マックスバリュ北海道、2008年1月期決算(10ケ月)公表!
3/19、食品スーパーマーケットの2008年度決算ではもっとも早い公表となるマックスバリュ北海道の1月度の決算が公表された。食品スーパーマーケット上場企業の決算は1月度は数社しかなく、2月度が約70%を占め、最も多く、ついで、3月度が20%、その他となる。したがって、食品スーパーマーケット業界の決算ラッシュは来月上旬からとなる。マックスバリュ北海道は昨年までは3月決算であったが、今期から1月決算となり、この2008年1月期は10ケ月の変則決算となり、その分昨対は低めの数字となっている。
さて、そのマックスバリュ北海道の決算結果であるが、営業収益518.36億円(84.88%)、営業利益4.66億円(55.2%:営業収益比0.89%)、経常利益5.09億円(55.8%:営業収益比0.98%)、当期純利益1.69億円(98.99%:営業収益比0.32%)と減収減益の決算となったが、単純に10ケ月を12ケ月で割ると83.3%となるので、83.3%以下は昨対を割っていると判断した方がよいといえよう。したがって、営業収益はほぼ昨対並であったが、営業利益、経常利益は昨対を割る減益となり、当期純利益は増益となったといえよう。また、営業収益比で見ると、営業利益、経常利益が1.0%を切っており、当期純利益は0.32%と赤字ぎりぎりの水準の数字であり、利益については厳しい決算であったといえよう。
これらの状況を予想してか、マックバリュ北海道の株価も決算月1月後半、1/28には前日1,999円まで跳ね上がった株価が、いきなり1,757円(-242円、-12.1%)と暴落し、この日の売買高も通常1万株前後が6.4万株となる大商いとなり異変が起きた。その後、1,650円近くまで下がるが、ここを境に少し値を戻し、現在、1,700円前後で動いている。3/19現在、1,699円(+15円、+0.89%)であり、ここ最近は落ち着いた株価となっている。
マックスバリュ北海道の今期の新店は、東雁来店(札幌市)、石山店(札幌市)、滝川店(滝川市)、江別店(江別市)と4店舗出店し、旧滝川店を閉め、合計53店舗となったが、既存店が競争激化により、数字が伸び悩んだうようで、厳しい数字となったといえよう。北海道地区は、現在、アークス、コープ、イオングループの3つ巴の寡占状況の中での激しい競争が繰り広げられており、新規出店=成長とはならず、競争まっただ中の既存店をいかに維持するかも大きな課題である。
特に、今期は売場を拡大したリカーとインストアベイカリーは好調であったというが、農産、日配が苦戦したことが大きかったという。農産、日配は、食品スーパーマーケットの中ではPI値が最も高い2大部門であり、客数にも直結する部門でもあり、この部門が伸び悩むと店舗全体に響き、この2部門が食品スーパーマーケットの生命線とってもよい重要な部門である。そのマックスバリュ北海道の部門構成比を見ると、農産10.7%、水産8.1%、畜産、9.8%、デリ7.7%、デイリー(日配)19.9%、加工食品33.6%、家庭用品5.2%、衣料品1.1%、その他3.9%となっており、農産と日配は加工食品についで高く、重要な部門であることがわかる。この2大部門が今期は伸びやんだことにより、既存店の数字にも大きく影響したと推測される。
また、営業利益についてであるが、商品売買から得られる売上総利益は23.9%(昨年23.5%)と0.4ポイント改善しており、テナント家賃収入等は2.0%(昨年2.1%)と0.1ポイント下がったが、合計の営業利益率は25.9%(昨年25.6%)と0.3ポイント改善した。一方、販売費及び一般管理費であるが、25.0%(昨年24.2%)と0.8ポイントの大幅な上昇となった。したがって、差し引き、営業利益は0.9%(昨年1.4%)と0.5ポイント下がっており、厳しい数字となった。
これに対し、マックスバリュ北海道の自己資本比率であるが、31.7%(昨年30.7%)と昨年よりは若干改善しているが、依然として厳しい数字が続いている。その要因を負債と資産の両面から見てみると、負債の主要項目である長短借入金が44.71億円(昨年50.44億円)と約6億円削減されたが、総資産に占める割合は、21.0%と極端には大きくはないが、やや重い状況といえよう。これに対し、資産面の出店にかかわる資産である土地、建物、敷金、建設協力金等の合計は139.13億円(昨年138.44億円)とほぼ昨年と同様であり、総資産に占める割合は63.3%である。これは、自己資本比率の31.7%ではバランスがとれず、借入金の21.0%を足した52.7%をも上回っており、新規出店を継続してゆくにはかなり厳しい状況といえよう。ちなみに、全53店舗で割ると2.62億円であり、出店コストは食品スーパーマーケットとしては低めの数字である。
このように、今期のマックスバリュ北海道は10ケ月間という変則決算となったが、それを差し引いても売上、利益ともに厳しい数字であるといえ、特に、自己資本比率が30.7%という今後の新規出店を借入に大きく依存せざるを得ない状況にあるといえ、競合の厳しい北海道でどのような成長戦略を描くかが難しい経営状況にあるといえよう。この4月からは、イオングループの得意とするM&Aにより、北海道のジョイの約年商200億円が加わり、売上には大きく貢献するが、ジョイの合併前の自己資本比率はわずか3.2%であり、財務的には大きな貢献は期待できず、むしろ、負債、資産が大きく増加する可能性があり、ジョイの吸収合併後の財務改善が急務といえよう。その意味で、ジョイの合併後のマックスバリュ北海道がどのような成長戦略、財務改革を打ち出すかに注目したい。
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