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December 2007

December 31, 2007

家計調査データ、200711、昨対100.3%、わずかに増加!

   12/28、今年最後の家計調査データ、2007年11月度が公表された。家計調査データは、毎月月末に先月のデータが公表されるため、現在、最新のデータは、この11月度のデータである。本ブログでは毎月取り上げているが、そのままのデータでは、食品スーパーマーケットの客単価と比較しづらいために、若干アレンジしている。主なアレンジは3点である。1点目は月間集計データを日別に変換し、1日当たりの消費額を算出している。これにより、ほぼ、食品スーパーマーケットの客単価と同じ数字となる。2つ目は客単価3D分析のノウハウを取り入れ、家計調査データを1世帯当たりの全購入世帯数の消費額と購入世帯数のみの消費額に分解し、その割合も算出している点である。これにより、全体の1世帯当りの1日の消費額が昨年より増えた場合、購入世帯のみの消費額が上がったのか、それとも、購入世帯の割合が増えたのかを分析することが可能となる。そして、3点目は、全体の食品の消費額を食品スーパーマーケットの取り扱い商品に合わせて集計している。家計調査データでは食料の中に外食が入っているので、本ブログでは外食を抜いた消費額を算出している。以上、大きく3点の修正を加え、食品スーパーマーケットの客単価と比較しやすいように工夫しているのが特徴である。

   さて、最新の家計調査データ、2007年11月度の数字であるが、外食を除く食品全体では、1,962.13円(100.3%)とわずかではあるが、昨年を上回った。ちなみに、一昨年の2005年11月度は1,949.53円であったので、今年度比100.6%であり、微増ではあるが、この11月度はこの3年間上向きで推移している。その中でも最も伸び率の高かった部門は野菜・海藻の278.37円(105.1%、278.70(105.1%)、99.9%(100.0%))であり、105.1%の伸びである。大分類になるとほぼ、100%の世帯が月間1回以上は購入するので、購入世帯のみの数字もほぼ同じ278.7円であり、その割合も99.9%となるのがほとんどである。ただ、酒は117.87円(101.5%、184.80円(101.3%)、63.8%(100.1%))と購入世帯の割合が63.8%と唯一大分類で大きく100%を下回る部門であり、約40%の世帯では月に1回も酒を購入しないという数字となる。酒はその意味で独特なマーチャンダイジングが必要な商品群といえよう。

   野菜・海藻についで、伸びた部門は、果物の105.37円(102.8%、111.88円(103.6%)、94.2%( 99.3%))であり、102.8%であった。これ以外では肉類の213.77円(101.8%、215.86円(101.6%)、99.0%(100.2%))、酒の101.5%、穀類の217.07円(101.4%、217.72円(99.7%)99.7%(99.9%))となる。逆に、伸び悩んだ部門は、魚介類の241.00円(96.9%、242.26円(96.7%)、99.5%(100.2%))と調理食品(惣菜)の264.63円(96.9%、266.12円(97.0%)、99.4%(99.9%))である。

   さらに、商品に踏み込んでみると、消費額が10円以上で110%以上伸びているものは、清酒23.60円(110.3%、102.39円(106.7%)、23.1%(103.3%))とせんべいの14.63円(113.4%、26.51円(109.7%)、55.2%(103.4%))のみである。清酒は購入世帯の割合はわずか23.1%であるが、購入世帯の消費額も、購入世帯の割合も106.7%、103.3%と伸びており、バランスの良い伸びであり、今後、注目である。せんべいもこの11月よく消費額が伸びているが、購入世帯の割合よりも、購入世帯のみの消費額が109.7%と伸びており、恐らく、値上げなどによる平均単価の上昇が消費額を押し上げたのではないかと推測される。

    また、全体の消費額を5円まで下げて見ると、キャベツ5.47円(122.4%、7.77円(120.6%)、70.4%(101.5%))、ほうれんそう7.30円(114.7%、11.08円(113.2%)、65.9%(101.3%))、はくさい5.87円(129.4%、8.42円(120.5%)、69.7%(107.4%))、ねぎ9.57円(115.7%、13.12円(113.4%)、72.9%(102.0%))、だいこん6.20円(128.3%、8.95円(119.7%)、69.3%(107.2%))、きゅうり7.03円(114.1%、10.53円(120.5%)、66.8%(94.7%))、乾燥ス-プ7.87円(110.3%、17.51円(108.0%)、44.9%(102.1%))、炭酸飲料5.20円(116.4%、19.29円(110.6%)、27.0%(105.3%))などがピックアップされる。これを見ると、野菜、果物が圧倒的に多いのが特徴であり、その内訳も購入世帯の割合よりも、購入世帯のみの消費額が増えているといえ、菓子同様、平均単価、相場の上昇が消費額を押し上げたといえよう。

    これに対して、全体の消費額が5円以上で90%以下となった厳しい商品を見てみると、塩さけの5.93円(84.8%、23.06円(86.9%)、25.7%(97.6%))のみであるが、確かに厳しい数字といえよう。これについで、全体の消費額が5円以下で80%となった主な商品を見てみると、しらす干し3.97えん(87.5%、14.24円(90.0% )、27.9%(97.2%))、ウイスキー3.00円(82.6%、107.53円(97.4%)、2.8%(84.8%))、粉ミルク2.37円(78.9%、78.37円(92.5%)、3.0%(85.3%))、カステラ2.10円(84.0%、20.21円(94.2%)、10.4%(89.2%)等である。

    このように、この11月度の家計調査データは全体では微増であり、消費額を押し上げた要因は野菜・海藻、果物であり、これらは個々の商品を見ても、のきなみ2桁の伸びである。ただ、購入世帯の割合があまり増えていないことから、恐らく、相場高の影響により、購入世帯のみの消費額が伸びたと推測され、相場が落ち着いた時の反動に注意が必要といえよう。また、菓子も同様な傾向が出ているが、これは値上げの影響ともとれるので、来月以降、そして、来年度前半は菓子に加え、乳卵類、油脂・調味料、穀類、飲料等の動向が気になるところである。来年1月の月末に公表される12月度、2月末に公表される1月度の家計調査データに注目したい。

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December 30, 2007

サミット、年末商戦のちらしを見る!

   いよいよ年末商戦スタートである。年末は12/29、12/30、12/31の3日間であり、この3日間だけは、食品スーパーマーケットは年間最高の客数となり、客単価となる。しかも、客単価=PI値×平均単価であるが、PI値がアップするというよりも、平均単価が異常に高くなり、客単価アップとなるのが年末商戦の特徴である。したがって、この年末商戦のちらしのポイントは客数と平均単価の年間最大値をめざすことがポイントとなる。

   さて、たまたま、自宅にサミットの年末商戦のちらしが入ってきたので、このちらしをもとに、サミットの年末商戦の状況を見てみたい。サミットのちらしは年末商戦を1日早めてスタートしており、12/28から12/31までの4日間のちらしとなっているのが特徴である。同時期に自宅に入った西友のちらしを見ると、12/29から12/31までの3日間のちらしであり、12/28からスタートは通常よりも1日早い年末商戦のスタートであり、周辺の競合店に先駆けて、12/28に来店を促し、本番の12/29から12/31までの年末商戦を有利に戦おうという意図があると思われる。

   また、本番に備えて、各売り場に予行演習をさせ、オペレーションのチェックをかね、本番をスムースに乗り切ろうというプレ年末商戦の意図もあると思われる。特に、年末3日間は通常の2倍、3倍の客数となることから、重点商品がことごとく欠品し、夕方以降、品薄になったり、レジ最優先となり、品出しが十分にできないなど、オペレーションに支障をきたし、莫大なチャンスロスにつながるので、12/28にプレ年末商戦をスタートさせるのは良いアイデアであるといえよう。

   そのサミットのちらしを見ると、一面の左端、1/4のスペース縦いっぱいにポイント5倍の案内を載せており、しかもそのトップは12/28、朝9時から閉店までの終日ポイント5倍セールを予告している。12/28から本気で集客をはかる訴求であり、プレ年末商戦を超え、1日前倒しでの年末商戦スタートといえよう。下のスペースでもポイント5倍を訴求しているが、ここでは12/29から12/31までの年末特別企画の早朝タイムサービスの朝9時から朝11時までのポイント5倍である。このようにポイント5倍による集客を効果的に年末商戦に活用しており、客数アップは商品よりも、ポイント5倍に照準を合わせたちらし訴求となっているのが特徴といえる。

   したがって、1面、残り3/4のスペースでは、商品の全面訴求となるちらしであるが、PI値よりも平均単価に重点をおいたちらしとなっており、明確な客数と平均単価を意図したちらしといえよう。その内容であるが、家族が揃う、お正月というというタイトルを真ん中に掲げ、左にお刺コーナー、右にすき焼きコーナー、右下にステーキコーナーをとっている。お刺身コーナーでは本まぐろ、地中海産中トロ、100g1,480円(g14.8円)、太平洋産めばちまぐろ中トロ、100g680円(g6.8円)、太平洋産大めばちまぐろ赤身、100g298円(g2.98円)を色鮮やかなまぐろの赤の写真入りで訴求しており、まさに平均単価最高を目指した商品訴求である。同様に、右側のすき焼きコーナーでは、黒毛和牛(国内産)かたしゃぶしゃぶ用100g683円(g6.83円)、1パック1980円、黒毛和牛(国内産)かたロースうす切り100g850円(g8.5円)と、ここでも黒毛和牛を全面に出し、平均単価アップを意図した商品訴求となっている。また、右下ではステーキコーナーとなっており、黒毛和牛を除く国内産牛サーロインステーキ用が3割引きでの訴求であり、これも平均単価の最も高いステーキの価格訴求であり、平均単価アップを意図した訴求であるといえよう。

   これ以外にも1面には平均単価アップを意図した商品が訴求されており、えび・かにコーナーではロシア産たらばがにスライスが420g1,980円(g4.71円)、ロシア産たらばがに肩1kg3,980円(g3.98円)に加え、いちご1パック498円、2パック980円と980円を若干お買い得にし、平均単価アップをいちごでも訴求している。また、面積はあまり大きくとってはいないが、黒毛和牛(国内産)焼肉用100g645円(g6.45円)、245g以上を1パッ1,580円と平均単価アップ商材である焼肉も訴求している。

   一方、裏面では、正月商材特有の蒲鉾、伊達巻、おせち材料に加え、お買い忘れはございませんか?というキャッチコピーとともに、日配、グロサリー、日用雑貨が訴求され、さらに、酒が祝い酒とビールを主体に訴求された正月商材の訴求となっているのが特徴である。

   このようにサミットの年末商品のちらしは、裏面は正月商材中心の年末商戦特有のちらしとなっているが、表面は、明確に1日前からの本格的な集客をはかるポイント終日5倍を12/28のみかけ、その後の3日間の年末商戦も午前中に集客をはかるポイント5倍を入れおり、まずは客数アップを強力に訴求している。そして、右面では明らかに平均単価アップを意図した商品訴求となっており、客単価アップを平均単価アップで押し上げる訴求であり、年末商戦の特徴を最大限に引き出すちらしとなっているのが特徴である。このちらしをもとに、12/30か12/31に年末のサミットの売場をじっくり視察してみたいと思う。


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December 29, 2007

メーカーの方、必見、PI値のグラフ、双曲線、基礎講座その3!

    前回、前々回とメーカーの方向けのPI値基礎講座を取り上げてきたが、今回も引き続き、メーカーの方向けの第3弾として、PI値基礎講座を取り上げてみたい。今回は、PI値活用の要諦ともいうべき、双曲線、すなわち、客単価(金額PI値)のグラフ化について取り上げてみる。POSデータ分析にPI値を活用する場合の基本数式は、客単価(金額PI値)=PI値×平均単価であることはこれまで解説した通りである。では、この客単価をグラフ化した場合、どのようなグラフになるかであるが、これは、数式が示すように、横軸にPI値、縦軸に平均単価をとれば(どちらでも良い)、客単価はPI値×平均単価となるので、その面積となる。したがって、この面積が一定の頂点を結んでいけば、その線はきれいな双曲線となる。この面積が客単価そのものであり、客単価とは実は点ではなく、面積であり、曲線、双曲線の軌跡そのもので表すことができる。そして、ここから、客単価を上げるとは、この面積を広げ、双曲線を右上に移動することであることがわかる。実は、この双曲線は経済学でいう重要曲線のことであるといえ、客単価アップとは何を隠そう、需要の創造そのものであり、需用を創造した時、客単価はアップするといえる。

   さて、ここでは、このことをもう少し詳しく説明するために、以前、PI値Q&A集を作った時の内容を加筆修正して、できるだけ、わかりやすく2つの点に絞ってまとめてみたい。ひとつは、客単価グラフの斜めの曲線についての解説である。そして、もう一つは、客単価グラフの双曲線を右上にもってゆくコツについてである。これまの2回に渡るまとめにもなっていると思うので、ここで、客単価の要諦をしっかりつかんで欲しい。

   Q1.客単価グラフの斜めの曲線は何ですか。
   A.客単価(金額PI値)の平均値を結んだ曲線です。曲線上のすべての点が客単価の平均値になります。客単価=PI値×平均単価ですので、客単価が一定の時は、PI値が高くなれば平均単価は低くなり、平均単価が高くなれば、PI値は低くなり、常に客単価の形は変わりますが、面積は一定になります。すなわち、数式にすれば、y=1/xの双曲線となります。この双曲線は経済学でいえば需要曲線のことであり、この曲線は顧客のニーズ(PI値)と企業の供給(平均単価)とのかねあいで決まる曲線であり、この曲線を右上にもってゆくことが企業の需要創造であり、このことを一般的にマーケティングと呼んでいます。小売業ではこの客単価グラフにもとづいて、商品戦略を具現化することから、マーケティングというよりもマーチャンダイジングととらえています。すなわち、小売業でいうマーチャンダイジングとはまさにこの客単価の双曲線を右上にもってゆく行為であり、右上にいったときに、正しい方向でマーチャンダイジングが実現されたと判断します。ではこの中心点(平均値)はどのように決まるのでしょうか。それは基本的には時間と空間で決まります。すなわち、昨日よりも今日、先週よりも今週、先月よりも今月、昨年よりも今年が時間にもとづく評価です。一方、他の商品よりも、他の店舗よりも、他の企業よりもが空間という考え方です。そして、時間と空間での比較対象がなくなり、独自の目標設定になったとき、時空を超えた自己との対話(対決)がはじまります。PI値は最終的には時間、空間を超え、自己との対話(対決)にもとづく目標設定が最終的な到達点であり、それがもとめるべき双曲線の方向となります。

   Q2.客単価グラフの双曲線を右上にもってゆくコツは何ですか。
   A.顧客に対して素直になることです。客単価は企業側(平均単価)からのみ決定できることでなく、むしろ、顧客側(PI値)から決定されるといってもよいと思います。顧客の声、PI値に素直に耳を傾けることです。したがって、その商品の客単価=面積=双曲線を右上にもってゆく(客単価の面積を大きくする)には、第1にその商品をよく知ることであり、第2がその商品の購入顧客がどのようなアクションによって、どのように反応するかをよくつかむことです。そして、これらはすべてMD評価表の数字の変化(PI値、平均単価)に表れ、MD評価表の空間軸(商品どうしの関係、他の店舗との関係、他の企業との関係等)を読み取ることと、時間軸(昨日、昨週、昨年等)の動きの変化を読み取ることがポイントとなります。読み取るとはなぜMD評価表の数字が変化したかを検証することです。したがって、これらをひとりよがりに解釈するのではなく、可能な限り客観的に解明し、その検証を積みあげていってはじめて客単価を自らの力で変化させることができるようになります。できれば、客単価のグラフを見るときにMD評価表を時間、空間軸からじっくり検討し、素直に読み取って、できるだけ客観的に判断してから、あるいはその変化を頭に描きながら見ていただくとはやくコツが習得できるようになると思います。顧客の声はこの客単価そのものの中にあります。

   これで、3回に渡って取り上げてきた「メーカーの方、必見、PI値基礎講座」の3回に渡ったシリーズを終えたいと思う。今回取り上げた3つ、PI値の因果関係、PI値の検証方法のポイント、PI値における客単価の双曲線を理解すれば、POS分析におけるPI値の活用はほぼ完璧であるといえよう。あとは、PI値分析は客単価分析であり、需要側からのアプローチであるので、これにメーカー側からの供給サイドのアプローチをマーケティング調査データ等から補えば、小売業への提案がより実践的な内容となり、商談がスムーズに進むものと思う。また、今回、言及できなかったID-POS分析については、稿を改めて、来年の課題としてまとめてみたい。

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December 28, 2007

メーカーの方、必見、PI値検証のポイント、基礎講座その2!

   前回に引き続き、メーカーの方のためのPI値基礎講座、今回はその2である。前回はPI値を活用するポイントは客単価(金額PI値)=PI値×平均単価のマーチャンダイジングの基本数式に則ってPOSデータを解析し、原因と結果、目的と手段を取り違え、改善効果のでない提案にならないためのポイントを示した。今回は、もう一点、メーカーの方がよく陥りがちな、小売業への提案の際、問題となる点をまとめてみたい。その最大の問題点は問題の特定の仕方、原因の追及の仕方である。

   POSデータをPI値で解析すると客単価=PI値×平均単価の数式が示すように、結果が客単価で判断されるため、客単価がアップした場合は何が原因か、逆にダウンした場合も何が原因かが問題になり、その原因究明に入る。この時、メーカーの方が陥りやすい原因究明の仕方は、内部要因から究明してゆくよりも、外部要因から問題の原因を究明してゆくことになりがちな点である。どうしてもメーカーの場合は、膨大かつ綿密なマーケティング調査にもとづき、新商品を開発し、テストマーケティングを経て、小売業に商品の導入をはかっているため、マーケティング調査データが前提となった商品コンセプトとなり、問題はマーケティング戦略上の問題にあるのではと思いがちになるためであろうと思われる。したがって、ここから、客単価がアップした場合も、ダウンした場合もマーケティング調査が正しかった、正しくなかったという判断になりがちとなり、小売業への提案も自然、販促の強弱、ターゲット、タイミングのズレにあるのではという内容となりがちである。

   メーカーとしては、これはごく自然なアプローチであり、その問題の原因究明、それにもとづく提案は当然といえば、当然である。ただ、これを小売業側からみた場合、それは客数×客単価でいえば、客数改善の要素が大きく、客単価を改善することにはつながらない提案である場合が多い。なぜなら、客単価アップ、ダウンの原因は必ず、PI値の問題か、平均単価の問題に帰着でき、その数字を改善できない限り、客単価は1円もあがらないからである。POSデータを分析する意味は、客数を増加させることではなく、客単価を増加させることであり、顧客1人当りの売上、客単価をいかに改善できるかが最大のポイントである。そのためには、商品1品1品、カテゴリーひとつひとつを客単価=PI値×平均単価に分解し、客単価がアップした要因、ダウンした要因を商品1品1品で、カテゴリーひとつひとつで特定し、その要因をPI値に問題があるのか、平均単価に問題があるのかを突き詰め、その原因をまず、内部要因で特定することが先決である。そして、その後、内部要因で特定できない問題、補足すべき課題を外部要因で補強するというアプローチがPOSデータを解析した場合の自然の流れである。

   どうもメーカーの提案は逆のアプローチとなっている場合が多く、せっかくPOSデータを解析し、売上を客数×客単価に分解し、さらに客単価をPI値と平均単価に分解しているにもかかわらず、客単価がアップした要因、ダウンした要因を商品、カテゴリーを特定し、さらに、PI値に問題があるのか、平均単価に問題があるのかという要因分析を飛ばし、いきなり、原因をマーケティング調査にもとづいた外部要因にもっていってしまい、販促の改善による問題解決の提案となってしまうことをよくみかける。これでは、その後、客単価アップに結び付くかどうかは難しいといえ、仮説検証のPDCAサイクルが空回りしてしまいかねない提案となり、小売業のマーチャンダイジングの強化につながらない結果となってしまうといえよう。

   POSデータの解析をするのであれば、基本数式は客単価=PI値×平均単価であり、まず、客単価がアップしたり、ダウンした場合はその特定商品、特定カテゴリーを明確にし、次に、その特定商品、特定カテゴリーのPI値か平均単価どちらが強く働いたかを特定し、ここではじめて、その原因をまず、内部要因から分析し、次に、外部要因で補強し、その分析結果を受けて、様々な仮説を構築し、小売業にぶつけ、提案内容を高めて行くことがポントである。特に、内部要因は小売業側の協力がないと十分に解明できない場合があるので、POSデータの解析段階で、特定商品、特定カテゴリーを明確にし、PI値、平均単価どちらに問題があるのかを突き止めておくことが必要である。ここまで、POSデータの分析ができていれば、あとは、その原因を小売業、メーカー双方で内部要因、外部要因とつきつめ、小売業側がやるべきこと、メーカーが補えることを明確にし、仮説をつくってゆくことになろう。

   このように、POSデータ解析はPI値を活用すれば、客単価=PI値×平均単価に分解可能となり、客単価アップ、ダウンの原因を明確にするポイントが、まず、商品、カテゴリーの特定であり、次に、その要因がPI値か平均単価かどちらであるかを明確にすることであり、ここではじめて、まず、内部要因で原因を特定し、次に外部要因で補強するこという流れが小売業へ提案する際にはポイントであることが明確になる。どうも、この流れが逆の流れになっていることが、メーカー側の提案では多々見受けれられるので、再度、POSデータを特にPI値を活用して提案する際には、このような点を意識したいものである。

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December 27, 2007

メーカーの方、必見、PI値の解釈、基礎講座!

