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August 20, 2007

業界再編、百貨店業界動く、三越、伊勢丹、経営統合、合意!

   小売業界の先鞭をきって本格化した百貨店業界の業界再編がいよいよ最終段階に入ってきたといえよう。8/17、日経新聞一面トップに「三越・伊勢丹、来春に統合」、「持ち株会社で大筋合意、百貨店首位に」、「会長・武藤氏、社長に石塚氏」という見出しの記事が掲載された。この経営統合が実現すると、この9月に大丸と松坂屋が経営統合し、設立予定のJ・フロントリテイリングの年商売上予想を上回り、約1兆5,800億円となり百貨店業界トップの売上規模となという。これで、百貨店業界は3位の高島屋、4位のそごうと西武が経営統合したミレニアムリテイリングと年商1兆円規模の百貨店グループが4社となる。小売業界はいよいよ年商1兆円の時代に突入したといえ、小売業界では、あらゆる業種において年商1兆円がひとつの売上規模の目標となりつつあるといえよう。

   8/17の日経によれば、来週にも三越、伊勢丹ともに臨時取締役会を開き、正式決定するということであり、来週中には、両社が記者会見を開き、詳細が公表される予定であろう。

   三越の2007年2月期の直近の決算短信を見てみると、売上8,041.20億円(95.5%)、営業利益126.17億円(82.6%:売上対比1.56%)、経常利益170.19億円(85.3%:売上対比2.11%)、当期純利益129.36億円(142.3%:売上対比1.60%)と当期純利益は増益となったものの営業、経常段階では減収減益という厳しい決算であった。一方、伊勢丹の2007年3月期の直近の決算短信を見ると、売上7,817.98億円(102.9%)、営業利益322.52億円(107.3%:売上対比4.12%)、経常利益334.16億円(108.1%:売上対比4.27%)、当期純利益182.91億円(97.8%:売上対比2.33%)と当期純利益は減損会計の適用により減益であったが、営業、経常段階では増収増益の好決算であった。両社の決算は好対照な決算であり、売上規模はほぼ同じ約8,000億円であるが、減収減益の三越と増収増益の伊勢丹と明暗がわかれた。

   単純にこの決算数字を足すと、統合会社は売上1兆5,589.18億円、営業利益448.69億円(売上対比2.87%)、経常利益504.35億円(売上対比3.23%)、当期純利益312.27億円(売上対比2.00%)となり、年商約1兆5,000億円、営業利益約500億円(売上対比約3%)の百貨店グループが誕生することになるといえよう。

   ここで、さらに両社の違いを損益計算書、貸借対照表から見てみると、統合の意義がより明確になるかと思う。まず、損益計算書での違いであるが、三越の経費比率は25.6%であり、粗利率が27.2%、結果、営業利益は1.6%である。これに対し、伊勢丹は経費比率が24.8%、粗利率が28.9%であり、結果、営業利益は4.1%である。伊勢丹の経費比率が三越よりも0.8ポイント低く、粗利率は1.7ポイント高く、結果、伊勢丹の収益性が際立っていることがわかる。三越は伊勢丹と比べ、高コスト、低粗利となっている構造であり、今回の統合のポイントは三越の経費比率を伊勢丹並に引き下げ、粗利率も伊勢丹のマーチャンダイジング力を年商1兆5,000億円の規模のメリットを活かし、どこまで、引き上げられるかにかにあるといえよう。

   また、貸借対照表を見てみると、自己資本比率は三越が28.1%であるのに対し、伊勢丹は41.8%と10ポイント以上の差があり、ROEは三越が8.6%に対し、伊勢丹は9.3%であり、この点についてはさほど大きな差ではないが、結果、ROAは三越が2.4%であるのに対し、伊勢丹は3.88%となり、大きな差となり、三越の方が総資本当りの収益性が低く、伊勢丹は総資本当りの収益性がいかに高いかがわかる。この差は、自己資本比率の差にあり、さらに、その中身を負債の中でも最大ボリュームの長短借入金と資産の中でも出店にかかわる資産、および、営業にかかわる資産で比べてみるとその違いがわかる。

   まず、負債の中の長短借入金であるが、三越は1,713.71億円であり、総資産の29.6%であり、伊勢丹はわずか604.85億円であり、総資産の12.7%である。この差がまず大きい。伊勢丹の借入金額がいかに少ないかがわかる。さらに、出店にかかわる資産である土地、建物、敷金・保証金の合計は三越が3,797.37億円であり、総資産の65.7%であり、これは1店舗当り189.86億円であるのに対し、伊勢丹は2107.88億円であり、総資産の44.3%であり、1店舗当りでは162.14億円である。1店舗当りは極端な差とはなっていないが、総資産に占める割合は20ポイント強あり、三越がいかに出店関連資産を借入に依存しているかが大きく、これが結果、自己資本比率を大きく下げているといえよう。さらに、営業にかかる資産であるたな卸資産を見てみると、三越は391.03億円であり、総資産の6.76%であるが、伊勢丹は354.83億円であり、総資産の7.47%であり、これに関しては、逆に伊勢丹の方が総資産当りの在庫が多いといえる。

   このように、今回の統合を直近の決算短信から見ると、売上規模は1兆5,000億円となり、百貨店業界No.1となるが、経費率、粗利率に関しては双方とも好調な伊勢丹のマーチャンダイジングが鍵を握っており、その結果、三越の収益性を高め、三越に現在重くのしかかっている長短借入金をいかに削減し、さらには、出店にかかわる資産をどこまで圧縮できるかがポイントであるといえよう。目前に開かれるであろう、双方の経営統合決定後の記者会見において、これらの点について、どのようなコメントがあるか、興味深いところである。

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August 20, 2007 in 経済・政治・国際 |

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