平和堂、2008年2月期、第3四半期決算、増収増益!
昨年末から食品スーパーマーケット業界の第3四半期決算の公表がはじまった。本ブログでも、マックスバリュ東海、西日本を取り上げたが、現在、さらに数社が第3四半期決算を公表している。ここでは、食品スーパーマーケットよりもショッピンセンター、GMSを主力業態とする平和堂の第3四半期決算を取り上げてみたい。平和堂はショッピングセンターの売上構成比が約70%と、ここ最近は、ショッピングセンターを地元滋賀県はもとより、京阪神地区、北陸地区に出店し、成長を遂げている企業である。ただ、食品の構成比は約55%であり、その中核部門は食品にあり、地元滋賀県では食品スーパーマーケットの出店にも力を入れている。
まず、平和堂の連結の第3四半期決算であるが、営業収益が3,066.75億円(102.2%)、営業利益84.21億円(109.0%:営業収益比2.74%)、経常利益85.50億円(112.5%:営業収益比2.78%)、当期純利益 42.15億円(121.4%:営業収益比1.37%)と増収増益の好決算であった。特に、営業収益よりも利益が大きく伸びたのが特徴といえよう。その要因を見てみると、売上総利益が昨年の29.2%から29.4%と0.2ポイント増加しており、粗利率が上がったことが大きい。さらに、販売費及び一般管理費も昨年の33.6%から33.5%へと0.1ポイント改善しており、粗利と経費双方の改善が進んだことが大きいといえよう。ただし、平和堂の大きな収入となっているテナント収入等の営業収入が昨年の7.2%から7.0%へと0.2ポイント下がっており、差し引き、営業利益が昨年の2.8%から2.9%へと0.1ポイントの改善にとどまったが、これが営業収益の伸びと相まって、大幅な増益となったといえよう。
ただ、平和堂は自己資本比率が33.5%と依然として低い数字であり、財務面の改善が今後の成長を維持するためにも課題といえよう。自己資本比率が33.5%にとどまっている要因を見ると、出店にかかわる資産である土地、建物、差入し資金及び保証金の合計が1,983.25億円(昨年1,927.97億円)と総資産の69.7%と約70%を占めており、自己資本比率の33.5%ではカバーしきれない構造となっているためである。そのため、負債面の主要項目である社債を含む長短借入金が902.73億円(昨年937.01億円)と総資産の31.7%となり、自己資本比率の33.5%と合わせて、出店にかかわる資産をカバーしている状況といえる。平和堂は現在102店舗であるので、1店舗当たりの資産を算出してみると、19.44億円となり、通常の食品スーパーマーケットの4倍から5倍となっており、食品スーパーマーケットというよりも、ショッピングセンター、GMSといえる業態構造といえよう。
平和堂は現在、業態を大きく3つもっており、ショッピングセンタータイプのアルプラザ35店舗(年商約60億円、約70%の構成比)、GMS25店舗(年商約20億円、約15%の構成比)、そして、食品スーパーマーケットのフレンドマート41店舗(年商約12億円、約15%の構成比)であり、GMSはほぼ横ばい、ショッピングセンターは微増、食品スーパーマーケットが漸増と食品スーパーマーケットと食品スーパーマーケットとショッピングセンター業態に力をいれている。ただ、ショッピングセンターとGMSを合わせて約85%の売上構成比となることから、出店にかかわる資産が食品スーパーマーケットと比べ極端に大きな数字となるといえよう。この第3四半期においても、スーパーマーケットタイプのフレンドマート守山水保店(滋賀県守山市)を11月に出店しており、食品スーパーマーケットは今後とも新規出店の主力業態となってゆくものといえよう。
したがって、平和堂の商品構成比も通常の食品スーパーマーケットとは若干異なり、食品の比率が55%前後であり、ついで、衣料品が18%前後、住関連品が15%弱、その他商品供給が7%前後、その他となる。食品の中でも生鮮食品が25%、一般食品等グロサリーが30%であるので、食品内での生鮮食品の比率は45%強となる。GMS、ショッピングセンター特有の衣料品、住関連品が合計で30%を超え、食品スーパーマーケットとは商品構成がかなり違うといえよう。それでも、純粋なGMSと比べると食品の役割が大きく、業態の中核は食品にあるといえ、食品をいかに強めるかが成長のポイントといえよう。
また、ここ最近では地元滋賀県の売上構成比が徐々に下がっており、現在50%を切り、47%前後で推移している。これに代わり、京阪神地区の京都府、大阪府、兵庫県の比率が高まっており、30%弱まで構成比があがってきている。もうひとつの展開地域である北陸地方の石川県、福井県、富山県はこの3年間12店舗で店舗数が横ばいであり、売上構成比も約15%強であり、その他、商品供給が5%強である。今後は、これを見ても、京阪神地区へのショッピンセンターでの出店と地元滋賀県での食品スーパーマーケットの出店が成長の鍵を握っているといえよう。
このように、この第3四半期の平和堂の決算数値を見ると、営業収益は微増であるが、営業利益、経常利益、当期純利益とともに利益が2桁前後で伸びており、大幅な増益となる好決算であった。ただ、自己資本比率が、ここ最近ショッピングセンター主体の出店となっており、33.5%と低く、今後のさらなる成長を安定的に維持してゆくには、この自己資本比率の改善が急務といえよう。今後、好調な決算数値をもとに、どこまで、自己資本比率の改善がはかれるかが、ポイントといえよう。平和堂の今後の中長期的な財務戦略に注目したい。
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