   ここ最近、メーカーからの依頼、相談が増えている。いずれも、POSデータの解析方法、活用の仕方についての内容が多い。小売業がPOSデータの公開を積極的に進め、そのデータにもとづいた提案を求められるようになったことがその背景にあるようである。そこで、ここでは、POSデータを解析し、小売業に提案をする際の最も重要な解析のポイントについてまとめてみたい。

   小売業のPOSデータ活用の基本は顧客1人当りの指標、PI値にもとづいて解析し、その解析数値をもとに顧客に対して支持の高い商品づくり、店作り(棚割、レイアウト)を目指すのが一般的な手法である。PI値が大切な理由は、小売業の売上は、売上=客数×客単価で分析され、売上を上げるためには客数を上げるか、客単価を上げるかの2者択一のアプローチをしてゆくからである。そして、客数はチラシ政策が基本のアプローチ手法となり、客単価はマーチャンダイジングの強化、すなわち、欠品、過剰在庫を排除し、鮮度アップをはかったり、価格政策、POP等の販促、棚割、レイアウトの改善等をはかってゆく。そして、その時、客単価をさらに分解し、客単価=売上÷客数=(買上点数×平均単価)÷客数=(買上点数÷客数)×平均単価=PI値×平均単価と展開し、客単価アップをPI値アップと平均単価アップの観点から改善してゆくことがポイントとなる。

   この客単価=PI値×平均単価がマーチャンダイジングの基本数式であり、この数式にもとづいて、すべての商品が分析され、いかに客単価アップをはかるかが小売業の最も重要なマーチャンダイジング政策となる。ところが、ここで、よく誤解が発生する。この数式からもわかるとおり、小売業のマーチャンダイジングの目的は客単価アップにあるわけであるが、なぜか、小売業界ではPI値が先行して普及したため、PI値アップがマーチャンダイジングの決め手であり、目的と勘違いされることがよくある。PI値アップを目的としてしまうと、PI値さえアップすればマーチャンダイジングは成功したと判断され、それが成功事例として水平展開されてしまうことになる。ただ、よくこの数式を見ればわかるように、客単価=PI値×平均単価であるため、PI値がアップしても、それ以上に平均単価がダウンしてしまえば、結果、客単価は下がってしまい、客数が横ばいであれば、売上まで下がってしまう。

   典型的なケースが、バラ売りとまとめ売りのケースである。PI値アップをはかるにはバラ売りが最適な手法であるが、まとめ売りが併売されないと、PI値のみあがり、平均単価がさがり、結果、全体の客単価がダウンしてしまう。もちろん、逆のまとめ売りだけでは、今度は平均単価がアップし、PI値がアップせず、結果、客単価が落ちる結果となる。客単価アップはPI値と平均単価の微妙なバランスをとることがポイントであり、PI値アップはかならずしも、客単価アップにはつながらないということであり、マーチャンダイジングの改善にもならない場合があるということである。

   これは、目的と手段、結果と原因を取り違えたことから起こるものであり、客単価=PI値×平均単価の数式が示すように、PI値は目的でもなく、結果でもない。PI値は手段であり、原因なのである。目的は客単価アップであり、結果も客単価アップである。したがって、マーチャンダイジングが改善されたかどうかは、客単価で判断すべきであって、客単価が上がった場合はマーチャンダイジングが改善され、下がった場合はマーチャンダイジングがうまくいかなかったと判断するのがマーチャンダイジングを理解する上でのポイントである。

   仮説検証も同様、仮説の目的は客単価アップであり、その手段はPI値をアップさせるか、平均単価をアップさせるか、双方をアップさせるかの3択しかない。検証も客単価がアップした場合は成功、ダウンした場合は失敗と見なし、その原因をPI値に問題があったのか、平均単価に問題があったのか、それとも双方に問題があったのかの3択の判断となる。ちなみに、客単価のことを金額PI値、売上PI値ともいい、PIがついた場合は常に顧客1人当たりの指標となる。粗利PI値、経費PI値、人件費PI値、純資産PI値、負債PI値、総資産PI値、出店関連資産(土地、建物、保証金等)PI値など、PI値は工夫次第でいくらでもつくることが可能となる。

   このように、POSデータを活用するには、顧客1人当りに直したPI値で見ることが基本であり、その際、客単価(金額PI値)=PI値×平均単価の基本数式をもとにすべての単品、小分類、中分類、大分類等を解析し、客単価アップを目的に、PI値、平均単価の改善の仮説をたて、マーチャンダイジングの改善に取り組むことがポイントである。今後、メーカーにはPOSデータが当たり前のように小売業から開示されるようになると思うが、その際、客単価(金額PI値)=PI値×平均単価の数式をもとに、客単価アップの仮説をPI値と平均単価の改善を前提に小売業へ提案してゆくことがポイントとなるので、POSデータを解析する際には目的と手段、結果と原因を取り違えないように注意が必要である。

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December 26, 2007

ローソン、九九プラスの筆頭株主に、34.2%へ!

   12/25、九九プラスが、「第三者割当により発行される株式の募集並びに主要株主である筆頭株主の異動に関するお知らせ」を公表した。それによると、12/25の九九プラスの取締役会において、新株を第三者割当てにより、1株65,000円で20,500株を発行し、ローソンに割当てるというものであり、これにより、13億3,250万円の資金調達をするといものである。申込期日および払込期日は2008年1月10日であり、資本には1株32,500円を組み入れるという。さらに、この第三者割当前の12/28には、キョウデンの保有する持ち株の内、7,500株をローソンに譲渡する予定であるといい、これらの結果、これまでの筆頭株主がキョウデンの38.3%の比率が29.6%の第2位へと落ち、変わって、ローソンが34.2%の筆頭株主となる予定であるという。

   その理由を九九プラスは、「株式会社ローソンへは平成19 年2月28 日の業務・資本提携に際して、同年3月16 日に当社の新株式31,500 株を割り当て、主要株主である第2位株主として信頼・協力関係を築いてまいりました。今回の募集の目的は、更に信頼・協力関係を強化することでスピードを伴った事業の発展・拡大による企業価値の向上であり、時間をかけず同社に筆頭株主になっていただく必要から新株式の発行を選択し、追加で割り当てることにいたしました。」と説明しており、スピードを伴った事業の発展が目的であるという。

   この調達資金、約13億円強の使途であるが、「全額、1)店舗の内装工事費及び敷金・保証金など新店及び既存店への投資(約10 億円)、2)株式会社ローソンとの業務提携に関わる投資等(約3億円)に充当する予定」であるという。前回、3/16、同じくローソンに発行した第三者割当増資約38億円強についても、使途は、1)新規出店投資(店舗の内装工事費及び敷金・保証金など)、 2)情報システム開発投資(第4次システムにおけるソフト構築費など)等に充当を目的としており、現時点では、「1)新規出店投資(店舗の内装工事費及び敷金・保証金など)に10億円弱、2)情報システム開発投資(第4次システムにおけるソフト構築費など)等に13億円強の合計23億円強を充当しているとのことである。今回さらに13億円強が加わることにより、まさに、スピードを伴った事業の発展につながるといえよう。また、ローソンが1/3を超える株式所有比率となる34.2%を取得することにより、実質上経営の主導権を握ることができ、キョウデンの29.6%と合わせると63.8%と過半数を優に超え、ローソン主体の経営が一層強化されるものといえよう。

   九九プラスとローソンは現在、「現在、当社と株式会社ローソンは40 項目についての具体的な提携を図っていますが、今後も優先度合いを考えながら、遅滞なく速やかに進めていきます。主な項目については既に進行中ですが、なかでも「物流合理化の一層の推進」、「規模のメリットによる値入改善」、「バリューローソン(ローソンストア100)との統合」をテコにして、FC化を推進」という状況であり、中でもFC化は現在、九九プラスが成長をはかってゆくための最重要課題であり、この中間期の9月の決算時では全815店舗に対し、FCは126店舗(15.4%)であり、昨年の中間決算時でも全843店舗中120店舗(14.2%)と漸増という状況である。ちなみに、同じ中間期、8月におけるローソンの店舗数は全8,603店舗中、8,147店舗(94.7%)がFCであり、九九プラスとは正反対のビジネスモデルであり、今回のローソンとの提携の意義はこのFC化のビジネスモデルを早い段階で作り上げ、今後の成長につなげてゆくことが、当面の目的であることがわかる。
 
   なお、この内容は12/25の日経の夕刊にも掲載されており、それによると、さらに取材記事として、詳細が報道されている。特に、PBの変更が来年2月までになされるとのことで、これまで九九プラスが投入していたPB、QQレーベルは廃止し、ローソンのバリューラインに統一されるという。その結果、九九プラスが販売していたQQレーベルの調味料や冷凍食品、パンなど約700品はローソンの生鮮コンビニでバリューラインとして販売されるという。また、共同仕入れ、物流改善などで粗利率を0.2ポイント改善し、営業利益15億円増を目指すとともに、食の安全、安心を目指し、現在45%の冷凍食品の国産比率を70%以上に引き上げるという。

   このように、ここへ来て、ローソンが九九プラスがとの資本・業務提携をさらに踏み込み、これまでの第2位の株主から、34.2%の筆頭株主となり、実質上経営権を取得し、これまで以上の九九プラスの改革に踏み込むことになることが決まった。今後、物流改善、PBの一本化、バリューローソン(ローソンストア100)との統合が急速に進むものといえ、これにより、FC化のビジネスモデルの体制が整い、再び、成長路線へと経営の舵を切ることが可能となる環境が整う。九九プラスの資金調達が完了する来年1/10以降、どのようなスピードで九九プラスの経営改革が進んでゆくかに注目である。

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December 25, 2007

第3四半期決算短信、マックスバリュ東海、西日本を見る!

   今週ぐらいから、2008年2月期決算の食品スーパーマーケットの第3四半期決算の公表がはじまった。今後、続々と決算結果が公表されてくると思うが、今回は、食品スーパーマーケット業界でも成長著しいイオングループのマックスバリュ東海と西日本の第3四半期決算の状況を見てみたい。連結決算の概要であるが、マックスバリュ東海は売上高838.97億円(112.0%)、営業利益32.64億円(104.9%:売上対比3.89%)、経常利益33.90億円(110.2%、売上対比4.04%)、当期純利益16.79億円(92.1%:売上対比2.00%)と当期純利益は若干昨対を下回ったが、営業利益、経常利益段階では増収増益の好決算であった。特に、売上が112.0%と2桁の伸びである。また、マックスバリュ西日本については、営業収益1,445.36億円(106.4%)、営業利益48.16億円(105.0%:営業収益比3.33%)、経常利益50.55億円(105.3%:営業収益比3.49%)、当期純利益27.36億円(131.1%:営業収益比1.89%)と増収増益の好決算であった。

   マックスバリュグループは現在、積極的な新店を全国で展開しており、この第3四半期決算数値を見ても、マックスバリュ東海の売上高は110.2%と2桁の成長が注目される。マックスバリュ東海は現在61店舗であるが、この第3四半期中においても、9月にマックスバリュ大仁店(静岡県伊豆の国市)、10月にマックスバリュ福田店(静岡県磐田市)、マックスバリュ甲府長松寺店(山梨県甲府市)、11月にはマックスバリュ甲府住吉店(山梨県甲府市)、マックスバリュ富士南店(静岡県富士市)の計5店舗の新店を出店しており、最終的には子会社化したジョイフル5店舗を含め、今期は11店舗の新店を出店する予定である。また、マックスバリュ西日本についても、9月にマックスバリュ高屋店(広島県東広島市)、11月にマックスバリュ柳井新庄店(山口県柳井市)、マックスバリュ大久保西店(兵庫県明石市)、マックスバリュ西の土居店(愛媛県新居浜市)と4店舗をオープンしており、売上も106.4%と好調である。

   特にマックスバリュ東海は今後とも積極的な新規出店を行ってゆく方針であり、そのために、今期から物流に関する経費と収入の計上方法を変えている。これまでは物流費用を経費の方に計上し、物流収入はその他の営業収入に計上していたが、今期からは、物流収入から物流経費を差し引いた純粋な物流収益をその他営業収入に計上している。これにより、純粋な物流に関する収益が明確になり、今後、増加するであろう物流に対する会計上の対策を講じている。その結果、この第3四半期の営業総利益はその他物流収入が経費分減ったため昨年対比では104.9%となり、経費も同様に減り、104.0%となり、営業利益が売上高対比では減ったが、全体の収益構造は昨年と大きくは変わっていない。

   今後、マックスバリュグループが積極的な新規出店を果たしてゆくには、財務面の裏付けも必要である。そこで、まず、自己資本比率を見てみると、マックスバリュ東海は68.5%と食品スーパーマーケット業界でも屈指の高さである。これに対し、マックスバリュ西日本は48.1%であり、自己資本比率が低く、今後、この点の改善が必要といえよう。その違いをまず、長短借入金に見てみると、マックスバリュ東海は5億円のみであり、総資産の1.0%であり、実質無借金経営であり、マックスバリュ西日本も長短借入金が6.4億円と総資産の1.08%であり、実質無借金経営である。両企業とも借入依存度は極めて低く、借入に頼らない新規出店体制が進みつつある。したがって、両企業の自己資本比率の差、約20%は、借入金ではなく、その他にあるが、最も大きな違いは純資産の利益剰余金であり、マックスバリュ東海が282.7億円(総資産の57.6%)であるのに対し、マックスバリュ西日本は190.6億円(総資産の32.3%)であり、この差が自己資本比率の決定的な差となっている。自己資本比率を上げるには、借入依存度を減らす一方で、純利益をしっかり確保することがポイントであることがわかる。

   一方、資産の方も見てみると、特に出店にかかわる資産であるマックスバリュ東海の土地、建物、差入保証金は166.2億円(総資産の33.9%)であるのに対し、マックスバリュ西日本は292.6億円(総資産の49.66%)である。これを1店舗当りに直して見ると、マックスバリュ東海は61店舗であるので、2.72億円、マックバリュ西日本は132店舗であるので、2.21億円と食品スーパーマーケット業界でも屈指の低い出店資産といえる。新規出店コストを抑え、その資産もマックスバリュ西日本はぎりぎり、自己資本比率で賄える比率であり、マックスバリュ東海は余裕の自己資本比率であるといえる。

   このように、この第3四半期の決算結果を見る限り、マックスバリュ東海は来るべき大量出店時代に合わせ、収益性、自己資本の充実をはかり、出店にかかわる資産も極めて低く抑えており、今後急成長が期待できよう。また、マックスバリュ西日本に関しても、借入依存度はほぼ0に近く、今後、収益性がさらに改善することにより、利益剰余金が増加し、自己資本比率を充実させることができ、自己資本の範囲内での大量出店が可能となろう。来期、両食品スーパーマーケットの新規出店による成長性がどこまで伸びるかに注目である。

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December 24, 2007

西友のクリスマスのちらしを見る、ファミリークリスマス!

   西友、LIVINのちらしが自宅に入った。毎週入るわけではないが、今回はクリスマス特集ということで、全館24時館営業の巣鴨店から比較的近いので、ちらしを多めにまいたものと思われる。1面を見ておやっと思った。ファミリークリスマスというキャッチフレーズとともに全面クリスマス関連のくくりできった商品分類となっており、通常の食品スーパーマーケットの商品分類での商品が全く訴求されていないことである。ちょうど同じ時期のサミットのちらしは同じクリスマス特集であるが、クリスマス分類に加え、総菜、冷凍食品など、通常の商品分類からのくくりからも商品訴求がされている。今回の西友のちらしは1面すべてがクリスマス分類での訴求であり、100%企画テーマ型ちらしといえよう。

   実際の西友の12/23から12/24までの3間通しのちらしの一面であるが、全体は9つの分類になっている。ローストチキン(5品)、ローストビーフ(3品)、ステーキ(4品)、サラダ(13品)、ピザ(4品)、オードブル(9品)、スパークリングワイン(8品)、寿司・刺身(8品)、デザート&フルーツ(14品)である。これに加え、クリスマスフラワーが397円均一でバラ5本、チューリップ5本などが赤いあざやかな写真で訴求されている。このように、通常の商品分類から、各単品を抽出し、訴求するのではなく、クリスマスに最も需要の高い単品を中心に新たに商品分類をくくり直しており、クリスマス期間中のみの数日間、大分類に匹敵する商品ボリュームとなる商品群を訴求したちらしといえよう。

   よく考えてみると、商品分類とは本来、このようにあるべきであり、顧客の需要を中心に商品分類を作ってゆくことが本筋であろう。食品スーパーマーケットでは通常、商品分類は素材が最優先になり、青果、鮮魚、精肉、加工食品、菓子、酒、日雑などと分類され、これに惣菜、日配等の生鮮3品の加工品が新たに加わって商品管理がなされると同時に、売場づくりもこの商品分類ごとに作られてゆく。顧客はこの商品分類の中から自分のメニューに必要なものをちょうどベルトコンベアからピックアップするようにカゴに入れてゆき、商品を購入している。顧客から見れば、食品スーパーマーケットの売場には何の分類もなく、工場の様々な部品が整理されて倉庫のように置かれているにすぎず、そこに何らかの意味、商品のくくりを見出すのは顧客個々の役割である。

   仮に、今回の西友のような分類を作るとなるとどのような方法があるだろうか。従来の商品管理、POS分析では恐らく難しいと思われる。通常のPOS分析ではPI値分析までできるが、このPI値は全体客数で割ったPI値であるため、全体の需要は把握可能であるが、個々の顧客の需要を把握するには、全体客数ではなく、様々なグルーピングされた客数での需要を把握することが必要であるからである。

   今回の西友の9つのカテゴリーの中のトップカテゴリーであるローストチキンは通常のPI値でもこのクリスマスの数字がトップクラスになると思われるが、この次に来るカテゴリー、そして、そのカテゴリーの中の重点商品については、客数を細分化し、グルーピングしてはじめて見えてくると思われる。したがって、ローストチキンの購入客で割ったPI値分析、いわゆるPPI分析を実施し、その顧客だけが購入する商品をきめ細かく分析する必要があり、このように分析してはじめて、このクリスマスにローストチキンを購入した顧客の本当の姿が見えてくるといえよう。

   たとえば、今回のクリスマス特集の9つの分類の中で恐らく、ローストチキンとの関連が高いと思われる主食として、ピザ、すし&さしみが考えられるが、西友は、ピザとして4品を訴求している。冷蔵の伊藤ハムのマルゲリータ、日本ハムの石窯工房、丸大の北海道日高モッツァレラの3社を298円で訴求し、カテリーナクックチーズ498円、ブラックタイガー59円、マッシュルーム148円を併売訴求している。これがPPIで分析して見て重点商品としてピックアップされるのか、それともさらにこれ以上の重点商品がこのクリスマス時期のピザの購入顧客に存在するのかがポイントとなろう。

   同様に、すし&さしみでも、寿司のメインを1280円で訴求し、1980円と手巻き寿司650円の3品のみの寿司の訴求であるが、ひょっとすると980円、780円、580円の方がこのクリスマス時期の購入顧客のみで見た数字は高いかもしれない。刺身でも1980円をメインに、たらばがにの650円、まぐろ大ばち278円、いくら698円、ミツカン五目ちらし278円を関連訴求しているが、1980円ではなく、寿司と同じ1280円であるかもしれないし、関連訴求もさらに重点商品がこの寿司・刺身だけの顧客、ローストビーフの顧客で割ったPI値で算出したPPIではさらにあるかもしれない。

   このように、これまで何気なく食品スーパーマーケットの通常の商品分類に加え、今回の西友のクリスマスのちらしに見るがごとく、その時期、企画特有の商品分類をつくり、ちらしでは普通に訴求してきたが、これを従来のPOS分析に加え、様々にグルーピングされた顧客のPI値、すなわち、PPIでくくってみると新たな分類の構築につながったり、その分類の重点商品の見直しにつながったりすることに発展し、最終的には食品スーパーマーケットの現状の商品分類の再構築につながってゆくように思える。今回はたまたま西友のクリスマス特集のちらしが舞い込んできたが、そんなことをこのクリスマス特集のちらしを見て考えてみた。

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December 23, 2007

オーケーストアに見る商品構成比、粗利率の現状!

