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October 2007

October 31, 2007

ウォールマート、2007年9月度売上速報、109.7%!

   ウォールマートが10/11、2007年9月度の売上速報を公表した。9月度は10/5、金曜日までの5週間のデータであり、9/1の土曜日からはじまっている。累計では35週間となり、ウォールマートの売上速報は土曜始まり、金曜終わりが原則であり、これをもとに1ケ月を4週、4週、5週と切り、13週間で四半期となり、年間、52週を四半期、中間期に分けて売上速報を集計している。さて、この9月度の売上であるが、全体では109.7%と好調な売上をキープしている。35週累計では108.7%であるので、9月度は1ポイント平均を上回っており、サブプライムローンを抱え、消費が冷え込んでいる時期とは思うが、こと、9月度の売上は順調であったといえよう。ただ、10/30の日経新聞にウォールマートでの家電のシェアが大きい船井電機の中間決算がまさに北米での不振が原因で最終赤字が43億円になるとの報道が載っていたので、今後のウォールマートの動向には注意が必要であろう。

   ちなみに、ウォールマートの現在の株価であるが、ニューヨーク証券取引所の状況を見ると、10/29現在、45.01ドルである。この9月度の売上速報が公表された10/11は46.9ドルであったので、やや下がり気味であり、ここ最近は45ドル近辺でもみあっている状況といえる。この数ケ月のウォールマートの株価の推移を見てみると、かなり激しく動いており、6/4に年初来最高値の51.21ドルをつけて以来、株価は下がりはじめ、7月には48ドル台、8月には43ドル台、そして9月は年初来最安値となる9/10には42.27ドルまで下がった。そして、その後、再び株価は上昇に転じ、10/11の46.9ドルまで上がるが、ここが山となり、また株価は下がり始め、10/29現在、45.01ドルとなっている。

   このようにウォールマートの株価は不安定な状況であるが、これはサブプライムローンによる消費の先行きが読みにくい状況に加え、ウォールマートが公表した今後3年間の出店計画が徐々に縮小されていく計画であるためと思われる。この2007年度はトータル店舗数で340店舗(内スーパーセンター281店舗)となる予定であるが、2008年度は250店舗(同195店舗)、2009年度は220店舗(同170店舗)、2010年度は190店舗(同140店舗)と徐々に出店ペースを下げてゆく出店計画となっている。ただ、逆に、インターナショナル、海外投資はこの2007年度は35億ドル(約4,000億円)、2008年度約45億ドル、2009年度約50億ドル、2010年度約55億ドルと増やしてゆく予定であり、最終的にはウォールマート全体の総投資額の約40%近い数字となる。したがって、今後、数年間はウォールマートは国内戦略から海外戦略を積極的に展開してゆく計画であるといえよう。先の西友へのTOBもこのような流れの一環であるといえよう。

   ウォールマートの9月度の売上速報をもう少し詳しく見てみると、この3ケ年計画が裏付けられるような数字となっており、109.7%となった最大の原動力はインターナショナル部門が120.1%となったことである。売上構成比も25.38%と約1/4となり、この数年確実に伸ばしている。国内のウォールマート部門は106.4%、サムズクラブ部門は106.8%であるので、全体が109.7%となったのは、明らかにインターナショナル部門の伸びに負うところが大きいといえよう。

   既存店の状況であるが、101.4%と昨対ぎりぎりの状況となりつつある。35週累計が101.5%であるので、若干、9月度は下がったといえ、既存店は厳しい状況であるといえよう。特に、ウォールマート部門が100.8%と昨年の101.5%と比べても落ち込んでおり、スーパーセンターの既存店が厳しい状況といえる。サムズクラブ部門は35週累計の104.9%と比べるとやや下がり、104.1%であるが、既存店としては顕著な伸びであるといえよう。既存店に関しては、石油高の影響を考慮し、ガソリン等燃料の売上の影響を加えた数字と外した数字が掲載されているが、影響度は0.0%台であり、ここへ来て、石油高のウォールマート既存店への影響はほとんどなくなったといえる。

   このようにこの9月度のウォールマートの全体の売上は109.7%と好調に推移してはいるが、既存店は101.4%、特に、スーパーセンターが厳しい状況となっており、サブプライムローンの影響が出始めているといえよう。これから、アメリカでは年間最大の売上のシーズであるクリスマス商戦に入ることになるが、今期のウォールマートの数字がどのようになるか読みにくい状況といえ、当面、この10月度、11月度の売上速報がどのような数字になるかがポイントといえよう。

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October 30, 2007

食品スーパーマーケット売上速報、2007年9月度、105.6%!

   今月は少し集計が遅れてしまったが、食品スーパーマーケット上場企業で月次売上速報を公表している約20社の2007年9月度の売上速報をまとめてみた。全体では105.6%、既存店も100.3%と、堅調な売上げであったといえよう。客数、客単価まで公表している食品スーパーマーケットは15社であるが、その数字を見ると、客数108.7%、客単価99.6%であり、新店による客数アップによる売上増であることがわかる。食品スーパーマーケットは成長のためにはいかに新店を出店してゆくことが重要な経営戦略であるかが、改めてわかる。特に、今月は、これまで常に上位にいたオオゼキがとうとう、新店が1年間なかったため、全店の売上げと既存店の売上がイコールとなり、101.4%と全体では17番目となる位置となり、この点を見ても新店の重要性が浮き彫りになったといえよう。

   今月のNo.1の売上伸び率は大黒天物産であり、124.0%とNo.2のハローズの116.9%を大きく引き離し、ダントツ、トップであった。ただ、既存店は98.7%と苦戦しており、怒涛の新店戦略により、全体の売上は絶好調であるが、既存店は厳しい状況が続いている。特に、既存店に関しては、客数99.5%、客単価98.7%であり、どちらも昨対を割っており、既存店の活性化は急務といえよう。特に、PI値が全体では94.6%、既存店で95.7%と厳しい状況であり、逆に平均単価は全体102.2%、既存店103.1%と上昇しており、PI値ダウンが既存店の売上を落としている原因であるといえる。今後、いかに既存店のPI値を上げ、業績を改善するかが当面の課題といえよう。

   No.2はハローズであり、116.9%である。既存店も105.0%であり、絶好調といえよう。特に、客数が伸びているのが特徴であり、全体119.6%、既存店105.9%であり、新店の貢献だけでなく、既存店の客数も伸びており、バランスのよい売上の伸びであるといえよう。ただ、客単価は全体97.7%、既存店99.1%であり、客単価が若干下がっているところが気になるところである。

   No.3、No.4はマックスバリュ東海、マックスバリュ中部が入った。No.3のマックスバリュ東海であるが、全体は113.6%、既存店も102.5%であり、バランスのよい売上である。特に、平均単価は若干落ちているが、客数とPI値が伸びており、第1ステップとしては良い傾向であるといえよう。今後、PI値のアップをさらに目指し、タイミングをみながら平均単価をいかに改善するかが課題といえよう。また、No.4のマックスバリュ中部も全体の売上111.2%、既存店100.2%と既存店も昨対を超えており、バランスのよい売上構造であるといえよう。マックスバリュ東海同様、平均単価は若干ダウンしたが、PI値、客数がアップしており、次の課題は平均単価の改善にあるといえよう。一般的に、店舗の活性化は第1ステップがPI値アップ、客数アップ、できれば客単価アップも狙いたいが、その後、第2ステップとして、平均単価アップに入ることが無理無く活性化が進むが、この両企業ともその方向で進んでおり、セオリー通りの流れであるといえよう。

   No.5はヤオコーであるが、全体の売上110.6%、既存店も102.3%と好調であり、セオリー通り、平均単価は若干落ちているが、PI値、客数が伸びており、しかも、客単価も全体100.5%、既存店100.7%と上位5社の中では唯一、客単価も昨対を超えており、今回、全食品スーパーマーケットの中では最も理想的な売上構造であるといえよう。平均単価も全体99.1%、既存店99.3%であり、わずか0.数%であり、来月以降の数字がどのように改善されるかが気になるところである。また、No.6はユニバースであり、全体110.3%、既存店103.7%と好調である。ユニバースは客数、客単価、PI値、平均単価を公表していないので、中身はわからないが、売上を見る限り、バランスのよい成長であるといえよう。

   以上が、9月度、110%以上の好調な売上の食品スーパーマーケットであるが、上記以外に主な企業を見てみると、No.7にカスミ(全体109.3%)、No.8にマックスバリュ西日本(全体106.9%、既存店102.3%)、No.9にイズミ(104.9%、99.0%)、No.10にヤマザワ(104.9%、101.2%)、No.11にバロー(104.8%、99.3%)、No.12にエコス(104.7%、100.3%)、No.13にマルエツ(104.2%、104.8%)、No.14にCFSコーポレーション(103.8%、96.4%)、No.15にいなげや(103.4%、102.3%)となる。

   逆に、この9月度、最も厳しい売上であった食品スーパーマーケットは九九プラス(97.2%、97.0%)であり、ついで、これまでは好調であったアークランドサカモト(97.3%、96.9%)であった。この2社以外にも、トーホー(98.8%、100.1%)、マックスバリュ北海道(98.8%、96.9%)、PLANT(99.4%、93.9%)が昨対を割り、厳しい売上状況が続いている。

   このように9月度の売上速報を見ると全体としては105.6%と堅調な売上であるといえ、特に、上位の食品スーパーマーケットはのきなみ、新店が好調であり、昨対110%以上の2桁の成長を続けている。また、ここへ来て、既存店の売上も昨対をクリアーしはじめた食品スーパーマーケットが増えており、特に、客単価よりも、客数の伸びが顕著であり、さらにその中身を見ると、平均単価は若干下がっているが、PI値が伸びて、客数アップに結びついている傾向があり、既存店の活性化はまずPI値アップがポイントとなっていることが伺われる。いよいよ、3月期の中間決算も11月から公表が随時始まるといえ、後半戦に向けての各社の今後の取組みに注目したい。

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October 29, 2007

テスコに注目してみる!

    最近、テスコに注目している。関係先で紹介されたテスコの本を八重洲ブックセンターで手にいれ、いま熟読しているが、実に興味深い内容である。いずれ、あらためて本ブログでも取り上げてみたいが、本のタイトルは「Tesco、顧客ロイヤルティ戦略:海文堂」であり、定価3,000円の本であるが、それだけの価値はあると思う。テスコのクラブカードについてまとめたものであるが、約10年前にここまで、全英規模で取り組んでいたとは驚きである。内容と感想については後日取り上げようと思うが、ここでは、テスコについて、企業概要を改めてみてみたい。これまで、本ブログでは、海外情報はそれほど多くはないが、アメリカ、特にウォールマートを中心に見てきたが、これを機会に、ヨーロッパ、特に、イギリスのテスコについても見てゆきたいと思う。
 
   まず、まさに、テスコの最新情報、株価であるが、ロンドン証券取引所の10/28現在の株価は、464.750ポンドである。この3ケ月間の株価の推移を見てみると、3ケ月前の8月は410ポンド付近で推移していたが、9月に入り、430ポンド近辺に上昇し、10月に入るといきなり460ポンド台へ跳ねあがり、ほぼ、この10月は460ポンド前後で動いている。まさに、この3ケ月は上昇基調の株価であり、日本のマルエツの株価によく似た動きをしている。ただ、この1年の動きを見ると、実は株価のピークは5月初旬であり、この頃、年初来最高値の470ポンドをつけている。そして、この7月まで株価が下がり続け、8月が底となり、ここから株価が反転した形である。また、5月までの株価の推移は、昨年暮れからほぼ上昇傾向であり、この1年間では5月、そして、この10月が山、昨年暮れ、7月が谷という状況であり、大きくはふた山目に入った株価の動きといえる。

   次に、テスコの最新の決算数値であるが、2007年2月期の決算数値を見てみると、過去3年間のテスコグループの売上は2007年2月期466.11億ポンド(約11兆円弱:108.0%)、2006年2月期 431.37億ポンド(102.6%)、2005年2月期420.16億ポンドであり、昨年はやや厳しい成長であったが、今期は108.0%と好調な伸びであったといえる。テスコはイギリスが本拠地であるが、ヨーロッパ各国、そして、アジアにも参入しており、日本ではシートゥーネットワークを買収し、つい最近、社名をテスコジャパンに変えた。ここ最近ではテスコエクスプレスを出店しはじめているが、10/15には、埼玉県新座市に新店をオープンし、すでに6店舗となった。テスコ全体では約11兆円の年商であるが、その内訳は、イギリス本土で約75%の売上、ヨーロッパ各地で約13%、アジアで約12%という売上構成であり、圧倒的にイギリス本土の売上が大きいといえる。ちなみに、店舗数はグループ全体で2,672店舗、内イギリス本土で1,898店舗であるので、店舗構成比は約71%である。グループ全体の総従業員数は273,024人である。

   利益の方も見てみると、日本の小売業と計算方法が違うと思われるが、粗利率が8.12%、販売費が2.12%、営業利益、その他利益が若干あり、6.20%、税前利益が6.22%である。粗利率、販売費が極端に少ないのは、販売原価に経費のかなりの部分が入っているためと思われる。したがって、日本の小売業と比較するには、営業利益6.20%が良いと思われる。日本の食品スーパーマーケットの営業利益は3%前後であるので、テスコは極めて収益性が高いといえよう。

   さらに、テスコの2007年2月期の資産と負債及び資本を見て見ると、これも日本の貸借対照表とは表現の仕方に違いがあり、ある意味、合理的な表現となっているともいえ、そのままテスコの表現方法どおり見てみる。まず、固定資産であるが、202.31億ポンド(約4.7兆円)、流動資産が45.76億ポンド、流動負債が81.52億ポンドであり、ここで差引き小計、166.55億ポンドとなり、ここから、固定負債60.84億ポンドを差引いて、純資産を導き出し、105.71億ポンドとなる。日本では、左に資産、右に負債と資本を記入するが、テスコは一列に記入し、しかも、一度、総資産から流動負債を差引き、小計を出し、ここから、さらに固定負債を差引き、純資産を導いている。流動負債を総資産から引いた小計をわざわざ計算しているので、意味があると思うが、この書き方を見る限り、より確かな純資産を確定するために、ワンクッションおいて、不安定な流動資産を引いた数字も企業の財務を見る上で重要な数字と見ているのかもしれない。ちなみに、ここから、自己資本比率を計算すると、42.61%であり、逆算すると、57.39%が負債であり、小売業としてはやや投資が重く、負債がやや多いといえよう。

   このように、今回のブログではテスコの現状を株価と財務指標をもとに見てみたが、テスコはグローバル小売業のようであるが、約75%の売上は依然としてイギリス本土での売上げであり、アジアはまだ12%程度である。ただ、現在のウォールマートも海外比率は約25%であるので、この25%はグローバル小売業としては低くはないかもしれないが、イメージよりも低いように感じる。逆に考えると、自国内で確実なシェアをとり、その余力で海外へ参入することを考えるとすると、25%はバランスが良いのかもしれない。今後、本ブログでは今回を機にテスコについても可能な限り、最新情報をおっかけてゆく予定である。次回は、テスコのクラブカードの実態に迫ってみたい。

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October 28, 2007

いなげや、ブルーミングブルーミー2号店(高級スーパー)を出店!

   いなげやが10/25、新業態、高級食品スーパーマーケット路線をめざしたブルーミングブルーミー2号店、鴻巣駅前店を埼玉県鴻巣市に出店した。いなげやはすでに2007年4月に横浜市港北区に1号店のブルーミングブルーミーを出店しており、その後の新店が今回のブルーミングブルーミー2号店の鴻巣駅前店であるので、食品スーパーマーケットの高級化路線が鮮明になったといえよう。また、この間、付加価値の高い惣菜売場を拡大し、品揃えを強化する店舗改装を10店舗以上取り組んでおり、新規出店戦略、既存店改装ともに高級化、付加価値の高い惣菜強化型への取り組みであり、構造改革の年と位置付けたこの2年間であるが、今後の店舗戦略が鮮明になったといえよう。

   いなげやは3月期決算であるため、中間決算の公表は来月初めとなると思われるが、この10/23に中間業績予想の修正を公表している。それによると、営業収益は予想よりも1.2%増加する予想ではあるが、営業利益-19.3%、経常利益-11.7%と減少し、当期純利益は赤字幅がさらに拡大し、-2.2億円になる見通しであるという。その理由を、「管理費が大きく増加したことによるものです。当社では、店舗競争力を強化するため、惣菜部門強化を主眼とした店舗改装を展開しており、営業収益につきましては当初予想を上回る増収となることができました。しかし、一方、費用面において、改装に伴って修繕費が膨らんだこと、および将来に向けての新設店舗用地の取得に伴う公租公課を引き当てたこと等により、管理費が大きく増加したことから、営業利益、経常利益、中間純利益ともに当初計画を下回ることとなりました。」と説明しており、現在推し進めている新業態開発、惣菜強化型への店舗改装の負担が重く、売上増にはつながってはいるが、経費、投資負担が厳しい状況となっているといえよう。ただ、今後、この高級化、惣菜強化型の路線を進むことによって、粗利率が改善されてくれば、経費増を賄うことは可能であり、そのバランスがポイントであるといえよう。

   さて、新店のブルーミングブルーミー2号店、鴻巣駅前店であるが、10/26の日経流通にも載っていたが、加工食品の約2割を通常店舗とは違う品揃えとするなど高級品から普及品まで選べる楽しさを前面に出したという。売場面積は約750坪であり、1号店のブルーミングブルーミー港北店よりも、約2割大きいという。日経MJの記事では、この4月にオープンした1号店の売上状況も載っているが、それによると当初数ケ月は目標を下回っていたが、最近では常連客と遠距離からの来店客が増え、目標を上回っているという。ブルーミングブルーミー1号店の港北店の年商目標は21億円、この2号店は23億円であるので、いなげや128店舗の単純平均年商は17.2億円であるので、約30%高い売上規模となる。

   現在、ブルーミングブルーミー鴻巣駅前店のオープンちらしが入っているが、さすがに高級感漂うちらしとなっている。生鮮3品の目玉が鮮魚では本鮪、三重県産、100g980円、8切れ980円であり、青果は生産者限定野菜のにんじん1袋98円、トマト1パック298円であり、精肉では褐毛和牛(かつもう)、ステーキ用、1,000円(100g667円)である。褐毛和牛は和牛4品種の1つであるといい、赤身肉が特徴であるという。これ以外にも鮮魚では活〆ぶり4切れ500円、生かき生食用298円、青果では種無し柿1個50円、レタス1個90円、精肉では伊藤ハム、糸巻き焼豚ブロック500円、トーチクハムブロック500円、国産豚肉ブロックヒレ100g100円と続く。そして、自慢の惣菜であるが、四季の炊き込み御飯弁当480円、韓国メンチカツ1個98円、よりどり5個480円、酢豚中280円、大550円、ロースカツ丼、ひれかつ丼、えびフライ・ひれかつ丼各448円、満足にぎり寿司880円、二色ちらし680円と生鮮3品と惣菜を強化したちらしとなっている。

   また、ブルーミングブルーミーには、ブログもあり、副店長が中心に様々な最新情報を発信している。まだ、オープン後の内容はないが、オープン前の数日のブログをいくつか見てみると、10/23では新しく入荷したせんべいの紹介があり、足袋の形をしたちびたびを写真付で取上げていた。10/22には惣菜店の北京飯店、鶏肉専門店のとりせいを取上げていた。10/20には埼玉産のビールが紹介されており、川越産金時薩摩芋を使用したコエドブルワリー赤紅、漆黒を取上げていた。

   このようにいなげやの新店、ブルーミングブルーミー2号店の鴻巣駅前店が10/25に新規オープンし、順調にスタートをきったといえる。今後、いなげやは、この新業態を主力店舗として、出店がなされてゆく予定であり、既存店の惣菜売場の改装とあいまって付加価値の高い業態転換を急激にすすめてゆく方針であるという。ただ、現段階では、この中間決算の業績予想を見ると、経費、投資額の上昇が収益に追いつかない状況が見られ、この点が今後、ブルーミングブルーミーが軌道にのり改装された惣菜強化型店舗が改善されてくるかが大きな課題であるといえよう。いなげやの、次の中間決算、そして、本決算に注目したい。

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October 27, 2007

日経MJ新製品週間ランキング、10/26、その他食品を見る!

