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October 29, 2007

テスコに注目してみる!

    最近、テスコに注目している。関係先で紹介されたテスコの本を八重洲ブックセンターで手にいれ、いま熟読しているが、実に興味深い内容である。いずれ、あらためて本ブログでも取り上げてみたいが、本のタイトルは「Tesco、顧客ロイヤルティ戦略:海文堂」であり、定価3,000円の本であるが、それだけの価値はあると思う。テスコのクラブカードについてまとめたものであるが、約10年前にここまで、全英規模で取り組んでいたとは驚きである。内容と感想については後日取り上げようと思うが、ここでは、テスコについて、企業概要を改めてみてみたい。これまで、本ブログでは、海外情報はそれほど多くはないが、アメリカ、特にウォールマートを中心に見てきたが、これを機会に、ヨーロッパ、特に、イギリスのテスコについても見てゆきたいと思う。
 
   まず、まさに、テスコの最新情報、株価であるが、ロンドン証券取引所の10/28現在の株価は、464.750ポンドである。この3ケ月間の株価の推移を見てみると、3ケ月前の8月は410ポンド付近で推移していたが、9月に入り、430ポンド近辺に上昇し、10月に入るといきなり460ポンド台へ跳ねあがり、ほぼ、この10月は460ポンド前後で動いている。まさに、この3ケ月は上昇基調の株価であり、日本のマルエツの株価によく似た動きをしている。ただ、この1年の動きを見ると、実は株価のピークは5月初旬であり、この頃、年初来最高値の470ポンドをつけている。そして、この7月まで株価が下がり続け、8月が底となり、ここから株価が反転した形である。また、5月までの株価の推移は、昨年暮れからほぼ上昇傾向であり、この1年間では5月、そして、この10月が山、昨年暮れ、7月が谷という状況であり、大きくはふた山目に入った株価の動きといえる。

   次に、テスコの最新の決算数値であるが、2007年2月期の決算数値を見てみると、過去3年間のテスコグループの売上は2007年2月期466.11億ポンド(約11兆円弱:108.0%)、2006年2月期 431.37億ポンド(102.6%)、2005年2月期420.16億ポンドであり、昨年はやや厳しい成長であったが、今期は108.0%と好調な伸びであったといえる。テスコはイギリスが本拠地であるが、ヨーロッパ各国、そして、アジアにも参入しており、日本ではシートゥーネットワークを買収し、つい最近、社名をテスコジャパンに変えた。ここ最近ではテスコエクスプレスを出店しはじめているが、10/15には、埼玉県新座市に新店をオープンし、すでに6店舗となった。テスコ全体では約11兆円の年商であるが、その内訳は、イギリス本土で約75%の売上、ヨーロッパ各地で約13%、アジアで約12%という売上構成であり、圧倒的にイギリス本土の売上が大きいといえる。ちなみに、店舗数はグループ全体で2,672店舗、内イギリス本土で1,898店舗であるので、店舗構成比は約71%である。グループ全体の総従業員数は273,024人である。

   利益の方も見てみると、日本の小売業と計算方法が違うと思われるが、粗利率が8.12%、販売費が2.12%、営業利益、その他利益が若干あり、6.20%、税前利益が6.22%である。粗利率、販売費が極端に少ないのは、販売原価に経費のかなりの部分が入っているためと思われる。したがって、日本の小売業と比較するには、営業利益6.20%が良いと思われる。日本の食品スーパーマーケットの営業利益は3%前後であるので、テスコは極めて収益性が高いといえよう。

   さらに、テスコの2007年2月期の資産と負債及び資本を見て見ると、これも日本の貸借対照表とは表現の仕方に違いがあり、ある意味、合理的な表現となっているともいえ、そのままテスコの表現方法どおり見てみる。まず、固定資産であるが、202.31億ポンド(約4.7兆円)、流動資産が45.76億ポンド、流動負債が81.52億ポンドであり、ここで差引き小計、166.55億ポンドとなり、ここから、固定負債60.84億ポンドを差引いて、純資産を導き出し、105.71億ポンドとなる。日本では、左に資産、右に負債と資本を記入するが、テスコは一列に記入し、しかも、一度、総資産から流動負債を差引き、小計を出し、ここから、さらに固定負債を差引き、純資産を導いている。流動負債を総資産から引いた小計をわざわざ計算しているので、意味があると思うが、この書き方を見る限り、より確かな純資産を確定するために、ワンクッションおいて、不安定な流動資産を引いた数字も企業の財務を見る上で重要な数字と見ているのかもしれない。ちなみに、ここから、自己資本比率を計算すると、42.61%であり、逆算すると、57.39%が負債であり、小売業としてはやや投資が重く、負債がやや多いといえよう。

   このように、今回のブログではテスコの現状を株価と財務指標をもとに見てみたが、テスコはグローバル小売業のようであるが、約75%の売上は依然としてイギリス本土での売上げであり、アジアはまだ12%程度である。ただ、現在のウォールマートも海外比率は約25%であるので、この25%はグローバル小売業としては低くはないかもしれないが、イメージよりも低いように感じる。逆に考えると、自国内で確実なシェアをとり、その余力で海外へ参入することを考えるとすると、25%はバランスが良いのかもしれない。今後、本ブログでは今回を機にテスコについても可能な限り、最新情報をおっかけてゆく予定である。次回は、テスコのクラブカードの実態に迫ってみたい。

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