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July 14, 2007

電子マネーnanaco独走、月間利用率7.89回!

   7/12の日経にセブン&アイホールディングスの電子マネー、nanacoについての記事が載った。6月、1ケ月間の件数をEdy、Suica/PASMOと比較した内容である。見出しは「ナナコ電子マネー首位」、「セブン店舗網強み、6月買い物3,000万件、2位エディ3位スイカ・パスモ」である。イオンのワオンは非公表であるという。記事には、この3つのカードの一覧表が載っており、月間利用件数(万件)、発行枚数(万枚)、利用可能店舗数(店)の数字が比較されている。それによると月間利用件数ではnanacoが3,000万件、Edyが1,800万件、Suica/PASMOが1,747万件となり、nanacoがダブルスコアでトップとなった。nanacoはこの4月にサービスを開始したばかりであり、5月に対象店舗を全国のセブンイレブンに広げたばかりの状況での数字あり、nanacoの電子マネー戦略が消費者に確実に受け入れられたといえよう。

   日経新聞の表をさらに工夫し、1枚当りの電子マネーの利用件数、1店舗当りの利用件数を算出するとその差はさらに広がり、nanacoが断トツの首位であることがわかる。電子マネー1枚当りの利用件数、いわゆるPI値を計算するとnanacoは789.5%、Edyは58.1%、Suica/PASMOは79.6%となり、何と10倍以上の差となり、EdyとSuica/PASMOはほぼ同じ数字であることがわかる。nanacoは月間8回近い利用率であるのに対し、EdyとSuica/PASMOは月間1回以下となる利用率であるので、PI値で見る限り、決定的な差であるといえよう。ただ、nanacoの発行枚数がまだ380万件とEdyとSuica/PASMOの約1/10ぐらいであり、目標の1,000万件を超えた段階でどのくらいの利用率となっているかを見る必要があるが、それにしても、現段階で約10倍の差はnanacoの電子マネー戦略がピタリとはまったといえよう。今後、間違いなく、nanacoが電子マネーの主導権を握ることとなろう。

   一方、1店舗当りの利用率を算出すると、nanacoは26.3%、Edyは1.9%、Suica/PASMOは2.7%であり、ここでも約10倍の差である。特にEdyはすでに52,000店舗で利用可能となっており、nanacoの11,750店舗の約5倍、Suica/PASMOの19,630店舗の約3倍弱であり、利用可能な店舗数ではEdyが先行しているが、利用率が低いのが課題である。ちょうど、売上=客数×客単価で考えると、nanacoは客数が少ないが客単価が極めて高いが、Edyは客単価は低いが、客数が極めて高いという状況であり、掛けた売上げでは、nanacoがEdyの約2倍という状況といえる。Edyは今後も客数アップ戦略を重視し、ファミリーマート、ローソン等での導入が決まり、約15,000店舗増えるというが、客単価アップ戦略にも力を入れないと、ますますnanacoとの差は開く可能性が高いといえよう。

   また、nanacoのセブンイレブンでの導入効果も明らかになりつつあり、現時点では約10%の決済金額に占める割合であるといい、導入後のこの3ケ月間、セブンイレブンの客数が前年を上回っているといい、来店頻度の向上による客数アップにも結びついているという。食品スーパーマーケットのポイントカードは決済機能がないが、導入後の平均的な数字は80%前後の利用率となるので、それと比べると現時点ではまだまだ低いが、今後、カードホルダーがどこまで増えるかがポイントとなろう。

   このようにnanacoは電子マネーとしては順調な滑り出しといえ、今後、一店舗当りの決済総額における割合をどこまで高めれるかが課題といえる。nanaco導入の目的は、この日経の記事にも関連記事として、「購買分析などに活用、運営各社本業との相乗効果狙う」という見出しの内容もあり、そこでは各社のマーケティング、マーチャンダイジングへの活用が載っているが、nanacoでも店舗全体の決済総額の約10%であるので、これが少なくとも50%以上にならないとデータの信用性としては少し弱いといえよう。ただ、商品群によっては、nanacoの利用率が現時点でも50%を越えるものもあるかと思うので、全体としては難しくとも、部分的には活用可能なものもあるといえ、今後、決済総額に占める割合が上がればあがるほど、データとしての価値があがってゆくといえよう。

   それにしても、ここまでnanacoと他の電子マネーとの差がこの時点で歴然とするとはびっくりである。電子マネーを活用する顧客のニーズが浮き彫りになったといえ、今後のnanacoの動向からは目が離せなくなったといえよう。前回のブログでセブンイレブンがマクドナルドを抜き、世界No.1のチェーンストアとなったことを取上げたが、恐らく、この電子マネーが将来的には全世界30,000店舗強のセブンイレブンで活用される可能性もあるといえ、カード戦略でもセブンイレブンは世界No.1のチェーンストアとなる可能性が高くなったといえよう。

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