   前回の日経MJ新製品週間ランキングから、全部門を万遍なく取上げるのではなく、一部門を中心に深く見てゆくことにしているが、今週はその他食品を取上げてみたい。その他食品は和洋日配、加工肉、食品と幅広い部門の新製品がまとめられているのが特徴である。今週の新製品を見ると、全体的に客単価が高く、Aランクの500円以上が1品、Bランクの300円以上が3品、Cランクの200円以上が7品と合計11品となり、全部門の中でも客単価が極めて高い新製品が多い部門となった。No.1は明治乳業、ブルガリアヨーグルトLB81そのままでプレーン500g、客単価934円(1人当り0.934円)、前週比92円と9/24初登場の新製品であるが、客単価上昇中である。カバー率は98.5%と今週の全新製品の中でも最高の数字である。この客単価934円は、家庭用品のマックスファクター、SKⅡサインズトリートメントトータリティ80g、客単価1,096円に次ぐ高さであり、注目の新製品であるといえる。

   カバー率98.5%は今回の対象食品スーパーマーケットが首都圏、近畿圏の主要33チェーン193店舗のデータであるので、そのほとんどを網羅していることになり、ほぼ、この数字をもとに、販売計画、棚割り、販促をかけてよい安定した数字といえよう。客単価ではNo.1のマックスファクターのSK-Ⅱはカバー率が27.7%と低いため、客単価は1,096円であるが、そのままの数字がどの店舗でも保証されるかは難しいといえよう。限定された条件にあった店舗では効果が期待できるが、現時点のカバー率ではすぐに導入するかは迷うところであろう。

   その他食品、No.2は明治乳業、ブルガリアヨーグルトフルーツミックス80g×4、客単価453円である。前週比も9円アップし、10/3に初登場の新製品であり、数週間目であるが、カバー率は81.0%と順調に各チェーンへの導入が進んでいる。ただ、前週の平均単価が148円、今週が140円であったので、かなり販促がかかっての数字であるといえ、まだ、数字は安定しているとはいえず、もう数週間、客単価が落ち着くまでには時間が必要といえよう。現在、激しく、初回購買が発生している最中といえ、今後、リピート購買に転じた時がポイントといえよう。ヨーグルトは、この4つのタイプが3連ヨーグルトからシフトしている傾向があり、現在、各食品スーパーマーケットの下段占有率を急激に引きあげており、その意味でこの新製品はまさにタイムリーな商品といえよう。

   No.3には日清食品、カップヌードルみそ81gが客単価342円で入った。ただ、前週比143円のダウンであり、カバー率は71.3%と高いが、今後どの辺で落ち着くかがポイントである。No.4にも日清食品が入り、どん兵衛きつねそば98gが、初登場、客単価304円であった。カバー率は53.3%と初登場では高く、今後、カップヌードルみそとともに注目のカップ麺の新製品であるといえよう。

   No.5にはネスレ日本、ネスカフェゴールドブレンド40周年記念プレミアムパック100g+40gが客単価239円で入った。ただし、カバー率は22.6%であるので、9/17初登場の新製品ではあるが、限定された店舗のみでの販売といえ、今後、どこまでカバー率が広がるかがポイントである。この新製品は、No.8にも150g+40gが入っており、客単価は239円、カバー率はやはり低く、わずか8.2%であり、今週の全製品の中では最も低いカバー率である。40周年記念プレミアムパックとしては意外に低いカバー率であり、今後のカバー率がどこまであがるかが気にかかるところである。

   No.6はエバラ食品工業、おいしいキムチボトル400g、客単価281円、カバー率は51.8%である。No.7は味の素、ほんだし120g箱、客単価273円であり、カバー率は88.7%と高い。No.8は先に上げたネスレであるので、No.9は日本ハム、あらびきグルメメイドステーキ208g、客単価208円、カバー率52.8%である。No.10は味の素、ピュアセレクトローカロリーコクうまカロリー55%カット360gであり、客単価202円、カバー率87.7%である。そして、No.11が明治乳業、ほほえみ特別2缶パックらくらくキューブ108g付930g×2、客単価201円、カバー率16.4%である。以上が客単価Cランク、200円以上の今週のその他食品の新製品である。

   このように、今週の新製品週間ランキングはその他食品に絞って見てみたが、その他食品は客単価Cクラス、200円以上を見ても、バラエティに富んでおり、洋日配、食品、和日配、加工肉がバランスよくランキングに入っているのが特徴である。今週は特にカバー率を中心に見てみたが、カバー率が高く、前週比が安定、もしくは伸びている新製品は特に注目の新製品といえよう。ここへきて、新製品がすっかり、冬バージョンに切り替わったといえ、来週以降の新製品の動向にも注目である。

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October 26, 2007

スーパーアークス順調に出店、北海道アークス好調な中間決算!

   北海道のアークスが10/12に公表した2008年2月期の中間決算は、当期純利益が若干のダウンであったが、売上、営業利益、経常利益は増収増益、特に、利益が大幅に伸びる好決算となった。実際の数字は、売上高1,204.40億円(105.0%)、営業利益44.16億円(123.5%:売上比3.7%)、経常利益47.83億円(119.8%:売上比4.0%)、当期純利益28.19億円(97.0%:売上比2.3%)であった。特に、今期は、アークスの新たな成長へむけたビックハウスの後継となる新業態スーパーアークスを2店舗出店し、スーパーアークスも順調に店舗数を増やしている。4月には子会社のホームストアにおいて3号店目となる「スーパーアークス中島店」を室蘭市に出店、その後、同年6月には子会社の道南ラルズにおいて4号店目として「スーパーアークス港町店」を函館市にオープンした。これで、スーパーアークスは4店舗となり、新業態の確立はほぼ完成したといえ、今後、業務提携したカインズとも連携をとり、広域商圏を狙った新規出店が北海道全土で繰り広げられることとなる見通しである。現在、総店舗数は全グループで168店舗であるが、当面の目標である年商3,000億円へむけて着々と体制が整いつつあるといえよう。

   スーパーアークス4号店、港町店の特徴は、約40店舗のテナントを有するショッピングセンターの核店舗としての出店であり、この40店舗がA棟、B棟、C棟となってはいるが、これらがひとつにつながっており、北海道の寒い冬でも外を通らずに行き来ができる工夫がなされている。核店舗となるスーパーアークス港町店の店舗面積は約950坪であり、年商は30億円の予想である。これまでのビックハウスで培ってきたノウハウのひとつである一物三価のロープライス路線は継承しつつも、少子高齢化、健康、安全、安心などに対応するために品揃えを充実させ、これに加え、業務用食品の品揃えも増やしたところが大きな特徴であり、食品スーパーマーケットにも、業務用スーパーへも対抗できるオールマイティな総合食品スーパーマーケットを目指しているといえよう。まだ、スーパーアークスは4店舗であるので、合計年商は約100億円であり、全体の売上の数%であるので、アークス全体への影響度は低いが、10店舗を越え、10%以上の売上構成比を占めてくるとアークス全体の主力業態としての位置づけが明確になってくるものといえよう。

   この中間決算での売上、利益の関係を見てみると、売上総利益は昨年の22.0%から22.3%へと0.3ポイント改善し、粗利の改善が見られる。一方、アークスが重視している経費比率であるが、昨年の18.9%に対し、今期は18.6%であり、経費比率も0.3ポイントダウンしている。したがって、差引き、営業利益率が昨年の3.1%から、3.7%へと0.6ポイントと大幅に上昇しており、これが、売上105.0%とあいまって、営業利益が123.5%と大幅に改善された。粗利、経費ともに改善されるという理想的な経費バランスの改善であり、アークスの営業状況は極めて良好な状況にあるといえよう。実際の主な経費項目を見てみると、人件費関連は売上に応じて上昇しているが、宣伝装飾費、店舗賃借料、減価償却費等の伸びが抑えられており、これらが経費比率を大きく引き下げた要因であるといえる。

   また、この中間期のアークスの自己資本比率であるが55.9%と昨年の54.8%と比べ1.0%と上昇している。この数年間の推移を見ても、54.2%、54.7%、54.7%徐々に上昇しており、自己資本比率が改善されつつある。特に、負債項目の主要項目である借入金の状況を見ると、昨年は長短借入金が156.12億円であったが、今期は144.40億円と約10億円強減っており、総資産に占める割合は14.56%となった。逆に、好調な決算を受けて純資産は利益剰余金が約40億円増加し、昨年の516.02億円から、今期は554.37億円となり、そのままオンした形となり、負債を圧縮し、純資産を増やすという好調な決算がそのまま財務体質の改善にもつながっているといえよう。

   ただ、資産項目の主要項目である出店にかかわる資産は、建物及び構築物267.6億円(昨年228.0億円)、土地377.8億円(昨年366.0億円)、敷金・保証金76.8億円(昨年80.0億円)と合計729.4億円(昨年674.0億円)と約50億円増えているが、これは総資産の73.5%を占めており、自己資本比率55.9%ではまかないきれず、借入金に依存せざるをえない状況であり、出店にかかわる資産が財務をやや圧迫している状況といえよう。これを全168店舗で割ると1店舗当り4.3億円であり、出店にかかわる資産としては、他の食品スーパーマーケットと比べてもけっして高いほうではないが、総資産に占める割合が大きいのが気になるところである。

   このように、この中間期のアークスの決算数字は好調な決算を受け、財務体質も借入金を削減し、純資産を増やし、自己資本比率が55.9%と着実に改善されつつあるが、出店にかかわる資産である建物、土地、敷金・保証金等の総資産に占める割合が73.5%と大きいのが財務的には課題といえよう。スーパーアークスは売上、利益も期待できるが、それに応じて出店にかかわる資産も大きくなるため、そのバランスをとりながらの出店戦略が課題となる。スーパーアークスの新店戦略がどこまで、収益を拡大し、今後の自己資本比率をどこまで改善できるかに注目したい。

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October 25, 2007

サミット、NSC独自開発の2号店を出店、611坪!

   サミットが10/20(土)、自社開発2号店となるNSC(ネバーフッドマーケット)、グリーンマークシティー松戸新田店を千葉県松戸市にオープンした。サミットはすでに、自社開発の1号店のNSCを2006年7月15日に東京都足立区へグリーンマークシティー保木間店をオープンしており、ちょうど、1年後のNSC2店舗目となる。この間、サミットの新店は、2006年9月6日にサミットストア江戸川区役所前店を東京都江戸川区に、2006年9月30日にサミットストア滝野川紅葉橋店を東京都北区に、2007年7月21日にサミットストア権太坂スクエア店の3店舗をオープンしている。今回の新店でサミットは、東京都58 店舗、埼玉県12 店舗、神奈川県9 店舗、千葉県6 店舗、合計85 店舗となる。

   NSCは主要食品スーパーマーケットが現在次世代へ向けての新業態として開発競争が進んでおり、ヨークベニマル、ヤオコーが先行しているが、ここへきて各食品スーパーマーケットが取組みはじめ、つい最近でも、ヨークベニマルのノウハウを取り入れヨークーマートがNSCを自社開発するなど、首都圏でもNSCが重要な新業態としてクローズアップされてきたといえる。サミットも1号店からほぼ1年を経て、今回2号店を出店したことにより、今後、NSCを主力業態として首都圏全域へ出店が進んでゆくものといえよう。

   今回のサミットNSC、グリーンマークシティー松戸新田の特徴は商圏特性をよく分析した上での対応がなされおり、これまで、この地域には大病院はあるが、ちょっとした時にかかれる町医者が少ないという地域住民のニーズがあり、それに応える形で、衣食住関連の物販だけでなく、診療所である総合クリニックドクターランド松戸を併設したNSCとなっている。これに加え、歯科医院の磯﨑歯科、衣料品のコルモピア、本のブックスゴロー、ドラックストアのトモズ、美容室のCOLLECTION、飲食のくら寿司も併設されたNSCである。

   サミットストアの売場面積は611坪であり、年商23.7億円が目標である。1号店のNSC、グリーンマークシティー保木間店の売場面積は601坪、年商26.4億円であったので、ほぼ同じ規模のNSCであり、1号店を検証し、改善点を加えての出店であるといえよう。営業時間は10時から22時までであるが、1号店は10時から午前1時までであったので、立地特性もあるだろうが、通常の食品スーパーマーケットの営業時間となっている。

   新店の売場の特徴であるが、ここ最近サミットは鮮魚に力を入れており、サミット32店舗となる「おさかなキッチンコーナー」をさらにパワーアップしている。通常は常時35種類以上品揃えして魚種の豊富さを訴求しているが、このNSCではさらに売上の高い水・日曜日に大型サイズの魚や単価の高い魚、えび、かに、活貝等も加え、品揃えを約45 種類に拡大するという。千葉県という魚の地場でもあることであり、特に、鮮魚には力を入れているといえる。さらに、商圏特性を考慮し、皮むき済みや一口サイズにカットしたもの等、お客様が手を加えなくてもすぐに調理できる状態にまで加工度を上げたものも品揃するという。

   ちなみに、この松戸市の商圏は、千葉県平均と比較して、0~9 才と20~49 才の比率が高く、中でも30~39 才の比率は19.7%と県平均より3.6%多いという。また、家族人数は2.3 人と千葉県平均より0.2 人少なく、特に単身世帯比率が33.3%と県平均より7.8%も高いという。このような商圏特性から鮮魚コーナーをこれまでの「おさかなキッチンコーナー」以上に充実させたコーナーづくりに挑戦するのであろうと思う。また、漬物コーナーで浅漬・古漬・酢漬の小容量、小分けパックの品揃えを拡大したり、9 才以下の人口比率が高いことから、菓子パン売場に「キッズコーナー」を3 尺5 段で展開するなど随所に商圏特性をとらえた新コーナーへ挑戦するという。

   また、10/20にオープンしての、第2弾、10/24(水)から10/26(金)までのちらしが、現在うたれているが、それを見ると、魚に関しては10/24に、刺身用大めばちまぐろ(解凍)g398円、刺身用びんちょうまぐろg98円、生めかじきg198円が入っている。10/25は金目だい2切れ598円、10/26は刺身用トラウトサーモンg128円と刺身関連を強調したちらしとなっている。また、裏面では、秋の土用として、国内産うなぎ長焼き698円、特大980円、大498円を筆頭に、生さんま1尾48円、刺身用蒸たこg128円、塩さば1枚298円、天然ホワイトえび12尾498円に加え、「おさかなキッチンコーナー」の写真が掲載されている。

   このようにサミットのNSC自社開発2号店、グリーンマークシティー松戸新田がオープンしたが、サミットの年商は2007年3月末現在、1,947億7,500万円であり、今期、2008年度は確実に年商2,000億円の大台を越えることととなり、次の成長のための戦略業態であるNSCが軌道に乗り始めたといえよう。今後のサミットのNSCがどのように進化してゆくかに注目である。

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October 24, 2007

ウォールマート、西友へのTOBはじまる!

   新聞各紙が既に報道しているように、10/22、ウォールマートの西友へのTOBが公表された。TOB期間が10/23から12/4までの30営業日であり、買付け価格は普通株式1株につき金140円である。この140円は、平成19 年10 月19日までの過去1 ヶ月間の東京証券取引所市場第一部における西友の終値の単純平均に対して60.6%のプレミアムを加えた金額であるという。ちなみに、10/22の西友の株価は前日比30円高の117円まで上昇し、7億7,381万4千株の買い注文を残してストップ高比例配分となった。当面140円近辺までは上昇すると思うが、明日以降の株価に注目である。

   ウォールマートの西友へのTOBは今回2段階で進んでゆく予定であるという。まず、今回のTOBで2/3以上の株式を取得することを目指し、これが実現した段階で、発行している全ての普通株式に全部取得条項を付すことを内容とする定款の一部変更を行い、当該全部取得条項付種類株式を全て取得するのと引き換えに別個の西友の普通株式を交付するという。ただ、この株式は、東京証券取引所その他の証券取引所への上場申請は行われない予定であるという。このようなプロセスで、今回、全株の取得を目指し、TOBの成立を目指すという。

   今回のウォールマートの西友へのTOBについては、ウォールマート、西友、双方がプレスリリースを出しているので、双方をまず、見比べてみたい。

   まず、TOBされる西友であるが、タイトルは「当社株式等に対する公開買付けに関する意見表明のお知らせ」というものであり、結論は「当社は、平成19 年10 月22 日開催の取締役会において、公開買付者による当社株券等に対する公開買付けについて賛同の意を表明することを決議いたしました。従って、当社は、本公開買付けに応募することを勧めます。」というものであり、TOBへの全面的な賛同を表明している。その背景には大きく2つのことがポイントになっているという。ひとつは、減損会計であり、これが2006年12月期から導入され、財務を圧迫し、厳しい決算となったことである。特に、今期は104億円の純損失が見込まれる財務状況である点であるという。そして、もう1点は2007年8月に格付投資情報センター(R&I)より、コマーシャルペーパー格付けを格下げする方向でレーティング・モニターの対象とする旨の通告を受けたことであるという。これが、単独での短期資金調達の選択肢を狭める結果となり、西友の事業の発展に好ましくない影響が生じつつあるとのことで、この2点が直接の要因となったという。それゆえ、ウォールマートのTOBにより、完全子会社となることが、西友の企業価値を向上し、顧客、従業員、西友グループの運営する店舗が属するコミュニティ及び取引先に長期的な利益をもたらすことを可能ならしめるうえで、最善の方策であると判断して、ウォールマートのTOBに賛同したという。

   一方、TOBを実施するウォールマートであるが、タイトルは「ウォルマート、西友の完全子会社化に向け公開買付け実施、日本市場へのコミットメントを改めて表明」というものであり、内容は、ウォールマートの副会長のマイク・デューク氏のコメントを引用して次のように述べている。「西友がウォルマートの完全子会社となることで、今後はマーチャンダイジング、店舗改装、物流、ロジスティックスなどの様々な分野においてこれまで以上に柔軟に投資が行えるようになります。また、西友の社員はこれらの業績向上への取り組みから恩恵を受けることができると考えています。さらに、西友のお取引先にもウォルマートが西友にコミットしていることを改めてご理解いただき、西友の強みおよび将来の成長見通しに対する信頼を高めていただくことになると考えています。」ということある。今回のTOBに関しては、今後、西友がウォルマートの完全子会社となり、ウォルマートの支援を全面的に享受することが最善の選択肢であるということで両社の見解は一致しているとのことである。

   それにしても、なぜ、西友は、この5年間スーパーセンターへシフトしなかったのであろうか。小売業の成長は新店開発以外になく、しかも競争力のある=顧客満足度の高い新店開発以外にないといえる。極論すれば、西友のGMSをスクラップし、これを次々にスーパーセンターに業態展開することが最も早い活性化の方法であったと思うが、なぜ、そのような戦略が打ち出されなかったのか疑問である。財務的な問題、立地開発の問題、システムの問題、物流の問題等当然あったと思うが、ウォールマートの総力をあげて取り組めば、けっしてできかったことではなかったと思う。今回、西友がウォールマート100%の完全子会社となるので、経営の刷新、戦略面の全面的な見直しもなされると思うが、今後、どのような新店戦略を打ち出すかがポイントであろう。ここしばらくは、TOBの行方に注目ではあるが、その後のウォールマートがどのような体制、どのような戦略で西友の活性化に臨むかが興味深いところである。   

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October 23, 2007

POSデータの開示進む、メーカーの提案力が問われる!

