イオンの中間決算を見る!
日経新聞10/5にイオンの2008年2月期の中間決算の記事が掲載され、「イオン営業益18%減、米アパレルなど不振で、8月中間」という見出しで、内容は、イオンの業績が曲がり角を迎えているという記事であった。実際、イオンが10/4に公表した決算短信を見てみると、連結の営業収益は2兆5,251.54億円(107.7%)と増収となったが、営業利益が677.61億円(82.3%:営業収益比2.68%)と約18%減となった。経常利益は750.28億円(89.1%:営業収益比2.97%)、当期純利益は238.07億円(102.8%:0.94%)であり、経常利益は約10%、当期純利益は若干プラスとなったが、これを見ると、連結の営業利益が特に厳しい状況であったといえよう。ちなみに、個別の数字を見てみると、営業収益は1兆11.95億円(105.3%)、営業利益87.54億円(101.6%:営業収益比0.87%)、経常利益は183.67億円(120.9%:営業収益比1.83%)、当期純利益は136.16億円(1102.7%:1.35%)と昨対でみる限り堅調な伸びであり、連結企業が営業利益減少の要因であったことがわかる。
イオンの連結決算と個別決算の数字を比較すると、営業収益は252.2%、営業利益は774.0%、経常利益は408.4%、当期純利益は174.8%であるので、特に、営業利益と経常利益の大半を連結企業が稼いでおり、今回の中間決算では連結企業の営業利益、経常利益が厳しい状況であったことがわかる。このように、現在のイオンは連結企業に、特に営業利益については頼るところが大きく、本体の営業収益比は昨対を超えたとはいえ、わずか0.87%であり、本業の収益の改善も今後の大きな経営課題といえよう。
そこで、ここではイオンの中間決算の連結企業の営業利益が落ちた要因と本体の営業利益率が伸び悩んでいる要因を中心に見てみたい。また、イオンの自己資本比率は個別は45.0%であるが、連結では25.6%と低いのも気になるところである。
まず、連結企業の営業利益の状況であるが、昨年は841.83億円であり、今期が750.28億円であるので、%では約18%であるが、金額では約100億円となる。そこで、特に、昨対と比べ、営業利益の減少が大きかった連結企業を見てみると、イオンストアーズ香港他約30億円減、ブルーグラス約8億円減、タルボット他約5億円減、イオンクレジット約30億円減、その他約25億円減であり、これら海外関係と金融関係が厳しい数字であったことがわかる。
一方、本体の営業利益率については、売上総利益は25.9%、昨年は26.1%であったので、0.2ポイント減少したが、不動産収入等のその他収入が昨年の6.5%に比べ7.4%と0.9ポイントと大幅に増加し、結果、営業総利益が昨年の32.6%から33.3%と0.7ポイント改善した。ところが、販売費及び一般管理費が昨年の31.6%から32.4%と0.8ポイント上昇したため、差引き、営業利益は昨年の1.0%から0.9%へと減少した。営業収益が105.3%と増加したので、率のマイナスを金額でカバーしたが、営業利益が1.0%を切り、0.9%はかなり厳しい数字であるといえよう。特に、経費比率が上昇し、商品売買からえられる売上総利益が減少しているところは気になるところであり、これを不動産収入等の増収で賄っており、本体の商品力とマネジメント力に課題を残した中間決算であったといえよう。
また、連結決算の自己資本比率25.6%と低い要因であるが、借入金および社債が1兆円を越え、昨対102.1%と増えており、これは総資産の28.5%となる。出店にかかわる資産である建物及び構築物7,576.36億円(昨対111.6%)、土地3,001.75億円(昨対110.1%)、差入保証金3,579.10億円(昨対105.8%)と増加しており、合計1兆4,157.21億円(昨対109.8%)と増加しており、総資産に占める比率は39.2%である。純資産は1兆2,183.24億円であるので、借入に依存せざるを得ない新規出店状況といえ、借入金および社債が1兆円を超えた現在、どこかで財務改善をはかり、自己資本比率を上昇させ、財務的にも安定的な成長可能な体制をつくることが求められるといえよう。
このように、イオンのこの中間決算の数字を見ると、連結子会社の改善をはかることに加え、自己資本比率が25.6%という厳しい状況であり、1兆円を超えた借入金および社債の返済、出店コストの抑制等が急務のように思える。また、けっして本体の収益力も高いとはいえず、この中間決算をみる限り、低粗利、高コストとなりつつあり、小売業本体の粗利改善とコスト削減も課題であり、営業利益を連結子会社に頼るのではなく、本体としてもしっかり収益があがる小売業の原点の強化も大きな経営課題といえよう。次の本決算の本体の営業利益率が、粗利率の改善とコストの削減効果により、どこまで改善するかに注目したい。
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