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February 2008

February 29, 2008

マックスバリュ中部、2008年1月度、第3四半期決算、増収減益!

   食品スーパーマーケット上場企業約50社の中で、売上伸び率トップを走るマックスバリュ中部が2/14、2008年1月度、第3四半期決算を公表した。昨年10/1に子会社のマックスバリュ名古屋を吸収合併したため、それまでも売上が2桁近い伸びで成長していたが、10月度は一気に130.3%となり、その後も11月度132.4%、12月度127.2%、1月度124.8%と高成長を維持しており、4ケ月連続No.1の成長率である。この第3四半期決算は昨年の4/1から12/31までの9ケ月間の決算であり、その結果は、営業収益841.32億円(112.9%)、営業利益6.67億円(48.9%:営業収益比0.79%)、経常利益6.49億円(48.0%:営業収益比0.77%)、当期純利益6.23億円(202.7%:営業収益比0.74%)となり、増収減益となった。マックスバリュ名古屋の吸収合併が昨年10月であるので、10月以前と10月以降では経営内容が大きく変化しているので、この1年間はイレギュラーな数字が続きそうである。

   実際、昨年と今年の店舗数を見ると、昨年は65店舗であったが、今期は89店舗と24店舗増えており、出店地域の状況を見ると、地元の三重県は52店舗から54店舗と2店舗増加、マックスバリュ名古屋の本拠地、愛知県は9店舗から29店舗へと20店舗の増加、岐阜県1店舗から2店舗と1店舗増加、滋賀県3店舗から4店舗と1店舗増加という状況であり、この24店舗という店舗数の大幅な増加が130%近い売上の増加をもたらしているといえる。マックスバリュ中部の純粋な新店は6店舗であり、直近では昨年10月にマックスバリュ紀南店(岐阜県)、マックスバリュ名張店(三重県)、マックスバリュ駒井店(滋賀県)であり、新規出店も積極的に展開している。

   マックスバリュはこのように、M&Aと新規出店で高成長を維持しているが、営業利益の方は、昨対48.9%、営業収益比も0.79%と厳しい状況である。その要因を粗利と経費の面から見てみると、商品売買から得られる売上総利益は24.73%(昨年25.51%)と下がっており、不動産収入等の営業収入は2.35%(昨年2.33%)はほぼ同じであり、結果、営業総利益は27.08%(昨年27.85%)と下がった。

   一方、販売費及び一般管理費も26.27%(昨年25.98%)と上昇しており、営業利益が粗利、経費双方が上昇したため、売上対比では0.81%(昨年1.87%)と大きく下がってしまう結果となり、減益決算となった。マックスバリュ名古屋の吸収合併が売上には大きく貢献したが、営業利益には粗利、経費双方が上昇する結果となり、厳しい決算となったといえよう。ただ、もともと、売上総利益の範囲内で販売費及び一般管理費が賄われておらず、厳しい状況であったところへの、さらなるコスト上昇となり、営業利益がさらに厳しい数字となったといえる。その意味でマックスバリュ名古屋の活性化も今後の大きな課題といえ、今後は収益の改善が急務といえよう。

   これに加え、マックスバリュ中部の気になる数字としては、自己資本比率である。昨年も30.0%と低い数字であったが、マックスバリュ名古屋を吸収合併した今年の数字も30.5%と大きな変化はなく、厳しい数字が続いている。この数字が低い状況が続けば、当然、今後の新規出店にも響き、これまでの高成長の維持が難しいものとなる。その要因を負債の主要項目である長短借入金と資産の主要項目である出店にかかわる資産で見てみると、以下のようになる。

   長短借入金については、77.77億円(昨年84.74億円)と削減されており、総資産に占める割合も17.8%と極端に高いわけではなく、長短借入金が財務を圧迫して、自己資本比率を下げているわけでないといえる。そこで、自己資本比率が30.5%となった要因を負債面から見てみると、主な項目としては、買掛金116.12億円(総資産の26.6%)、預かり保証金39.86億円(9.1%)、未払金・未払費用29.71億円(6.8%)、その他18.98億円(4.3%)などが大きな項目であり、この中では預かり保証金が突出しており、自己資本比率を補っている負債となっているのが特徴といえる。

   また、出店にかかわる資産項目である、土地、建物及び構築物、差入保証金の合計は286.12億円(昨年278.65億円)と約10億円弱増加しており、総資産に占める割合は65.59%であり、自己資本比率30.5%の2倍強となり、長短借入金、預かり保証金等で新規出店を賄っている構造となっており、今後の安定的な成長戦略を目指すには、財務の改善も大きな経営課題といえよう。ちなみに、出店にかかわる資産286.12億円を全店舗89店舗で割ると3.21億円であり、食品スーパーマーケット業界のほぼ平均的な数字といえよう。

   このように、マックスバリュ中部は、昨年の10月にマックスバリュ名古屋を吸収合併し、その分の売上がオンされたため、成長率は業界屈指の120%から130%という高成長を続けているが、この高成長とは裏腹に収益は圧迫を受けており、営業利益が厳しい状況である。また、自己資本比率も30.5%と厳しい状況といえ、負債面の改善が急務ともいえる。今後はこの高成長をいかに収益の改善に結びつけ、自己資本比率の充実をはかってゆけるかが大きな経営課題といえよう。M&Aは急成長をすぐにもたらすが、高収益は必ずしも伴うとはいえず、むしろ、M&A後にどれだけ、思い切った経営改善を行い、いちはやく高収益体質を作り上げるかが課題といえよう。マックスバリュ中部が今後どのような思い切った経営改革を打ち出すかに注目したい。

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February 28, 2008

ID-客数PI値と来店頻度(購入頻度)の違い!

    客数とは奥が深い。最近、IDに触れる機会が多くなり、客数とIDの関係を考えることが多くなった。本ブログでも、すでに何回もとりあげているが、とりあげるたびに新たな発見があるし、IDを把握する意義が明らかになる。IDが把握できなかったときは客数とはレジ通過客数のことであり、レジで発生するレシート枚数のことであった。これ以外に客数を把握する方法がなかったことにもよるが、IDを意識することがあまりなかった。約10年以上も前にポイントカードを活用したOne To Oneマーケティングに取り組んだ時も、IDよりも、客数=レシート枚数を重視していたように思う。

   もちろん、IDを前提としなければ、初回購買、リピートという定義そのものが成り立たないので、IDを活用しなかったわけではないが、感覚としてはIDよりも客数に意識がいっていたと思う。ところが、最近、約10数年ぶりに、ポイントカードを活用したID-POS分析に本格的に取り組むようになって、客数よりも、IDを強く意識するようになった。以前、本ブログでも取り上げたが、PI値もIDとの関係でみれば、ID-PI値=購入頻度(来店頻度)×PI値と定義できる。ID-PI値は買上点数÷ID数のことであり、購入頻度は客数÷ID数のことであるので、購入頻度×PI値は(客数÷ID数)×(買上点数÷客数)となり、=買上点数÷ID数=ID-PI値となる。これがID-POS分析の基本公式のひとつとなるが、実は、この公式は別の角度から見ると、もっとおもしろい式に変形ができる。

   購入頻度とは客数÷ID数のことであり、客数はレシート枚数でもあるので、購入来店回数のことである。したがって、それをID数で割れば、1ID当たりの購入来店回数であり、レシート枚数となる。簡単な事例を示せば、Aさんが1週間に1回の時は購入頻度は1/1=100%であるが、1週間に2回の場合は2/1=200%=2回となる。Aさんが1週間に1回、Bさんが2回であれば、この2人の購入頻度は3/2=150%となる。当然、これにPI値をかければ、ID当りのPI値、ID-PI値となる。

   さて、ここからが、このブログの本題であるが、購入頻度をひっくりかえしたらどうであろうか。すなわち、1/購入頻度である。式では1/(客数÷ID)であるので、=ID÷客数となる。これはいったい何だろうか。意味的には1回当たりのID数であるので、レシート1枚当たりのID数となる。なんだか意味がよくわからない指標であるが、よく見るとこれは客数PI値の一種ともとれる。もともと、客数PI値は(グループ客数÷全体客数)のことであり、分母が全体客数の場合であるので、このID数÷客数も客数PI値=ID-客数PI値と考えれば良いのはないかと思う。

   PI値も分解すれば、PI値=客数PI値×PPIであり、この時の客数PI値はグループ客数÷全体客数、PPIは買上点数÷グループ客数であるので、グループ客数がID数になっても問題ないといえよう。ID-PI値がID数当たりの買上点数であるので、PI値=客数PI値×PPI同様、ID客数PI値を用いれば、PI値=ID-客数PI値×ID-PI値となり、PI値をIDの客数PI値とIDのPI値で説明できるようになり、PI値とIDの関係がより明確になる。

   これまでの、購入頻度を使った場合は、ID-PI値=購入頻度×PI値となり、PI値を説明するよりも、ID-PI値を説明する式であったが、このPI値=ID-客数PI値×ID-PI値はまさにPI値を説明する式であるので、PI値とIDとの関係をより分かりやすく、説明しているように思う。この式を言葉で表現すると、PI値を上げるには、ID-客数PI値をアップさせるか、ID-PI値をアップさせるかがポイントであり、ID-客数PI値をアップさせるには、ID-客数PI値がID数÷客数であるので、ID数を増やすことがポイントであり、ID-PI値を増やすには、ID-PI値が買上点数÷ID数であるので、ID当りの買上点数を増やすことがポイントとなる。

   どちらも、IDに着目し、IDの数かID当たりの買上点数を増やすことがPI値を引きあげる要因となり、マーチャンダイジングを考える際、IDに焦点を絞った対策が明確になり、客数という、ややぼやけた指標からIDという明確な指標に意識が絞られ、場合によっては、IDに直接働きかける、まさにダイレクトマーケティングにもつながるテーマとなり、IDを把握する意義が明確になると思う。

   その意味でこれまで、ID-PI値=購入頻度×PI値を使ってきたが、購入頻度の逆数であるID-客数PI値を用いたPI値=ID-客数PI値×ID-PI値という公式もID-POS分析の中で活用していき、より、PI値とIDの関係=客数とIDの関係をわかりやすく、実践的に活用していけるのではないかと思う。

   ID-POS分析はまだまだ始まったばかりであり、今後、この公式のような数式、指標が無限に登場してくることになると思うが、できるだけ、わかりやすく、実践的な数式、指標を開発してゆきたいと思う。全体客数=レジ通過客数=総レシート枚数しか把握できない時代は単純、シンプルであったが、IDが把握できるようになると、指標、公式が無限となり、どの指標がどの場面に最も有効なのかを見極めながら活用してゆく必要があるといえ、実に客数は奥が深いと改めて感じる。

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February 27, 2008

日経MJ、ヒット分析、バイヤー調査、牛乳、明乳トップ!

   2/25、日経MJでバイヤー調査、ヒット分析で牛乳が取り上げられた。この調査は169社の食品スーパーマーケットのバイヤーへ調査表を送り、101社からからの回答を得、集計したものであるという。この記事では実際のバイヤーの評価が点数で表されているが、5点満点で各メーカーの牛乳の総合評価をつけてもらい、その合計得点からランキングを作成したという。したがって、満点は101社×5点であるので、505点となる。また、個々の項目の評価は評価できると答えたバイヤーの割合であり、最高は100%となる。

   記事では、3つの表が掲載されており、ひとつ目は牛乳のブランド採点表であり、各メーカーの牛乳の味、利益率、商品コンセプト、商品価値と価格のバランス、テレビCMなどの広告・宣伝、成分・製法、ブランド力、パッケージデザイン、リピート購入率、ネーミング、ターゲット設定、消費者キャンペーン・イベント、POPなど店頭販促物の13項目であり、これに総合評価が加わる。2つ目はメーカー採点表であり、取引条件、ブランド育成力、商品供給体制、市場の話題作り・活性化への貢献、企業イメージ、新商品の開発力、売り場での販促策の提案・店舗応援、商品情報、営業担当者、商品構成の10項目と総合評価である。

   そして、3つ目が仕入れを決定する判断基準であり、これは、各牛乳メーカーごとではなく、牛乳の仕入れに対するバイヤーとしての判断基準の重要性を聞いている。複数回答で高い項目順に回答が整理されており、50%以上が味、取引条件、利益率、商品コンセプトである。その他は、ほぼ同じ数字で、50%弱ぐらいであるが、商品価値と価格のバランス、テレビCMなどの広告・宣伝、成分・製法、ブランド力、ブランド育成力、パッケージデザイン、リピート購入率の順である。

   さて、記事の見出しであるが、「明乳、攻めモー烈、おいしい牛乳、家族の定番」であり、実際、調査データを見ると、明治おいしい牛乳の強さが際立った結果となったといえる。ブランド採点表では総合得点1位が明治おいしい牛乳、395点に対し、2位の毎日骨太が281点と100点以上の差であり、ダントツの1位である。各項目13項目の中で11項目でNo.1の評価を受けており、際立ったバイヤーからの圧倒的な高評価を獲得している。ちなみに、No.1の評価が獲得できなかった項目は、商品コンセプトとターゲット設定であり、いずれもNo.2となった。この2つはともに毎日骨太がNo.1を獲得しており、明治おいしい牛乳よりも10%以上の差があり、際立った項目といえる。

   メーカー採点表も総合評価では明治乳業が381点を獲得し、1位となり、2位の森永乳業の319点と比べ、やはり大きな差がついた。全10項目の内、8項目でNo.1の評価を獲得したが、これも2項目でNo.1の評価を逃している。その2項目は取引条件と営業担当者であり、この2項目は総合No.3の299点を獲得した日本ミルクコミュニティであり、No.2の森永乳業ではなかった。

   また、今回対象となった牛乳は総合順位順に明治おいしい牛乳(395点)、毎日骨太(281点)、メグミルク牛乳(272点)、森永おいしい牛乳(267点)、カルシウムと鉄分の多いミルク(266点)、明治贅沢しぼりミルク(229点)、森永おいしい低脂牛乳(216点)、すっきり飲めるCa+鉄低脂肪(180点)、低温殺菌牛乳(157点)の10品であり、メーカーは明治乳業(381点)、森永乳業(319点)、日本ミルクコミュニティ(299点)、グリコ乳業(241点)、高梨乳業(149点)の5社である。

   ちなみに、実際の食品スーパーマーケットの牛乳の売場でこれらの商品がNo.1、No.2の売上を獲得することはまずないといえ、No.1、No.2は大抵PBか地元の牛乳となるのが実態である。ただ、今回のバイヤーへの調査データでも断トツの数字を獲得した明治乳業の明治おいしい牛乳は別格であり、No.2の売上となるケースが多く、価格訴求、地域性が大きく反映される牛乳の中での、まさに調査結果どおり、ここ最近ではまれに見る顧客からの強い支持を受けているブランドであるといえよう。さらに、明治おいしい牛乳の500mlも他の500mlと比べ頭抜けた売上を示し、牛乳全品の中でベスト5に入るケースもある。

   今回のバイヤー調査の中で、さらに興味深かった点を見てみると、明治おいしい牛乳と同じネーミングの森永のおいしい牛乳であり、この2つのブランドを比較してみると、総合得点では395点対267点と100点以上の差となったが、個々の評価の13項目で見てみると、特に大きな差となった項目は、商品コンセプト60%対30%、テレビCMなどの広告.宣伝63%対19%、ブランド力93%対42%、ネーミング72%対28%、リピート率82%対42%とこれらの項目が際立った差となっている。同じおいしいという言葉となってしまい、明治おいしい牛乳がいち早くブランドを確立したために、何がおいしいのか、明治おいしい牛乳のおいしさとどこが違うのかが分かりにくくなっているとバイヤーは感じているようである。逆に、この点を明確にした商品コンセプトを確立し、テレビCMなどをうち、ブランドが確立できれば、差は縮まる可能性もあるといえよう。

   このように、今回の日経MJでは食品スーパーマーケット最大の金額PI値のカテゴリーともいえる牛乳が取り上げられ、約100人のバイヤーからの評価が公表されたが、大変興味深い結果となったといえよう。先にも述べたように牛乳はPBか地域性かの2つの要素が売上獲得のポイントであったが、今回バイヤーからトップの評価を得た明治おいしい牛乳をはじめ、各社の商品は新たな付加価値を獲得しつつあり、今後の食品スーパーマーケットの牛乳売場がどのように変化してゆくか興味深いといえる。長らく厳しい状況が続いていた牛乳ではあるが、今年はおもしろい展開が期待できそうである。

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February 26, 2008

中国産、冷凍食品餃子、殺虫剤混入事件、最新情報!

   依然として、中国の天洋食品製造の冷凍餃子への殺虫剤混入事件の真相が明確になっていないが、全国の食品スーパーマーケットの売場からは問題の商品をはじめ、疑わしい商品が次々と撤去されつつある。政府からは、日々、新たな問題の商品リストが公表されるなど、まだまだ冷凍食品売場が落ち着かない状況にある。内閣府のホームページを見ると、「中国産冷凍ギョウザ問題、最新情報はこちら」というコーナーがあり、そこにはこの問題の最新情報が日々更新され、掲載されている。相談窓口も、国民生活センター、厚生労働省、農林水産省 、そして、日本冷凍食品協会と4つ設置されており、政府の対応も日々充実されつつある。

   直近の最新情報を内閣府の公表資料で見ると、すでに2/21現在、第22報となっており、2/1の第1報からほぼ毎日情報が更新されている。その第22報を見てみると、まず、事案の概要として現在の被害状況がまとめられている。中国産冷凍ギョウザを食べて有機リン中毒(メタミドホス)と確定した患者数は10名(千葉県7名、兵庫県3名)であるという。そして、健康被害にあった方を調査した結果、神経症状などの有機リン系農薬による中毒症状がないことなどにより、全て有機リン中毒が否定されているとのことで、その数は5,490名に上るという。したがって、現時点では10名が確定した患者であるという。

   そして、この10名の患者の概要を示した上で、次にこれまでの政府の対応が示されている。最新情報は、2/21の中国公安部関係者との情報交換会議の報告であり、ついで、1/30から現在までの日別での各省庁の対応をまとめており、これがA4で約10ページにわたる。最後に、今後の政府の対応がまとめられている。現在、政府としては内閣官房、内閣府が中心となって動き、警察庁、厚生労働省、農林水産省がそれぞれの立場から対応している状況である。

   これら省庁の中でも、厚生省が2/6に公表した最新の資料が現段階では最も明確な疑わしい冷凍食品のリストであるといえよう。題名は「製造者(河北省食品輸出入集団天洋食品工場:HEBEI FOODSTUFFS IMP. & EXP. GROUP TIANYANG FOOD PROCESSING) からの輸入実績について(平成19年1月1日~平成20年1月30日:速報値)」である。中身はまさに天洋食品からの日本の業者の輸入リストであり、自治体、輸入者名、届出品名、届出件数、届出重量(Kg)、輸入時の製品名・画像が実名、実際の商品名で公表されている。やはり、ジェイティフーズが多く、ギョウザ、ロールキャベツ、豚肉包み、豚肉三食包み豚肉ピカタ、豚肉ときのこのクレビネット、豚肉ゴボウ巻き、豚肉野菜巻き、とんかつ、ミルフィールポークカツ、煮豚の11種類、23品である。そして、これら全品の画像が表、裏、表示拡大で鮮明な写真で公開されている。

   ちょっと気になったのは食品スーパーマーケットは1件もなかったが、業務スーパーの神戸物産が8品入っていることである。牛丼の具、お好み焼きなどであるが、いずれも画像で見ると、PBとして販売されている商品が多いのが特徴である。神戸物産のホームページでも自主回収の速報を流しており、すばやい対応がなされている。また、2/5には、「今後は自主的に全世界より自社輸入する全ての加工食品にまで100項目の農薬検査を実施し、安全性を確認した商品のみを販売させていただきます。」と宣言し、以下の3つの事項に取り組むという。① 全世界より自社輸入するすべての商品に対して100項目の農薬検査を実施し、安全性を確認した食品のみ販売するという。② 生産技術がないと品質検査が出来ない為、今以上に食品加工メーカーとして自社で品質管理マニュアルを徹底させ、品質管理体制を強化するという。そして、③ 自社工場と協力工場に対して品質管理・検品の為の常駐社員並びに日本からの社員の派遣頻度を増やすとともに、商社・卸売業者等の外部依存をせずに商品の全ての情報履歴が社内で管理できるSCM(自社による一貫した商品供給体制)としての安全確保を徹底し維持するという。

   実際、神戸物産のホームぺージを見ると、連日、厚生労働省登録機関の食品環境検査協会の検査結果である試験成績証明書を公表しており、徹底した対応を実施している。厚生省の天洋食品リストに載った商品についても、「メタミドホス並びにジクロルボスとも検出はいたしませんでしたが、すべて廃棄処分とし、今後は一切販売いたしません。」という内容を2/19に公表している。

   このように、1/30に発覚した中国産、冷凍食品餃子、殺虫剤混入事件は、被害状況はこれ以上の広がりを見せてはいないが、真相はまだ未解明であり、輸入業者、その商品を扱っていた小売業、外食産業の対応はまだまだ収束してはいず、問題の天洋食品だけでなく、他の中国製品の安全確認にまで追われている状況といえよう。そして、その後は、再発防止に向けてどう取り組んでゆくかが大きな課題となるが、自社でできることは限られているといえ、日本全体として、今回の事件を機に食糧問題を本格的に考えることが避けて通れない状況になったのではないかと思う。食品スーパーマーケット業界にとっては、値上げ問題に加え、今年は、この安心、安全が最大の経営課題となろう。そのためにも、まずは、最新情報をしっかりつかむことがその第1歩であろう。

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February 25, 2008

PI値1%の意義、その2!

