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November 29, 2007

加ト吉、2008年3月期中間決算を公表、減収減益、赤字決算!

   前回のブログに続き、今回は、加ト吉について取り上げてみたい。11/27、加ト吉が2008年3月期の中間決算を公表した。おそらく、今期が上場企業として加ト吉が公表する最後の決算となると思われる。それによると、売上高1,044.20億円(66.9%)、営業利益18.27億円(30.1%:売上対比1.74%)、経常利益15.87億円(22.5%:売上対比1.51%)、当期純利益-1.01億円となる、大幅減収減益、当期純利益は赤字となる厳しい決算であった。特に、今回は、循環取引の問題もあり、特に売上は厳しく計上したとみえ、30%以上の減収となった。加ト吉も当期から、売上については、帳合取引については純額表示に変更したことに加え、連結子会社を数社はずして計上しており、さらに今期はミートホープの牛肉偽装事件の影響もあり、厳しい売上となったと説明している。

   実際、加ト吉の部門別の売上を見てみると、加ト吉は売上を冷凍食品、冷凍水産、常温食品、ホテルなどのサービス事業の4つに分けて管理しているが、もっとも売上構成比が高く、約60%を占める冷凍食品の数字を見ると、昨年が898.16億円から今期は647.44億円と約70%強、約250億円の減収となった。さらに、冷凍水産に関しても昨年の236.53億円が今期はわずか42.81億円と20%弱、約200億円の減収である。常温食品においても昨年の354.52億円から今期は268.36億円と約75%、約90億円の減収となった。ただ、サービス部門は昨年の72.44億円から85.58億円と上昇しており、売上の不振は部門別に見ると、冷凍食品、冷凍水産、常温食品の食品事業それぞれが大きく減収となったことによる。これを売上不振と見るか、循環取引を排除した結果の正常な売上と見るかは難しいところであるが、双方が絡み合っての今回の売上の減収といえよう。

   加ト吉のこの中間期の売上、利益の関係を見てみると、売上総利益は昨年の14.9%から17.0%へと2.1ポイントと大幅に上昇しているが、販売費及び一般管理費が昨年の11.0%から15.2%へと4.2ポイントと上昇しており、結果、営業利益は昨年の3.9%から1.8%へと2.1ポイントもダウンしている。通常、1年でこれほど、粗利と経費のバランスが崩れることはなく、この中間決算は異常な数字となったといえる。ただ、経費の総額は昨年の172.47億円と比べると、今期は159.30億円と約10億円削減しているので、経費比率が異常に上昇したのは、売上が昨年の66.9%となったためであり、経費の絶対額は昨年よりも減少しており、売上の減少がここまで営業数値を落とした要因といえる。

   一方、この中間期の自己資本比率を見てみると、43.6%であり、これは、昨年の41.2%、前期の本決算時の33.9%と比べ、改善している。その要因を負債面で見てみると、もっとも削減されたのは、今回の循環取引ともかかわっていると思われる支払手形及び買掛金であり、昨年の471.62億円から今期は289.35億円と何と200億円弱削減されている。これに加え、社債が約100億円償還されており、負債合計で約300億円が削減された。一方、純資産は厳しい決算結果を受けて、利益剰余金が約150億円減少したが、結果、差し引き、自己資本比率は上昇した。また、資産面を見ると、流動資産の方に大きな変化があり、受取手形及び売掛金が約150億円強の減少、棚卸資産が約100億円の減少、未収入金が約100億円の減少となり、合計350億円以上の減少となっており、これも循環取引の問題による資産の精査が向上したためといえよう。

   それにしても、加ト吉の今期はめまぐるしく経営環境が変わる年であったといえよう。循環取引にはじまり、経営陣の一新、ミートホープの牛肉偽装事件の直撃、そして、今回のJT、日清食品によるTOB、わずか、1年弱の間に経営の屋台骨が右に左に大きくゆれ動いた。そして、最終的には会社そのものが買収されるということになった。

   加ト吉は1956年に香川県で海産物問屋として創業しており、その後、1962年に冷凍えびフライの生産・販売を開始し、冷凍食品業界に本格参入した。1971年には香川県に山本工場が完成し、シューマイ、ギョーザ、コロッケ等の製造を開始し、これが70年代の外食市場の成長を背景に、冷凍食品市場が大きく拡大したことと相俟って、着実に成長を遂げてきたという。さらに、最近では、1994年、新潟県南魚沼に工場を建設し、冷凍米飯を手始めに、無菌パック米飯、そして無洗米と米関連分野の一貫生産工場として、米市場にも進出している。日本を代表する冷凍食品のパイオニアであり、現在年商約3,500億円の最大手の企業でもある。

   来期からは、JT、日清食品の子会社として冷凍食品No.1の売上規模でのスタートを切ることになるが、これにより、冷凍食品市場はさらにメーカーの寡占化が進む可能性が高く、それにともない、小売業も対応が迫られることとなり、今後の冷凍食品市場は、売上No.1となる新生、加ト吉を中心に動いてゆくものといえよう。来期の冷凍食品市場、そして、食品スーパーマーケットの冷凍食品売場に注目である。

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