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April 11, 2008

アオキスーパー、2008年2月期決算、販管費率16.8%!

    アオキスーパーが2008年2月期の決算を4/4公表した。アオキスーパーは何といっても、日本の上場食品スーパーマーケットの中で最も低い販管費率を誇る企業であり、今期も16.8%(昨年16.9%)という驚異的な販管費率であった。営業収益は824.44億円(103.7%)と微増ではあったが、営業利益26.87億円(109.0%:営業収益比3.25%)、経常利益27.56億円(109.2%:営業収益比3.34%)、当期純利益14.56億円(108.2%:営業収益比1.76%)ともにほぼ2桁のびであり、営業収益比も3%を超え、増益となり、好調な決算となった。自己資本比率も58.8%(昨年57.1%)と、ここ最近では最高の数字となり、財務的にも負債に依存しない出店構造となり、今後もさらなる成長が期待できる決算結果であったといえよう。

    アオキスーパーは経営理念にローコストを強くうたっており、目標とする経営指標も売上総利益率と販管費率を重要な経営指標として掲げている。特に、販管費率については、「ローコスト経営に徹し、同業他社に勝る競争力を維持するため、特に販管費率に注目し、その進捗状況に注意をはらっております」と決算コメントでも述べており、16.8%はアオキスーパーの強い意志がはたらき、達成したものであるといえよう。日本の食品スーパーマーケットで、これだけ、ローコストを意識し、経営理念に組み込み、経営目標とし、細心の注意を払う食品スーパーマーケットは少ないといえよう。今期の販管費率16.8%はウォルマートの創業の頃のサムウォルトンの心意気を彷彿とさせるといえ、アオキスーパーの経営への強い意思を感じる数字である。

   アオキスーパーはこの数字を実現するために中長期的に取り組む課題として、以下の4点を挙げている。①生鮮三品に強みを発揮する地域密着型スーパーを目指すこと、② 人材強化等販売体制の整備に加え、同業他社との差別化コストダウンの推進等、高効率、高収益を実現できる経営基盤づくりを目指すこと、③お客様に満足していただけるよう、当社の原点である食品に特化、カテゴリーキラーを目指すとともに商品の自己管理を強化すること、④実力主義、成果主義を定着させ、社員の育成を通してより挑戦的に業績向上を目指すこと、である。

   特に生鮮3品の強化に関しては、不動産、その他の収入を抜いた売上合計での構成比を見ると、農産14.9%、水産18.8%、畜産14.4%と合計48.1%という高い数字であり、特に水産が何と18.8%と驚異的な数字である。通常はPI値の高い農産の構成比が高い食品スーパーマーケットが多いが、アオキスーパーは水産が生鮮3品のNo.1部門となっており、集客の柱といえよう。この生鮮3品の強さが店舗の売上を支えており、現在41店舗であるので、年商824.44億円を41店舗で割ると20.10億円となり、食品スーパーマーケットとしては高い売上高である。今期のアオキスーパーの客単価が1,931円であるので、客数は逆算すると約2,850人となる。この生鮮3品、特に水産の強さが、この驚異的な集客と売上を達成しているといえ、アオキスーパーの強さの源泉であるといえよう。

    ちなみに、資産の中の出店にかかわる資産である土地、建物、差入保証金の合計を見ると、117.19億円(昨年116.54億円)であり、総資産の52.71%であり、自己資本比率58.8%の範囲内であり、負債に依存することなく、新規出店が可能な財務状況であることがわかる。また、この出店にかかわる資産を41店舗で割ると2.85億円であり、ここでも通常の食品スーパーマーケットよりも1億円近い出店にかかわる資産の低さであり、ローコスト経営が徹底されているといえよう。

   ここで、アオキスーパーの売上、粗利、経費バランスを見てみると、売上総利益は17.0%(昨年16.9%)と販管費率16.8%とほぼ同じ数字である。生鮮構成比が48.1%と高いにもかかわらず、粗利が17.0%であり、生鮮を含め、全体的にかなり低く値入れを抑えたマーチャンダイジングといえ、競争力のある驚異的な粗利率といえよう。結果、これが客数2,850人/日という集客をもたらしているといえ、競合店に打ち勝つ強さのポイントといえよう。そして、この売上総利益17.0%に、不動産賃貸収入等の営業収入が3.2%(昨年3.2%)入り、結果、営業総利益が20.2%(昨年20.1%)となり、差し引き、営業利益が3.4%(昨年3.2%)となる。営業構造的には、商品売買から得られる粗利分が経費と相殺され、不動産収入等の営業収入がそっくり、営業利益になるという状況である。ローコス、ロープライスのマーチャンダイジングを武器に強力な集客をはかり、そこに出店するテナント等からの不動産賃貸収入等で稼ぐという構造である。

   それにしても、販管費率16.8%は驚異的な数字であり、また、粗利率17.0%も驚異的なロープライスを実現できる数字である。今後、強力なマーチャンダイジングをもとに、現在、アオキスーパーは、愛知県の名古屋、尾張、三河を中心にドミナント展開しているが、財務的に十分な出店余力もあり、次のドミナントをどこに定めるかが興味深いところである。アオキスーパーの今後の成長戦略に注目したい。

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