   前回のブログでPI値1%の意義をまとめようとしたが、優に2,000字をオーバーし、少し長くなってしまった。そこで、今回は、その続編として、PI値1%の意義について、別の角度から取り上げてみたい。前回はID-PI値=購入頻度×PI値というCRMの場合の基本公式を示したが、CRMの醍醐味は、実はもう1点ある。これまでの、客数がID数×購入頻度に分解できるだけでなく、IDの消費行動を分析し、段階的にID客数を把握することが可能なことである。

   段階的とは店舗全体、大分類、中分類、小分類などの商品グループごとに客数が把握できることであり、さらには、商品分類にこだわらない、自由な顧客グループをつくり、顧客グループごとに客数を把握できることである。もうひとつ、踏みこめば、その顧客グループを購入状況に応じて、初回購買、リピート購買等に分けて顧客グループ化をはかることも可能である。実は、このリピート購買の把握が、IDの把握ができなければ絶対に把握できない指標であり、CRMの目的はこのリピート購買の実態を把握することにあるともいえる。本ブログでは、PI値1%の意義を考えてみることが主眼であるので、これについては、これまでも取り上げてきたが、今後も必要に応じて本ブログでは別稿で取り上げてゆきたい。

   さて、この段階的な客数の把握であるが、最もマクロな把握は店舗全体の客数の把握である。次が、棚割とも連動する場所の客数の把握であり、いわゆるカテゴリー、小分類の客数がポイントであろう。そして、最後が単品、SKUの客数の把握である。商品分類では大分類、中分類等もあり、それぞれの客数を把握することも可能ではあるが、実務上は、この3つの客数をつかめば十分であろう。少なくとも、本ブログではこの3つの客数で考えてみたい。この3つの客数がIDレベルで把握できると何が便利かであるが、それは、PI値1%の商品がどの段階で1%の数字に貢献しているかが、より明確になる点である。

   たとえば、PI値1%の場合、客数が1日1,000人であれば、10個売れる商品であるが、この段階でもIDが把握できれば、ID-PI値=購入頻度×PI値となるので、IDが何人であり、そのIDが何個平均購入し、購入頻度はID当り、何回であるかがわかる。これがカテゴリーになると、カテゴリー客数が把握でき、それが同様に、IDと購入頻度に分けることができ、さらに、全体客数とカテゴリー客数との関係も明確になる。

   例を示せば、カテゴリー客数が300人であれば、その300人はIDと購入頻度に分かれ、全体との関係は300人÷1,000人という客数PI値を掛けることにより、カテゴリーPI値も全体のPI値と一致することが可能となる。数式で表せば、PI値1%=10個÷1,000人が全体から見た時のPI値1%であるが、カテゴリーで見れば、カテゴリーPI値は10個÷300人で3.33%となり、全体との関係はPI値1%=客数PI値(300/1,000)30%×カテゴリーPI値(10個÷300人)3.33%となり、全体のPI値が客数PI値とカテゴリーPI値に分解できる。

   同様に、単品の場合も単品客数が30人の場合は、カテゴリーとの客数PI値は30人÷300人=10%、単品PI値は10÷30人=33.3%となる。客数PI値を全体との関係で考えれば、30人÷1,000人=3%となり、単品と全体とはPI値1%=客数PI値3%×単品PI値33.3%となる。そして、それぞれ、IDと購入頻度に分解できるので、どの段階でもID-PI値=購入頻度×PI値がなりたち、単なる客数だけではなく、IDとの関係も導くことが可能となる。

   こう考えると、PI値1%は全体、カテゴリー、単品とそれぞれ段階的に落して見てみると、いままで見えなかった全体客数1,000人がどのように単品に結びついてくるかがわかるようになる。このケースの場合は、まず、1,000人が入店し、その内、カテゴリーへは300人が何らかのカテゴリーを購入し、さらに、その内の30人が目的の単品を購入し、PI値1%、10個を購入したことがわかり、しかも、IDまで落してみると、同じIDの方が10個買ったのか、10人のIDの方が1個づつ買ったのか、あるいは、どのような消費状況であったのかがかなり鮮明に把握することが可能となる。

   したがって、PI値1%の単品が当初は1,000人の客数が入店し、10個売れたということしか把握できなかった消費状況が、各カテゴリーとの関係、そのカテゴリー内の単品との関係も明確になることにより、マクロからミクロまで消費状況が把握できるようになる。これまでは、PI値1%をとにかく強化しましょうということが限界であったが、このように、CRMが結びつくと、各カテゴリー、各単品までの消費状況が浮かび上がってくるので、その状況に応じた強化の仕方を開発し、対応してゆくことができ、PI値1%の商品を様々な切り口で強化してゆくことが可能となろう。その意味でも、CRMデータの活用はまず、この最重点商品であるPI値1%から取り組んでみると理解しやすく、即効性があるといえよう。PI値1%も再度、CRMデータをもとにその強化方法、場合によっては再定義が必要な状況が来たように思う。

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February 24, 2008

PI値1%の意義、その1!

   食品スーパーマーケットのコンサルティングをはじめてもう20年になるが、この20年間一度も反証されなかった事実がある。それは、PI値1%以上の単品はどんな食品スーパーマーケットでも約200品ぐらいしかないということだ。PI値1%とは、1日の客数が1,000人であれば、1日10個以上、2,000人であれば、20個以上売れる単品、SKU(Stock keeping Unit)のことである。実際、現場で活用するには、月間PI値1%以上の単品を見てみるのがわかりやすいと思う。POS端末をたたき、数量順に並び変え、月間客数が、1日1,000人であれば約30,000人になるので、月間300個のところでラインを引けば、それ以上の単品がPI値1%以上の単品である。1日2,000人であれば、月間60,000人であるので、600個のところでラインを引けば良い。これで、PI値1%以上の単品が見えるはずである。

   これを部門別で見ると、最もPI値1%以上の単品が多いのが野菜と日配であることがわかる。この2つで70品から80品近くになる。いかに、この2つの部門がお客さまの食生活をささえている部門であるかが改めて認識できる。極論すれば、食品スーパーマーケットはこの2つの部門をしっかり確立することがお客さまから信頼を売るための最優先課題であり、この2つの部門が弱い食品スーパーマーケットは競争には絶対に勝てないともいえよう。なぜなら、お客さまの食品生活を根幹から支える商品がぐらついていることになり、そんな食品スーパーマーケットにお客さまが安心して来店するはずがないからである。この2大巨頭についで、鮮魚、精肉、デリが続く。それぞれ、20品前後のPI値1%の単品がピックアップされる。そして、果物、食品、菓子、酒、雑貨、その他となり、5品からせいぜい10品程度となる。

   以上がPI値で見た時の1%以上の食品スーパーマーケットの単品であるが、食品スーパーマーケットには約10,000の単品があるが、PI値1%の水準を超える単品はこれら、約200品ぐらいしかないのが実態であり、この事実が、いまだかつて反証されたことがないことである。

   そして、この事実を発見した当時、いまから優に10年以上も前になるが、その時は、このPI値1%以上の単品の欠品を徹底的に防ぐことがマーチャンダイジング政策の根幹であった。そのために、毎月、赤丸シールをはるなりし、いまでいう「見える化」をし、店内の誰でもが一目でわかるようにし、最新の注意を払うようする体制をつくった。また、発注についても、販売点数=客数×PI値であるので、これらは客数予測を100人以内の誤差にとどめるように訓練し、PI値が1%であるので、100人につき、×1%=1個であり、客数に応じて1個づつ発注数量を調整し、絶対に欠品のない発注に心がけるような体制をつくっていったことがなつかしく思い出される。

   いまでも、このようなことをコンサルティングをスタートさせる時には、はじめに話し、本部、特に店長には徹底してこの約200品の単品に細心の注意を払うようにしてもらっている。最近では、CRMデータを分析するようになり、このPI値1%以上の約200品の位置付けがより、明確になりつつある。それは、CRMの極意でもあるが、IDが把握できるようになり、顧客の消費動向が段階的に理解できるようになったことである。IDが把握できない場合は、客数が全体客数のみでの把握しかできないので、PI値は販売点数÷全体客数でしかとれない。ところが、IDが把握できるとPI値1%はまず、ID-PI値=購入頻度×PI値となり、ID-PI値は同じPI値1%でも購入頻度によって様々に変化するのである。たとえば、PI値1%で、客数が1,000人、買上点数が10個の場合であっても、ID-PI値は購入頻度が2.0回の場合は2%、1.0回の場合は1%となり、倍も違う。購入頻度2.0回とは、客数は1,000人であるので、ID数が500人の場合である。同様に、購入頻度が1.0回という場合は、客数は1,000人であるので、ID数が1,000人の場合である。

   このような事実がCRMによってわかると、同じPI値1%でもID-PI値が大きく違うため、PI値の中身がよく見えるようになり、より多くのIDを獲得している単品と、限られたIDしか獲得していない単品を比較することにより、激しく購買頻度を引き上げている単品が見えるようになる。そのため、PI値1%の強化を考える場合、より、消費実態にあった手が打ち安くなったことである。そして、PI値1%も大事であるが、もうひとつ、ID-PI値1%も重要ではないかと最近では思うようになったことである。ただ、まだ、完全な検証はしていないので、現段階では何ともいえないが、ID-PI値1%は極端な話、ID数が1の場合は、先の計算式から10個÷1IDとなるため、1,000%となってしまうので、1%は無限に存在する可能性があり、100%水準ぐらいがもしかすると最適かもしれない。近い将来、この検証はしてみたいと思うが、その意味でPI値1%も新たな次元に入ってきたといえる。

   実は、もうひとつ、CRMでPI値1%を検討しなければならないテーマがある。それは、PI値1%をCRMでひもといてゆくと、段階的にPI値が深まってゆくことである。これは、単純な客数ではなく、IDが把握できるために、部門、カテゴリー、単品段階でもIDを把握することができるために、PI値1%の構造がさらに階層的に把握できることである。これについては、稿を改めて、後日のブログにしたい。いずれにせよ、PI値1%がCRMと結びつき、何か、おもしろくなってきたように感じる。

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February 23, 2008

日経MJ、新製品週間POSランキング2/22、バレンタイン!

   今週の日経MJ、新製品週間POSランキングは何といっても菓子部門であろう。今週は2/10から2/16までの新製品のPOSデータであるので、ちょうど2/14の聖バレンタインデーを挟んだPOSデータでの新製品ランキングとなったため、菓子部門のチョコレートに注目が集まった。実際、菓子部門の新製品のランキングを見てみると、ベスト5はすべてチョコレートとなり、菓子部門全20品の内、17品がチョコレートという異常事態である。チョコレート以外の3品とは初登場No.7の江崎グリコ、チーザ<カマンベールチーズ>38g、客単価303円、同じく、No.14に入った江崎グリコのチーザ<チューダチーズ>38g、客単価274円、そして、No.19のカルビー、じゃがりこほんのり梅味58g、客単価249円である。これ以外の17品はすべて、菓子部門はチョコレートがランキングを占めており、聖バレンタインデーの強さをまざまざと見せつけた1週間となった。
 
   そのチョコレートであるが、No.1は帝国ホテル、マーブル7枚、客単価427円であった。カバー率は21.6%とけっして高くはないが、対象全45チェーン、250店舗の内、約50店舗での客単価となるが、427円は今週全新製品の中でも2番目であり、高い数字である。平均単価も586円と高額であるが、全新製のチョコレートの中でトップとなった。ちなみに、今週の全新製品No.1はその他食品の伊藤ハム、朝のいきいきウィンナー95g×2であり、客単価453円であった。残念ながら、今週は客単価Aクラスの500円を超えた新製品はなかったが、この新製品が453円でトップであった。
 
   チョコレートNo.2はメリーチョコレートカンパニーのセレクテッドチョコレート6個入り、客単価407円であった。平均単価も599円と高額であり、客単価400円を超える高い数値であり、今週、客単価400円以上はこれら3品のみである。No.3は先週132位から急浮上したローゼンハイムのクリームショコラ05 4個入り、客単価363円であり、先週比何と300円高である。平均単価も498円と高額である。このシリーズは次のNo.4にも先週117位から急浮上したローゼンハイムのクリームショコラ10 8個入りが客単価343円、先週比275円で入っており、平均単価さらに高額の995円であった。カバー率は28.0%、27.6%とNo.1よりはやや高いが、それでも30%はきっており、特定チェーンで強い支持を受けたものと思われるが、いずれも高い数字である。
 
   No.5は帝国ホテル、ビター7枚、客単価342円であり、先週比245円高である。以上がチョコレートベスト5であるが、これ以外の上位のチョコレートをあげると、ゴンチャロフ製菓、グラディス11個、客単価327円、平均単価498円、ロイヤルホテル、デコール・ビジュ7個、客単価291円、平均単価996円、ゴンチャロフ製菓、アベーナ8個、客単価289円、平均単価599円、同じく、ゴンチャロフ製菓、アベーナ7個、客単価284円、平均単価499円、三井観光商事、札幌グランドホテルクランチ6個、客単価283円、平均単価398円と続く。以上が、今週のチョコレートの新製品ベスト10である。いずれも、客単価がBクラス300円、Cクラスの200円を超え、高い数字であり、しかも平均単価が高額であるのが特徴である。
 
   チョコレート以外では、その他食品に客単価の比較的高い新製品が今週は多いのが特徴である。先ほどもあげたが、No.1は伊藤ハム、朝のいきいきウィンナー95g×2、客単価453円であるが、No.2は堀川、サラダアラスカ(10本入り)86g、客単価315円と先週5位からの躍進であり、客単価も17円のプラスである。No.3は日清食品、カップヌードルスパイシーカレー85g、客単価299円である。日清食品はカップヌードルの値上げ後、積極的な新製品を投入しおり、今週もこのスパイシーカレー以外にもNo.6にカップヌードルレッドカレー、客単価254円、No.7に初登場、ワタシの一杯しおラーメン67g、客単価241円、No.9にワタシの一杯しょうゆラーメン67g、客単価225円、No.10にスープヌードル59g、客単価174円、No.14にカップヌードルシーフード61g、客単価153円と6品も登場している。値上げによる主力商品の落ち込みを、積極的な新製品投入による品揃えの拡大により、売上をカバーしようとする狙いといえよう。今後、これら新製品が客単価Cクラスの200円以上を維持できるかがポイントとえいよう。

    今週は、この2つの商品群が特徴的な1週間であったが、これ以外では、飲料のNo.1に初登場のアサヒ飲料、十六茶2Lが客単価249円で入った。No.3にも十六茶490mlが客単価196円で入っており、今後、注目の新製品といえよう。また、冷凍食品では、No.1はアイスクリームの先週同様、ロッテ製菓の雪見だいふく<生チョコレート>47ml×2個が客単価125円で入った。また、家庭用品では、先週同様、No.1は花王、アタックバイオジェル1kgが客単価224円で入った。
 
    このように、今週の日経MJの新製品POSランキングでは聖バレンタインデーの大きな追い風があり、チョコレートが年間最高の数字となる時期の中で、菓子部門上位20の17を独占する数字となり、しかも、客単価もすべてCクラスの200円を超える高い数字となった。また、意外に高額商品が上位を独占しており、高級感のあるチョコレートが上位に入ったのが特徴である。来週は聖バレンタインデーも終わり、新製品の動向も正常にもどると思うが、どのような新製品がランキングに入ってくるか楽しみである。

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February 22, 2008

内閣府、食品の値上げに対するモニター調査を実施!

