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April 27, 2008

ユーストア、2008年2月期、厳しい決算、ユニーと合併へ!

   ユーストアが4/10、2008年2月期の決算を公表した。営業収益1,453.82億円(97.8%)、営業利益23.09億円(110.3%:営業収益比1.58%)、経常利益22.06億円(105.0%:営業収益比1.51%)、当期純利益-31.97億円となり、減収、当期純利益は赤字となる厳しい決算となった。特に、今期は全73店舗の内、61店舗(83.5%)の既存店が前年を割る結果となり、既存店全店の売上高は96.9%という厳しい結果となった。また、減損損失も71.22億円が発生したため、当期純利益も31.97億円の損失となり、売上だけでなく、利益も厳しい決算となった。

   これを受けて、同日、4/10、ユーストアは今年の8/21付けで存続会社をユニーとする合併を公表しており、今決算がユーストアとしては最後の決算となる。現時点でもユニーはユーストアの64.41%の総株主の議決権の株式を所有しており、ユニーの子会社であるが、今回の合併により、ユーストアは消滅会社となり、ユニーに完全吸収となる。合併方式は株式交換となり、ユーストア株1株につき、ユニー株0.83株が割当てられることとなる。ただ、吸収合併するユニーの方もここ最近の売上高の推移は1兆377.64億円(2006年度)、1兆617.11億円(2007年度)、1兆461.26億円と伸び悩んでおり、当期純利益は161.01億円(2006年度)、93.02億円(2007年度)、3.77億円(2008年度)と厳しい状況であり、ユーストア合併後、食品スーパーマーケット部門を活性化できるか否か厳しい状況ともいえよう。まずは、リストラが最優先の経営課題といえ、来期、ユニーの連結決算で公表されるユーストアの数字が注目される。

   ユーストアは食品スーパーマーケット業態ではあるが、商品戦略が通常の食品スーパーマーケットと違い、衣料品とテナントを重視しているのが特徴である。衣料品の構成比は約20%弱であるが、粗利率が食品の21.0%に対し、29.7%と高いため、衣料品の構成比が上がれば上がるほど粗利があがる構造である。そのため、集客にテナントを活用しており、鮮魚、精肉の生、惣菜の3部門の食品スーパーマーケットの中核部門をテナントが占めており、テナントの強さがそのままユーストアの売上だけではなく、利益にも直結する構造となっている。

   ただ、かつて一世を風靡したカテゴリーキラーの時代が終わり、テナントの競争力が落ちた現在では、このビジネスモデルで集客をはかることは難しくなりつつあったといえよう。本来であれば、食品スーパーマーケットの中核部門、利益の源泉である生鮮、惣菜を自社にきりかえ、食品スーパーマーケットとしての商品戦略を再構築し、集客よりも、利益を重視する経営戦略を打ち出す政策に切り替えることができていれば、状況は変わっていたのではないかと思われる。今期、粗利率は22.1%から22.6%へと上昇してはいるが、これは粗利率の高い衣料品が貢献したのではなく、衣料品はむしろ落ち込みが大きく、既存店の売上高は前期実績に比べ5.2の減少となっており、食品の粗利率、特に、ドライ関連が上昇したことが大きかったようである。したがって、今後、生鮮重視の本来の食品スーパーマーケットモデルを再構築することができれば、衣料品に頼らない高収益のビジネスモデルも可能であると思われる。

   また、今期、既存店の83.5%が昨対割れを起こした状況を営業エリア別に見てみると、全体の数字で見て、昨対をクリアーしたのは、売上構成比13.5%、唯一新店を出した静岡地区の105.3%のみであり、この地区を除くと、すべてのエリアで昨対を割っており厳しい状況である。特に、売上構成比60.5%を占める地元愛知県は97.4%、三重県は96.2%、岐阜県94.0%、そして、関西エリアの滋賀県94.4%、京都府は1店舗であるが、87.6%という厳しい状況である。出店戦略を地元愛知県を中心に周辺の三重県、岐阜県だけでなく、東の静岡県、西の滋賀県、京都府へと拡大し、戦線の拡大に従い、業績をさらに厳しくした結果となった。

   今期、ユーストアは減損損失を71.22億円計上しているが、これは建物53.49億円その他であり、特に、1店舗しか出店していない京都の減損損失が46.21億円と最も大きかった。今後、売上が下がり、収益が厳しくなると、今後とも減損損失が発生する可能性があり、いかに競争力を高め、売上を向上させ、同時に収益の改善が急務であるといえよう。現在、自己資本比率は54.5%と比較的高い状況にあるので、ここで、商品構成、出店エリアを含めた成長戦略を抜本的に見直すぎりぎりの段階ともいえ、その意味でユニーとのM&Aにより、どこまで経営戦略が見直されるかが注目である。

   このように、ユーストアが上場後、最後の本決算が公表されたが、内容は、かなり厳しい状況であり、今後、ユニーとの合併により、どのような経営戦略の見直しがなされるかが注目される。ユニー本体は、新生活創造小売業を標榜し、2008年度から2010年度までの中期経営計画を策定しており、その一環としての今回のM&Aであり、かなり思い切った改革が実行されるものと予想される。今後のユーストアの商品、売場づくり、出店戦略がどのように変わり、経営数字がどのように改善されてゆくかに注目したい。

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