   数週間前の日経だったと思うが、POSデータ開示の記事が載った。見出しは「食品POS情報、開示拡大」、「ライフコーポレーション、来月メド、近畿圏108店舗」、「売れ筋を共同分析」であった。ライフコーポレーションはすでに、首都圏のPOSデータを今年初めにメーカーへ開示しており、今回の記事は近畿圏でもこの10月をメドにPOSデータの開示がはじまるという内容である。すでに、首都圏では約150社のメーカーへの開示がされているといい、今回の近畿圏108店舗のPOSデータの開示で倍の約300社への開示がはじまるという。今回のライフコーポレーションのPOSデータの開示は、コープさっぽろが取り組んできたコープ宝箱の仕組みの導入であり、この仕組みは、ライフコーポレーション以外でも、沖縄のサンエーでもはじまっている。この仕組みにかかわらず、現在、様々な食品スーパーマーケットがPOSデータの開示に踏み切っており、今後、数年以内には公開される食品スーパーマーケットのPOSデータをもとに、メーカーとの間で、マーチャンダイジングの改善を前提とした新たなSCM(サプライ)、DCM(デマンド)の体制が構築されてくるものといえよう。

   さて、記事の内容であるが、まず、公開するPOSデータの商品数であるが、約2万から3万品の販売数量や販売価格の各店舗ごとの情報であるという。記事の中では客数が載っていなかったが、コープさっぽろでは客数も公開対象となっており、恐らく、ライフコーポレーションも客数は公開されていると思う。客数が公開されれば、金額PI値(客単価)=PI値×平均単価にもとづく、客単価2D分析が可能となるため、店舗間の売上の多寡にかかわらず、全チェーン店舗の客観的な分析が可能となるため、これらの指標をメーカーが活用すれば、さらに、マーチャンダイジングの提案力が増すと思われる。

   マーチャンダイジングはつきつめれば、顧客と商品との接点を押さえ、そのきづなをより、強固にすることが目的であり、その結果として、PI値があがり、平均単価があがり、金額PI値(客単価)か改善されてゆくものといえる。したがった、POS分析をするのであれば、客単価2D分析は不可欠であり、今後、メーカーもしっかり食品スーパーマーケットで活用しているPI値、金額PI値、さらには粗利PI値も研究することが、食品スーパーマーケットへのマーチャンダイジングの提案力を増してゆく早道であるといえよう。

   ちなみに、いずれ、POSの開示は時間の問題でID-POSデータの開示の時代になると思うが、その時は、ID-3D分析が基本となり、今後は、POSデータにIDがついたデータの分析もポイントとなるといえよう。POSデータとID-POSデータは単にデータ量が増えるだけでなく、質的な変化もあり、POSデータでは見えなかった新しい世界が見え、ここからマーチャンダイジングを再構築することも今後の大きな課題である。ライフコーポレーションもすでにポイントカードを導入しはじめたので、時間の問題といえよう。

   記事の中では、首都圏ですでに実施されたMD協議会についても言及しているが、1月からPOSデータを開示し、5月にはじめて開催したMD協議会では約20社からの提案があったという。そこには、市場との売上の差を分析するギャップ分析や、売上をカテゴリーで見るカテゴリー分析、店舗ばらつき分析など、これまでデータが膨大でライフコーポレーションが手を付けられなかった分析による提案が寄せられたという。
具体的にはカレーライフと称してメーカー側の提案にもとづいて、この8月に、カレーライスの関連品を割り引くなどの販促を実施し、同年同週の117%となるなど、効果も出始めたという。この9月の棚割りでも店舗の特性に合わせた価格帯をかえるなどの見直しも実施したという。ライフコーポレーションはこれを受け、現在、年2回のMD協議会の開催を年4回に増やす方向で検討しているという。

   このように年商4,000億円を越える日本最大級の売上を誇る食品スーパーマーケットであるライフコーポレーションがPOSデータの開示に本格的に動き始めたことにより、今後、食品スーパーマーケット各社のPOSデータの開示が進んでゆくものといえよう。メーカーとしてはまさにPOSデータを分析し、その結果にもとづく提案力が問われることとなり、今後は食品スーパーマーケット、メーカー一体となったPOSデータにもとづいた仮説検証が急激に日本全国で進んでゆくものといえよう。

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October 22, 2007

完熟ミックスオ・レ、ファミマでカット、ショック!

  ごく最近の体験談である。私の周辺にはコンビニエンスストアが近隣に2軒、ファミリーマートとセブンイレブンがあり、そして、その周辺にローソン4軒、am/pm1軒、2軒目のセブンイレブンがある。コンビニは何と8軒もある。特に、近隣の2軒のコンビニへの買い物頻度は高く、セブンイレブンではnanacoもつくり、仕事の行き帰り、犬の散歩の時などによく買い物をする。セブンイレブンは以前は少し自宅からは離れていたが、今年はじめに近くに移転したため、余計、買い物頻度があがっている。

   ただ数ケ月前から異変がおき、なぜかファミリーマートでの買い物が増えはじめた。その理由はフルーツカルピス、完熟ミックスオ・レの出現である。カルピスの商品開発には依然から注目しており、新製品が出るたびに買っていたが、たまたま飲んだ完熟ミックスオ・レがおいしくて、気に入ってしまった。これがこの周辺のコンビニではファミリマートのみで販売しており、それまで、頻繁に買い物をしていたセブンイレンブンにはなく、その後、この商品を買うためにファミリーマートへゆくことが増え、ついでにその他の商品も買うというパターンが定着し、セブンイレブンでの買い物頻度がガクンと減り、nanacoのチャージ金額が減らない状況がつづいている。ここのところ、あらたなチャージをした記憶がない。

   ところが、昨日、ファミリーマートへいったら、もちろん、完熟ミックスオ・レを買いにいったのだが、何とカットされ、そこにはTHE PREMIUM CALPISが入っており、がっかりした。THE PREMIUM CALPISにがっかりしたのではなく、完熟ミックスオ・レがなくなったことにがっかりした。この日はショックで何もかわずにファミリーマートを後にし、セブンイレブンには置いてないのはわかっているので、少し足を伸ばし、ローソン、am/pmへいったが、ここでにも置いてなく、昨日はあきらめて、すべてのコンビニで何も買わずに帰ってきた。

   コンビニは売れ筋管理にもとづき、特に本部の売れ筋、店舗の売れ筋を全体客数で割って算出するPI値が主体での商品カットを行っていると思うが、もし、PPIを分析していたら、私のこのファミリーマートでの完熟ミックスオ・レのPPIは極めて高く、しかも、ついで買いの商品もあり、さらに来店頻度も高く、完熟ミックスオ・レは全体、あるいはこの店舗では死に筋だったかもしれないが、私個人では超売れ筋であり、果たしてこのファミリーマートがそのことがわかっていたら、本当にカットしただろうかと思う。

   ファミリーマートがこの完熟ミックスオ・レをカットしたことにより、少なくとも私自身の来店頻度が落ち、ついで買いの購入商品の売上が落ち、結果的にこれまでよりも私個人の総売上におけるシェアが落ちたことは間違いないと思う。

   それ以上に、何よりいちばんショックなのは、私自身がファミリーマートからカットされたような感覚となり、もう来なくてもよいよというメッセージを送られたように感じてしまったことである。よくいう、商品カットが顧客カットになった典型的な事例であり、私自身が完熟ミックスオ・レとともにファミリーマートからカットされてしまったような一瞬、そんな感覚となった。

   ここでPI値とPPIの違いを再度確認しておくと、PI値は買上点数を全体客数で割って算出する顧客全体の支持率を表す指標であり、すべてのPOSで原則算出可能な指標である。PPIはこの顧客を細分化し、今回の事例でいえば、完熟ミックスオ・レを購入している顧客を分母にし、買上点数をこの細分化した客数で割って算出する指標である。この両者の関係はPI値=客数PI値×PPIで関係づけられ、客数PI値は細分化客数を全体客数で割って算出する。ちなみに、これにIDが加わると、この細分化された客数をさらに初回購買とリピート購買に分けることが可能となり、通常のPOS分析やレシート分析では不可能な分析、いままで決して見ることができなかった新たな世界が見えるようになる。意外に知られていない事実だがPI値とPPIは反比例することが多い。全体にとって正しいことは個人にとっては正しくないことが往々にしてあり、逆に個人にとって正しいことは全体では正しくないことがあるということである。

   今後、おそらく、このPPI分析、特にIDを活用した分析は、POS分析の決め手となる分析手法となろう。今回のケースでは、さらに、私の個人のIDにまで踏み込めば、完熟ミックスオ・レのPPI、特にリピートPPIは極限に近い可能性が高く、しかも、それがキーとなって、私の来店頻度を引き上げ、その他の商品の売上アップにも貢献していただろうと思う。さらに、これらをファミリーマートが察知し、完熟ミックスオ・レ10本目ぐらいの購入から、私だけに10%offぐらいにしてくれたら、私自身の来店頻度はさらにあがり、私個人に占めるコンビニシェアはこのファミリーマートが極限の数字に近づいたのではないかと思う。

   それにしても、まだ、敗戦のショックが続いている。しょうがいないので、これからミラベルかコモディイイダかサミット、生協等の食品スーパーマーケットに完熟ミックスオ・レをさがすための旅にでようと思う。今回はまさか、自分の自身にこのような災難がおきるとは思ってもいず、改めてPI値の限界を感じ、PPIの大切さを認識した1日であった。

(追伸)
  完熟ミックスオ・レを見つけました。セブンイレブン、ローソン、am/pmにはなかったのですが、最近できた、盲点だった、少し自宅からは離れているサンクスにふと立ち寄ってみたところありました。何と4フェイスもとってあり、びっくりです。思わず、店員にこれ売れている?と聞いたところ、最近よく売れています、とのことで、他のコンビニにはないよ、といったところ、へえっていっていました。
  今後、このサンクスへ通うことになりそうです。

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October 21, 2007

食品スーパーマーケット、今週、10/19の株価、マルエツ急上昇!

   今週、10/15から10/19の食品スーパーマーケットの株価は何といってもマルエツの株価に注目であろう。ここ最近、株価が急上昇中である。マルエツの短期の株価の傾向を示す5日移動平均乖離率を見ると3.97%であり、これは食品スーパーマーケットではトップであるだけでなく、全上場小売業約400社の中でも4番目となる数字である。しかも、長期トレンドを示す26週移動平均乖離率は25.39%と全小売業の中で断トツのトップであり、2位の東証マザーズ上場の中古車販売のアップガレージの17.41%、3位のスギ薬局の15.49%と比べてもその違いがわかる。実際、マルエツのチャートを見てみると、8月中旬までは株価は低迷していたが、それ以降、株価は上昇に転じ、ほぼ一本調子で右上がりに上昇している。特に、この10/10に公表された中間決算での営業利益、経常利益の昨対150%近い大幅な上昇も好感を持たれたと見え、投資家の大量の買いが入り、急上昇中である。マルエツの来週の株価には注目であろう。

   マルエツの株価の推移をもう少し詳しく見てみると、10/19、現在、706円(+16円、+2.31%)であり、この日は一時は年初来最高値の715円を越えた。さらに、ここ数日は売買高も通常は10万株前後であるが、のきなみ50万株を超える商いとなっており、10/19は100万株近い95.6万株の大商いであった。マルエツの現在の株には勢いがあり、来週以降の株価に注目である。

   マツエツについで、食品スーパーマーケットの株価の注目は5日移動平均乖離率3.52%の丸久である。ただ、丸久の株価は10/19現在911円(1円、0.10%)であるが、ちょうど1ケ月前の株価は739円と年初来最安値をつけており、9月中旬までは株価は下がりつづけていた。それ以降、この1ケ月で株価が回復基調となり、短期間での上昇が続いている状況である。25日移動平均乖離率10.97%、13週2.17%、26週は-7.02%であり、ここ最近の株価の急回復であることがわかる。10/11に公表された中間決算数値は増収増益の好決算であるので、今後とも注目の株価であるが、売買高がいまひとつ伸び悩んでおり、来週以降どのような動きになるかが読みにくい状況といえよう。

    この2社についで、5日移動平均乖離率を見ると、No.3はマルキョウである。2.62%であるが、10/15現在の株価は665円変わらずであり、チャートを見る限り、一時的な動きであり、ここ最近の傾向は底値で推移している状況といえる。マルキュウは9/26に公正取引委員会の立ち入り検査を受け、その真っ最中であり、今回の株価は短期的な上昇といえ、今後の株価は状況次第で、読みにくいといえよう。

    No.4はハローズである。ハローズの5日移動平均乖離率は2.62%であり、10/19現在 株価は、625円(+21円、+3.47%)である。25日移動平均乖離率、13週、26週はそれぞれ、5.93%、7.02%、6.83%とプラスで推移しており、ここ最近、ハローズの株価は上昇気味で推移している。実際、チャートを見てみると、9月上旬までは株価は厳しい数字であったが、ここを堺に株価は上昇に転じており、ほぼ右上がりで推移している。この10/12に公開された中間決算数字も増収増益、特に利益が2桁となる好決算であり、これらの業績改善の数字を受けての株価上昇も大きいといえよう。

    そして、No.5はヤオコーであり、5日移動平均乖離率は1.59%であり、10/19現在の株価は3,060円(+40円、+1.32%)である。ヤオコーの上場来最高値は今年3/26の3,230円であるので、高水準で推移しているが、25日移動平均乖離率、13週、26週は、1.76%、1.37%、1.86%であり、実際のチャートを見ても株価の上下変動を繰り返しながら、緩やかに上昇しているような状況といえる。ヤオコーは決算月が3月であるため、中間決算は来月の上旬の予定であるので、今後、決算次第では株価も動くと予想される。

   上記以外では、5日移動平均乖離率を見るとオークワ1.24%、イオン九州0.84%、ヤマザワ0.55%、マックスバリュ東海0.47%、マルヤ0.34%、カスミ0.32%、サンエー0.27%、マックスバリュ西日本0.19%、マックスバリュ東北0.19%、マックスバリュ北海道0.05%、マックスバリュ中部0.00%、アオキスーパー0.00%が0.00%以上の株価である。

   このように今週、10/15から10/19までの食品スーパーマーケット業界の株価はマルエツが断トツで株価を牽引している状況であり、小売業全体でも、特に26週移動平均乖離率はNo.1であり、注目の株価である。来週中には2008年2月期の中間決算はほぼ公表が終わり、来月からは、2008年3月期の中間決算の食品スーパーマーケットの数字が公表される予定であるので、ここ数週間は、業績次第で株価も動くと思われ、食品スーパーマーケット業界の株価の推移には注目である。

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October 20, 2007

日経MJ、新製品週間ランキング、菓子を徹底して見る!

