アークス、2008年2月度決算、増収増益の好決算!
北海道のアークスが2008年2月期の決算を4/14公表した。売上高2,414.55億円(105.1%)、営業利益81.33億円(110.7%:売上対比3.36%)、経常利益88.82億円(109.5%:売上対比3.67%)、当期純利益49.08億円(123.8%:売上対比2.03%)と増収増益、特に利益が2桁増となる好決算であった。アークスは主要な子会社10社、その他の子会社3社、関連会社1社の計15社で構成され、スーパーマーケット事業を主な事業とする持株会社であり、CGCグループに加盟している。現在、北海道の食品スーパーマーケット業界は、アークス、コープさっぽろ、イオングループの3つ巴の激しい市場争奪戦が繰り広げられており、この厳しい競争の中で増収増益、しかも、利益が2桁増となったことはアークスのこの5年間の経営戦略が北海道の消費者にしっかり受け入れられたことを示しているといえよう。
アークスの2桁の増益の状況を見ると、売上総利益が22.6%(昨年22.3%)と0.3ポイント改善しており、CGCジャパンと連携し、加工食品、飲料、菓子、日用雑貨等の生活必需品の販売価格を凍結する特別企画「食卓応援価宣言」を継続実施したにもかかわらず、粗利率は上昇しており、粗利率、売上構成比の高い生鮮食品等の売上が伸びた結果といえよう。食品スーパーマーケットは相乗積の世界であり、あるカテゴリーで極端に価格を下げても、粗利率の高い他のカテゴリーの売上構成比を引きあげる政策を同時に打てれば、全体の粗利率を引き上げることは可能であり、値上げのこの時期は特に、メリハリの利いた大胆な価格政策が、しっかり相乗積を計算することによって、全体としては高収益をもたらすことが可能となる。このまま値上げ状況が続けば、来期は食品スーパーマーケット間の粗利格差が拡大し、大幅な増益を達成する企業と逆に減益となる企業とに2極化する可能性が高いといえよう。
アークスの粗利率であるが、今期は粗利率を結果的に昨年より0.3ポイント引きあげており、これが販売費及び一般管理費19.2%(昨年19.1%)の0.1ポイントの上昇を相殺し、差し引き、営業利益を3.4%(昨年3.2%)と0.2ポイント、率では106%以上の改善となり、売上の105.1%と相まって、営業利益を110.7%と2桁の増加をもたらす、好決算となった。
また、今期は新業態スーパーアークスの新規出店についても、ホームストアにおいて3店舗目となるスーパーアークス中島店を昨年4月に北海道室蘭市に、また6月には道南ラルズにおいて4店舗目となるスーパーアークス港町店を北海道函館市にオープンし、合計4店舗となり、各連結会社へ水平展開が進んだ。さらに、2009年2月期には、待望のカインズとのフランチャイズ契約に基づきエルディが運営するカインズホーム大曲店(仮称)をホームセンター事業の第1号店として出店することが決まっており、同時にラルズが運営するスーパーアークス業態としてグループ5店舗目となるスーパーアークス大曲店(仮称)を同ショッピングセンター内の中核店舗として出店する予定であるという。利益面だけでなく、中長期的な成長戦略を担う業態開発も進んでおり、数年後には大幅な増収も期待できる体制が徐々に整いつつあるといえよう。さらに、この2月にはラルズにおいて都市型実験店舗の位置づけとなる「ラルズマート大麻銀座店」を出店しており、都市型小型店の確立にも着手しており、大型店、小型店の同時展開が可能な状況となりつつある。
その今後の成長戦略をささえる財務状況であるが、自己資本比率が好調な決算を受け、徐々に上昇しており、今期は58.0%(昨年55.8%)と改善されつつある。この5年間では最高の数字であり、今後、好調な決算が続けば、さらに上昇してゆくものといえよう。その中身であるが、アークスは現在169店舗を展開しているが、出店にかかわる資産である土地、建物、敷金・保証金の合計は709.64億円(昨年705.01億円)と総資産の73.19%とかなり大きな資産構造となっている。1店舗当りに換算すると4.19億円であり、食品スーパーマーケットとしてはさほど大きな資産ではないが、自己資本比率の58.0%を大きく超えている。これを補うのは負債の主要項目である長短借入金であり、139.07億円(昨年168.35億円)と昨年よりは約30億円削減しているが、総資産に占める割合は14.34%あり、自己資本比率の58.0%を加えると72.34%となり、ちょうどバランスがとれており、約20%を借入に頼る構造であり、安定成長をはかる上にはもう一段の自己資本比率の充実が課題といえよう。また、現在の棚卸資産は60.50億円(昨年59.05億円)と総資産の6.23%と食品スーパーマーケットとしては若干多めであるが、今後、カインズのFCとしてホームセンターを出店してゆくとホームセンターの棚卸資産は総資産の約20%前後と大きくなり、そのための財務対策も今後課題となろう。
このように2008年2月期のアークスの決算は増収増益の好決算となり、今後さらに厳しくなるであろう北海道の食品スーパーマーケット業界の中で存在感を増しつつある。財務的にも自己資本比率が上昇し、今後の成長余力が増しつつあり、新業態スーパーアークス、そしてホームセンターカインズのFCとして、今後の成長業態も明確であり、今後、アークスが本格的な成長戦略をいつ打ち出すかに注目である。
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