   2/20の日経新聞に「特売日狙う、食品値上げへの自衛策、国民生活モニター調査、マヨネーズ74%」という記事が掲載された。この調査は内閣府が昨年12月の物価担当官会議の申し合わせに基づき、原油価格、穀物等の原料価格の高騰による生活関連物資等の価格及び供給に与える影響を最小限にし、国民生活の安定をはかることを目的に全国規模で調査したものである。また、合わせて便乗値上げを防止することも調査の目的のひとつであるという。

   どのような調査が行われたかであるが、1/15から1/17にかけて、全国47都道府県の2,000名のモニターに価格の見取り調査を実施したという。その結果、有効回答率70.4%、1,408人の回答を得たという。調査項目は、スパゲッティ、即席めん(カップラーメン、カップ焼きそば)、食パン、小麦粉、食用油、マヨネーズ、みそ、ソーセージ、ツナ缶、冷凍コロッケ、ビスケット、ポテトチップス、ビール、ティッシュペーパー、ガソリン(レギュラー)、灯油、クリーニング代の全17品目である。

   日経新聞では紙面の都合上、スパゲティ、マヨネーズのみの数字を載せていたが、本ブログでは、内閣府が2/19に公表した資料にもとづき、もう少し、詳細を見てみたい。まず、価格調査についてであるが、全17品目の内、競合メーカーがある商品については双方を調査しており、全部で27商品であり、その調査内容は平均販売価格、平均通常店頭価格、平均特売価格、特売販売率の4項目である。注目は特売販売率であるが、特売率が高いものを見てみると、マヨネーズ500gの40.3%であり、唯一40%を超える特売率の商品である。ついで、36.1%のティッシュペーパーA(5箱入り)、36.0%の食用油A(1kg)、35.8%のポテトチップスB(1袋)、35.7%の冷凍コロッケ(1袋)と続く。以上が35%以上の特売率の商品であり、これに続き、34.7%の食用油B(1kg)、34.4%のビールA(6本入り)、34.3%のビスケット(1箱)、34.1%のティッシュペーパーB(5箱入り)である。逆に、特売率が低い商品は14.5%のクリーニング代(ワイシャツ1枚)であり、ついで、20.9%のツナ缶B(1缶)、22.2%のツナ缶A(1缶)、22.7%のスパゲッティB(袋入り300 g)と続く。

   これらの基本調査を踏まえて、価格上昇についての意識調査が3項目となる。価格上昇についての意識、価格上昇率についての意識、そして、価格上昇時期についてである。価格上昇については、値段が高くなったと明確に感じると答えたモニターの割合が90%以上となったのが灯油、ガソリンであり、モニターの大半であった。ついで、数字はグッと落ちるが、30%以上となったのが、ティッシュBの38.4%、ティッシュAの38.3%であり、食パンBの33.8%、食パンAの32.3%と続く。これ以外では、30%はわずかに切るが、29.8%のマヨネーズである。

   価格上昇率については、10%以上と感じたモニターが多かった商品はやはり、灯油、ガソリンの77.9%、74.1%であり、ついで、ティッシュAの35.2%、ティッシュBの33.9%、マヨネーズの30.9%と続く。ほぼ、価格の上昇と同じ傾向であり、これについで、食パンBの28.8%、食パンAの28.6%、食用油Bの25.3%、食用油Aの24.7%、カップラーメンの22.8%、ツナ缶Aの21.7%、カップ焼きそばの20.4%となる。

   そして、3つ目の価格上昇時期であるが、これは商品により、まちまちであるが、この1年前から3ケ月前までと感じたモニターが多かった商品はガソリン56.3%、灯油50.7%、ティッシュA45.3%、ティッシュB44.8%、クリーニング44.5%が40%以上である。また、3ケ月前から1ケ月の間と感じたモニターが最も多い商品が食パンB56.0%、食パンA55.8%、ビスケット52.4%、みそA52.4%、みそB52.1%、スパゲティB51.7%、スパゲティA51.0、カップラーメン50.0%などであり、大半の商品がここへきて上昇したという意識である。ちなみに、この1ケ月以内という商品では、カップラーメン20.2%、食パンB19.3%、食パンA19.1%、ソーセージB19.0%が高い数字であった。

   さらに、このモニター調査では、調査の目玉ともいうべき、この価格上昇についての買い物対策について調査しているが、選択項目は特売日を狙って商品・サービスを購入する、商品・サービス購入量を減らす、いくつかのお店を比較して安いところを選ぶ、ポイント割引等が充実している店舗で商品を購入する、メーカー品ではなく、スーパー等の自社開発商品(プライベートブランド)をなるべく購入する、特になしの6項目となっている。日経新聞では特売日を狙って商品・サービスを購入する商品としてマヨネーズの74.7%を上げていたが、これ以外にもティッシュA73.8%、ティッシュB73.4%、食用油A71.6%など70%以上の商品もあり、60%以上も11品、50%以上も6品と今回調査した大半の商品は50%を超える比率である。ポイント割引についてはほとんどが20%強であり、商品間の差がほとんどなく、PB、プライベートブランドについては20%を超える商品が1品もなく、意外に支持が低い結果であった。購入量を減らすも20%前後であまり高い商品はなく、逆に意外に大かったのがお店を比較するという項目であり、平均して30%から40%と高い数字であった。

   このように、この調査はまさにタイムリーな消費者への意識調査といえ、商品も適切に選定されており、競合が明確な商品はA、Bと2つのメーカーを比較しており、値上げの消費実態をよく表しているといえよう。今後、継続的にこの調査を実施してゆくとのことで、本ブログでも家計調査データ、CPI(消費者物価指数)に加え、この調査も今後、取り下げてゆきたい。

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February 21, 2008

食品スーパーマーケット、売上速報、2008年1月度、104.8%!

   食品スーパーマーケットの上場企業で売上速報を公開している約20社の2008年1月度の数字を集計した。結果は全体が104.8%、既存店が99.7%であり、堅調な伸びであったといえよう。ただ、既存店は100%をわずかながら切っており、厳しい状況であるといえる。客数、客単価で見ると、客数が全体107.1%、既存店98.9%、客単価が全体100.3%、既存店100.9%と客単価は全体、既存店ともにほぼ100%であるが、客数が既存店は100%を切る厳しい状況ではあったが、全体が107.1%と大きく伸び、全体の売上を引き上げた構図である。これは、好調な食品スーパーマーケットによる積極的な新店が寄与したといえ、食品スーパーマーケットの成長の要因が新店開発にあることがわかる。

   このような中で、No.1の売上伸び率となった食品スーパーマーケットはマックスバリュ中部であり、全体が124.8%とNo.2の大黒天物産の121.6%を抑えトップであった。マックスバリュ中部はこれで、昨年の10月から4ケ月連続でトップを走り続けており、既存店が99.7%であるので、まさに、積極的な新店開発が全体の売上を大きく押しあげたといえよう。客単価は全体95.9%、既存店99.3%と厳しい数字であったが、客数が全体130.2%、既存店100.5%と全体の客数が大きく伸びており、新店による客数の伸びが、客単価のマイナスをカバーし、全体の売上を大きく引き上げたといえる。

   マックスバリュグループは、このNo.1の中部だけではなく、東海もNo.3に入り、全体109.9%、既存店99.7%と好調である。さらに、No.6にも西日本が全体108.0%、既存店103.6%、そして、No.8にも北海道が全体107.2%、既存店98.5%であり、ここ数ケ月はマックスバリュグループの躍進が目立っている。このマックバリュグループの中でも、最も安定しているのは、No.6の西日本であり、全体が108.0%に対し既存店も103.6%と安定した伸びを示しており、バランスのよい成長を続けている。既存店の客数101.2%、客単価102.4%と客数と客単価のバランスもよく、積極的な新店による売上アップだけでなく、既存店もしっかりと実績を上げているのが特徴である。
 No.4には、食品スーパーマーケット業界でも、今後の成長が、いま最も注目されている企業、マルエツが入った。全体が108.5%、既存店も102.5%とマックスバリュ西日本を上回るバランスのよい成長であり、やはり、既存店の客数も100.5%、客単価も102.0%と、客数、客単価のバランスもよい。店舗数が200店舗を超え、食品スーパーマーケット業界No.1の店舗数を誇り、この規模で、2桁近い成長であり、注目である。

   No.5はヤオコーであり、全体108.5%、既存店99.9%とほぼ100%であり、好調である。ヤオコーは新店の寄与が大きいといえ、全体の客数が107.7%、既存店が99.2%に対し、客単価は全体が100.7%、既存店が100.6%と100%そこそこであるので、やはり、新店による客数の増が、全体の売り上げを押し上げた構図である。ちなみに、ヤオコーはPI値、平均単価まで公表しているが、PI値の全体が102.9%、既存店102.6%に対し、平均単価が全体97.8%、既存店98.0%であるので、PI値は伸びているが、平均単価が厳しい数字であったため、客単価が伸び悩んだ構図であり、今後、好調なPI値を落とさず、平均単価の改善に入れれば、客単価が伸び、さらに売上の上昇につなげることができよう。

   No.6は先にあげたマックスバリュ西日本であり、No.7にはハローズが入った。ハローズは全体が107.4%、既存店も102.8%とバランスの良い成長であり、客数も全体105.5%、既存店100.8%、客単価は全体が101.8%、既存店102.0%とすべての指標がすべて100%を超え、今月、1月度の売上速報集計可能は約20社の中では、マルエツについでバランスのよい成長を達成した食品スーパーマーケットである。

   これに対し、この1月度、売上の厳しかった食品スーパーマーケットは、PLANTの全体95.1%、既存店100.0%である。既存店は100.0%と健闘しているが、新店がない分、全体としては厳しい数字である。特に、客単価は102.5%と昨対を超えたが、客数が92.8%と大きく落ち込んでおり、厳しい数字が続いている。ついで、アークランドサカモトであり、全体95.7%、既存店95.4%とどちらの数字も厳しい状況である。奇しくも、食品スーパーマーケットというよりも、スーパーセンター業態の企業の売上が低迷しており、ここへきて、スーパーセンターの新規出店が業態全体としても低迷しており、厳しい数字が続いているといえる。この他の厳しい売上の食品スーパーマーケットはヤマザワが全体95.9%、既存店も95.2%という数字である。九九プラスも全体97.4%、既存店97.2%、いなげや全体99.4%、既存店98.5%であり、以上が昨対で100%を割った食品スーパーマーケットである。

   このように、この1月度は新店を順調に出店している食品スーパーマーケットと新店が思うように出店できない食品スーパーマーケットの間で大きな成長の差が出たといえ、あらためて、食品スーパーマーケットの成長は新店が大きな鍵であるとこが鮮明になったといえる。ちなみに、ちょうど1年前のベスト5は、大黒天物産、PLANT、バロー、アークランドサカモト、マックスバリュ東海であり、大黒天物産、マックスバリュ東海は依然として高い成長を続けているが、残り3社は売上が伸び悩んでおり、いかに、中長期的に成長を維持するのが難しいかがわかる。来月以降は中国問題、値上げ問題等もあり、どのように数字が変化していくか注意深く見守ってゆきたい。

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February 20, 2008

みずほ銀行、CRMに本格着手、ID分析で最適な商品!

   日経新聞2/18に「みずほ銀、営業手法を導入、個人データ分析、最適な商品紹介」、「結婚した→生命保険、子供進学→教育ローン」という記事が掲載された。内容はみずほ銀行がこれまでの経験と勘による営業のやり方を約2,500万人の顧客のデータベースを分析し、最適な金融商品を提案する営業手法を導入するというものである。目的は、みずほグループの大きな課題となっている個人向け金融の強化につなげることにあるという。すでに、アメリカの大手銀行に担当者を派遣し、ノウハウを吸収したということで、この2月にはテストマーケティングも実施したという。

   みずほグループの最新の決算数値であるこの1/31に公表された2008年3月期の第3四半期決算を見ると、みずほグループは、みずほ銀行、みずほコーポレート銀行、みずほ信託銀行の3つに分かれているが、個人の預金は、それぞれ3 2兆2,648億円(60.9%)、68億円(0.07%)、1 兆8,318億円(63.0%)と合計3 4兆1,035億円(52.3%)であるので、この約34兆円、約2,500万人、平均約130万円の個人顧客が対象になる。

   日経新聞の記事を読むと、このような手法は欧米の金融機関では広く活用されているというが、日本の大手銀行が本格的に取り組むのは初めてという。具体的には、みずほ銀行に口座をもつ、約2,500万人の顧客の家族構成や預金残高、ATMの利用状況など約500項目の情報を集計し、分析するという。その分析の中から、名字の変更や使うATMの場所の変化も読み取り、結婚や転居といった生活の変化までをも類推するという。日経新聞では、その具体例として、これまでみずほ銀行では「30代から40代の男性」のように大まかな区分であった顧客分類を「金利が高い時期に現住所に転居した」という新たな顧客分類を作成したり、「同じマンション内にローンを借り換えた顧客がいる」という顧客分類を作ったりし、この絞り込まれた顧客にふさわしい金融商品のDM(ダイレクトメール)を発送するという。実際、このような絞り込まれた顧客にDMを発送したところ、資料請求の件数や説明会への参加率が従来の約3倍になったという。当然、顧客情報も支店、5ケ所のコールセンター、DM担当部で共有し、顧客の反応や契約状況を商品ごとに蓄積し、精度をたかめてゆくという。効率が高まれば営業費用の削減にも結びつけてゆきたいという。

   日経新聞の記事の内容はこのような内容であるが、これはまさに、食品スーパーマーケット業界ではじまったCRMそのものであり、大手銀行業界でも本格的なCRMへの取り組みがはじまったといえ、時代はまさにCRMの時代に突入しつつあるといえよう。ただ、この記事を読む限り、CRMデータの活用方法は顧客に力点をおいたアプローチといえ、もう一方の商品に力点をおいたアプローチが見えてこないのが残念である。銀行の場合は食品スーパーマーケットと違い、預金を預ける際には詳細な個人情報を記入しないと受け付けてくれず、しかも、住所変更、氏名の変更なども比較的最新の情報に更新される頻度が高いために、この極めて信頼性の高い個人情報を起点にCRMを行うことができる。

   食品スーパーマーケットでは銀行ほど詳細な個人情報を把握することは不可能であり、つい最近はじまったセブンイレブンの電子マネー、nanacoをみても、名前だけでカードを発行しており、個人情報はカード活用時に店員が性別、推定年齢等を類推する以外に方法がないといえよう。したがって、小売業が銀行のような詳細な個人情報を活用してのCRMには無理があり、必然的に商品に力点をおいたアプローチとなる。

   ただ、今回の日経新聞の記事を読む限りでは、CRMの醍醐味ともいえる顧客グループを自由につくり、その顧客グループごとに需要を読み、最適な商品を決定し、DMを打つという仕組みである。したがって、どのような顧客グループを作り、その顧客グループがどのような収益を上げるかを検証してゆくので、顧客グループの作り方は商品からのアプローチを考える上でも大いに参考になるといえよう。実際、記事にもあったが、約500項目の切り口で顧客グループを作っており、これだけ切り口があれば、ほぼ無限の顧客グループをつくることが可能となろう。CRMはまさにこのきめ細かな顧客グループづくりが命といえる。同様に、商品も数100項目の様々な切り口で商品グループをつくってゆけば商品を通じた顧客グループを自由に作ることができる。実際、ウォルマートはカードデータは使っていないが、店舗と商品双方を数100項目の切り口で分析し、マーチャンダイジングに活かしており、食品スーパーマーケットとしては、商品からの顧客グループづくりがキーとなろう。

   このように、今回の日経新聞の記事は、大手銀行業界も本格的なCRMの時代がはじまろうとしているという内容であり、今後の食品スーパーマーケットのCRMを考える上においても、特に顧客グループをどう自由につくるかという点では参考になるといえよう。銀行は食品スーパーマーケットと比べ顧客は多いが、商品は少なく、食品スーパーマーケットは逆に商品が多く、顧客も多いというビジネスである。食品スーパーマーケットとしては、顧客からのアプローチだけでなく、商品からのアプローチも重要なCRM戦略となろう。いずれにせよ、CRM戦略は今後の重要な経営戦略のひとつであり、今後、銀行がどこまでCRM戦略に取り組んでゆくかに注目したい。

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February 19, 2008

西友、上場最後の決算、2007年12月期、減収減益!

   すでに、ウォールマートの完全買収による上場廃止が4/19に決まっている西友が、2/14、上場最後の決算を公表した。それによると、売上高9,523.01億円(99.1%)、営業利益4.34 億円(13.5%:売上対比0.045%)、経常利益-64.79億円、当期純利益-209.31億円という減収大幅減益となる厳しい決算となった。売上、利益ともに回復の兆しがみえない状況といえ、上場廃止後、ウォールマートが抜本的なメスを入れない限り、業績の回復は厳しいといえよう。営業利益4.34億円の事業配分であるが、西友は小売事業と不動産事業とに大きく別れており、売上比率は99%以上が小売事業であり、不動産事業はわずか1%未満である。双方の今期の営業利益を見てみると、小売事業は-16.02億円(昨年12.49億円)と赤字に転落しており、不動産事業は20.37億円(昨年19.73億円)と黒字で伸ばしており、これが小売事業の赤字をカバーし、4.34億円のわずかではあるが、営業利益段階で黒字となった要因である。

   さらに、営業利益の構造を見てみると、西友の商品売買から得られる売上総利益は24.7%(昨年25.0%)と0.3ポイント粗利が下がっている。不動産収入等の営業収入は3.7%昨年3.7%)と昨年と同様であり、結果、営業総利益は28.4%(昨年28.7%)と0.3ポイント下がった。これに対し、販売費及び一般管理費は28.3%(昨年28.4%)と0.1ポイント下がり、差し引き営業利益が0.1%(昨年0.3%)と0.2ポイントのダウンとなり、金額では4.34%のわずかではあるが営業黒字となった。数字を見る限りでは粗利改善効果は表れていず、経費削減もわずかな効果であり、営業段階では大きな改善が進んでいないといえよう。その最大の要因は売上高が99.1%と低迷していることにあるといえ、まずは、売上高をいかに上昇させるかが課題といえよう。

   一般的に小売業の売上高をあげる最大のテーマは新店開発である。現在、上場食品スーパーマーケット約20社のこの1月度の売上速報を集計しているが、全体の売上が105%前後であり、既存店は100%を下回る予想である。外食のマクドナルドのような既存店の売上げが大きく伸びるケースも稀にあるが、通常は既存店100%、新店5%の出店で合計105%、10%の新店で110%という構造である。今期の西友は新店は西友本体としては、ひばりが丘団地店(東京都)、浜北店(静岡県)の2店舗のみであり、他に子会社の食品スーパーマーケットが2店舗の計4店舗であり、全394店舗の1.01%である。逆に、既存店に関しては80店舗(全体の約20%)の改装を進め、24時間営業店舗を43店舗増やし、305店舗(約80%弱)とし、活性化をはかっているが、全体の売上は99.1%と低迷し、厳しい状況である。小売業にとって売上高をあげる最大のテーマが新店開発であることがわかる。

   それにしても、なぜ、西友は、GMSをスーパーセンターに転換しないのか疑問である。スーパーセンターではなく、食品スーパーマーケット主体のNSC(近隣型ショッピングセンター)でも良いと思うが、ウォールマートの資本を大量に注入し、新店開発、既存店のスクラップ、すなわち、ビルド&スクラップ戦略を大胆に実行すれば、現在とは全く違う営業構造になったと思うが、残念である。上場廃止後のウォールマートの経営に期待したいところだ。

   西友の営業利益は4.34億円と黒字にはなったが、経常段階、当期純利益段階では大きな赤字となった。その要因は経常利益については、支払利息が71.53億円(昨年71.00億円)あることが大きいといえる。西友の自己資本比率は現在6.2%と厳しい状況であり、その要因を負債の主要項目である長短借入金の合計で見ると、3,095.11億円(昨年3,152.05億円)と総資産の59.80%と大きく財務を圧迫しており、これらの金利負担が大きく、経常段階で赤字に転落したといえる。もちろん、営業黒字幅が大きければカバーできる範囲であるが、今期の営業利益率0.045%では全くカバーできない状況となった。

   また、当期純利益の赤字幅がさらに膨らんでいるが、これは、特別退職金39.10億円と減損損失70.89億円が計上されたためである。依然として、減損損失が大きな負担になっているが、これは、資産項目の出店にかかわる資産、土地、建物、敷金・保証金の合計が2,966.58億円(昨年3,019.31億円)とほぼ借入金額と同等であり、総資産に占める割合は57.32%と大きく、減損会計の金額もそれにともない大きかったことによると思われる。ちなみに、全394店舗で割ってみると、7.52億円であり、一般的な食品スーパーマーケットの数億円と比べると、GMSが多いだけにかなり、大きな出店資産であり、現在の自己資本比率6.2%、営業利益、経常利益、当期純利益の状況では新規出店も厳しい状況といえよう。

   このように、上場最後の決算となった2007年12月期の西友の本決算が公表されたたが、これまで見てきたように厳しい決算となり、回復の兆しが営業面でも、財務面でも見えにくい状況である。今後、ウォールマートの完全子会社となるが、これまでの経営戦略ではこの厳しい経営状況を改善することは、難しいといえ、本格的かつ大胆なリストラクチャーが必至といえよう。

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February 18, 2008

日経2/16、小型店の出店加速の記事を考えてみる!