   恒例の日経MJ新製品ランキングが10/19公表された。本ブログでは、これまで、新製品全般について見てきたが、今回は菓子について、特に重点的に見てみたい。菓子は食品スーパーマーケットにおいては独特な位置を占めている。PI値では農産、日配の半分以下であり、平均単価では水産、畜産の半分であり、PI値、平均単価という尺度で見ると、ちょうど中心に近い位置にいる。また、単品の数字をみても極端にPI値、金額PI値の高い商品がなく、ほとんどのカテゴリーは重点商品よりも、品揃えが重視される。これはこの新製品ランキングにも反映されており、今週の菓子No.1は江崎グリコ、ポッキー<極細>36g×2袋であるが、客単価は238円、Cクラスであり、他の部門のカテゴリーのトップと比べても低いのが実態である。菓子はその意味で、重点商品を強化して数字を引き上げてゆくことよりも、品揃えを充実させて数字を引き上げてゆく典型的な商品群であるといえよう。

   さて、今週の菓子の新製品のランキングであるが、No.1は先にあげた江崎グリコのポッキーであるが、NO.2はネスレコンフェクショナリー、キットカットミニキャラメル味15枚、客単価217円、No.3は同じくネスレコンフェクショナリー、キットカットミニ15枚、客単価209円である。この3品が客単価200円を越えた今週の新製品である。ただ、No.2のキャラメル味はカバー率が53.3%と対象33チェーン、193店舗の約半分での導入であり、全店対象とした客単価では、217円×53.3%=115.6円となるため、No.1の90.3%、No.3の87.7%と比べると、導入店舗のみでの数字は高いが、未導入店舗が多いため、絶対的な数字、シェアはまだまだとれていない状況であるので、数字の見方に注意が必要である。ただ、未導入店舗に導入されれば、この217円をキープをする可能性があるといえ、有望な新製品であることは確かといえよう。

    このように日経MJ、新製品週間ランキングの数字を見る時にはカバー率をも参考にすることもポイントである。日経MJが公開している客単価はカバー率の店舗のみでの客単価であるので、金額PI値ではなく、金額PPIであり、数式的には金額PI値=金額PPI×客数PI値であり、この客数PI値がカバー率とほぼイコールの数字となる。新製品を評価するときには、カバー率が高いか低いかも重要な指標であり、特に、菓子では今週のベスト20を見ても、最高96.9%のカバー率のNo.13のカルビー、ア・ラ・ポテトじゃがバター味80g、客単価115円から、最低のカバー率35.4%のNo.19の明治製菓、北海道チョコポテト53g、客単価101円まである。

   No.4は今週初登場のカルビー、ポテトチップススパイシーチキン味65g、客単価185円、カバー率67.7%である。初登場でいきなり、カバー率が67.7%となるのは極めて高い方である。今週、菓子では初登場の新製品がこれ以外にNo.6の森永製菓、森永マミーのハイチュウアソート94g、客単価172円、No.12の不二家、ルック(ハニーア・ラ・モード)12粒、客単価124円があるが、カバー率はそれぞれ57.9%、42.1%であり、67.7%は高いカバー率であるといえよう。ちなみに、今週の全新製品の中で、初登場でカバー率が最も高かったのは、飲料の花王、ヘルシア緑茶まろやか350ml、客単価186円であり、カバー率は80.5%である。

   菓子No.5は明治製菓、ベストスリー袋250g、客単価183円、カバー率61.5%、No.7は名糖産業、アルファベットチョコレート275g、客単価166円、カバー率41.5%、No.8はカルビー、じゃがりこコーンポタージュ味58g、客単価166円、カバー率91.3%、No.9は江崎グリコ、ポッキーチョコレート36g×2袋、客単価150円、カバー率89.2%、そして、No.10も江崎グリコ、メンズポッキー36g×袋、客単価136円、カバー率87.7%である。以上が今週の菓子ベスト10である。

   それにしても、今週はポッキーの新製品が菓子の上位を占め、No.1、No.9、No.10、そして、No.11にもポッキーチョコレート<10袋>145g、客単価128円、カバー率70.8%が入っており、いずれもカバー率が高く、各食品スーパーマーケットから注目度が高い新製品といえよう。

   菓子はこのように、最重点商品を中心に特定顧客層ごとに細分化した市場を次々に作ってゆく傾向があり、その意味で、PI値という全体客数で割った指標で見て判断するよりも、PPIという特定顧客の客数で割った指標で判断し、初回購買とリピート購買を見ながら、特定顧客層の中で、どこまで初回購買が進み、認知され、さらに、その顧客がリピートを激しく繰り返しているかを見ながらマーチャンダイジングを強化してゆくことがポイントであるといえよう。その意味で、菓子はCRM(FSP)データにもとづくマーチャンダイジングの仕組みづくりが今後の決め手となろう。

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October 19, 2007

ライフコーポレーション、中間決算2008、増収増益の好決算!

   ライフコーポレーションが10/15、2008年2月期の中間決算を公表した。昨年度の中間決算は減損損失が発生し、当期純利益が赤字となったが、今期は減損損失も一段落し、大幅な増益となる増収増益の好決算となった。営業収益は2,170.07億円(104.3%)、営業利益 48.21億円(109.7%、営業収益比2.22%)、経常利益 45.51億円(110.8%:営業収益比2.09%)、当期純利益23.03億円(前期は赤字:営業収益比1.06%)であり、特に利益がほぼ2桁の増益となる好決算であった。

   この好調な決算を受けて、借入金の返済も進んでおり、この中間期には長短借入金が昨年の744.51億円から660.45億円へと約84.06億円削減されており、本決算の706.16億円と比べても45.71億円削減され、借入金の削減が確実に進んでいる。ただ、まだ、自己資本比率は23.5%と依然として厳しい状況にあり、借入金の総資本に占める比率も42.5%と高い水準であるが、今後、この好調な決算が続けば、5年以内に財務の健全化がなされるものといえ、今後、数年間の経営改革が重要なポイントといえよう。

   現在、ライフコーポレーションは2005年度を初年度とする第二次中期3ケ年計画を実行しており、その中で、15の改革を掲げ、これらの経営改革を着実に進めている最中である。ちなみに、その15の改革とは、①スクラップ&ビルドの改革、②店舗の改革、③売場の改革、④商品の改革、⑤ロスの改革、⑥作業の改革、⑦物流の改革、⑧情報の改革、⑨販促の改革、⑩店舗マネジメントの改革、⑪組織と人員の改革、⑫人事と教育の改革、⑬CSの改革、⑭コストの改革、⑮財務の改革である。これらの改革を通じての当初の経営目標は売上高4,000億円、経常利益80億円、経常利益率2.0%であったが、この数字は前年度の2007年2月期に達成しており、この中間期の決算結果を見ても、2年連続で達成することは確実であり、現在、来年度からはじまる第三次中期3ケ年計画を策定中であるという。

   ライフコーポレーションの今期の新店であるが、5月に相模原若松店(神奈川県)を出店したのみであるが、この11月には長田店(兵庫県神戸市)、その後、大森中店(東京都大田区)、扇大橋駅前店(東京都足立区)の4店舗を出店する予定である。また、既存店の改装も関目店、北野田店、学園前店、市川国分店など6店舗を改装しており、これらに加え、ポイントカードの導入等が寄与し、営業収益は104.5%となった。特に、既存店の売上も101.9%と増加しており、これが増益にも貢献したといえよう。ちなみに、ライフコーポレーションの部門別の売上構成比と粗利率であるが、衣料品(7.8%、37.3%)、生活関連用品(9.3%、26.8%)と約17%が非食品であるが、食品部門は、農産(12.1%、20.4%)、水産(8.3%、28.2%)、畜産(8.6%、25.7%)、惣菜(9.4%、38.3%)、加工・日配(41.4%、23.2%)であり、惣菜が農産についで売上構成比が高く、粗利はNo.1部門である。

   上記に見るように、営業面ではライフコーポレーションは確実に数字が改善しており、今後はいかに財務面の改善につなげてゆくかが課題といえよう。その財務面の資産の状況であるが、特に最大の資産である出店にかかわる資産である建物は356.00億円(昨年368.13億円)、土地237.62億円(昨年225.16億円)、差入保証金377.87億円(昨年408.44億円)と合計971.49億円(昨年1,001.73億円)と約30億円削減されているが、総資産に占める割合は依然として高水準の62.53%であり、全店が196店舗であるので、1店舗当り4.95億円である。これは総資産に占める割合が62.53%であるので、自己資本比率23.5%ではまかないきれない構造となっており、現段階では借入金比率42.5%でまかなっている構造である。したがって、現段階でいっきに成長路線をとるには財務的には無理があるが、現在の好調な収益状況をもとに財務的な改善をはかってゆくことが、当面の経営における最優先課題といえよう。

   このように、この中間決算のライフコーポレーションの決算結果を見ると、経営改革が順調に進み始めたといえ、いっきに高成長をはかることは現段階では財務的に厳しい面はあるが、15の改革を着実にすすめたことにより、収益性が増しており、財務状況も好転しつつあるといえる。今後、数年では難しいといえるが、5年、10年のスパン見ると財務も確実に健全化してゆくことが予想される。ライフコーポレーションが現在策定している次の中期3ケ年計画がどのような内容になるか注目である。

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October 18, 2007

食品スーパーマーケット、大型店のレイアウトを考えて見る!

   ここ最近の食品スーパーマーケットの新規出店はひところのスーパーセンターの全盛の時代が過ぎ、NSC業態での出店へと大ききく移りつつある。しかも、売場面積が400坪、500坪から、600坪、700坪へと一回り大きくなり、酒、デリ、インストアベイカリーが充実しつつあるといえる。ただ、これら600坪、700坪のNSCの食品スーパーマーケットの売場を見ると、せっかく600坪、700坪に店舗を拡大したのに、300坪、400坪時代の生鮮、惣菜強化型の拡大版の売場をつくってしまったり、青果ゾーンを日配の冷蔵什器も含めて広く取りすぎ、全体のバランスを崩してしまったりするケースがある。そこで、ここでは、600坪、700坪に売場拡大をした時にどのようなことがポイントなるかを実際のケースをもとに考えてみたい。

   先日、たまたまあるNSCの食品スーパーマーケットの売場を見る機会があった。売場はざっと見た感じ700坪ぐらいだったかと思う。店舗に入ってすぐ気になったのは、青果売場の平台の小ささだった。あれっと思ったが、通常の食品スーパーマーケットでは横に8尺2本、あるいは、8尺+4尺の横長の平台を縦に配置してゆくが、通路幅を狭くとったせいか、横に十分に平台がとれず、縦長方形の平台を多用していた点である。これはこれでひとつの方法だが、約700坪という店舗面積があるのであれば、青果の平台はしっかり客動線にぶつける形で横長の方がPI値があがるのではと思った。

   変に思って、まっすぐ進んでゆき、鮮魚売場にいった。ここは平台、セミ多段を多用し、訴求力のある充実した売場ができあがっていた。この店舗で最も力を入れて、売場づくりがなされていたと思う。この店舗の強さは鮮魚にあると見えた。鮮魚強化型のレイアウトである。そして、そのまま進んでゆくと、精肉に続くが、ここで、また、あれっと思った。生鮮の主通路が鮮魚と精肉だけで埋められており、しかも、その向い側はすべて、平台が配置されるという鮮魚、精肉超強化型のレイアウトとなっていたことである。約700坪で生鮮通路側すべてが鮮魚、精肉等の冷蔵平台で埋まっているので、当然、グロサリーエンドは生鮮側には顔を出せなくなり、平台の内側に配置されるというレイアウトとなっている。この瞬間にグロサリーの訴求力が下がり、700坪という店舗面積を充分にいかすことができなくなり、グロサリーのPI値がさがってしまう。

   そして、生鮮から90度折れて、ここから出口まで壁面一杯にデリ、インストアベイカリーが展開されていた。あれ、日配はどこにいったのかと探してみると、何と惣菜の平台を挟んだ内側に冷蔵什器が2列、冷凍食品が1列、酒が1列と内側のかなりの面積をとって展開されていた。これで、店頭の青果の通路幅を狭めた理由が理解できた。青果側の面積を狭め、惣菜側の内側に日配、冷凍食品、酒の冷蔵、冷凍什器を入れ込むためのやむをえない方法であったようだ。ただ、これにより、グロサリーも圧迫を受け、しかも、生鮮エンドへの訴求ができず、充分な品揃えと演出ができない売り場となってしまっていた。

   本来、300坪、400坪から600坪、700坪に店舗面積が拡大した場合、何を強化するかであるが、ひとつは、新たな強化商品である酒と今後食品スーパーマーケットの中核商品となるデリである。そして、既存の商品群の中では、日配の壁面展開を実現することと、生鮮側へのグロサリーエンドを増やすことである。これらは600坪、700坪になってはじめて充分に可能なこととなり、これによって、食品スーパーマーケットとしてバランスのよい、イコール、顧客の食生活をバランスよく満たす売場ができあがるのである。

   そして、このようなバランスをとったレイアウトを作ったとき、金額PI値、PI値、そして、粗利PI値で見ても左右対称、上下対象、斜め対象のシンメトリーのレイアウトができあがり、顧客の回遊性が最高となり、600坪、700坪でも最短距離で買い物が可能なショートタイムショッピングが実現することとなる。しかも、店舗の作業性も格段とよくなり、オペレーションコスト、ロスも削減されるレイアウトとなる。

   どうも今回、たまたま見たNSCの店舗はせっかく700坪の店舗面積があるのに、生鮮、惣菜を無理に強化し過ぎてしまい、700坪という食品スーパーマーケットとしては理想に使い売場面積が充分にいかされず、バランスを欠いたレイアウトとなってしまっていたように感じた。食品スーパーマーケットはいまや、600坪、700坪タイプが標準となりつつあり、300坪、400坪から切り替えるときにはこのような点をおさえてレイアウトをつくってゆくことがポイントであると思う。

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October 17, 2007

マルエツ、2008年2月期中間決算、復活のきざし!

   マルエツが10/10、2008年2月期の中間決算を公表した。マルエツは2005年度における大幅な当期利益の赤字及び、2006年度の創業以来初の営業赤字に転落という状況を打開すべく、経営改善に取り組んでいたが、この中間決算は、営業収益1,672.99億円(101.7%)、営業利益34.27億円(147.4%:営業収益比2.04%)、経常利益32.44億円(155.8%、営業収益比1.93%)、当期純利益15.61億円(89.4%:営業収益比0.93%)と当期純利益は減損損失15.58億円が発生し、減益となったが、営業、経常段階では増収増益の好決算であった。特に、営業利益が大幅に改善し、営業収益比も2.04%と堅調な数字となった。

   営業収益が101.7%にとどまった要因は、新店が港南ワールドシティ店(東京都)の1店舗のみであり、子会社においてもポロロッカの東池袋店(東京都)の1店舗のみであり、新規出店が少なかったためである。利益は順調に回復してきているが、成長の源泉である新店開発がまだまだ財務面の問題等もあり、軌道にのってきていないためであるといえる。この結果、現時点でマルエツ本体としては192店舗、グループ全体としては239店舗となった。新店に関してはこのように厳しい状況がつづいているが、既存店に関しては、マルエツ34店舗、サンデーマート1店舗、ポロロッカ2店舗の改装を行った他、1年間52週毎の一番の売れ筋商品を店舗、本社が一体となり拡販する体制をつくり、生鮮、惣菜は昨対103.3%となる好調な数字をキープしており、新店の出店不足をカバーし、全体としては101.7%となった。

   営業収益はこのように既存店が健闘したが、新店が少なかったため101.7%とわずかな伸びにとどまったが、営業利益は147.4%と大幅に改善した。これは、商品売買から得られる売上総利益が昨年の27.2%から27.6%へと0.4ポイント改善し、不動産等の営業収入も1.9%から2.0%へと0.1ポイント改善し、結果、営業総利益が昨年の29.1%から29.6%へと大きく改善したことによる。さらに、販売費および一般管理費が昨年の27.7%から27.5%へと0.2ポイント下がっており、差引き、営業利益が1.4%から2.1%へと大幅に改善したためである。営業収益は伸び悩んだが、粗利、経費の改善により、収益性が高まったといえ、この2.1%は当初目標の2.0%を越え、収益の改善基調が鮮明であるといえよう。

   この好調な決算内容を受けて、財務面でも改善が見られ、自己資本比率が昨年の32.0%、2007年2月期の本決算時の34.5%に対し、36.8%と改善されており、この3年間の推移を見ても33.4%、32.0%、36.8%と改善傾向が鮮明である。ただ、自己資本比率36.8%は食品スーパーマーケット業界ではまだまだ低く、今後、一層の財務体質の改善が必要ではあるが、好決算、財務改善という善循環のサイクルとなっており、良い流れであるといえよう。実際、自己資本比率に影響を与える負債の主要項目である借入の状況を見てみると、昨年は長短借入金等が401.77億円であったが、今期は312.53億円と約100億円削減されており、総資産に占める割合は32.2%から26.3%へと大幅に改善している。

   これを受けて、マルエツは10/10、この中間決算の公表と同時に2009年度までの2ケ年間限定の新中期経営計画、キャロフィプランを公表している。これは、2008年2月期の2.1%という営業利益目標が、この中間決算で達成されたため、前倒しで達成する目処がつき、新たな2009年度を最終年度とする2年間の中期経営計画を策定したということである。

   主な骨子は、2009年2月期において、営業収益3,430.00億円(前年比102.7%)、営業利益85.00億円(前年比106.3%:営業収益比2.47%)、経常利益80.00億円(前年比106.7%:営業収益比2.33%)、当期純利益52.00億円(前年比83.9%:営業収益比1.51%)を達成することである。その具体策として、競争優位性の確立、インフラ整備とローコスト化の推進、人と組織の活性化、マネジメント力の強化を掲げており、特に、課題の新規出店に関しては300坪タイプの都市型と600坪タイプの郊外型をプロトタイプとして推進し、早期投資回収ができる体制を構築するという。

   このようにこのマルエツの今期の中間決算は今後のマルエツ復活に向けての幸先のよい好決算となったといえよう。今回、新たに策定した新中期経営計画、キャロフィプランの実現も充分達成可能な現実的な案といえ、今期決算はもちろん、今後のマルエツの動向が注目されるところである。ただ、課題としては依然として食品スーパーマーケットの成長の源泉である新店開発への取組が残されており、新店開発をささえる財務体質の一層の改善、この中期経営計画で掲げた300坪タイプの都市型と600坪タイプの郊外型をプロトタイプとしての開発が急務といえよう。今後のマルエツの新店開発に注目したい。

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October 16, 2007

CFSコーポレーション、イオンと激突、出資比率15.01%の意義!

