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July 03, 2007

フェニックスキャピタルによる近商ストア、パレへの投資の現状!

   食品スーパーマーケット業界への投資ファンドの企業再生のさきがけとなったフェニックスキャピタルの近商ストア、パレ(旧名鉄パレ)への投資状況とその現状を見てみたい。今後、食品スーパーマーケット業界でも、M&Aをはじめ、様々な企業再編、企業再生が起こる可能性が高いと思われるが、フェニックスキャピタルの事例はその先行事例といえよう。

   現在、フェニックスキャピタルが流通業へ投資している案件はこの2つに加え、さくらや、津松菱(百貨店)、市田(きもの)等があるが、いずれも現在再建中である。フェニックスキャピタルがすでに投資回収を終えた企業では三菱自動車工業、ツムラ(医薬品)、江戸沢(外食)などがあり、投資ファンドであるので、経営再建がすめば、投資した株式を売却し、投資回収を行うというビジネスモデルである。フェニックスキャピタルは現在、ファンド総枠累計2,300億円、投資実績累計1,600億円(2006年6月)であり、銀行・特定の企業グループからの完全な独立、透明性の高い仕組み、日本型の事業再編・再生・不良債権処理モデルをスローガンに掲げているのが特徴である。

   さて、フェニックスキャピタルの近商ストアへの投資であるが、2003年11月25日に、近鉄(近畿日本鉄道)と近鉄百貨店の子会社である近商ストアの株式をフェニックスキャピタルへ売却する合意がなされたことからはじまる。近商ストアは、1991年以降、それまでの中小型店を近鉄沿線に出店する戦略から、大型店出店へと経営戦略を展開し、それがその後の借入金の増大につながり、財務を圧迫し、財務体質の改善が急務となっていた。ちょうど、2002年6月に近鉄グループ改善計画が策定され、その中で有利子負債削減が経営課題となり、翌年、フェニックスキャピタルからの資本参加を受け入れることとなった。

   合意内容は、概ね以下の通りである。フェニックスキャピタルが投資する以前の近商ストアの株主構成は、近鉄百貨店が93.1%(648万株)、近鉄が6.9%(48万株)をもち、この2社で100%であった。また、当時の直近2ケ年の経営成績は2003年度は営業収益688.78億円(100.68%)、営業利益7.47億円(133.8%:営業収益比1.08%)、経常利益3.26億円(370.45%:営業収益比0.47%)、当期純利益2.88億円(前年は0.016億円の赤字:営業収益比0.41%)と前年と比べると回復基調にあったとはいえ、営業収益比でみた場合は低い利益率であり、経営的には厳しい状況であったといえる。有利子負債は212.64億円(82.94%)と前年と比べると削減されているが、それでも営業収益比30.87%、総資産の69.94%と約70%を占め、経営的には有利子負債が重くのしかかり、新規出店、店舗改装等の成長戦略はもちろん、業務改善、新規IT投資など新たな投資ができない状況であったといえよう。

   そこで、近商ストアが第3者割当て増資をフェニックスキャピタルへ行い、同時に近鉄百貨店も株式をフェニックスファンドへ売却し、結果、23.8億円の増資がなされ、株主構成が、フェニックスキャピタル68.3%(800万株)、近鉄百貨店27.6%(324万株)、近鉄4.1%(48万株)となり、近商ストアの再建がスタートした。近商ストアはその結果、今現在でも、IT投資を行い、既存店の改装を積極的にすすめており、その行方が注目される。

   一方、パレ(旧名鉄パレ)であるが、2005年8月26日に経済産業省が産業活力再生特別措置法に基づく経営資源再活用計画を認め、パレの経営再建がスタートした。それによると、名鉄パレから小売事業16店舗と名鉄パレ100%子会社のフジ・レジャー開発からベイカリー事業を営業譲渡でパレが譲り受け、フェニックスキャピタルの小売業再生ノウハウを活かして経営再建をはかるというものである。この計画には数値目標が明確に規定されており、生産性については、総資産減価償却費前営業利益率7.5%向上、財務内容の健全性については、有利子負債÷キャッシュフロー10倍以内、経常収支比率100%以上、事業革新については、生鮮部門の自社販売化、売場商品構成の変更及び店舗リニューアル等により、売上高販売費比率を5.3%低減、そして、従業員については663名から405名へ削減という目標数値でのスタートであった。なお、フェニックキャピタルはパレからの第3者割当て増資を受け、22.46億円の投資を行っている。

   パレは現在、マルシェブランドで店舗の展開を行っており、これまでのテナントでの生鮮3品、惣菜運営であった売場を自社運営に切り替え、生鮮、惣菜強化型売場での展開を行っている。現在、名古屋に6店舗、愛知県に8店舗、静岡県に2店舗、岐阜県に1店舗の計17店舗であり、すべてマルシェブランドである。

   このようにフェニックスキャピタルは現在食品スーパーマーケットの近商ストアとパレへの投資をそれぞれ約20億円行い、投資するだけでなく、経営再建にも本格的にかかわり、IT投資、店舗改装、新店開発、業務改革に取り組んでいる。ただ、再建が済めば、いずれは、上場し、他の投資家へ株式を売却するか、他社に引き継がれるか等により、フェニックスキャピタルの投資は回収され、手を引くことになるが、経営再建まで請け負うことがフェニックスキャピタルの大きな特徴といえよう。食品スーパーマーケットも今後、このような投資ファンド主体の経営再建方法も増える可能性もあり、フェニックスキャピタルの動向には今後も注目である。

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July 3, 2007 in 経済・政治・国際 |

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