PLANT、ABL(動産担保融資)で資金調達!
PLANTが3/25、ABL(Asset Based Lending:動産担保融資)による資金調達の実施を公表した。ABLとはこれまでの不動産担保に頼らない動産や売掛債権、在庫などを担保に融資を受けることであり、PLANTは日本政策投資銀行(北陸支店)からの商品在庫を担保としたABL による融資により長期安定資金(長期期限一括償還型融資)を確保したという。小売業ではかなりめずらしい融資であり、商品在庫比率の高いスーパーセンター、ホームセンター、GMSなどにとっては新たな資金調達方法として注目されよう。
ABLは冷凍マグロ、前沢牛、フカヒレなどを担保にした融資が行われた実績があり、ユニークな融資として注目されている。今回PLNATに融資した日本政策投資銀行も2006年12月に、大垣共立銀行と組み、白扇酒造の主力商品である長期熟成みりん(「福来純三年熟成本みりん」)の在庫を担保に協調してABLを実行したこともあり、ABLには早くから取り組んでおり、今回のPLANTへの融資につながったといえよう。
日本政策投資銀行も3/26に、「(株)PLANTに対し、ABL(在庫担保融資)を実施 、企業の成長資金に対する本格的なABLスキームを構築」という内容を公表している。それによると、少し長いが引用してみると、「(株)PLANTは、①ルーラル(田舎)立地、②衣・食・住に亘る豊富な品揃え(ワンストップショッピング機能)、③ローコスト運営を背景とした低価格戦略(EDLP:EVERY DAY LOWPRICE)、を特徴とする小売業界におけるスーパーセンター(SuC)業態のパイオニア的存在であり、④地元行政と連携した地域交流スペースの運営、⑤高齢者向けサロン・託児所(いずれも無料)の設置も含め地域密着・顧客指向型経営を進めております。 (株)PLANTは、創業者三ッ田社長の経営手腕により、現在では18店舗(うちSuC:13店舗<売場面積約2,000~6,000坪>)を全国展開するに至り、所謂「改正まちづくり3法」の施行を前に、新規3店舗を昨年より着工し今春以降の順次開業を予定しています。また、同法を踏まえた今後の出店戦略の見直しの他、一層の効率経営への転換策(PIP作戦:PROFIT INNOVATION PROJECT)を進める状況にあります。」と、PLANTの現状をまとめている。
そして、「日本政策投資銀行は、(株)PLANTから寄せられた新規出店資金のための融資期待に対し、出店後徐々に店舗が地域へ浸透していく事業上の特性等を踏まえ、当社が今後も持続的な成長を図っていくための財務戦略において、長期安定資金の確保が課題と判断致しました。そのうえで、長期ビュレット償還型(期限一括償還型)の安定資金を提供すべく、日常生活品を中心とした品揃えで価値の陳腐化が少ない当社の商品在庫(店頭在庫を含む)に着目した融資スキーム(ABL)を構築致しました。」と、融資の内容を説明している。また、ここからが、さらに重要なポイントであるが、「PLANTのPIP政策により管理徹底される商品在庫管理の状況を、日本政策投資銀行が把握できる等の仕組みを取り入れた上で、ゴードン・ブラザーズ・ジャパンの在庫評価も活用している」という。
ABLは不動産ではなく動産であり、今回は特に在庫であるので、その価値をどう算定し、どう日本政策投資銀行が把握するかがポイントとなるが、ここで説明しているように、第3者が在庫を評価し、その在庫管理状況をPLNTのPIP政策と連動させることによって担保していることになる。在庫管理を客観的にPLANTと日本政策投資銀行が同時に同じ指標で把握する仕組みが作られたということである。
PLANTとしては、すでにオープンした「PLANT-4大熊店」(福島県大熊町 平成20 年3月13 日開店)に加え、今後、「PLANT-3福知山店」(京都府福知山市)、「PLANT-5鏡野店」(岡山県鏡野町)の3店舗のオープンが控えており、その資金調達が大きな経営課題であった状況であり、今回のABLはPLANTにとっては朗報であり、今後の成長戦略を構築する上で重要な転機となる可能性が極めて高いといえよう。
直近の決算である2007年9月期現在、PLANTの自己資本比率を見ると18.4%であり、しかも当期純利益は11.36億円の赤字であった。長短借入金が150億円を超え、総資産に占める割合は50%近い数字であり、これ以上、不動産を担保をもとに借入を増やすことは極めて難しい状況にあり、すでに決まっていた新店、そして、今後の新店開発のための資金調達が厳しい状況にあったといえる。その意味で、ABLは不動産を担保にしない在庫を担保にする新たな資金調達手法であり、PLANTにとっては朗報であったといえよう。 ちなみに、PLNTの在庫金額であるが、約70億円であり、総資産の約20%強となる。今回はどのくらいの金額の融資であったかは公表していないが、この何割かを差し引いた分が融資されたものと思われる。
このように、小売業界においてもABL(動産担保融資)が動きはじめたといえよう。ただ、食品スーパーマーケットの場合は在庫金額が総資産の数%という状況であり、在庫を担保とするABLは在庫資産の多い、PLANTのようなスーパーセンター、あるいはホームセンター等が対象となり、この恩恵を受けることは難しいかも知れないが、ABLは研究開発が各金融機関で進められており、今後の動向に注目である。
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