ウォールマートの海外部門の最新状況を見る!
前回、ウォールマートの2007年12月度の売上速報を取り上げたが、その中で、ここ最近ウォールマートの成長分野は海外に重点が移っていることを示した。この12月度も全体が108.4%に対し、海外は118.4%という高い伸びを示している。そこで、ここでは、ウォールマートの海外部門の最新の現状を見てみたい。1/14、まさにウォールマートから、その最新の情報が公開された。海外、アジア部門のトップが、現在、ウォールマート、ブラジルの社長兼CEO、Vicente Trius氏がウォールマートの上級副社長兼海外部門のアジアの社長兼CEOに昇進したというニュースである。今後、中国の101店舗の直営と関係先102店舗、日本の西友の394店舗、それに、今年参入するインドを統括するという。Vicente Trius氏はこれまでウォールマートでサムウォルトン賞を受賞するなど、優秀な方でDarden School of BusinessでMBAを取得し、ハーバートビジネススクールでも学んだ秀才であるという。今後のウォールマート、アジアは彼にかかっているといえ、西友もどのように変わってゆくかが楽しみでである。ただ、成長著しい中国、インドと成熟市場である日本をアジアという地域性で一緒に統括することが良いのかどうか何ともいえないところではある。
さて、ウォールマートの海外部門の現状であるが、展開地域は2008年1月現在、メキシコ(1020店舗、1991年)、プエルトリコ(54店舗、1992年)、カナダ(298店舗、1994年)、アルゼンチン(21店舗、1995年)、ブラジル(313店舗、1995年)、中国(203店舗、1996年)、イギリス(352店舗、1999年)、日本(394店舗、2002年)、コスタリカ(149店舗、2005年)、エルサルバドル(70店舗、2005年)、グアテマラ(145店舗、2005年)、ホンジュラス(47店舗、2005年)、ニカラグア(45店舗、2005年)と13ケ国、3,111店舗である。これに今年、アジアではインドが加わることになる。
この中で最も早くに海外展開をはじめ、現在、店舗数の最も多いメキシコについて見てみると、スーパーセンターが134店舗、サムズクラブ83店舗が直営であり、残りの約800店舗は現地の子会社の様々な業態で構成されている。たとえば、Bodegaという店舗名で241店舗、Mi Bodegaで58店舗、Mi Bodega Expressで4店舗、あるいは、レストランが335店舗など、多彩な業態展開である。これはウォールマートがはじめに現地企業とのジョイントベンチャーから入ったためである。
海外の店舗数で次に多いのが日本の西友であるが、西友の業態もウォールマートは西友スーパーマーケット276店舗、西友GMS114店舗、西友GM4店舗とGMSとGMを分けている。また、西友について、ウォールマートは環境をリードする小売業として著名であるとコメントしている。ついで、店舗数が多いのがイギリスであり、子会社化したアズダでの展開がほとんどであり、主な業態は、アズダスーパーストアが258店舗、アズダスモールタウンが42店舗等であるが、ウォールマートスーパーセンターも27店舗展開している。イギリスでもスーパーセンターが展開されていることがわかる。
もう、数ケ国、特徴的な国を見てみたい。ウォールマートの海外部門でも最も注目されている国のひとつがブラジルであるが、そのブラジルでは1995年にスーパセンターとサムズクラブを2店舗づつオープンしたのが最初であるが、その後、店舗数を増やし、スーパーセンターは29店舗、サムズクラブは20店舗になった。これに加え、現地の企業を子会社化し、2004年にはBompreço stores 118店舗を、Sonae storesを140店舗を加え、300店舗を超えるまでになった。さらに、もう1ケ国300店舗近い店舗数を展開しているのがカナダである。カナダではアメリカ国内と反対に圧倒的にウォールマートのディスカウントストアが多く272店舗であり、スーパーセンターはわずか20店舗しかない。サムズクラブもわずか6店舗であり、現在のカナダではディスカウントストア中心の展開といえる。
また現在、日本と並びアジアで海外展開しているのは中国だけであるが、その中国では圧倒的にスーパーセンターが多く、88店舗展開している。サムズクラブはわずか3店舗であり、食品スーパーマーケットのネバーフッドマーケットも2店舗である。これに加え、現地企業を子会社化(35%の出資)しており、Trust-Mart Hypermarketsが102店舗が加わり、さらに、この1月に8店舗増え、200店舗を超え、203店舗となった。
これ以外の海外展開の特徴としては、ここ最近南米に力を入れており2005年に一気に5ケ国(コスタリカ、エルサルバドル、グアテマラ、ホンジュラス、ニカラグワ)へ参入した。これらは現地企業や現地にすでに参入していたヨーロッパの小売業から買収をするなどし、その後、子会社化しているのが特徴である。
このように、いま最も成長著しいウォールマートの海外展開の状況をみると、初期のころは独自に展開し、軌道に乗ったところで現地企業の買収が多かったが、最近ではいきなり、現地企業を買収するケースが増えており、M&Aがウォールマートの海外展開の基本戦略となりつつある。また、現在の海外展開は南米が主力であり、ヨーロッパ、アジアはまだまだ本格化しているとはいえず、急激な海外の成長を支えているのも南米といえよう。ただ、今後、その南米からアジア統括のCEOとしてがVicente Trius氏が選ばれたことから、インドを含め、どのようにアジアへの展開が進んでゆくか注目といえよう。
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