ID-POSの時代、真近?
最近、POS分析があらたな時代に突入したように肌で感じる。POS分析はこれまで、生データで分析、PI値で分析、客単価3Dで分析、ID-3Dで分析と変遷してきたが、ここへきて、大手チェーンストアがPOSデータをメーカーに公開しはじめ、メーカーを含めたPOS分析が本格化しはじめた。ただ、現段階では、生データとPI値による分析が主な分析手法であり、客単価3D、ID-3Dに踏み込んだ分析も一部にはあるが、まだまだ本格化しているとはいえない。ただ、ポイントカードは急激に大手チェーンストアに普及しはじめており、今後のPOS分析は客単価3D、ID-3D分析に移行することは必至といえる状況となりつつある。
ここで、上記4つのPOS分析を整理しておくと、以下のような違いがある。生データ分析は文字通り、売上の原型となる分析であり、売上金額と売上数量の2つの指標のみの分析である。ここから、売上金額÷売上数量で平均単価を算出できるので、基本指標は、売上金額、売上数量、平均単価の3つとなる。通常、POSデータの公開というと、この段階での公開がこれまでは主流であった。ところが、ここ最近ではもうひとつの指標、客数、店舗全体のレジ通過客数(店舗全体のレシート枚数)も公開されるようになり、次のPOS分析手法であるPI値分析が可能となった。これは、生データに加え、全体客数が公開されるため、顧客一人当たりの指標、PI値の算出が可能となり、生データを客数で割った指標が算出可能となる。売上金額÷客数=金額PI値(客単価)、売上数量÷客数=数量PI値(PI値)が加わることとなる。これにより、売上は、売上=客数×客単価(金額PI値)=客数×PI値×平均単価となり、客単価(金額PI値)=PI値×平均単価の客単価2D分析が可能となる。現在のPOSデータ公開はここまでは、ほぼ可能となり、この分析手法が現在では主流のPOS分析手法といえる。
そして、最近では、突然、IDデータの公開がはじまりつつあり、客単価3D分析を通り越して、いっきに、ID-3D分析の時代に突入しつつある。そこで、まず、客単価3D分析をおさらいしておくと、PI値分析とどこが根本的に違うかであるが、それは、客数の把握の仕方の違いにある。通常のPI値分析では、客数は全体客数であるが、客単価3D分析では客数が細分化されたり、自由に組み合わせて新たな顧客グループをつくるなどが可能となるため、客数を無限につくることが可能となる。したがって、PI値が客数PI値とPPIに分解され、PI値=客数PI値(グルーピングされた客数÷全体客数)×PPI(売上数量÷グルーピングされた客数)となる。PPIはPersonal PI値のことであり、より、顧客一人一人に近づいてゆき、最後は顧客一人のPI値になってしまうので、Personalとなる。これが可能になるのはレシート枚数を1枚1枚数え、客数を自由にくることができるからである。ここまでは、技術的には通常のPOS分析で、プログラムさえ開発すれば十分に可能な話である。ちなみに、併売分析もこの段階で十分に可能となる。
ただ、最近では、このレシート分析を通り越して、いきなり、ID-POS分析に入りつつあるといえる。それは、ポイントカードの普及が大きな影響を与えており、ポイントカードを導入していれば、レシート1枚1枚にIDを付けることが容易であり、レシート分析をするのであれば、レシートID分析をしてしまった方が一石二鳥であるからであろうと思われる。
では、恐らく、今後、主流となるID-3D分析はとなどのような分析となるかであるが、これは、レシート1枚1枚にIDがついた分析となるため、客単価3D分析では踏み込めかった客数をID数と総レシート枚数に分解できるようになることである。この一点が客単価3D分析とID-3D分析の違いである。これにより、頻度を算出することが可能となる。頻度とはある一定期間にレシート枚数が何枚であり、そのレシートのIDがいくつであるかが把握可能となり、レシート枚数÷ID数でID当たりの頻度の把握が可能となることである。レシートにIDがついていないと、これは絶対に不可能なことであり、頻度はIDの把握ができてはじめて算出できる指標となる。
したがって、ID-POS分析は客単価3D分析で可能となった、客数を細分化したり、自由に組み合わせて新たな顧客グループをつくったりした客数そのものをさらに頻度という指標で分解可能となり、客数の把握が一次元から2次元、3次元と無限分化してゆくことになる。ここまで来ると、想像力で無限にマーチャンダイジング指標をつくることが可能となり、基本の分析手法は客単価3D分析となるが、指標そのものはざっと数えても40から50はあり、どの指標が現状のマーチャンダイジングの課題を解決するかを見つけられるかが勝負となる。また、これはマーケティング調査データとも連動させることが容易となり、マーケティングの仮説をマーチャンダイジングの分析で検証するとも可能となり、このID-POSデータは小売業のみで活用するのではなく、まさに、メーカーに公開し、共同で仮説検証を実施してゆくことが望ましいし、その方がより、小売業にとってもメーカーにとっても商品を通じて、顧客満足度を高めてゆくための共通のベクトルを生み出すことになる。時代はどうも、このID-POS分析にいっきに突き進むように感じる。
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