   先のブログでオーケーストアの2008年3月期の中間決算の状況を取り上げたが、ここではさらに踏み込んで、オーケーストアのマーチャンダイジングを支える各商品の構成比とその粗利率(売買差益)について見てみたい。中間決算では全体の粗利率は19.6%であり、販売費及び一般管理費が15.3%となり、差引き営業利益が4.3%という数字であったが、その19.6%の粗利率を支える各商品ごとの個々の粗利率はどのような数字となっているかについて見る。この19.6%の粗利率は、食品+生活レジャー+テナント収入が入っての数字であり、食品だけで見ると19.3%となる。生活レジャーとテナント収入の粗利貢献度が高く、0.3ポイント押しあげているといえる。ただ、生活レジャーは構成比が1.6%、粗利率が17.9%であるので、全体への粗利率への貢献度はむしろマイナスであり、粗利率への貢献度が高いのは構成比がわずか0.8%であるが、粗利率63.0%のテナント収入であり、相乗積は0.48と生活レジャーの0.27と比べ粗利高貢献度も高く、このテナント収入が粗利率を引き上げているのが実態である。

   さて、まず、生鮮の商品構成比と粗利率についてであるが、生鮮食品に加え、総菜、花も含めての食品における商品構成比は31.1%であり、意外に低い数字である。日配を含むグロサリーが68.9%であるので、ざっと3対7の割合であり、オーケーストアはグロサリーストアといって良い商品構成となっており、生鮮、惣菜よりもグロサリー、日配がマーチャンダイジングの強さの源泉であることがわかる。

   その約30%の生鮮、惣菜の個々の商品構成比と粗利率であるが、最も構成比が高い部門が青果であり、11.3%である。粗利率は19.3%であり、食品全体の平均と全く同じ粗利率である。ついで、精肉の7.7%、粗利率は22.5%、鮮魚の7.3%、粗利率25.6%となる。生鮮3品の内、青果が商品構成比No.1であり、精肉、鮮魚はほぼ同じ構成比である。ただ、粗利率は鮮魚が高く、ついで精肉、青果となる。相乗積については青果2.17、鮮魚1.85、精肉1.74であり、粗利貢献度は青果が最も高く、生鮮3品の中では青果が戦略商品といえよう。惣菜は3.2%、粗利率31.5%、ベイカリー0.7%、粗利率45.7%、寿司0.9%、粗利率29.5%であるので、意外に惣菜が弱いといえ、この3つを足した数字は構成比が4.7%、粗利率が33.3%である。ちなみに花は構成比は0.1%、粗利率は23.7%である。

   次に、グロサリーを見てみたい。グロサリーは一般食品・米、酒・煙草、消耗雑貨・ペット用品、家庭雑貨・文具、医薬品、菓子飲料、冷食・乳製品、日配食品1(麺ハム卵)、日配食品2(豆腐納豆練)の9つに分かれている。この中で最も商品構成比が高い部門は冷食・乳製品であり、14.7%、粗利率は18.1%である。ついで、一般食品・米の13.7%、粗利率は16.8%である。この2部門がオーケーストアの戦略商品といえ、低粗利で集客の中核商品といえよう。意外に日配が低く日配食品1(麺ハム卵)は4.6%、粗利率22.7%、日配食品2(豆腐納豆練)は4.8%、粗利率28.5%であり、店舗全体の集客よりも粗利を支える中核部門といえる。この2つを足しても商品構成比は9.4%であり、日配はあまり強い部門としては位置づけていないようだ。

   これらについで、商品構成比の高い部門は酒・煙草、菓子飲料であり、どちらも商品構成比は11.1%であり、粗利率は9.7%、18.2%である。酒・煙草は粗利率は低いが、商品構成比は高く、生鮮No.1の青果とほぼ同じ数字である。そして、消耗雑貨・ペット用品が7.1%、生鮮3品の精肉、鮮魚とほぼ同じ構成比であり、粗利率は14.6%である。家庭雑貨・文具はわずか1.1%であるが、粗利率は24.5%と高い。医薬品も構成比はまだ0.5%であるが、粗利率は21.4%と全体の19.6%よりも、高い数字である。

   ちなみに、相乗積の最も高い部門は冷凍・乳製品であり、2.66となる。ついで、2.31の一般食品・米、2.17の青果、2.02の菓子飲料となる。この3つの部門が相乗積2.00を超える部門であり、オーケーストアの粗利をささえる戦略部門といえよう。これについで、相乗積の高い部門は1.85の鮮魚、1.74の精肉となり、生鮮3品の粗利貢献度の高さが光っている。そして、1.37の日配食品2(豆腐納豆練)、1.08の酒・煙草、1.05の日配食品1(麺ハム卵)、1.04の消耗雑貨・ペット用品となり、ここまでが1.00を超える粗利貢献度の高い部門である。

   このようにオーケーストアの商品構成比と粗利率を見てみると、通常の食品スーパーマーケットとはかなり大きな違いがあり、生鮮、惣菜の商品構成比が低く、グロサリーの冷食・乳製品、一般食品・米の商品構成比が高く、この2部門がオーケーストアの戦略部門であることがわかる。また、意外に日配の商品構成比が低く、この部門は粗利重視の政策がとられており、特に日配食品2(豆腐納豆練)は粗利率が28.5%と惣菜の31.5%につぐ高さであることが特徴といえよう。オーケーストアは食品スーパーマーケットの中でも生鮮、惣菜に強い食品スーパーマーケットではなく、グロサリー、特に一般食品・米、冷食・乳製品の強い食品スーパーマーケットといえ、これが、オーケーストア特有の粗利率の低さと経費比率の低さをもたらしているといえよう。

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December 22, 2007

日経MJ新製品ランキング、12/21、カップヌードル、新製品投入!

   恒例の日経MJ新製品ランキング、12/21が公表された。先週まで、ここ数週間、日清カップヌードルミルクシーフードヌードルを追っかけてきた。その客単価は初登場で875円(1人当り0.875円)という超Aクラスでのスタートであったが、その後、客単価は476円(54.4%)、206円(43.2%)、126円(61.1%)と急落し、そして今週は127円(100.7%)とやっと下げ止まった。残念ながら、カバー率がまだ40.8%と伸び悩んでいるが、この辺で客単価が落ち着く可能性が高くなったといえよう。そのような中、年末も押し迫り、ここへ来て、日清食品があいついで新製品を発売した。まるで、数週間前のミルクシーフードヌードルを彷彿とさせる動きであり、カップヌードルネギしお豚カルビ78gがその他食品No.1となった。客単価はAクラスの695円であり、カバー率も68.0%とまずまずのスタートである。また、No.3にもカップヌードルベーコン旨ダレ醤油78g、客単価554円が入り、カバー率も同じ68.0%となった。来週以降、この2品がどのような客単価で推移するかが注目である。

   先週、その他食品No.1の明治乳業、ブルガリアヨーグルトLB81そのままでプレーン500gは、今週はNo.2となり、日清カップヌードル、ねぎしお豚カルビにNo.1の座を奪われたが、客単価は659円と依然として、客単価Aクラスを維持している。9/24初登場の新製品であり、そろそろ13週となるので、新製品からはずれるが、この約13週間客単価Aクラスを維持してつづけてきた。その背景には初回購買だけの強さでだけではなく、リピート購買もしっかり獲得していると考えられ、顧客から幅広く、しかも、深い支持がえられていると推測される。カバー率も94.0%であり、今後とも安定した顧客の高い支持が期待される注目の新製品といえよう。

   その他食品ではこれら3品以外でも、客単価Cクラスの200円以上の新製品が2品あり、1品は明治乳業、ブルガリアヨーグルトフルーツミックス80g×4、客単価315円である。カバー率も76.0%と高く、対象食品スーパーマーケット45チェーン、250店舗の大半をカバーしており、いまはやりの4連パックであり、注目である。もう1品はタカノフーズ、おかめ納豆極小粒カップ4、30g×4、客単価205円とぎりぎり客単価Cクラスとなったが、納豆という地域性もあり、カバー率は18.4%と9/26初登場の新製品としては各食品スーパーマーケットへ広がっておらず、日配食品がいかに地域性が高いかを表しているといえよう。

   今週は、その他食品についで、もうひとつ注目の部門がある。冷凍食品部門である。ここへきて、ハーゲンダッツジャパンが新製品を連発しており、No.1にはハーゲンダッツジャパンのドルチェモンブラン105mlが客単価483円という、もう少し客単価Aクラスとなる高さで2週連続No.1となった。 しかも、カバー率が81.2%という高さであり、注目の新製品といえよう。ハーゲンダッツはこれ以外にも、No.4にミニカップ・マルチパック6個入り(リッチミルク・ショコラクラシック・カスタードプディング)が客単価144円、No.5にミニカップラムレーズン120ml、客単価124円、No.6にミニカップノワゼットショコラ(ヘーゼルナッツ&チョコレート)120ml、客単価118円、No.7にミニカップ黒糖黒みつ120ml、客単価107円、そして、No.13にもクリスピーサンドラムレーズン66ml、客単価41円が入っており、この真冬ではあるが新製品ラッシュである。しかも、これらすべての新製品のカバー率が70%から80%であり、ハーゲンダッツへの各食品スーパーマーケットの関心の高さを示しているといえよう。

   冷凍食品ではハーゲンダッツ以外では、No.2に味の素、やわらか若鶏から揚げ325g袋が客単価252円の客単価Cクラスで入っており、アイスクリームに押され気味であるが、冷食の中ではトップである。No.3は森永乳業、エスキモー「ピノ限定アソート」10ml×28粒、客単価152円である。冷食はこれ以外には3品の合計4品のみであり、その他16品はアイスクリームであり、冬であってもアイスクリームの新製品開発は積極的である。この時期はちょうどクリスマスにもあたり、クリスマスに照準を絞ったアイスクリームの新製品開発であるといえよう。

   このように今週の新製品ランキングはその他食品、冷凍食品、特に、アイスクリームがヒートアップしており、注目の新製品ラッシュとなった。客単価は一時的に高い数値をとることは大きな販促を入れれば可能ではあるが、その高い数値を2週、3週と続けることは難しいといえる。客単価を高く維持し続けるには、初回購買客を広げて行く強さが必要であり、一方で、確実に高頻度のリピート購買顧客に支えら続けられる商品力が不可欠であるといえる。その意味でも、今週のブルガリアヨーグルト、ハーゲンダッツジャパン、ドルチェモンブランは数週間に渡って高い客単価を維持つづけており、しかも、カバー率も高く、今後、新製品期間である13週間が終了したとしても、注目しつづけたい新製品といえよう。来週は年末となり、今年最後の新製品ランキングの公表となるが、来週もこれら注目の新製品の動向をしっかりと見極めたい。

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December 21, 2007

オーケー、2008年3月期、中間決算、増収増益、目標と乖離?

   12/18、オーケーストアの2008年3月期、中間決算が公表された。オーケーストアの中間決算は2007年3/21より9/20までの6ケ月間の決算であり、本決算は2008年3/20までの12ケ月となる。連結中間期の売上は818.09億円(115.1%)、営業利益35.20億円(115.6%:売上対比4.3%)、経常利益35.64億円(116.6%:売上対比4.4%)、当期純利益20.58億円(107.9%:売上対比2.5%)であり、増収増益の好決算であった。昨年の売上伸び率が116.1%であるので、若干ではあるが伸び率が下がったといえるが、売上の伸び率は食品スーパーマーケット業界でもトップクラスである。

   ただ、オーケーストア自身はこの数字に不満なようで、既存店客数前年比が102.9%となり、目標数値の10%増を大幅に下回ったとのことである。さらに、もうひとつの大目標を、「総経費率は15%台、経常利益率は4%台を維持しながら、経営目標の『借入無しで年率30%成長を達成する』の実現を目指す」としている。これに関しては、後で詳細を見てみるが、総経費率15%台、経常利益率4%台に関しては目標を達成しているが、「借入無し、年率30%成長」にはまだまだ大きく目標を下回っており、今期、既存店が伸び悩んだことにより、かなり高いハードルとなったといえよう。

   この目標を大幅に下回った要因に関して、オーケーストアは、「経営方針の不徹底と出店による人材の希薄化によるものと認識しておりまして、人件費が少々高くなりますが新店に備えた人材の育成と蓄積は不可欠と存じます。新店の出店を控えれば総経費率は低下しますが売上の伸び率が低くなります。売上の伸びを重視して新店の出店数を増やすと総経費率は上昇します。」とコメントしており、成長重視か利益重視かのバランスがこの中間決算では難しい経営方針の選択であったとのことである。

   実際、この中間決算時には新店として、川口店(4/19、約700坪強)、新山下店(5/15、約600坪強)、青物横丁店(6/28、約300坪弱)、南六郷店(9/14、約550坪強)の4店舗を新規出店しており、その結果、経費比率が昨年の15.0%から15.3%と0.3ポイント上昇している。ただ、粗利率が昨年の19.3%から今期は19.6%と0.3ポイント改善したために差引、営業利益率は昨年の4.3%と同じ数字となったが、積極的な新店開発が経費の上昇につながったといえよう。オーケーストアは現在49店舗であり、仮に毎年130%の成長を果たしてゆくには、既存店が100%として、単純計算では15店舗弱の新規出店をする必要があり、この中間期の4店舗では全く追いつかず、既存店が110%でも10店舗近い新規出店が必要となる。この中間決算時の数字を見る限り、かなり高いハードルであるといえよう。

   一方、借入無しという目標数字であるが、この中間決算時の社債を含む長短借入金は154.05億円と総資産の29.75%であり、昨年の160.7億円よりは、若干、削減されたが、まだまだ重い借入金であるといえよう。したがって、自己資本比率も30.6%と昨年の25.8%、本決算時の28.8%と比べると若干改善されているとはいえ、厳しい数字であるといえる。

   資産面に目を転じて見ると、特に、出店にかかわる資産である建物、土地、敷金及び差入保証金の合計は312.8億円(昨年285.6億円)と約25億円増加しており、総資産に占める割合は60.4%となり、自己資本比率30.6%では賄えず、借入金等に約50%依存せざるをえない新規出店状況といえ、『借入無しで年率30%成長を達成する』とする経営の大目標を達成するにはかなり思い切った自己資本比率を引き上げる資金調達に加え、既存店の活性化、新規出店コストの大幅な抑制が必要となろう。ちなみに、オーケーストアの1店舗当りの出店にかかる資産は49店舗で割ってみると、6.3億円となり、食品スーパーマーケットとしてはかなり高めの出店コストといえ、首都圏での大型ディスアクンとストアという業態ゆえの数字といえよう。

   ただ、この中間決算時の資本金を見ると、以前、本ブログでも触れたが、今期、オーケーストアは一般顧客へ向けての種類株式の発行を行っており、増加している。実際、当時、私がたまたまオーケーストアの川口店に立ち寄った時、目論見書と申込書を店頭で会員の希望者に頒布しており、自己資本の増強に取り組んでいた。その結果が今期の中間決算に計上されている。それによると、資本金はこれまでの9.45億円から、オーケー2007年種類株式が12.29億円増加し、さらに、資本剰余金として、同じく、オーケー2007年種類株式が2.84億円増加しており、資本金が2倍以上に増加した。これに今期の利益剰余金が118.28億円加わり、結果、純資産が昨年の118.59億円から158.46億円と増加した。これにより、今期の自己資本比率が若干増加したが、まだまだ、全体の構造を変えるほど、大きな金額ではなく、さらに、思い切った資金調達方法の検討も、目標達成のためには今後必要となろう。

   このように、この中間決算を見ると、各食品スーパーマーケットと比べると、増収増益と好決算であり、高成長、高収益をもたらす好決算であったといえるが、どうも、オーケーストアの経営目標がとてつもなく高いところに設定されており、目標数値から見ると、大きく乖離している。この目標数値を実際に達成するには、現状の延長では当面は不可能に近い目標数値といえ、再度、現実的な目標数値を設定し直し、着実に目標数値を達成していきながら、最終的に究極の目標数値を達成してゆく経営計画の策定が必要なように思える。オーケーストアの本決算でどのような修正が入るかに注目したい。

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December 20, 2007

イオン、光洋を子会社化、食品スーパーマーケット再編へ!

