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January 31, 2008

食品スーパーマーケットの自己資本比率を考えてみる!

   来週からは2008年3月期の食品スーパーマーケット各社の第3四半期の決算の公表がはじまるが、ここで、すでに公表されている、中間決算の数字をもとに主要な食品スーパーマーケットの自己資本比率について見てみたい。本ブログでは、食品スーパーマーケットの決算発表では売上高、営業利益、経常利益、当期純利益に加え、自己資本比率を重要視している。それは、食品スーパーマーケットの成長は新規出店を毎年毎年、安定的に出店できるかが鍵を握っており、既存店だけで成長戦略を描くことは極めて難しい構造であり、そのためには借入に依存しない、自己資本での出店体制ができる財務構造になっているかがポイントとなるからである。

   特に、食品スーパーマーケットの出店には多額の資産がかかる。主な資産は土地、建物、敷金及び保証金であり、この3つの資産が食品スーパーマーケットの出店に直接かかわり、この資産をカバーできる資金の裏付けが十分でない限り、新規出店はいずれストップしてしまい、成長戦略が描けなくなるからである。通常、小売業の場合は、これに在庫資産も大きな負担となるが、食品スーパーマーケットの場合は総資産の約5%前後であり、ホームセンター等の25%前後と比べるとはるかに資産の負担が小さいからである。したがって、食品スーパーマーケットの成長戦略が安定的に可能かどうかを見るには、自己資本比率が少なくとも、出店にかかわる資産である土地、建物、敷金保証金の総資産に対する割合よりも大きい方が望ましいといえる。通常の食品スーパーマーケットはこれら出店にかかわる資産が約50%前後であり、したがって、自己資本比率も50%以上あることが望ましいといえよう。

   そこで、すでに明らかになっているこの中間決算時において、現状の食品スーパーマーケット各社、特に、主要な食品スーパーマーケットがどのような自己資本比率であるかを見てみたい。まず、食品スーパーマーケットの中でも自己資本比率が最も高いのは、オオゼキである。何と76.8%であり、この3年間、73.7%、71.2%と年々高めており、しかも、今期は借入0となり、出店にかかわる資産全額を自己資本で賄っている財務構造である。ただ、ここ最近、財務的には、全く問題がないにもかかわらず、新規出店がなく、低成長となっており、売上高も105%と堅調な数字ではあるが、成長率の高い食品スーパーマーケットと比べると低いのが気になるところである。

   オオゼキと並び、自己資本比率が70%を超える食品スーパーマーケットが上場企業ではもう1社あり、マックスバリュ東海である。この中間決算では72.3%であり、この3年間を見ても、71.2%、71.0%とオオゼキ同様、年々比率を上げてきており、これもオオゼキ同様、無借金経営である。マックスバリュ東海は、出店およびM&Aに積極的であり、ここ最近110%近い成長率であり、自己資本比率の高さを成長戦略にうまく結び付けている経営が実践できているといえよう。

   食品スーパーマーケットの上場企業では70%を超える自己資本比率はこの2社のみであるが、上場廃止にはなったが、ヨークベニマルも現在でも70%以上の自己資本比率である。その他の食品スーパーマーケットは上位クラスでは60%前後であり、自己資本比率の高い順から見てみると、サンエーの64.7%(62.5%、55.5%)であり、年々自己資本比率を引き上げてきている。ついで、東武ストア65.3%(56.1%、52.0%)、ヤマザワ63.3%(60.7%、59.4%)、アオキスーパー62.1%(49.3%、57.2%)、マルヤ59.7%(59.1%、67.8%)、タイヨー58.2%(57.5%、55.7%)となる。

   これに対して、自己資本比率が厳しい食品スーパーマーケットを見てみると、マルワ11.6%(11.9%、20.7%)、マルヨシセンター14.0%(14.5%、17.5%)、マックスバリュ東北16.4%(20.1%、20.8%)、ドミー19.3%(20.4%、19.8%)、北雄ラッキー19.9%(18.4%、18.8%)、エコス20.2%(23.1%、27.1%)、ライフストア23.5%(21.2%、22.4%)、丸久23.6%(21.9%、18.9%)、相鉄ローゼン25.7%(25.0%、24.7%)、マツヤ26.3%(25.8%、28.1%)等である。いずれも20%前後の自己資本比率であり、新規出店が自己資本では十分に賄うことができず、借入れに依存せざるをえない財務構造となっており、財務の改善が最重要経営課題といえよう。

   このように食品スーパーマーケット業界の自己資本比率を見ると、成長余力がどのくらい可能かが明確になり、概ね、食品スーパーマーケット業界では50%以上の自己資本比率が成長戦略を無理なく実施できる目安といえよう。また、無借金経営を実現するには70%以上の自己資本比率が必要といえ、70%を超えれば、極めて健全な出店戦略が可能な食品スーパーマーケットといえよう。また、20%を切ると、新店戦略が借入依存型となり、かなり厳しい状況になるといえ、まずは、営業利益を改善し、キャッシュフローを確実に生み出すマーチャンダイジング(粗利)、マネジメント(経費)の改善が最優先事項となる。来週からはじまる2008年度3月期の第3四半期決算の各食品スーパーマーケットの公表につても、売上、利益だけでなく、この自己資本比率の動向にも注目したい。

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