   日経新聞、2//16の夕刊の一面トップに、「都市部は小型店、スーパー各社、地価高騰で」、「東急ストア、総菜を充実、マルエツ、5年で50店」という見出しの記事が掲載された。その内容を見ると、以下のように各社が2008年度は一斉に小型店に取り組む方針であるという。東急ストアは通常の1/3の規模で総菜を充実させた新型店を出店、ダイエーは2008年度は小型店を出店の柱にすえるという。イオンは「まいばすけっと」を本格展開し、関西スーパーマーケットは2009年3月以降に小型店の出店に乗り出すという。また、マルエツは東京23区に今後5年で50店舗出店するという。ダイエーは来期20から30店舗の小型店をビック・エーを主体に出店するという。そして、西友も小型スーパーの開発に乗り出す方針であるという。

   日経の記事ではその背景には、不動産価格の上昇があり、出店費用がかさむことにが大きいといい、少子高齢化が進む首都圏では小型店舗は効率は落ちるが、総菜類などの品揃えを強化して収益を確保する狙いがある解説している。

   記事では、さらに具体的な事例として東急ストアと関西スーパーマーケットをあげている。東急ストアに関しては、この4月に東急の西小山駅の駅ビルに東急ストアフードステーションを出店するという。売場面積は580平方メートル(約175坪)と通常の1/3であり、野菜や魚などの生鮮食品を減らす一方で総菜などの加工度の高い商品を中心に販売するという。特に、バラ、個食パックの品揃えを充実させ、店内でも食事ができるようにイートインコーナーも設置したという。今後、このような店舗を20店舗近く出店する見込みという。また、関西スーパーマーケットについては、今期ではなく、来期の2009年3月期以降の計画であるが、通常の1/2の1,000平方メートル(約300坪)の小型店の展開を考えているという。大阪は土地が高いうえに、用地も少ないことから都市部での小型店の展開に入るという。

   ここで共通しているのは、土地が高く、出店費用がかさみ、それをカバーするために、小型の食品スーパーマーケットを出店し、特に、総菜に力を入れるということである。ただ、小型食品スーパーマーケットが総菜に注力して、採算ベースにのるかどうかはかなり疑問である。現在の食品スーパーマーケットの総菜構成比は平均すると10%前後であり、10%を超える食品スーパーマーケットはまだまだ少ないのが現状であり、食品スーパーマーケットの集客の柱は依然として生鮮3品であり、その構成比は40%前後である。小型食品スーパーマーケットが高い地価と人件費を相殺する方法は収益性をあげるよりも、坪効率をあげることが採算ベースに乗せる王道であり、そのためには圧倒的な客数を集客する以外に方法がなく、当然、それは、生鮮3品の強化が大前提となるからである。

   実際、首都圏の食品スーパーマーケットで小型店で高業績をあげている食品スーパーマーケットの典型的な事例は何といってもオオゼキであろう。オオゼキがなぜ、高業績をあげられるであるが、まず、この2008年2月期の中間決算の数字を見ると、売上に対しての営業利益率は業界屈指の7.3%であり、粗利率は24.3%、経費比率は18.0%である。しかも、オオゼキは総菜が強いのではなく、生鮮3品の構成比が47.1%、特に青果が22.0%と圧倒的に強く、これが強力な集客要素となっていることがわかる。しかも、店舗数は29店舗、店舗面積が16,803平方メートルであるので、1店舗当たり、579.41平方メートル、わずか175.5坪である。まさに小型食品スーパーマーケットであり、これだけ、東京という日本一高い立地に出店し、生鮮構成比を50%近くに高め、正社員比率67.0%という通常の食品スーパーマーケットでは考えられないような人件費をかけているにもかかわらず、経費比率は18.0%である。その理由は、坪効率にあるといえよう。

   オオゼキの平均店舗の平均客数は1日当り、3,666人であり、最も多い店舗は5,071人の池上店であり、最も少ない店舗は1,825人の座間店である。したがって、この圧倒的な客数が年間売上を高め、単純に直営店舗面積で年間売上を割ると、優に1,000万円を超え、この中間決算時の数字を単純に2倍して算出すると坪当たり1,279万円となる。これが高い地価、社員比率67.0%でも経費比率が18.0%になる仕組みであり、オオゼキはまさに小型食品スーパーマーケットの収益ビジネスモデルを作り、実践しているといえる。

   したがって、総菜のみに力を入れた食品スーパーマーケットを作っても、首都圏の高い地価をカバーするビジネスモデルはかなり難しいといえ、高い地価には高い坪効率で相殺するビジネスモデルが必要といえよう。その意味で、小型食品スーパーマーケットの成否は総菜強化による収益性のアップの方向は時代の流れとしては正しい方向であると思うが、食品スーパーマーケットの小型店は生鮮3品が柱であり、その強化の上にたった集客力の高い坪効率を極限まで高めた方が採算に乗るのではないかと思う。また、首都圏だからこそ、新鮮な野菜と鮮魚、そして、精肉という、食生活の原点である生鮮3品がより求められているように思う。

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February 17, 2008

日経MJ、新製品週間ランキング、20080215、冷食はいかに?

   今週、2/15は何といっても、冷凍食品が気になるテーマである。このPOSデータは2/3から2/9までの1週間のデータであり、ちょうど、中国餃子毒入り事件の真っ最中のデータであり、まず、今週は冷凍食品部門を見てみたい。冷凍食品部門は、アイスクリームと冷凍食品の両方からなっているが、今週は、全部で12品がランキングに入った。その中で、冷凍食品は3品のみである。ただ、いずれも客単価は低く、50円(1人当り、0.05円)以下という低い数字であり、冷凍食品の厳しい現状が反映されているといえよう。

   冷凍食品No.1は冷凍食品部門第6位の味の素、レモンとバジルのチキン香り揚げ132gであり、客単価46円である。先週より順位は10番から6番へと4つあがったが、客単価は2円下がった。平均単価も187円から192円へと上がっており、やはりといえばやはりだが、特売がかからなかったようだ。カバー率も24.8%と低い数字である。
No.2は冷凍食品部門第9位、先週11位より、2ランクあがった日本たばこ産業、のりっこから揚げ21g×6個であり、客単価は29円である。日本たばこ産業が順位を上げ、9位となったが、客単価は11円下がっており、カバー率も9.6%と厳しい状況であり、日本たばこ産業、JTの冷凍食品は苦戦しているようである。11/20登場の新製品であり、そろそろ13週間となり、ランキングからははずれるので、今後、日本たばこ産業がこのような厳しい中で、どのような新製品を出してくるかが注目である。

   No.3は冷凍食品第10位の日清食品、スパ王とろっとたまごのカルボナーラ323gであり、客単価28円である。先週比は、4円アップしたが、平均単価が208円から195円へと下がっているため、販促がかかったものといえよう。カバー率はまだ10.4%であるが、冷凍食品の中でも、今回の餃子とは違い、麺類でもあり、今回の事件の影響を受けなかったものと思われる。

   冷凍食品部門はこの3品以外はすべてアイスクリームであり、No.1は初登場のロッテ冷菓、雪見だいふく<生チョコレート>47ml×2個であり、客単価140円である。No.2はハーゲンダッツジャパン、ミニカップ・マルチパック6個入り(リッチミルク・ショコラクラシック・カスタードプディング)、客単価114円である。平均単価は688円と高額であるが、ランキングNo.2である。No.3は森永乳業、エスキモー「ピノ濃厚ビターチョコ」10ml×6粒であり、客単価106円である。冷凍食品部門はこの3品がベスト3であり、客単価100円以上の新製品である。

   今週はこの冷凍食品以外でも全体的に低調な動きとなり、全新製品の中で、客単価500円以上のAクラスの新製品が一品もなかった。全新製品No.1はその他食品部門でもNo.1の伊藤ハム、朝のいきいきウィンナー95g×2、客単価458円であった。先週比107円の客単価アップであり、平均単価は先週と同じ282円であるので、好調な新製品といえよう。ただ、カバー率が12.4%と今回の対象チェーンストア45チェーン、250店舗のわずかな店舗にしか入っていないため、今後、カバー率が上がった場合、この高い客単価を維持できるかどうか注目である。その他食品はNo.2にも日清食品、カップヌードルスパイシーカレー85gが客単価412円で入り、No.1、No.2を独占した。カップヌードルは、その他食品部門では、これ以外に、No.3にレッドカレー82g、客単価329円、No.6にスープヌードル61g、客単価272円、No.9にスープヌードルシーフード61g、客単価222円、No.11にスープヌードルカレー71g、客単価157円と5品入っており、値上げ真っ最中の中、新製品を続々と出している。ただ、つい最近のミルクシーフードヌードルのように、はじめはトップとなったが、急激に失速したものもあり、この好調な数字がどこまで続くかはもう少し様子を見る必要があろう。

   今週の全体のNo.1、No.2はその他食品となったが、No.3は菓子部門のNo.1、カルビー、じゃがりこほんのり梅味58g、客単価369円が入った。先週6位からの急浮上であり、客単価も207円アップという異常値である。カバー率も81.6%と極めて高い数値であり、今後、どの辺で落ち着くかが注目である。全体のNo.4は先ほどのその他食品のカップヌードルレッドカレー82g、客単価329円であり、No.4は同じく、その他食品の4番目の東洋水産、マルちゃん玉うどん3食入600g、客単価311円である。そして、No.5は同じくその他食品の5番目の堀川、サラダアラスカ(10本入り)86g、客単価298円である。

   以上が今週の全新製品の中でベスト5であるが、トップクラスには入らなかったが、飲料部門No.1は、初登場の日本コカ・コーラ、爽健美茶オリエンタル・フラワー・リゾート500mlペットボトル、客単価243円である。家庭用品ではNo.1は花王、アタックバイオジェル1kg、客単価258円であった。先週比142円のダウンが気になるところであるが、カバー率は82.8%と抜群な数字であり、今週の全新製品の中でNo.1のカバー率である。

   このように、今週の新製品は冷凍食品が注目であり、やはり、3品しか上位ランクに登場せず、しかも、客単価は50円以下という厳しい状況であった。今後、しばらくは冷凍食品は厳しい状況が続くと思うが、そのような中で、各社がどのような新製品を市場に出してくるかに注目したい。今後、この冷凍食品の問題に加え、値上げも本格する中、新製品の存在意義はますます高まるといえ、来週以降も本ブログでは、新製品の動向をしっかり追っかけてゆきたい。

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February 16, 2008

スーパーバリュー上場(埼玉)、初値1,439円!

   2/15、スーパーバリューがジャスダックに上場した。始値は1,480円でスタートし、一時は1,511円まで株価が上昇したが、その後、株価は急落1,401円まで下がり、前場は少し戻したが、1,420円前後で終了した。そして、後場に入っても株価は上がらず、1,430円前後でもみ合い、最終的には、1,439円で引けた。2/15の日経平均も13,622.56円(-3.89円)と低調な状況であり、スーパーバリューの上場初値もやや低調な動きであったといえよう。売買高は19.21万株であり、売買金額は約3億円弱の取引であった。

   食品スーパーマーケット業界としては、昨年4月の青森のユニバースの東証2部への上場以来であり、今後、どのような株価となるか注目である。スーパーバリューはこの上場と同時に、2/15、2008年度第3四半期の決算を公表している。それによると、売上高は267.56億円、営業利益8.39億円(売上対比3.13%)、経常利益6.95億円(売上泰比2.59%)、当期純利益4.05億円(売上対比1.51%)という状況である。また、通期予想は、売上高357.67 億円(102.7%)、営業利益11.08億円(124.3%:売上対比3.09%)、経常利益8.82億円(121.2%:売上対比2.46%)、当期純利益5.17億円(142.7%:売上対比1.44%)と増収増益の予想である。売上は微増の予想であるが、利益は2桁の増益の予想であり、利益がこの上場を機に大きく改善する予想である。

   スーパーバリューは現在、食品スーパーマーケットとホームセンターの融合業態を積極的に埼玉県中心に出店しており、数年前からはバリュープラザというNSC業態を自ら運営し、そこにスーパーバリューが核テナント出店として入るというビジネスモデルを確立し、食品スーパーマーケット、HC、不動産賃貸の3つの柱を収益源とした小売業を展開している。現在、埼玉県に5店舗(売上構成比約60%弱)、東京都に2店舗(売上構成比約35%弱)、千葉県に1店舗(売上構成比約8%強)の計8店舗展開している。

   もともとは1996年に埼玉県さいたま市に出店した大川ホームセンターが発祥であり、その後、食品を付加し、現在の食品スーパーマーケットとホームセンターの融合業態スーパーバリュー業態を確立した。商品構成比は、食品スーパーマーケット部門が67%、ホームセンター部門が33%と、約7:3の比率であり、食品スーパーマーケットが核となっていることがわかる。ちなみに、売買差益は、食品スーパーマーケット部門が19.16%、ホームセンター部門が20.92%であり、ほぼどちらも約20%であり、ディスカウントストア並みの低価格戦略であり、周辺の食品スーパーマーケットにとってはかなりインパクトがある低価格政策がとられているといえよう。

   全体の営業構造を見てみると、商品売買から得られる売上総利益が20.21%であり、不動産収入等の営業収入が1.04%加わり、営業総利益は21.26%となる。一方、販売費及び一般管理費は18.13%と18%台のローコストで回しており、結果、営業利益が3.13%となる。スーパーバリューの強さは、このローコスト経営にあるといえ、粗利率が20%そこそこでも、18%台の経費比率で利益を出し、さらに、NSCによる不動産収入等により、プラスの収益を生み出すという構造となっており、競争力のある業態を確立したといえよう。

   これに対し、財務面を見てみると、自己資本比率が8.9%と極めて低く、2007年2月期決算時が6.7%とさらに低かったので、この時と比べると、若干上昇してはいるが、それでも、かなり低い自己資本比率である。今回の上場の目的もこの自己資本比率の向上にあったといえ、新たな資金調達なしに、今後の新規出店を続けるにはかなり、無理があったものと思われる。この決算時の純資産は15.64億円であり、今回の上昇による新規調達は、公開株式数が42万株であるので、2/15現在の株価で単純計算をすると約6億円となるが、それを単純に足しても、自己資本比率は約15%前後であり、今後、安定的な新規出店をしてゆくには、さらに自己資本比率を高めてゆくことが経営課題といえよう。

   その自己資本比率が8.9%と低い要因を負債と資産の両面から見てみると、まず、負債面の主要項目である長短借入金は116.06億円あり、総資産の66.2%となる。この借入金約100億円強が、自己資本比率を低めている最大の要因といえ、今後、今回の上場による資本調達と、好調な収益により、どこまで改善できるかが大きな経営課題といえよう。一方、資産面に目を転じてみる、資産の主要項目である出店にかかわる資産である土地、建物、差入保証金の合計は86.47億円であり、総資産の49.35%であり、自己資本比率8.9%ではバランスがとれず、大きく借入に依存した出店構造となっている。また、スーパーバューはホームセンターの売上構成比が約30%であるので、資産の中でもたな卸資産が17.70億円あり、これが総資産の10.10%と大きいのも特徴である。

   このように2/15、埼玉県を主体に食品スーパーマーケットとホームセンターを融合したNSCを主力業態として展開するスーパーバリューがジャスダックに上場したが、初値がやや厳しい株価となった要因は自己資本比率が8.9%という財務上の問題もあったものといえ、今後、スーパーバリューが安定的な新規出店を行い、成長してゆくためにも今回の上場による調達資金に加え、ローコスト、低価格の競争力を活かし、収益性を高め、自己資本の充実をはかることが急務といえよう。今後のスーパーバリューが競争力、収益性に加え、財務面が今後、どのように改善されるかに注目したい。

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February 15, 2008

マクドナルド、2007年12月期、本決算、絶好調、増収増益!

   マクドナルドが2/7、2007年12月期の本決算を公表した。売上高3,950.61億円(111.1%)、営業利益167.33億円(226.7%:売上対比4.23%)、経常利益156.16億円(273.6%:売上対比3.95%)、当期純利益78.19億円(504.7%:売上対比1.97%)と増収大幅増益の好決算であった。特に、利益がどの段階でも異常値に近い数字となり、大きく改善したのが特徴である。ただ、売上対比で見ると、営業利益率、経常利益率、当期純利益率とも外食産業の中ではまだまだ高いといはいえず、課題は残しているが、昨年対比では利益が急回復といえ、好調な決算であったといえよう。

   その要因をマクドナルドは、次の7つの政策を実施したことが大きかったとしている。その7つとは、①「マックグリドル」「メガシリーズ」「マックラップ」等の新メニューの投入、②ドライブスルー店舗を中心とした24時間営業の拡大(当期末現在1,312店舗)、③地域別価格の導入、④快適な食事空間を提供するための店舗改装(当期改装店舗数240店舗)、⑤年間13,000名以上の受講生を育てるハンバーガー大学を始めとした人材開発への投資強化、⑥会員数800万人を突破したトクするケータイサイトを中心とするe-マーケティングの拡大、⑦フランチャイズ化の推進(当期末現在1,072店舗、前期末比76店舗の増加)である。

   不思議なことに、この中には出店戦略の項目がなく、いずれも商品戦略、既存店の活性化にかかわる項目であり、強いてあげれば、フランチャイズ化が出店戦略にあたるが、前期末比76店舗増であり、さほど大きなインパクトではない。実際、今期の店舗数の推移を見てみると、前期末は直営2,832店舗、フランチャイズ996店舗の合計3,828店舗であったが、期末店舗数は、直営が2,674店舗(-158店舗)、フランチャイズが1,072店舗(+76店舗)の合計3,746店舗(-82店舗)となり、店舗数は減っている。これは、今期の新期出店が直営62店舗、フランチャイズ25店舗の合計87店舗にとどまったのに対し、閉店が直営151店舗、フランチャイズ18店舗の合計169店舗となったためである。マクドナルドは今期徹底した不採算店舗の閉鎖を図っており、これが今期は店舗数の減少につながったといえる。

   ただ、このような新規出店が厳しい状況の中でも決算結果は売上が2桁伸び、利益は大幅な増加となる好決算となっており、これらの思い切った政策が結果的に正しかったことを実証したといえよう。マクドナルドの年間の既存店の客数、客単価の推移を見てみると、1月(105.6%、102.4%)、2月(109.4%、102.8%)、3月(108.8%、99.7%)、4月(111.3%、103.8%)、5月(113.7%、96.5%)、6月(116.6%、97.0%)、7月(109.5%、97.4%)、8月(110.8%、100.5%)、9月(109.7%、102.1%)、10月(105.1%、99.2%)、11月(111.0%、98.8%)、12月(110.4%、100.7%)であり、客単価ではなく、客数が大きく改善したことがわかる。しかも、新店による客数増ではなく、既存店による客数増であるといえ、先の7つの政策が既存店の客数増にダイレクトに結び付いたとものと思われる。

   一方、マクドナルドの自己資本比率であるが、66.1%と健全な数値である。これを負債面と資産面の両方の角度から分析してみると、まず、負債面であるが、負債の主要項目である長短借入金は55億円(昨年35億円)と20億円増加しているが、総資産に占める割合は2.73%であり、全く財務的に負担のない金額であり、55億円は当期純利益78.19億円以下であり、いつでも無借金経営へ転換することができる状況である。一方、今期は新規出店よりも、閉店の方が多かったが、資産の主要項目である土地、建物、敷金・保証金の合計は1,259.75億円(昨年1,271.12億円)と約10億円減少しており、総資産に占める割合は62.5%であり、これはちょうどほぼ自己資本比率に一致し、経営バランスが絶妙な構造である。ちなみに、マクドナルドの期末店舗数は先にあげたように3,746店舗であるので、1店舗当たり出店にかかわる資産を算出すると、0.33億円となるが、この中にはフランチャイズ店舗が約1,000店舗入っているので、直営の2,674店舗で割ると0.47億円であり、約5,000万円であり、食品スーパーマーケットとは1桁違う出店にかかわる資産である。

   このように、この12月期の本決算のマクドナルドは増収、しかも既存店の活性化による2桁の増収であり、大幅な増益となる好決算であった。特に、客単価よりも客数が1年を通してほぼ2桁で伸び続けたことが大きかったといえよう。ただ、1月度の速報がすでに公表されているが、既存店の客数は102.7%、客単価が99.9%となり、売上が102.6%となり、全体の売上も103.3%と伸びが落ち着いたところが気になるところである。今期の反動ともみられる動きが起こっているともいえ、ここ数ケ月のマクドナルドがどのような客数、客単価の伸びを示すかを注視してゆきたい。

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February 14, 2008

バロー、2008年3月期、第3四半期決算、増収増益!