   12/14、イオンが光洋を子会社化するプレスリリースを公表した。それによると、光洋の発行済株式348,000株の内、312,000株(89.9%)をイオンが光洋から譲受け、子会社化するというものである。光洋は1973年大阪八尾市に1号店を開店以来、鮮度にこだわる食品スーパーマーケットを都市部中心に大阪府、兵庫県に27店舗展開しており、現在、年商は423億円である。このプレスリリースを皮切りに、各新聞社が一斉に、イオン、光洋双方に取材し、その詳細が明らかになりつつあるので、まず、各社の報道内容を見てみたい。

   日経新聞では、「イオンは12月17日付で落合梅彦会長ら光洋の創業家から株式を約150億円で取得する。会長、社長ら経営陣は残留し、店舗名も変えない。」と報道しており、買収額は150億円であり、光洋の店舗名は今後もそのまま継続し、しかも、会長、社長は留任であるという。また、落合会長がインタビューに応じているが、「イオン傘下に入る理由を「現状の規模では単独で競合企業と戦うには限界がある」と述べた。」とのことであり、規模の拡大を第一に挙げている。さらに、「プライベートブランド(PB=自主企画)商品「トップバリュ」や独自電子マネー「WAON(ワオン)」を光洋に導入し」とのことであり、PB、電子マネーの導入を図り、粗利率の改善と来店頻度のアップをいっきに図るとのことである。

   また、朝日新聞では、「光洋を巡っては最近数年間は、地場スーパーなど数社が提携を打診していたという。関係者によると、今春には「阪急オアシス」を傘下に持つ阪急百貨店との資本・業務提携も合意直前まで至った。ただ、光洋側は店舗名の存続や現経営陣の留任など求める条件も高く話し合いは決裂。今回、「KOHYO」ブランドを残すなど光洋側の示した条件を、ほぼ全面的に受け入れたのがイオンだった。」とのことで、関係者への取材等さらに踏み込んだ内容を報道している。特に、阪急オアシスとの資本・業務提携が直前までいっていたとのことであり、光洋も各社への資本・業務提携を打診しており、最終的にイオンに決まったことがわかる。また、その決め手が「KOHYO」ブランドへのこだわりであり、現経営陣の留任であったとのことである。ただ、イオンのこれまでのように約15%前後の株式の所有により、ゆるやかな連携をはかってきたこととは違い、89.9%というほぼ100%の完全子会社化に近い株式の保有であり、イオンが経営の主導権をもつことになる。現経営陣がどこまで経営戦略にかかわれるか未知数といえよう。

   さらに、産経新聞によれば、「光洋はイオンの資本力を背景に出店ペースを加速、「60店舗体制で、売上高1000億円を目指す」(落合会長)考えだ。」とのことであり、今後は1,000億円の売上高を目指すとのことで、現在423億円の年商であるので、約2倍の売上が当面の目標数字となるという。また、「同日行われた会見で落合会長は、「競争が厳しく、今後の成長を考えると規模の拡大が不可欠」と説明。「イオンの持つ商品の購買力や開発力、店舗開発力などを活用したい」とした。買収の話は、落合会長から持ちかけたという。」との内容が報道されており、この資本・業務提携の話がイオンからではなく、光洋からの話であったということである。

   さて、ここで、光洋の食品スーパーマーケットとしての特徴を見てみたい。光洋の食品スーパーマーケットとしての最大の強さは生鮮の鮮度、特に鮮魚の強さにあるといえる。最近の光洋のちらし、11/20を見ると、一面トップに朝市、9:30-1:00が来ており、キャッチフレーズが「KOHYO、鮮度の限界に挑む」である。そして、その象徴的な目玉商品として、鮮魚を全面に打ち出している。「銀粉がはがれていないものが新鮮」という説明とともに、広島産、タチウオ大1匹599円で訴求している。また、「目が澄んでいるものが新鮮」という説明とともに、宮城産地他国内産、生サバ大1匹399円での訴求である。この2品が象徴的に表しているように、鮮度を訴求し、他社とタチウオ大、生サバの大の鮮度の違いと自信を広告一面で訴えている。これ以外にも、兵庫県産他国内産、ウオゼ1匹150円、富山産他国内産、サゴシ1匹350円、北海道産他国内産、生サンマ1匹89円、長崎産他国内産、連子鯛1匹350円、大分産、ウルメ若干し1串199円、静岡産他国内産、真アジ1匹399円、北海道産、サンマ開き1枚79円、ロシア産、天然塩紅鮭中辛3切299円、ロシア産、シマホッケ開き1枚258円である。さらに、超目玉として、ロシア産、活ズワイガニ1杯680円、インド産、ブラックタイガーエビ12尾399円、兵庫県播州赤穂産、生食用生カキ150g、350円が朝市として大きく訴求されたちらしである。

   このように、イオンのプレスリリース後、新聞各社が今回のイオンと光洋の資本・業務提携の取材内容を報道しており、その詳細が明らかになりつつある。食品スーパーマーケット業界の再編もいよいよ本格化しはじめ、特に、今回の光洋に象徴されるように首都圏に展開する中堅食品スーパーマーケットの再編が東京だけでなく、近畿圏にも及びはじめたといえ、今後、イオンはもとより、中堅食品スーパーマーケットどうしの本格的な資本・業務提携も予想され、食品スーパーマーケット業界は文字通り、業界再編の本格的な時代をむかえたといえよう。

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December 19, 2007

ユニバース、2008年4月期、中間決算公表、増収増益!

   青森のユニバースが2008年4月期の中間決算を12/3公表した。ユニバースは食品スーパーマーケットではめずらしい4月度決算であり、この時期の中間決算の公表となった。ユニバースは食品スーパーマーケット以外にもホテル事業等があるため、その売上はさほど大きくはないが、連結、個別の双方を公開している。ここでは、ホテル事業等を除いた本体である食品スーパーマーケットの経営状況を優先する意味で、個別の決算を優先し、必要に応じて連結の数字も見てゆくことにする。

   その個別の中間決算数値であるが、営業収益456.12億円(107.8%)、営業利益17.53億円(164.2%:営業収益比3.84%)、経常利益18.04億円(168.4%:営業収益比3.95%)、当期純利益8.98億円(42.1%:営業収益比1.95%)と当期純利益は減収となったが、売上、営業、経常利益では増収増益の好決算であった。当期純利益に関しては、昨年は、食品スーパーマーケットのファルをM&Aで連結し、その繰越欠損金を引き継いだため、法人税等の負担が大幅に軽減された上での当期純利益であったので、今期がむしろ正常の当期純利益といえ、実質、当期純利益も好調な決算であったといえよう。ちなみに連結では、営業収益468.69億円(107.6%)、営業利益18.38億円(157.8%:営業収益比3.92%)、経常利益18.71億円(162.2%:営業収益比3.99%)、当期純利益9.46億円(59.9%:営業収益比2.01%)という状況であり、増収増益の好決算であった。

   ユニバースが昨対107.8%と増収となった要因であるが、既存店が101.7%と堅調に推移したことに加え、昨年出店した3店舗、2006年10月の五所川原東店(青森県五所川原市)、2006年11 月の黒石駅前店(青森県黒石市)、2006年12 月の盛岡南店(岩手県盛岡市)の貢献が大きいといえよう。さらには、今年、2007年10月に富士見店をNSC(近隣型ショッピングセンター)の核店舗として新規出店もごくわずかではあるが貢献したといえよう。現在、ユニバースは店舗数は青森県26 店舗、岩手県13 店舗、秋田県1店舗の合計40 店舗となり、毎年3店舗前後の堅実な新規出店を継続している。この12月7日にも今期2店舗目、合計41店舗となる大野店を青森市内に新規オープンしており、今期決算も好調な決算が予想されよう。

   ユニバースのこの中間期の経費バランスを見てみると、売上総利益が昨年の23.9%から24.5%と0.6ポイント改善しており、粗利が大きく改善している。不動産収入等の営業収入は昨年の1.1%から1.0へと0.1ポイント減少しているが、合計、営業総利益は昨年の25.0%から25.5%へと0.5ポイント改善されており、商品売買から得られる粗利が大きく改善したことが利益を押し上げた要因であるといえよう。また、販売費及び一般管理費については、昨年の22.4%から今期は21.6%と0.8ポイントも改善しており、粗利だけでなく、経費比率も大きく下がっており、ダブルで利益を押し上げている。したがって、差引き営業利益は昨年の2.6%から今年は3.9%と1.3ポイントと大幅に上昇している。これに売上の伸び107.8%が加わり、営業利益が164.2%と大幅な改善となったといえよう。

   この中間期のユニバースの営業面を見る限り、理想的な展開となっており、既存店の活性化が進み、順調に新店がオープンし、売上をアップさせ、一方、粗利と経費の双方を改善し、大幅な営業利益をもたらし、順調な売上がさらに営業利益を押し上げるという営業利益を生み出すきれいな善循環となった中間決算であったといえよう。

   一方、自己資本比率であるが、53.4%と昨年の46.1%、本決算時の47.1%と比べても上昇しており、連結で見てもほぼ同様な結果である。これは、東京証券取引所市場第二部への上場に際しての公募増資が大きく、昨年は資本金が1億円であったが、今期は15.229億円へと大幅に増えており、さらに資本準備金も13.11億円から27.34億円へと大きく増加し、結果純資産が151.27億円から193.29億円へと大きく増加したことが大きい。また、負債の主要項目である長短借入金は昨年の82.93億円から今期は61.55億円と好調な決算と増加した資本により、返済が進み、総資産に占める割合は17.0%となり、昨年の25.25%と比べ大きく借入比率が下がったといえ、健全な財務状況といえよう。このまま好調さが続けば、さらに自己資本比率は改善し、強固な財務体質づくりにつながってゆくものといえよう。

   また、資産面に目を転じると、食品スーパーマーケットの最大の資産といえる出店にかかわる資産状況であるが、建物、土地、差入保証金の合計は昨年の201.29億円から今期は204.56億円とわずかな増加であり、総資産に占める割合は56.52%であり、これを40店舗で割ると、5.11億円となる。毎年、2から3店舗の新規出店を果たし、しかも、ここ最近ではNSCへ力を入れ、店舗面積も大きくなりつつあるが、出店にかかわる資産はほとんど増加しておらず、今回の資本の増強と好調な決算により、自己資本比率53.4%とほぼ一致した比率となり、借入に大きく依存しない健全な新規出店が可能となりつつあるといえよう。

   このようにこの中間決算のユニバースは東証二部への上場にともない、公募増資をした結果、健全な財務体質へと大きく改善しつつあり、売上、粗利、経費のバランスもよく、利益が生み出される善循環サイクルを築きはじめており、さらに、借入に頼らない新規出店体制も着々と築きつつあり、経営面でも健全な財務体質となりつつある。このまま好調に業績が進んでゆけば、急成長路線をとらない限り、中期的には、健全な新規出店をともなった無借金経営も可能といえる経営状況といえよう。今期のユニバースの本決算、そして、今後、数年間の経営改善がどのような速さで進んでゆくかに注目したい。

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December 18, 2007

食品スーパーマーケット、栄枯盛衰、3年間の売上速報を見る!

   前回に続き、食品スーパーマーケットの売上速報を見てみたい。今回は、2007年11月度に加え、2006年11月度、そして2005年11月度と過去3年間の上場食品スーパーマーケット約20社の売上速報をもとに3年前と比べ、そして、昨年と比べどのように順位が変わったかを見てみたい。今年、2007年11月については、前回のブログで解説したとおりであるので、ここでは、前回のブログを前提に2006年11月、2005年11月との比較を中心に見てゆく。

   まず、全体の推移であるが、2007年11月度は105.2%、既存店99.9%であったが、2006年11月は108.1%、既存店99.3%、2005年11月は107.7%、既存店97.6%であるので、全体の数字は過去3年間では、最も低い伸び率であり、105.2%と堅調な売上伸び率ではあるが、この3年間の中では最も低い売上伸び率であった。ただ、既存店は99.9%と過去3年間の中では最高の数値であり、既存店に関しては健闘しているといえよう。これは、新規出店が低いということであり、過去3年間と比べ、新規出店が全体としては、減っているといえよう。食品スーパーマーケットの成長戦略の根幹は新店戦略であり、新店が思うように展開できないと確実に全体の成長はにぶり、場合によっては昨対を切ってしまうことがあり、既存店のみで、成長戦略を描くことは難しいといえよう。

   では、注目のトップ5を見てみたい。2007年11月のトップ5は、マックスバリュ中部(132.4%、既存店100.3%)、大黒天物産(125.0%、101.8%)、マックスバリュ東海(114.1%、101.1%)、ヤオコー(108.1%、99.7%)、ハローズ(107.8%、102.0%)である。これに対し、2006年11月のトップ5は、大黒天物産(128.7%、95.9%)、PLANT(120.4%、96.8%)、バロー(116.1%、103.9%)、オオゼキ(111.6%、98.1%)、カスミ(110.7%)であった。さらに、2005年11月は大黒天物産(135.4%、96.5%)、九九プラス(134.7%、93.1%)、PLANT(123.6%、100.6%)、マックスバリュ東海(118.3%、100.0%)、ハローズ(114.9%、94.0%)であった。

   これを見ると、まず過去2年間トップを走ってきた大黒天物産がNo.1の座をマックバリュ中部に明け渡したことが大きな変動である。130%台という高成長は10店舗クラスでは可能であっても、数10店舗、マックスバリュ中部のように50店舗以上となると計画的かつ積極的な新店戦略がないと不可能な数字といえ、その意味でも今回のマックスバリュ中部の132.4%でトップとなった数字は非常に高い成長率であるといえよう。

   これについでトップ5の状況を見ると、この2年間高成長を続けてきたPLANT、九九プラスが急激に失速したことである。いずれもワースト5となってしまい、現在、厳しい経営状況であり、成長率が止まったといえよう。ベスト5には入っていないが、2年前は中堅クラスであったアークランドサカモトも失速し、昨対を切ってしまった。逆に中堅クラスから、浮上してきたのがマックスバリュグループであり、マックスバリュ東海のみはこの3年間上位クラスで安定しているが、マックスバリュ中部、西日本ともに今年に入って急激に成長しており、急浮上といえる。

   また2年前と比べ、上記以外に順位が大きく変わった食品スーパーマーケットを見てみると、カスミが2年前はワーストに近く、昨対100%を切っていたが、昨年は5位に浮上し、111.6%となった。そして、今期は7位となり、107.5%とここ2年間で安定した成長である。また、同様にマルエツが2年前はワーストの95.5%であったが、昨年もワーストクラスで97.1%であったが、今年は一転、昨対をクリアし、104.1%となり、11位となった。既存店も104.6%と好調であり、ここ2年間の低迷状況を脱出し、成長路線に軌道が乗り始めたようである。

   以上は、この3年間で上下の激しい食品スーパーマーケットであるが、逆に、中堅クラスで安定した成長をしている食品スーパーマーケットもある。ヤオコー、ハローズ、オオゼキである。ヤオコーは2005年8位(107.2%)、2006年8位(108.4%)、2007年4位(108.1%)と110%までは届いていないが、110%弱で安定した成長をこの3年間維持している。ハローズも2005年5位(114.9%)、2006年9位(107.3%)、2007年5位(107.8%)と安定した成長を続けている。そして、オオゼキも2005年6位(108.8%)、2006年4位(111.6%)、2007年10位(104.7%)と今年は新店がなく、既存店のみで、やや厳しい数字であるが順位はベスト10以内と安定しており、特に、既存店104.7%は過去3年間でもトップクラスの成長率である。

   このように過去3年間という流れで、各食品スーパーマーケットの成長の軌跡を見てみると、トップクラスを3年間維持するのは至難の業であるといえる。特に、120%、130%の高成長を続けることは難しいといえよう。この3年間の数字を見る限りでは、110%前後の成長が中長期的には安定した無理のない成長をもたらしている事例が比較的多いといえ食品スーパーマーケットの成長は110%ぐらいで、中長期的な既存店の活性化をともなった計画的な新店戦略を描くことがポイントであるといえよう。その意味で、今後は110%前後の食品スーパーマーケットで中長期的なしっかりした経営計画をもっている企業に注目したい。

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December 17, 2007

食品スーパーマーケット、売上速報、2007年11月度、105.2%!

   食品スーパーマーケット上場約20社の売上速報をまとめてみた。現在、食品スーパーマーケットの上場企業は約50社強であるが、その中で月次売上速報を公表している企業は約20社強である。総店舗数は約2,000店舗であり、先行指標としては十分な指標といえよう。その速報数値であるが、全体では105.2%、既存店は99.9%と堅調な伸びとなった。先月、10月度が104.8%、99.5%であったので、若干であるが、売上は伸びたといえる。ただ、個々の状況を見ると、大きく変動しており、ここ数ケ月で順位が激しく入れ替わっているのが現状である。

   特に顕著な動きとして、先先月までトップを走っていた大黒天物産が2位となり、変わって、先月からマックスバリュ中部がトップに躍り出た。売上伸び率は132.4%であり、2位の大黒天物産が125.0%であるので、独走状態となりつつある。マックスバリュグループは先週の本ブログでも取り上げたが、成長路線に切り替えており、各社ここ数ケ月は新店ラッシュといえる様相を呈しており、来年度以降も積極的な新店開発が見込まれ、当面、売上速報の上位を独占し続けるのではないかと予想される。

   No.1のマックバリュ中部に続き、No.3にもマックスバリュ東海が114.1%で入っており、さらにNo.6にもマックスバリュ西日本が107.7%で入っており、現在の売上伸率上位の中に3社のマックスバリュが入っている。ちなみに、今月110%以上の伸びを示した食品スーパーマーケットはこの上位3社であり、マックスバリュ中部132.4%、大黒天物産125.0%、マックバリュ東海114.1%のみである。

   No.4にはヤオコーが入った。110%には届かなかったが、108.1%と堅調な伸びである。既存店は99.7%とわずかに昨年を下回ったが、その要因を見ると、客数99.9%、客単価99.8%とどちらも微妙に昨年を下回った。さらに、客単価の中身を見ると、PI値は101.7%と伸びているが、平均単価が98.0%と下がっており、平均単価の下落がPI値のアップでカバーできず、わずかに客単価が下がったといえる。値上げ圧力が高まるなか、平均単価を下げてのPI値アップ戦略をとっているといえるが、もう一歩、客単価アップには及ばなかったといえよう。食品スーパーマーケットの売上速報を公表している約20社の企業で客数、客単価まで公表しているのは約15社であり、ほぼ全体の企業が公表しているが、PI値、平均単価まで公表している企業はわずか7社であり、全体の傾向として客単価の中身を分析するには少し数が少ないといえる。ちなみに、その食品スーパーマーケットは、マックスバリュ中部、大黒天物産、マックバリュ東海、ヤオコー、エコス、オオゼキ、CFSコーポレーションである。

   No.5はハローズであり、107.8%であった。既存店も102.0%となり、同様にNo.6のマックスバリュ西日本も107.7%、既存店も102.9%と好調な売上である。No.7はカスミであり、107.5%、既存店は公表していないが全体として好調といえよう。No.8はユニバースであり、106.1%、既存店も102.1%であり、やはり、好調な売上である。ここまでの8社が昨対で105.0%以上の食品スーパーマーケットであり、食品スーパーマーケット全体を牽引しているといえよう。

   一方、逆に、昨対100%を切った、食品スーパーマーケットを見てみると、最も厳しかったのがPLNNTであり、90.1%であった。ついで、アークランドサカモトの94.9%である。この2社は純粋な食品スーパーマーケットではないが、食品を強く打ち出したスーパーセンター、スパーホームセンター業態を主力業態としているために、食品スーパーマーケットと一緒に集計しているが、奇しくも、昨対では厳しい数字となり、ここ最近苦戦気味である。ついで、九九プラスの98.8%である。九九プラスはローソンとの資本・業務提携の成果がそろそろ期待されるところであるが、まだ、数字には表れてこないようであり、新規出店を見直した分、売上は厳しい状況である。そして、Olympicの98.9%、トーホーの99.1%、ヤマザワの99.5%と続く。以上が昨対100%を切った現在、厳しい売上の食品スーパーマーケットである。

   また、気になる食品スーパーマーケットをいくつか見てみると、No.10のオオゼキが104.7%であり、既存店も同様104.7%である。No.15のダイイチが100.1%、同様に既存店も100.1%である。この2社はここ最近、新店がないため、既存店=全店となり、全体の数字と既存店の数字が一致する結果となり、既存店のみで昨対をクリアーしている数字である。今後、どこかで新店の出店があると思われるが、次の新店に期待したい。

   このように、この11月度は、全体としては105.2%、既存店も99.9%と堅調な売上となったが、個々の店舗を見ると、激しく順位が入れ替わっており、昨年絶好調であった食品スーパーマーケットが下位に低迷したり、No.1が入れ替わったり、大きく変動しているのが実態である。食品スーパーマーケット経営がいかに安定的に売上を維持しつづけることがむずかしいかを表しているといえよう。来年から、商品の値上げが目白押しであり、食品スーパーマーケットにとってはさらに厳しい経営環境が続くが、この12月度、そして、1月度の売上がどのように推移するか注意深く見守ってゆきたい。

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December 16, 2007

イオンvs CFS、いよいよプロキシーファイト(委任状争奪戦)!