   10/8の日経MJに、「イオン青天の霹靂(へきれき)」、「CFSとアインファーマシーズ統合」、「緩やかな連携裏目、委任状争奪戦に発展も」という見出しの記事が大きく掲載された。これ以外にも、関連記事として、「業績不振「名門」走らす、CFS価格戦略でつまづく」、さらには、関係者のインタビュー記事も掲載され、その見出しでは「岡田社長、株価低い現状、統合は不利」、「石田・大谷両社長、統合効果、理解してもらう」という記事である。実際、10/5午前にイオンの岡田社長が臨んだCFSの役員会でアインファーマシーズとの統合議案が提出され、岡田社長は反対意見を述べたが、採決は1対8となり、可決されたといい、イオン抜きの経営統合が強行されたという。今後、イオンが反対を貫くには株主総会での過半数の賛成を得る必要があるが、15.01%の現状の出資比率では、かなり厳しいものがあり、イオンの意向とは反対の経営統合が実現する可能性が高く、今後のイオンのドラックストア戦略に大きな影響を与えるのは必至の情勢といえよう。

   ここで、現状を整理しておくと、2008年4月を目処に業界第7位のCFSコーポレーション(年商約1,400億円)とアインファーマシーズ(年商約1,000億円)の2社が持ち株会社を設立し、経営統合するということである。その結果、年商が約2,400億円となり、マツモトキヨシの年商約3,500億円につぐ、業界第2位となる。ちなみに、第3位はスギ薬局の約2,200億円、第4位はカワチ薬局の約2,000億円、第5位はサンドラックの約2,000億円、第6位はツルハホールディングスの約1,700億円である。

   今回の経営統合がCFSの筆頭株主のイオン抜きに進んだ背景には出資比率が大きく影響していたといえよう。イオンは見出しにもあるように「ゆるやかな連携」が経営戦略の考え方の根幹にあり、運命共同体的な連携を好まず、関係企業の自主性を尊重し、経営の自由を保証してきたといえる。そのため、経営の支配度を示す資本構成比は15%前後までにとどめ、資本提携よりも、業務提携に主眼を置き、経営よりも営業面の支援にウエィトがおかれた内容であったといえる。今回のCFSコーポレーションにおいても、出資比率は15.01%であり、連結対象となる20.0%以上、重要事項の拒否権を持てる1/3以上、経営権を掌握する1/2以上にまでは踏み込むことがなく、一大株主という位置で業務提携を進めてきたといえる。実際、現在のCFSコーポレーションの株主構成を見てみると、第1位イオン15.01%、第2位イシダ5.86%、第3位CFSコーポレーション共栄会4.00%、第4位スルガ銀行3.74%という状況である。

   また、CFSコーポレーションの役員構成を見ると、全取締役9名の中で、イオンの岡田社長も取締役相談役として名を連ねているが、今回の役員会では、1対8という大差でのアインファーマシーズとの経営統合の承認であり、イオンの意向に反する経営戦略の議案を撤回することができなかったといえ、これは、まさに、15.01%の出資比率が大きく影響したといえよう。

   現在、イオンはドラックストア戦略としてはウェルシアグループをつくり、総年商では約6,000億円というマツモトキヨシの約3,500億円を上回る規模ではあるが、今回のCFSコーポレーションと同様の出資比率の低い緩やかな連携のグループとなっており、今後、今回のようなケースが各社で起こらないとはいえず、ウエルシアグループそのものの戦略、特に、各社への出資比率の見直しは必至であるといえ、イオンにとっても緩やかな連携という各社との関係を見なおす時期に来たといえよう。

   各企業が業績が好調でお互いが伸びている時には、ゆるやかな連携は相乗効果をもたらし、絶大な効果を生むが、ひとたび、どちらか、あるいは双方が経営不振に落ちいった場合にはゆるやかな連携は裏目に出ることがあり、その時には、ゆるやかな連携を解消するか、逆に、思い切って、出資比率を引き上げ、1/3以上、1/2以上にいつでも踏み込む決断が待ったなしで必要となる。

   今後、イオンとしては、CFSコーポレーションとアインファーマシ-ズとの経営統合を阻止するためには、すでに1対8で役員会で可決されたため、CFSコーポレーションの来るべき株主総会において、1/2以上の株主からの賛同を得ざるをえなくなり、委任状争奪戦を繰り広げるか、TOB等により、出資比率を引き上げるかの選択が迫られたといえ、イオンの次の一手が大きなポイントなろう。今後のイオンの動向に注目である。

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October 15, 2007

オオゼキ、2008年2月期中間決算、増収増益、無借金経営へ!

   オオゼキが10/10、2008年2月期の中間決算を公表した。ここ最近新店がなかったため、売上は堅調な伸びであったが、利益は大きく伸び、増収増益の好決算であった。この好決算を受け、借入金も返済し、無借金経営となり、自己資本比率も76.8%、昨年の73.7%、今年2月期の決算時の73.7%、さらには、ここ数年の数字と比べても最高の数字となり、財務面でも好決算となった。実際の決算数字であるが、売上高325.84億円(105.0%)、営業利益23.91億円(108.6%:売上対比7.3%)、経常利益24.32億円(109.8%:売上対比7.4%)、当期純利益14.25億円(109.2%:売上対比4.3%)という結果であった。

   売上が伸び悩んでいる背景には、新店が思うように出店できていないことにある。オオゼキの最新店舗は昨年6/6の戸越公園店であり、ここ1年以上新店がない状況がつづいており、現在、既存店に力を注がざるをえない状況である。ただ、既存店の売上高は、客数(101.6%)、客単価(101.6%)となり、昨対103.2%の実績となり、極めて好調な状況である。仮にこれに新店が加われば、2桁の増収は優に可能な状況であり、新店の開発が今後の成長のためには待たれるところである。

   オオゼキは新店開発については、「本年6 月より、店舗開発担当者を、兼任から専任へと変更いたしました。早期出店が見込める入替出店、その他新築案件等交渉中の案件は保有しており、また、日々の新規情報にも迅速に対応しておりますが、現段階においての既契約物件はありません。契約の進捗状況については、今後とも適時お知らせしてまいります。」ということであるので、新店が出せない状況ではなく、良い物件が見つからない状況にあるといえる。ただ、これを見る限り、現時点で契約物件がないということでもあり、しばらくは、新店がない状況が続きそうである。

   さて、オオゼキの売上、利益の状況であるが、商品売買から得られる売上総利益は24.0%から24.3%へと0.3ポイント上昇している。ただ、不動産賃貸収入等は0.1ポイント下がったので、結果、営業総利益は、25.2%から25.4%へと0.2ポイントの上昇であったが、粗利率が昨年と比べ上昇した。これに対し、販売費及び一般管理費は18.1%と昨年と変わらず、ローコスト経営を維持したため、営業利益は差引き、7.1%から7.3%へと上昇し、売上高の105.0%と相まって、営業利益が108.6%と好決算となった。経費比率18.1%は食品スーパーマーケット業界でも屈指の数字であり、オオゼキの強さの源泉といえよう。

    一方、財務面の方であるが、何といっても自己資本比率が76.8%と上昇したことが大きく、ここ数年の推移を見ても、70.7%、73.9%、74.8%、76.8%と年々上昇しており、財務体質が格段と好転しているといえよう。特に、今期は昨年の唯一の借入金であった3.36億円の1年以内返済予定の長期借入金を全額返済しており、これで無借金経営となり、極めて健全な財務状況となった。当然、新規出店もなかったことにより、出店にかかわる資産である建物36.45億円(39.32億円)、土地85.11億円(85.11億円)、長期差入保証金35.84億円(36.50億円)と合計157.40億円(160.93億円)と97.8%へと減少しており、総資産に占める割合は53.6%である。
ちなみに、オオゼキが現在26店舗であるので、1店舗当りの出店にかかわる資産は6.05億円となり、これは食品スーパーマーケットとしてはかなり大きい資産といえる。店舗面積は約200坪平均と小さいが、やはり、首都圏という立地上、高コストな出店にならざるをえない状況を表しているといえよう。オオゼキはこの状況を年間坪売上約1,200万円でカバーしており、首都圏の食品スーパーマーケットは出店コストがかかるがゆえに、坪売上をいかに高くできるかが、高収益の源泉であるこがわかる。

   このように今期の中間決算におけるオオゼキは増収増益、既存店も103.2%と好調な決算であり、しかも、今期、借入金を全額返済し、無借金経営となり、自己資本比率も76.8%となるなど、財務面でも大きく改善が進んだ。残る課題は、新規出店に絞られたといえ、いつ、オオゼキが新規出店を行うかがポイントであるといえる。食品スーパーマーケットの成長は新規出店が生命線であり、ここは是非、オオゼキの中長期的な出店戦略の立案、公表が欲しいところである。

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October 14, 2007

日経MJ、10/12、新製品週間ランキング、客単価高水準!

   残暑も終わり、気温が下がりはじめ、やっと肌寒い日々となり、秋から冬への季節が訪れようとしている。日経MJ、新製品ランキングもここへきて、すっかり、ランキングが様変わりし、季節特有の新製品が上位を占めはじめた。今週、10/12のランキングを見ると、客単価Cクラスの200円(1人当り0.2円)を越える新製品がもっとも多かった部門は家庭用品の7品であった。ついで、その他食品(日配、食品、加工肉等)の6品、同じく菓子の6品、そして、飲料の4品、冷凍食品の3品であり、合計26品であった。

   また、今週の全新製品の中で最高の客単価を達成した新製品は家庭用品のマックスファクター、SK-Ⅱサインズトリートメントトータリティー80g、客単価1,503円(1人当り1.503円)であった。ただ、平均単価は12,850円と平均単価も全新製品の中でNo.1であり、平均単価200円の食品スーパーマーケットで定番化するには勇気のいる商品である。実際、今回の対象33チェーン193店舗の食品スーパーマーケットでのカバー率は27.2%であり、客数の多い店舗のみに導入されている新製品といえよう。

   これについで、今週No.2となった新製品はその他食品でNo.1となった明治乳業、ブルガリアヨーグルトB81そのままでプレーン500g、客単価886円であり、先週比189円と絶好調である。しかも、カバー率が今週の全新製品の中でNo.1の97.4%であり、ほぼ、全対象チェーンにいきわたっており、関心の高さを示しているといえよう。平均単価も153円から154円とあがっており、特売が強まったわけではないので、886円(1人当り0.886円)はきわめて高い水準にあるといえよう。今週はこの2品が客単価Aクラスの500円を越えた新製品であり、特に、ブルガリアヨーグルトそのままは注目の新製品である。

   これらについで、客単価Bクラスの300円を超える新製品を見てみると、全部で5品ある。トップは冷凍食品の味の素、エビシューマイ12個入袋168g、客単価486円であり、先週比130円アップ、カバー率も87.2%を越えた。8/22登場の新製品であり、2ケ月たった現在でもトップを占めており、注目である。ただ、平均単価が先週の164円から159円と下がっており、特売の数字がかなり加味されての底上げがあり、来週以降、どの辺で落ちつくかがポイントであろう。ついで、その他食品のネスレ日本、ネスカフェゴールドブレンド40周年記念プレミアムパック100g+40gであり、客単価453円である。カバー率がまだ23.6%と低いので、今後、カバー率があがってきた時にどのくらいの数字で落ちつくかがポイントであるが、今週は高水準の客単価を維持している。

   そして、家庭用品のNo.2となった資生堂、TSUBAKIゴールデンリペア誕生セット(トリートメント付)220ml+220ml+120g、客単価350円であり、この新製品はNo.3にTSUBAKIゴールデンリペアシャンプー550mlが客単価291円、No.6にもTSUBAKIゴールデンリペアコンディショナー550mlが客単価220円で入っており、TSUBAKIブランドは家庭用品の中ではもちろん、新製品全体としても注目の新製品であるといえよう。特に、家庭用品としては、カバー率が68.2%、87.2%、84.6%と異常に高く、各食品スーパーマーケットも積極的に定番化しており、今後の動向が気になるところである。

   さらに、客単価300円以上のBクラスの新製品を見てみると、飲料の先週3位であったキリンビバレッジ、午後の紅茶スペシャル茶葉2倍ミルクティ-<ウバ100%>460mlが客単価331円でNo.1となった。先週比84円アップであり、今週初登場でNo.2に入ったサントリー、リプトンシフォンミルクティー500mlペットボトル、客単価240円を大きく引き離しており、どこまで客単価がアップするかが注目である。そして、もう1品、その他食品のエバラ食品工業、おいしいキムチボトル400g、客単価322円が客単価Bクラスの300円以上に入った。カバー率はまだ、45.1%と低いが、先週比91円アップのランキングも4位から3位へとワンランクアップしており、注目である。

   残念ながら、菓子の新製品は1品も客単価300円を越えた新製品がなかったが、ランキングがめまぐるしく変わっており、No.1は先週6位からランクアップしたネスレコンフェクショナリー、キットカットミニ15枚であり、客単価は240円であった。ついで、初登場でNo.2となった江崎グリコ、ポッキー<極細>36g×2袋、客単価226円、No.3も初登場のネスレコンフェクショナリー、キットカットミニキャラメル味15枚、客単価217円、No.4は先週96位から急上昇したカルビー、かっぱえびせん青じそ風味80gが客単価215円で入り、菓子はランキングが激しく変わっている。

   このように、今週の新製品ランキングは全体的に高水準の客単価となっており、500円以上のAクラスが2品、300円以上のBクラスが5品、200円以上のCクラスが19品と計26品が客単価Cクラス以上となった。特にCクラスが急激に増えつつあり、新製品を積極的に売場に入れ、活性化を図りやすい時期となったといえよう。また、客単価Cクラスの200円までには満たなかったが、190円、180円台の新製品も10品あり、今後、どこまで客単価を伸ばすか、ここ数週間の新製品の動向には注目である。

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October 13, 2007

マックスバリュ西日本、中間決算、増収増益、過去最高益!

   マックスバリュ西日本が2008年2月期の中間決算を10/4公表した。増収増益の好決算であり、特に、営業利益、経常利益、当期純利益では過去最高益となる好決算であった。また、この好決算を受けて、借入金の返済も進んでおり、堅固な財務体質が築かれつつあり、今後の四国、大阪方面への新規出店体制が着々と整いつつあるといえる。この中間決算の営業収益であるが、951.41億円 (105.7%)、営業利益35.02億円 ( 108.5%:営業収益比3.68%)、経常利益36.62億円 (108.0%:営業収益比3.84%)、当期純利益19.28億円 ( 137.2:営業収益比2.02%)と増収増益、特に当期純利益は大幅な増益となった。また、自己資本比率も47.3%と、今期の本決算の48.0はやや下回ったが、昨年の44.2%を大きく改善しており、財務体質も着実に改善している。

   この中間期にマックスバリュ中部は、4店舗、丸亀城南店・山崎店・東大和店・西宮上田店の新規出店を果たしている。特に、丸亀城南店は昨年からはじまった四国エリア、香川県への出店であり、四国2号店となる店舗である。四国は今後、マックスバリュ西日本に加え、岡山の大黒天物産、広島のハローズも新規出店戦略を表明し、出店がはじまっており、地元企業を巻き込んでの激しい競合状況となると予想される。

   また、西宮上田店は阪神エリアへの新規出店であり、今後、四国と阪神両にらみのドミナント展開の新規出店が毎年2桁のペースでつづいてゆくことが計画されており、この中間期の営業収益は105.7%であったが、今後、成長性もより、増してくるといえよう。しかも、今回、これらの新規出店等に関する投資額16.83億円は、すべて自己資金でまかなっており、借入金に依存しない堅固な財務体質も構築しつつあある。

   実際、今期の借入金の状況を見てみると、短期借入金が昨年の24.24億円から、今期はわずか0.24億円、長期借入金が昨年の6.46億円から6.22億円と合計、昨年の30.7億円から6.46億円と激減しており、これは好調な決算結果を受けて、借入金を返済したためである。その結果、総資産に占める割合は、わずか、1.11%であり、今期中に無借金経営が可能な状況になったといえよう。また出店にかわる資産である建物151.42億円(昨年146.77億円)、土地78.00億円(昨年82.5億円)、差入保証金61.05億円(昨年57.65億円)と合計290.47億円(昨年286.92億円)とわずかな増加であり、総資産に占める割合は50.09%であり、自己資本比率が47.3%であるので、ほぼ自己資本と同等であり、バランスがとれた財務構造といえよう。現在、マックスバリュ西日本は132店舗であり、1店舗あたり2.20億円であり、出店にかかわる資産もきわめて低い数字であり、ローコスト出店がなされており、今後の出店ラッシュに十分耐えるバランスのとれた財務体質に近づいているといよう。

   一方、この中間期のマックスバリュ西日本の利益と経費のバランスを見てみると、営業総利益は昨年の26.2%から26.5%へと改善しており、これは不動産収入等のその他の営業収入が上昇したわけではなく、商品売買から得られる売上総利益が改善されている数字であり、マーチャンダイジングも改善されつつあるといえる。ただ、販売費および一般管理費が昨年の22.5%から22.7%へと0.2ポイント上昇しており、気になるところではあるが、結果、営業利益は3.7%から3.8%へと01ポイント上昇しており、これが営業収益105.7%とあいまって、営業利益が中間期では過去最高の35.02億円 ( 108.5%)となった。

   また、この中間期のマックスバリュ西日本の商品構成比を見ると、特に顕著な伸びを示しているのが寿司・弁当・惣菜のデリであり、昨年は7.9%であったが、今期は8.3%であり、この点も粗利を押上げた要因といえよう。逆に生鮮No.1の構成比であった農産品が11.3%から10.8%、日配が昨年の9.6%から9.5%と若干下げ、PI値の高い部門の商品構成比が下がっていることが気になるところである。

   このように、この中間決算のマックスバリュ中部は増収増益、特に、利益が過去最高となる好決算であり、しかも、この好決算を受けて、財務構造が大きく改善しており、来るべき、大量出店による高成長路線の体制が着々とできつつあるといえる。今後のマックスバリュ西日本の四国、阪神エリアへの新規出店に注目したい。

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October 12, 2007

オークワ、中間決算、好決算、自己資本比率55.5%!

   オークワの2008年2月期の中間決算が10/2公表された。増収増益の好決算であり、特に、営業収益以上に営業利益、経常利益、当期純利益ともに大幅に増加しており、好収益の決算であった。営業収益は1,235.13億円(103.4%)と堅調な推移であったが、営業利益は35.25億円(108.3%:営業収益比2.85%)と好調であり、経常利益37.33億円(112.4%:営業収益比3.02%)、当期純利益20.17億円(115.5%:営業収益比1.63%)と2桁の伸びであった。また、自己資本比率も55.5%と、ここ最近では最高となった。ここ数年間の推移を見てみると、2007年2月期55.3%、2006年2月期55.0%、2005年2月期49.0%、2004年2月期49.2%と年々上昇しており、高収益が財務の改善に結びついているといえ、今後の積極的な新規出店をささえる財務体制が強固になりつつあるといえよう。

   ここ最近オークワは新たなビジネスモデルであるディスカウント業態のプライスカット業態の確立・拡大に力を入れており、この中間期にもプライスカット海南下津店、プライスカット和泉鶴山店、プライスカット御坊店の3店舗の新規出店をはじめ、既存店の6店舗を業態転換しており、現在、プライスカットは32店舗となり、この中間期決算の高収益へ大きく貢献しているという。また、今期は前期に子会社化したヒラマツの7店舗も加わり、このプライスカットを含め、食品スーパーマーケットとしては現在143店舗となった。

   オークワはIT化にも積極的であり、業界に先駆けてセルフレジも早くから導入をはかっており、現在22店舗で稼動している。電子棚札も半数近くの66店舗まで拡大しており、これらも高収益の源泉のひとつとの要因といえよう。また、リアリティのある画面で業界でも評判となったネットスーパーも2店舗拡大し、3店舗となるなど、新たな試みに次々に挑戦している。

   このような積極的な新業態開発、IT化などにより、既存店も100.8%と昨対をクリアーしており、新店の売上がそっくり成長へとつながっている。オークワのこの中間期の粗利、経費のバランスを見てみると、商品売買から得られる売上総利益は昨年の25.1%から25.3%へと、ディスカウント業態のプライスカットを積極的に出店し、既存店から業態転換したにもかかわらず0.2ポイント改善しており、さらに、不動産賃貸収入、その他の収入なども昨年の3.5%から3.6%へと0.1ポイント改善しており、結果、営業総利益は昨年の28.6%から28.9%と0.3ポイント改善した。一方、販売費及び一般管理費は昨年の25.8%から25.9%へと0.1ポイントの増加に抑えており、差引き、営業利益は昨年の2.8%から3.0%へと0.2ポイント増加し、営業収益の103.4%とあいまって、特に、利益面での増益が大きかったといえる。

   この好決算を受けて、財務面でも先のように、自己資本比率が55.5%とここ数年では最高の数字となったが、その要因を負債面と資産面から見てみると、負債面の長短借入金が昨年の266.66億円から238.37億円と特に長期借入金が25.13億円削減されており、総資産に占める割合は18.45%となった。また、資産面であるが、特に出店にかかわる資産である建物及び構築物は419.91億円(昨年440.91億円)、土地300.97億円(昨年302.13億円)、差入保証金152.41億円(昨年163.85億円)と合計873.29億円(昨年906.89億円)と総資産に占める割合は67.5%とかなりの割合を占めるが、昨対では96.2%と削減されており、資産の圧縮が進んでいる。また、全店143店舗で割ると、1店舗当り6.10億円であり、通常の食品スーパーマーケットと比べるとやや高めであるが、これはGMS等、出店にかかわる資産のかかる業態が多いためであるといえよう。そのため、出店にかかわる資産67.5%は自己資本比率の55.5%内ではおさまっていないことからも、今後、好調な財務状況を背景に、財務体質をさらに強固にするためにも、一層の借入金の返済と資産の圧縮が課題となろう。

   このように、この中間決算のオークワは増収増益、特に大幅な増収となり、好調な決算となった。この11月には愛知県への初の出店もひかえており、好調なプライスカット業態の積極的な出店も近畿圏ではさらに増えるものと予想されるが、これら積極的な新店開発を支える財務状況も好調な決算結果により確実に改善されつつある。今後のオークワの動向、特に、積極的な新店開発には注目である。

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October 11, 2007

イズミヤ、中間決算、増収減益、衣料品が伸び悩む!

