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September 12, 2007

POSデータ解析のポイント

   最近POSデータを解析することが多くなった。POSデータ解析には3つの段階がある。段階が3つに分かれるのは、客数がどこまで深く把握できるかによる。1つ目は、客数が全体客数のみしか把握できない場合である。2つ目は単品ごとの客数まで把握できる場合である。この場合は、レシート分析が前提となる。そして、3つ目は客数のIDまで把握できる場合である。客数をIDまで把握するにはレシート分析では不可能であり、レシート1枚1枚がどのお客さまの購入レシートなのかが識別できることが必要である。当然、何らかのIDの識別方法が必要になり、現在最も広く普及しているのがポイントカードであるが、将来は銀行等にすでに導入されはじめた静脈認証などが普及すると思われる。このように、POS分析には3つの段階があり、それぞれ、この3つの段階ごとにPOS分析の内容が深まってゆくことになる。

   現在、最も広く普及しているPOS分析は第1段階の分析であり、徐々に第2段階、第3段階へと移行する企業が増え始めているが、特徴としては、食品スーパーマーケットでは、特に、ポイントカードというID識別の方法が普及したことにもより、第2段階のレシート分析を通り越して、第3段階に入ってしまうケースが出てきている。ただ、第2段階でも、第3段階でも基本は第1段階のPOS分析であり、どの段階のPOS分析も、すべて、第1段階の分析が基本となり、その応用に過ぎない。そこで、ここではPOS分析の基本中の基本の第1段階のPOS分析について、生データの取得から基本帳票作成までの流れを整理してみたい。

   まず、どのような生データを取得するかであるが、基本は3つの数字につきる。金額、数量、客数である。この内、第1段階のPOS分析では客数は全体客数となる。チェーンストアの場合は各店ごとの金額、数量、客数である。あとは、大分類、中分類、小分類、単品と商品分類ごとに取得することであり、もうひとつは、期間を日別、週別、月別、年度別と必要に応じて区切ることである。特に、仮説検証をするのであれば、直近、昨対比較が必須であるので、月別であれば前月、昨年同月のデータが基本となる。ここで月別については、週別管理が前提となる。食品スーパーマーケットでは週末の客数、ちらし投入日の客数、最近ではポイント5倍、10倍セール時の客数が異常に高くなる場合があり、その日がずれてしまうと、マーチャンダイジングの仮説検証にズレが生じかねいからである。したがって、月別は、4週間か5週間のデータとなる。この9月であれば、9/2(日)から9/29(土)、あるいは、9/1(土)から9/28(金)など4週間を基本として、直近の8月度の5週間、昨年の9月度の4週間が望ましいといえよう。

   このように、データの種類と期間が明確になれば、あとはそのデータをどのように加工するかである。加工の仕方のポイントは食品スーパーマーケットでは、売上=客数×客単価(金額PI値)であり、さらに、この客単価(金額PI値)=PI値×平均単価と分解することにつきる。マーチャンダイジングは客単価(金額PI値)を改善することであり、マーケティングは客数を改善することであるので、取得したPOSデータを基本3行、客単価(金額PI値)、PI値、平均単価に落としこみ、客単価(金額PI値)の上にマーチャンダイジングの評価のための1行をつけ加えれば良い。また客数は全体にかかる内容であるので、帳票の一番上に1行付け加えて、客数を入れれば良い。これで、POSデータ分析の原型が完成である。これをMD評価表という。

   あとは、このMD評価表の評価に何らかのマーチャンダイジングの評価を入れればよい。マーチャンダイジングの評価は厳密には6段階評価となるが、最も実用的で簡単な方法は客単価(金額PI値)の順位を入れることである。これで実務的には、仮説検証が充分に可能であり、即効性がある。

  さらにもう一点、帳票の種類であるが、基本はチェーンストアであれば、縦軸が商品、横軸が店舗となり、必要に応じて、横軸が特定店舗、あるいは全店の時間軸になる帳票をつくれば良い。基本は空間(店舗比較)と時間(日、週など時間比較)の2つの種類となる。これらの帳票はすべて基本のMD評価表から作れるので、基本のMD評価表さえ、つくってしまえば、あとは多少の応用問題の範囲で様々な帳票を簡単につくることができる。

   このようにPOS分析は基本を抑えればそれほど難しいものではなく、誰でも、3つのデータ金額、数量、客数さえあれば簡単にMD評価表をつくることができ、目の前の商品の仮説検証を行うことができる。食品スーパーマーケットの全商品、全店のPOSデータを解析するには大規模なソフトウェアが必要となるが、1カテゴリーのPOS分析であれば、パソコンとexcelで充分であり、是非、トライしてみて欲しい。

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