   バローが2008年3月期、第3四半期決算を2/4、公表した。連結の営業収益は2,413.92億円(109.9%)、営業利益73.85億円(110.5%:営業収益比3.05%)、経常利益77.88億円(107.99%:営業収益比3.22%)、当期純利益36.19億円(120.6%:営業収益比1.49%)と増収増益の好決算であった。営業収益、各種利益ともに好調な数字であった。これを受けて、通期予想も、営業収益は3,280.00億円(113.8%)、営業利益103.00億円(111.0%:営業収益比3.14%)、経常利益108.00億円(108.4%:営業収益比3.29%)、当期純利益51.00億円(130.2%:営業収益比1.55%)と2桁の増収増益予想であり、今期は好決算が期待される。

   これを受けてバローの株価であるが、この決算の公表があった2/4(1,044円)、2/5(1,064円)、2/6(1,008円)、2/7(1,027円)、2/8(1,039円)と投資家からの反応は鈍いといえ、株価が残念ながら低迷しているのが現状である。特に2/6の1,008円は上場来最安値の株価であり、この数ケ月、厳しい株価が続いている。バローのここ数ケ月の株価は昨年12/3に一時1,587円をつけて以降、右下がりに株価が下がり、2/11現在、5日移動平均乖離率は+0.28%であるが、25日-8.53%、13週-18.95%、26週-18.63%と中長期的には厳しい株価の推移である。

   今期の第3四半期決算、および、通期見通しがこれだけ好調な数字であるにもかかわらず、株価が低迷する要因としては、財務的な問題があると思われる。バローの自己資本比率を見ると、この第3四半期は31.0%であり、これは上場食品スーパーマーケットの中でもかなり低い数字であり、昨年が32.6%、2007年3月期の本決算時が32.1%であるので、この第3四半期でさらに数字が下がっている。自己資本比率は、負債、資産と密接に絡む重要な財務指標であり、株価との関係でも、ROA=ROE×自己資本比率であり、また、株価評価の代表的な指標であるPBRとPERにはPBR=PER×ROEの関係があり、この2つの数式を融合すると、PBR=PER×ROA/自己資本比率となり、自己資本比率=PBR/(PER×ROA)となる。すなわち、自己資本比率はPBRに比例し、(PER×ROA)に反比例するという関係となる。ちなみに、バローの2/11現在の連結PBRは1.05倍、連結PERは13.94倍である。

   そこで、バローの自己資本比率が低い要因を負債面と資産面から見てみると、まず、負債面であるが、その主要項目である長短借入金は639.55億円(昨年511.10億円)と約130億円増加し、総資産に占める割合は37.45%となり、経営に重くのしかかっているといえよう。一方、資産面を見てみると、その主要項目である出店にかかわる資産、土地、建物、差入保証金の合計は1,041.88億円(昨年936.21億円)と約100億円増加しており、総資産に占める割合は、61.01%であり、これは自己資本比率31.0%、長短借入金37.45%をほぼ合計した金額であり、新規出店が借入に大きく依存する構造となっており、今後とも安定的な新規出店を行ってゆくには、かなり重い財務構造であるといえよう。株価の低迷にはこのような財務的な要因があるといえ、バローとしては、好調な営業数値を財務改善にいかに反映させられるかが、当面の経営課題といえよう。

   その好調な営業状況であるが、この第3四半期の商品売買から得られる売上総利益は23.26%(昨年22.90%)と昨年と比べ0.36ポイント改善しており、いわゆる粗利率が改善されている。また不動産等の営業収入は3.55%(昨年3.63%)となり、若干下がったが、ほぼ昨年なみの数字である。したがって、営業総利益は26.82%(昨年26.54%)と約0.3ポイント改善した。一方、販売費及び一般管理費は23.65%(昨年26.54%)と若干であるが上昇しており、差し引き、営業利益は3.16%(昨年3.15%)と若干上回り、ほぼ昨年と同様の営業利益率となり、営業収益の伸びと相まって2桁増の営業利益率を達成した。

   バローは今期、食品スーパーマーケット7店舗、ホームセンター1店舗、ドラックストア16店舗、ペットショップ2店舗、スポーツクラブ6店舗と順調に店舗数を増やしている。また、この1/28には、阪食との業務提携を行い、商品の相互供給、商品の共同開発、食品スーパー事業における経営技術・ノウハウの相互交換を柱とし、幅広く交流がはじまるという。阪食グループはエイチ・ツー・オー・リテーリンググループの中間持株会社であり、その傘下には阪急オアシス22店舗、阪急ニッショーストア22店舗、阪急ファミリーストア12店舗など、年商823.39億円の企業グループである。このグループの特徴はアップグレードな商品政策ときめ細かなマーチャンダイジングに定評があり、都心部、郊外ともに強い業態を有している食品スーパーマーケットグループであり、今後、バローとの業務提携が深まれば、バローのマーチャンダイジングもさらに強化されるものといえよう。

   このように、この第3四半期決算は増収増益の好決算であり、阪食との業務提携も締結され、今後、マーチャンダイジングがますます強化され営業面ではさらなる改善が進むものといえよう。ただ、課題としては、借入金も増加し、自己資本比率が低迷し、ここの改善如何が今後の成長戦略と直結するといえ、好調な営業数値をいかに財務改善に結びつけて行くかが課題といえよう。今後のバローの自己資本比率がどのように改善されるかに注目したい。

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February 13, 2008

IDにこだわる、IDと客数の違い!

   これまで、POSデータ分析では客数を最重要指標としてとらえ、売上金額を客数で割り、金額PI値(客単価)を算出し、売上数量を客数で割り、PI値(数量PI値)を算出し、チェーンストア全体の各商品の状況、あるいは個々の店舗の状況を見てきた。ここで使用する客数とはレシート枚数のことであり、Aさんが2回来店して買い物をした場合はレシートが2枚発生するので、客数を2人と数え、金額PI値はAさんの売上金額を客数2人で割って算出し、同様にPI値もAさんの売上数量を客数2人で割って算出した。しかし、よく、考えてみると変な話である。Aさんは1人なのに、2回来店すると、レシートが2枚発生するので、客数を2人とし、金額PI値、PI値を計算することになるが、実際はAさんは1人であるので、本来は客数は1人として計算するのが正しいはずである。

   ちなみに、よく支持率という指標があり、部門客数を来店客数で割って算出し、売上金額、売上数量の支持、すなわち、金額PI値、PI値と区別し、客数のPI値としてとらえ、客数の支持率とみる場合がある。実はこれも、先ほどと同じAさんが2回来店した場合は客数が2人と数えるため、純粋な客数とはずれ、レシート枚数をレシート枚数で割っているにすぎない。売上金額、売上数量よりは、真の客数に近いが、純粋な客数とは若干ずれるといえる。

   では、純粋な客数とは何かであるが、これは結論からいえば、IDの数のことである。IDの数とは単なるレシート枚数とは違い、レシート1枚1枚にIDをつけ、先のAさんが2回来店した場合は、そのレシートにAさんのIDをつけ、Aさんが2回来店したと区別し、レシート枚数=来店回数は2回であるが、ID数は1人であるととらえることである。このように客数をとらえることによって、これまでの客数=レシート枚数=回数がID数×来店回数(来店頻度)となる。こうとらえると、先のAさんが2回来店した場合は、客数2人ととらえるのではなく、ID1人×2回来店としてとらえ、客数は1人、その1人が2回来店したと把握し、客数と回数とを厳密に区別し、純粋な客数を明確にすることになる。

   したがって、これまでの客数が増加した場合も、その中身はID数が増えたのか、それとも来店回数が増えたのかを数字で把握し、どちらかを区別し、判断することになる。仮に、IDが増えていなければ、客数増ではなく、当然、来店回数が増えていると判断することになる。逆に、来店回数が増えていなければ、ID数が増えていることになり、この時はじえめて客数が増えたと判断することになる。ここに客数のとらえ方のあいまいさはなくなり、IDを把握することによって、真の客数がみえるようになる。

   では、このように、IDが把握できるようになると何が便利になるかであるが、たとえば、販促を評価する時、IDが把握できない時は、客数=レシート枚数=回数が増えたか否かで判断せざるをえなかった。ここで、IDの把握が可能となれば、何らかの販促の結果、客数が増加した場合、それを客数=ID数×来店回数と分解し、その販促が純粋にIDの数を増やしたのか、それとも来店回数を増やしたのかを区別し、IDを増やした時に、はじめて新規顧客を増やす販促であったと判断し、逆に、IDの数がさほど増えず、来店回数が増加したのであれば、それは新規顧客を増やしたのではなく、既存顧客の来店回数を増やしたと判断することができ、販促の効果がどちらに重点があったかどうかを見分けることが可能となり、販促そのものの見直しにつながってゆくことになる。

   実は、販促とは、本来、このような2つの側面があり、どんな販促を打っても必ず、IDの数の増加か来店回数の増加かが起こっており、IDの把握ができれば、どちらにより重点があるかが数字で判断できる。そして、販促とはまず、IDを増やし、限界まで増やし続け、一方で、既存顧客になったIDに対して、来店回数を増やし続ける販促を新たに展開し、双方をバランスよく実施しながら、客数=ID数×来店回数の双方を引き上げることがその目的となる。

   これはPOPひとつにもいえることであり、POPをつけることによって、客数=レシート枚数=回数が増えた場合は、必ず、ID数×来店回数に分解し、そのPOPによって、ID数が増えたのか、来店回数が増えたのかを区別できるようになる。POPも新規顧客、すなわち、ID数を増やすPOPと既存顧客の来店回数を増やすPOPがあり、双方のバランスをとりながらスパイラル状に客数=レシート枚数=回数を増やしてゆくことがポイントといえよう。

   このように、これまでは単なる客数=レシート枚数=回数しかPOSデータでは客数が把握できなかったが、ポイントカード等を活用することによって、客数を客数=ID数×来店回数という2つの指標に分けることができるようになり、純粋な客数であるIDが増えたのか、それとも既存顧客の来店回数が増えたのかが区別できるようになる。IDが把握可能であるのであれば、ぜひ、ID分析を行い、真の客数=IDの動向を見極め、文字どおり顧客のためのマーチャンダイジングの改善につなげてゆきたいものである。

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February 12, 2008

ヤオコー、2008年3月期、第3四半期決算、増収2桁増益!

   ヤオコーが2008年3月期、第3四半期決算を2/5公表した。連結の営業収益は1,518.73億円(106.3%)、営業利益62.88億円(112.1 %:営業収益比4.14%)、経常利益62.72億円(112.4%:営業収益比4.12%)、当期純利益35.42億円(110.7%:営業収益比2.33%)と増収増益、特に利益がいずれの段階でも2桁の増益となる好決算であった。ただ、同時に公表した通期予想が営業収益1,997.00億円(106.1%)、営業利益71.50億円(102.6%:営業収益比 3.58%)、経常利益71.00億円(102.2%:営業収益比3.5%)、当期純利益39.50億円(102.7%:営業収益比1.97%)と特に利益面が控え目な数字であり、この予想通りゆくと第4四半期が大きくペースダウンとなる予想であり、この乖離が気になるところである。

   この結果を受けて、ヤオコーの株価であるが、この第3四半期決算が公表された2/5(2,830円)、2/6(2,810円:99.2%)、2/7(2,965円:105.5%)、2/8(3,020円:101.8%)と翌日は一旦株価を下げたが、2/7、2/8と株価は上昇しており、特に、2/6、2//7はそれまで1万株前後の売買高であった取引が、4.18万株、2.74万株と活発になり、2/7以降株価も上昇気味で推移しており、投資家はこの決算結果を買いと判断しているようである。ヤオコーの株価は昨年の12月初旬には3,300円前後で推移していたが、その後、右下がりの厳しい株価が続き、今年に入り、3,000円台の攻防を繰り広げていたが、1/22には一時は2,800円まで株価が下がり、その後、この近辺でもみ合っていた。この第3四半期決算が公表された翌日の2/6には一時2,765円まで下げる動きもあったが、現在は3,000円を超えており、再び反転し、この好決算結果を受けて、さらに株価が上昇するか注目である。

   ヤオコーの特に利益が2桁に上昇した要因であるが、ヤオコーは売上と営業収入を分けて計上しているので、営業利益は売上と営業収入を足した営業総利益から販売費及び一般管理費を差し引いた数字となる。そこで、まず売上を見ると、106.6%であり、この売上に対する利益、すなわち、商品売買から得られる売上総利益は28.58%である。昨年が28.29%であるので、いわゆる商品売買から得られる粗利率は0.29ポイント改善している。また、これに営業収入を加えた営業収益比で見ると27.44%となり、昨年の27.09%と比べ、0.39ポイント改善しているのがわかる。さらに、これに不動産収入等の営業収入が3.95%(昨年4.26%)加わり、昨年よりは、0.31ポイント下がったが、トータルの営業総収益は31.40%と昨年の31.36%よりも0.4ポイント上昇し、粗利が特に商品売買から得られる売上総利益の改善によってプラスとなった。

   さらに、販売費及び一般管理費の数字を見ると、27.26%となり、昨年の27.43%と比べ、0.17ポイント改善しており、結果、営業利益が昨年の3.92%から4.14%へと0.22ポイント改善し、営業収益の106.3%とあいまって、営業利益が2桁の伸びとなったとえいよう。すなわち、粗利の改善と経費の削減が同時に改善されており、今期の好決算につながったことになる。また、昨年は商品売買から得られる売上総利益、いわゆる粗利と経費のバランスがマイナスとなり、不動産収入等の営業総利益で営業利益をプラスにしていた構造であったが、今期は売上総利益がわずかではあるが、経費を上回り、営業総利益分がそっくり、営業利益となっており、収益構造のバランスが改善していることがわかる。

   ヤオコーは現在、第5次中期経営計画(3ケ年計画)の2年目に入っており、すでに17期連続の増収増益を達成しているが、さらに、飛躍をはかるべく、今回の経営計画が策定された。その骨子は長期目標として、年商1兆円を掲げており、店舗数500店舗の大チェーンストアの構築を目指している。この中期計画では営業収益を2,112億円、経常利益85億円、経常利益率4%、総資産経常利益率12%、店舗数108店舗とする計画であり、この第3四半期決算を見る限り、計画どおり進んでいるといえよう。

   ただ、若干気になるのが、自己資本比率の40.6%である。昨年が41.0%、昨年2007年3月期が42.6%であるので、若干下がっており、食品スーパーマーケットのトップクラスは60%を優に超える数字であり、安定的な新規出店政策を進める上にも改善が課題といえよう。

   ヤオコーの自己資本比率が40.6%にとどまる要因であるが、負債の主要項目である長短借入金が104.15億円(昨年104.75億円)と昨年とほぼ同じ金額であり、総資産に占める割合は15.31%である。一方、出店にかかわる資産である土地、建物、差入保証金の合計は404.64億円(昨年384.47億円)と昨年と比べ約20億円増加しており、総資産に占める割合は59.49%となる。これは自己資本比率の40.6%ではバランスがとれず、長短借入金の15.31%を足しても55.91%でわずかに下回り、出店にかかわる資産が重く経営にのしかかっている構造であり、今後の新規出店を安定的、長期的に果たしてゆくためにも、自己資本比率の改善が経営課題といえよう。

   このように、ヤオコーのこの第3四半期決算は増収増益、特に利益が2桁の増益となる好決算となり、粗利、経費双方が改善され、好循環の経営改善が進みつつあるといえよう。第5次中期経営計画も順調に進んでおり、長期的な目標である500店舗、1兆円の目標に向かって、ちょうど2割の目標達成が真近である。ただ、気になるのは、今後の新規出店にあたっての自己資本比率の低さであり、今後、資産の圧縮と同時に借入金の返済、自己資本の増強等が中長期的な経営課題といえよう。ヤオコーの今後の営業面はもちろん、財務面の改善がどのように進んでゆくかにも注目したい。

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February 11, 2008

ウォールマート、売上速報、1月度及び52週累計、108.5%!

