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July 13, 2007

メーカーと小売業の違い、客数という指標!

   7/12、栃木県主催の青果物マーケットマッチメーカー養成講座で講演をした。テーマは、「量販店・小売業の販売戦略、青果マーチャンダイジングの最新状況」である。この講座は私の関係先でもある㈱野菜ビジネスが企画・運営を行っており、その関係での依頼であり、今年で3年目となる。栃木県内の青果物の生産者、農協関係者、青果物卸、仲卸、量販店、青果物実儒者の方を中心に青果物ビジネスのコーディネータを育成するのが目的で、約7ヶ月間で計10回の講座が組まれている。小売業からの参加者はわずかであり、ほとんどの参加者が青果の生産、流通に携わる方であるので、講座のはじめに、メーカーと小売業の販売戦略の違いについてから話しはじめた。その内容が、好評だったので、あらためて、この講座内容を踏まえ、メーカーと小売業の販売戦略の違いについてまとめてみたい。

   講座のテーマは量販店・小売業の販売戦略であるので、メーカーと小売業では売上げのとらえ方が根本的に違う、というところから入った。一般的に、売上は買上点数と平均単価の掛け算で表される。この点については、メーカーも小売業も共通である。たとえば、小売業のトマトの売上げはトマトの販売点数とトマトの平均単価を掛けたものである。同様に生産者から見たトマトの売上げは、トマトの出荷個数とトマトの平均相場を掛けたものである。

   ここまでは、メーカーも小売業も売上のとらえ方は同じであるが、小売業の販売戦略はここからもう一歩踏み込むとろが大きな違いとなる。もう一歩踏み込むとは、小売業は買上点数と平均単価に加え、客数という指標が加わることである。ここがメーカーとの根本的な違いである。客数が入ることによって、売上は客数×((買上点数×平均単価)÷客数)となり、客数が最も重要な指標となり、それに伴ない、(買上点数×平均単価)も客数で割った顧客一人当りの売上げ、すなわち、客単価という新たな指標が生まれる。小売業は売上をまず客数と客単価に分けてとらえ、次に、客単価を(買上点数÷客数)×平均単価に分けてとらえるところがメーカーとの違いであるといえる。ちなみに、この(買上点数÷客数)はPI値のことである。したがって、小売業の販売戦略は、まず客数をあげることであり、次に客単価をあげることがポイントとなる。そして、さらに、客単価をあげるためには、(買上点数÷客数)=PI値を引き上げることであり、できれば平均単価をも引き上げることが次の課題となる。

   ここがメーカーと小売業の販売戦略の根本的な違いであり、この客数という指標が小売業に入ったことにより、小売業の販売戦略が顧客指向となり、消費実態に即した販売戦略を立案できるようになったといえよう。

   ここで、ひとつ極端な小売業の販売戦略の事例を考えてみたい。今回の青果物マーケットマッチメーカー養成講座でも話した事例であるが、3月末時点で全世界で店舗数が最大のチェーンストアの首位が入れ変わった。それまではマクドナルドがNo.1の店舗数を誇るチェーンストアであったが、3月末以降は、セブンイレブンが逆転し、世界No.1の店舗数のチェーンストアとなった。その数は何と32,208店舗である。マクドナルドは31,062店舗であるので、約1,000店舗の差がついたことになる。そこで、問題だが、セブンイレブンの既存店において、年間100億円アップの販売戦略を立てるには、どのように考えたら良いだろうか。もちろん、様々な答えが考えられるが、先ほどの話の流れからゆくと、答えは、客単価1円アップをはかれば良いということになる。

   小売業の販売戦略のポイントは客数×客単価である。セブンイレブンの年間客数は約30,000店舗×1,000人/日×365日=約100億人となるので、客単価1円アップが可能となれば、その瞬間に年間100億円の売上げアップが実現する。したがって、販売戦略は客単価1円をアップさせるためにどの部門、どのカテゴリーが可能かをつめてゆき、そのPI値と平均単価を改善してゆけば良いことがわかる。

   このようにメーカーと小売業の販売戦略の違いは、客数という指標、この1点であるといっても過言ではない。この客数という指標が入ることによって、小売業は販売戦略の中に顧客という概念を組み入れ、顧客を増やし、顧客一人当りの売上=客単価を引きあげてゆく手法を生み出したといえる。ちなみに、セブンイレブンはnanacoを導入したが、これはこの客数を細分化することにその狙いがある。客数を様々な角度から細分化することによって、これまでの客数×客単価が、細分化された客数×客単価で表すことができ、さらに販売戦略の仮説作りが豊かになり、より、精度の高い販売戦略の立案が可能となる。これについては、改めて取上げるつもりである。

   今回の講座ではこのような話から入り、これを具体的な野菜、果物、トマト、きゅうりなどの生データにもとづいて、できるだけわかりやすく解説してみた。それにしても改めて、今回は、私自身も話しながら、小売業における客数という概念を再認識した1日であった。

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