ヨークベニマル、2008年2月期決算、絶好調、増収増益!
セブン&アイ・ホールディングスが4/10、2008年2月期決算を公表した。すでに、新聞等で報じられているように、営業収益5兆7,523.92億円(107.8%)、営業利益2,810.88億円(98.0%:営業収益比4.88%)、経常利益2,782.62億円(98.7%:営業収益比4.83%)、当期純利益1,306.57億円(97.9%:営業収益比2.27%)と、増収減益となる厳しい決算となった。その要因は、事業部門別に見ると、営業利益の好調な事業部門はその他事業の153.5%を除くと、スーパーストア事業の116.8%増のみであり、フードサービス業は赤字、百貨店事業は96.2%、中核のコンビニエンス事業も97.5%と減益となった。
ただし、スーパーストア事業の中でも、営業収益の約70%を占めるGMSのイトーヨーカ堂の営業利益は93.5%と減益、営業収益も98.5%と減収になるという厳しい状況であった。スーパーストア事業が増収増益となったのは営業収益の約15%を占めるヨークベニマルが増収増益となったことが大きく、営業収益105.2%、営業利益104.9%という堅調な決算が貢献したといえる。セブン&アイ・ホールディングスの主要企業の中では、ヨークベニマルのみが増収増益の好決算であり、セブンイレブンジャパン、アメリカのセブイレブンインク、イトーヨーカ堂、そごう、西武百貨店、セブン&アイ・フードシステムズ、すべてが減益となる状況であり、ヨークベニマルの際立った収益性の高さが注目される。
そのヨークベニマルの決算内容であるが、営業収益3,301.45億円(105.2%)、営業利益112.27億円(108.9%:営業収益比3.40%)、経常利益125.25億円(111.2%:営業収益比3.79%)、当期純利益91.50億円(306.0%:営業収益比2.77%)と増収大幅増益となる絶好調な決算となった。
営業収益が105.2%となった要因は、既存店は97.4%と昨対を割ったが、M&Aによるスーパーカドヤ16店舗と新規出店8店舗、閉店3店舗の合計21店舗の店舗増が大きく貢献したといえる。現在ヨークベニマルは149店舗となり、1店舗当たり約22億円である。今期のヨークベニマルの新店であるが、南中山店(2007年3月)、小山ゆうえんち店(2007年3月)、那須塩原店2007年(4月)、相馬黒木店(2007年7月)、山形嶋店(2007年9月)、足利大月店(2007年9月)、涌谷店(2007年10月)、メガステージ須賀川南店(2008年2月)の8店舗である。
また、営業利益が108.9%となった要因は、売上総利益24.4%(昨年24.0%)と0.4ポイント粗利が改善したことが大きい。さらに、受取手数料、不動産収入等の営業収入が3.2%(昨年3.0%)と0.2ポイント上昇し、結果、営業総利益が27.6%(昨年27.0%)と0.6ポイントと大幅に改善した。ただ、販売費及び一般管理費は24.1%(昨年23.6%)と0.5ポイントと大きく上昇しており、結果、営業利益が3.5%(昨年3.4%)と0.1ポイントの上昇に留まったことが残念であるが、営業収益の105.2%と相まって、大幅な増益となった。販売費及び一般管理費の主な増加要因は人件費と地代家賃の上昇が大きかった。
一方、ヨークベニマルの自己資本比率であるが、79.7%(昨年81.4%)と昨年よりは、若干下がったが、極めて高い数字であり、イトーヨーカ堂の70.8%、80.3%と並び、いかに負債に頼らない経営に徹しているかがわかる。負債については、長短借入金なしの無借金経営である。ちなみに、セブン&アイ・ホールディングスは、この決算と同時に3ケ年の中期経営計画を公表しているが、その最優先の目標数値として、連結営業利益と連結自己資本当期純利益率(ROE)を掲げており、特にROEの目標数値は現在の6.7%から3年後には8.0%を目指し、さらに将来的には10%を目指すという。ただ、ヨークベニマルの場合はすでにROEが8.19%と8%を超えており、この中期経営計画では10%が目標になるものといえよう。ROEはROA=自己資本比率×ROEでもり、ヨーベニマルは自己資本比率が限界に近く、結果、ROEがさらに高まれば、ROAも限界に近い数値となり、事業構造として見ると、極めて完成度の高いビジネスモデルができあがるといえよう。
また、資産の方に目を転じてみると、今期6店舗の新規出店をはたしているが、出店にかかわる資産である土地、建物、長期差入保証金の合計は735.10億円(昨年648.80億円)と総資産の50.61%であり、自己資本比率79.7%の十分な範囲内であり、極めて健全な出店構造となっている。ちなみに、これを全店149店舗で割ると4.93億円であり、通常の食品スーパーマーケットよりも、NSC(近隣型ショッピングセンター)等が中心業態となっており、やや大きめな出店にかかわる資産であるが、その分、平均年商20億円を超える売上であり、バランスは十分にとれているといえよう。
このように、この2008年2月期のヨークベニマルの決算は増収増益、特に増益幅の大きい好調な決算となった。セブン&アイ・ホールディングスが増収減益となった厳しい決算の中での好決算であり、改めて、食品スーパーマーケットの底堅さと強さを示した決算結果であったといえよう。今期は軒並みGMSグループの決算数字は思わしくないが、ヨークベニマルにみるように、食品スーパーマーケットの決算数字は比較的好調であり、来期は値上げ問題等消費環境は一段と厳しくなる中、食品スーパーマーケット業界の好調さを維持できるかが課題といえよう。ヨークベニマル自身は来期も増収増益を予想しているが、次の中間決算の動向に注目したい。
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