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December 14, 2007

中間決算に見る主要食品スーパーマーケットの経費比率!

   食品スーパーマーケットの経営において重要な指標のひとつに経費比率がある。経費比率は一般には低ければ低い方が良いように思われているが、経営はバランスであり、経費比率が低くとも粗利も低ければ利益がでないため、経営としては良いとはいえない。したがって、経費比率は営業利益とのバランスを見て、利益をしっかり算出しているかを見る必要がある。さらに。それに加え、最近の食品スーパーマーケットは店舗数が増えると自社の物流センターを持つようになり、センターフィーの収入、さらには、NSC、SC業態をもつようになり、不動産収入等もあるため、最終的にはこれえらのプラスアルファの収入も考慮したトータルなバランスを見ることが、食品スーパーマーケットの経営では重要なポイントである。

   ここでは、これらを踏まえ、経費比率と経営全体のバランス、そして、もう一点、マーチャンダイジングのバランスも見てみたい。マーチャンダイジングのバランスとは、センターフィー、不動産収入等を入れない売上総利益と経費とのバランスであり、すべての収入を入れた場合は営業総利益と経費とのバランスとなる。一般的にはこれが営業利益である。ただ、これでは、マーチャンダイジングの実態を反映しているとはいえないため、ここではマーチャンダイジングの実態を見るために、商品売買から得られる売上総利益と経費とのバランスをみ、純粋な商品売買から得られる利益により、どこまで経費を賄い、結果、どのくらいの利益を算出しているかをみてみたい。これにより、食品スーパーマーケットのマーチャンダイジングの強さを示すことが可能となる。この指標を営業利益に対し、ここでは純営業利益という言葉で区別したい。

   まず、主要食品スーパーマーケットのこの中間決算の経費率に注目してみると、経費比率が最も低い食品スーパーマーケットはアオキスーパーであり、何と16.1%である。No.2がオオゼキの18.1%であるので、いかにアオキスーパーの経費比率が低いかがわかる。ただ、営業利益は3.4%であるが、売上総利益に対する経費比率である純営業利益は0.7%であり、マーチャンダイジング面から見るとやや課題が残るといえよう。オオゼキの純営業利益率は6.2%で、全食品スーパーマーケットの中でダントツのNo.1である。オオゼキはさらに営業収入が1.1%あるので営業利益は7.3%となり、どちらの指標でも食品スーパーマーケット業界でNo.1となる。

   オオゼキについで、純営業利益率が高い食品スーパーマーケットはサンエーであり4.3%である。サンエーの経費比率は25.0%と極めて高いが、売上総利益も29.3%、営業総利益はさらに高く32.2%であり、食品スーパーマーケット業界の中で最も売上総利益、営業総利益とにも高い食品スーパーマーケットである。サンエーのように経費比率は高くとも売上総利益、営業総利益をさらに高め、営業利益、純営業利益を高めている食品スーパーマーケットもあり、このように経費比率は低ければ低いほどう良いとはいえないのが実態である。

   さらに経費比率に着目すると、オオゼキについで低い経費比率の食品スーパーマーケットはアークス(18.6、営業利益率:3.7、純営業利益率3.7)、タイヨー(18.8、2.8、1.6)、丸久(19.4、4.6、2.3)、丸和(21.0、1.8、0.7)、ハローズ(22.0、3.4 、1.0)、マックスバリュ西日本(22.7、3.8、1.8)、ジョイス(22.7、0.7、-0.1)、マックスバリュ東海(22.8、4.9、2.9)、ヤオコー(23.7、4.0、-0.4)となり、以上がベスト10である。この中でも純営業利益に注目すると、ヤオコー、ジョイスは営業利益はプラスだが、純営業利益はマイナスとなり、営業収入が経営をカバーしていることがわかる。また、このベスト10の中ではマックスバリュ東海、丸久が純営業利益率が2.9%、2.3%と高いことがわかる。

   逆に、経費比率が高い食品スーパーマーケット10社を見てみると、ユーストア(25.8、1.6、-3.2)、ヤマナカ(26.0、0.8、-3.7)、マルエツ(26.1、2.0、0.0)、バロー(26.5、2.8、-2.3)、相鉄ローゼン(27.0、0.9、-3.1)、カスミ(27.7、2.6、-1.1)、エコス(27.7、1.0、-1.8)、マルヤ(28.9、-5.5、-9.5)、東急ストア (9.4、1.6、-2.5)、いなげや(29.7、0.6、-4.2)となる。残念ながら、経費比率が高い10社はマルエツの0%を除き、いずれも純営業利益がプラスにならず、マーチャンダイジングには課題が残るといえよう。

   また、全体の食品スーパーマーケットの状況を見ると、経費比率の低いベスト10は9社が純営業利益率がプラスになっているのに対し、ワースト10はすべて0%かマイナスであり、全体として見れば、マーチャンダイジングの強い食品スーパーマーケットほど経費比率も低いという傾向は鮮明であり、利益と経費のバランスをとることが経営のポイントであるが、全体としては経費比率が低い方が安定した経営となっているともいえよう。

   このように、この直近の2008年度の中間決算の数字をもとに主要食品スーパーマーケットの経費比率とマーチャンダイジングの実態を示す純利益率とを見てみたが、大きくは経費を可能な限り下げるローコスト経営を実践することが経営を優位に進めてゆくことになるといえる。ただ個々に見ると、利益と経費とのバランスが重要なポイントであり、経費を下げつつもマーチャンダイジングの実態を表す商品売買から得られる売上総利益もしっかり改善してゆくことがマーチャンダイジングを強め、経営を強めてゆくことになるといえよう。

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