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August 08, 2007

粉ミルクに注目、明治乳業新製品、ヒットの予感!

   明治乳業が8/7、「世界初!キューブタイプのコナミルク「明治ほほえみ(R) らくらくキューブ(R)」新発売のお知らせ」を公表した。発売は10/2からであるというが、それに先駆けての新商品の発表である。今回の新商品は明治乳業の約80年に渡る母乳の研究成果を活かしただけでなく、キューブという、粉ミルクの使用方法に焦点を当てた新商品であるところがポイントである。明治乳業は今回の新商品の目的を「従来多くのお母様方が持っていた粉ミルクに対する不満点を解消できる画期的なキューブタイプのコナミルクを発売し、快適な育児に貢献する商品を提供致します。」としており、実際に粉ミルクを購入する「お母様方」に焦点を当てていることである。

   粉ミルクは実におもしろい商品であり、直近の家計調査データ、2007年6月度の数字を見るとよくわかる。家計調査データでは、粉ミルクは乳卵類に分類されており、その中身は、牛乳、乳製品、卵と分かれており、さらに乳製品が粉ミルク、ヨーグルト、バター、チーズ、他の乳製品と分れ、全部で牛乳、卵を入れて、7つの分類となっている。2007年6月度の数字を見ると、No.1は牛乳の48.9円(1世帯1日当り)、No.2はヨーグルトの23.2円、No.3は卵の22.4円であり、粉ミルクはわずか2.3円であり、バターの2.0円よりは高いが、チーズの9.1円よりは低い。この数字を見る限りでは、粉ミルクは牛乳の1/20、ヨーグルトの1/10の1世帯1日当りの消費額であり、あまり力が入らない数字といえる。実際、食品スーパーマーケットでは粉ミルクの売場は縮小傾向にあり、品揃えも絞り込まれているのが実態といえよう。

   ただ、このデータを別の角度から見ると一変する。家計調査データの基本数字はすべての全世帯における消費実態の割合であり、いわゆるPI値と同じ考え方である。PI値は買上点数÷全体客数であり、この家計調査データも粉ミルクの購入金額を全世帯で割って算出しており、ここには粉ミルクを購入した家計も購入しなかった家計もすべて含まれての平均消費額が算出されている。そこで、このデータを購入世帯のみ、すなわちPPIの考え方で算出してみると、思いがけないような数字となる。PPIは買上点数を購入者のみの客数で割って算出した数字であり、ここがPI値との根本的な違いである。PI値とPPIの関係はPI値=PPI×客数PI値で表され、客数PI値は購入客数÷全体客数であり、購入客数の全体客数に対する割合である。

   そこで、粉ミルクを購入世帯のみの消費額で見てみると、1世帯1日当り73.4円となり、牛乳の56.2円、ヨーグルトの32.0円、卵の24.0円を越え、断トツのトップの数字となる。粉ミルクは購入世帯のみで見ると、乳卵類No.1の商品であることがわかる。ちなみに、バターは11.4円、チーズは18.0円であるので、粉ミルクは購入世帯のみで見ると圧倒的なNo.1の乳卵類の商品であるといえよう。これはこの6月のみがそうではなく、5月度も4月度も同様な傾向であり、粉ミルクはその意味で独特な商品であることがわかる。このような結果となるのは粉ミルクの客数PI値、すなわち、購入世帯の全体世帯に対する割合が低いからである。実際の数字はどのくらいかというと、2007年6月度の数字で見るとわずか3.1%である。これは牛乳の86.9%、ヨーグルトの72.4%、そして、卵の93.4%と比べるといかに少ないかがわかる。チーズは50.5%、バターは17.2%であり、粉ミルクが最も購入世帯の割合が低い商品であることがわかる。ちなみに、粉ミルクと全く同じ傾向を示す商品はウィスキーである。本ブログでも取り上げたが、ウィスキーは全体の消費額ではビールにはかなわないが、購入者のみの消費額ではビールを越えることもあり、粉ミルクと同じ特徴がある。

   したがって、粉ミルクはわずか3%の家計からの絶大な支持を勝ち得たとき商売が成功するという特徴をもっており、食品スーパーマーケットが特異とする不特定多数への商売のみでは歯が立たない商品といえ、食品スーパーマーケットが粉ミルクを販売強化してゆくのであれば独特なマーチャンダイジングを構築する必要があるといえる。粉ミルクが薬局、ドラックスストア、ベビー用品専門店で強いのは、わずか3%の顧客をしっかり集客する仕組みを構築した業態であるからである。

   ただし、今回の明治乳業が開発した新商品、「明治ほほえみ(R) らくらくキューブ(R)」は、食品スーパーマーケットにとってはある意味でチャンスであるといえよう。食品スーパーマーケットはこれまでPI値にもとづく商売に徹してきた感があり、PPIに関する商品は専門店に負けつづけてきており、今後、少子高齢化の時代では、これまでの商売だけでは厳しい時代となり、顧客一人一人のニーズをしっかりと掴んだ上でのマーチャンダイジングの再構築が最大のテーマとなろう。その意味でこの粉ミルクはウィスキーと並びPPIの典型的な商品であるといえ、この画期的な新商品の登場を機会に商売の仕方そのものを見直すチャンスであるといえよう。10月以降の食品スーパーマーケットの粉ミルクの売場に注目したい。

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