   ウォールマートが2/7、2008年1月度及び年間52週の売上速報を公表した。今月は、ウォールマートの決算月であり、年間52週累計の売上速報も同時に公開した。52週は、昨年、2007年2月2日から、今年、2008年2月1日までの1年間、52週の累計である。まず、先に、1年間、52週の累計の売上速報を見てみると、全体では108.5%と2桁には届かなかったが、堅調な伸びといえよう。全体の売上金額は3,754.08億ドル(約40兆1,600億円)となり、年商が40兆円を超えた。ただ円の場合は為替レートで大きく変動するため、本ブログでは直近に近い1ドル107円で換算している。

   この年商をもう少し詳しく見てみると、ウォールマートの中核であるスーパーセンターとディスカカウントストア、ネバーフッドマーケット(食品スーパーマーケット)を含めたウォールマート部門の合計は2,389.73億ドル(約25兆5,700億円:構成比63.6%)で、昨対105.8%であった。会員制ホールセールクラブのサムズ部門は442.54億ドル(約4兆7,350億円:構成比11.7%)で昨対106.6%であった。そして、最も伸び率の高い日本の西友も含まれるインターナショナル部門は921.81億ドル(9兆8,600億円:構成比24.2%)で昨対117.5%であった。

   インターナショナル部門はこのように絶好調であり、特に、日本以外のイギリス、カナダ、ブラジル、中国が好調であり、メキシコは軟調であったという。その中でも1月はカナダでのスーパーセンターの展開により、食品が絶好調であったという。残念ながら、この売上速報のコメントの中に日本の西友への言及がなかったが、今後はアジアが中国、日本、そして、今後最も力を入れて開拓してゆくインドの3極構造での展開となるとのことで、アジア全体の視点で日本の戦略的位置付けが決まるといえ、どのような思い切った政策が打ち出されてくるかが注目といえよう。

   以上が、52週、年間の売上速報であるが、これに対して、この1月度はどのような数字であったかを見てみると、全体としては107.9%となり、52週が108.5%であるので、1月度はやや伸び悩んだ数字となった。その内訳であるが、ウォールマート部門は103.5%(52週105.8%)とやや厳しい数字であった。サムズ部門は106.0%(52週106.6%)であり、堅調な数字といえよう。そして、インターナショナル部門は何と120.8%(52週117.5%)と絶好調であり、ここ数年ほぼこのような状況であり、ウォールマートの成長は、インターナショナル部門に支えられているといえる。今後もますます、ウォールマートにとって海外部門は重要な成長戦略の要となろう。

   一方、既存店について、この1月度を見てみると、既存店トータルでは101.8%とわずかな伸びであり、その内訳はウォールマート部門が101.8%、サムズ部門が101.6%とほぼ同じ伸び率である。52週については、全体では102.0%であり、ほぼ1月度と同じ数字であるが、若干ではあるが、やや1月は伸び率が下がったといえる。その内訳はウォールマート部門が101.9%、サムズ部門が102.5%であるので、サムズ部門が1月度は苦しい数字であったといえよう。

   これを受けて、ウォールマートの株価であるが、この売上速報が公表された2/7(49.84ドル)、2/8(48.76ドル)とやや下がったが、大きな下げではなく、堅調な株価であり、投資家は冷静に相場を見ているように思える。ウォールマートのここ最近の株価の動きであるが、1月に入り、株価は上昇気味で推移している。1月始めは46ドル近辺で推移していたが、1月中旬になると50ドルを超えるようになり、株価の上昇が続いた。一時は2/1に51ドルをも超え、ほぼ1年ぶりの安定した50ドル台の株価となった。その後、株価がやや下がり、この2/8は49ドルを切ったが、ここ最近は50ドル近辺で推移しており、当面、50ドル前後がウォールマートの現在の株価水準といえよう。

   このように、ウォールマートの1月度の売上速報及び年間52週の売上速報を見てみたが、アメリカ国内はいま政治は大統領選の真っ最中であり、経済はサブプライムローンの激震が走っており、消費に関してはけっしてよい状況とはいえない。実際、このウォールマートの数字を見ると、これまでのように2桁を超える伸び率は厳しい状況であり、1月度107.9%、52週累計108.5%と堅調な数字ではあるが、この数字の伸びは、絶好調な海外部門に支えられた数字での伸びといえ、ウォールマートの中核のスーパーセンターを含むウォールマート部門はこの1月度103.5%、52週105.8%と厳しい状況が続いており、スーパーセンターの勢いが感じられなくなった。今後、ウォールマートは絶好調な海外戦略により力を入れてゆく方針であるといい、海外戦略がますますウォールマートの成長には重要なテーマとなりつつある。来期はウォールマートが国内の要であるスーパーセンターをどのように立て直し、成長著しい海外戦略をどのように展開してゆくかに注目したい。

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February 10, 2008

ハナマサ、大量閉店、厳しい経営!

   2/6の日経新聞に「ハナマサ、スーパー半数、一斉閉鎖」という記事が載った。この2/12に、現在102店舗展開しているハナマサのホールセールスーパー(業務スーパー)の内、47店舗という大量の店舗を閉鎖するという。記事でも言及しているが、チェーン店が一斉に大量閉店するのは異例なことであり、昨年の九九プラスの92店舗の大量閉店につぐ、大規模な閉店となる。ハナマサはここ数年で急激に店舗の拡大を図ってきた。2004年には50店舗をきっていたが、その後、わずか、3年で50店舗を超える急激な出店を行い、2007年3月現在102店舗となり、売上は376億円となった。業務スーパー業界は現在ビジネス形態が直営主体とFC主体に大きく分かれているが、ハナマサは直営が90%以上と、FC化が経営課題となっていた。そのため、直営が黒字化するまでに数年を要し、時間がかかる状況であり、この数年の大量出店が経営に重くのしかかっていたことに加え、商品構成比の高い中国製品への信頼が揺らぎ、資源の高騰等も加わり、売上が伸び悩んでいたことも大きかったといえよう。

   ただ、今回の大量閉店の背景にはもうひとつ、ハナマサの資本政策の問題もあったといえよう。つい最近まで、ハナマサの株式を25%所有し、ハナマサを持分法適用関連会社化した投資ファンド、ジャレコホールディングス(JASDAC上場企業)の公開資料を見ると、ジャレコがハナマサへ投資したのは2005年11月であり、すでにハナマサに投資をしていたVC(ベンチャーキャピタル)から株式を取得したという。したがって、ハナマサのここ数年の怒涛の出店、2003年には36店舗であったが、2004年46店舗(+10店舗))、2005年68店舗(+22店舗)、そして、2年後の2007年102店舗(+34店舗)の急成長はVCの資金を活用しての出店であったことがわかり、しかも、VCとしては、上場を早期に実現させ、投資回収を早めようとしたと思われる。その後、ジャレコがその株式を取得し、その支援を受け、さらに、不振のレストラン事業からの撤退、業務スーパー100店舗体制の構築をめざしたが、ここへ来て、急ぎすぎた急激な出店が裏目となり、今回の47店舗の大量閉店となったといえる。

   ジャレコは昨年の8/28に、特別損失の発生および中間期、通期(連結・個別)業績予想の修正に関するお知らせの中で、「当社持分法適用関連会社である株式会社ハナマサは、平成17 年11 月の当社による投資以降、業務用スーパーの新規出店を加速し、業容は急成長いたしました。しかしながら、出店費用等の初期費用増大が収益を圧迫、加えて、新規店舗が収益に寄与するまで相応の期間を要していることから、現状では、当社が同社株式取得時に期待した収益性、成長性については実現に至っておりません。」とハナマサの厳しい経営の現状を総括した上で、「このような状況を鑑み、現時点における同社株式の実質価額と当初の取得価額の乖離状況、取得価額へ回復可能性について検討を重ねた結果、同社の収益力が短期間で当初期待した水準まで回復することは困難との結論に達したため、平成19 年12 月期中間連結決算において投資有価証券評価損1,448 百万円、個別決算において投資損失引当金繰入額1,551 百万円を計上することに致しました。」として、特別損失を計上している。その後、この数字が訂正され、1,448百万円が2,456百万円、1,551百万円が2,118百万円へと訂正され、さらに特別損失が膨らみ、昨年11/22に公表されたジャレコの第3四半期決算は1,797百万円の赤字となった。

   また、この2/6には、すでにハナマサの持株比率が126,500 株(16.09%)となったことから、ハナマサの経営に影響を与えているとは言えないと判断し、ハナマサを持分法の適用対象から除外することにしたという。これで、ジャレコとしては、ハナマサの株式をいつ手離しても良い状況となったといえ、ハナマサとしては、自ら、抜本的な経営再建に取り組むか、新たな投資を募り、その協力を得て経営再建に入るかの選択となったといえよう。

   ハナマサのこの2年間の経営数字が先の8/29のジャレコの公表資料に掲載されているが、売上は2007年3月期376.73億円(昨年332.65億円:113.25%)、売上総利益119.30億円(昨年103.79億円:114.9%、売上対比31.66%)営業利益1.23億円(昨年3.62億円:33.9%、売上対比0.32%)、経常利益0.19億円(昨年2.15億円:8.83%、売上対比0.05%)、当期純利益0.35億円(昨年0.05億円:700%、売上対比0.09%)と売上、粗利は順調に伸び、特に粗利率は約30%と食品スーパーマーケットよりもはるかに高い数字であるが、営業利益以下、すべての利益が厳しい状況で推移している。また、自己資本比率も6.3%(昨年8.2%:76.8%)と厳しい状況であり、資本の増強がない限り、これ以上新規出店を行う余力はない状況といえる。

   このように、今回の日経の記事の背景には当初はVCのそして、現在はジャレコの投資政策が大きく影響しており、ハナマサが上場を急ぐあまり、小売業界の業態の中でも投資回収に時間のかかる業務スーパーを大量に出店したことにより、投資採算バランスが崩れ、全店の約50%という47店舗の大量閉店を余儀なくされたといえよう。業務スーパー業界は現在、直営化からFC化への流れが急激に進んでいるが、これは直営では、投資回収が長引き、出店がなかなか進まない状況があり、これをいっきに解消する高成長戦略として注目されたことによる。ただ、現在のハナマサにはFC化を進める余裕はないといえ、今後、どのような状況になるか、予断を許さない経営状態に入ったといえ、次の展開を注視したい。

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February 09, 2008

九九プラス、2008年3月期、第3四半期、減収減益!

   ここへ来て、2008年3月期、第3四半期決算が続々と公表されはじめた。第3四半期は4月から12月までの、決算であり、値上げ、そして、今回の中国食品の冷凍ギョーザ事件前の決算であり、これらの影響はうけていない状況での経営内容である。今回は昨年3月にローソンとの業務・資本提携をした成果がどのように経営内容に表れているかが注目であるが、決算内容は、売上935.01億円(98.0%)、営業利益7.82億円(87.6%:売上対比0.83%)、経常利益6.53億円(74.8%:売上対比0.69%)、当期純利益3.09億円(昨年赤字:売上対比0.33%)と減収減益となる厳しい決算であった。

   九九プラスによれば、「昨年3月にスタートした株式会社ローソンとの業務提携は順調に進んでおり、物流合理化や商品開発などの分野で既に成果は出始めていますが、更なる提携強化を目的として、同社に対する2度目の第三者割当増資を平成20年1月10日に実施いたしました。これにより同社が当社の筆頭株主となったことで、信頼・協力関係がより強化され、ローソングループの一員としてスピードを伴った事業の発展・拡大が可能となりました。」とのコメントをしているが、決算内容を見る限り、現時点では明確な提携メリットがでているとはいえない状況であり、筆頭株主となったローソンが今後どのような思い切った経営改革に入るかがポイントといえよう。

   九九プラスは、ここ数年、怒涛の新規出店により、急成長し、売上を伸ばしてきただけに、昨年の創業以来の92店の大量閉店が大きく響き、その後、新規出店を抑制し、リストラに入ったため、売上が急激に鈍化し、ついに昨対を切ってしまった。ここ数ケ月の売上推移を見ても、2007年12月98.5%、11月98.8%、10月97.8%、9月97.2%、8月97.9%、7月95.9%、6月101.2%、5月101.7%、4月101.3%とこの7月から昨対を切っており、厳しい状況が続いている。ちなみに2007年度3月期決算時は売上114.0%、2006年3月期は167.5%であるので、2008年3月期決算はまさに経営の転機といえ、今後、抜本的な経営戦略の再構築が必要な段階に入ったといえよう。

   先にも言及したように、この1/10にローソンへの第3者割当増資を行い、ローソンが九九プラスの筆頭株主になったが、それまではローソンは第2位の株主であり、20.80%の所有であった。筆頭株主はキョーデンであり、38.33%であり、ローソンとしても思い切った経営改革に踏み込むにはキョウーデンとの調整が必要な状況であった。今回は、この比率が逆転し、ローソンが34.2%の筆頭株主となり、イオンvs CFSの時も問題になった1/3超を保有し、経営の主導権を握った。その結果、キョーデンは29.6%となり、第2位の株主となった。ただ、依然として、ローソンが50%以上の比率ではないため、ひきつづき、キョーデンとの連携が必要ではある。

   さて、九九プラスの営業状況であるが、売上総利益は26.79%(昨年26.84)となり、昨年と比べ、わずかではあるが下がった。販売費及び一般管理費は25.95%(昨年25.90%)とわずかではあるが、上昇している。したがって、差し引き、営業利益は0.83%(昨年0.93%)となり、0.1ポイント下がり、さらに売上が2%下がったことにより、営業利益が厳しい結果となったといえよう。粗利減少、経費上昇のダブルでの営業利益の悪化であり、ローソンとの資本・業務提携効果は営業数字にはまだ表れてきていないといえよう。

   また、財務面を見てみると、ローソンとの資本提携により、資本が増強されたことにより、純資産が昨年の63.35億円から、一気に103.15億円と100億円台に乗り、自己資本比率が37.0%と昨年の24.8%と比べ、大きく改善した。ただ、37.0%は小売業の平均が50%前後である点と比較すると高くはなく、さらに引き上げて行く必要があろう。特に、新規出店を自己資本の範囲内で実施してゆくためには、60%から70%は欲しいところであり、今回の第2弾のローソンからの資本増強、そして、営業収益をさらに改善しての自己資本の強化は九九プラスの今後の出店を考えた場合は最優先課題といえよう。

   この財務面をさらに詳しく見てみると、自己資本比率は37.0%であるが、その要因を負債面から見てみると、長短借入金が47.67億円(昨年66.62億円)であるので、約20億円削減されている。総資産に占める割合は12.58%となり、経営への圧迫はかなり改善された。一方、資産面に目を転じると、特に出店にかかわる資産である土地、建物、敷金保証金の合計は92.03億円(昨年91.36億円)と昨年とほぼ同じであり、総資産に占める割合は33.0%であり、自己資本比率37.0%の範囲内であり、自己資本比率は一般の小売業と比べると低いが、現時点では借入に依存しない出店構造となり、バランスがとれた状況といえよう。ただ、現時点の財務状況を見ると、現金及び預金が75.48億円と総資産の27.07%と異常値となっており、資本剰余金48.23億円がほぼ現金であり、今後、この資金が新規出店再開とともに活用されたり、新たな設備投資等へ活用さたり、借入金の返済に活用されてくると、財務構造は大きく変わってくるものといえよう。

   このように、この第3四半期の九九プラスの決算状況を見ると、営業面では不安を残す数字ではあるが、財務面では着々と改善が進んでおり、今後、新たな設備投資、新規出店への展開、借入金の削減等、思い切った経営戦略が打ちやすい財務的な体制が整いつつあるといえよう。また、この1月からローソンが1/3強の株式を取得したことにより、これまで以上にローソン主導の経営改革が進むものといえよう。その意味で、来期、九九プラスがどのような思い切った経営改善を打ち出すかに注目したい。

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February 08, 2008

関西スーパー、2008年3月期、第3四半期決算、増収増益!

   2/1、関西スーパーマーケットが2008年3月期の第3四半期決算を公表した。いよいよ食品スーパーマーケット業界も3月度決算企業の第3四半期決算がはじまり、今後、続々と第3四半期の決算が公表されてくるものと思う。本ブログでは、可能なかぎり、第3四半期の決算速報を取り上げてゆく予定である。まず、今回は関西スーパーマーケットを取り上げてみたいと思うが、営業収益は796.62億円(102.3%)、営業利益18.27億円(114.5%、営業収益比2.29%)、経常利益20.09億円(121.0%、営業収益比2.52%)、当期純利益11.11億円(124.1%:営業収益比1.395)と増収増益の好決算であった。ただ、ここ最近、新店がないため、営業収益は既存店のみの数字であり、既存店のみで、102.3%は堅調な伸びであったといえよう。

   関西スーパーマーケットのここ最近の新店は2006年7月に、約500坪、年商目標18億円の関西スーパー舞多聞店を出店して以来、約1年半に渡ってない。この第3四半期は4/1から12/31までの9ケ月間の数字であるので、まるまる既存店の数字である。既存店がこれだけ、堅調な数字となった理由は、この4月に西冠店、7月に稲野店、10月に古市店の既存店を改装したのに加え、ポイントカード、電子マネーedyを2007 年、2/1より神戸の2店舗から順次、全店(52 店舗)へ導入を図ってきたことが大きかったといえよう。この第3四半期決算時点の12/31現在、全52店舗中「おさいふカード導入45店舗、クレジットカード導入47店舗という状況であり、この四半期中にほぼ全店に導入がなされており、これが、既存店の営業収益を押し上げた要因のひとつといえよう。このEdyを活用したポイントカードは月間の買い物金額を5段階評価に分けており、翌月の割引率が0.5%引きから2.5%引きまでと幅広い設定となっているのが特徴である。

   また、この第3四半期の営業利益率が昨対114.5%と2桁となった要因をさらに詳しく見てみると、商品売買から得られる売上総利益、いわゆる粗利は24.3%と昨年と全く同じ数字であり、さらに不動産収入等の営業収入が昨年の2.0%から1.9%へと0.1ポイント下がり、結果、営業総利益は26.4%から、26.3%へと0.1ポイントダウンした。これに対し、販売費及び一般管理費は昨年の24.3%から、23.9%と0.4ポイント改善し、結果、営業利益が昨年の2.1%から2.3%と0.2ポイント(四捨五入による誤差があり、差引0.3ポイントではなく、0.2ポイントになったものと思われる)の上昇となり、率では109.5%、これに営業収益の102.3%が加わり、営業利益が2桁の伸びとなった。したがって、粗利が改善したことによる営業利益の改善ではなく、経費が大きく削減されたことによる営業利益の改善であったといえよう。

   一方、この第3四半期は新規出店がなく、出店にかかわる新たな大きな資産の増加はなかったと思われるが、自己資本比率は41.3%と昨年の41.0%、昨年の本決算時の42.0%と比べ、大きな変化はなかった。これを、負債面から見てみると、長短借入金は135億円と昨年の137億円とくらべ、若干改善したが、依然として、22.5%とかなりの負担となっている。また、出店にかかわる資産である土地、建物、差入保証金の合計は308.88億円と昨年の340.44億円と比べ、約30億円削減されているが、これは、差入保証金が27.5億円削減されたためである。総資産に占める割合は51.4%であり、自己資本比率41.3%ではまかなえない構造となっており、やや借入金に依存する出店構造となっている。また、これを単純に全52店舗で割ると5.94億円となり、関西スーパーマーケットは都心部への出店が多いせいか、やや出店にかかわる資産が重い状況といえ、坪効率の高い営業戦略が必須な状況といえよう。

   これを受けて、投資家の反応であるが、この決算公表が2/1の金曜日であったため、次の株式取引は2/4の月曜日となったが、2/4現在、730円 (+11円、+1.52%)と上昇ぎみで推移している。ここ最近は関西スーパーマーケットの株価は上昇傾向であるが、1/16、通常は数千株の売買高が、この日は約10倍の約40万株の大商いとなり、大きく株が売られ、いきなり年初来最安値となる670円をつけた。その後は、株価は700円弱でしばらく推移していたが、月末に入り、700円を超え、その後、この第3四半期決算をはさんで、株価は再び上昇しはじめており、今後の株価が気になるところである。

   なお、通期の関西スーパーマーケットの予想であるが、営業収益1,041.70億円(101.5%)、営業利益21.90億円(104.3%:営業収益比2.10%)、経常利益24.00億円(108.3%:営業収益比2.30%)、当期純利益12.10億円(103.8%:営業収益比1.16%)とこの四半期よりもやや低い予想ではあるが、堅調な増収増益の予想である。

   このように、この第3四半期の関西スーパーマーケットの決算は増収増益となる好決算とはなったが、新店が約1年半ない状況での既存店のみの数字であり、既存店の改装、ポイントカードの全店導入が寄与したといえよう。また、利益が2桁の好調な要因は粗利が改善したことではなく、経費が下がっての利益の増加である。さらに、借入金、保証金等の資産が若干改善されたが、依然として、自己資本比率は41.3%と低い水準であり、今後、新規出店を再開し、高成長を目指すには、一層のキャッシュフローを生み出す経営改善が課題といえよう。今後の関西スーパーマーケットの経費面だけでなく、粗利面の動向にも注目したい。

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February 07, 2008

家計調査データ日別、昨年、年末特有の動きを見る!

