時価総額は株式数×株価で決まるが、単純に株式数を増やせば時価総額が上がるわけではない。この式からは、時価総額を上げるには株式の発行を増やすか、株価を引き上げるかとなるが、仮に株式を増やすと、純資産がそれにともなって増えなければ、1株当りの純資産(BPS)が下がってしまい、株式の価値が下がり、株価が下がってしまう。株式の発行を増やすのであれば、同時に純資産も増やすことが必要である。そして、そのためには、純利益を営業活動によって増やすことが求められる。ただ、純利益を増やす場合も、一株当りの利益(EPS)が低いと、純資産が増えても、株式の価値が低くなり、やはり株価に影響を与える。したがって、時価総額を上げるには一株当りの価値、ひとつは純資産価値(BPS)と純利益価値(EPS)のバランスをとりながら、株式を増やしてゆくことがポイントとなる。
そして、純資産価値(BPS)は株価で割るとPBR(株価純資産)であり、純利益価値(EPS)は株価で割ると、PER(株価収益率)となり、この両者はPBR=PER×ROEで関係づけられ、さらに、ROEはROA=ROE×自己資本比率で関係付けられる。したがって、時価総額をみる場合には、同時に、PBR=PER×ROE、ROA=ROE×自己資本比率の状況を見る必要があり、理想的には、自己資本比率を高め、ROEを高め、結果、ROAが高く、さらには、PERも高く、結果、PBRの高いことが最もバランスのよい時価総額の状況であるといえよう。
逆に考えると、時価総額を上げてゆくには、ROEを高め、自己資本比率を上昇させ、PERの動向をにらみながら、ROA、PBRの最適バランスのとれた状況で、タイミングよく株式を分割、あるいは増資をしてゆくことが、株価を下げることなく、時価総額を増大させてゆくポイントであるといえよう。
このような観点で、現在、日本一の時価総額を誇るトヨタと7番目のホンダ、小売業界で時価総額日本一を誇るセブン&アイホールディングスと2番目のイオンの違いを見てみたい。
まず、トヨタとホンダであるが、トヨタの時価総額は26兆9,667億円であり、ホンダは7兆6,512億円である。トヨタの時価総額と株式数と株価は26兆9,667億円=約36.1億株×7,470円であり、ホンダは7兆6,512億円=約18.3億株×4,160円である。時価総額の違いを見ると、トヨタはホンダよりも株数も多く、株価も高いことがわかる。トヨタのPBR=PER×ROEは、3.77倍=23.8倍×15.32%(端数等で誤差がでる)、ホンダは4.29倍=33.2倍×12.18%である。ホンダのBPRがトヨタよりも高いが、その原因はPERの高さにあり、ROEはトヨタの方が高い。また、ROA=ROE×自己資本比率を見ると、トヨタは9.94%=15.32%×67.1%、ホンダは8.14%=12.18%×67.7%であり、ROAの違いは自己資本比率ではなく、ROEの違いであることがわかる。したがって、ホンダはROEを引き上げ、一株当りの収益率(EPS)を上げ、株価の上昇をはかり、タイミングを見て、株式を増やしてゆくことが時価総額をあげてゆくポイントであることがわかる。実際、ホンダは昨年株式分割をはかり、株数を増やし、時価総額を引き上げている。
では同様に、小売業日本一の時価総額を誇るセブン&アイホールディングスと2番目のイオンを見てみたい。セブン&アイホールディングスの時価総額3兆3,388億円=約9.6億株×3,450円であり、イオンの時価総額1兆7,525億円=約8億株×2,190円であり、株数よりも、株価の違いが大きいことがわかる。セブン&アイホールディングスのPBR=PER×ROEは2.08倍=70.4倍×3.41%であり、イオンは2.78倍=54.7倍×4.64%であり、イオンの方がPBRが高く、特にROEが高いのが特徴である。また、ROA=ROE×自己資本比率を見ると、セブン&アイホールディングスは2.94%=3.41%×90.3%であり、イオンは1.77%=4.64%×45.6%であり、ROAの差は自己資本比率にあることがわかる。したがって、イオンの時価総額のアップはROEは高いが、自己資本比率が低いので、株価を引き上げるために、自己資本比率を引き上げ、一株当りの純資産価値をいかに高められるかがポイントであるといえよう。
このように、時価総額はごく単純化すると株式数×株価で決まるが、株式数を増やすためには、ホンダの例のように自己資本比率を高めた上でのROEの向上が課題となる。逆に、株価を引き上げるためにはイオンの例のように、自己資本比率を引きあげ、一株当りの資産価値を引き上げることがポイントとなる。時価総額は今後、株式交換によるM&Aの時代には企業経営にとって最大のテーマとなり、いかに時価総額をひきあげる経営戦略にもとづいて、企業経営が実戦されているかが、ますます問われる時代となろう。
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