   イズミヤが10/3、2008年2月期の中間決算を公表した。営業収益1,890.19億円(100.9%)、営業利益36.74億円(97.1%:営業収益比1.94%)、経常利益30.39億円(90.7%: 営業収益比1.60%)、当期純利益9.01億円(60.2%:営業収益比0.47%)と増収減益、増収幅もわずか100.9%と厳しい決算となった。ただ、注目された戦略業態のスーパーセンターは、「スーパーセンター各店が堅調に売上高を伸ばし」ということであるので、収益はともかく、売上に関しては、スーパーセンターの貢献が大きかったという。また、ここ最近、スーパーセンターの出店がストップしているが、来年春、6番目の店舗となる川辺稲井店(仮称)を和歌山県和歌山市に出店する予定であるといい、地元、オークワとスーパーセンターで激突することとなる。

   この中間決算の減益となった要因をイズミヤは、食品、住関連用品は比較的堅調であったが、7月の低温や天候不順の影響を受けて利益率の高い衣料品が苦戦したとのことである。イズミヤの衣食住の粗利率は25.8%であるが、衣料品は35.1%、食品は25.2%、住関連は22.6%であるので、衣料品の粗利率は他の部門よりも約10%高く、粗利貢献度は高いので、この売上が苦戦すると全体への影響が大きいといえよう。ちなみに、売上構成比と伸び率は、衣料品(18.1%、100.3%)、食品(57.5%、101.0%)、住関連(20.1%、100.8%)であるので、相乗積は衣料品6.35、食品14.49、住関連4.54となるので、何といっても食品の貢献度が大きいが、住関連よりも衣料品の方が貢献度は高く、衣料品が厳しいかったというこの中間では、粗利率に影響が出たものといえよう。

   今期、イズミヤはスーパーセンターこそ新規の出店がなかったが、食品スーパーマーケットに関しては積極的な出店を行っており、4月に細工谷店(大阪市天王寺区)、6月に玉造店(大阪市天王寺区)を同一幹線沿いに出店し、すでにこの幹線に出店している国分町店(大阪市天王寺区)と合わせて、幹線ドミナントを重視した出店を行っている。また、新たな新業態として、デイリーカナートイズミヤ平田店(大阪府茨木市)を「まるとく市場平田店」に転換し、サービス機能を削減して、EDLPを徹底的に追求するディスカウント業態へと改装した。今後、不振店対策として、すぐに閉店するのではなく、このまるとく市場への業態転換で起死回生を狙うことも選択肢となったといえよう。新業態まるとく市場の現状は堅調に推移しているといい、この11月には、デイリーカナート北助松店(大阪府泉大津市)を「まるとく市場」2号店として転換する予定であるという。

   一方、イズミヤの財務面をみると、自己資本比率は40.5%と前期の40.9%、前期の本決算時の40.2%と比べほぼ横ばいで推移しており、大きな変化はない。ただ、依然として有利子負債は1,032.01億円と1,000億円を越えており、総資産の39.17%と高水準である。出店にかかわる資産は建物及び構築物630.05億円(99.4%)と若干下がっている。これに対し、土地は899.5億円(104.0%)と今後の新規出店を見越してと思うが増加している。敷金及び保証金も304.21億円(102.1%)と若干増加し、合計1,833.76億円(102.0%)とわずかに上昇し、総資産の69.6%と高水準である。これはイズミヤが現在88店舗あるので、1店舗当り20.8億円とGMS業態が多いとはいえ、巨額の出店にかかわる資産といえる。店舗面積は現在、1店舗当り約2,000坪であるので、単純計算では約100万円の出店にかかわる資産であり、財務的には大きな負担といえ、出店そのものが、自己資本比率では相殺できず、借入に依存せざるをえない構造となっている。今後、スーパーセンターを戦略業態として進めてゆく上にも、これら財務面の改善も大きな経営課題といえよう。

   このようにイズミヤのスーパーセンターの売上は堅調に推移したが、GMS、食品スーパーマーケットが伸び悩んだといえ、売上は微増、利益に関しては粗利の最も高い衣料品が不振となり、減益となる厳しい決算となった。また、財務構造は前期、前期の本決算時と大きな変化はなく、依然厳しい状況が続き、有利子負債1,000億円をかかえ、出店にかわわる資産も高水準の状況であり、積極的な新規出店政策が打ち出しにくい構造が続いている。スーパーセンターに関しても、売上は堅調であったというが、利益貢献度がいまひとつ見えない状況であり、ここへきて、来春新規出店ということであるが、出店ぺースは落ちており、スーパーセンターがこのような厳しい財務状況の中でどのような貢献をするかが、みえにくいところである。スーパーセンターがイズミヤの真に戦略業態となりうるかいなかが、大きな経営課題といえ、今後のイズミヤのスーパーセンターの動向に注目したい。

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October 10, 2007

マックスバリュ東海、中間決算、飛躍へ向けての静かな決算!

   マックスバリュ東海が2008年2月期の中間決算を10/4公表した。今年度から、ジョイフル東海5店舗が連結になるなど、子会社が増えたため、連結決算も公表しているが、昨年との比較がないため、昨年は個別の中間決算の数字と比較してみる。売上高560.11億円(112.6%)、営業利益25.03億円(108.9%:売上比率4.46%)、経常利益26.12億円(112.6%:売上比率4.66%)、当期純利益12.95億円(93.6%:売上対比2.31%)と好調な決算であった。当期純利益が減少したのは、昨年は特別利益が計上されたためである。また個別についても、売上高530.85億円(106.7%)、営業利益25.99億円(113.1%:売上比率4.89%)、経常利益27.30億円(117.7%:売上比率5.14%)、当期純利益12.95億円(93.6%:売上対比2.43%)であり、好調な中間決算であったといえよう。

   マックスバリュ東海は今期は新店がなく、前期後半に出店した新店と既存店のみでの数字であり、既存店が100.8%と昨対をわずかではあるが、上回ったため、後半の新店分がそっくりオンした売上となり、個別での売上が106.7%の伸びとなった。後半は中期3ケ年計画にもとづいて、積極的な新店が展開される予定であり、子会社のジョイフル東海の5店舗も加わり、昨年の通期の53店舗から61店舗と店舗数が大幅に増える予想であり、業績はさらに向上するといえよう。今回の中期経営計画の最終年である2010年2月期には80店舗、年商1,500億円が目標であるので、今後、毎年10店舗づつの新規出店が計画されており、この中間決算はその意味で、来るべき飛躍へ向けての静かな決算となったといえよう。

   今期決算では、売上に関して、あまり大きな変化がなかったが、利益に関しては、会計基準を変更し、営業総利益と経費項目が大きく変わっている。営業総利益に関しては、実際の決算数値を見てみると、営業総利益が本決算時の29.9%から27.6%と2.3ポイントと大幅に減少しているが、商品売買から得られる売上総利益は25.9%から25.5%と04ポイントの減少に対し、商品売買以外のその他の営業収入が4.0%から2.1%へと大きく減少しており、これが営業総利益を大きく下げた要因である。その理由は、物流経費にあり、これまで配送業者の委託先に対する手数料を配送運搬費として、販売費に区分計上していた方法から、配送業務に対し受け取る仕入取引先からの施設利用料収入等により控除する方法に変更したことによる。したがって、経費が逆に削減されており、今期の経費比率を見ると、本決算時の25.5%から23.1%と大幅に減少している。

   また、経費に関しては、今期は減価償却費を定率法から定額法に変更し、かつ、耐用年数も使用実体に適応した経済的耐用年数に変更しており、減価償却費も1.78億円削減されており、経費項目が大幅に改善された。ただ、差引き、営業利益は本決算時の4.4%から、4.5%へとわずか1.0%の変更であり、全体としては、さほど大きくは変わっていないが、粗利を下げ、経費を下げ、キャッシュフローを生み出す構造となったといえる。

   一方、財務面に目を転じると、マックスバリュ東海は食品スーパーマーケット業界トップクラスの自己資本比率であり、今期も70.1%と限界に近い自己資本比率である。マックスバリュの経営目標のひとつは経常ROA10%が当面の目標数字であるが、経常ROA=自己資本比率×経常ROEであるので、自己資本比率が極めて高水準にあるので、今後は総資本の圧縮と経常利益の改善がポイントとなろう。そのためには、借入金に頼らず、総資本の大半を占める出店にかかわる資産をキャッシュフローで賄い、可能な限り、圧縮することである。

   この中間決算では、マックスバリュ東海の借入金は短期借入金5億円のみであり、課題は出店にかかわる資産である建物及び構築物90.82億円、土地54.61億円、差入保証金29.40億円の合計174.83億円、総資産の36.9%、1店舗当り3.06億円をさらに圧縮可能かいなかである。ここがさらに改善できれば、自己資本比率はさらに改善し、経常ROAの向上も期待できる。また、経常利益であるが、現在4.66%と食品スーパーマーケット業界の中でも高水準であるが、トップバリュの売上比率も上がりはじめ、マーチャンダイジングの改善も進みつつあり、改善はさらに進むといえよう。

   したがって、今後、これらの状況を踏まえて、この後半以降、2010年まで続く、大量の新規出店をいかにキャッシュフローの範囲内で賄い、かつ、可能な限り、出店にかかわる資産を圧縮し、しかも、高収益構造の店舗フォーマットでの展開ができるかにかかっているといえよう。その意味で、この後半以降の新店がどのようなマーチャンダイジング、収益と経費バランス、そして、出店にかかわる資産構造になるかがポイントといえよう。マックスバリュ東海の次の新店に注目である。

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October 09, 2007

ビックカメラで炊飯器を買う!

   我が家の炊飯器が古くなり、調子が悪くなったので炊飯器を買いに池袋に出かけた。この近辺で家電を購入する場合は、ほとんどが池袋だ。つい最近ヤマダ電機のLABIがオープンしたが、それ以前もビックカメラが地域一番店の品揃え、しかも安いとあって、私のパソコンを含め、家電に関してはビックカメラで買うことが多かった。今回はヤマダ電機のLABIができたこともあり、迷わず、池袋に出かけた。実は、今回、はじめて、池袋のヤマダ電機、LABIの家電売場に入ってみた。目的は炊飯器の購入であったので、5階にあがり、炊飯器売場に入ってみた。当然、ビックカメラにもゆく予定であったので、あまり予備知識もいれずに、売場で商品をじっくりと見てみた。

   ヤマダ電機のLABIとビックカメラは隣同士であり、ビックカメラの真横にヤマダ電機のLABIがビルを新築し、オープンしたものであり、直競合となっている。両店を渡り廊下でつないでしまった方がよいくらい、ほんのわずかな距離での競合である。ほとんどの消費者が、ここへ来ると、両方の売場を歩いて行き来し、交互に商品、特に値段を見比べながら、時には店員と値切り交渉をし、どちらか気にいった方で購入するという消費行動のパターンが定着しつつあるといえる。

   実際、ヤマダ電機、LABIの炊飯器の売場を見てみたが、POPはそれなりにあるが、棚に無造作に商品が並べられており、一見してはそれぞれの商品の特徴、違いがよくわからなかった。そこで、店員を呼び、炊飯器の説明をしてもらったのだが、どうも要領を得ず、逆に、こちらが質問しないと、それなりの答えが返ってこないので、どうしたものか悩んでしまった。それでも、テレビコマーシャルで気になっていた三菱の本炭釜の商品があったので、いろいろ聞いてみたが、落として割れた時は15,000円で釜を取り替えられるということはわかったが、どうもパッとしない説明であった。

   そこで、ビックカメラにいってみたが、まず、売場を見てびっくりした。客動線のはじめに最新の炊飯器、炭炊きIH炊飯ジャー 本炭釜を中心に高単価、付加価値の高い商品がプライスラインごとにプレゼンされており、最上段が約10万円台、下段が3万円から5万円台、そして、中断が7万円前後となっており、高付加価値では一歩抜きん出た三菱と東芝の商品を中心に売場ができあがっていた。そして、裏側に主に3万円以下の炊飯器が下限7,000円前後までびっしり品揃えされており、分り易く、選びやす売場が工夫されていた。

   今回は炊飯器を買いに来たので、この売り場を見て、どれを選ぶかを決めるため、先ほどは要領を得なかったので、ビックカメラで一番炊飯器に詳しい人を呼んでもらい、じっくり説明を受けた。その結果、大枠理解したことでは、高付加価値の方向としては、三菱は本炭釜を掲げ、炊きたての極致を追求しているのに対し、東芝は真空圧力焚きを掲げ、保温のおいしさを追及しているということであった。これはトレードオフであり、両方の極致を満たすことは難しいということで、ここで悩んでしまった。

   そして、我が家の生活シーンをいろいろ思い浮かべて、誰がいつどのように食事をしているか、特に85歳のお婆ちゃんがいつでもおいしくお米を食べられるにはどのような炊飯器がいいかなどなど、考えをめぐらした結果、炊きたてのおいしさよりも、保温のおいしさの方が勝り、今回は東芝の真空圧力焚きの真空圧力IH炊飯ジャーを購入することにした。

   その後、家に帰り、気になったので、ビックカメラとヤマダ電機のネットショッピングを調べてみた。当然、迷った三菱と東芝のラインアップを見てみたが、驚くことに、ビックカメラは三菱29品、東芝16品の計45品が購入可能であるが、ヤマダ電機は三菱3品、東芝2品の5品のみであり、しかも、三菱の高付加価値の最新の本炭釜は掲載されていない状況であり、炊飯器への力の入れようが、実際の売場でも、ネットでも一目瞭然であり、意外な発見であった。

   家電業界は激しい価格戦争が現在繰り広げられているのが実状ではあるが、こと、今回の池袋でのビックカメラとヤマダ電機のLABIの炊飯器の売場ではあるが、これほど、品揃えとプレゼンテーション、店員の説明能力に違いがあるとは創造していなかった。店に入る前は、どちらの店舗も品揃えは同じで、プレゼンテーションに創意工夫がこらされ、店員はソムリエのような豊富な知識と経験をもって応対し、違いは価格のみで、電卓で値切り競争が繰り広げられているのではと思っていた。ところが、価格はほぼ両店同じであり、どちらも他店よりも安くするといっているので、ここの差が打ち消されていた。奇妙なことに、価格競争の極致にいたったライバルが非価格競争を繰り広げざるをえない状況となり、こと、今回の炊飯器に関してはビックカメラに分があったという結果であったといえよう。

   それにしても炊飯器も奥が深く、今回の売場と品揃えと技術革新の状況を見ると価格競争の時代は終わり、付加価値の競争に入ったと実感できた。そして、付加価値競争の場合は価格という一次元の線形的な競争とはならず、2次元、3次元の競争となるため、必ずトレードオフが発生し、ある面では競争になるが、別の面では無競争となり、商品が選択されるということを身をもって体験した。次はそろそろパソコンを買い換える時期が近づいてきたので、今度はこの両店でパソコンをじっくり選んでみたい。

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October 08, 2007

食品スーパーマーケット新店情報、2007年9月度、西日本編!

