スーパーバリュー上場(埼玉)、初値1,439円!
2/15、スーパーバリューがジャスダックに上場した。始値は1,480円でスタートし、一時は1,511円まで株価が上昇したが、その後、株価は急落1,401円まで下がり、前場は少し戻したが、1,420円前後で終了した。そして、後場に入っても株価は上がらず、1,430円前後でもみ合い、最終的には、1,439円で引けた。2/15の日経平均も13,622.56円(-3.89円)と低調な状況であり、スーパーバリューの上場初値もやや低調な動きであったといえよう。売買高は19.21万株であり、売買金額は約3億円弱の取引であった。
食品スーパーマーケット業界としては、昨年4月の青森のユニバースの東証2部への上場以来であり、今後、どのような株価となるか注目である。スーパーバリューはこの上場と同時に、2/15、2008年度第3四半期の決算を公表している。それによると、売上高は267.56億円、営業利益8.39億円(売上対比3.13%)、経常利益6.95億円(売上泰比2.59%)、当期純利益4.05億円(売上対比1.51%)という状況である。また、通期予想は、売上高357.67 億円(102.7%)、営業利益11.08億円(124.3%:売上対比3.09%)、経常利益8.82億円(121.2%:売上対比2.46%)、当期純利益5.17億円(142.7%:売上対比1.44%)と増収増益の予想である。売上は微増の予想であるが、利益は2桁の増益の予想であり、利益がこの上場を機に大きく改善する予想である。
スーパーバリューは現在、食品スーパーマーケットとホームセンターの融合業態を積極的に埼玉県中心に出店しており、数年前からはバリュープラザというNSC業態を自ら運営し、そこにスーパーバリューが核テナント出店として入るというビジネスモデルを確立し、食品スーパーマーケット、HC、不動産賃貸の3つの柱を収益源とした小売業を展開している。現在、埼玉県に5店舗(売上構成比約60%弱)、東京都に2店舗(売上構成比約35%弱)、千葉県に1店舗(売上構成比約8%強)の計8店舗展開している。
もともとは1996年に埼玉県さいたま市に出店した大川ホームセンターが発祥であり、その後、食品を付加し、現在の食品スーパーマーケットとホームセンターの融合業態スーパーバリュー業態を確立した。商品構成比は、食品スーパーマーケット部門が67%、ホームセンター部門が33%と、約7:3の比率であり、食品スーパーマーケットが核となっていることがわかる。ちなみに、売買差益は、食品スーパーマーケット部門が19.16%、ホームセンター部門が20.92%であり、ほぼどちらも約20%であり、ディスカウントストア並みの低価格戦略であり、周辺の食品スーパーマーケットにとってはかなりインパクトがある低価格政策がとられているといえよう。
全体の営業構造を見てみると、商品売買から得られる売上総利益が20.21%であり、不動産収入等の営業収入が1.04%加わり、営業総利益は21.26%となる。一方、販売費及び一般管理費は18.13%と18%台のローコストで回しており、結果、営業利益が3.13%となる。スーパーバリューの強さは、このローコスト経営にあるといえ、粗利率が20%そこそこでも、18%台の経費比率で利益を出し、さらに、NSCによる不動産収入等により、プラスの収益を生み出すという構造となっており、競争力のある業態を確立したといえよう。
これに対し、財務面を見てみると、自己資本比率が8.9%と極めて低く、2007年2月期決算時が6.7%とさらに低かったので、この時と比べると、若干上昇してはいるが、それでも、かなり低い自己資本比率である。今回の上場の目的もこの自己資本比率の向上にあったといえ、新たな資金調達なしに、今後の新規出店を続けるにはかなり、無理があったものと思われる。この決算時の純資産は15.64億円であり、今回の上昇による新規調達は、公開株式数が42万株であるので、2/15現在の株価で単純計算をすると約6億円となるが、それを単純に足しても、自己資本比率は約15%前後であり、今後、安定的な新規出店をしてゆくには、さらに自己資本比率を高めてゆくことが経営課題といえよう。
その自己資本比率が8.9%と低い要因を負債と資産の両面から見てみると、まず、負債面の主要項目である長短借入金は116.06億円あり、総資産の66.2%となる。この借入金約100億円強が、自己資本比率を低めている最大の要因といえ、今後、今回の上場による資本調達と、好調な収益により、どこまで改善できるかが大きな経営課題といえよう。一方、資産面に目を転じてみる、資産の主要項目である出店にかかわる資産である土地、建物、差入保証金の合計は86.47億円であり、総資産の49.35%であり、自己資本比率8.9%ではバランスがとれず、大きく借入に依存した出店構造となっている。また、スーパーバューはホームセンターの売上構成比が約30%であるので、資産の中でもたな卸資産が17.70億円あり、これが総資産の10.10%と大きいのも特徴である。
このように2/15、埼玉県を主体に食品スーパーマーケットとホームセンターを融合したNSCを主力業態として展開するスーパーバリューがジャスダックに上場したが、初値がやや厳しい株価となった要因は自己資本比率が8.9%という財務上の問題もあったものといえ、今後、スーパーバリューが安定的な新規出店を行い、成長してゆくためにも今回の上場による調達資金に加え、ローコスト、低価格の競争力を活かし、収益性を高め、自己資本の充実をはかることが急務といえよう。今後のスーパーバリューが競争力、収益性に加え、財務面が今後、どのように改善されるかに注目したい。
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