神戸物産、2008年10月期、第1四半期、赤字決算!
神戸物産が2008年10月期の第1四半期決算を3/24、公表した。神戸物産の決算は10月であるため、第1四半期は11月から1月までの3ケ月間であり、注目の中国冷凍餃子事件は1月末からであるので、その影響が反映されるのは次の第2四半期となる。それにもかかわらず、この第1四半期決算は増収とはなったものの、営業利益は大幅減益、経常利益、当期純利益ともに赤字に転落する厳しい決算となった。実際の数字は、売上243.01億円(101.1%)、営業利益0.8億円(11.2%:売上対比0.32%)、経常利益-0.97億円、当期純利益-1.21億円という状況であり、売上もわずかな伸びに留まる厳しい結果であった。
神戸物産の主力業態である業務スーパーは中国からの輸入が大きく、しかも、その決済はドルで行っている。この時期の為替相場は大きく変動し、115円から105円の間をゆれ動き、円高気味の動きとなったため、輸入コストが上昇したことに加え、為替差損が発生し、経常利益が赤字に転落したという。
ただ、今期の神戸物産の営業利益、経常利益の状況を見てみると、売上原価は95.0%(昨年96.2%)となり、売上総利益は5.0%(昨年3.8%)であるので、原価はむしろ下がっており、いわゆる、粗利は改善している。ところが、販売費及び一般管理費を見ると、4.6%(昨年2.2%)と異常にコストが上昇したため、結果、営業利益がわずか0.3%(昨年1.5%)となったことが、営業利益が大幅な減益となった要因である。問題は販売費及び一般管理費の大幅な上昇にあるといえよう。
さらに、経常利益であるが、営業外費用が約2億円(昨年は0.07億円)と多額の費用が発生したため、結果、経常利益が赤字に転落という結果となった。この営業外費用が為替差損であるといえるが、この営業外費用を抜いても販売費及び一般管理費の急激な上昇が経費バランスを大きく崩したことが、この第1四半期決算では大きかったといえよう。
これを受けて、神戸物産の株価の動きであるが、中国冷凍餃子事件が起こる前の昨年12月時点では1,700円前後で推移していたが、1月下旬、この事件が発覚すると、株価は急落、いっきに500円下がり、1,200円前後まで落ちた。その後、しばらく株価は1,200円前後で推移していたが、3月に入り、株価は徐々に下がり、この第1四半期決算が公表された3/14には1,000円を割り、980円となった。その後も株価は下がり続け、3/17には上場来最安値となる907円をつけ、厳しい株価となったが、ここを境に株価は反転し、3/27現在、1,090円(-10円、-0.90%)という状況である。投資家はかなり厳しい評価をしているといえ、今後の株価は当面、厳しい状況が続くものと思われる。
この厳しい株価の状況を受け、神戸物産も、この第1四半期決算の公表と同時に3/14、自己株式の取得を公表しており、2008 年3月17 日~2008 年6月13 日まで、20万株(発行済株式総数の2.05%)、3億円を上限とする内容である。これが、ここ最近、株価が上昇気味で推移している背景と思われる。
一方、神戸物産の自己資本比率であるが、55.0%(昨年56.5)と高い水準にあり、長短借入金も0と財務的には安定した状況にあり、自己株式を取得する財務余力はあり、今後も機動的に資本政策を打ち出してくるものといえよう。また、資産面を見てみると、特に出店にかかわる資産である土地、建物、敷金保証金については、第1四半期では明細が公表されていないので、直近の昨年10月度の本決算時の数字を見ると、約40億円であり、総資産の16.3%と極めて低い数字である。第1四半期の数字を固定費全体で見ても28.5%であり、神戸物産の経営がいかに固定資産をもたない経営形態であるかがわかる。これは、神戸物産の現在の店舗数が2月現在476店舗であるが、直営はわずか2店舗であり、ほぼ100%FCでの展開であることが大きいといえる。
また、ここ最近のFCによる新規出店の状況を見ると、11月2店舗(477店舗)、12月2店舗(477店舗)、1月2店舗(478店舗)、2月2店舗(476店舗)と成長は横ばいとなっており、かつ、売上は11月直轄99.6%、地方102.2%、12月直轄101.3%、地方96.2%、1月直轄101.6%、地方107.0%、2月直轄95.0%、地方115.0%と、直轄である首都圏、近畿圏が厳しい状況であり、逆に地方は順調な数字となっている。直轄と地方の割合は274店舗対200店舗であるので、全体としては直轄の構成比が高く、厳しい数字であるといえよう。
このように、まだ、この1月下旬からはじまった中国冷凍餃子事件の影響が反映される前の神戸物産の第1四半期決算状況であるが、微増収、大幅減益、経常、当期純利益赤字という厳しい決算となり、株価も急激に下がっており、厳しい経営状況であるといえる。神戸物産は、この時点では次の中間期、そして、今期本決算の業績予想を増収増益、しかも通期は2桁の増収増益を予想しているが、まさに、中国冷凍餃子事件の影響が大きく反映される次の四半期如何では増収増益が確保できるかどうか厳しい状況といえ、次の5月度の中間決算が注目される。ただ、財務的には無借金経営であり、資金的な余力がある状況であり、この数年で中国一極の輸入仕入れの体制を多極化し、さらに国内産の商品調達の仕組みを構築し、商品の安全安心を徹底し、消費者、特に飲食業者からの信頼を得られる状況を作り上げられれば、業務スーパーの堅実な出店は可能といえよう。今後、神戸物産がどのような経営戦略を打ち出してくるかに注目したい。
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