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August 10, 2007

ブランドスイッチを考えてみる!

   以前からの研究テーマのひとつであるが、ブランドスイッチを指標化できないかという課題をずっと追いかけている。約10年ぐらい前に一度取組み、そのままになっていた課題のひとつである。ただ、これまで何もしなかったわけではなく、ブランドスイッチの指標化への理論はずっとあたためていた。ほぼ、これでいけるのではというところまではきたが、肝心の生データが思うように入手できず、中々、実践に投入できなかったというのが実状である。また、私の専門は小売業へのコンサルティングが主であり、ブランドスイッチはどちらかというとメーカー側の方が関心が高い問題であるので、優先順位が低かったことにもよる。ところが、ここへ来て、メーカー、卸の方との接点が増えはじめ、生データも入手可能な環境が整いはじめてきたので、あらためて、ブランドスイッチに取り組むべき状況になったといえる。

   まず、ブランドスイッチを指標化するには現状のPOSデータでは不可能である。現状のPOSデータでは点数と金額しか把握できず、そこから金額÷点数で平均単価を算出するまでが限界であるからである。ブランドスイッチを指標化するにはAブランドの顧客とBブランドの顧客を算出し、Aブランドの購入顧客がいつ、どのくらいBブランドに移動したかを算出することが必要であり、そのためにはブランドごとの顧客を正確に把握することが必要であるからである。この顧客の把握が現状のPOSでは不可能である。現状のPOSでも稀に全体の客数以外に部門客数、場合によっては単品客数まで算出しているものもあるが、これはレシート枚数を数えている客数である。したがって、Aブランドの客数はAブランドのレシート枚数を単純に数えただけであるので、その時点でAブランドを購入している客数は確かに把握できるが、Bブランドからスイッチしてきたどうか、あるいは他のブランドからスイッチしてきたかどうかは皆目わからないのが現状であり、ここまでが、現状のPOSデータの限界である。ただ、それでもAブランドとBブランドのデータをしっかり追いかけていけば、ある程度の推測はできるが、精度が低いので、それをもとにマーチャンダイジング政策を立案するには危険である。

   ではブランドスイッチを正確に指標化するには何が必要かであるが、それはAブランドの購入客数だけではなく、Aブランドの顧客IDが必要となる。顧客IDが把握できてはじめてブランドスイッチを計算できる条件が整うといえる。現在、食品スーパーマーケットで顧客IDを把握し、ブランドごとに顧客ID分析を行い、それをマーチャンダイジング政策に活用している企業は皆無といってよく、とりあえず、顧客に単純にポイントを付与するために顧客IDを活用しているのがせいぜいであり、限界であるといえる。

   そこで、この顧客IDをブランドごとに把握できた場合、どのようにブランドスイッチが指標化できるかであるが、いくつか考えられる。最も単純な方法はAブランドの顧客IDを購入回数ごとに分け、初回購買顧客、リピート購買顧客、さらには、リピート購買顧客を2回、3回、・・たくさんと分類し、それぞれの購買状況ごとにBブランドを購入した顧客IDを算出し、その購入率を算出する方法である。もっと単純にAブランドの購入IDが次の購入時にBブランドに移る購入率を算出することもひとつの方法である。これだけを追いかけるだけでも、Aブランドの購入者がどのようなタイミングでBブランドに移るかが把握でき、その時、何が起こっていたか、CM、ちらし、棚割り、価格訴求などの推測が成立つ。

   あるいは少し複雑になるが、AブランドとBブランドを購入するIDをひとつのカテゴリーととらえ、その合計IDを分析し、Aブランドだけを購入しつづける顧客ID、Bブランドだけを購入しつづける顧客ID、さらに、どちらも購入しなくなった顧客ID、両方購入する顧客ID、AブランドないしはBブランドをリピート購買する顧客のなかで、どのくらいの比率でブランドスイッチがどのようなタイミングで起こるかを算出することもひとつの方法である。

   そして、ここまで顧客IDが把握できれば、あとは、ID-3D分析を適用すればよく、客単価=客数PI値×PPI×平均単価の公式を顧客IDごとに当てはめてゆけば、ブランドスイッチの指標化が客単価3D分析の応用範囲で可能となる。顧客IDだけであると顧客数のブランドスイッチのみであるが、客数PI値×PPIで点数となり、顧客ID当り何個ブランドスイッチされたかがわかり、PPI×平均単価で金額PPIとなり、その時の客単価はどのくらいかがわかり、客数PI値×平均単価で、その時の一品客単価がどのくらいかがわかる。

   このように、ブランドスイッチの指標化も顧客IDが把握できる環境がととのいつつある現状では、そろそろ実践投入も可能な段階に近づいたといえ、今後、食品スーパーマーケットだけでなく、メーカーも加わることにより、より実践的なマーチャンダイジング政策を立案できるのではないかと思う。顧客IDの活用はマーチャンダイジングの新次元を開拓してゆくような予感がする。

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