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April 28, 2008

東急ストア、2008年2月期決算公表、東急電鉄と合併!

   東急ストアが4/17、2008年2月期の決算を公表した。営業収益3,102.53億円(101.2%)、営業利益64.83億円(95.7%:営業収益比2.08%)、経常利益56.38億円(95.0%:営業収益比1.81%)、当期純利益-65.57億円となる増収減益、特に当期純利益が赤字となる厳しい決算となった。当期純利益に関しては特別損失として、一部店舗で減損損失を計上したほか、繰延税金資産のうち回収が見込めない部分について取崩しをおこなった結果であるという。この7/1には株式交換による東急電鉄への合併も決定しており、東急ストアは東急電鉄のもとで、この決算結果を踏まえた新たなリテールンビジネスの再構築に入ることとなる。

   この決算に先立って、3/27に公表された、「東京急行電鉄株式会社による株式会社東急ストアの株式交換による完全子会社化に関するお知らせ」によれば、今後、東急グループの中核会社である東急電鉄との協調体制のもと、スピーディな経営判断を行っていくことにより東急グループのシナジー拡大に貢献することが必要であると判断して合併を決めたとのことで、東急ストアも今後上場廃止となり、東急電鉄に吸収されることになる。東急ストアではすでに、平成20年度からの新中期3か年経営計画を策定しており、その骨子は、「継続して成長できる企業力の確立」に向け、「スクラップ&ビルドによる利益改善」、「既存店収益力の回復」、「業務改革、業務改善による効率化の推進」の3項目であり、この中期経営計画を確実なものとするためにも、東急電鉄との合併が望ましいとの判断であったという。


   さらに、具体的には次のような政策が中心となるという。「不採算店舗の抜本的な収支改善をスピードをあげて実行していくほか、計画期間中、東急線沿線中心にスーパーマーケット業態を基本とした出店を10店舗程度おこなうなど、スクラップ&ビルドを推進」してゆくという。また、「営業面におきましては、FSP(フリークエント・ショッパーズ・プログラム)を利用した顧客情報分析を活用し、新しい販売・販促方法を検討していくほか、接客や加工技術の研修を強化し、既存店収益力の回復をはかって」ゆくという。さらに、「商品面におきましては、PB商品の開発・拡販に注力し、売上高構成比を30%まで高め、売上総利益率の改善をはかって」ゆくとのことで、出店政策、営業政策、商品政策の思い切った展開がなされてゆく計画であるという。

   ただ、現在、東急ストアの自己資本比率は 25.9%(昨年29.0%)とかなり厳しい比率となっており、安定的な成長路線をとってゆくには一層の自己資本比率の改善が必要といえよう。東急ストアの今期の出店にかかわる資産である土地、建物、差入敷金保証金の合計を見ると、855.08億円(昨年936.38億円)と減損会計を計上したこと等にもより、約80億円削減されているが、総資産に占める割合は71.39%と大半を占めており、現在の自己資本比率ではバランスがとれず、負債に大きく依存する形での出店構造となっており、財務的には成長余力が厳しい状況にあるといえる。現在、全店舗数は99店舗であるので、1店舗当たりの出店にかかわる資産は8.63億円となっており、食品スーパーマーケットというよりもGMSに近い資産状況であり、かなり、重い出店構造である。

   これを支える負債であるが、その主要項目である長短借入金の合計は468.03億円(昨年497.83億円)と多額の借入状況であり、総資産に占める割合は39.0%となる。これに自己資本比率25.9%を足すと64.9%となるが、これでも出店にかかわる資産の71.39%には届かず、さらに、補う形で、預かり敷金保証金65.93億円(総資産の5.5%)を加え、ほぼバランスがとれる構造である。この状況では今後の新規出店が非常に厳しい状況であるといえ、食品スーパーマーケットとしては極めてバランスの悪い財務構造といえる。

   今回、東急電鉄と合併しても、この財務構造を変えることはなかなか難しい状況といえ、出店にかかわる資産を半減できる立地、新業態の開発が今後の大きな課題といえよう。実際、今期の東急ストアの営業利益の構造を見てみると、商品売買から得られる売上利益は27.1%(昨年27.1%)であり、販売費及び一般管理費は29.0%(昨年28.6%)と商品売買の利益では販売費及び一般管理費が賄えない構造となっており、これを補う形で不産賃貸収入、その他営業収入等4.1%(昨年3.8%)がのり、営業総利益を31.2%(昨年30.95)とし、バランスをとっている状況である。不動産収入等の営業収入への依存度が高く、小売業としてのマーチャンダイジングによる利益算出力が弱いといえ、その意味でも、食品スーパーマーケットとしての収益性が高く、資産の圧縮された新業態の開発も今後の課題といえよう。

   このように、東急ストアが上場後最後の決算を公表したが、内容は出店にかかわる資産が経営に重くのしかかり、十分な新規出店ができず、また、減損損失の計上等により、当期純利益も赤字となる厳しい決算となった。今後、東急ストアは東急電鉄に吸収合併されることになるが、この構造はそのまま引きつがれるため、今後、食品スーパーマーケットとして、成長性、収益性を高めてゆくには、財務構造の抜本的な見直しが必要といえ、合併後、どのような思い切った財務改善がなされるかに注目したい。

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