マックスバリュ中部、2008年1月度、第3四半期決算、増収減益!
食品スーパーマーケット上場企業約50社の中で、売上伸び率トップを走るマックスバリュ中部が2/14、2008年1月度、第3四半期決算を公表した。昨年10/1に子会社のマックスバリュ名古屋を吸収合併したため、それまでも売上が2桁近い伸びで成長していたが、10月度は一気に130.3%となり、その後も11月度132.4%、12月度127.2%、1月度124.8%と高成長を維持しており、4ケ月連続No.1の成長率である。この第3四半期決算は昨年の4/1から12/31までの9ケ月間の決算であり、その結果は、営業収益841.32億円(112.9%)、営業利益6.67億円(48.9%:営業収益比0.79%)、経常利益6.49億円(48.0%:営業収益比0.77%)、当期純利益6.23億円(202.7%:営業収益比0.74%)となり、増収減益となった。マックスバリュ名古屋の吸収合併が昨年10月であるので、10月以前と10月以降では経営内容が大きく変化しているので、この1年間はイレギュラーな数字が続きそうである。
実際、昨年と今年の店舗数を見ると、昨年は65店舗であったが、今期は89店舗と24店舗増えており、出店地域の状況を見ると、地元の三重県は52店舗から54店舗と2店舗増加、マックスバリュ名古屋の本拠地、愛知県は9店舗から29店舗へと20店舗の増加、岐阜県1店舗から2店舗と1店舗増加、滋賀県3店舗から4店舗と1店舗増加という状況であり、この24店舗という店舗数の大幅な増加が130%近い売上の増加をもたらしているといえる。マックスバリュ中部の純粋な新店は6店舗であり、直近では昨年10月にマックスバリュ紀南店(岐阜県)、マックスバリュ名張店(三重県)、マックスバリュ駒井店(滋賀県)であり、新規出店も積極的に展開している。
マックスバリュはこのように、M&Aと新規出店で高成長を維持しているが、営業利益の方は、昨対48.9%、営業収益比も0.79%と厳しい状況である。その要因を粗利と経費の面から見てみると、商品売買から得られる売上総利益は24.73%(昨年25.51%)と下がっており、不動産収入等の営業収入は2.35%(昨年2.33%)はほぼ同じであり、結果、営業総利益は27.08%(昨年27.85%)と下がった。
一方、販売費及び一般管理費も26.27%(昨年25.98%)と上昇しており、営業利益が粗利、経費双方が上昇したため、売上対比では0.81%(昨年1.87%)と大きく下がってしまう結果となり、減益決算となった。マックスバリュ名古屋の吸収合併が売上には大きく貢献したが、営業利益には粗利、経費双方が上昇する結果となり、厳しい決算となったといえよう。ただ、もともと、売上総利益の範囲内で販売費及び一般管理費が賄われておらず、厳しい状況であったところへの、さらなるコスト上昇となり、営業利益がさらに厳しい数字となったといえる。その意味でマックスバリュ名古屋の活性化も今後の大きな課題といえ、今後は収益の改善が急務といえよう。
これに加え、マックスバリュ中部の気になる数字としては、自己資本比率である。昨年も30.0%と低い数字であったが、マックスバリュ名古屋を吸収合併した今年の数字も30.5%と大きな変化はなく、厳しい数字が続いている。この数字が低い状況が続けば、当然、今後の新規出店にも響き、これまでの高成長の維持が難しいものとなる。その要因を負債の主要項目である長短借入金と資産の主要項目である出店にかかわる資産で見てみると、以下のようになる。
長短借入金については、77.77億円(昨年84.74億円)と削減されており、総資産に占める割合も17.8%と極端に高いわけではなく、長短借入金が財務を圧迫して、自己資本比率を下げているわけでないといえる。そこで、自己資本比率が30.5%となった要因を負債面から見てみると、主な項目としては、買掛金116.12億円(総資産の26.6%)、預かり保証金39.86億円(9.1%)、未払金・未払費用29.71億円(6.8%)、その他18.98億円(4.3%)などが大きな項目であり、この中では預かり保証金が突出しており、自己資本比率を補っている負債となっているのが特徴といえる。
また、出店にかかわる資産項目である、土地、建物及び構築物、差入保証金の合計は286.12億円(昨年278.65億円)と約10億円弱増加しており、総資産に占める割合は65.59%であり、自己資本比率30.5%の2倍強となり、長短借入金、預かり保証金等で新規出店を賄っている構造となっており、今後の安定的な成長戦略を目指すには、財務の改善も大きな経営課題といえよう。ちなみに、出店にかかわる資産286.12億円を全店舗89店舗で割ると3.21億円であり、食品スーパーマーケット業界のほぼ平均的な数字といえよう。
このように、マックスバリュ中部は、昨年の10月にマックスバリュ名古屋を吸収合併し、その分の売上がオンされたため、成長率は業界屈指の120%から130%という高成長を続けているが、この高成長とは裏腹に収益は圧迫を受けており、営業利益が厳しい状況である。また、自己資本比率も30.5%と厳しい状況といえ、負債面の改善が急務ともいえる。今後はこの高成長をいかに収益の改善に結びつけ、自己資本比率の充実をはかってゆけるかが大きな経営課題といえよう。M&Aは急成長をすぐにもたらすが、高収益は必ずしも伴うとはいえず、むしろ、M&A後にどれだけ、思い切った経営改善を行い、いちはやく高収益体質を作り上げるかが課題といえよう。マックスバリュ中部が今後どのような思い切った経営改革を打ち出すかに注目したい。
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