   前回、食品スーパーマーケット新店情報、2007年9月度、東日本編を取上げたので、今回は西日本編を取上げてみたい。東日本編では北海道、東北、関東の新店を取上げたので、今回はそれ以外の地域について取上げてみる。ここへ来て気になるのは、本ブログでも取り上げたが、スーパーセンターを戦略業態として新規出店を積極的に押しすすめてきたベイシア、PLANT、イズミヤの新規のスーパーセンターの出店がとまったこと、食品スーパーマーケットでもオオゼキ、ダイイチ、北雄ラッキー等この1年間新規出店がない企業もあることである。既存店が昨対を超えることは稀な状況となった食品スーパーマーケット業界であるので、成長のためには新店は欠かすことはできず、新店戦略はこれまでも、今後も食品スーパーマーケットにとって重要な経営戦略といえる。

   さて、まず、西日本で新店といえば、ここ最近怒濤の出店を繰りひろげている大黒天物産が9/20、島根県松江市にディオ松江東店を出店した。ディオは大黒天物産の中では小商圏対応型の業態であり、店舗面積1,000平米から1,500平米の食品スーパーマーケットである。これに対して、ラ・ムーは、ドラックストア、ホームセンター、専門店等が併設され、商業集積の中心の核店舗として出店する大黒天物産のNSC業態という位置づけである。今回のディオ松江東店で48店舗目となる。今年に入って大黒天物産は、8/9ラ・ムー津山店、7/19ラ・ムー松山西店、6/28ラ・ムー八幡店、6/7ラ・ムー此花店、5/10ディオマート北畝店、4/19ラ・ムー伊予西条店、3/6ラ・ムー摂津店、2/6ラ・ムー大洲店、1/16ラ・ムー高松東店とラ・ムーを8店舗、ディオ、ディオマートを1店舗の合計10店舗を新規オープンしており、依然として急成長を維持している。今後、この怒濤の出店による高成長がどこまで続くかが注目である。

   マックスバリュ中部も9/22、愛知県名古屋市港区にマックスバリュ港十番店をオープンした。ホームセンターコーナンをはじめとする南十番町ショッピングプラザへの出店であり、カジュアル衣料、靴販売、生活雑貨などを併設したNSC業態での新規出店である。愛知県10店舗目、マックバリュ中部全体では67店舗目となる店舗である。店舗面積は約500坪、年商目標は17.5億円を目指すという。マックバリュ中部は、8/1マックスバリュ神田久志本店、4/18マックスバリュ垂水店をオープンし、さらに、この10/4にはマックスバリュ岐南店もオープンしているので、今年に入り、4店舗のオープンであり、順調に新規出店がなされており、堅調な成長である。

   また、平和堂が中国の湖南省長沙市へ湖南平和堂東塘店を9/29オープンした。これについては、以前、October 05, 2007の「平和堂、中間決算、連結、増収増益、個別、増収減益!」で詳細を解説しているので、それを参照して欲しい。平和堂は今後、これを機に国内よりも中国へのGMSの新規出店を重視するのではないかと予想される。

   同様な動きとして、イオンの海外での食品スーパーマーケットであるが、9/29にマレーシアのセランゴール州ペタリンジャヤにジャスコバンダーサンウェイ店がオープンした。マレーシア20店舗目のオープンであり、イオン、アジア、中国では50店舗となる記念すべき新店である。この店舗は地下2階、地上2階、直営店舗面積20,270平米(約6,000坪)のGMS業態での出店である。食品はオーガニック野菜の充実や魚介類の対面販売、寿司の強化など、安心安全、鮮度、出来立てをコンセプトに日本の食品スーパーマーケットとノウハウがふんだんに取り入れられているという。また、これに先立ち、9/28には同じマレーシアのセランゴール州の州都シャーアラム市に食品スーパーマーケット、コタ・ケムニン店をオープンしている。食品スーパーマーケットとしてはマレーシア3店舗の店舗であり、店舗面積691平米(約200坪)である。

   このように、今回、西日本の食品スーパーマーケットのこの9月度の新店を取上げてみたが、意外に少なく、上場食品スーパーマーケットでは大黒天物産、マックスバリュ中部に加え、海外ではあるが、新規出店した平和堂、イオンのみであり、気になるところである。ただ、逆に、平和堂、イオンに見るが如く、今後は日本国内での新規出店に加え、中国、アジアへの出店も食品スーパーマーケット各社にとっても視野に入りはじめたといえ、いよいよ、日本の食品スーパーマーケットも海外戦略を検討する段階になりつつあるといえよう。今後の国内の動きに加え、食品スーパーマーケット各社の海外の動きにも注目したい。

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October 07, 2007

イオンの中間決算を見る!

   日経新聞10/5にイオンの2008年2月期の中間決算の記事が掲載され、「イオン営業益18%減、米アパレルなど不振で、8月中間」という見出しで、内容は、イオンの業績が曲がり角を迎えているという記事であった。実際、イオンが10/4に公表した決算短信を見てみると、連結の営業収益は2兆5,251.54億円(107.7%)と増収となったが、営業利益が677.61億円(82.3%:営業収益比2.68%)と約18%減となった。経常利益は750.28億円(89.1%:営業収益比2.97%)、当期純利益は238.07億円(102.8%:0.94%)であり、経常利益は約10%、当期純利益は若干プラスとなったが、これを見ると、連結の営業利益が特に厳しい状況であったといえよう。ちなみに、個別の数字を見てみると、営業収益は1兆11.95億円(105.3%)、営業利益87.54億円(101.6%:営業収益比0.87%)、経常利益は183.67億円(120.9%:営業収益比1.83%)、当期純利益は136.16億円(1102.7%:1.35%)と昨対でみる限り堅調な伸びであり、連結企業が営業利益減少の要因であったことがわかる。

   イオンの連結決算と個別決算の数字を比較すると、営業収益は252.2%、営業利益は774.0%、経常利益は408.4%、当期純利益は174.8%であるので、特に、営業利益と経常利益の大半を連結企業が稼いでおり、今回の中間決算では連結企業の営業利益、経常利益が厳しい状況であったことがわかる。このように、現在のイオンは連結企業に、特に営業利益については頼るところが大きく、本体の営業収益比は昨対を超えたとはいえ、わずか0.87%であり、本業の収益の改善も今後の大きな経営課題といえよう。

   そこで、ここではイオンの中間決算の連結企業の営業利益が落ちた要因と本体の営業利益率が伸び悩んでいる要因を中心に見てみたい。また、イオンの自己資本比率は個別は45.0%であるが、連結では25.6%と低いのも気になるところである。

   まず、連結企業の営業利益の状況であるが、昨年は841.83億円であり、今期が750.28億円であるので、%では約18%であるが、金額では約100億円となる。そこで、特に、昨対と比べ、営業利益の減少が大きかった連結企業を見てみると、イオンストアーズ香港他約30億円減、ブルーグラス約8億円減、タルボット他約5億円減、イオンクレジット約30億円減、その他約25億円減であり、これら海外関係と金融関係が厳しい数字であったことがわかる。

   一方、本体の営業利益率については、売上総利益は25.9%、昨年は26.1%であったので、0.2ポイント減少したが、不動産収入等のその他収入が昨年の6.5%に比べ7.4%と0.9ポイントと大幅に増加し、結果、営業総利益が昨年の32.6%から33.3%と0.7ポイント改善した。ところが、販売費及び一般管理費が昨年の31.6%から32.4%と0.8ポイント上昇したため、差引き、営業利益は昨年の1.0%から0.9%へと減少した。営業収益が105.3%と増加したので、率のマイナスを金額でカバーしたが、営業利益が1.0%を切り、0.9%はかなり厳しい数字であるといえよう。特に、経費比率が上昇し、商品売買からえられる売上総利益が減少しているところは気になるところであり、これを不動産収入等の増収で賄っており、本体の商品力とマネジメント力に課題を残した中間決算であったといえよう。

   また、連結決算の自己資本比率25.6%と低い要因であるが、借入金および社債が1兆円を越え、昨対102.1%と増えており、これは総資産の28.5%となる。出店にかかわる資産である建物及び構築物7,576.36億円(昨対111.6%)、土地3,001.75億円(昨対110.1%)、差入保証金3,579.10億円(昨対105.8%)と増加しており、合計1兆4,157.21億円(昨対109.8%)と増加しており、総資産に占める比率は39.2%である。純資産は1兆2,183.24億円であるので、借入に依存せざるを得ない新規出店状況といえ、借入金および社債が1兆円を超えた現在、どこかで財務改善をはかり、自己資本比率を上昇させ、財務的にも安定的な成長可能な体制をつくることが求められるといえよう。

   このように、イオンのこの中間決算の数字を見ると、連結子会社の改善をはかることに加え、自己資本比率が25.6%という厳しい状況であり、1兆円を超えた借入金および社債の返済、出店コストの抑制等が急務のように思える。また、けっして本体の収益力も高いとはいえず、この中間決算をみる限り、低粗利、高コストとなりつつあり、小売業本体の粗利改善とコスト削減も課題であり、営業利益を連結子会社に頼るのではなく、本体としてもしっかり収益があがる小売業の原点の強化も大きな経営課題といえよう。次の本決算の本体の営業利益率が、粗利率の改善とコストの削減効果により、どこまで改善するかに注目したい。

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October 06, 2007

日経MJ、新製品週間ランキング、10/5、新製品ラッシュ!

   日経MJ新製品ランキングが10/5、公表された。ここ最近、秋の新製品が次々に登場しているが、今週はまさに、新製品ラッシュといえる状況であり、各部門とも初登場、ランキング入りの新製品が上位を占め、しかも、客単価もグッとひきあがり、Aランクの500円以上(1人当り0.5円)が4品、Bランクの300円以上が5品、Cランクの200円以上が14品、合計23品が高客単価となり、ここ数週間では最もアクティブに新製品が動いた週といえよう。

   このような中で最も注目すべき変動の激しかった部門はその他食品部門である。この部門には日配、食品、加工肉等、幅広い部門が入るが、No.1はちょうどテレビコマーシャルをはじめた明治乳業、ブルガリヤヨーグルトLB81そのままでプレーン500g、客単価Aクラスの697円(1人当り0.697円)である。9/27、初登場の新製品であり、「砂糖なしでもおいしい、そのままで」がキャッチフレーズであるが、すでにカバー率は92.8%であり、このPOS分析対象の33チェーン、193店舗の大半に導入されての数字であるので、きわめて高い客単価といえよう。No.2は先週28位のネスレ日本、ネスカフェゴールドブレンド40周年記念プレミアパック100g+40gであり、客単価502円である。No.3にも初登場の日本ネスレ、ネスカフェゴールドブレンド40周年記念プレミアパック150g+40gが、客単価235円で入っているが、カバー率が19.0%、4.6%と異常に低く、今後の数字がどの辺で落ち着くがポイントである。

   これについで、菓子部門も健闘している。No.1は先週同様、江崎グリコ、アーモンドプレミオ12粒であり、客単価Bランクの350円であり、カバー率も93.3%と安定した数字をキープしている。No.2は初登場の明治製菓の北海道チョコポテト53g、客単価329円であり、No.3には先週15位のカルビー、じゃがりこコーンポタージュ味58g、客単価328円が入り、菓子部門は上位3品が客単価300円以上のBランクの新製品が占めた。ここ最近では菓子部門は全体的に新製品の客単価が上がっており、今後、菓子部門の動向には注目である。

   飲料部門も今週は新製品ラッシュといえる。No.1からNo.3まで9/22初登場の新製品が独占し、ランクキングに入った。先週No.1の日本コカ・コーラ、爽健美茶オータムヴィーナス500mlペットボトルはNo.4となり、客単価は237円であった。これにかわりNo.1となったのが日本コカ・コーラ、ファンタ謎のフルーツ500mlペットボトル、客単価Bクラスの475円である。No.2にも日本コカ・コーラの一一膳一茶500mlペットボトル、客単価259円が入り、No.3にはキリンビバレッジ、午後の紅茶スペシャル茶葉2倍ミルクティー<ウバ100%>460mlが客単価247円で入った。飲料はここ最近めまぐるしく順位が変わっており、新製品もここへきて次々に登場している。

   今週は冷凍食品部門でも今週初登場の新製品が上位ランクに登場している。No.1は先週同様、味の素、エビシューマイ12個入袋168g、客単価356円と先週比19円アップ、カバー率も84.6%と好調を維持しいている。No.2に今週初登場の新製品、ハーゲンダッツジャパン、ミニカップノワゼットショコラ(ヘーゼルナッツ&チョコレート)120mlが入り、客単価は229円であった。No.3にも初登場の新製品が入り、森永乳業、エスキモー「ピノミルクティー」10ml×6粒が客単価はわずかにCクラスの200円を切る192円であったが、ベスト3に入っており、今後の行方に注目である。

   最後に、家庭用品であるが、実は今週の全新製品の中では最高の客単価1,729円(1人あたり1.729円)の新製品が登場している。ただ、カバー率が27.7%と低く、平均単価も12,963円と極めて高い新製品であり、限られた食品スーパーマーケットのみでの販売となっているので、最後に取上げた。マックスファクター、SKⅡサインズトリートメントトータリティ80gである。これについで、No.2も客単価978円、先週比644円と異常値となった新製品がある。資生堂のTSUBAKIゴールデンペア誕生セット(トリートメント付)220ml+220ml+120gである。ただ、カバー率が83.6%とほぼ対象チェーンにいきわたっており、今週は異常値といえるが、来週以降どの辺で落ち着くかがポイントである。No.3にも先週34位から急上昇した資生堂のTSUBAKIゴールデンペアシャンプー550mlが客単価246円で入っており、TSUBAKIは両新製品ともに今後、注目といえよう。

   このように、今週は各部門で新製品ラッシュともいえる動きであり、今週初登場でランキング入りした新製品が次々に高客単価となって登場しており、ここ数週間ではひさしぶりに全体的に動きのある新製品ランキングの結果となった。ここしばらくは、次々に登場する新製品の数字をしっかり把握し、売場の品揃えを改善し、業績アップにつなげたいところである。

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October 05, 2007

平和堂、中間決算、連結、増収増益、個別、増収減益!

   平和堂が2008年2月期の中間決算を10/3公表した。平和堂は連結子会社を約20社有しており、連結と個別の営業収益比率は約85%であり、約15%が連結子会社の貢献度といえる。主な子会社はファイブスター(飲食)、エール(小売業)、ダイレクトショップ(CD、書籍)、ベストーネ(米飯、和菓子)、ナショナルメンテナンス(メンテ)、平和堂東海(小売業)、ヤナゲン(小売業)、湖南平和堂(中国で小売業)等である。この中間期の決算結果であるが、これらの子会社を連結した決算結果は、子会社が貢献し、増収増益の好決算であったが、個別の方は増収であったものの、減益となるやや厳しい決算となった。

   実際の数字を見てみると、連結の営業収益は2,057.02億円(102.5%)、営業利益61.80億円(112.2%:営業収益比3.00%)、経常利益62.99億円(115.6%:営業収益比3.06%)、当期純利益30.98億円(114.2%:営業収益比1.50%)と連結の数字は営業収益こそ、やや低かったが、収益は好調であり、2桁の増収であった。営業収益については、今期、3月に大阪府にフレンドマート彩都店、6月に滋賀県にアル・プラザ近江八幡店、7月に京都府にフレンドマート梅津店、そして、同じく7月に滋賀県にフレンドマート志津東草津店の4店舗を出店し、前年の97店舗から101店舗と100店舗の大台を超えたが、出店が中間決算ぎりぎりの出店が多かったためもあり、かつ、既存店も98.4%とやや苦戦し、営業収益は102.5%と伸び悩んだといえる。

   連結の増収は伸び悩んだが、その分、収益は大幅に改善しており、これは子会社の影響が大きかったといえよう。個別の数字を見ると、営業収益は1,759.33億円(101.3%)、営業利益46.89億円(95.6%:営業収益比2.66%)、経常利益48.34億円(99.2%:営業収益比2.74%)、当期純利益25.03億円(84.4%:1.42%)と増収幅もさらに下がり、減益、特に、当期純利益が落ち込んでおり、この数字をみる限り、子会社の貢献が特に、収益面では大きかったといえよう。

   その子会社の寄与を主要な連結企業で見てみると、最も貢献度が大きかったのは、湖南平和堂有限公司であり、当期純利益で5.41億円(昨対154.7%)と大きく貢献しており、ついで、惣菜、和菓子等のベストーネ1.5億円、メンテナンスのナショナルメンテナンスの1.0億円である。逆に、子会社で厳しい決算であったのは平和堂東海の当期純利益が-2.8億円、ヤナゲンの-0.4億円であり、現段階では平和堂の新ドミナントエリアである東海地区はまだ軌道に乗っていないといえよう。

   今回、絶好調であった子会社の湖南平和堂有限公司であるが、オープンから9年目に入った店舗であるが、売上、利益ともにこの3年間急成長をとげている。3年前の営業収益は38.19億円であったが、今期は67.75億円であり、何と177.4%の成長率であり、日本ではありえないような急成長ぶりである。また、当期純利益についても、3年前は2.17億円であったが、今期は5.41億円と249.3%であり、営業収益比も7.9%と極めて高い数値である。営業利益も今期は7.18億円であり、営業収益比は10.5%と日本のビックストアでは達成できない収益力であり、今期の貢献度は非常に大きかったといえよう。

   そのためというか、当然のことであるが、2号店、湖南省長沙市へ湖南平和堂東塘店が9/29、オープンしている。地上27階地下4階の建物の地下2階から6階までの食品を含むGMSでの出店であり、店舗面積は約10,000坪である。ここは商業集積地であり、地元の企業はもちろん、ウォールマートも出店しており、商圏人口は5km圏内で100万人であり、しかも、周辺は高級マンションが立ち並び、30歳から40歳の新富裕層が多いという。このような状況を見ると、平和堂が培ってきたGMSのノウハウは日本では特に、収益が厳しい状況となっているが、中国では高成長、高収益が今回の中間決算の数字をみても、また、2号店の出店環境をみても充分にいかせるといえ、今後、中国への営業拡大が平和堂にとっても重要な成長、収益確保の経営戦略となってきたといえよう。

   平和堂の現在の店舗フォーマットは大きく3つに分れ、SCタイプのあるプラザ35店舗(67.2%:昨対99.7%)、GMS25店舗(16.9%:昨対98.2%)、食品スーパーマーケットのフレンドマート(15.9%:昨対106.0%)であり、主力はSC(ショッピングセンター)となっているが、成長は伸び悩んでおり、構成比は低いが食品スーパーマーケットが成長業態となっている。ただ、今後、中国戦略が本格化すれば、GMSの重みが増し、現在GMSの売上は合計で約260億円であるが、今回の中国2店舗で200億円は優に越え、しかも、収益性は極めて高く、今後、新たな成長のためには、この中国戦略がより重要な経営課題となってきたといえよう。今後の、平和堂の中国戦略を含め、海外戦略に注目したい。

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October 04, 2007

アオキスーパー、中間決算、大幅増益、経費比率16.6%!