  来週から、いよいよ、イオンとCFSの間で小売業では珍しいプロキシーファイト(委任状争奪戦)がはじまる。12/13にCFSがアインファーマシーズとの株式移転による経営統合を付議するための臨時株主総会を来年1/22に召集することを、筆頭株主、イオンの反対を押し切って、臨時役員会で決定したからである。イオンは現在、15.0%のCFSの株式を所有しているが、株主総会で拒否権を発動するには33%以上の議決権が必要であり、残り約18%強の株式を購入するか、それに見合う株主の委任状が必要だからである。最新の会社四季報によれば、CFSの現在の株主構成は筆頭株主がイオンの15.0%につぎ、(株)イシダ5.8%、自社共栄会4.1%、スルガ銀行3.7%、石田健二3.3%、石田岳彦2.6%、三井住友銀行2.5%、キミサワ・キャピタル(有)2.3%、石田フミ子2.1%、君澤安生2.1%であり、これら大株主の合計が43.5%となる。したがって、イオンが残り18%以上を獲得するには、大株主の金融機関がどう判断するか、また、大株主以外の株主が今回の状況をどう判断するかにかかっており、まさに波乱含みの展開といえよう。

   今回、ここまで話がこじれ、CFSの経営陣と筆頭株主のイオンとの全面対決となった背景には、10/5にCFSが公表したプレスリリース、「株式移転による経営統合の基本合意に関するお知らせ」からはじまるといえる。この中で、CFSはアインファーマシーズとの持株会社を設立しての経営統合の基本合意を公表し、その後、11/6に株式移転比率を含む株式移転計画書の作成とともに株式移転契約書を締結し、プレスリリースした。ところが、10日後の11/16に筆頭株主のイオンが「CFSコーポレーションのV字回復を目指す企業価値向上策の提案」をCFSに提出し、この経営統合は、株式移転比率を「CFS株主の利益を不当に毀損するもの」と表明し、ここから、双方の対立が激化し、修復が不可能な段階となり、とうとう、来週からのプロキシーファイト合戦となってしまった。

   イオンが問題にしている最大のポイントは、株式移転比率であり、CFSの経営統合案では、持株会社がCFSの株式1.00に対し0.30を割当て、アインファーマシーズには株式1.00に対し、1.25を割当てるということが、CFSの株主の利益を不当に既存するという主張である。

   実際、この比率で現状の双方の株式を計算してみると、CFSは現在29,911,678株であるので、0.30を掛けると8,973,503株となる。一方、アインファーマシーズは現在11,322,456であるので、これに1.25を掛けると14,153,070株となる。したがって、両社を足した株式は23,126,573株となる。問題は、この時、イオンの株式がどうなるかであるが、イオンは現在、CFSの15.0%の株を所有しているので、4,486,752株であり、これに0.30を掛けると1,346,026株となり、これは持株会社の23,126,573株の5.82%である。CFSの現在の15.0%の持株比率比べると、筆頭株主を維持できるかどうかは微妙な数字であり、新会社の15.0%、できれば33.0%以上を取得し、経営の主導権を握りたいとところであると思われる。したがって、このまま、今回の経営統合案が株主総会で可決されてしまうと、イオンの新会社における経営支配が大きく薄れてしまう。ここがイオンの譲れないところであろう。

   一方、この主張に対し、CFSは12/13のニュースリリースで次のようにきっぱりとイオンの主張を退け、来年、1/22に臨時株主総会を開催し、今回の経営統合の是非を株主に問うと宣言している。

   その内容は、「当社は、本日開催された臨時取締役会において、イオン株式会社(千葉県美浜市 以下「イオン」といいます)、ウエルシア関東株式会社(埼玉県さいたま市)及びマックスバリュ東海株式会社(静岡県駿東郡)から提出された平成19年11月16日付の「CFSコーポレーションのV字回復を目指す企業価値向上策の提案」(以下「イオン提案」といいます)について慎重に審議いたしました。その結果、イオン提案のすべてを受け入れることはできないこと及び平成19年11月6日に決定した株式会社アインファーマシーズ(札幌市東区 以下「アインファーマシーズ」といいます)との株式移転による経営統合(以下「本件統合」といいます)を付議するための臨時株主総会を来年1月22日に招集することを決議いたしましたので、お知らせします。

    ということであり、詳細はプレスリリースの付属資料で説明されているが、イオンの保有する株式の価値、配当金、議決権の個数、いずれも統合前と統合後では落ちることはないと結論づけ、イオンの主張を真っ向から否定している。さらに、イオンのV字回復の提案に関しても「合理的かつ客観的データ等で裏付けされた説得力のあるものではなく、当社及び当社株主に対する説明責任を十分に果たしていない」と結論づけており、ことごとくイオンの提案を退けている。

   このように、12/13にCFS側からの確固たる意志がイオンおよびCFSの株主へ示されたことにより、あとは、双方の主張をCFSの株主がどう判断し、1/22の臨時株主総会でどのような結論をだすかが注目される。これまでイオンは15.0%という割合の持株比率で筆頭株主となり、ゆるやかな連携において経営にかかわるケースが多かったが、今後は、この15.0%を見直さざるをえない状況を今回のケースは孕んでいるといえよう。ちなみに、食品スーパーマーケット業界では、カスミは32.3%であり、ほぼ、株主総会での拒否権をもっているといえるが、ベルク、いなげやは15.0%の持株比率であり、今回のCFSと同じ比率であり、経営の支配権を十分に掌握していない状況といえる。その意味で、今回のケースは、今後のイオンのM&A戦略に大きな影響を与えるケースといえよう。1/22のCFSの株主総会に注目である。

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December 15, 2007

日経MJ、新製品週間ランキング、12/14、頻度からみると・・!

    恒例の日経MJ新製品ランキングが12/14、公表された。新製品は一般的に初登場時が最も高く、その後はその商品の力によりまちまちの動きを示す。初登場の数値を維持する商品、上回って、さらに伸びて行く商品、逆に、大きく下回ってゆく商品などまちまちである。この数週間を見ても、4週間前に登場した日清食品、カップヌードルミルクシーフードヌードル83gも客単価875円(1人当り0.875円)という超Aクラスでのスタートであったが、次の週は476円(54.4%)、その次の週は206円(43.2%)、そして、今週は126円(61.1%)と初登場の時の875円と比べると14.4%となるダウンであり、しかもこれが、たった3週間でのことである。客単価を維持することがいかに難しいかがわかる。

   日経MJは単純POSデータでの分析であるので、なぜ、客単価がダウンしたのかの原因を掘り下げることは難しいが、ここにID-POSデータが加わると、初回購入客がその後どのような推移をしたかを、購入頻度ごとに分析が可能となるため、激しくリピートしている顧客はどのくらいか、ほどほどにリピートしている顧客はどのくらいか、ほとんどリピートしていない顧客はどのくらいか、初回購買しかしなかった顧客(離反顧客)はどのくらいか、さらには、初回購買がどのくらいの割合で起こっているかなどが分析でき、さらに、この推移にTVなどのCM、店頭販促、ちらしなどのデータを連動させることにより、その商品のほんとうの力=顧客からの支持度合を掘り下げることが可能となる。

   今回の日清カップヌードルシーフードはおそらく、リピート購入の度合いが極端になっている可能性が高く、一部熱狂的なファンが激しくリピートを繰り返し、それ以外の顧客は初回購買はするが、ほどほどにしかリピートしていないのではないかと思われる。また、現在のカバー率が44.4%にとどまっているので、初回購買も、残り55.6%の食品スーパーマーケットでは起こりようがないので、初登場時の初回購買による熱狂的な高い数字も達成できない状況となってしまったように思える。

   商品の本質を見極めるには、リピート購買状況をよく見極める必要があり、リピーと購入の数字が安定しない限り、全体の客単価を高く保つことは不可能であり、一旦は強力な販促により、初回購買を強引に発生させ、高い数字を達成できても、その購入顧客が高いリピートにつながらない限り、その商品の数字を安定させることは難しいといえよう。逆にいえば、商品の力を推測する検証方法は、まず、リピート顧客を特定し、その顧客がどのような顧客であり、可能であれば、なぜ、リピートしているかの原因をつきとめ、その顧客層のマーケットをまず固め、商品改善をこまめに行い、マーケットを徐々に拡大し、どこかで一気に、そのマーケット顧客層への販促をかけ、場合によってはその顧客層のマーケット特有のチャネルを開拓し、マーケットの拡大を最大化することであるといえよう。

   日経MJの客単価はこのような観点から分解すると、客単価=ID顧客の客単価×頻度となり、この頻度が、初回購買、小頻度購買、中頻度購買、多頻度購買に分かれており、このどのゾーンにウェイトがあるのかを明らかにし、さらに、その中で、PI値、平均単価、PPI等の指標を分析することで、単純な新製品ランキングから、消費実態をえぐるような分析が可能となり、商品そのものの顧客からの評価がより精度の高いものとなるといえよう。

   ちなみに、ここ数週間で客単価Aクラスを維持し続け、しかも、カバー率が90%を超える、恐らく初回購買も、リピート購買も、その中でも高頻度購買も高いと想定されるスーパーな商品は明治乳業、ブルガリアヨーグルトLB81そのままでプレーン500gである。客単価は634円(1人当り0.634円)とAクラスの500円をずっと維持し続けており、カバー率も94.0%であり、このPOSデータの対象チェーン全45チェーン、205店舗(いつのまにか店舗数が増えているが)の大半をカバーしており、他の商品の追随をゆるさない圧倒的な商品力であるといえよう。客単価500円(1人当り0.5円)は定番商品の中でもトップクラスであり、重点商品として管理強化対象となる高い数字である。1円を超えれば、店長管理といってよく、食品スーパーマーケットの商品はPI値では1%以上が最優先課題で無条件に重点商品となるが、客単価では1円、0.5円が基準といってよく、これを超えた場合はVIP待遇が必要といえる。新製品でも同様に見て良いといえ、その意味でも、このブルガリアヨーグルトはここ数週間では注目の新製品といえよう。

   これ以外にも客単価Aクラスの500円を超える新製品は、家庭用品の資生堂、リバイタルクリームエンサイエンスAAEX40g、客単価791円、カネボウ化粧品、ブランシールホワイトニングコンクルージョンセットV(医薬部外品)40ml+19ml+2包+15ml、客単価700円とあるが、いずれもカバー率が28.8%、32.0%と低く、カバー率があがった場合の数値ここまで維持できるかどうか難しい状況といえ、客単価の判断にはカバー率も考慮すべき重要な要素といえよう。

   このように、今週の日経MJ新製品ランキングで、ほぼ、日清カップヌードルシーフードの商品力がほぼ確定したように思える。恐らく、一部熱狂的なファンに支えられていると思われ、初回購買はかなり高かったと思われるが、その後、広く、リピート購買に結びつかなかったといえよう。ただ、今後、この熱狂的なファンを中心に再度マーケットを明確にし、場合によっては商品の見直し等も行い、その顧客総への販促ができれば、大きく客単価があがることは難しいかもしれないが、客単価Cクラスの200円に近づけることは可能なように思える。来週以降も、初回購買、リピート購買という概念も念頭に置きながら、新製品週間ランキングを見てゆきたい。

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December 14, 2007

中間決算に見る主要食品スーパーマーケットの経費比率!

   食品スーパーマーケットの経営において重要な指標のひとつに経費比率がある。経費比率は一般には低ければ低い方が良いように思われているが、経営はバランスであり、経費比率が低くとも粗利も低ければ利益がでないため、経営としては良いとはいえない。したがって、経費比率は営業利益とのバランスを見て、利益をしっかり算出しているかを見る必要がある。さらに。それに加え、最近の食品スーパーマーケットは店舗数が増えると自社の物流センターを持つようになり、センターフィーの収入、さらには、NSC、SC業態をもつようになり、不動産収入等もあるため、最終的にはこれえらのプラスアルファの収入も考慮したトータルなバランスを見ることが、食品スーパーマーケットの経営では重要なポイントである。

   ここでは、これらを踏まえ、経費比率と経営全体のバランス、そして、もう一点、マーチャンダイジングのバランスも見てみたい。マーチャンダイジングのバランスとは、センターフィー、不動産収入等を入れない売上総利益と経費とのバランスであり、すべての収入を入れた場合は営業総利益と経費とのバランスとなる。一般的にはこれが営業利益である。ただ、これでは、マーチャンダイジングの実態を反映しているとはいえないため、ここではマーチャンダイジングの実態を見るために、商品売買から得られる売上総利益と経費とのバランスをみ、純粋な商品売買から得られる利益により、どこまで経費を賄い、結果、どのくらいの利益を算出しているかをみてみたい。これにより、食品スーパーマーケットのマーチャンダイジングの強さを示すことが可能となる。この指標を営業利益に対し、ここでは純営業利益という言葉で区別したい。

   まず、主要食品スーパーマーケットのこの中間決算の経費率に注目してみると、経費比率が最も低い食品スーパーマーケットはアオキスーパーであり、何と16.1%である。No.2がオオゼキの18.1%であるので、いかにアオキスーパーの経費比率が低いかがわかる。ただ、営業利益は3.4%であるが、売上総利益に対する経費比率である純営業利益は0.7%であり、マーチャンダイジング面から見るとやや課題が残るといえよう。オオゼキの純営業利益率は6.2%で、全食品スーパーマーケットの中でダントツのNo.1である。オオゼキはさらに営業収入が1.1%あるので営業利益は7.3%となり、どちらの指標でも食品スーパーマーケット業界でNo.1となる。

   オオゼキについで、純営業利益率が高い食品スーパーマーケットはサンエーであり4.3%である。サンエーの経費比率は25.0%と極めて高いが、売上総利益も29.3%、営業総利益はさらに高く32.2%であり、食品スーパーマーケット業界の中で最も売上総利益、営業総利益とにも高い食品スーパーマーケットである。サンエーのように経費比率は高くとも売上総利益、営業総利益をさらに高め、営業利益、純営業利益を高めている食品スーパーマーケットもあり、このように経費比率は低ければ低いほどう良いとはいえないのが実態である。

   さらに経費比率に着目すると、オオゼキについで低い経費比率の食品スーパーマーケットはアークス(18.6、営業利益率:3.7、純営業利益率3.7)、タイヨー(18.8、2.8、1.6)、丸久(19.4、4.6、2.3)、丸和(21.0、1.8、0.7)、ハローズ(22.0、3.4 、1.0)、マックスバリュ西日本(22.7、3.8、1.8)、ジョイス(22.7、0.7、-0.1)、マックスバリュ東海(22.8、4.9、2.9)、ヤオコー(23.7、4.0、-0.4)となり、以上がベスト10である。この中でも純営業利益に注目すると、ヤオコー、ジョイスは営業利益はプラスだが、純営業利益はマイナスとなり、営業収入が経営をカバーしていることがわかる。また、このベスト10の中ではマックスバリュ東海、丸久が純営業利益率が2.9%、2.3%と高いことがわかる。

   逆に、経費比率が高い食品スーパーマーケット10社を見てみると、ユーストア(25.8、1.6、-3.2)、ヤマナカ(26.0、0.8、-3.7)、マルエツ(26.1、2.0、0.0)、バロー(26.5、2.8、-2.3)、相鉄ローゼン(27.0、0.9、-3.1)、カスミ(27.7、2.6、-1.1)、エコス(27.7、1.0、-1.8)、マルヤ(28.9、-5.5、-9.5)、東急ストア (9.4、1.6、-2.5)、いなげや(29.7、0.6、-4.2)となる。残念ながら、経費比率が高い10社はマルエツの0%を除き、いずれも純営業利益がプラスにならず、マーチャンダイジングには課題が残るといえよう。

   また、全体の食品スーパーマーケットの状況を見ると、経費比率の低いベスト10は9社が純営業利益率がプラスになっているのに対し、ワースト10はすべて0%かマイナスであり、全体として見れば、マーチャンダイジングの強い食品スーパーマーケットほど経費比率も低いという傾向は鮮明であり、利益と経費のバランスをとることが経営のポイントであるが、全体としては経費比率が低い方が安定した経営となっているともいえよう。

   このように、この直近の2008年度の中間決算の数字をもとに主要食品スーパーマーケットの経費比率とマーチャンダイジングの実態を示す純利益率とを見てみたが、大きくは経費を可能な限り下げるローコスト経営を実践することが経営を優位に進めてゆくことになるといえる。ただ個々に見ると、利益と経費とのバランスが重要なポイントであり、経費を下げつつもマーチャンダイジングの実態を表す商品売買から得られる売上総利益もしっかり改善してゆくことがマーチャンダイジングを強め、経営を強めてゆくことになるといえよう。

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December 13, 2007

マーチャンダイジングの改善ポイント、単品を特定せよ!

   食品スーパーマーケットにおいてマーチャンダイジングを改善することは最重要課題であり、そのためには現状をしっかり認識し、結果に対しての原因を特定し、その原因を克服してゆくことがポイントとなる。また、結果についても、良かった場合は良かった原因、悪かった場合は悪い原因を明確にすることが重要であり、悪かった場合のみ原因を特定するのではなく、良かった場合もその原因を特定し、さらにマーチャンダイジングの改善につながる仮説を作ったり、いち早く、全店に成功事例、ベストプラクティスとして情報を伝達し、情報共有をはかることが望ましい。ところが、意外に実際の場面にぶつかると正確に現状を認識し、その結果に対して原因を特定することが難しいのが実態である。特に、悪い場合のみ、目がいってしまい、良い場合の原因に関しては後回しになったり、忘れてしまったりする場合があり、マーチャンダイジングの改善が欠点の克服のみに終始してしまいがちとなる。

   そこで、ここではまず、マーチャンダイジングの改善は欠点よりも、良い点、成功事例の抽出を優先的に取り組んだ方がよいということ、またその際、その原因を単品で特定することが最重要課題であることが重要である点を考えてみたい。実際の現場ではどうも全く逆の方向に動いていることが多く、まず、欠点を指摘し、その原因を単品ではなく、商品以外の要因、特に外部要因にもっていってしまう場合が多いように感じる。

   たとえば、豆腐のマーチャンダイジングを考えてみた時、改善する着眼点が金額PI値が上がった場合よりは、下がった場合に先に着目し、その原因を単品に求めるのではなく、競合店のちらし、競合店の価格、競合店の品揃え、気温の状況などの外部要因に求めてしまう場合が多い。これでは、豆腐のマーチャンダイジングが改善するどころか、欠点の指摘に終わってしまい、しかも、その原因が単品で特定されずに、外部要因の問題となってしまうため、マーチャンダイジングの改善には全く結びつかない。マーチャンダイジングの改善とは、客数×客単価(金額PI値)の客単価を1円でも多く引き上げることであり、そのためにはまず、マイナス要因を改善することよりも、プラス要因を付加した方が圧倒的に早いのであり、しかも、その要因を外部要因にしてしまったら、外部要因が変化しない限り、解決が不可能となってしまい、マーチャンダイジングの改善にはいっこうに結び付かないことになる。

   マーチャンダイジングの改善はまず、金額PI値(客単価)がアップした豆腐の事例を片っ端から集め、その原因となった単品を特定することが第1番目のステップである。単品を特定するとは、豆腐全体の金額PI値がアップしている場合は、必ず、金額PI値のアップに貢献している単品が明確に存在するはずであり、全体が少しづつ満遍なくアップすることは、ないとはいえないが、極まれなケースであり、ほとんどの場合、わずか数品に特定できる。したがって、そこから、その単品がなぜ伸びたかをあらゆる情報を集め、特に内部要因を優先して仮説をつくり、その仮説をもとにさらにその単品を伸ばす政策をつくり、実践してゆくことである。

   次に、今度は豆腐の金額PI値が下がった事例を集め、その原因となった単品を特定することが第2ステップである。ここでも単品を特定すると、豆腐全体の金額PI値を下げた要因が明確に数品に限定されるはずであり、その単品が明確になることによって、その単品の金額PI値アップの仮説を、これも内部要因を優先してつくることにより、豆腐全体のマーチャンダイジングの改善、金額PI値アップにつながってゆく。

   よく、豆腐の担当者にマーチャンダイジングの改善を何もいわずに意見を聞くと、このようなステップで単品を特定し、仮説を提示することはめったになく、金額PI値がダウンした場合にのみに目が行ってしまい、その要因を単品で特定するよりも、いきなり外部要因に求めてしまう場合が往々にしてある。どうも、人間はほってほくと欠点を見てしまい、その原因を外部要因に求め、欠点の克服に結び付かない場合が多いといえ、なかなか良い点に目をつけ、その要因を内部要因に求め、さらに良い点を伸ばすということが不得手のように思える。

   私ももう20年も前になると思うが、船井総研に入社した時、当時の船井社長からコンサルティングの極意は長所伸展法であることを繰り返したたきこまれたが、なぜ、当たり前のことをいうのかとはじめは思ったものだが、実際の現場に出くわし、また、私自身も意識しないと、欠点の指摘となってしまい、長所を見つけ、限界まで伸ばすという長所伸展法はなかなか自然には実行できないことがわかった。いまでは、なるほどと思えるが、それほど、長所伸展法は難しいテーマであり、意識的に実行しないとできないことであるといえよう。また、その単品を特定することはさらに意識的に取り組まないとできないことである。マーチャンダイジングの改善は、まず、長所をみつけ、単品を特定することからはじめると、意外に数字が伸びてゆくものである。

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December 12, 2007

マックスバリュグループのここ最近の新店について!

