ベルク、2008年2月期決算、増収増益、好調な決算!
ベルクが4/9、2008年2月期の決算を公表した。ベルクはこの2/22、ジャスダックから東証2部へ上場しており、東証2部上場後初の決算となった。売上高908.36億円(108.3%)、営業利益40.86億円(115.7%:売上対比4.49%)、経常利益42.19億円(115.3%:売上対比4.64%)、当期純利益22.56億円(123.0%:売上対比2.48%)となる、増収増益の好決算であった。イオンとの資本・業務提携も着実に経営に反映されはじめており、トップバリュの売場への導入が本格化する一方、この株主総会で社外取締役として、坂野邦雄氏(マックスバリュ九州株式会社 代表取締役社長)を迎えることが決まった。
今期、ベルクの売上が好調な要因は、2007年4月、東京都八王子市に「ぐりーんうぉーく店」、7月、千葉県松戸市に「松戸秋山店」、9月、群馬県館林市に「館林大街道店」、10月、埼玉県狭山市に「ベスタ狭山店」、そして、11月、埼玉県深谷市に「深谷稲荷町店」の5店舗を新設したことに加え、既存店の改装を4店舗実施したことが大きかった。既存店も101.4%と堅調な伸びを示しており、売上は好調に推移した。ただ、既存店の売上の中身は客数が101.4%、客単価が100.1%と客単価が伸び悩んでいることが気になるところである。実際、今期は、客数増の政策として、「水曜恒例99円均一企画」の充実、プライベートブランド「トップバリュ」の取扱品目の拡大、さらに、購買頻度の高い商品群の価格強化を実施したといい、これらの政策が客数増に結び付いたといえよう。
一方、客単価に関しては、今期ベルクの客単価は1,881円であり、PI値が1,050%(1人当り10.5点)、平均単価178円であった。PI値は昨年の1030%から30%伸び、102.3%となったが、平均単価が183円から、179円と97.9%となり、客単価の昨年1,879円からわずかしか上回ることができなかった。ベルクの客単価の歴史は、2002年(2,268円、94.4%)、2003年(2,168円、95.6%)、2004年(2,099円、96.8%)、2005年(1,984円、94.5%)、2006年(1,911円、96.3%)、2007年(1,879 円、98.3%)、そして、2008年(1,881 円、100.1%)と、厳しい状況が続いており、やっと、今期数年ぶりに、昨年をクリアーすることができ、来期以降いかに客単価の改善をはかるかが課題といえよう。
さて、今期好調の大幅増益をもたらしたベルクの営業利益であるが、売上総利益は26.0%(昨年26.0%)と大きな変化がなく、トップバリュが本格的に導入されはじめたといえ、まだまだ、粗利率の改善には結びついていないようである。営業収入は3.7%(昨年3.6%)と昨年よりも0.1ポイント改善したが、これはテナント収入が伸びたためである。ベルクの営業収入はテナント収入、物流収入、その他に分かれるが、約70%は物流収入であり、いかに物流収入が大きいかがわかる。結果、営業総収入は29.7%(昨年29.6%)と0.1ポイント改善し、販売費及び一般管理費が25.2%(昨年25.4%)と0.2ポイント改善し、差し引き営業利益は4.5%(昨年4.2%)と0.3ポイント改善し、107.1%となった。これに売上の伸びが加わり、結果、営業利益が115.7%と2桁増の好決算となった。粗利、経費、双方の改善であり、バランスのよい営業利益となった。
これに対して、ベルクの財務状況であるが、自己資本比率は51.8%(昨年55.1%)とやや下がっており、今後、積極的な新規出店が予定されているだけに、少し気になる数字である。ベルクの出店にかかわる資産である土地、建物、差入保証金の合計は372.18億円(昨年320.17億円)と約50億円増加しており、総資産に占める割合は75.1%であり、大半を占める。これは、自己資本比率51.8%を大きく超えており、そのバランスを負債面でカバーすることになるが、その主要項目である長短借入金で見てみると、120.99億円(昨年88.44億円)と約30億円強増加しており、総資産に占める割合は24.4%とかなりの割合である。自己資本比率51.8%にこの24.4%を足すと76.2%となり、ちょうど、出店にかかわる資産とほぼ同じになり、バランスがとれている状況である。今後、積極的な新規出店をしてゆくためにも、もう一段、自己資本比率をためることが課題となろう。ちなみに、ベルクの店舗数は現在、54店舗であり、1店舗当たりの出店にかかわる資産は6.89億円であり、通常の食品スーパーマーケットと比べ、早くから大型化を図り、標準化を行ってきたので、やや大きい数字といえ、その意味でも自己資本比率の改善は重要な経営課題といえよう。
これ受けて、ベルクの最近の株価であるが4/9(930円、103.9%)と上昇したが、その後、4/10(880円)、4/11(876円)、4/14(877円)、4/15(870円)、4/16(874円)、4/17(880円)、4/18(874円)、4/21(894円)、4/22(893円)と投資家からの反応が鈍い状況である。東証2部に上場した2/22は975円であったので、この約2ケ月で株価は100円近く下げており、厳しい株価が続いている。
このように、ベルクの2008年2月期の決算は増収大幅増益の好決算となったが、好決算の割には株価が鈍い動きである。これはイオンの決算が厳しい決算となり、今後、中長期計画では国内よりも海外への投資に重点を移すという方針でもあり、これらを懸念してのイオン関連会社としてのベルクへの投資が弱くなった面もあったといえよう。ただ、今期の決算を見ると、客単価と自己資本比率に関してはまだまだ気になる状況といえ、今後、この2点に関してベルクがどのように営業面と財務面の改善に取り組むかに注目したい。
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