   家計調査データは通常、毎月月末に前月のデータが公開される。本ブログでは、そのデータを加工、分析したものにコメントを加え、公表している。その時活用する基本データは月別サマリーであるが、これ以外にも、家計調査データは様々なデータがある。そこで、今回は、その中から、日別データをもとに分析を試みてみたい。特に、この直近のデータは昨年12月度のデータであり、ちょうど年末の数字を日別で見ることができ、どのような商品が年末はいつから跳ね上がるのか、年末商戦は一般には29日、30日、31日であるが、28日から跳ね上がる商品はあるのか、さらには、12月度の日別データでもあるので、クリスマス関係はどうかも合わせてみてみたい。

   まず、大分類で見て、最も、29日、30日、31日の内、まさに年末、12月31日の年末の数字が大きく跳ね上がる部門であるが、No.1は調理食品、すなわち、惣菜である。何と、12月平均の430.5%という異常値であり、金額にして、1世帯当たり1,614.30円となり、この時の食品全体の構成比が5,791.30円であるので、その構成比は何と27.8%と30%近くにもなる。魚介類の1,384.93円、肉類の647.89円、野菜・海藻の408.96円、果物の174.89円を抜き、生鮮3品以上のダントツの数字となり、まさに、年末商戦は惣菜が花形となる年間特別の日である。

   では、その年末、31日の惣菜の個々の商品群を見てみると、この日、最高となるのは寿司の461.4%である。寿司は前日の30日は170.3%、29日は119.8%であるので、まさに、年末31日、特有の商品といえる。ついで、天プラ・フライの351.1%であり、これも30日は165.3%、29日は106.3%であるので、寿司同様、年末大きく跳ね上がる商品といえよう。そして、もう1品、特に31日に跳ね上がる商品があり、焼き鳥であり、263.7%となる。この3品が惣菜の中でも異常に跳ね上がる商品群であり、年末特有の最重点商品といえよう。逆に、惣菜の中でも、年末100%を切るものもある。ハンバーグ27.7%、冷凍調理食品42.4%、コロッケ47.8%、しゅうまい57.9%、カツレツ70.9%、ぎょうざ78.8%、弁当79.1%、おにぎり・その他81.4%である。惣菜はこのようにメリハリがすごく、こと、31日はこの数字に表れているような大胆な売場を作れるかどうかが年末商戦に勝てるかどうかの分かれ目になるといえよう。

   この惣菜についで、年末31日、特に跳ね上がるのが魚介類であり、333.4%である。魚介類は30日298.9%、29日223.22%、年末3日間平均して高いのが特徴である。さらに、28日も175.9%と27日の110.8%と比べると跳ね上がり、魚介類に関しては、年末3日で計画を組むのではなく、28日からの年末4日で、他の部門よりも1日早めに年末の売場を作ることがポイントといえよう。個々の商品を31日のデータで見てみると、惣菜では寿司の461.4%が最高数字であったが、魚介類では、この数字をさらに超え、圧倒的な商品がある。もちろん、全商品の中でNo.1である。それは刺身盛合せであり、何と1,018.6%である。金額で見ると、237.23円であり、寿司の193.95円を超える。ついで、ぶりが653.2%、たい567.5%、かに557.6%、たこ550.1%と続き、そのままこの順位が年末31日の全商品の跳ね上がり率の順位となる。

   さらに、年末、跳ね上がる部門を見てみると、肉類の225.4%、酒類の222.2%とこの2部門が、総菜、魚介類についで年末31日に大きく跳ね上がる部門である。肉類については、分類が大きいが、牛肉が圧倒的に大きく、448.3%となり、金額も392.04円と刺身盛合せ、寿司を超えて、全商品の中でNo.1となる。また、30日393.4%、29日143.1%、28日230.9%と年末3日前の28日も高い数字となるのが特徴である。牛肉以外では鶏肉が208.3%とついで高い。一方酒類に関しては、ぶどう酒(ワイン)が320.9%と酒類の中ではNo.1であり、ついで、清酒の250.9%、ビールの237.8%とつづく。

   以上が年末31日に大きく跳ね上がる部門であり、その中の重点商品であるが、部門としては大きくは跳ね上がらないが、個々の商品で見ると大きく跳ね上がる特徴的な商品を見てみると、生うどん・そば387.5%、メロン321.1%、いちご312.8%、魚介の漬物287.9%、もち281.1%、カステラ258.8%、はくさい漬け236.8%、まんじゅう221.3%、ほたて貝221.2%、れんこん216.1%、果物加工品211.6%、ピーマン206.7%、ぶどう206.2%、アイスクリーム・シャーベット202.3%であり、これらが年末31日200%以上となる商品である。

   なお、クリスマスについては、通常とほとんど変わらない消費額であるが、24日のクリスマスイブについては、菓子類が264.9%、調理食品(惣菜)が144.3%となり、その中の重点商品は菓子類ではケーキの1046.7%が異常値となるが、他の菓子類はアイスクリーム・シャーべットの197.0%とようかんの175.9%が跳ね上がるぐらいである。惣菜では年末同様、寿司の279.0%、サラダの273.2%、天プラ・フライの215.9%、やきとりの165.6%がクリスマスイブで大きく跳ね上がる商品である。

   このように、年末31日を中心に家計調査データを詳しく見てみたが、年末は通常の買い物とは明らかに違う傾向があり、通常の5倍から10倍跳ね上がる商品が多数あり、これらをしっかり押さえないと、お客さまからの信頼を失うと同時に売上にも直結してくるので、細心の注意を払う必要がある。また、ほとんどの商品は年末3日間が中心であるが、中には28日から跳ね上がる商品もあり、これらは早めに売り場づくりが必要である。年末は年1回であるが、これほど大きな変化はなくとも、休日、祭日はこれに近い動きをする商品もあり、このノウハウを週末展開に活用してゆくことがポイントであろう。今後の週末、そして、来年の年末商戦にあたっては、このデータを踏まえ取り組んゆくとよりスムーズに、そして、より大胆な売場づくりができるのではないかと思う。

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February 06, 2008

家計調査データ、2007年12月度(最新)、公表、食品100.6%! 

   1/29、2007年12月度の家計調査データが公表された。12月度の外食を除く、1世帯1日当りの数字は2,648.74円となり、昨年対比100.6%と微増の結果となった。ちなみに外食は498.10円(104.5%)と食品よりも伸び率が高く、堅調な伸びであった。さらに、衣食住、サービスを含む全消費額は11,344.10円(103.1%)であり、同様に堅調な数字であった。食品のみ微増であるので、12月度は食品はやや厳しい月であったといえよう。本ブログでは、家計調査データについては、月別1世帯数当りの数字を食品スーパーマーケットの客単価と比較しやすくするために、1日当りに換算し、しかも、各項目を購入する世帯のみの消費額と購入世帯の割合に分け、1世帯1日当りの消費額=1世帯1日当りの購入世帯のみの消費額×購入世帯のみの割合とし、家計調査データの消費額の中身がより、深くその要因がわかるように工夫している。

   さて、この12月度、好調な部門であるが、何といっても野菜・海草の105.6%が最も高い伸び率を示した。特に野菜の伸びが著しく、葉茎菜60.13円(116.4%)、キャベツ5.26円(134.7%)、ほうれんそう7.61円(116.8%)、はくさい5.45円(129.0%)、ねぎ10.61円(114.2%)、レタス5.16円(116.8%)、ブロッコリー5.48円(126.9%)、だいこん5.90円(123.6%)、にんじん7.10円(110.0%)、れんこん5.55円(111.0%)と軒並み110%以上の伸び率となった。特に、購入世帯当たりの数字が大きく伸び、購入世帯の割合がさほど伸びていないことから、客数よりも客単価が伸びたといえ、この要因は客単価=PI値×平均単価であるので、点数のPI値よりも、相場高による平均単価アップが最大の要因と推測される。一般的に青果部門は相場高の方が数字が良いのが特徴であり、相場安になると、数字がなかなかあがらないことが多く、今回も相場高であったことから、高い伸び率を示したものといえよう。

   これについで、良く伸びた部門は、酒類の185.23円(103.9%)である。酒は食品の中では最も購入世帯の割合が低い分野であり、この12月度の数字も全体では76.5%であり、他の部門がほぼ100%近い数字である点を考えると、マーチャンダイジングが大きく違う部門であるといえよう。この中でも、特に、ウイスキーの3.58円(69.4%)、購入世帯のみ93.00円(67.9%)、購入世帯の割合3.9%(102.1%)、ぶどう酒12.42円(98.7%)、購入世帯のみ82.69円(95.7%)、購入世帯の割合15.0%(103.2%)と購入世帯が極めて低いのが特徴である。ただ、購入世帯のみの消費額は100円近い数字となり、ビールには追いつかないが、清酒、焼酎に匹敵する数字であり、限られた世帯に激しく消費されるという傾向が鮮明である。酒がこの12月度好調な理由はビールが67.10円(108.7%)と好調に推移したことに加え、清酒も48.90円(106.5%)と良く伸びたことが大きかったといえよう。酒はその意味で極めて特徴的な商品であるといえよう。

   そして、もうひとつ堅調な伸びを示した部門が肉類287.42円(102.8%)である。特に、ハム41.52円(108.8%)、鶏肉 42.65円(105.6%)、豚肉 72.26円(103.4%)の伸びが貢献しており、ハムは107.0%、豚肉も104.0%と、いずれも購入世帯当たりの消費額の伸びが顕著である。ちなみに、牛豚鶏の数字であるが、それぞれ牛肉87.45円、豚肉72.26円、鶏肉42.65円という数字であり、通常の月はどちらかというと豚の方が数字が高いが、この12月度は牛の方が高いのが特徴である。

   一方、これら堅調な伸びを示した野菜・海草、酒類、肉類に対し、昨対を切った部門を見てみると、魚介類の415.35円(96.6%)が最も大きく落ち込んだ部門である。特に、年末特有のえび18.97円(88.8%)、かに32.55円(92.1%)、たこ5.32円(80.9%)とどちらも伸び悩み、魚介類全体に影響がでたといえよう。これ以外にも、たらこ13.00円(85.7%)、魚介の缶詰8.03円(83.6%)なども落ち込みが大きかった。これについで、果物139.32円(97.5%)が大きく、特に、みかん 45.35円(89.4%)と大きく、購入世帯のみの消費額が67.81円(88.1%)と大きく落ち込み、購入世帯の割合は66.9%(101.6%)と昨年を上回っており、これも相場の影響が大きかったといえよう。逆に好調な果物もあり、りんご37.77円(119.0%)、81.71円(123.6%)、46.2%(96.3%)と購入世帯のみの消費額が2桁を大きく超える伸びを示しており、みかんとは対照的な数字となった。

   これ以外の部門は、穀類265.65円(99.8%)、乳卵類111.45円(100.2%)、油脂・調味料140.55円(101.9%)、菓子類269.39円(100.6%)、調理食品375.00円(99.0%)、飲料134.77円( 100.6%)という状況であり、100%前後で推移している。この中でも個々の項目の中には2桁を優に超える商品もあり、金額は小さいがバター2.48円(116.7%)、紅茶3.81円(126.9%)、乳飲料2.94円(111.0%)や、まんじゅう5.61円(122.5%)、スナック菓子10.97円(112.6%)などがある。

   このように、この12月度の家計調査データは100.6%と堅調な伸びであり、良く伸びた部門は野菜・海草部門、酒部門、肉類部門の3部門であり、この3つが全体の伸びを支えたといえよう。また、逆に落ち込んだ部門は魚介類部門、果物部門であり、この2つが特に落ち込みが大きかった部門である。家計調査データは、先にブログでも取り上げたCPI(消費者物価指数)と連動し、国民の家計の動向を把握する上で重要なデータである。今後は、この家計調査データの分析に加え、CPIのデータも参考に取り上げてゆきたい。この1月度以降のデータがどのように変化してゆくかに注目したい。

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February 05, 2008

Google、1/31、第4四半期決算、2007年12月度決算を公表!

   Googleが、2007年12月期決算の第4四半期決算と12ケ月トータルの本決算を1/31公表した。Googleは現在、NASDAQに上場しており、株価は2/1現在、515.90ドル(-48.40ドル、-8.58%)とマイクロソフトのyahooへのM&A打診の情報が流れ、急落しており、厳しい株価が続いている。ここ最近の株価を見ても、昨年は約700ドル前後で推移していたので、厳しい状況であるといえよう。ただ、この第4四半期及び、12月までの通期業績は好調に推移しており、増収増益の好決算であった。気になるとすれば、伸び率であり、これまで、googleは売上を過去6年間509% 、334%、 218%、 192%、 173%、 156%と異常な高成長を遂げてきたが、年々売上規模が拡大するにつれ、伸び率を下げてきており、この2007年度は156%と通常の企業では十分すぎる成長率であるが、これまでの伸びと比較すると明らかに鈍化しており、伸び悩んでいるといえよう。ちなみに、2007年12月期通期の売上は165億9,398.6万ドル(約1兆7,600億円)であり、さすがに売上規模がここまで来ると伸び率では高成長を維持するのは至難のわざといえよう。

   今後、Googleが安定成長に入るのか、それとも、再び、高成長に入るのかが見極めにくい状況といえ、そこへ、マイクロソフトとyahooとのM&Aの話であり、Googleが次の一手をどのように講じてくるかが注目される。

   そこで、この1/31の通期の決算の状況を見てみると、まず、売上であるが、先にも述べたように、165億9,398.6万ドル(約1兆7,600億円)であり、昨対では156%という結果であった。この中身を見てみると、Googleは売上をGoogle web sitesとGoogle network web sitesの広告収入とLicensing & other revenuesに分けて管理している。いわゆるアドセンス広告が主体であり、Googleの検索サイトにアドセンス広告を出すGoogle web sitesからの収入とGoogleのサイト以外のGoogleと契約をしたホームページ上にアドセンス広告を出す広告収入とに分かれている。その比率であるが、まず、合計の金額は164億1,264.3万ドル(約1兆7,400億円)であり、全体の99%が広告収入である。その他のLicensing & other revenuesはわずか約1%であり、金額では1億8,134.3万ドル(約200億円)である。その意味でGoogleは次世代型のインターネット検索に特化した広告代理店といってもよく、広告収入がすべてといえる売上構造である。

   そして、その広告の比率であるが、Google web sitesは106億2,470.5万ドル(約1兆1千億円強)であり、Google network web sitesが57億8,793.8万ドル(約6,000億円強)であり、比率は約2:1となる。検索サイトの方が約2倍の広告収入である。また、伸び率は、Google web sitesが168%に対し、Google network web sitesは139%であり、google本体の検索サイトの方が伸び率も高い。ただ、ここ数年の推移をみると、その比率は2007年64%対35%、2004年は50%対49%の時期もあり、年々比率がダイナミックに代わっており、今後はまた、Google network web sitesの比率があがる可能もあるといえよう。

   これに対し、経費、利益面を見てみると、トータルコストが115億958.6万ドル(約1兆2千億円)であり、これは売上対比69%となる。その中身は、いわゆる一般管理費(売上対比8%)に加え、マーケティング費用(9%、)、研究開発費(13%)、その他(40%)となる。したがって、差し引き営業利益は50億8,440.0万ドル(約5,400億円)となり、売上対比では31%となる。ここから、さらに様々な費用を差し引き、最終的な2007年12月期の純利益、Net incomeは42億372.0万ドル(約4,500億円)である。

   一方、GoogleのBSの方であるが、総資産は253億3,580.6万ドル(約2.7兆円)であり、純資産は226億8,967.9万ドル(約2.4兆円)であるので、何と自己資本比率は88.88%と異常に高い数値であり、健全な財務体質であるといえよう。長短借入金も0であり、無借金経営である。また、資産の中で最も大きいのが、有価証券であり、81億3,702.0万ドル(約8,600億円)、ついで、固定資産40億3,926.1万ドル(約4,300億円)、現金及び預金が60億8,159.3万ドル(約6,500億円)となる。

    このように、Googleの1/31に公表された決算数値と株価をもとにGoogleの現状を見てみたが、ちょうど、マイクロソフトがyahooへ対して、M&Aの打診を提案したところであり、しかも、Googleの決算発表に合わせてのタイミングでもあり、このネット業界の競争の激しさをまさに表しているといえよう。しかも、この発表が、増収増益ではあるが、これまでの高成長がスローダウンした結果にもなり、これらが重なり、2/1はGoogleの株が売られ、株価が大きくダウンしてしまったといえよう。

   今後、Googleがこのような動きに対し、どのような手を打つかが注目される。それにしても、何気なくやっているGoogleでのサイトや、私自身もアドセンスを行っているが、これらが積もり積もって、年間約1兆7,400億円 にもなっているとは驚きである。またGoogleも検索1本に磨きをかけ、これを短期間で巨大ビジネスにしたことも見事である。ビジネスは様々な商品を販売することにより、売上を大きくしてゆくことが通常ではあるが、検索ひとつという、本当にひとつの技術に特化し、それを深く掘り下げて、磨き上げ、世界No.1となり、売上を大きくしてゆく方法もあるということをGoogleはまさに示しており、改めてビジネスの奥深さを感じる。

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February 04, 2008

YouTubeに見るヒラリー(Hilary)候補vsオバマ(Obama)候補!

