相乗積とは何か、その活用方法、粗利率を改善せよ!
チェーンストアにおける粗利管理の極意は相乗積を使いこなすことにある。相乗積とは一般には売上構成比×粗利率で示され、いわゆる粗利ミックスを暗算に近い形で即時に計算できる粗利率算出の計算技術のひとつといえる。ちなみに粗利PI値を活用すれば、粗利PI値の総和÷金額PI値の総和で計算できるので、PI値を活用しているのであれば、この数式を用いた方が簡単かもしれない。相乗積に話をもどすが、相乗積とは何かであるが、これは数式でいえば、売上構成比×粗利率であるので、(グループ売上高÷全体売上高)×(グループ粗利高÷グループ売上高)となるので、グループ売上高が相殺され、=グループ粗利高÷全体売上高となり、何を隠そう、相乗積とは粗利構成比のことである。したがって、通常の構成比=売上構成比と全く同じように考えればよく、売上構成比に対する粗利構成比と考えればよい。相乗積という言葉で表現されるため、あたかも魔法のような計算技術のように思われているが、相乗積とは粗利構成比そのもののことである。
余談だが、小売業界に相乗積が広まったのは粗利ミックスをすばやく計算する技術、ノウハウのひとつとして広まったといえよう。目の前の商品の単品はすぐに粗利率は分かっても、これが粗利率の違う2つの単品、3つの単品となると、簡単には粗利率が計算できないため、その簡単な計算方法として伝統的に小売業界で伝承されてきた計算技術の一つといえよう。
たとえば、2つの単品の場合の相乗積の算出方法は、その単品の粗利率が分かっていれば、合計売上高を出し、個々の単品の売上構成比を算出し、各単品の売上構成比と粗利率を掛け、相乗積=粗利構成比を算出し、その和を求めれば、この2つの単品の合計の粗利率が計算できる。これを売上予想に換えれば、粗利率予想にもつながり、2つの単品を同時に販売した場合にどのくらいの粗利率となるかが予想でき、ここから、粗利率をあげるためには、売上構成比を変えるか、粗利率を見直すか、ないしはもう1品追加するかなどの粗利戦略の仮説をたてることもでき、利益にも重点をおいた売上戦略を立てることが可能となる。
では、この相乗積をチェーンストアで活用するにはどのような方法があるかを考えてみたい。チェーンストにおいて、最も重要な課題は店舗全体の粗利率と部門全体の粗利率を即座に把握し、どの店舗のどの部門の粗利貢献度に問題があるのかをすばやく把握し、改善、活性化をすることにあるといえよう。これが、正確に、素早く、確実にできないと、店舗全体、部門全体の粗利の改善が遅れ、チェーンストア全体の粗利率の改善に結びつかず、折角もうけた利益が垂れ流し状態となりかねない。したがって、ここに相乗積を用いることが、チェーンストアの粗利管理のための大事なテーマであるといえ、相乗積を駆使し、いち早く、課題の店舗、課題の部門を特定することが最大のテーマといえよう。
具体的にはどのように相乗積を用いたらよいかであるが、チェーンストアは、食品スーパーマーケットでいえば約10の部門を持った店舗が、数100店舗、数1,000店舗となるが、ここでは分かりやすくするために、10部門、10店舗で考えてみたい。実はチェーンストアの相乗積には2つあり、商品から見た相乗積と店舗から見た相乗積がある。一般的には商品から見た相乗積を思い浮かべがちとなるが、チェーンストアとはまさにチェーン、店舗がじゅつ繋がりとなったビジネスモデルのことであり、店舗間の相乗積を見ることがさらに重要なことであるといえる。店舗間の相乗積とは全体売上におけるその店舗の売上構成比とその店舗の粗利率を掛けた相乗積を店舗全体、各部門で算出し、どの店舗に問題があるのかを店舗サイドから明確にすることである。これに、その店舗内の部門別の相乗積を補足することにより、どの店舗のどの部門、どの部門のどの店舗の粗利貢献度に問題があるかが明確になる。さらに、これを昨年の相乗積と比較すれば、チェーンストア内の問題だけではなく、昨年と比べ、粗利構造がどうのように変化したかも明確になり、課題の店舗、課題の部門がより明確になる。
10店舗、10チェーンでいえば、昨年との差異だけで、全体で10×10、部門で10×10の200のマトリックスができあがり、このマトリックスを縦横ソートをかけ、課題の店舗、課題の部門、逆に、貢献度の高い店舗、貢献度の高い部門を明確にすることにより、ピンポイントで粗利率の改善ポイントが明確になる。これができれば、あとは、課題の相乗積が=売上構成比×粗利率であるので、どちらに問題があったかを確認し、売上構成比であれば、まさにマーチャンダイジングの問題であり、PI値を活用したMD評価表をもとにマーチャンダイジングの改善をはかれば良い。逆に、粗利率の問題であれば、仕入改善、値入れの見直し、値引きの見直し、販促の見直し、欠品、鮮度管理の見直しなどを徹底してゆくことが課題となる。
このように相乗積をチェーンストアで活用してゆくことにより、どの店舗のどの部門の粗利貢献度に問題があるかが明確になるので、あとは、チェーン全体の構造上の問題であるか、それとも特定個人の管理上の問題であるかを見分け、構造上の問題であればシステム的なアプローチが必要であり、個人の問題であれば研修教育の実施が必要であるので、どのような対応をしてくかを見極めれば良い。今年は値上げ問題、競争の激化が予想される1年となるものといえ、相乗積を駆使し、しっかり粗利改善に取り組みたいところである。
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