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November 05, 2007

テスコの本、「TESCO顧客ロイヤルティ戦略」を読む!

   テスコの顧客ロイヤリティ戦略は、クラブカードから始まった。クラブカードとは、テスコが自ら次のように説明している。「Tesco Clubcard is our way of saying thank you. Collect Clubcard Points on your shopping, and we'll send you Clubcard Vouchers 4 times a year to say thanks.」(テスコのクラブカードは、お客さまにthank youをつげるためにあります。クラブカードポイントを買い物時に貯めていただければ、年4回、感謝を込めて、クラブカードクーポンを差し上げます。)キーワードはthank youである。FSP(Frequent Shoppers Program)ではなく、CRM(Customer Relationship Management)の方がフィットする感じである。テスコは今回の本の中でも触れているが、大西洋を何度も渡り、当時、アメリカで全盛であったFSPを研究し、また、過去にはグリーンスタンプの苦い経験もした上で、このクラブカードにたどりついており、まさにCRMを通じたロイヤルマーケティングを目指した試みであるといえよう。
 
   おもしろいことに、テスコのメイングランドのイギリスではウォールマート傘下のアズダと激しい競争を繰り広げているが、このテスコのクラブカードの仕組みが、現在ではアメリカに渡り、食品ではウォールマートの最大のライバルであるクローガーに入っているといい、いまや、世界的規模でEDLP対CRMの構図が生まれつつあるといえる。

   今回、たまたま、関係先の紹介で、この「TESCO顧客ロイヤルティ戦略(海文堂)」を知り、すぐに八重洲ブックセンターで購入し、読んでみたが、懐かしさを感じた。というのは、まさにテスコがクラブカード戦略を確立した約10年前の同時期、私も全く同じテーマに取組んでいたからである。これほど大規模ではないが、東北のとある町のショッピングセンターの支援に、ほぼ同じテーマで、同じように、顧客データを分析していた。これが現在の私の研究テーマのひとつであるPPI、3D-ID分析につながっている。その意味で、テスコの苦労がよくわかり、この本を読みながら、親近感がわいた。残念ながら、私がかかわったプロジェクトはテスコのように大成功はしなかったが、約10年たったいま、この本を読んでみて、方向性は正しかったと確信がもてた。余談だが、当時、東京で顧客識別マーケティングのセミナーがあり、ブライアンウルフ氏がメイン講師であった。私もそのセミナーを聴講し、彼と握手をし、本にサインをもらったのを覚えている。そのブライアンウルフ氏がこの本の訳者である大竹佳憲氏の友人であり、序文を書かれていて、また、懐かしさが増した。

   今回の本は全部で15章から成り立っている。Chapter1:ロイヤルティへの疑問、Chapter2:ロイヤルティは割に合うか、Chapter3:クラブカードの試行、Chapter4:クラブカードの全国展開、Chapter5:クラブカードの戦い、Chapter6:ああ、いとしきデータ、Chapter7:年4回のクリスマス、Chapter8:クラブカード・マガジンの発行、Chapter9:顧客のセグメンテーション、Chapter10:ライフスタイルが習慣になる、Chapter11:銀行業への参入、Chapter12:サブクラブから学んだもの、Chapter13:クラブカードDeals、Chapter14:インターネット・ショッピング、Chapter15:未来への5つの挑戦である。

   これをさらに大きく分けると、クラブカードの誕生編(1-5)、クラブカードのマーケティング編(6-8)、クラブカードのマーチャンダイジング編(9-10)、クラブカードの発展編(11-15)となろうか。特に、クラブカードのマーチャンダイジング編はおもしろかった。大学の時に情報科学の授業でならったクラスター分析やSD法などが活用されていたのには驚いた。約45,000の全取扱い商品をSD法を用い1品1品約20通りづつ分解し、計約100万パターンをクラスター分析にかけ、意味のある軸を導き出し、顧客セグメントをつくり、マーチャンダイジングやクーポン発送に活用してゆくという途方もない作業に取組んでいたとは驚きである。ウォールマートもデータウエアハウスを駆使し、店舗トレートと商品トレートの無限の組合せにより、自動棚割、自動発注につなげているというが、まさにこれの顧客版といえよう。

   これを裏付けるようにテスコのホームページでは競合店の価格調査が毎週約10,000品近くで実施され、すべての単品データが公表されているが、対アズダに対しては、7,256品の内、1,389品はテスコが価格を下回っており、4,549品が同じ価格であり、 1,318品が価格を上回っているという。当然、この価格を下回った1,389品はクラブカードの顧客データを分析した結果、絶対に負けられない商品としたものであろうし、同様に、価格を上回った1,318品は高くとも大丈夫と判断した商品であろうと思われる。7,256品も本の中でも言及されていたが、売上の約90%近い構成比を示すといい、ここをしっかりチェックすることが、テスコの顧客のロイヤリティを生涯に渡って維持してゆく商品との判断であると思われる。
 
   このように、今回はテスコ第2弾のブログであるが、テスコは非常に興味深いマーケティング、マーチャンダイジングに取組んでおり、アメリカとは一味も二味も違うにおいがあり、今後とも、さらに、深く、掘り下げてみたい。

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