   イオングループのマックバリュ各食品スーパーマーケットが出店ラッシュといえる状況を呈している。マックスバリュは現在、マックスバリュ北海道、東北、東海、中部、西日本、九州と全国を6つに分けて各エリア内でのドミナントに力を入れているが、ここへ来て、各マックスバリュが成長戦略に大きく舵を切り、本格的な全国レベルでの新規出店が始まったといえる様相である。この2ケ月、11月、10月の6社の合計の新店は15店舗にも及び、ここ最近では見られなかった積極的な新店オープンである。最も多くの新店を出店したのはマックスバリュ東海の4店舗、ついで、西日本、北海道、九州の3店舗であり、中部の2店舗、そして、今回は新規出店が唯一なかった東北となる。そろそろ、11月度の売上速報が公開されるが、直近の10月度の売上速報を見ても、マックスバリュ中部が昨対130.3%、東海119.6%、西日本109.0%と、この3社は特に売上も絶好調である。

   さて、最も出店ペースが速いマックバリュ東海を見てみると、12月1日(土)マックスバリュ富士南店、11月8日(木)マックスバリュ甲府住吉店、10月27日(土)マックスバリュ甲府長松寺店、10月11日(木)マックスバリュ福田店の4店舗を立て続けに新規オープンした。この中でも、マックスバリュ富士南店は、イオンが運営管理する「イオン富士南ショッピングセンター」へ核テナントとしての出店であり、モール型SCへの入店は初めてという。ここ最近はNSCを積極的に展開してきたが、イオンと連携することにより、SCへの出店も今後増えて行くことになるものといえよう。マックスバリュ東海61店舗目の店舗であり、約600坪弱の売場面積で、年商18.5億円の目標であり、24時間オープンである。これ以外の3店舗については、マックスバリュ甲府住吉店が約500坪強、年商目標18.5億円、マックスバリュ甲府長松寺店が約550坪、年商目標19億円、マックスバリュ福田店はやや小さめの約400坪強、年商目標13.1億円である。

   マックスバリュ東海についで、いま食品スーパーマーケット業界でも現在、売上伸び率No.1のマックスバリュ中部は2店舗の新規出店である。マックスバリュ駒井沢店は滋賀県4店舗目となる89店舗目の店舗であり、店舗面積約550坪弱、年商目標16.3億円である。この新店は24時間オープンであり、これにより、マックスバリュ中部の全89店舗の内、27店舗が24時間オープンとなった。もう一店舗、先にオープンしたマックスバリュ名張店であるが、マックスバリュ名張ショッピングセンターの核店舗としての新規出店であり、24時間オープン、店舗面積約700坪強、年商目標18億円である。ショッピングセンターにはヤマダ電機、ガスト 、三洋堂書店、あみやき亭、ジップドラッグ、モスバーガー、Seriaなどが入るNSCとしての出店である。

   そして、マックスバリュ北海道、西日本、九州がいずれも3店舗の新規出店である。マックスバリュ北海道の江別店はショッピングセンター内へのオープンである。23店舗の専門店の核店舗としてのオープンであり、約900坪の店舗面積である。滝川店はホーマック、ツルハなどの専門店と共同でのNSC業態でのオープンであり、店舗面積は約700坪強、年商目標16億円である。そして、石山店もツルハ、セリア等の専門店との共同のNSCであり、店舗面積約650坪強、年商目標15億円である。一方、マックスバリュ西日本のでも、大久保西店もNSCでのオープンであり、店舗面積約650坪、年商目標13.5億円で24時間オープンである。同じく、柳井新庄店もNSCでのオープンであり、ダイソー、ドラックストアのくスリ岩崎チェーン等が併設される。そして、西の土居店でるが、この店舗は約550坪の単独出店であり、年商目標は13.5億円である。
 
   最後に、マックスバリュ九州であるが、マックスバリュ武岡店はマックスバリュ98店舗目の店舗であり、24時間オープン、約650坪強の店舗面積である。オプシアミスミ店はマックスバリュの鹿児島1号店となる店舗であり、ミスミがデベロッパーとなり、九州最大規模のブックミスミを核店舗とし、もうひとつの核店舗しての新規出店である。24時間オープンであり、店舗面積は約700坪強である。そして、久留米西店であるが、この店舗は単独店であり、24時間オープンであり、店舗面積は約700坪である。

   このようにマックバリュ各社がここへきて、グループをあげて積極的な新規出店に踏み出したといえる。各社、今後の3ケ年等の経営計画を公表しているが、いずれも過去にない積極的な新規出店を前提とした成長戦略を描いており、今期後半、そして、来季についてもマックスバリュグループ各社の新規出店が続いてゆくものといえよう。食品スーパーマーケット業界はマックスバリュグループを中心に今後は動いてゆくものといえ、これに対抗する形で各地区の食品スーパーマーケットがどのような対応するかが焦点といえよう。マックスバリュグループの今後の新規出店には注目である。

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December 11, 2007

ウォールマート売上速報、2007年11月度、108.4%!

    ウォールマートの最新の売上速報、2007年11月度が12/6、公表された。11月度は11/3(土)から11/30(金)までの4週間であり、累計では43週目となる。ウォールマートの会計年度は1月決算であるので、残すところあと2ケ月(9週間)となった。今月からはいよいよ、年間最大の売上となるクリスマス商戦、年末、年始となるため、この11月度はそれを占う上でも重要な月となる。海外を含めた全体の数字は108.4%となり、43週累計は108.6%であるので、ほぼ、今年の平均的な伸びを示しており、2桁には届かなかったが堅調な伸びといえよう。特に、海外部門が絶好調であり、43週累計の117.1%に対し、この11月度は118.6%と累計を上回っており、ウォールマート全体を海外部門が牽引しているといえる。この12/4には西友のTOBも終了し、ほぼ100%に近い株式の買付となり、約1,000億円で完全子会社となる予定であり、日本の西友も今後は海外部門としての貢献度がますます問われることとなる。

    さて、その海外部門であるが、この11月の末でとうとう海外店舗が3,000店舗を達成し、3,4010店舗となった。ウォールマートの海外戦略は1991年、いまから約15年前にメキシコに海外1号店を作ったのがスタートであり、この約15年で3,000店舗を達成したことになる。その内訳であるが、メキシコ 975店舗(1991年11月から)、プエルトリコ54店舗(1992年8月から)、カナダ293店舗(1994年11月から)、アルゼンチン17店舗(1995年11月から)、ブラジル299店舗(1995年5月)、中国192店舗(1996年8月から)、イギリス347店舗(1999年6月から)、日本(394店舗、2002年3月から)、コスタリカ144店舗(2005年9月から)、エルサルバドア66店舗(2005年9月から)、グアテマラ140店舗(2005年9月から)、ホンジュラス45店舗(2005年9月から)、ニカラグア44店舗(2005年9月から)となる。

    現状、11月度のこの約3,000店舗の売上金額であるが79.33億ドル(約9,000億円)であるので、1店舗当たり3億円となる。単純年商では36億円となるので、年商36億円の店舗を海外に3,000店舗展開しているといえよう。この海外部門のこの11月度の全体売上の構成比であるが、25.01%となり、ちょうど1/4となった。昨年は22.8%であるので、ウォールマートにとっては海外部門は成長の源泉となりつつあり、経営戦略での最重要部門となったといえよう。

    この好調な海外部門以外では、ウォールマート部門が104.8%と低調な伸びとなり、43週累計の106.0%と比べても厳しい状況である。既存店の数字もウォールマート部門は101.0%と低調な数字であり、アメリカ国内のウォールマートは低成長となる厳しい状況であるといえ、ますます、海外部門の成長への貢献度が高まっているといえよう。一方、サムズクラブ部門については、逆に108.7%と43週累計の107.0%を上回った好調な数字である。既存店に関しても、104.3%、昨年は101.4%であるので、成長性が高まっており、これにガソリンなどの燃料を加えた数字では107.1%となり、昨年の100.3%と比べると好調な成長率である。

    ちなみに、ウォールマートの株価であるが、11月に入り、好調な株価で推移しており、ほぼ、右上がりの株価となっている。ウォールマートの株価は11/9に42.9ドルというここ最近では低い株価となったが、その後、株価は上昇し、11/15には46.2ドルまで回復した。しばらく、この近辺でもみあった後、再び株価は上昇しはじめ、11/28の47.23ドルとなり、その後はほぼ右上がりで株価が推移している。この11月度の売上速報が公表された12/6は49.27ドル、12/7、49.02ドル、12/10、49.37ドルと50ドルにちかづきつつある。ここまでの年初来最高値は4/7の51.21ドルであるので、このままの推移で株価が上昇すれば、年初来最高値の更新も可能があり、投資家は、この11月度を含め、ウォールマートの経営状況をプラスと見ているようである。

    このようにウォールマートの2007年11月度の売上速報は108.4%と43週累計の108.6%とほぼ同じ堅調な売上となり、株価も上昇気味で推移しており、全体としては安定した数字であるといえよう。ただ、その要因は海外部門の好調さに支えられた数字であるといえ、アメリカ本土のウォールマート部門は低成長となり、苦戦している状況である。すでにクリスマス商戦まっただ中であり、このまま年末、年始へと流れてゆくものといえるが、ウォールマート本体の動向が、この11月度の数字を見る限りでは気になるところである。来月、クリスマス終了後の12月度のウォールマート、特に、既存店の数字がどのような伸び率になるかに注目したい。

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December 10, 2007

武術の演武会に感動!

   縁あって武術団体の事務局的な仕事をするようになった。たまたま、12/9、その団体の演武会があり、ビデオ撮影を頼まれ、そのため、すべての演武内容を見る機会があった。なかなか興味深い内容であり、約3時間に78種類の演武が休みなしで、一気に繰り広げられ、あっという間に終わってしまったという印象だった。3時間は180分であるので、これを78で割れば約2分強であり、短いものは1分もかからないものから、長いものでも5分ぐらいであり、次から次へと演武が進んでゆく。しかも、古流柔術の各流派の演武から、中国拳法の少林拳から太極拳、八卦掌、形意拳などまで、幅広い内容の演武であり、さらに、子供、女性限定の演武から、まだ、入門間もないものから、10年、20年以上のベテランまでの演武であり、これだけ、ひとつの団体で、招待演武なしに、バラエティに富んだ演武ができるのも珍しいといえよう。

   実は内容もさることながら、78種類のプログラムの構成の仕方に感動した。たとえば、スタートの1、2、3は古流柔術の九鬼神流の半棒術の演武であるが、半棒術基本型、半棒術組型(抜粋)、半棒術連続型の3つがそれぞれ密接な関連があり、1で基本形を示し、2でそのための基本的な修得方法を示し、3ではその発展系として、独自の修得方法を示していた。独自というのは、古流柔術に中国拳法の修得ノウハウを入れ、連続技でわずか数分の演武の中に九鬼神流半棒術のエッセンスを入れ込んでしまう1人でノウハウを習得する方法である。

   従来、古流柔術はひとつひとつの技がノウハウの固まりのような必殺技の集大成のようになっており、それらを連続わざで修得するような方法はあまりみることがない。中国拳法では太極拳のように1人型が存在し、しかもゆっくりと演武することによって、より正確にひとつひとつの技の成り立ちと太極拳特有の呼吸法と重心移動の会得を容易にしている。太極拳に限らず、ほとんどの拳法に連続の1人型があり、その中にその拳法のすべてのエッセンスが組み込まれている。今回はまさに九鬼神流という日本古来の由緒ある武術の修得方法として、この中国拳法の知恵が組み込まれた修練方法の工夫であり、びっくりである。

   そして、4になると16までパッと少林拳に展開する。動きが早く、しかも子供だけの演武や男女混合の演武、入門間もないものから超ベテランまでの演武が続き、傘、鎌、猪八戒がもっているような3本槍のような武器をつかって対決したりと激しい演武に移る。そして、次はさらに激しい北派の少林拳、査拳、孫ぴん拳と動きの速い演武となり、ここでも各種武器が登場する。

   この激しい動きの演武の後は一転、太極拳の大河が流れるようなゆったりとした演武となり、同じ、内家拳である八卦掌の演武、やや激しい形意拳の演武がつづく。しかもこの八卦掌では、八卦掌対練、転掌八式(連続・方向転換)、八卦棍、八母掌(片側)、八母掌(活架子)、連環八掌(八肘 八捶 八腿)、八卦双剣、八卦双剣対練①、卦双剣対練②、八卦子母鴛鴦鉞と多彩な演武であり、形意拳も同様に河北派形意拳(五行拳 五行連続 連環拳)、形意三手炮、相克拳、五花炮、形意散手炮、五行連環拳、十二形拳(三種)、五行連環棍、五行連環刀、五行連環剣と徒手だけでなく、様々な武器が登場する。

   後半に入ると女性だけでの長拳、弾腿、八卦擒拿や前半でも演じた形意拳、八卦掌、太極拳のより高度な演武、少林拳も前半よりも一段深い内容となる。また、古流柔術でも柳生心眼流が初伝、中伝、最後には奥伝の演武もあり、さらには、浅山一伝流や合気道の発祥の武術といわれている大東流合気柔術などのエッセンスを巧みに組みいれた古流柔術、大和道なども演武され、これら78種類の演武が一気にパノラマのように波打ちながら、うねりながらすすんでゆく。本当にびっくりである。

   これがもし、各カテゴリーごとに、各修得クラスごとに整然と演武がなされていたら、おそらく退屈で3時間も耐えられなかったように思える。各カテゴリーが、各要素にまで分解され、それを有機的につなぎ直し、しかも、螺旋状に後半にゆくにしたがい、より、高度になってゆく流れとなっており、さらに、子供、男女、初心者からベテラン、素手から武器、独自に工夫された教練方法など、様々な角度から全体の演武が構成されている。

   ものごとをプレゼンする時には、何も考えないと、理路整然と整理された商品の倉庫を端から数えてゆくようなことになってしまいがちであるが、プレゼンは人に対してするものであり、人は感情の動物であり、心理を巧みに操り、ここちよいゆらぎと、時としては激しい刺激も必要であり、そのようなプレゼンになった時、3時間があっという間にすぎてゆくことを実感した1日であった。今回は本当に貴重な体験をしたと思う。

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December 09, 2007

PPIを用いた新製品ランキングの試み!

   本ブログでは毎週金曜日に発売される日経MJの新製品週間ランキングについて書き続けているが、新商品の評価は単純POSデータで評価するよりも、ID-POSデータで評価する方がより有効性が高いといえる。その理由は単純POSデータには、売上金額、売上数量での単純分析の段階、次に、総客数が加わり、PI値分析ができる段階、そして、レシート枚数を把握し、グルーピング客数が加わり、PPI分析ができる段階と3段階ある。2段階目までは、完全ではないにせよ、日本のほとんどの小売業界で現在活用が進んでいるが、レシートを活用した、PPI分析に関しては、現状のPOSシステムで、ちょっと無理すればできるが、ここに真剣に取り組み、マーチャンダイジングの改善を図っている小売業はほとんどないのが実態である。

   新商品ランキングについても、当然、この3段階があるが、日経MJは2段階目でのランキングを中心に、一部、カバー率を算出することによって、3段階目を含むランキングを算出しているといえる。カバー率は新商品の導入店舗の割合いを示しており、日経MJの客単価は全体客数で割った客単価ではなく、カバー率の店舗のみの客単価を示しているので、全体客数、このケースの場合は対象チェーン全体の客数ではなく、導入店舗のみのグルーピング客数を使っているからである。

   実はこの日経MJのデータでももう一歩、あるいは2歩踏み込んだ分析も可能である。それは、導入店舗の対象商品の購入客数のみを抽出し、客数をグルーピングし、それを分母にし、客単価を算出することにより、より、顧客の消費実態に近い客単価でランキングをつけることである。あるいは、逆に、その新商品が属する小分類の客数を分母にしてカテゴリー内での消費実態を見ることも可能となる。

   ただ、これらのデータはどこまで精度を上げていっても、あるいはあらゆるアイデアを導入しても限界がある。けっして越えられない質的な壁が存在する。それが頻度である。頻度に関しては、現状の単純POSデータでは算出不可能な指標であり、概念である。どんなにレシートをひっくり返しても不可能な指標であり、この頻度を算出するには、唯一、ID-POSデータを活用する以外に方法がない。逆にいえば、ID-POSデータが優位性を持ち、世の中に貢献できる存在意義は、唯一、この頻度を算出できるということにあり、これ以外はないといっても過言でない。

   したがって、新商品ランキングについても、日経MJのようなランキングにもうひとつ今後必要な新商品ランキング分析はID-POSデータからしか算出できない、頻度を加えることが大きなポイントとなる。

   では、頻度とは何かであるが、それはID数と回数とを区別し、ID数当たりの回数のことである。通常のレシート分析では、レシートにIDがついていないため、ID数を把握することができず、回数しかわからない。したがって、レシートが2枚あった場合、1IDのみのレシートか2IDのレシートかの区別ができず、1ID当たり1回なのか2回なのかが区別されず、レシート2枚=2回しか把握できず、そこには頻度が存在しない。頻度はレシートにIDがついた時のみ把握が可能な指標であり、ここが単純POSデータとID-POSデータの唯一の違いといって良い。

   この頻度を活用した新商品ランキングとはどのようなものになるかであるが、単純POS分析のレシート枚数に加え、頻度ごとのレシート枚数を数えることが可能となるため、初回購買のみの場合、2回以上の頻度の場合、さらに、それを小頻度、中頻度、高頻度と分けるなど様々な頻度分析が可能となる。このように自由に頻度をもとに商品の分析が可能となるのがID-POSデータの最大の特徴といえる。

   ちなみに、客単価とは何かであるが、客単価は回数(客数)当たりの売上金額のことであり、ここには頻度が一切入っていない指標である。これに頻度が入ると、ID当たりの売上、ある期間当たりのID客単価が算出可能となる。数式的には、客単価=総売上÷総回数であり、来店頻度=総回数÷総IDとなるので、この2つを掛け合わせると総回数が相殺され、総売上÷総ID=ID客単価となる。したがって、総売上=ID客単価×ID数であり、IDが把握できない場合は総売上=客単価×総回数となるので、総売上=客単価×総回数=ID客単価×ID数=客単価×頻度×ID数となる。

   したがって、新商品のランキングもこの数式を活用すれば、客単価だけで見るのではなく、頻度を加えることにより、ID客単価での分析が可能となり、より消費実態に迫る分析ができる。また、頻度×ID数=総回数÷ID数×ID数であるので、=総回数となり、総売上をID客単価=客単価×ID数と客数=頻度×ID数に分けてもよく、IDにより、客単価を掘り下げるか、客数を掘り下げるか双方が可能となり、客単価、客数双方のアプローチがIDを把握することによってはじめて可能となる。あとは、ここから様々な応用が可能となり、アイデア次第で様々な評価指標をつくることが可能である。

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December 08, 2007

日経MJ、新製品ランキング、12/7、ミルクシーフードさらに失速!

