« イオン、CFS決着、3/17、新たな資本・業務提携公表! | Main | ダイエー、トップバリューを本格導入! »

March 19, 2008

トライアルカンパニーの現状を見る!

トライアルカンパニーの2008年3月期の決算を見る!

   九地、福岡県を中心にスーパーセンターを展開し、急成長を遂げている企業がある。トライアルカンパニーである。現在78店舗、2007年3月期の年商が1,310億円である。その急成長ぶりはここ最近の店舗数を見るとわかるが、2002年9月期(15店舗、216億円)、2003年9月期(25店舗、462億円)、2004年9月期(31店舗、664億円)、2005年3月期(決算変更、38店舗、424億円)、2006年3月期(51店舗、1,060億円)、2007年3月期(59店舗、1,310億円)、そして、現在78店舗である。これをグラフにすると右上がりの直線となり、その急成長ぶりがうかがえる。

   店舗展開の内訳は、福岡県32店舗、佐賀県4店舗、長崎県1店舗、熊本県2店舗、大分県4店舗、宮崎県1店舗と九州地区に44店舗、中国地区に8店舗、近畿地区に4店舗、甲信越地区に1店舗、関東地区に13店舗、東北地区に4店舗、そして、韓国に4店舗である。地元九州地区が主体ではあるが、関東にも13店舗、東北にも4店舗、韓国にも4店舗と日本全国、そして、海外も視野に入れての店舗展開である。

   また、主力業態は約50店舗を展開するスーパーセンターであるが、これ以外にもメガセンタートライアル、トライアルマート、ディスカウントコンビニトライアルと全部で4業態を商圏に応じて展開しているのが特徴である。その主力業態のスーパーセンターの初出店であるが、1996年10月と10年以上前に取り組みはじめており、ベイシアのスーパセンター1号店が2000年、PLANTのスーパーセンター1号店が1993年であるので、日本のスーパーセンター草創期におけるスーパーセンターの立ち上げであり、スーパーセンター業態としては現在最も多くの店舗を展開している企業である。

   なお、トライアルカンパニーは非上場であるが、2007年3月期の決算データを公開しているので、その財務諸表をもとに、現状の経営状況、今後の成長性をうらなってみたい。

   まず、売上高であるが、1,300.92億であり、売上総利益は15.53%であり、極めて低い粗利率である。これに不動産収入等が0.60%加わり、営業総利益は16.14%となるが、それでもかなり低い粗利率といえ、食品スーパーマーケット上場企業ではアオキスーパーが16.9%であるので、16.14%はいかに低い粗利率かがわかる。しかも、トライアルカンパニーは食品だけではなく、衣料、住関連の商品も幅広く扱っているスーパーセンターが主力業態であるだけに16.14%は極めて低い粗利率といえよう。ちなみに、PLNTの直近の粗利率は18.77%である。

   当然、これだけ低い粗利率で利益を出してゆくには、それ以上のローコストの仕組みが必要であり、トライアルカンパニーの販売費及び一般管理費をみると、売上対比14.86%と15%を切る驚異的な比率である。スーパーセンター本家ウォルマートは18%を超えており、日本はもちろん、世界的にも見ても14.86%は極めて低い販売費及び一般管理であるといえよう。したがって、差し引き、営業利益率は1.28%となり、営業利益が少し苦しい数字といえよう。今後、この営業利益を改善してゆくには、販売費及び一般管理費はほぼ限界に近い数字にあるといえ、粗利率の改善が課題といえよう。ウォルマートのように18%前後まで引き上げられれば、いうことはないが、もう1.0%から1.5%は改善したいところであろう。

   一方、トライアルカンパニーの自己資本比率を見てみると、4.16%と極端に低く、自己資本の増強が急務の状況といえる。その要因を負債と資産の両面から見てみてみると、負債については、その主要項目である社債および長短借入金の合計は91.86億円と総資産の26.8%となっていることがまず大きい。さらに、これに加え、買掛金が180.27億円と総資産の50.7%を占め、経営を大きく圧迫している状況といえる。これは、スーパーセンターやGMS業態特有の在庫負担が大きく、資産面の商品を見みると、94.33億円と総資産の27.5%を占めていることに加え、固定資産の買掛金も大きな負担となっているようである。

   その固定資産の特に出店にかかわる資産である土地、建物、敷金及び保証金の合計であるが、117.03億円と総資産の34.2%である。当然、自己資本比率の4.16%ではバランスがとれず、社債および長短借入金の26.8%を足してもそれを上回っており、買掛金の負担も入っているといえよう。ちなみに、全78店舗で出店にかかわる資産を割ると1.50億円であり、これはこれで極めて低い出店コストである。トライアルカンパニーが急成長した背景には、九州の寿屋、ニコニコ堂等の物件をはじめとする居抜物件への出店が多く、これが出店コストを大きく抑え、1.50億円という低コストでの出店が可能となったといえよう。ただ、これだけ出店コストを低く抑えた出店を果たし、急成長を遂げたにもかかわらず、借入金と買掛金に依存した出店構造となっているため、今後、さらに成長を続けてゆくには、思い切った資本の増強が急務といえよう。

   このように、トライアルカンパーは、ここ数年で居抜物件を中心に出店にかかわる資産を低くおさえ、主力のスーパーセンターの出店を果たしてきた。また、15%を切る驚異的なローコスト戦略を背景に、粗利率約15%強の商品戦略を武器に、競争に打ち勝ち、急成長を遂げてきたといえる。ただ、一方で、自己資本比率を見ると、わずか4.16%という厳しい財務状況であり、今後、さらに成長を続けてゆくには、粗利率を改善し、キャッシュフローを増やすか、思い切った自己資本の増強が急務といえよう。今期決算はあと数週間で終わるが、今期の営業利益と自己資本比率がどこまで改善し、来期以降の経営戦略をどのように打ち出してゆくかに注目したい。

◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
Mixi(ミクシィ)に食品スーパーマーケット最新情報のコミュニティを創設!(現在354人)
週間!食品スーパーマーケット最新情報:まぐまぐ!スタート(現在1089人)
PI研厳選!オリジナルe-book、CD 発売!

« イオン、CFS決着、3/17、新たな資本・業務提携公表! | Main | ダイエー、トップバリューを本格導入! »

Comments

Post a comment

Comments are moderated, and will not appear on this weblog until the author has approved them.

(Not displayed with comment.)

TrackBack


Listed below are links to weblogs that reference トライアルカンパニーの現状を見る!:

« イオン、CFS決着、3/17、新たな資本・業務提携公表! | Main | ダイエー、トップバリューを本格導入! »