マルエツ、2008年2月期決算、増収大幅増益、復活?!
マルエツが4/15、2008年2月度の決算を公表した。営業収益3,355.43(102.6%)、営業利益75.70億円(129.1%:営業収益比2.25%)、経常利益69.31億円(124.7%:営業収益比2.06%)、当期純利益47.12億円(133.6%:営業収益比1.40%)となり、増収はわずかであったが、利益が大きく改善し、2桁の伸びとなる増収増益の好決算であった。また、来期予想も営業収益3,380.00億円(105.4%)、営業利益 78.00億円(110.6%:営業収益比2.30%)、経常利74.00億円(109.3%:営業収益比2.18%)、当期純利益61.00億円(134.2%:営業収益比1.80%)と増収増益予想であり、マルエツ復活の兆しが確かなものになってきたといえよう。
今期は新店に関しては、港南ワールドシティ店(東京都)のみであったが、既存店が103.6%と堅調な伸びを示し、既存店客数前年比は、平成18年12月から15ヶ月連続で前年を上回る状況であるといい、確実にお客さまからの支持を獲得しはじめたといえる。実際、今期の売上総利益は27.9%(昨年27.7%)と商品売買から得られる、いわゆる粗利が0.2ポイント改善しており、収益性が増している。これに不動産収入等の営業収入が2.0%(昨年2.0%)加わり、営業利益は29.9%(昨年29.7%)となり、利益改善が進んでいる。現段階では業務提携したイオンのPB、トップバリュは10店舗、360品目という実験段階であり、PB効果ではなく、マーチャンダイジングの活性化による粗利率の改善といえ、確実に営業力が増しているといえよう。また、販売費及び一般管理費も27.6%(昨年27.9%)と0.3ポイント改善しており、経費の削減もすすみ、粗利、経費双方の改善により、営業利益を押し上げ、2.3%(昨年1.8%)となり、0.5ポイント改善した。これに、既存店の伸び、及び新店が1店舗であるが、加わり、営業利益を昨対129.1%と大幅に改善した結果となった。
マルエツは現在、平成21年度を最終年度とする新中期2ヵ年計画(キャロフィプラン)を策定し、実行しているが、ほぼ計画どおり推移しているといえ、順調に経営改善が進んでいるといえよう。特に、首都圏で今後重要な戦略業態となる都市型小型店の展開について、昨年12月に、100%子会社であったポロロッカを吸収合併し、小型店舗のサンデーマートを含め、小型食品スーパーマーケット業態をひとつに集約し、戦略的に展開できる体制を整えており、今後、これら小型店が都心部で積極的な出店してゆくことになろう。
ただ、そのためには、営業数値に加え、財務体質の改善も課題であり、ここが今後、好調な営業数値をもとにどう改善をはかるかがポイントとなろう。今期、マルエツの自己資本比率は37.7%であり、昨年の34.5%よりは改善しているが、安定的な出店を行う上にはまだまだ低い数字である。ここ数年の自己資本比率を見ても、44.2%(2004年)、34.8%(2005年)、29.3%(2006年)、34.5%(2007年)、そして、37.7%(2008年)と低迷しており、自己資本比率は厳しい状況で推移しており、その意味でもキャロフィプランの計画数値を確実に達成し、財務の改善につなげることが、今後の安定的な成長をはかってゆくためには重要な経営課題となろう。
その要因であるが、まず、負債面を見ると、長短借入金が361.01億円(昨年395.32億円)と、好調な営業数値を受け、昨年よりは約35億円削減されたが、総資産に占める割合は29.02%とまだまだ大きな負担となっている状況である。また、資産面を見てみると、出店にかかわる資産である土地、建物、差入保証金の合計は893.55億円(昨年859.93億円)と総資産の71.8%を占めており、自己資本比率37.7%ではバランスがとれず、長短借入金の29.02%を足しても、それを上回る状況であり、今後、新規出店を安定的に実行してゆくには一層の財務改善が必要といえる。ちなみに、現在の全237店舗で割ると、1店舗当たりの出店にかかわる資産は3.77億円であり、首都圏という立地への出店が多い割には低い数値といえ、自己資本比率が改善すれば、安定的な出店がしやすい構造であるといえよう。その意味でも確実に中期経営計画のキャロフィプランの数値目標を達成することが求められる。
さて、これを受けて、ここ最近のマルエツの株価であるが、4/15、大量に売りが出た。この好決算が公表された4/15の株価は日経平均が13,146.13円(+155.55円)となったにもかかわらず、マルエツの株価は846円(-38円、-4.29%)となり、株価が下がった。ただ、この日、一時955円という年初来最高値をつけており、これをさかいに売りが大量にでた。売買高は前日が19万株であったが、この日は78.1万株の大商いとなり、株価が下がる結果となった。ただ、年初来最高値を見極めての売りであり、この決算結果と現状の取り組み、今後の業績改善予想を見る限り、株価は高いとはいえず、明日以降の株価がどのように動くかに注目といえよう。
このようにマルエツの株価はこの日、下がったが、業績は急回復しており、中期経営計画のキャロフィプランもほぼ目標通り進んでおり、マルエツ復活に向けて着実な実績をともなった決算結果であったといえよう。今後、自己資本比率の改善をはかり、安定成長路線に軌道を乗せられるかが、次の経営課題といえ、イオン、丸紅の支援を受け、マルエツの財務改善がどのように進んでゆくかにも注目したい。
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