   3週間前に華々しくNo.1となった日清食品、カップヌードルミルクシーフードヌードル83gが先週比の客単価が270円のマイナスとなり、今週は206円、その他食品の先週のNo.2からNo.8へという失速である。ぎりぎり、客単価Cクラスの200円は超えているが、わずか3週間で極端な落ち込みであるが、まだ、落ち着いたとはいえず、来週の客単価もどこで止まるかが読めない状況といえる。新製品は大きな販促をかければ、一時的にはとてつもない数字となることがあるが、これを数週間維持するのは並大抵のことではない。客単価Aクラスの500円はその意味で、新製品としてはAクラスといってよい高い数字であることが改めて示されたといえよう。

   その他食品No.1はダントツで明治乳業、ブルガリアヨーグルトLB81、そのままでプレーン500g、客単価はAクラス、688円であった。カバー率は97.4%と対象33チェーン、193店舗の大半をカバーしての数字であり、高い客単価である。今週の全新製品の中では3番目であるが、No.1、No.2はいずれも家庭用品であり、カバー率はNo.1の資生堂、リバイタルクリームエンサイエンスAAEX40g、客単価859円であるが、40.5%、No.2のマックスファクター、SK-Ⅱサインズトリートメントトータリティ80g、客単価789円が、27.7%と低く、ブルガリアヨーグルトの97.4%で客単価688円は極めて高い客単価であることがわかる。

   その他食品、No.2は伊藤ハム、味健気あらびきポークウィンナー100g×3、客単価410円であるが、カバー率がわずか19.0%であるので、今後、カバー率が上がった場合、どの辺で落ち着くかがポイントである。No.3、No.4は味の素、ほんだし120g箱と480g箱であり、客単価はそれぞれ380円、289円である。カバー率は120gの方は89.2%と大半の食品スーパーマーケットに入っているが、480gの方は35.4%であり、まだまだ低い数字である。おもしろいことに、120gの平均単価は305円、480gは816円と2倍強の差があるが、客単価は120g、平均単価305円の方が高く、480gの289円に対し、410円である。これはPI値の差であり、120gの方は客単価=PI値×平均単価から逆算すると0.12%、480gの方はPI値が0.03%であるので、PI値の差で客単価に差がでる。この味の素の本だしは、No.7にも192g箱が客単価210円、No.12にも320g箱が客単価150円で入っており、カバー率は41.0%、25.1%とまだまだ低いが、売場に入った限られた食品スーパーマーケットでは、いずれもそれなりの客単価を維持している。本だしの容量政策、価格政策がうまくはまっているといえよう。

   その他食品以外では、今週は冷凍食品のベスト10の内9品がアイスクリームとなった。客単価はNo.1のロッテ冷菓、雪見だいふく<ティラミス>47ml×2個が154円であり、客単価Cクラスの200円にも満たないが、この真冬のベスト10の内、9品がアイスクリームという快挙である。ベスト10のメーカー名を見てみると、ロッテ冷菓、ハーゲンダッツジャパン、森永乳業、江崎グリコとなっており、各メーカが新製品を積極的に開発している。冷凍食品については、唯一、ベスト10入りしたNo.8の味の素、やわらか若鶏から揚げ325g袋、客単価は86円と低かったが、No.8となった。

   飲料部門では初登場で客単価Aクラスの513円となったのが、サントリー、FINAL FANTASY Ⅶ POTION with TRADING ARTS Mini 350mlであった。平均単価は927円と高いが、カバー率も60.0%を超えており、ファイナルファンタジーのフィギュアをセットした限定商品であるが、さすが人気があるといえよう。No.2の先週No.1であったカゴメ、野菜生活100黄の野菜1Lの客単価が197円であるので、この513円は飲料ではダントツの客単価である。

   そして、菓子ではNo.1は明治製菓、ベストスリー袋250g、客単価343円であった。カバー率も81.0%であり、高い数字である。No.2はネスレコンフェクショナリー、キットカットミニストロベリー15枚、客単価287円であった。No.3は明治製菓、きのこたけのこ袋各6枚、客単価240円、そして、No.4はTV、CM中の湖池屋、マヨポテト80g、客単価212円であったが、カバー率は43.1%といまひとつひろがっていないといえよう。菓子は上位はチョコレートであったが、中盤はスナック、飴もあり、バラエティにとんだ順位となっている。

   このように今週の日経MJ、新製品週間ランキングで期待のミルクヌードルがとうとう失速してしまい、客単価が206円となってしまったのが残念である。また、今週は飲料、菓子では新製品が目白押しといってよいくらい上位にランクインしており、健闘しているといえよう。今年もあと数週間で終わるが、来週以降、年末年始の新製品がどのような数字になるかに注目したい。

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December 07, 2007

家計調査データ、2007年10月度、昨対割れ!

   家計調査データ、最新、2007年10月度が11/30に公表された。家計調査データは毎月月末に前月分のデータが公表されるので、現在、最新のデータは10月度のデータである。ここ数ケ月は、昨対を切ることはなかったが、この10月はわずかながら、昨年を割り込み1,945.26円(98.6%)となった。昨対を超えた大分類を見てみると、果物105.03円(102.7%)、肉類202.90円(101.0%)、野菜・海草288.39円(100.8%)、油脂・調味料103.71円(100.8%)、の4部門であり、いずれもわずかな伸び率であり、10月度は昨年と比べ厳しい消費状況であったといえよう。また、最も落ち込んだ部門は乳卵類106.23円(95.6%)であり、ついで、調理食品(惣菜)259.55円(95.7%)、菓子類177.77円(97.2%)であった。なお、本ブログでは家計調査データを食品スーパーマーケットの客単価と比較しやすくするために、月間データを1日当たりに修正し、なおかつ、客単価3D分析のノウハウを入れ、全体のデータと、購入世帯のみのデータを分けて算出し、合わせて購入世帯の割合(客数PI値)も算出している。

   この10月度、大分類で見ると、上記のような結果となったが、小分類で見ると、110%以上伸びたものもかなりある。その中で、伸び率最高の小分類はいちごであった。全体の消費額自体は0.06円と小さいが、伸び率は200.0%となり、昨年より早めにいちごが売り始められたといえよう。購入世帯当たりの消費額は21.51円(80.0%)と昨対を切っているが、客数PI値が0.3%(250.0%)と大きく伸びており、購入世帯が絶対数値は小さいが250%と大きく伸びたのが原因である。今年はいちごが例年より、はやめに購入されはじめており、今後、旬を迎え、どのような動きになるか注目である。この例のように、全体の消費額が伸びた場合は必ず、購入世帯のみの消費額が伸びるか、購入世帯の数が増えるか、ないしは、双方が増えるかの3つのどれかになっており、いちごは、購入世帯の数が増えた典型的な事例といえ、今後の先行指標ともみてとれるので、注意が必要である。

   いちごについで、全体の消費額がよく伸びた小分類はグレープフルーツである。全体の消費額は1.35円といちごに比べるとはるかに大きいが、重点小分類の10円クラスと比べると小さいが161.5%と良く伸びている。購入世帯のみの消費額は13.80円(122.4%)、客数PI値は9.8%(132.0%)とどちらもバランスよく伸びており、いちごよりも注目度が高い小分類といえよう。これ以外では、メロン1.55円(120.0%)、31.15円(98.5%)、5.0%(121.8%)、炭酸飲料6.29円(118.2%)、19.52円( 107.2%)、32.2%(110.2%)、乳酸菌飲料10.00円(117.4%)、31.59円(107.7%)、31.7%(109.0%)とつづく。

   これに対し、この10月度最も落ち込んだ小分類は、消費額は小さいが、すいか0.06円(40.0%)、16.13円(57.0%)、0.4%(70.2%)であり、購入世帯のみの消費額も客数PI値も双方落ちている。ついで、粉ミルク2.00円(62.0%)、68.49円(82.8%)、2.9%(74.9%)、ウィスキー2.58円(66.1% )、114.19円(84.8%)、2.3%(77.9%)となり、いずれも消費世帯のみの消費額も客数PI値も双方落ちているのが特徴である。ただ、以前もこのブログで取り上げたがウィスキーは客数PI値(購入世帯の割合)がわずか2.3%であるが、購入世帯のみの消費額は114.19円と高く、これが酒類No.1のビールと比べると、ビールは全体の消費額が37.81円と20倍近くあるが、購入世帯のみの消費額は115.02円であり、ウィスキーとあまり変わらない数値となる。その差はビールの客数PI値32.9%にあり、ビールもウィスキーも購入世帯のみでみるとその消費額はほとんど同じだが、ビールはより多くの世帯から広く購入されるのに対し、ウィスキーはより限られた世帯のみに深く購入される点にある。このビールとウィスキーはまさに典型的な事例であり、商品にはこのような特徴が明確な商品もあるので、マーチャンダイジングには注意が必要である。

   この10月度はこのように厳しい消費状況であったといえるので、今後の参考に、この10月度、全体の消費額が高い重点カテゴリーを見てみると、米123.87円(93.1%)、牛肉51.55円(97.9%)、他のパン(菓子パン等)、50.16円(104.2%)、豚肉66.65円(103.0%)、鶏肉31.39円(103.4%)、牛乳46.23円(93.2%)、ビール37.81円(96.8%)、乳製品36.68円(95.7%)、弁当33.55円(101.5%)、すし(弁当)29.94円(92.8%)、果実・野菜ジュース23.00円(95.3%)、天ぷら・フライ22.65円(101.0%)、ヨーグルト22.23円(96.2%)、みかん20.35円(112.1%)であり、以上が全体の消費額が20円を超える小分類である。

   このように、この10月度の家計調査データは昨対を割り、厳しい数字となった。大分類を見ても、伸び率の高いものがほとんどなく、逆に昨対を割った大分類が多く、しかも、全体の消費額20円を超える重点小分類を見ても昨対を超えるものはわずかであり、厳しい消費額であったといえよう。11月のデータが公表されるのは今月末となるが、今後、消費額が回復するか、それともさらに厳しい数字になるか注意深く見守る必要があろう。

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December 06, 2007

テスコ、Fresh&Easyを考えてみる!

   テスコが満を持して、アメリカに食品スーパーマーケットをオープンした。ちょうど、チェーンストアエイジの最新号、12/1号で特集を組んでいるが、非常に興味深い店舗である。店舗名はFresh&Easyであり、テスコの現地法人、Fresh & Easy Neighborhood Marketが公表しているニュースリリースを見ると、11/8に1号店と同時に6店舗をカルフォルニアに同時オープンし、その後、ネバダ、アリゾナに1店舗づつ、現在、計8店舗を新規オープンしている。日本では考えられないスピードである。しかも、当面の計画は50店舗を来年の2月までにオープンさせることであるといい、さらに、翌年、2009年度末までには200店舗オープンさせる計画であるという。そのための投資も5年で20億ドル(約2,200億円)を計画しているという。

   テスコ経営陣は、このFresh&Easyという食品スーパーマーケットがアメリカでは成長性の高いビジネスになるとの経営判断を下したといえる。順調に出店が進めば、2年で200店舗、1店舗10億円で見積もっても年商2,000億円、15億円で年商3,000億円のビジネスボリュームとなる。テスコ本体のニュースリリースを見ると、このFresh&Easyの1号店をオープンさせるために、約2年間、アメリカでの現地調査と経営計画づくりをじっくり行ったという。すでに、現時点で122店舗の出店候補地も決まっているといい、まさに一気呵成にカリフォルニアを中心に食品スーパーマーケットのドミナント展開が進んでゆくことになる。特に、今回の店舗は、チェーンストアエイジによれば、はじめから約3,500品目に絞りこまれた商品の内、約半分がPBのFresh&Easyであるといい、テスコのPBではなく、独自のPBで展開しており、年商100億円、200億円のビジネスではなく、ごく短期間に1,000億円、2,000億円のビジネスボリュームであることがここからもわかる。

   また、イギリスでは大成功したクラブカードも導入しておらず、逆に、ウォールマートの得意とし、イギリスでも最競合となっているウォールマート傘下のアズダの採用するEveryday Low Priceを全面的に採用している。Fresh&Easy Neighborhood Marketのティム マーソンCEOが「徹底的にシンプルにすることで、すべての商品のEveryday Low Priceが可能となる」といっているように、イギリスのテスコとは全く違うコンセプト、アメリカの食品スーパーマーケット、そして、消費者を徹底的に研究した結果の現時点での結論といえよう。そして、これらを実現するための工夫としてあげられているポイントが4点ある。ひとつは、先にもあげたがPBであるFresh&EasyとNBをうまく使い分けていること、ふたつめは、棚の工夫をし、在庫管理をしやすくしたこと、3つめは商品化した生鮮食品を毎日配送、店内加工を極力減らしたこと、そして、4つめは環境にも配慮し、LED(発光ダイオード)を多用し、約30%のエネルギーを節約できたことなどである。

   さらに、Fresh&Easyのもうひとつのアメリカの食品スーパーマーケットと消費者の研究成果として最も如実に表れているのが、レイアウトといえよう。非常にユニークな約300坪のレイアウトであり、シンプルな中にも明確なコンセプトがいくつか感じられる。そのひとつは、店舗のネーミング、Fresh&Easyを表したゾーンとして、入口近辺のゾーニングである。店頭に入ると、正面に平台なしの青果が左右に配置され、右側エンドにはサラダコーナー、裏側には精肉、そのエンドはサンドイッチ、そして、ゴンドラはデイリー、飲料ゾーンが配置され、さらに店頭右がレジとなっている。すなわち、この入口近辺ですぐに食べたい商品がコンパクトに配置され、レジでの精算もすぐにできるように工夫されており、コンビニのようなゾーンといえよう。

   青果を抜けると正面に惣菜、プリペアードフードとなり、そこから壁面に牛乳、飲料、そして、パンが壁面展開となる。店頭から斜めに切って、左下半分がすべて即食ゾーンとなっているソーニングである。日本では、むしろ生鮮食品を重視するので、この斜めに切った左下は生鮮、グロサリーゾーンとなり、逆に右上が即食ゾーンとなるが、全く逆のレイアウトである。恐らく、アメリカでPI値分析をしてみると、この方が理にかなっているのかもしれないが、日本でも、今後、研究の余地が特に小型店ではあるといえよう。そして、青果と反対側の壁面は冷凍食品とアイスクリームとなっており、レジ側壁面は日用雑貨と薬、HBCとなっている。内側のグロサリーゾーンもこれらと連動する形で、青果側から、菓子、日用雑貨、グロサリーとなっており、エンドも主通路沿いにしっかりとったオーソドックスなレイアウトである。

   このようにテスコがアメリカで本格展開に入る食品スーパーマーケットの全貌が明らかになりつつあるが、きわめてユニークな約300坪タイプの即食、生鮮、惣菜、日配重視の商品構成であり、Everyday Low Priceを全面的に打ち出した食品スーパーマーケットであるといえる。これを数百店舗、わずか数年という短期間で全米に展開してゆく方針であり、スピード重視の経営戦略である。イギリスのテスコの最大の強みであるクラブカードの採用も当面はないといい、ここまで、過去の成功体験をスパッと切り捨て、アメリカというはじめての立地で、一から食品スーパーマーケットビジネスを組み上げた形であり、テスコの経営陣は実に懐が深いと思う。

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December 05, 2007

PI値の高い商品の活性化手法について

   食品スーパーマーケットの各商品を丹念に調べてみるといくつかの特徴が浮かび上がる。その特徴のひとつに明らかにPI値が高い商品群が存在することである。食品スーパーマーケットには約10,000品の商品があるが、その中でPI値が高い商品は約200品ぐらしかない。高いというのはどのくらいかというと、PI値1%である。PI値1%は1日1,000人の来店客数で1日10個、2,000人の来店客数で20個以上売れる商品のことである。この水準をクリアーできる商品はどんな食品スーパーマーケットでもせいぜい200品ぐらいである。ちなみに、PI値10%以上の商品はわずか数品しかない。したがって、この200品をしっかり強化することが食品スーパーマーケットではすべての経営戦略の中でも最優先課題であり、店長のはじめの仕事は自店のPI値1%以上の商品をすべて覚え、毎日、しっかりチェックすることに尽きるといっても過言ではない。また、それが顧客満足度を高める最初の一歩ともいえる。では、このPI値の高い商品を活性化するポイントは何かを考えてみたい。

   食品スーパーマーケットのマーチャンダイジングは売上=客数×客単価であるので、客数のアップではなく、客単価のアップが通常はポイントとなる。それは商品を通じて客単価に対しては打つ手がたくさんあるが、客数に関しては、ちらし以外に決め手に欠き、打つ手が限られているからである。ただ、最近では、ID-POSデータが解析できるようになり、客数へのはたらきかけも可能となりつつあり、ID-POSデータが活用可能であれば、テスコのように客数へもはたらきかける方法はいくらでもあるので、マーチャンダイジングに客数を加えることも可能となりつつあるが、まだまだといえよう。
   
   そこで、ここでは客単価に絞って考えてみたい。客単価を分解すると以下のような数式となる。金額PI値(客単価)=PI値×平均単価=客数PI値×PPI×平均単価となる。従来のPOS分析では金額PI値(客単価)=PI値×平均単価までが限度であったが、最近ではレシートの活用が進みつつあり、PI値×平均単価=客数PI値×PPI×平均単価まで分解ができるようになった。ここで、客数PI値はグルーピング客数÷全体客数であり、商品を1品買おうが、2品買おうが純粋に商品を購入した客数に焦点を当てた客数のみの指標である。PPIはPersonal Purchase Indexのことであり、買上店数÷グルーピング客数のことである。これにより、PI値を客数PI値とPPIに分解することが可能となり、PI値アップのためには、客数PI値をあげるか、PPIをあげるかというアプローチが可能となる。
   
   このアプローチが可能となることで、PI値の高い商品のPI値を維持し、さらには限界まで上げる手順が明確になる。PI値=客数PI値×PPIであるので、まず、客数PI値を引きあげることが課題となる。客数PI値はグルーピング客数÷全体客数であるので、入店客に対してどれだけその商品へ顧客を誘導できるかである。そして、そのための最も重要な政策がレイアウトである。客動線と商品との関係を最高にもってゆくといいかえてもよく、ごく単純化すれば、客動線最高の場所にPI値最高の商品を配置するという売場づくりが第一であり、第二がその場所へ顧客を誘導するPOP、プレゼンテーション、価格訴求などのアクションである。
 
   そして、2番目の課題はPPIを引き上げることである。これは、買上店数÷グルーピング客数であるので、まずは絶対に欠品を出さないことであり、次に、裏腹の関係になるが鮮度を引きあがることである。欠品を追求すると過剰在庫となり、鮮度が劣化しがちになり、鮮度を追求すると在庫が薄くなり、欠品しがちになるが、この2つの最適バランスをたもつことがPPIを引き上げる最優先課題となる。ついで、品揃えを充実させたり、価格政策を工夫し、買いやすい商品化、商品開発を行ったりすることがポイントとなる。ID-POSデータが分析できるのであれば、さらに、初回購買を促す政策を打ち出したり、リピート顧客に対して、さらなるリピート購買をしてもらう特典を考案したりすることも可能となる。ここまでくると、顧客の来店頻度アップにもつながり、客数アップにもつながってゆく。

   このように、PI値の高い商品は、まず、PI値を限界まで高めることが最優先課題であり、そのためには、PI値=客数PI値×PPIの原則にもとづき、手順を踏んで、PI値アップに取り組むことがポイントである。そして、PI値が限界に達したなら、次に平均単価の改善に入り、品揃えの見直しに着手し、客単価アップに入るのが手順といえよう。PI値の高い商品は改善効果も高く、仮に、客単価で1円の改善ができれば、約100店舗クラスのチェーンストアでは年間1億人の延べ客数が来店しているので、1円=1億円となり、効果は絶大といえる。また、結果、それが顧客満足度を高める第1歩となり、経営そのものがスムースに回ってゆくことになる。まずは、PI値の高い商品を抽出し、手順を踏んで活性化に取り組んでゆくことがポイントである。

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December 04, 2007

ベイシア出店再開、11/28、約1年ぶりに新規出店!

