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April 13, 2008

サンエー、2008年2月期決算、増収増益、13期連続!

   沖縄のサンエーが4/7、2008年2月期の決算を公表した。営業収益1,276.24億円(105.0%)、営業利益85.15億円(105.2%:営業収益比6.7%)、経常利益87.72億円(107.3%:営業収益比6.8%) 、当期純利益50.35億円(113.1%:営業収益比3.9%)と13期連続の増収増益の好決算であった。既存店も101.3%と堅調な数字となり、食品スーパーマーケットの新店3店舗を含め、バランスの良い売上を達成した。自己資本比率も67.6%(昨年65.2%)と一段と改善しており、財務的にも安定した数字であり、食品スーパーマーケットとしては、極めて健全な決算結果である。なお、サンエーは来期も1,307.63 億円(102.5%)、営業利益86.54億円(101.6%)、経常利益88.03 億円(100.4)、当期純利益52.81 億円(104.9%)と微増ながら増収増益を予想しており、消費環境が不透明な中、堅実な経営目標である。

   サンエーは沖縄という商圏が限られた立地上、全需要対応型の各種業態を展開し、高い売上とシェアを確保する企業戦略を採用している。そのため、現在、衣料品・住居関連用品・食料品を全て取り扱う「総合店舗」が20 店舗、衣料品・住居関連用品を取り扱う「衣料・住関店舗」が2店舗、「ドラッグストア」が1店舗、食料品・住居関連用品を取り扱う「食品店舗」を37 店舗有し、これ以外にも「外食店舗」を16 店舗、ビジネスホテル1軒、ペンション1 軒を有している。部門別の売上構成比は、市場規模に応じて大型SC、近隣型SC、小型食品館を展開しているスーパーマーケット部門が95.4%と大半を占めており、残り約5%が外食その他となる。そのスーパーマーケット部門であるが、衣食住の構成比を見ると、衣料品が12.7%、食料品が58.3%、住居関連用品が28.9%であり、衣料品の構成比が通常の食品スーパーマーケットよりは高いが、ほぼ食品スーパーマーケットに近い数字である。

   今期を含め、サンエーの決算数字の中で最大の特徴は営業利益率の高さである。今期も6.9%となったが、前期も6.9%であり、サンエーの営業利益率はほぼ平均して7%前後で推移している。その要因を粗利と経費から見てみると、まず、経費比率は26.2%(昨年26.1%)であり、経費比率が極端に低く、営業利益率を引き上げているわけではないことがわかる。一方、売上総利益、商品売買から得られる、いわゆる粗利は30.2%(昨年30.1%)であり、まず、ここが通常の食品スーパーマーケットよりも高いことがポイントである。

   これは通常の食品スーパーマーケットと比べ衣料品、住関連用品の合計が41.6%と高いが、この部分の粗利構成比が高いかというと、そうではない。今期の決算短信では公開していないが、以前、2006年度のサンエーの決算短信の数字を見てみると、食品の売買差益は27.6%であり、衣料品は36.0%、住居関連用品は25.1%である。これらの相乗積を取ってみると27.7%であり、衣料、住居関連が粗利率を引き上げているわけではないことがわかる。

   では、何が粗利30%へ引き上げている要因かと見てみると、食品スーパーマーケット以外の事業、ホテルなどのサービス業であることがわかる。これを見ると、売上構成比はわずか4.5%であるが、売買差益が65%もあり、相乗積は何と約3%となる。これがスーパーマーケット事業の約27%に上乗せされ、約30%という高い粗利率を獲得しているこがわかる。さらに、サンエーは大型SC、SC、NSC等もあり、テナント賃貸収入等が2.9%(昨年2.9%)あり、その結果、営業総利益が33.1%となり、通常の食品スーパーマーケットでは考えられないような高粗利率となる。ここから、経費比率26.2%を引けば、営業利益率は6.9%となるという構造である。すなわち、経費比率26.2%とスーパーマーケット部門のみの粗利率約27%はほぼトントンとなっており、これに約3%のホテルなどのサービス部門、約3%のテナント収入等の約6%が乗り、食品スーパーマーケット業界では類稀なサンエーの高収益体質が作られていることがわかる。

   さて、一方、サンエーの自己資本比率であるが、67.6%(昨年65.2%)と極めて高い数字であり、その要因は負債面の長短借入金が37.91億円(昨年52.7億円)と総資産の5.3%しかなく、いつでも無借金経営が可能な状況にある。これに対し、資産の大半を占める出店にかかわる資産、土地、建物、長期差入保証金の合計を見ると、404.91億円(昨年386.77億円)と総資産に占める割合は57.2%であり、自己資本比率で十分な範囲内であり、出店余力が十分にある財務状況といえよう。

   このように、サンエーが13期連続の増収増益となる2008年2月期の決算を公表した。サンエーは食品スーパーマーケット業界の中でも沖縄という独特な商圏で高収益を上げている企業であり、そのポイントは多角化による外食、ホテル等のサービス事業に加え、多業態の展開による不動産収入等が合計約6%近く加わることによる。また、自己資本比率も極めて高く、新規出店を借入なしで出店してゆくことも十分可能な財務状況であり、今後の厳しい競争の中でも成長余力が高いといえる。サンエーが今後、どのような成長戦略を打ち出すかに注目したい。

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