   愛知県を中心に40店舗の食品スーパーマーケットを展開するアオキスーパーが10/2、2008年2月期の中間決算を公表した。食品スーパーマーケット上場企業の先陣をきっての中間決算の公表であり、今後、続々と公表がはじまるといえよう。結果はこの中間期には新店がなかったが、既存の植田店、今伊勢店、一宮店の3店舗のリニューアルが牽引し、増収となり、営業収益が401.22億円(102.8%)であった。また、営業利益は13.92億円(130.6%:営業収益比3.46%)、経常利益は14.25億円(130.9%:営業収益比3.55%)、当期純利益は6.85億円(119.6%:営業収益比1.70%)と大幅な増益であった。

   アオキスーパーは経営指標の中でも販管比率を最も重視しており、その進捗状況には細心の注意を払っているという。その中間決算の販管比率の数字を見てみると16.6%であり、昨年同時期が16.9%、2007年2月期の決算時が16.9%であるので、0.3ポイント改善しており、これが今期の収益を押上げる要因となったといえよう。食品スーパーマーケットは現在上場企業が約50社強であるが、2007年度の決算数値を見ると、業界No.1の販管比率はアオキスーパーの16.9%であり、No.2以下はオオゼキ、マルキョウ、タイヨーとなるが、いずれも18%台であり、断トツの販管比率であることがわかる。ただ、未上場であるがこれをはるかに上回り、恐らく、食品スーパーマーケットのチェーンストアでは日本一であると思われるのが、オーケーストアであり、何と、14.8%である。この数字はウォールマートをも越えており、ひょっとすると世界一かもしれない。それにしても、この中間の16.3%は驚異的な販管比率であり、アオキスーパーの経営の源泉はこの販管比率のマネジメントにあるといえよう。

   一方、アオキスーパーの営業総利益は、20.2%(昨年は19.7%)であり、その中身は商品売買から得られる売上総利益が17.0%(昨年は16.5%)、不動産賃貸収入等の収益が3.2%(昨年も3.2%)であり、昨年よりも、数値は改善しているが、通常の食品スーパーマーケットと比べるとかなり低い売上総利益であり、アオキスーパーが強力なディスカウント戦略をとっていることがわかる。その結果、営業利益は3.6%となり、昨年の2.8%から0.8ポイントと大幅に改善し、既存店の売上の伸びも加わり、営業利益が昨対130.6%と大幅な増益となった。

   また、今期のアオキスーパーの中間決算では、珍しいことが起こっており、前期は中間決算の締め日の8/20が休日であったため、決済が翌日となり、約40億円の金額が銀行決済されなかった。そのため、前期の負債項目の買掛金が80.83億円となっており、今期は8/20が平日であったため、銀行決済がされたため、43.95億円となっている。それにともない、資産項目の現金及び預金も前期の101.73億円から71.52億円と減少しており、これらが指標上では、自己資本比率の上昇につながり、前期は自己資本比率が47.0%であったが、今期は58.9%と大きく改善した。

   ちなみに、アオキスーパーの出店にかかわる資産を見てみると、建物及び備品63.78億円(昨対96.4%)、土地32.92億円(昨対100%)、差入保証金20.59億円(昨対97.6%)と合計117.29億円(昨対97.6%)であり、総資産の52.6%であった。今期は既存店のリニューアルのみで、新規出店がなかったため、減少しており、この点での資産の増加はなかった。また、これを全店40店舗で割って見ると、1店舗当り2.93億円であり、この点でも、アオキスーパーはローコスト出店をしており、当然、これは減価償却費等に反映され、経費の削減に寄与しているといえよう。出店にかかわる資産は、首都圏の食品スーパーマーケットを見ると、4億円、5億円はかかっており、愛知県というローカルの中でも経済圏でのドミナント展開をしている割には、極めてローコストな出店戦略であるといえよう。

   気になるのは新規出店である。これだけ、ローコスト経営が出店戦略を含め、できあがっており、しかも、この中間期は、既存店のみで102.8%の成長をとげ、マーチャンダイジングの改善により、粗利を改善し、さらに、マネジメントを強化し、経費も改善し、収益率を高め、出店余力は充分と思えるが、新規出店0である。現在は出店余力を高め、内部体制の充実をはかっているところといえよう。

   アオキスーパーはこのように、上場食品スーパーマーケット日本一の販管比率を武器にディスカウント戦略で成長を遂げてきたが、ここへきて、バイオ燃料問題から小麦など農産物の値上に端を発した食品の値上が本格化しており、これまでのような粗利率が確保しにくくなる環境となる中、どのような経営戦略をとってゆくかが問われるところである。この中間決算の状況を見ると、より、一層、販管比率を下げ、粗利の上昇を吸収しようとする経営戦略のように見える。アオキスーパーが次の新店をどのようなコンセプトで出店するかに注目したい。

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October 03, 2007

食品スーパーマーケット新店情報、2007年9月度、東日本編!

   ここ最近、1年間、新店0の食品スーパーマーケットやスーパーセンタを主体としている食品スーパーマーケットの新店の抑制の状況を取上げてきたが、今回は、逆に、順調に新店を出店している食品スーパーマーケットを、特にこの9月の新店を中心に取上げてみたい。食品スーパーマーケットの新店は既存店が100%前後であるため、安定した成長を維持するためには不可欠であり、理想としては5%から10%の新店を安定的に出してゆきたいところである。決算が2月期企業においてはすでに中間を過ぎ、3月期企業においては、ちょうど後半に入る月であり、ここでの新店は今期の新店をうらなう上で重要な節目の月といえよう。

   まず、北海道、東北地区では、ヨークベニアが9月は2店舗、新店を出店した。9/28、栃木県足利市にヨークベニマル足利大月店をオープンした。ヨークベニマル149店舗目の店舗であり、栃木県では18店舗目となる。この店舗は、ショッピングセンター、あしかがハーヴェストプレース内への出店であり、ヨークベニマルの他、ホームセンター、ドラックストアなど約50店舗が出店しているショッピングセンター内への出店である。店舗面積は780坪であり、年商22億円の目標である。また、9/21には、山形県山形市島にNSCを出店している。山形県では13店舗目となる店舗であり、店舗面積は680坪、年商17億円の目標である。

   ヨークベニマルはこれで、今期6店舗新規出店しており、順調な新規出店ペースであるといえよう。ヨークベニマルは、この8/1に福島県いわき市を中心に14店舗を展開している藤越と資本・業務提携の合意を公表しており、藤越が分社化する小売業の全株式を買い取り、11/1に吸収合併する予定である。ここへきて、ヨークベニマルはNSCを主体にした自社での新規出店に加え、M&Aも積極的にすすめつつあり、今後の動向に注目である。

   首都圏ではベルクが9/19に群馬県館林市にベルク館林大街道店をオープンした。群馬県では10店舗となり、ベルク全体では52店舗となる新店である。ベルクは4月に東京都八王子市にぐりーんうぉーく店、7月に千葉県松戸市にベルク松戸秋山店を出店しており、順調に新店開発が進んでいるといえ、売場でもイオンのPB、トップバリュが定着し始めており、この新店開発を含め、着々とイオンとの資本・業務提携が進み始めているといえよう。今期の出店も地元埼玉よりも、周辺の群馬県、東京都、千葉県への出店であり、首都圏全域への新規出店も視野にはいったといえ、今後の新店に注目である。

   また、ヤオコーも9/6、千葉県、Jリーグのジェフユナイテッドの地元市原市に千葉県6店舗となるヤオコーユニモちはら台店をオープンした。大型ショッピングモールUNIMO内への新規出店であり、ヤオコー全体では96店舗目となる。店舗面積は653坪であり、年商目標は18億円である。ヤオコーは8/8、埼玉県児玉郡にヤオコー上里店、7/10に埼玉県川越市にヤオコー川越新宿店、4/6に群馬県太田市に太田小舞木店、4/17に埼玉県幸手市にヤオコー幸手店をオープンし、今期5店舗をオープンし、改装店舗も約10店舗となり、新店開発、店舗改装が順調に進んでいる。

   相鉄ローゼンも9/6、神奈川県横浜市に相鉄ローゼン鶴ヶ峰店をオープンした。相鉄線鶴ケ峰駅前のショッピングセンター内への出店であり、店舗面積601坪である。惣菜は最近はやりのオール電化を採用したり、少量のお客さま用のエクスプレスレジを取り入れるなど新たな試みにも挑戦している店舗である。相鉄ローゼン64店舗目となり、今期は1店舗目である。

   そして、カスミが9/7、茨城県阿見町にフ-ドマーケットカスミ荒川本郷店をオープンした。店舗面積は約700坪であり、年商目標は16.5億円である。ドラックストア、衣料品、100円ショップ等を併設したNSCでの出店であり、茨城県では84店舗目、カスミ全体では131店舗目となる。カスミは6/12、FOOD OFFストッカー守谷店を、5/28にはFOOD OFFストッカーサンモリノ那珂店を、5/14、FOOD OFFストッカー渡里店を、3/9、FOOD OFF Market KASUMI押堀店をオープンしており、今期5店舗の新規出店をはたしており、順調に新店開発が進んでいるといえよう。

   このように、東日本における主要な食品スーパーマーケットの9月度にオープンした新店をとりあげてみたが、ここで取上げたヨークベニマル、ベルク、ヤオコー、相鉄ローゼン、カスミは順調に新店開発が進んでおり、今期は堅調な成長が期待できそうである。食品スーパーマーケットは新店=成長であり、新店の開発が成長戦略の生命線といえ、毎年毎年、計画的に、新店をしっかり出店しつづけていきたいところである。

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October 02, 2007

家計調査データ、2007年8月度、昨年並みで推移!

   総務庁統計局から、家計調査データの最新情報、2007年8月度が9/19公表された。家計調査データは毎月、速報値として、月末に前月のデータを公表しているので、現在10月に入ったが、最新データは8月度のデータである。本ブログでは、この家計調査データを食品スーパーマーケットのマーチャンダイジングに活用するために、客単価に近い数字に加工している。そのため、月間のデータを一日当りの消費額に換算し、顧客1回当りの購入金額、すなわち、客単価と比較しやすくしている。また、客単価3D分析を応用し、この消費額を購入世帯のみの消費額と購入世帯の割合に分解し、より、消費実態を深く掘り下げている。これにより、月間の家計調査データの中身がより、食品スーパーマーケットの客単価と比較しやすくなり、かつ、その中身を深く掘り下げることが可能となった。

   さて、8月度の概況であるが、全体は外食を抜いた食品合計は2,072.58円(100.7%)と昨対を越えたが、差はわずかであり、ほぼ昨年並みの数字である。家計調査データの集計は食料の中に外食が含まれているので、食品全体の数字をみる時には注意が必要である。また、各部門をみて見ると、最も伸びた部門は果物142.97円(108.8% )、購入世帯のみの消費額151.58円(108.9%)、購入世帯の割合94.3%(99.9%)という数字であり、果物が好調であった。果物は購入世帯の割合が97.3%であるので、ほぼ、1ケ月に1回はほとんどの世帯が果物を購入しているが、その数字が伸びたわけではなく、購入世帯のみの消費額が108.9%と伸びており、リピート購買が増えたものといえよう。

  そこで、その中身をみて見ると、グレープフルーツ2.45円(133.3%)、14.48円(112.5%)、16.9%(118.6%)という状況であり、グレープフルーツが良く伸びており、購入世帯のみの消費額もあらたな購入世帯も双方伸びており、グレープフルーツの貢献度は高かったといえよう。ついで、なし22.42円(123.0%)、47.78円(113.9%)、46.9%(108.0%)、みかん5.48円(113.3%)、37.74円(111.6%)、14.5%(101.5%)が貢献度が高く、特に、なしは、消費額も高く、この8月度の果物全体を大きく牽引した項目であったといえよう。

   果物についで、大分類で見ると、酒類141.32円(105.0%)、202.21円(104.1%)、69.9%(100.8%)、飲料164.26円(104.2%)、165.77円(103.8%)、99.1%(100.4%)が伸びており、特に酒は購入世帯の割合が69.9%と大分類の中では最も低い数字であり、酒は限られた愛飲家に激しく支持をされる典型的な商品であるといえよう。その酒の中で、伸びた項目をみて見ると、ビール72.74円(112.6%)、151.51円(107.7%)、48.0%(104.5%)が最も貢献度が高い。ついで、発泡酒18.00円(108.6%)、98.41円(102.5%)、18.3%(105.9%)、焼ちゅう17.94円(107.5%)、103.14円(111.1%)、17.4%(96.8%)であるが、これについで、ぶどう酒5.39円(106.4%)、88.02円(123.8%)、6.1%(86.0%)、ワインも貢献度が高かった。ワインはビールと比べると、購入世帯の割合が6.1%と極端に少なく、典型的な限られた愛飲家にしっかりリピート購買してもらう商品であることがわかる。

   一方、この8月度、伸び悩んだ大分類をみて見ると、調理食品275.06円(97.9%)、276.78円(97.9%)、99.4%(99.9%)、すなわち、惣菜であった。特に、旬のうなぎのかば焼き13.58円(87.2%)、55.09円(103.9%)、24.7%(83.9%)のダウンが大きく、購入世帯のみの消費額は増えているが、購入世帯数が激減しており、うなぎが敬遠された数字となっており、中国産問題などが影響をしたといえよう。ついで、消費額の大きい項目ではすし(弁当)37.26円(94.9%)、60.79円(95.6%)、61.3%(99.3%)が大きく落ち込んでおり、購入世帯のみの消費額と購入世帯の割合も減っており、ダブルでの減少であったといえる。その他の項目では、しゅうまい2.61円(90.0%)、13.22円(98.6%)、19.8%(91.2%)、ハンバーグ2.45円(92.7%)、14.84円(101.7%)、16.5%(91.1%)、冷凍調理食品11.19円(93.5%)、32.32円(99.1%)、34.6%(94.4%)などであった。

   これ以外の大分類では、野菜・海藻275.58円(98.1%)、275.86円(98.0%)、99.9%(100.0%)、乳卵類107.26円(98.3%)、107.85円(98.2%)、99.5%(100.0%)であり、この2部門以外はほぼ昨対並の数字で推移した。

   このように、この8月度の家計調査データはほぼ昨年並みの数字で推移したが、果物、酒、飲料部門が伸び、全体を牽引したが、調理食品(惣菜)、野菜・海藻、乳卵類が伸び悩み、その他は横バイという状況となり、全体としては相殺され、昨年並の数字となった。今後、夏が終わり、秋となり食欲の秋の季節到来であるが、ここへ来て様々な食品の値上がはじまり、今後の家計調査データがどのような数字となるか、気になるところである。

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October 01, 2007

NHK、あしたをつかめ、スーパーマーケットのバイヤーを放映!

   毎週土曜日、22:00から25分間、NHK教育テレビで放映している番組で、「あしたをつかめ」という番組を見た。たまたま、食品スーパーマーケットのバイヤーを取上げていたので、興味深く、内容をみた。「あしたをつかめ」は、すでに137回、3年以上も放映されている番組であり、趣旨は、「社会へ出ることを考え始めた10代後半~20代前半の方に、さまざまなジャンルの職業を紹介し、その特徴や魅力について考えてもらう“仕事ガイダンス番組”」ということである。ここ最近のテーマは、9/27、今回の「スーパーマーケット、バイヤー」、9/22、「農業サラリーマン」、9/15、「パタンナー」、9/8、「アウトドアインストラクター」、9/1、「ラジオDJ」、8/4「NGO職員」、7/21、「義肢装具士」、7/14、「ミュージカル(2)舞台スタッフ」、・・と様々な職業を取上げている。

   さて、今回の「スーパーマーケット、バイヤー」であるが、山梨県の食品スーパーマーケット、オギノの菓子バイヤーの福島佐恵さんを取上げていた。女性最年少でお菓子のバイヤーをまかされ、32億円のマーチャンダイジングを担当するという内容に焦点をあてた番組である。メーカー、問屋との商談、仕入れから、菓子売場のPOS分析データのチェック、商品の絞り込み、仮説づくり、棚割り、レイアウトの改善など幅広くバイヤーの業務をわかりやすく取上げていた。最近、食品スーパーマーケットに女性バイヤーが増えており、特に、今回の番組で取上げたお菓子はもちろん、日配、酒、惣菜などに女性バイヤーが担当するケースが見受けられる。

   今回、興味深く見た点は福島さんが、年間15,000種類が登場するといわれる菓子の新商品の中から、自らの経験と勘、各種情報、そして、オギノ特有のポイントカードに裏付けされたレシートIDのPOSデータを活用して、どのような仮説をつくり、どのように商品を絞り込み、どのように売場づくりを行っているかということであった。また、オギノでは現在、全社員約800人の内、バイヤーは約40人強という、5%という貴重な職種であり、どのような道をたどり、福島さんがバイヤーになっていったのかにも興味があった。

   番組では福島さんのバイヤー業務をドキュメト風にまとめていたので、わかりやすかった。まず、福島さんが、実際の店舗の菓子売場の棚を観察し、お客さまが何を求めているのか、特に、子供達の悩んでいるものが気になるという場面が映しだされ、秋の菓子売場の棚替えをどのように改善するかを前提に話しが進んでいった。そして、その棚に新たに入れるべき商品選定、ここでは、実際の商談の場面が映しだされ、新商品のチョコレートカール塩味、キャラクター菓子ゲゲゲの鬼太郎、グリコのポッキーパーティー用、夏には導入を見送ったねぎ味噌せんべいなどが取上げられた。実際には、この時期200種類以上の新商品が商談され、その1/10の20種類ぐらいが選ばれるという。菓子のバイヤーはまさに新商品との戦いといえる。

   オギノでは毎日、各店のPOSから販売データがバイヤーに上がり、商品実績が赤字と黒字で示され、黒字は昨対プラス、赤字は昨対マイナスであるので、赤字が多くなると改善が要求されることになるという。福島さんは、まず、このデータを見て、菓子の改善を考え、早速、新商品の選定に入るのだが、膨大な新商品から売場に入れるべき重点商品をどう選定するかが最大のテーマとなる。そこで、場面は一転、自宅に切り替わり、サンプル商品を自宅に持ち帰り、お母さん、お姉さん、子供達などに試食をしてもらい、その意見も聞きながら、独身の福島さんでは気付かない点をチェックし、菓子の選定を行っていた。

   そして、ここでオギノ特有のレシートIDのPOS分析が登場する。オギノのPSOデータはポイントカードとリンクしているため、どのような顧客が、いつ、どこで、何を購入しているかがわかる。そこで、このデータから、福島さんが店がファミリータイプと高齢者タイプの2つのタイプにわかれていることを見つけ出し、それに沿った菓子売場の仮説を組み立てはじめる。具体的には、買いやすい売場づくりを基本とし、子供用、その親用、高齢者用、そして、のどあめという4つのカテゴリーに菓子を分類し直し、商品の絞込み、その棚割りをつくりあげ、最終決定をする会議に臨む。

   ところが、その会議で、のどあめの棚割が問題となる。福島さんはのどあめはどこでも売れると考え、棚の上段に横割りで陳列し、下段は子供用と高齢者用を中心にした棚割りを示したが、会議で指摘を受けたのは、のどあめは高齢者のリピート性が高く、高齢者の方が上段ではかえって取りにくくなるのではないかという意見である。そこで、悩んだすえ、上段だけではなく、下段まで縦割りにし、のどあめを棚の中央に配置し、向かって左に高齢者用、右の下段を子供、上段をその親用にくくり、棚割を再構築し、秋の棚割を完成させた。場面は、秋の菓子売場がリニューアルされ、子供達、高齢者の方が、リニューアル後の菓子売場で商品を買っている場面で終わり、この日は117%アップの売上であったということで終了する。

   このように、今回の番組はオギノの菓子バイヤー、福島さんに焦点をあて、バイヤーという職業を分り易く映像で紹介したものである。食品スーパーマーケットのバイヤーの実際の業務はなかなかつかみにくいものであるが、今回は、わかりやすく、構成されていたといえよう。バイヤーはその名の通り、バイイングだけではなく、結果責任が問われるため、食品スーパーマーケットでは、マーチャンダイジング全体にかかわる業務となっており、特に、最近ではPOSデータの活用が必須となっている。実際の売場の仮説構築、商品選定、売場づくり、販売促進、検証結果の評価、そして、再仮説の構築と現場と一体となったPDCAが必須の業務となっており、この辺についても今回の番組はしっかりとりあげていたといえよう。10/4、19:00から再放送ということで、見逃した方は必見である。

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