   アメリカでは現在、次期大統領選挙がヒートアップし、まもなく、スーパーTuesdayがはじまり、その結果次第では大統領候補の大勢が決定するといえる。そこで、本ブログでは、スーパーTuesday直前の民主党の大統領候補のヒラリー候補とオバマ候補の情勢をYouTubeで見てみたい。YouTubeは今後、日本でも政治にはもちろん、あらゆるビジネスで活用されてくると思われるが、いま、現在、世界中で最も金と時間を使い、最先端のノウハウを駆使し、精力的に取り組んでいるのは、この2人といっても過言ではないのではないかと思う。したがって、この2人のYouTubeを見ることにより、今後のYouTube活用の可能性が見えるのではないかと思う。

   さて、早速、両大統領候補のYouTube活用の状況を見てみると、両候補とも、YouTubeにチャネルを立ち上げている。クリントン候補はHillary Clinton、オバマ候補はBarackObama.comというネーミングのチャネルである。チャネルとはYouTube上に開設する動画のホームページといってもよく、YouTube上には自由にチャネルを設定し、自分の好きな動画をアップしたり、リンクしたり、別のチャネルとリンクしたりすることもできる。チャネルのレイアウトはまず最新の動画が右上に配置され、その左横にはチャネルの説明、右下には投稿動画がすべて掲載される。しかも、その動画は人気の動画順(閲覧回数順)と話題の動画(コメント数順)に並び変えることができ、人気の動画、話題の動画をすぐに選び出すことができるようになっている。また、初期設定は投稿時間順となっており、最新の動画順となっている。さらに、動画が一旦再生し終わると、その動画に設定されたタグ(キーワード)で自動検索がされ、関連する動画が次々に表される仕組みになっている。

   このような仕組みのYouTubeのチャネルであるが、ヒラリー候補とオバマ候補の双方のチャネルを見て、直観的に感じたのがオバマ候補有利なのではないかということである。それは、まず、チャネル登録者が2/3、早朝、現在、ヒラリー候補は9,113人に対し、オバマ候補は21,584人と2倍以上の差がある。また、チャネル再生回数はヒラリー候補が1,291,251回であるのに対し、オバマ候補は11,800,130回であり、一桁違う。PI値に換算してみると、ヒラリー候補は141.6回/人に対し、オバマ候補は546.7回/人であり、約4倍弱差がある。さらに、動画の数はヒラリー候補が237個に対し、オバマ候補は580個であり、約2倍の差があり、最新動画はクリントン候補が18時間前なのに対し、オバマ候補は45分前である。これを人気順に並び変えてみると、クリントン候補は645,203回がNo.1、No.2は318,145回であるのに対し、オバマ候補は888,701回がNo.1、No.2も871,693回であり、これもオバマ候補が圧倒している。もうひとつ話題の動画を見てみると、クリントン候補が1,684人、No.2が247人のコメントであるのに対し、オバマ候補は3,861人、No.2は3,689人とやはり圧倒している。

   こと、このYouTubeを見る限り、オバマ候補がすべての指標において圧倒しており、クリントン候補が完全に劣勢となっているのがわかる。これらの指標にはチャネル側で頑張れば何とかなることと、視聴者に委ねざるをえないこととがあるが、どちらにおいてもクリントン候補が劣勢のように見える。たとえば、クリントン候補のスタッフが頑張れば動画の数とアップの速度は何とかなるはずであるが、現時点でほぼダブルスコアーであり、少なくとも最も大事な、天王山となる可能性の高いスーパーTuesdayまではわずかな時間しかなく、まず、追いつくことは不可能な状況である。

   また、視聴者の反応においても、チャネル登録者数はダブルスコアであり、PI値(1人当りの視聴回数)も約4倍もの差がついており、量だけではなく、質でもオバマ候補が圧倒しているといえる。さらに、人気動画、話題の動画を見ても、クリントン候補の動画はNo.2以下が大きく落ち込むのに対し、オバマ候補の動画はNo.2もNo.1並みとなっており、いわゆるPI値の高い動画が多いといえる。

   これだけ、スーパーTuesday直前の現時点での差があると、ことYouTube上では、量においても質においても逆転するのは不可能といえ、YouTubeでは勝負があったといえよう。ただ、実際の選挙はインターネット上の結果が反映するとは限らないため、どのような結果となるはわからないので、結果を待つしかないが、それにしても、これほど、差があるとは思わなかった。

   余談だが、両候補のホームぺージを見ると、どちらの候補もそのソースを表示し、ホームページのhtml言語を見てみると、Google Analyticsを活用しており、Googleでホームページのアクセス解析をしているのがわかる。ホームページもしっかり、Google Analyticsで解析し、選挙に活かしているようである。

   それにしても、当初有利とされていたクリントン候補がYouTubeを見る限り、かなり厳しい状況に置かれている可能性が高いといえ、このスーパーTuesdayでどのような結果になるかは余談を許さない状況にあるといえよう。ホームページは文字、画像が中心の表現方法であるが、YouTubeはまさに映像中心の表現方法であり、視聴者にダイレクトにつながり、視聴者も文字、画像からの変換なしに理解できるため、映像の方が視聴者の生の実態を反映しやすいのではないかと思え、どうも、クリントン候補が厳しい状況にあるように思える。スーパーTuesdayの結果がこのYouTubeを反映させた結果通りになるのか、全く逆になるのか、その結果が気になるところである。

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February 03, 2008

食品スーパーマーケット、株価速報、2008年2月1日!

   サブプライムローンショックにより、一時は12,500円近くまで下がった日経平均株価も、2/1の終値は13,497.16円(-95.31円、-0.70%)とやや下げたが、ここ最近は13,500円近くまで上がり、回復の兆しが見え始めた。これに伴い、今週の食品スーパーマーケットの株価も全体としては、回復基調で推移しはじめたように見えるが、個々の株価を見ると依然として厳しい株価が続いている食品スーパーマーケットが多い。そこで、その中でも、今週、2/1時点での約50社の上場食品スーパーマーケットの株価をもとに株価が上昇に転じた企業を中心に食品スーパーマーケット業界の株価の推移を見てみたい。

   短期の株価の動きを示す5日移動平均乖離率を見ると、食品スーパーマーケット業界No.1はCFSであった。小売業約400社の中でも6位とトップクラスである。5日移動平均乖離率8.31%、25日18.64%、13週13.59%、26週20.43%とすべてのトレンドでプラスに推移しており、実際、チャートをみても、臨時株主総会以来、株価は右あがりに推移しており、好調である。2/1現在560円(+40円、+7.69%)と大きく跳ね上がっており、今後、注目の株価といえよう。No.2は丸和であった。5日移動平均乖離率6.38%、25日 6.38%、13週 2.56%、26週 1.01%すべてプラスで推移しているが、2/1現在200円であり、取引があまりはっせいしないため、わずかな売買で変動が大きくなる傾向となり、短期的に数字が高くなったと思われる。

   No.3はOlympicである。5日移動平均6.25%となり、5日移動平均乖離率以外でも、25日5.23% 13週-3.07%、26週-4.87%と25日移動平均乖離率もプラスに転じてきており、実際、チャートを見ても、1/23、上場来最安値の531円をつけて以来、上昇に転じており、ここ最近はきれいなV字カーブとなり、右上がりのきれいな上昇直線となっている。売買高も通常の1万株前後から、2枚株、3万株の商いとなり、活況を呈する株価の推移である。以上3社が食品スーパーマーケット業界の中では5%以上の5日移動平均乖離率の企業である。

   上記3社についで、5日移動平均乖離率が上昇している食品スーパーマーケットを見てみると、No.4は九九プラスであり、5日移動平均乖離率は4.20%である。25日7.29% 13週-2.09%、26週-13.69%と25日もプラスで推移しており、実際、チャートを見ると、昨年12月までは株価は厳しい状況ではあったが、今年に入り、一旦は株価が急上昇したが、その後、急激に下げ、ここ最近また上昇という流れであり、ここ最近は右上がりのトレンドである。2/1現在の株価は52,300円( +1100円、+2.14%)である。

   そして、No.5はユニバースである。ユニバースの5日移動平均乖離率は3.87%であり、25日3.23%、13週-3.27%、26週-8.38%である。ユニバースは昨年は厳しい株価が続いており、10月以降、1月中旬までほぼ右下がりで株価は推移していた。特に1/22には上場来最安値となる988円をつけたが、その後、株価は反転し、現在右上がりで推移している。2/1現在、1,180円(+17円、+1.46%)と好調な株価を維持しており、今後注目である。そして、No.6がヤマザワである。5日3.00%、25日6.76%、13週2.73%、26週0.38%とすべてがプラストレンドである。ただ、実際のチャートを見ると、1/16には上場来最安値の1,300円をつけており、株価は厳しい状況が続いていたが、その後株価は反転し、5日移動平均乖離率が示すように、ここ最近は上昇に転じている。

   以上が、5日移動平均乖離率で見た3.0%以上の短期トレンドが上向きになった食品スーパーマーケットの株価であるが、これ以外に、5日移動平均乖離率が上昇した主要な食品スーパーマーケットを見てみると、マルエツ(2.99%、9.41%、10.29%、20.96%)、イズミヤ(2.63%、0.18%、-5.04%、-10.78%)、ライフコーポレーション(2.58%、13.23%、13.08%、13.31%)、ベルク(2.50%、-4.23%、-13.91%、-21.81%)である。これ以外は2%以下の5日移動平均乖離率である。

   この中で少し異常な動きを示しているのが、イズミヤである。イズミヤの5日移動平均乖離率は2.63%であり、2/1現在、546円 (-7円、-1.26%)であるが、ここ最近は株価が上昇気味で推移している。ただ、チャートをみると、1月に入り、株価が急落し、特に、1/9には通常20万株前後の売買高が100万株の大商いとなる売りが発生し、翌日の1/10もさらに上回る約170万株の売りの大商いとなり、株価が暴落した。ちょうどこの時、イズミヤは1/9から2/8までの自己株式の買付けを約200万株、金額で約10億円の実施中であり、それを受けての株価の異常値が発生したようである。この大商い以降も株価は下げ傾向で株価が推移し、1/16には年初来最安値となる465円をつけた。その大きく株価が落ち込んだあとの上昇であり、今後、どこまで株価がもどるかがポイントである。

   一方、逆に、ここ最近の株価が厳しい食品スーパーマーケットを見てみると、バロー(-4.02%、-14.85%、-20.46%、-20.52%)、ドミー(-1.54%、-1.87%、-3.19%、 -6.35%)、カウボーイ(-1.51%、14.03%、-9.72%、-44.44%)、 原信ナルスホールディングス(-1.09%、-0.59%、-7.16%、-16.83%)となっており、以上が1%以上5日移動平均乖離率が下がった食品スーパーマーケットである。

   このように、ここ最近は日経平均も上昇ぎみで推移し、株価全体が上向きつつある中での食品スーパーマーケットの株価を短期のトレンド、5日移動平均乖離率で見てみたが、3.0%以上はまだ約50社ある上場食品スーパーマーケットの内、わずか6社であり、全体としてはまだまだ厳しい状況が続いているといえよう。今回、中国餃子の問題に加え、値上げ問題もあり、なかなか先が読みにくい中であるが、食品スーパーマーケット業界の今後の株価の動きを注意深く見てゆきたい。

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February 02, 2008

日経MJ、新製品週間ランキング、20080201、冷食トップ!

   2月はじめの日経MJ新製品週間ランキングが2/1公表された。何とNo.1の客単価は冷凍食品部門の味の素、やわらか若鶏から揚げ352g、客単価422円(1人当り0.422円)であった。このPOSデータの集計は1/20から1/26までの1週間であるので、今回の中国ギョーザの問題はまだ発覚していない直前の時期のデータであるので、その数字の影響はないといえるが、冷凍食品部門からトップランキングとなるのは珍しいことであり、快挙といえよう。ただ、来週は、今回の中国ギョウーザの問題の影響をもろに受けることになり、どのような数字になるか予断をゆるさない状況といえよう。残念ながら、今週は客単価500円(1人当り0.5円)を超える超Aクラスの新製品は0であり、No.2も客単価400円を切り、低調な新製品週間ランキングの結果であった。

   先週トップであった菓子部門のネスレコンフェクショナリー、キットカットミニきっとサクラサクヨ紅白パック15枚は先週比の客単価が214円下がり、296円となり、No.5となった。センター試験も終わり、受験の山が越えたとみえ、合格祈願関連の商品がのきなみ客単価ダウンである。No.2は、その他食品部門の山崎製パン、佐々木夫妻の仁義‘sパン1個、客単価388円であり、初登場である。テレビドラマ、佐々木夫妻の仁義なき戦いとのコラボレーションであり、依然の華麗なる一族のカレーパンの時と同様、どこまで客単価を伸ばせかが注目である。カバー率はいきなり74.4%であり、初登場としては異例の高さである。

   No.3は、家庭用品部門の花王、アタックバイオジェル1kgであり、初登場で客単価302円、カバー率も79.2%と家庭用品部門では極めて高い数字である。平均単価も282円と家庭用品の中では値頃であり、来週以降の動向に注目である。No.4は、その他食品部門の日清食品、スープヌードル59g、客単価297円である。No.5にも日清食品、スープヌードルシーフード61gが客単価262円で入っており、この2品は今後注目の新製品といえよう。カバー率は46.8%、44.0%とまだ低いが、先週比の客単価が121円、84円のアップであり、上昇傾向にあり、どの辺で落ち着くかがまだわからない状況といえよう。ちなみに、以前、トップをとった日清食品、カップヌードルミルクシーフード83gは、客単価148円でその他食品11番目であり、カバー率も29.2%と伸び悩んでいる。ただ、先週比37円アップと上向きつつあり、新規購買からリーピート購買に入り、リピータが安定した数字を稼いでいるものと思われる。

   以上が、今週ベスト5の客単価の高い新製品であるが、今週最もアクティブな動きを示したのが、菓子部門である。No.2に初登場のカルビー、じゃがりこほんのり梅味58gが客単価234円で入り、菓子部門No.5まで4品カルビーが独占したことである。No.3はかっぱえびせん紀州の梅80g、客単価228円、No.4にはポテトチップスコンソメパンチ65g、客単価204円、そして、No.5に初登場のチーズポテトこんがりチーズ味80gが客単価184円で入った。じゃがりこはカバー率が42.4%であるが、それ以外は、76.8%、73.6%、62.8%と高いカバー率であり、全45チェーン、250店舗の大半のチェーンストアに入っており、今後、どこまで、客単価を伸ばすかが注目といえよう。

   今週、No.1の客単価は冷凍食品部門であったが、それ以外の冷凍食品部門の新製品を見てみると、客単価はCランクの200円を切ってしまい、低くなるが、冷凍食品部門No.2以下はアイスクリームが独占している。No.2はハーゲンダッツジャパン、ミニカップ・マルチパック6個入り(リッチミルク・ショコラクラシック・カスタードプディング)、客単価141円、No.3は森永乳業、エスキモー「ピノ濃厚ビターチョコ」10ml×6粒、客単価126円、No.4はハーゲンダツジャパン、ドルチェモンブラン105ml、客単価92円、そして、No.5は森永乳業、エスキモー「ピノ限定アソート」10ml×28粒、客単価76円である。この時期の冷凍食品部門は意外にアイスクリームが強いのが特徴である。

   これに対し、残念ながら、今週の新製品週間ランキングで低調な動きであったが飲料部門であり、客単価Cクラスの200円を超えるものは1品もなく、No.1は日本コカ・コーラのファンタグレープフルーツ500mlペットボトル、客単価183円である。ただ、先週比51円ダウンであり、今後の数字が気になるところである。No.2はキリンビバレッジ、小岩井純水白桃500mlペットボトル、客単価165円、No.3は日本コカ・コーラのファンタグレープフルーツ1.5L、客単価144円が入った。飲料はこの時期厳しい状況といえよう。

   このように、今週は冷凍食品部門のやわらか若鶏から揚げが全新製品の中でトップとなったが、来週以降、このトップ製品を含め、冷凍食品部門がどのような数字となるかが注目される。また、受検シーズンの山が越えたせいか、菓子部門のランキングがアクティブに代わっているが、そろそろ、バレンタインデーも近づいており、今後はチョコレートの動きが活発となることが予想され、菓子部門は当面、注目の部門といえよう。来週以降の新製品ランキングはいろいろな意味で注目である。

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February 01, 2008

中国製ギョーザ被害、食品スーパーマーケットHP、トップは?

   テレビ、新聞等ですでに大きく報道されている殺虫剤混在による中国製ギョーザ被害の問題に対し、1/30から各食品スーパーマーケットも自主回収に入った。日経新聞によれば、自主回収を発表した冷凍食品の一覧を公表しているが、それを見ると、問題のJT子会社の手作り餃子、ひとくち餃子をはじめ、JTで家庭用、業務用を含め23品、加ト吉で18品、味の素冷凍食品で2品、日本ハムで1品、江崎グリコで1品の計45品である。そこで、本ブログでは、食品スーパーマーケット各社の自主回収の状況を各社のホームページから見てみたい。

   現在、この問題は政府においても対応が本格化しており、1/31の厚生労働省のホームーページでは12:00現在、第2報が公開されている。まず、その内容を見てみると、第1報では、事実関係について、「昨夜、東京都より、本年1月5日に兵庫県において1家族3名、1月22日に千葉県において1家族5名の有機リン中毒※の疑いがある事例が発生し、両事例において発症直前に、ジェイティフーズ株式会社(東京都品川区)が中国から輸入した冷凍ギョウザを摂食していたとの情報提供があり、輸入実績を調査したところ、当該冷凍ギョウザは同一時期に輸入された同一製造者のものであることが判明しました(千葉市において1事例が調査中)」とし、その対応として、「[1] 本件についての各都道府県等への情報提供、[2] 安全が確認されるまでの間、当該製造者の同一製品の販売を中止するよう、輸入実績のある輸入者に対して関係自治体を通じて要請、[3] 当該製造者からの同一製品の輸入の自粛を指導するよう検疫所に対して通知」と3つの措置が取られたという。

   続いて、第2法が報じられたが、その内容は「今般、本件の原因として疑われる冷凍ギョウザの製造者(河北省食品輸出入集団天洋食品工場)の同一製品を輸入していた輸入者が新たに2社確認されたことから、(1) 本件についての各都道府県等への情報提供、(2) 安全が確認されるまでの間、当該製造者の同一製品の販売を中止するよう、当該輸入者に対して関係自治体を通じて要請を行いましたのでお知らせします。」とあり、その2社とは、日協食品株式会社(届け出7件)、株式会社ワントレーディング(届け出5件)であることを公表している。

   厚生労働省の公開内容は、1/31、12:00現在、この2件であり、これを受けて、食品スーパーマーケット各社が現在どのような対応に入ったかを、特に上場企業を中心にホームページの速報記事をもとに見てみたい。まず、ヤオコーのホームページを見てみると、1/31付けで「お詫びと回収のお知らせ」を掲載し、消費者へのお詫びとともに、回収対象商品10品をかかげ、対象商品を食べずに、サービスカウンターまで商品をもってきてもらうように促している。また、業務食品最大手の神戸物産では、1/31付けで、「中国産 冷凍餃子類店頭撤去のご案内」を掲載し、その中で、詳細な状況を説明している。まず、今回被害の出た商品は取り扱っていなかったこと、ただ、その商品を製造した中国天洋食品の商品は扱っており、その商品に関しては全量回収し、廃棄処分にするという。また、それ以外も疑わしい類似商品の検査に入り、今後は、さらに安全性確保ため、検査体制を強化してゆくとのことである。今回は一般よりも、業務用の方が対象商品数が多いため、食品スーパーマーケットよりも、より、慎重を期した一歩踏み込んだ対応となっている。

   では、他の食品スーパーマーケットの回収状況の公開内容であるが、1/31、12:00時点で、ホームページ上に公開されていない食品スーパーマーケットは、カウボーイ、ダイイチ、アークス、マックスバリュ北海道、ユニバース、ヤマザワ、ヨークベニマル、オオゼキ、イナゲヤ、サミット、ショップ九九、エコス、Olympic、ベルク、CFS、相鉄ローゼン、ベイシア、カスミ、マックスバリュ東海、ユーストア、バロー、アオキスーパー、ドミー、マックバリュー中部、ライフコーポレーション、イズミヤ、トーホー、マックスバリュ西日本、関西スーパー、オークワ、平和堂、大黒天物産、ハローズ、イズミ、丸久、タイヨー、サンエーであり、上場食品スーパーマーケットの大半である。ちょっとこれはびっくりという状況であり、残念ながら、最も消費者に近い食品スーパーマーケットの大半が1/31、12:00時点でホームーページ上で対応状況が見つけられなかった。

   この時点でお詫びとお知らせを公表している上場、食品スーパーマーケットは先にあげたヤオコー、神戸物産、マルエツ、原信ナルスホールディングス、PLANTのわずか5社である。その中でも、原信ナスルホールディンスの公開内容が最も丁寧で、速報性がある公表内容であった。1/30に速報を公開し、さらに1/31に最終版を公表し、逐次状況を知らせている。また、日本たばこ、味の素冷凍食品、江崎グリコの関連リンクも張られており、わかりやすい。さらに、厚生労働省のリンクがあればもっとよいと思うが、1/31、12:00時点では最も充実した今回の中国製ギョウザ被害に関する公開内容といえよう。原信ナスルホールディングスは新潟沖中越地震の時も刻々と被害状況を公開していたが、今回、このように素早く、しかも最新情報をしっかりと消費者に伝える姿勢がしっかりしており、ここまで、各社の差がでるとは正直驚きである。今後、各社のホームぺージを注意深く見てゆきたい。

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