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November 28, 2007

JT、日清食品、加ト吉をTOB、冷凍食品トップ企業へ!

   11/22、加ト吉の取締役会でJT(日本たばこ)によるTOB(公開買い付け)に対し、賛同の意を表明する決議がなされた。これにより、JTのTOBがはじまり、順調に進めば、100%の株式をJTが取得し、その後、JTから日清食品へ49%の株式が譲渡され、双方の冷凍食品事業を加ト吉に集約させ、業界No.1、売上規模約2,600億円の冷凍食品メーカが誕生することになる。TOBは11/28からはじまり、12/26までの20営業日で終了する予定であり、買付価格は710円である。これは11/19の終値426円に対し、約66.7%のプレミアムであり、過去1ケ月間の終値平均527円に対し、34.7%のプレミアムになるという。買付予定数の株式数は153,789,431株であるので、710円を掛けると買付代金は約1000億円となる。

   JTはこの4月に本業のたばこ事業において、イギリスのギャラハー買収に2兆2,500億円(北朝鮮のGNPに相当)を投資しており、それ以来の大型買収案件となり、ここへきて、食品事業を第2の柱とすべく、本格的な動きに入ったといえよう。今回、日清食品と組んでの加ト吉の買収となるが、日清食品も投資ファンドスティールパートナーズに約20%弱の株式を保有されており、今後の動向如何では、JTと日清食品との資本・業務提携に発展する可能性もあり、JTの動きは食品業界の本格的な再編につながる可能性を秘めているといえよう。

   そのJTの2008年3月期の中間決算が10/31に公表されたが、それによると、売上2兆9,140.42億円(122.6%)、営業利益2,191.70億円(123.2%:売上対比7.52%)、経常利益2,025.65億円(114.3%:売上対比6.95%)、当期純利益1,338.94億円(109.2%:売上対比4.59%)と大幅な増収増益の好決算であった。ただ、今期は、イギリスのギャラハーの大型買収案件があったことから自己資本比率が40.5%と昨年の56.7%、前期決算時の58.3%と比べ大きく減少しているところが気になる。これは、固定資産ののれん代2兆1,894.94億円を、自己資本ではなく、社債と借入金で賄ったため、社債・借入金が増加し、それに見合う形で固定資産が増加し、総資産が増えたためである。ただ、売上、利益とも絶好調であるため、海外たばこ事業が今後とも好調に推移してゆけば経営的な負担とはならず、順調に償却がすすんでゆくことになろう。

   ちなみに、今期のJTの売上と利益、経費、営業利益の比率であるが、売上総利益は18.7%と昨年の19.3%と比べると0.6ポイント下がっている。ただ、販売費及び一般管理費が昨年の11.8%から今期は11.2%と0.6ポイント減少しており、結果、営業利益は昨年と同様7.5%となった。

   したがって、今回の加ト吉買収に必要な約1,000億円は中間決算時の当期純利益が1,338.94億円であり、年間ではこの2倍の約3,000億円近い純利益が生み出されるので、借入金なしでも十分に可能な金額であるといえ、日清食品が49%の負担をすることになるので、投資金額は実質約500億円となり、財務面からみれば、健全な投資の範囲といえよう。今後、この規模の投資が毎年起こっても不思議ではない財務状況といえる。

   では、JT全体からみた食品事業はどのような位置付けになるのかであるが、この中間決算時のJTの部門別売上、営業利益の状況を見てみると、国内たばこ1兆7,482.68億円(58.9%)、海外たばこ1兆237.12億円(34.5%)、医薬221.47億円(0.7%)、食品1,521.39億円(5.1%)、その他231.96億円(0.8%)、合 計2兆9,694.65億円であり、たばこ事業が国内、海外合計93.4%という集中度であり、第2の柱に育成しようとしている食品はわずか5.1%である。しかも、食品の今期の営業利益は37.12億円と全体の営業利益2,191.70億円の1.7%であり、売上貢献度は5.1%であるが、営業利益貢献度は1.7%とわずかであり、JTにとっては食品を第2の柱としてゆくためには、今回の加ト吉の買収が終わりではなく、第1歩といえよう。将来的には20%、30%の売上構成比にし、第2の柱に育ててゆくには、さらに第2弾、第3弾の食品事業のM&Aが必要といえよう。

   このように、今回のJTによる加ト吉のTOBはJTにとっては、本格的に食品を第2の柱にするための決断をしたといえ、これで終わりではなく、これから第2、第3弾へつながってゆく序章であるといえ、来年度以降のJTの動向には注目といえよう。食品業界もスティールパートナーズをはじめ、投資ファンド、JTなど異業種の参入も活発となり、今後は、これまで以上に業界再編の激動の時代への突入するといえよう。

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