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February 20, 2008

みずほ銀行、CRMに本格着手、ID分析で最適な商品!

   日経新聞2/18に「みずほ銀、営業手法を導入、個人データ分析、最適な商品紹介」、「結婚した→生命保険、子供進学→教育ローン」という記事が掲載された。内容はみずほ銀行がこれまでの経験と勘による営業のやり方を約2,500万人の顧客のデータベースを分析し、最適な金融商品を提案する営業手法を導入するというものである。目的は、みずほグループの大きな課題となっている個人向け金融の強化につなげることにあるという。すでに、アメリカの大手銀行に担当者を派遣し、ノウハウを吸収したということで、この2月にはテストマーケティングも実施したという。

   みずほグループの最新の決算数値であるこの1/31に公表された2008年3月期の第3四半期決算を見ると、みずほグループは、みずほ銀行、みずほコーポレート銀行、みずほ信託銀行の3つに分かれているが、個人の預金は、それぞれ3 2兆2,648億円(60.9%)、68億円(0.07%)、1 兆8,318億円(63.0%)と合計3 4兆1,035億円(52.3%)であるので、この約34兆円、約2,500万人、平均約130万円の個人顧客が対象になる。

   日経新聞の記事を読むと、このような手法は欧米の金融機関では広く活用されているというが、日本の大手銀行が本格的に取り組むのは初めてという。具体的には、みずほ銀行に口座をもつ、約2,500万人の顧客の家族構成や預金残高、ATMの利用状況など約500項目の情報を集計し、分析するという。その分析の中から、名字の変更や使うATMの場所の変化も読み取り、結婚や転居といった生活の変化までをも類推するという。日経新聞では、その具体例として、これまでみずほ銀行では「30代から40代の男性」のように大まかな区分であった顧客分類を「金利が高い時期に現住所に転居した」という新たな顧客分類を作成したり、「同じマンション内にローンを借り換えた顧客がいる」という顧客分類を作ったりし、この絞り込まれた顧客にふさわしい金融商品のDM(ダイレクトメール)を発送するという。実際、このような絞り込まれた顧客にDMを発送したところ、資料請求の件数や説明会への参加率が従来の約3倍になったという。当然、顧客情報も支店、5ケ所のコールセンター、DM担当部で共有し、顧客の反応や契約状況を商品ごとに蓄積し、精度をたかめてゆくという。効率が高まれば営業費用の削減にも結びつけてゆきたいという。

   日経新聞の記事の内容はこのような内容であるが、これはまさに、食品スーパーマーケット業界ではじまったCRMそのものであり、大手銀行業界でも本格的なCRMへの取り組みがはじまったといえ、時代はまさにCRMの時代に突入しつつあるといえよう。ただ、この記事を読む限り、CRMデータの活用方法は顧客に力点をおいたアプローチといえ、もう一方の商品に力点をおいたアプローチが見えてこないのが残念である。銀行の場合は食品スーパーマーケットと違い、預金を預ける際には詳細な個人情報を記入しないと受け付けてくれず、しかも、住所変更、氏名の変更なども比較的最新の情報に更新される頻度が高いために、この極めて信頼性の高い個人情報を起点にCRMを行うことができる。

   食品スーパーマーケットでは銀行ほど詳細な個人情報を把握することは不可能であり、つい最近はじまったセブンイレブンの電子マネー、nanacoをみても、名前だけでカードを発行しており、個人情報はカード活用時に店員が性別、推定年齢等を類推する以外に方法がないといえよう。したがって、小売業が銀行のような詳細な個人情報を活用してのCRMには無理があり、必然的に商品に力点をおいたアプローチとなる。

   ただ、今回の日経新聞の記事を読む限りでは、CRMの醍醐味ともいえる顧客グループを自由につくり、その顧客グループごとに需要を読み、最適な商品を決定し、DMを打つという仕組みである。したがって、どのような顧客グループを作り、その顧客グループがどのような収益を上げるかを検証してゆくので、顧客グループの作り方は商品からのアプローチを考える上でも大いに参考になるといえよう。実際、記事にもあったが、約500項目の切り口で顧客グループを作っており、これだけ切り口があれば、ほぼ無限の顧客グループをつくることが可能となろう。CRMはまさにこのきめ細かな顧客グループづくりが命といえる。同様に、商品も数100項目の様々な切り口で商品グループをつくってゆけば商品を通じた顧客グループを自由に作ることができる。実際、ウォルマートはカードデータは使っていないが、店舗と商品双方を数100項目の切り口で分析し、マーチャンダイジングに活かしており、食品スーパーマーケットとしては、商品からの顧客グループづくりがキーとなろう。

   このように、今回の日経新聞の記事は、大手銀行業界も本格的なCRMの時代がはじまろうとしているという内容であり、今後の食品スーパーマーケットのCRMを考える上においても、特に顧客グループをどう自由につくるかという点では参考になるといえよう。銀行は食品スーパーマーケットと比べ顧客は多いが、商品は少なく、食品スーパーマーケットは逆に商品が多く、顧客も多いというビジネスである。食品スーパーマーケットとしては、顧客からのアプローチだけでなく、商品からのアプローチも重要なCRM戦略となろう。いずれにせよ、CRM戦略は今後の重要な経営戦略のひとつであり、今後、銀行がどこまでCRM戦略に取り組んでゆくかに注目したい。

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