   ベイシアが昨年12/20のベイシアスーパーセンターさくら氏家店(栃木県さくら市)の出店以来、約1年ぶりとなる新店を11/29、ベイシアフードセンター常滑店を愛知県常滑市にグランドオープンした。カインズモール常滑店内へのベイシアフードセンターとしてのオープンであり、売場面積は約1,500坪弱と衣料品も一部食品と同一売場内に取り込んだため、大きめの売場面積でのオープンである。フードセンター常滑店は、フードセンター蒲郡店(2004年9月)、フードセンター名古屋みなと店(2005年3月)、スーパーセンター三好店(2006年11月)に次ぐ、ベイシアとしては愛知県下4号店目の店舗となる。また、次の新規出店も12/7、静岡県御前崎市へのベイシアフードセンター御前崎店のグランドオープンが決まっており、約1年ぶりに、ベイシアの出店が再開されたといえよう。

   12/3の日経MJに10月度のスーパー販売実績としてGMSを含む、主要食品スーパーマーケットの売上速報が掲載されているが、その中にベイシアもある。売上は200.32億円(単純年商約2,400億円)、伸び率103.3%、店舗数89店舗(昨年85店舗)という数字であり、売上はやや伸び悩んでいる状況である。ただ、ここへ来て、再び、新規出店が再開されることにより、今後は2桁の成長が続くものと予想される。

   ベイシアの2005年度から2006年度の約1年間の新規出店は怒涛の出店といえる出店ラッシュが続いていた。ざっと、出店店舗を見てみても、ベイシアフードセンター深谷川店(2006/12/12)、ベイシアフードセンター川島インター(2006/12/4)、 ベイシアスーパーセンター三好店(2006/11/30)、 ベイシア掛川店(2006/11/17)、ベイシアフードセンター甲賀店(2006/10/30)、ベイシアフードセンター行田店(2006/10/19)、ベイシアスーパーセンター長生店(2006/7/15)、 ベイシアスーパーセンターあづみの堀金店増床全面リニューアル(2006/7/13)、なめがわ森林モール(2006/6/28)、ベイシアスーパーセンター市原八幡店(2006/6/22)、ベイシアスーパーセンターひだかモール店(2006/4/27 )、ベイシアフードセンター香取小見川店(2006/4/6)、ベイシアフードセンター嵐山店(2006/2/23 )、ベイシア東御店(2005/12/22 )、ベイシアスーパーセンター佐倉店(2005/12/16 )、ベイシアスーパーセンター富里店(2005/12/8 )、ベイシアフードセンター旭飯岡店(2005/11/9)という状況であり、約1年の間に17店舗というまさに出店ラッシュであった。

   ところが、昨年12/12のベイシアフードセンター深谷川店以来、ピタッと新規出店が止まり、今回の11/28のベイシアフードセンター常滑店の出店まで約1年間新規出店が全くないという状況が続いていた。ただ、これで、次の新規出店も決まっており、再び、ベイシアの出店が再開されたことにより、売上も成長軌道に乗ってくるといえよう。

  さて、今回の久しぶりの新店、ベイシアフードセンター常滑店の特徴であるが、売場面積が約1,600坪と大きめであり、その分、食品、雑貨に、加え、衣料品の売場がしっかりとられており、売場面積が大きくなったといえる。衣料品売場はちょうど青果の裏側、レジの前にかなり大きめなスペースでコーナー化されており、紳士用品、婦人用品、ベビー・子供用品に加え、傘・バック、帽子、靴・スニーカーなどの売場もしっかり確保され、総合衣料品を圧縮した密度の濃い商品構成となっている。

   食品に関しても、レジと反対側のグロサリーと鮮魚、精肉、惣菜となるメインの主通路には平台がおかれず、グロサリーエンドと生鮮食品、日配が隣合わせとなり、すっきりしたレイアウトとなっている。平台は青果側に青果6台、グロサリー1台、日配1台、精肉1台、鮮魚2台と計11台が配置されており、ここがメインの集客売場となっている。また、反対側には惣菜1台、洋日配1台、和菓子1台、パン3台の計6台の平台に加え、冷凍食品、アイスクリームの平台が配置されている。平台は、店舗の左右に配置され、真ん中のメイン主通路にはないレイアウト構成となっており、エンドを強力に打ち出したグロサリー強化型のレイアウトである。

   オープンちらしでは、野菜88円均一、ぶりまつり、まぐろまつり、すきやきまつりを打ち出し、ぶりしゃぶしゃぶ12切500円、本まぐろ中とろ100g880円、国産牛肉モモすき焼き用250g580円に加え、魚の切り身500円均一、加工肉200円均一等、生鮮品を全面に出したオープンちらしとなっている。また、裏面では日配、グロサリーがメインとなっており、11/29のアイス詰め放題1回500円、マルチアイス全品150円とこの時期アイスクリームを全面に押し出したちらしである。これに加え、衣料品、住関連用品が右半分で訴求され、レディースをメインにメンズ、キッズを強く打ち出している。

   このように、ベイシアが約1年の沈黙を破って11/29、ベイシアフードセンター常滑店を愛知県に出店した。また、ベイシアは12/1には約7年前にオープンしたNSCのさきがけとなったヨークベニマルと真っ向からぶつかった福島県白河市の白河モール店をリニューアルオープンしており、新店に加え、既存店のベイシアの本格的な改装にも取り組みはじめた。ベイシアの成長戦略、既存店のリニューアルを練り直しての新たな成長戦略のリスタートといえよう。今後のベイシアの新店および既存店のリニュールに注目したい。

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December 03, 2007

チェーンストアエイジ、12/1号、Ario西新井の取材記事へ投稿!

   チェーンストアエイジ12/1号にセブン&アイホールディングスの最新業態のモール型SC、Ario西新井の取材記事を投稿した。この12/1号のチェーンストアエイジは、特集記事として、緑の来襲と題し、米国小売業レポート、テスコのアメリカ初上陸1号店のレポートに加え、食品スーパーマーケットをはじめとする主要上場小売業の中間決算の状況もあり、読み応えのある内容となっている。その特集記事の次のコーナーのFOCUS ON新店の中での取材記事、P51への投稿である。ちょうど、この同時期、イオンモール羽生もオープンしており、今回の新店特集もまず、イオンモール羽生、Ario西新井となり、これら新店以外にもいなげやのブルーミングブルーミー鴻巣駅前店、サンシャインLIO、そしてリブレ京成のララガーデン春日部も同時に取り上げている。

   Ario西新井を取材してみて、改めて感じたことは、イトーヨーカ堂がGMS業態をあきらめてはいないと感じたことである。むしろ、GMSを進化させる形で必然的にモール型SCという新業態にいきついたと感じた。特に、今回の立地、西新井はイトーヨーカ堂発祥の地、千住のすぐ近くであり、下町、足立区のほぼ中心にあたるまさに下町への出店であり、下町そのものをもリニューアルしようとしている意図も感じる。実際、西新井のSCの造りはイオンの最新SCであるイオンモール羽生の2核を約300mでつなぎ、その周辺を200店舗の専門店で1階から3階までをつなぐ、SCとは一線を画している。Ario西新井はイトーヨーカ堂の1核のショッピングモールとなっており、約100の専門店は核店舗のイトーヨーカ堂の表玄関のように配置されており、イトーヨーカ堂の手薄な業態を補っているようにみえる。

   記事の小見出しでも、「GMSを専門店で補完する近隣深耕型のSC業態」とつけてみたが、まさに、各専門店がイトーヨーカ堂というGMSの弱点を見事に補い、さらに、近隣の衣食住+サービス・カルチャー需要を掘り下げているようなテナントリーシングとなっていたように感じた。今回の記事の中では、亀井社長の記者会見の内容は間接的に記事の中に組み込んだが、亀井社長も記者会見では、基本コンセプトの「3世代対応型SC」に加え、特にArio西新井はサービス・カルチャー部門の構成比を引きあげたたことを強調しており、まさにGMSではできない弱点をSCという業態だからこそ可能になったという趣旨を述べていた。Arioはまさに、その意味で、今回の記事の結論でもあるが、ポストGMS、ポスト イトーヨーカ堂といえるセブン&アイホールディングスの新業態といえよう。ちょうど、食品スーパーマーケットがNSCで成功しているように、GMSはこのArioのモール型SCとして新たな再生、復活を遂げるような予感を抱かせる新店であるように感じた。

   また、このArio西新井は、6店舗目のSCとなるが、5店舗目の大阪のArio八尾から本格的にはじまったトータルデベロッパーとしてのセブン&アイホールディングスの開発物件としても注目といえる。今後、セブン&アイホールディングスは本格的にグループをあげてのデベロッパー事業への参入をする方向であるが、Ario西新井は、現時点の集大成ともいえ、今後のトータルデベロッパーとしての出発点ともなる開発物件でもあるといえる。

   ちょうど、11/30の日経新聞に、「セブン&アイ、商業施設開発収益源に、グループ会社の機能集約」という記事が載っていたが、その中で、今回、このArioを開発してきた三井物産とイトーヨーカ堂の共同出資の会社、モール・エスシーにセブン&アイホールディングスが増資を引き受ける形で出資し、持ち株比率を75%に高め、子会社化するという。そして、来年3月から、ヨーカ堂のテナント開発部門やグループのマーケティングを手掛ける子会社のエス・ウィルを統合し、今後3年ぐらいかけて、ヨークベニマル、ヨークマート、イトーヨーカ堂、西武百貨店、そごう、デニーズ、セブンイレブンなどの開発支援を行ってゆくという。さらには、グループ外の受託も行い、まさに、開発をセブン&アイホールディングスの収益の柱の一つにしてゆくことが意思決定された。その意味でも、このArio西新井は今後のセブン&アイホールディングスの本格的な開発物件のさきがけとなる新業態といえよう。

   Ario西新井は東武伊勢崎線の西新井から西へ約400mのところにあり、まさに足立区の中心への出店である。記事にも書いたが、ここはイトーヨーカ堂発祥の地、千住もすぐ近くであり、最も古い千住店他、創業のころの店舗やつい最近オープンしたArio4号店のArio亀有も近いので、1日かけて、この地を回り、下町の独特な雰囲気と、セブン&アイホールディングスの最新業態を見比べると良いと思う。あらためて3世代対応型のSCというコンセプト打ち出したセブン&アイホールディングスの意図がわかるのではないかと思う。

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December 02, 2007

カウボーイ、再建初年度、負の遺産を分離、厳しい決算!

   11/26、カウボーイが2007年9月度の本決算を公表した。カウボーイは10月始まり、9月締めの決算であり、9/30が本決算である。現在、カウボーイは、経営再建中であり、昨年、11/27に合意したスパークス証券及びゴールドマン・サックス・グループとの間の事業の再生又は再構築に関する合意に基づき抜本的な経営の再構築に取り組んでいる最中であり、社長も元オオゼキの石原坂多聞氏をむかえての、はじめての決算となった。その決算内容であるが、売上高430.80億円(87.5%)、営業利益-5.05億円、経常利益-9.23億円、当期純利益-111.50億円の減収大幅な赤字となる厳しい決算であった。今期は思い切り、負の遺産に切りこんだ抜本的な経営再建に踏み込んでおり、大幅な赤字はやむをえぬ数字といえ、今後、どこまで、経営再建が進んでゆくかが注目される。

   なお、カウボーイは今期の決算内容と同時に来期の業績予想を公表しているが、それによると、売上高397.45億円(92.3%)、営業利益0.47億円(売上対比:0.11%)、経常利益0.20億円(売上対比:0.05%)、当期純利益-0.70億円と、依然として最終赤字が続く予想であるが、その額はわずかであり、売上も回復基調となり、営業利益、経常利益は黒字転換の予想となっている。

   カウボーイが今期取り組んだ最大のテーマは不動産部門の切り離しであり、経営再建に入るにあたり、「財務上の状況を改めて精査したところ、過大かつ営業キャッシュフローに見合わない有利子負債の返済スケジュールが当社の最大の問題であると認識するに至りました」とのことで、「この問題の根本的な解決のためには、当社の小売事業と不動産関連事業を切り離し、金融機関にとって長期の貸付を実施しやすい不動産関連事業において全有利子負債を引き受けることが最善であると判断」し、経営再建に着手している。そして、3/28、不動産関連事業を会社分割し、全有利子負債とともに新設分割設立会社(株式会社トーラスリアルティ)に承継させている。これが、カウボーイの抜本的な経営再建、第1弾であり、その後、5ケ年の経営計画を策定し、経営資源を小売事業に集中し、来年いっぱいは内部体制を固めることに専念し、その後の4年間は攻めの経営に転じ、収益拡大を狙うという。石原坂社長は、まさに、この5ケ年間の経営計画を確実に実行し、経営改善するためにスパークス証券及びゴールドマン・サックス・グループから、経営を託されたといえよう。

   ここで、もう少し、今期の経営内容を見てみたい。まず、収益バランスであるが、売上総利益は昨年の20.4%から19.9%へと0.5ポイント下がっており、販売費及び一般管理費は逆に昨年の19.3%から、21.1%へと0.8ポイント上昇している。したがって、営業利益は昨年の1.1%から-1.2%へとマイナスに転じている。この数字を見る限りでは経費が大幅に上昇しているように見えるが、実際の経費は95.17億円から90.77億円と95.3%に下がっており、売上が92.3%まで下がってしまったので、経費削減をカバーできなっかった形であり、経費の問題よりも、売上の不振の方に課題があるといえよう。

   その売上であるが、カウボーイは事業を小売事業、卸売事業、不動産関連事業、レジャー事業、その他の事業に分割して管理しているが、それぞれの構成比と売上伸び率を見ると、小売事業(82.0%、99.8%)、卸売事業(4.5%、37.4%)、不動産関連事業(5.1%、50.1%)、レジャー事業(8.2%、92.0%)、その他の事業(0.3%、20.4%)であり、小売事業はほぼ昨対並で推移しており、課題は、卸売事業と本体から事業を切り離した不動産関連事業にあるといえ、今後、小売事業の活性化が進めば、収益の改善は可能な状況といえ、来期の業績予想での黒字転換はまさに小売事業の活性化がどこまで進むかにかかっているといえよう。

   一方、今期の自己資本比率であるが、18.2%となり、厳しい状況である。これは、今期決算でいっきに負の遺産の清算に入ったために、株主資本の利益剰余金が-104.63億円となり、株主資本を大きく減少させたためである。ただ、長短借入金は、これまでの247.75億円(総資産の51.6%)から、今期は10.03億円(総資産の12.2%)へと大幅に減少しており、総資産も476.22億円から、81.73億円と大幅に圧縮している。まさに、大ナタが振るわれたといえ、不動産事業の分離と借入金の削減が同時に実行に移された形である。

   これを裏付ける形で、資産面を見てみると、土地3.49億円(160.86億円)、建物及び構築物7.30億円(207.31億円)と合計10.79億円(368.17億円)と大幅に減少しており、不動産事業の分離が出店関連の主要な資産を大きく圧縮した決算内容となった。ただ、逆にこれまで0であった差入保証金が16.09億円と増えているが、これは分離した不動産事業へのものといえよう。

   このようにカウボーイの2007年9月期の決算は厳しい数字になったが、不動産事業を切り離したことにより、資産が大幅に減少し、それに、見合う、借入金も大幅に減少し、総資産がいっきに17.1%となり、資産、負債が大きく改善されたといえる。また、売上に関しても、不動産事業、卸売事業などが不振ではあったが、小売事業は堅調な数字であり、今後、小売事業にさらに経営資源を集中することにより、全体の業績改善につながるといえ、今後は、いかに小売事業に専念し、活性化してゆくかが最大の経営課題となったといえよう。カウボーイの今回示された5ケ年計画が着実にすすんでゆくか、次の決算に注目したい。

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December 01, 2007

日経MJ、新製品ランキング、11/30、ミルクシーフード2位に転落!

   恒例の日経MJ、新製品ランキングが11/30に公表された。注目の日清食品、カップヌードルミルクシーフードヌードル83gは客単価が先週比399円ダウンし、476円(1人当り0.476円)となり、その他食品部門で2位、全体では7位となった。1位は明治乳業、ブルガリアヨーグルトLB81そのままでプレーン500gであり、客単価は773円、全体では3位であった。シーフードヌードルは先週初登場で、全体No.1となり、今週の客単価がどの辺で落ち着くかが注目されたが、数字は大きくダウン、カバー率は76.4%と先週が74.9%であったので、わずかな伸びにとどまり、平均単価も先週の103円から101円へと2円下げ、若干販促がかかったとは思うが、伸び悩んだといえよう。今後、この数字を維持できるか否かが微妙な状況といえ、来週以降、どの辺で数字が落ち着くかが気になるところだ。

   その他部門、今週No.1に返り咲いたのは、先週No.2であった9/24初登場の明治乳業、ブルガリアヨーグルトLB81そのままプレーン500g、客単価773円であった。先週比70円マイナスの客単価となったが、客単価Aクラス、500円を優に超える高い数字を維持しつづけており、安定した顧客の支持を獲得しているといえよう。その他食品については、No.3にも明治乳業、ブルガリアヨーグルトフルーツミックス80g×4が、客単価376円で入っており、ブルガリアブランドの強さを示しているといえる。ただ、カバー率は78.5%であり、No.1のブルガリアそのままの98.5%と比べると低いので、カバー率のアップが課題といえよう。

   No.4は初登場の伊藤ハム、味健気あらびきポークウィンナー100g×3、客単価375円であるが、カバー率がわずか19.0%であるので、限られた店舗のみでの数字であるので、カバー率があがった場合の数字がどの辺で落ち着くかが課題といえよう。No.5は味の素、ほんだし120g箱、客単価351円であり、カバー率は90.3%と高い数字であり、9/4初登場であるが、安定した数字である。そろそろ、13週目に近づいているので、ランキングから外れるが、約3ケ月間この数字を高いカバー率で維持しており、注目である。そして、No.6はタカノフーズ、おかめ納豆、極小粒カップ4、30g×4、客単価263円であり、ここまでが、その他食品の中で、客単価Cクラスの200円以上の今週の新製品である。

   今週の注目部門はこのその他食品に加え、冷凍食品が注目である。客単価そのものはさほど高くはないが、上位はアイスクリームのオンパレードとなった。ベスト10の中に8品アイスクリームが占め、No.1はロッテ冷菓の雪見だいふく<ティラミス>47ml×2個が客単価191円でトップとなった。カバー率は62.6%で全33チェーン、193店舗にはまだ行きわたっていないが、先週2位からの躍進である。そのNo.2は日本水産、たこ焼き25個500g、客単価162円であり、先週17位からの大躍進である。そして、ここから、ハーゲンダッツのミニカップシリーズのオンパレードとなり、No.3に黒糖黒みつ120ml(客単価125円)、No.4にマルチパック6個入り(客単価119円)、No.5にビターキャラメル(客単価108円)、No.6にノワゼットショコラ(客単価105円)、そして、No.7にラムレーズン120ml(客単価103円)と続く。

   No.8にも森永乳業、エスキモー「ピノミルクティー」10ml×6粒、客単価96円、No.9には冷凍食品の日本水産、ほしいぶんだけ中華五目春巻6個162g、客単価65円、そして、No.10にロッテ冷菓、レディーボーデンパイント<バニラ>470ml、客単価64円が入っており、冬本番となった11月末であるが、クリスマスシーズンも近づき、アイスクリームが絶好調といえよう。しかも、ハーゲンダッツシリーズは、カバー率がのきなみ80%を優に超えており、食品スーパーマーケットもしっかり品揃えをしており、今年はアイスクリームの新製品に注目といえよう。

   また、上記部門以外のトップ商品を見てみると、飲料が客単価はCクラスの200円を切るが、初登場でNo.1にカゴメ、野菜生活100、黄の野菜1Lが客単価190円となった。No.2にも初登場の日本コカ・コーラ、爽健美茶ウィンターヴィーナス500mlペットボトルが客単価187円で入っており、今週の飲料部門はNo.1、No.2が初登場の新製品が占めた。

   菓子部門ではNo.1に先週No.2からネスレコンフェクショナリー、キットカットミニ15枚が客単価492円と浮上した。ただ、平均単価が先週272円から今週は243円と大きく下がっているため、大きな販促がかかったと見え、先週比162円の上昇であり、来週以降この販促効果がどのような数字になるか注目である。ただ、カバー率は95.9%となっており、カバー率アップ、維持へは大きな販促効果であったといえよう。

   そして、家庭用品であるが、ベスト3には変動がなく、No.1は資生堂、リバイタルクリームエンサイエンスAAEX40g、客単価834円、No.2はマックスファクター、SK-Ⅱサインズトリートメントトータリティー80g、客単価796円、No.3は花王、アタック増量企画品1.2kg、客単価706円であった。

   このように、今週は先週初登場、全新製品でNo.1となったミルクシーフードヌードルの動向が注目されたが、残念ながら大きく失速し、全体では7位となった。ただ、依然として客単価は476円とAクラスの500円に近い数字であり、もうしばらく様子を見て、どの辺に落ち着くかを見極める必要があるといえよう。来週以降の新製品ランキングもこのミルクシーフードヌードル以外にも注目の新製品が続々と登場しており、その動向には注目である。

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